かのん「ちぃちゃんを抱きたい」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
かのん「……」パタパタ
かのん「……」ゴシゴシ
かのん「……」ガーガー
かのん「……」ゴソゴソ
かのん「……よし。掃除完了っ!」 かのん(今日は久しぶりにちぃちゃんが遊びに来る……)
かのん(昔は放課後とか休みの日となればいつもちぃちゃんと一緒だったけど)
かのん(最近はみんなといることが多くなっちゃったな)
かのん(もちろんそれがイヤなわけじゃない。活動は楽しいし)
かのん(だからこそ、たまにはちぃちゃんとだけの時間があるのは当然だよね!)
かのん「時間は……」チラ
かのん(もうすぐ約束の時間。そろそろ来る頃かな……)
かのん「……」ソワソワ
かのん(……あーもう、落ち着かない!) かのん(ま、まぁ確かにちぃちゃんと2人なのは久しぶりだし)
かのん(それに、今日はいつもみたいな感じ以外にも目的があるし……)
かのん(みんなといるようになってから、恥ずかしいからなのかスキンシップが減っちゃったんだよね)
かのん(わからないでもないんだけど、寂しいなぁ。だって、私たちは……)
かのん(……なので、今日は思いっきりちぃちゃんを抱こうと思います!)
かのん「……い、いやいやいや!言い方!言い方おかしいでしょ今の!」
かのん「抱きしめたいとか抱きつきたいでしょ!抱きたいって、それじゃまるで私が……!」
千砂都「かーのんちゃん!うぃっすー!」
かのん「ウェイッ!?」ビクッ 千砂都「……どうしたの?かのんちゃん。部屋の真ん中で不思議な踊りなんか踊って」
かのん「ななな、何でもないよなんでも!うぃっすー!」
千砂都「そう?」
かのん「そうそう、そうだって!ほ、ほら、こっち来て座って」
千砂都「うーん……?まぁ、そう言うなら」
かのん(ふー……。危ない危ない、何とか誤魔化せた……)
千砂都「あ、かのんちゃん。誘ってくれて悪いんだけど、先に練習ノート、まとめさせてもらってもいい?」
かのん「う、うん!どうぞどうぞ!」
千砂都「やっぱり何だか変だけど……じゃあ、ちょっとごめんね」 かのん(……よ、よし。ここまでは想定通り。問題はここから)
かのん(ここからどうやってちぃちゃんを抱くか……)
かのん(いやだから違うんだって!抱くじゃないんだって!)ブンブン
千砂都「うーん……」カリカリ
かのん(だけど、どうしよう。ちぃちゃん、机に向かっちゃったし)
かのん(抱きしめるには1度手を止めてこっち向いてもらわないとだけど……) 千砂都「こう、かなぁ……?」カリカリ
かのん(……ちぃちゃんの後ろ姿ってあんまりまじまじと見たことなかったな。いつも隣にいるから)
かのん(私よりもちっちゃいこの体で、私よりもすごいダンスをして)
かのん(だから華奢なように見えて思った以上にしっかりしてるんだよね、ちぃちゃんって)
かのん(……って、それはひとまず置いといて、今はどうやって抱きしめるか考えなきゃ)
かのん(とりあえずまとめが終わるまで待つでしょ?それから……)
かのん(それから……)
かのん(……ど、どうしよう、思いつかない!) かのん(まとめ終わるのを待ったとして、それからどうするの!?)
かのん(ド直球で言う!?無理無理恥ずかしい!)
かのん(それとも変化球!?おまとめお疲れさまーって!?)
かのん(不自然すぎる!もっと自然なのはないの私!?)
千砂都「最後にまるを描いてー」カリカリ
かのん(マズい、もう時間がない!えっと、えぇーっと……)
かのん(……ええい、もう勢いで行っちゃえ!) 千砂都「これでおわりっと。お待たせ、かの……」
かのん「ち、ちぃちゃん!」モギュ
千砂都「わっ!」
かのん「……へ、へへー」
千砂都「かのんちゃん……?どうしたの、急に後ろから抱きついてきて」
かのん「ど、どうしたんだろうねー」
千砂都「えぇ……?」
かのん「え、えへ、えへへ……」 千砂都「もー。えへえへしてちゃわかんないよ」
かのん「だ、だよねー」
千砂都「……ま、かのんちゃんがしたいのなら別にいいんだけどね」
かのん「いいんだ……」
千砂都「そりゃあね。私とかのんちゃんはお付き合いしてるんだから」
千砂都「これが他の誰かなら、ていって振り払ったりすることもあるかもだけど」
千砂都「かのんちゃんだったら、そんなことしないよ」
かのん「ち、ちぃちゃぁん……」 千砂都「それで、今日はどうしたの?いきなり抱きついて」
かのん「あ、あれ?さっきは別にいいって」
千砂都「別にいいとは言ったけど、気にならないわけじゃないよ?」
かのん「うぐ」
千砂都「ほら、話してみてよ。かのんちゃん」
かのん「……あ、あのね。最近、活動とか色々やるようになったじゃん?」
かのん「そのせいもあってちぃちゃんと2人だけ、っていうのがめっきり少なくなっちゃって……」
千砂都「あ……」
かのん「もちろん活動は楽しいし、充実してるから、そのせいって言うのも違うとは思うんだけど」 千砂都「ご、ごめんね、かのんちゃん。私もかのんちゃんといられないなーとは思ってたんだけど」
かのん「あと……このごろは外であんまりベタベタしてくれなくて、ちょっと寂しかった」
千砂都「それについてもごめん……。他のみんなの目もあるし、活動中も恋人ってわけにもいかなくて」
かのん「私だってわかってはいるつもりだけど……やっぱり寂しくて」
かのん「それで、ちぃちゃんだけを誘って、ちぃちゃんのことを抱こうと思って」
千砂都「……うん?」
かのん「……だから違うって言ってんでしょーが私ィ!」モギュ
千砂都「う゛」
かのん「抱くって何なの抱くって!?抱きしめるとか抱きつくだって言ってんでしょーが私ィ!」モギュー
千砂都「か、かのんぢゃ、ぐるしい……」
かのん「……はっ」 千砂都「抱きつかれてたかと思ったらいきなり絞められてびっくりした……」
かのん「ごめんね、ちぃちゃん……。大丈夫……?」
千砂都「大丈夫大丈夫。かのんちゃんくらいの力なら全然平気」
かのん「別に私が特別非力ってわけじゃないはずなんだけど」
千砂都「私がかのんちゃんの力に慣れてるからかな?」
かのん「その言い方だと私が最低な暴力女みたいになっちゃう!」
千砂都「安心して。私だけはかのんちゃんの本当の優しさを知ってるから」
かのん「そういう感じ出さないで!」 千砂都「暴力女はともかく、抱きついてきたのはそういう理由だったんだね」
かのん「……うん。2人で会う時間も、外でベタベタすることも減っちゃったから」
かのん「だから今日、久しぶりにちぃちゃんを抱きしめられて嬉しいんだ」
千砂都「かのんちゃんは私に抱きつくのが好きだねぇ」
かのん「だって……友達のじゃれ合いでも抱きついたりするとは思うけどさ」
かのん「ちぃちゃんをこんなふうに抱きしめられるのは、私だけだもん」
千砂都「かのんちゃん……」
かのん「それと、ちぃちゃんの体が好きっていうのもあるかな」 千砂都「……そっかぁー。かのんちゃんは私の体がねぇー」
かのん「待って違うの、そういう意味じゃないの」
千砂都「じゃあ、どういう意味?」
かのん「なんて言うんだろ、触り心地がいいっていうか」
かのん「私よりもちっちゃい体に、女の子の柔らかさの中に鍛えた芯みたいなのがあって」
かのん「例えるなら高反発と低反発のいいとこ取りで、いつまでも抱きついていたいって感じかな」
千砂都「……かのんちゃんは仕方ないなぁ」
かのん「へへ、それほどでもないよ」
千砂都「褒めてはないんだけども」 千砂都「それよりも、私がちっちゃいっていうのはねぇ」
かのん「ダメだった?」
千砂都「ううん、別にダメじゃないよ。本当のことだし、かのんちゃんが気に入ってるみたいだし」
千砂都「ただ、もうちょっと大きければ私が後ろから抱きしめてあげられたのに」
かのん「今のままでもしてくれていいんだよ?」
千砂都「それだとほら、小さい子がしがみつくみたいなことにならない?」
千砂都「……さすがにそこまで私とかのんちゃんの大きさに差があるわけじゃないけどさ」
かのん「私はそれでも嬉しいけどなぁ」 千砂都「それにね、私はどっちかと言うとかのんちゃんに抱きしめてもらう方が好きなんだ」
かのん「そうなの?」
千砂都「うん。なんか、かのんちゃんは私のもので、私はかのちゃんのもの、って感じがして」
かのん「えー、何それ?初めて聞いた」
千砂都「初めて言ったからねー。わざわざ言うのも恥ずかしいもん」
かのん「……まぁ確かに、私はこうする方が好き、かな」
かのん「いやもちろんどちらかと聞かれたらの話で、ちぃちゃんからもしてほしいなとは思ってるよ?」 千砂都「私だってかのんちゃんのことを抱きしめたくないわけじゃないんだけど」
千砂都「でもやっぱり、かのんちゃんにしてもらう安心感には敵わないなぁ」
かのん「安心感って?」
千砂都「かのんちゃんは私よりおっきいからさ、抱きしめられるとすごいんだよ」
千砂都「特にこうして後ろから抱きしめられると全方位かのんちゃんになるんだ」
かのん「全方位が私」
千砂都「そう。前も後ろも右も左も、上も下も全部かのんちゃん」
かのん「そう聞かされると私もしてもらいたくなるなぁ……」
千砂都「やるには私がおっきくなるか、かのんちゃんにちっちゃくなってもらわないと」
かのん「……仕方ない。私は私で抱きしめる側に新境地を見つけることにしよう」 千砂都「そういえば、今日は元々何をするつもりで誘ってくれたの?」
かのん「……最初からこうするつもりだった、かな」
かのん「特別何かをするわけでもなく、ただちぃちゃんをぎゅっとして、お喋りして」
千砂都「そっか」
かのん「イヤだった?」
千砂都「まさか。かのんちゃんと一緒なのに、そんなことあるわけないじゃん」
千砂都「ただ、いつもは練習して、曲や衣装作って、振り付け考えてとやることがいっぱいあるから」
千砂都「こういう時間の使い方はすごく贅沢だなって」 かのん「……うん。そう、かもしれないね」
千砂都「かのんちゃんもさっき言ってたけど、みんなとの活動が楽しいっていうのは私も同じ」
千砂都「でも、かのんちゃんと……好きな人と一緒に過ごす時間は、同じくらい楽しくて、嬉しくて」
千砂都「……幸せだなぁ、って。そう思うんだ」
かのん「……」
千砂都「……か、かのんちゃん?」
かのん「うぅん、何でも。私だけじゃなくて、ちぃちゃんもそう思ってくれてるのが嬉しいな」
かのん「私も、ちぃちゃんと過ごせるこの時間が大好きで、幸せだよ」 かのん「だから、なのかな。たまーに、ちょっとだけ不安になっちゃうこともあるんだ」
千砂都「不安?」
かのん「うん。その、何というか」
かのん「今が幸せすぎて、私1人の心と脳みそじゃ全部受け止めきれなくて……」
かのん「そうやってちぃちゃんとの新しい幸せを、ぽろぽろ溢しちゃいそうで……」
千砂都「……ふふっ。そういうところ、ほんとかのんちゃんらしいね」
かのん「私らしいって……」 千砂都「心配しなくても大丈夫だよ」
千砂都「かのんちゃんは、私からの幸せをいっぱい、いーっぱい、受け止めてくれてるから」
千砂都「それにもし溢しちゃったとしても、受け取ってくれるまで何度だって投げてあげるよ」
かのん「ちぃちゃん……」
千砂都「……なんて、ちょっと恥ずかしいこと言っちゃったかな」
かのん「ううん。すっごく嬉しかった。不安な気持ちがどっか飛んでっちゃうくらいに」
千砂都「よかった。私といるときのかのんちゃんに、不安な気持ちなんて似合わないからね」 かのん「私も、ちぃちゃんに幸せをあげられてるかな」
千砂都「もちろん。言葉じゃ言い表せないくらい、たくさんの幸せをもらってるよ」
かのん「そっか……。えへ、よかった」
かのん「……ねぇ、ちぃちゃん」
千砂都「なぁに?」
かのん「……大好き、だよ」
千砂都「私も……大好きだよ、かのんちゃん」
おわり 素晴らしいかのちぃのおかげで寿命が伸びた気がする
ありがとう 抱かんのかーい!
けどこういうかのちぃ最近見てないからすごくよかった
おつです ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています