かすみ「侑先輩って、走り出すときの一歩目にクセありません?」侑「普通だと思うけどなあ」
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侑「具体的に言うとどういうところ?」
かすみ「毎回ってワケじゃないんですけど、一歩目に『ピョイン』って跳ねるときありませんか?」
侑「ピョインって」
かすみ「あー……ちょっと待ってください。違いますね」
侑「違うの?」
かすみ「『ピョコッ』かもしれないです」
侑「かすみちゃん?」
かすみ「あっ、いやでも『ピョコン』の方が近いですかね……」
侑「かすみちゃん?」
かすみ「いま改めて考えてみたら『ピョンコ』の可能性も出てきました」
侑「擬音の種類の話じゃなくてね?」 侑「走り方のクセの話……で、良いんだよね」
侑「話題にされてる私が言うのもなんなんだけど」
かすみ「そうですっ!」
侑「返事が元気で最高だね」ナデナデ
かすみ「えへへ」ニコニコ
侑「それで……かすみちゃんから見ると、私の走り方にクセがあると」
かすみ「毎回というわけじゃないんですけど、たまーに」
かすみ「それと、全部っていうより最初の1、2歩目なんですよね」
侑「そこが不思議なんだよね」 侑「全体的にフォームが、っていうならまあ分かるんだけど」
かすみ「うーん……そういうことじゃないんです」
侑「だよね。だからああいう言い方になるんだろうし」
かすみ「なんて言えばいいんでしょう……えっとですね」
侑「うん」
かすみ「『ピョコッ! タタタッ』って感じというか」
侑「ん?」
かすみ「いや『ポインッ、トコトコ』かもしれません」
侑「かすみちゃん?」
かすみ「『ピョンッ! テッテッテ』が近いのかも……?」
侑「この短時間で2度目だね」 侑「その擬音の厳選はどうしたの?」
かすみ「せっかくならいちばん可愛い音が良いなって」
侑「こだわりがすごいなぁ。良いところだけど」
かすみ「そんなかすみんも?」
侑「可愛いYO!」フリフリ
侑「ストイックなところも可愛いYO〜!!」ワー!
侑「かすみちゃん」
かすみ「すみません」 侑ちゃんの走り方どんなんだっけ…ジャージ羽織って強者の歩き方してるイメージしかない 侑「謝ることはないけど急にどうしたの?」
侑「びっくりしちゃったよ。突然のフリにも反応できた自分にも」
かすみ「いつもすごく良いリアクションしてくれるから、つい楽しくなっちゃって」
かすみ「『いま挟めるかな』って、魔が差しました」
侑「楽しかった?」
かすみ「かなり」
侑「ならいっか〜」
かすみ「それで、走り方の話なんですけど」
侑「話題は戻るんだね」 かすみ「あんまり自分では、って感じですか?」
侑「そうだね、だからピンと来てないってところはある」
かすみ「運動会の映像とかって」
侑「小学校の頃のは見たことあるけど、普通に走ってたよ」
かすみ「確かに、クセが出てるのも毎回ってわけじゃありませんからね」
侑「ちなみに頻度はどれくらい?」
かすみ「うーん……5回に1回くらいでしょうか?」
侑「わりと無視できないペースだなあ」 侑「でも、かすみちゃんが引っかかるくらいだと、歩夢が気づいてないのが不思議というか」
かすみ「……」プク
侑「ちっちゃいときから一緒だから、体育とかでも同じ時間が多かったっていう意味でね」ナデナデ
かすみ「まあ、侑先輩もそこが気になるとは思いまして」フンニャリ
侑「うん」
かすみ「事前に歩夢先輩にそれとなーく聞いてみましたっ!」ドドン
侑「下調べがちゃんとしてる。どんな感じで聞いたの?」
かすみ「『侑先輩の走り方のクセは小さい頃からなんですか?』って」
侑「それとなくはなかったね」 侑「それで、歩夢はなんて言ってた?」
かすみ「『気にしてるかもしれないから、あんまり言わないであげて?』って言ってました」
侑「優しいなぁ」
かすみ「かすみんも『確かにそうかも』って思ったんですけど」
かすみ「でも、本人に言わずに違うところでだけ話すのってなんか、イヤだなって」
侑「どっちも優しい言い分だねえ」
かすみ「なので聞いちゃいました」
かすみ「あの……もし、イヤだったらごめんなさい。これ以上は聞きません」ペコッ
侑「特に気にしてないから大丈夫だよ。気になってたなら、聞いてくれて良かった」ニコッ 侑「……そういえば」
かすみ「はい」
侑「小中のとき、運動会の前とか歩夢がすっごいスタートダッシュの練習してたんだけど」
かすみ「侑先輩も一緒にですか?」
侑「うん。自分だけじゃ上手くできるか分からないからって」
かすみ「……」
侑「……いま思えば、それって」
侑「歩夢自身じゃなくて、私のために?」
かすみ「歩夢先輩のことですから、そんな感じはします」 かすみ「もちろん自分の練習って意味もあるんでしょうけど」
かすみ「人前で走る機会がある前に、一時的にでも抑えようとしてたのかもしれないですね」
侑「そっか……」
侑「……」
侑「……なんかね」
かすみ「はい」
侑「数年がかりで難しいパズルを解いたみたいな爽快感があるよ」
侑「これが、せつ菜ちゃんのよく言ってる『伏線回収』ってやつなのかな」
かすみ「めちゃくちゃポジティブですね」 侑「実際、そんなにパズルってやったことはないんだけどね」
侑「テレビのクイズとかおしゃべり中のなぞなぞとか、それくらいで」
かすみ「かすみんもそれくらいですかねぇ」
かすみ「あとはふと思い立って知恵の輪をやってみたりとか」
侑「あるある。おもちゃ屋さんのとこにサンプルがあって」
かすみ「で、ちょっと試そうかなーってやってみたら全然ダメなんですよね」 侑「まれに外せた! ってなっても」
ふたり「戻せない」
侑「あるなぁ」
かすみ「ですねぇ」
かすみ「いや、そうではなくて」
侑「ん?」
かすみ「ん? でもなくてですね」 かすみ「話逸らそうとしてません?」
侑「してないしてない。してない」
侑「してない……よ?」
かすみ「かつてなく侑先輩の言葉が信じられないです」
侑「ねえ、かすみちゃん」
かすみ「なんでしょう」
侑「してないってことを証明するのは難しいんだよ」キョロキョロ
侑「つまりこれは……悪魔の証明ということになるわけで」オドオド
かすみ「目の泳ぎ方でだいたい分かっちゃってるんですけども」
侑「ダメかぁ〜」
かすみ「それすらも自白じゃありません?」 侑「でもこれは……自覚できるまで根気よく付き合っていくしかないかな」
侑「もしまた私がやってたら教えてくれる? 直後なら気付けるかもしれないし」
かすみ「分かりましたっ!」
かすみ「かすみんから聞いておいてなんですけど」
かすみ「特に困っていることがなければ、わざわざ直すことでもないな〜とは思います」
かすみ「ウチって、スポーツ系の学科じゃなければ体育の授業もゆるいですし」 侑「体育祭も出る競技選べるしね」
かすみ「侑先輩は、去年は何に出たんですか?」
侑「私? 確か……玉入れと借り物競争だったかな」
侑「玉を拾って背の高い子に渡せばいいし、借り物は足の速さはあんまり関係ないから」
かすみ「なるほど」
侑「クセとは関係なく、そんなに体力に自信はないからね」 かすみ「……ちなみにあんまり疲れない競技って知ってたりします?」
侑「あれ、もしかして楽しようとしてる?」
かすみ「ぎくっ!」ギクッ!
侑「ここまで見事だともう伝統芸能の域だねえ」
かすみ「いっ、いやぁ、そんなワケないじゃないですかぁ〜!」
かすみ「でもぉ、かすみんはスクールアイドルですから、慣れない競技でケガしちゃったらファンの子たちが心配しちゃうかなぁ〜って」
侑「ふーむ、なるほど。そういうことなら」
侑「障害物競争はどう?」
かすみ「さすがに分かりますけど絶対大変なやつですよね?」 侑「大丈夫だいじょうぶ、安全面は相当気を遣ってるらしいから」
かすみ「そういうことではなく」
侑「でも……あれだよ?」
かすみ「なんですか?」
侑「コースがすごい分、出ると目立つよ」
かすみ「!」
侑「リレーと同じくらい花形競技だし、リレーほど足速くなくても勝てる場合もあるし」
かすみ「……ホントに?」
侑「うん。去年、あり得ない速度でゴールしてた子がいてね」
侑「いま思えばあれ、愛ちゃんだった」
かすみ「知ってましたけど凄すぎますね……」 かすみ「あれ、でも目立つって割りに微妙に記憶から消えてません?」
侑「んー、でも待機席で朦朧としてた状態でも覚えてたってことだから、けっこう印象は強かったんじゃないかな」
かすみ「サラッと事件が起きてるんですけど」
侑「私に水飲ませてくれてた歩夢も、聞いたら思い出すと思うよ」
かすみ「そっちが気になりすぎるんですよね」
かすみ「意識が朦朧としてて、水も自分で飲めないってヤバくないですか?」
侑「玉入れで拾って渡してを繰り返してたら気持ち悪くなっちゃって……」
かすみ「走る要素のある借り物競争ですらなかったんですね……」 侑「だってあんなの事実上スクワットだもん」
かすみ「あー……まあ、言われてみれば、そうとも言えなくもない、かも?」
侑「あのときは危なかったけど、さすがにいまはもうそんなことないと思うよ」
侑「みんなと一緒とまではいかないけど、トレーニングもしてるし」
かすみ「それは本当に良かったです」
かすみ「無茶したらイヤですよ。自分のことをいちばん大事にしなくちゃ、他のことも大事にできないですもん」
侑「うん。そうだね」
侑「心配してくれてありがとう、かすみちゃん」ナデナデ
かすみ「かすみんは真剣に話を……えへへ」フニャ 侑「それにしても」
侑「高校2年生になっても、新しい夢も新しい自分も結構見つかるものなんだね」
侑「転科しかり、走り方のクセしかり」
かすみ「その2つを並べていいんですか? 重さ違いすぎません?」
侑「新発見って意味じゃ同じだから」
かすみ「侑先輩が良いなら良いんですけど……」
ブーッ ブーッ かすみ「あれ、誰かのスマホが鳴ってますね」
侑「私のだ。ごめんねかすみちゃん、確認していい?」
かすみ「かすみんとおしゃべりしてるのに〜……緊急だと困りますからね。どうぞ」
侑「ありがと────えっ!?」
かすみ「ひゃ!? い、いきなり大きな声出さないでくださいよぉっ!」
侑「ごめんごめん、でもすごいんだよ!」
侑「いま近くでY.G.国際のスクールアイドルがゲリラライブやってるんだって!」
侑「みんな素敵だけど、最近あの子が特に気になってるんだ! ラクシャータちゃん!」
かすみ「えっ、そうなんですか?」 侑「こうしちゃいられないよ、見てくるね!!」ピョインッ タタタッ
かすみ「今の! 今のやつ!! クセ!!!」
かすみ「……もういない!!」 かすみ「というか置いてかないでくださいっ! かすみんも見に行きますぅー!」タタタッ!
バタン
タタタタッ……
<ウワッ カスミチャンアシハヤッ‼
<キタエテマスノデ! ホラ イキマスヨ!
<ウ ウン! <アッ アトデスネ
<?
<オトハヤッパリ『ピョイン』デシタ
<ソッカァ~
おわり ※走り方は1話とかアニメ90秒PVで出てた、部室棟で歩夢と一緒にいるときのポテポテ走りです 乙!今回も大変良かった
走り方自分も気になってたわ笑
侑ちゃんと他メンバーとのSSも待ってるぞ 身長、ジャージ、筋力…
>>1には侑ちゃんのちっちゃ可愛いのをよく見てるで賞を進呈 寝相とか炭水化物も同じ人かな?
会話のテンポが良くて好きだ はあぁ…侑ちゃんほんとに可愛い…
侑ちゃん描いてるやつ絶対ロリコンだよぉ…
なんかどんどん幼くなってったし… @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ …
🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ そんな侑ちゃんも可愛いよね 確かに可愛い走り方でしたね!!!!!
会話のテンポが良くて面白かったです!!!!! 侑ちゃんの可愛さに着目したのは慧眼
どんどん幼くなっていくのはたまらんよね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています