千砂都「かのちゃんに抱きつきたい」
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千砂都「かのんちゃーん」
かのん「んー?」
千砂都「……えいっ」モギュ
かのん「わっ」
千砂都「えへへー」
かのん「もー。どうしたの、ちぃちゃん」 千砂都「それはいいけど、無理はしてないよね?」
かのん「もちろん。だからもうちょっとだけ、お願いっ」
千砂都「かのんちゃんのその向上心、とってもまる、だよっ」モギュ
かのん「ちょっと、ちぃちゃんー。練習見てくれるんじゃないのー?」
千砂都「えへへ、つい」
かのん「さっそく始めよっか。どこからやったらいいかな?」
千砂都「じゃあ、最初から通してみよう。いくよー、1、2、3、4……」 おにぎり先生たしゅかりゅ
🌠ノcノノ„>ノᴗ <„b🌠၄(cʸ„> ᴗ <リ၃🌠 かのん「ほ、ほ、ほっ……と」タンタン
千砂都「いいよー!その調子!」
かのん「ここで、踏み変えて……!最後に、ターンっ!」ビシッ
かのん「はっ……はっ……きた、できたっ……!」
かのん「ちぃちゃん、私っ……!」
千砂都「かのんちゃーん!」モギュ
かのん「ひゃっ!」 千砂都「すごいよ、かのんちゃん!完璧に出来てたよー!」モギュー
かのん「私、ちゃんと出来てたっ!?」
千砂都「もちろんっ!最初から最後まで、綺麗だった!」
かのん「そ、そっか。居残り練習した成果、だよね」
かのん「付き合ってくれてありがとう、ちぃちゃんっ」
千砂都「かのんちゃん、本当にお疲れさまっ!」
かのん「……それで、あのー。ちぃちゃん?」
千砂都「なぁに?」 かのん「いつまで抱きついてるのかなー、って」
千砂都「上手にできたかのんちゃんへのご褒美だよー」
かのん「うーん……。まぁ、ちぃちゃんがそう言うならもらっておくんだけど」
かのん「でも私、何度も通しでやってたからすっごい汗かいてるし……」
千砂都「私は全然気にしないよー」
かのん「私が気にするんだって、さすがにちょっと恥ずかしいよ」
千砂都「大丈夫大丈夫。心配しなくてもいつものかのんちゃんのいい匂いだから」
かのん「あはは……」 千砂都「……とはいえ居残り練習だし、これ以上は帰る時間が遅くなっちゃうよね」
かのん「そ、そうだよ。もうすぐ完全下校時間になるし」
千砂都「家族に心配させちゃうのも悪いし、そろそろ帰ろっか」
かのん「う、うん」
千砂都「……っと。その前にかのんちゃん、はいこれ」
かのん「タオル……?」
千砂都「汗かいたままにしておくと風邪ひいちゃうから、着替える前に拭いておいてね」
かのん「ありがとうだけど、せめて抱きつく前に欲しかったかなぁ」
千砂都「さ、あんまり時間ないしぱぱっと支度して帰ろうね」
かのん「もーっ」 千砂都「……それじゃあかのんちゃん、私はここで」
かのん「ちぃちゃん、また明日」
千砂都「それでは最後に……」モギュ
かのん「最後?」
千砂都「今日はこれでかのんちゃんとばいばいだから。最後にかのんちゃんパワーを」
かのん「かのんちゃんパワーって。今日はもう帰って寝るだけでしょ?」
千砂都「いやいや、寝るのにもエネルギーが必要なんだよ、かのんちゃん」
千砂都「そこにかのんちゃんパワーがあればぐっすり熟睡間違いなしだよ」
かのん「そ、そうなんだ」 千砂都「……ふうっ。こんなところかな」
かのん「やっぱりちぃちゃん、私を抱き枕か何かだと思ってないー?」
千砂都「大丈夫だよ、かのんちゃんのことはちゃんとかのんちゃんとして見てるんだから」
かのん「ならいいけど……」
千砂都「じゃあ今度こそ、また明日ねーっ」
かのん「ばいばーい」
かのん「……さて。私も帰ろうっと」 かのん「ふー……」
かのん(今日は……疲れたなぁ。居残りで練習したから……)
かのん(でも、ちぃちゃんが見てくれたおかげで踊れるようになったし、よかったかな)
かのん(……そういえば、今日は何だかちぃちゃんがいつもと違ったような気がする)
かのん(普段よりもくっついてくるというか、抱きついてきたように感じたけど、どうしたんだろう)
かのん(元々そういうことが全然なかったわけではないけど……)
かのん「うーん……」
かのん(……考えてもわからないし、別にイヤなことされてるわけでもないし)
かのん(それにまぁ、ちぃちゃんとだったら……)
かのん(……今はあんまり気にしなくてもいい、かな) ―数日後―
すみれ「千砂都の様子がおかしい?」
かのん「うん。そうなの」
可可「可可の目にはいつも通りの千砂都に見えマスが」
恋「私にも……」
すみれ「というかその当の千砂都はどこ行ったのよ?」
かのん「音楽科の友達に頼まれごとされて、ちょっと遅くなるみたい」 すみれ「それで?千砂都の何がおかしいっていうの?」
かのん「どう言ったらいいのかなぁ。やけにくっついてくるっていうか」
すみれ「ノロケなら聞かないわよ」
かのん「ちーがーうーのー。そういうんじゃなくってぇ……」
かのん「何か、ここ最近ものすごい抱きついてくるようになって……」
可可「やっぱりノロケじゃないデスか」
かのん「そうじゃないんだけどなぁ……」 恋「それよりも、抱きついてくるっていうのは?」
かのん「そのまんまの意味だよ。事あるごとにもぎゅーって」
かのん「今までだって別に抱きついてきたりしないわけじゃないんだけど……」
かのん「ここ何日かはものすごい多いんだよ」
すみれ「そうかしら……?」
かのん「そうなんだって。今日1日だけでも……」 ―朝―
千砂都「かーのーんーちゃんっ」モギュ
かのん「おっと」
千砂都「おはようっ。びっくりした?」
かのん「ちぃちゃん、おはよ。いやぁ、あんまりそうでもないかな」
かのん「こんな朝の登校から抱きついてくるのなんて、ちぃちゃんだけだよ」
千砂都「あはは、それもそっか」 ―授業後―
かのん「うぅん……数字が……英語が……」
千砂都「お疲れさま、かのんちゃん」
かのん「頭が破裂しちゃいそうだよー……」
千砂都「大丈夫大丈夫。そんなに心配しなくたって」モギュ
千砂都「かのんちゃんはやれば出来るんだし、もし忘れちゃっても私が教えてあげるから」
千砂都「私も忘れちゃってたら、そのときはまた2人で一緒にがんばろう?」
かのん「うー……。ありがとう、ちぃちゃん……」
千砂都「ふふふっ」 ―昼休み―
かのん「おっひるー、おっひるー。いっただっきまーす」
千砂都「いただきまーす」
かのん「んぐ……あれ、ちぃちゃん。今日のお弁当、いつもと違う感じしない?」
千砂都「あぁ、これ?うん、今日は全部自分で作ってみたんだー」
かのん「……へっ?ぜ、全部自分で!?」
千砂都「もしよかったら食べてみる?ハンバーグも作ってあるから」
かのん「い、いいの?」
千砂都「もちろんっ。はい、あーん」
かのん「あーんっ」パク
千砂都「どうかな?」 かのん「……美味しい、すっごく美味しいよ!」
千砂都「ほんとっ!?」
かのん「こんな嘘つくわけないでしょ!びっくりするくらい美味しい!」
千砂都「やっ……やったぁー!」モギュ
かのん「ひゃっ」
千砂都「自分ではちゃんと作れたかなとは思ってたけど……」
千砂都「かのんちゃんがそう言ってくれたってことは、本当に上手くできてたみたいでよかったぁ」
かのん「そんな心配しなくても大丈夫なのにー」
千砂都「それはそうなんだけど……」
かのん「ほら、お昼食べちゃおうよ」 千砂都「ごちそうさまっ」
かのん「ごちそうさまー。ねぇ、ちぃちゃん」
千砂都「なぁに?」
かのん「また気が向いたときに作ってきてほしいなー、って」
かのん「だめかな……?」
千砂都「うんっ、いいよ」
かのん「ありがとっ。さて、お昼食べたし午後の授業までゆっくり……」 恋「あ、かのんさん。探しましたよ」
かのん「恋ちゃん?どうしたの、何か用?」
恋「あのですね、書類を……」
かのん「ま、まさかまた書類不備……?」
恋「というより、提出期限の過ぎた書類をかのんさんだけまだ出してないみたいなのですが」
かのん「えっ」
恋「先日書類の不備が続いたと言いましたよね?それがどうしてまたこうなってるんですか」
恋「私もこう何度も何度も言いたくないんです、それなのにかのんさんが……」
かのん「ハイ……ハイ……」 恋「……それでは、本当にお願いいたしますよ」
かのん「タイヘンモウシワケアリマセンデシタ……」
千砂都「かのんちゃん……」
かのん「アハハ……マタオコラレチャッタ……」
かのん「ワタシッテダメダメダネ……」
千砂都「そっ……そんなことないよっ!」モギュ
かのん「チィチャン……」 千砂都「かのんちゃんだって人間だもん。そういう、何かがダメなときだってあるよ」
千砂都「だからそんなに落ち込まないでよ。ねっ?」
千砂都「それに、しょげてるかのんちゃんはかのんちゃんらしくないよっ」
千砂都「かのんちゃんにはやっぱり、素敵な笑顔が似合うんだから」
かのん「……うん。ありがと、ちぃちゃん」
千砂都「えへへっ。それほどでも」
千砂都「さっ。それじゃその未提出の書類、きちんと書いて出しに行こうねー」
かのん「えー!?」
千砂都「そういうのはちゃんと出しておかないとあとでかのんちゃんが困ることになるからね。ほら、行くよー」
かのん「ちょ、ちょっと待ってー!」 かのん「……っていう感じで」
すみれ「何さらっとまた書類不備やらかしてんのよあんたは」
かのん「えへへ」
恋「まぁあのあと未提出の書類はきちんと提出して頂けたのでよかったのですが……」
可可「もしかしてかのんはポンコツというヤツデスか?」
かのん「わ、私の書類の話は今はいいの!それよりちぃちゃんのことだよ!」 すみれ「まぁ確かに、かのんの言う通りだとしたらちょっと多いかしら」
かのん「とりあえずいくつか挙げてみたけど、これ以外にもまだ何回か抱きつかれたからね、今日」
可可「かのんが覚えてるだけで今日何回されマシタ?」
かのん「今日の今現在までで10回……14回かな」
恋「お、思ったより多いですね」
かのん「何なら教室で別れるときも抱きつかれたよ」 すみれ「言ってしまえばただ千砂都がかのんに抱きついてるってだけの話ではあるんだけど」
恋「さすがにちょっと多い気がします……」
可可「何か心当たりはありまセンか?」
かのん「それが私も考えてるんだけど、全然思い当たらないんだよねぇ」
可可「かのんにもわからないのデスか……」
すみれ「そうなるともう誰にもわからないんじゃない?」
恋「そうなりますよね……」
かのん「うぅん……何なんだろう……?」 千砂都「うぃっすー!遅くなっちゃってごめんねー……?」
千砂都「あれ?みんな準備もしないで何してるの?」
かのん「あ、ちぃちゃん。えぇと、そのー……」
すみれ「かのんからちょっと相談を受けてたのよ」
千砂都「かのんちゃん、何か悩み事があるの?」
かのん「悩みって言っちゃうと大げさかもだけど……」
千砂都「もうっ。それなら私に話してくれたらいいのに」モギュ
千砂都「それで、かのんちゃんの悩み事って?」 すみれ「それよ」
千砂都「それ?」
可可「千砂都がそうやってかのんに抱きついてるってやつデス」
千砂都「……えっ?め、迷惑だった?」
かのん「いやぁ、別に迷惑だとかイヤだってわけじゃないんだけど」
かのん「最近、頻度がちょっと、少し……だいぶ多いような気がして」
かのん「どうしてだろうなーってみんなに相談してただけで……」 千砂都「私、そんなに多かった?」
恋「1日に14回はちょっと多いかな、と……」
千砂都「……そんなに?」
すみれ「えぇ……?自分でやって覚えてないの?」
かのん「ちぃちゃん用事があるって教室で別れたときもしてきたじゃん」
千砂都「ぜ、全然記憶にない……」
可可「完全に無意識でやってたってことデショウか」
千砂都「でも、私がかのんちゃんに抱きつくなんて今更のことでしょ?」
千砂都「そんなに不思議がることでもないと思うんだけど」 かのん「いやいや、ちぃちゃんが急に抱きついてくるようになったの、ここ何日かの間だよ?」
千砂都「あれ?」
すみれ「以前はさすがにこんな多くはなかったと思うのだけど」
千砂都「あれれ?」
可可「この様子を見るに、千砂都の方もわかってないって感じみたいデスね」
千砂都「う、うん。私としてはいつもと同じような感じでかのんちゃんにくっついてるつもりだったんだけど」
千砂都「自分でもまさかそんなにやってたとは気が付かなかったなぁ」
可可「自分の意識していないところで気が付いたらやっていたと聞くと、アブないお薬みたいデス」
すみれ「思った以上にシャレになってない感じがするわよそれ……」 かのん「さっきも言ったけど、私としては別に迷惑とかイヤってわけでは全くないんだけど」
かのん「ここ最近急にいっぱい抱きついてくるのは何なんだろうなーって思ってさ」
千砂都「私自身としてもその理由はよくわからないなぁ……」
恋「そもそも、無意識で何もわからなくなる直前までは何を思って抱きつきに行ってるんですか?」
千砂都「うーん……。それはその場のシチュエーション次第ではある、かな」
千砂都「かのんちゃんが私に気付いてなければおどかしちゃえ、とか」
千砂都「恋ちゃんに怒られて落ち込んでるなら励ましてあげよう、とか」
千砂都「でも、1番大きいのは私がかのんちゃんに抱きついたいと思ってるからかなぁ……?」 すみれ「……それが答えなんじゃないの?」
千砂都「え?」
すみれ「だから、千砂都がそう思ってるからふらふらと抱きつきに行ってるんじゃないかって話よ」
千砂都「だとしたら、私はどうしてかのんちゃんに抱きつきたいって思ってるのかな」
すみれ「それは私たちに聞かれてもわからないわよ」
千砂都「だよねぇ」
可可「……あっ。可可、ひらめきマシた」
恋「可可さん?」 可可「いつもなら千砂都からみたいデスが、かのんの方から抱きついてあげたら何かわかるかもしれまセン」
かのん「あー。そう言われると私の方からって最近ないね」
千砂都「かのんちゃん、お願いできる?」
かのん「わ、わかった……」
千砂都「……」
かのん「……な、何か改まってちいちゃんに抱きつくって思うと、ちょっと恥ずかしいね」
千砂都「だ、だね」 かのん「じゃあ……いくよ、ちぃちゃん」
千砂都「う、うん」
かのん「……ん」モギュ
千砂都「あっ……」
千砂都(なん、だろう、この感覚……。今までと全然違う……)
千砂都(あったかくて、ふわふわして、柔らかくて、かのんちゃんの匂いがして……)
千砂都(かのんちゃんに包まれてるみたいで、すごいドキドキする……)
千砂都(私……私がかのんちゃんに抱きついてたのって、もしかして……) かのん「……こんなところ、かな」パッ
千砂都「え……」
かのん「ちぃちゃん?」
千砂都「あ……ううん、いいの」
すみれ「……私たちは一体何を見せられているんでしょうね」
可可「可可もまさかここまでいかがわしい感じになるとは想定していませんデシタ」
かのん「いかがわしいって……」
恋「それで、何かわかりましたか?」 千砂都「うん……。私が、かのんちゃんに抱きついたりしてたのは……」
千砂都「かのんちゃんがかのんちゃんだから、なのかなって……」
かのん「うん?」
すみれ「どういうこと……?」
千砂都「さっきも言ったけど、私……かのんちゃんに抱きついたいって思ってたから抱きつきに行ってたの」
千砂都「ほとんど無意識だったからはっきりとはわからなかったんだけど……」
千砂都「今、かのんちゃんの方から抱きついてもらって、思ったの。すごく、すごーく嬉しくて、幸せだなって」
可可「幸せ……デスか?」 千砂都「うん。そこでようやく、抱きつきに行ってた理由がわかったんだ」
千砂都「私ね……きっと、かのんちゃんに触れたり、くっついたり……そういうことがしたくて、抱きついてたんだと思う」
すみれ「……ねぇ、千砂都。それって、もしかして」
かのん「え?え?」
千砂都「……かのんちゃん。私が、かのんちゃんに抱きついてたのはね」
千砂都「かのんちゃんのことが……好き、だからなんだ」 かのん「……ちぃちゃんが、私のことを?」
千砂都「もちろん、友達とか幼馴染としてじゃなくて……世界で1人だけの、特別な人として」
千砂都「今はかのんちゃんが好きだってわかったけど、以前はまさかそうだとは全然思ってなくて……」
千砂都「だけど、心のどこかで思ってたからこそ、無意識でくっつきに行ってたのかもって……そう思うんだ」
千砂都「……かのんちゃん。私は、かのんちゃんのことが好き」
千砂都「かのんちゃんは私のこと……どう、思ってる……?」
かのん「私は……」 かのん(私……私は、ちぃちゃんのことをどう思ってるんだろう……)
かのん(ちぃちゃんのことは、親友として……幼馴染として好き。それは間違いない)
かのん(だけど……まだ理由がわからなかった頃、ちぃちゃんがやたらくっついてきたり抱きついてきたりしたとき……)
かのん(それをくっついてきてくれた、抱きついてきてくれた、って思ったりして……)
かのん(何より、ちぃちゃんに好きって言われて……好きだから抱きついてきてくれてたってことが、すごく嬉しくて……)
かのん(……あぁ、そっか。私も、ちぃちゃんと同じように無意識で、気が付かなかっただけで)
かのん(ちぃちゃんのことが……好き、だったんだ……)
かのん(そっか……。私も、そうだったんだ……) 千砂都「かのん、ちゃん。そろそろ……答え、聞かせてくれないかな」
かのん「……ねぇ、ちぃちゃん。ちぃちゃんは私のことが好きだったから、無意識でくっついてきてたんだよね」
千砂都「たぶん、だけど。でも、それがどうかしたの……?」
かのん「……いくら大切な幼馴染のちぃちゃんでも、そんな四六時中いっぱいくっつかれてたらさ」
かのん「さすがの私でも、ちょっと離してほしいな、とか言うこともあったりするものでしょ?」
かのん「でも、私はそれをしなかった。そんな選択肢、最初から存在しなかった」
かのん「だって、ちぃちゃんが抱きついてきてくれたのは……迷惑でもイヤでも全然なくて、嬉しかったから」
千砂都「……もしかして、それって」 かのん「これが……私の答え、だよっ」モギュー
千砂都「わっ……か、かのんちゃんっ、じゃあっ……!」
かのん「ごめんね、ちぃちゃん。ちぃちゃんは私のこと、好きだから抱きついてきてくれていたのに」
かのん「私、ちぃちゃんの気持ちに全然気が付かなかった……」
千砂都「ううん、いいの。私だって、自分がかのんちゃんのことが好きだったのに」
千砂都「その気持ちがわからないまま、無意識で抱きついてただけだったんだから……」
かのん「でも、今思えばちぃちゃんの気持ちに気付けるところはあったんだよ」
千砂都「そ、そうなの?」 かのん「うん。だって、ちぃちゃんは私の気を惹こうと、私に好きになってもらえるように抱きついてきてたから」
かのん「かわいい練習着にしたときだったり、練習が上手くいったときだったり、恋ちゃんに叱られて落ち込んでるときだったり……」
かのん「そりゃあたまにはちぃちゃんが気付いていなかった自分の気持ちのままに抱きついてきてたっぽいこともあったけど」
かのん「基本的には、私に好きになってもらいたいなって気持ちで抱きついてきてたんだよ」
千砂都「私……無意識でもかのんちゃんに振り向いてもらおうとしてたんだね……」
千砂都「無意識でもちゃんと、かのんちゃんのこと……好きだって、理解してたんだ……」
千砂都「……よかった。私の気持ちが、無意識の気のせいってことじゃなくて」
かのん「ねぇ、ちぃちゃん」
千砂都「なぁに?」
かのん「私……ちぃちゃんのことが、好き。大好き、だよっ」モギュー
千砂都「……うんっ!私も、かのんちゃんのこと……大好きっ!」モギュー すみれ「……本当に何を見せられているんでしょうね。私たちは」
可可「可可もまさか告白までいくとは想定していませんデシタ」
恋「でも、よかったのではないですか?おふたりが自分の気持ちに気付いて」
すみれ「そう……なのかしら」
恋「このまま無意識に千砂都さんが抱きつき続けるよりは、ずっとよかったのではないかな、と」
すみれ「そりゃそうかもしれないけどさすがにこうなるとは思ってないったら思ってないわよ」 恋「ですが、見てください。おふたりの顔」
恋「……ふふっ。とっても幸せそうで、羨ましいです」
かのん「ちぃちゃん、ぎゅー」モギュー
千砂都「私も、ぎゅーっ」モギュー
おわり ၄(cʸ„> ᴗ <リ၃乙です
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