かのん「幸せになるために」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
かのん「はいっ。ちぃちゃん、あーん♡」
千砂都「あーん♡」
かのん「どうかな、今日のお弁当の出来は」
千砂都「もちろんまんまるの満点だよ!今日もすっごい美味しいもん!」
かのん「うぇへへ。よかったぁ」 千砂都「これならいつお嫁に行っても大丈夫だね」
かのん「もう、ちぃちゃんってば。お嫁だなんてまだ早いよぉ♡」
千砂都「そんなことないよ。私たちだってあともう少しで結婚できるんだから」
かのん「それはまぁそうなんだけど」
千砂都「ほら、今度は私から。あーんっ♡」
かのん「あーん♡」
かのん「……うんっ。ちぃちゃんのお弁当は今日も完璧だねっ!」 千砂都「当然だよ。ちぃちゃん特製、かのんちゃん専用お弁当だからね」
かのん「ちぃちゃん……」
かのちぃ「うぃ〜っす♡」ユビキス
すみれ「……ああもうっ!」バンッ
かのん「わっ」
すみれ「いい加減にしなさいったらしなさいよ、あんたたちっ!」
千砂都「ど、どうしたの、すみれちゃん」
すみれ「どうしたもこうしたもないわよ!」 かのん「……私たち、何かしちゃったかな?」
千砂都「うぅん……何だろう?」
すみれ「さてはわざとやってんじゃないでしょうね!?」
かのん「とにかく1回落ち着こうよ、すみれちゃん」
すみれ「落ち着けるわけないでしょおおぉぉっ!」
千砂都「ねぇ、可可ちゃん。すみれちゃん、何であんなに興奮してるのかな」
可可「可可が思うに、かのんと千砂都の関係に嫉妬してるんデスよ、すみれは」
すみれ「違うわ!ていうかあんたは何そんな落ち着いて見てられんのよ!?」 可可「そう言われても、可可はかのんと千砂都の関係はとても素敵だと思っているので」
可可「すみれはそうじゃないのデスか?」
すみれ「……私だって2人が……その、付き合ってること自体は否定するつもりもないし、祝福はするけど」
すみれ「だからと言って、私たちの前でイチャイチャイチャイチャされたらこうも言いたくなるわよ!」
かのん「あははっ。いくら付き合ってるからってそんなにイチャついてないよ」
すみれ「無自覚!?無自覚なのこのばかのんはっ!?」
千砂都「でも、そう言われても私たちは恋人だから」
千砂都「どうしても恋人同士のコミュニケーションになっちゃうと思うんだけど」 すみれ「……それもわからないでもないけど、せめて人前では過度なスキンシップみたいなのは控えたら?」
かのん「すみれちゃん……」
千砂都「それは、さすがに……」
可可「これだからグソクムシは……」
すみれ「こいつら……!」
可可「2人とも、安心するデス。このグソクムシが何を思ってたとしても、可可は2人の味方になりマスから」
かのん「ありがとう、可可ちゃん」
千砂都「そう思ってもらえるのは嬉しいね」 すみれ「はぁ……。仲がよろしいことで」
かのん「当たり前だよ。ちぃちゃんとは幼馴染で、恋人なんだから」
すみれ「……あんたたちがケンカとか、仲違いするなんてことは絶対に無いんでしょうね」
千砂都「天地がひっくり返ったとしても、ありえないよ。ねっ、かのんちゃん」
かのん「うんっ、ちぃちゃん」
かのちぃ「うぃ〜っす♡」ユビキス ―放課後―
すみれ「はぁ……」
可可「どうしたんデス、すみれ。ため息なんかついて」
すみれ「いや、何でもな……くはないわね。あの2人のことなんだけど……」
可可「あぁ、お昼に騒いでたやつデスか」
すみれ「そうよ……。ったく、限度とか節度ってものを知らないのかしら、あいつらは」
可可「そうは言ってマスが、ただ2人が羨ましいだけなのでは?」
すみれ「……まぁ、あれだけ心を許せるパートナーがいるというのは、いいなと思わないでもないけど」
可可「だったら可可たちにできるのは2人を温かく見守ることだけデス」
すみれ「あぁもう……憂鬱だわ……」
可可「ほら、部室デス。今日は曲と衣装の話し合いだけとはいえ切り替えて……アリェ?」 恋「……」ジーッ
可可「レンレン?」
恋「あっ。可可さん、すみれさん」
すみれ「部室前で何やってるのよ?」
恋「何と言われると……えぇと、どう言えばいいものやら……」
可可「かのんと千砂都はまだ来てないのデスか?」
恋「いえ、部室にいることはいるんですけど……」
すみれ「……?いるんならさっさと入ればいいじゃない。行くわよ」
恋「あ、ま、待ってくださっ……」 すみれ「かのん、千砂都。来たわ……」ガチャ
すみれ「……よ?」
かのん「……」プイッ
千砂都「……」ツーン
すみれ「なにこれ……」
可可「れ、レンレン?どうして2人はそっぽ向いてるんデス?」
恋「それがよくわからなくて……。私が来たときにはもう既に……」 すみれ「ちょっと、あんたたち何があったのよ」
千砂都「……別に何も。ただ」
可可「ただ?」
かのん「……ちぃちゃんがあんなこと言うだなんて、思いもしなかっただけ」
千砂都「かのんちゃん!」
可可「お、落ち着くデス、千砂都」
すみれ「いやほんと、どうしたってのよ。お昼のときはあんなにイチャついてたじゃない」 かのん「……これ」スッ
すみれ「何……?雑誌?」
恋「ことりクラブ、ですか。これはどういう雑誌で?」
すみれ「いや、知らないわね。可可、知ってる?」
可可「知ってることは知ってマスが……」
すみれ「知ってるんならさっさと教えなさいよ」
可可「……可可の記憶が確かなら、ことりクラブは」
可可「スクールアイドルのための結婚準備情報雑誌、デス」
すみれ「……へっ?」 可可「だから、スクールアイドルのための……」
すみれ「聞こえなかったわけじゃないわよ。ちょっといろいろ意味がわからなくて」
すみれ「まず何でそんな雑誌が刊行されてるのかが全くわからないんだけど」
可可「何故も何も、今やスクールアイドル同士の結婚は珍しいものじゃなくなってきているので」
可可「かつてスクールアイドルをしていた人が、グループメンバーと結婚したのを機に刊行したと聞いてマス」
恋「しかし、そのスクールアイドルの結婚雑誌がここにある、ということは」
可可「2人は結婚を考えている……ってことデスか!?」
かのん「……まだ年齢が足りてないけどそのつもりではある、かな」
可可「それは素敵デス!かのん、千砂都、おめでとうございマス!」 恋「……あれ?でもちょっと待ってください」
恋「さっきすみれさんがこうなった理由を聞いて、この雑誌を出してきたんですよ?」
恋「そうなると、この雑誌が衝突の原因になってるんじゃないですか?」
千砂都「それは……うん、そうだね……」
かのん「その雑誌を読んでて、ちょっと……ね」
すみれ「何を読んだのかは知らないけど、さっさと仲直りしなさい。こっちまで調子狂っちゃうわ」
千砂都「私たちもそうしたいとは思ってるよ。でも、こればっかりはどうしても譲れない」 かのん「譲れないって……どういうこと!?ちぃちゃん!」
千砂都「言葉通りだよ!相手がかのんちゃんでも……かのんちゃんだからこそ、絶対に譲れないから!」
かのん「私じゃダメだってことなの!?」
千砂都「ダメじゃない!けど……私は、私の希望があるのっ!」
可可「あわわ……かのん、落ち着いてクダサイ」
恋「千砂都さんも、どうか冷静に……」
すみれ「あぁもう、いい加減にっ……」 かのん「私はっ……!『嵐かのん』がいいのっ!!」
可可「……へっ?」
千砂都「それよりも『澁谷千砂都』の方だよっ!!」
恋「……はい?」
かのん「何さ、さっきは私にいいお嫁さんになるよー、とか言ってたじゃん!」
千砂都「それとこれは話が別!」 かのちぃ「〜〜!〜〜!」ギャーギャー
可可「これは……」
恋「どう言えばいいんでしょう……」
すみれ「ははぁ。なるほど、そういうことね」
すみれ「可可、恋。帰るわよ」
恋「えっ、このまま置いていくんですか?」
すみれ「大丈夫よ、これはケンカはケンカでもただの痴話ゲンカ……」
可可「かのん、千砂都。そんなに自分の言いたいことだけ捲し立ててもダメデス!」
可可「可可たちも話を聞きマス。だから、ちゃんとお話しましょう?」
すみれ(しまった、逃げられなかった) かのん「あはは……。どうもお騒がせしました……」
千砂都「しました……」
可可「落ち着いてもらえたようで、よかったデス」
すみれ「……で、何をそんなに言い争ってたのよ?」
すみれ「まぁ、さっきの言い分を聞く限り何となく想像はつくんだけど」
かのん「うん……。たぶん、すみれちゃんが想像してることで間違いはないかな……」
恋「そもそもですが、どうして言い争いになってしまったんですか?」 かのん「んと、最初はちぃちゃんと一緒にその雑誌を読んでたんだけど」
千砂都「書いてあったことを話し合ってたら、いつの間にかね……」
すみれ「えぇ……?結婚情報誌って普通これから幸せになる人が読むものでしょ?」
すみれ「それが何でケンカの理由になるのよ?」
かのん「ケンカじゃないよ。お昼のときもケンカや仲違いなんてないって言ったじゃない」
千砂都「ただちょっと意見の相違があっただけだよ」
すみれ「それをケンカと……いや、いいわ。で、結局何を読んだのよ、あんたたちは」 かのん「えぇと……あ、これこれ」パラパラ
可可「なになに……?『結婚をする前に』……?」
恋「こ、こういうのを見ると本当に結婚するんだってドキドキしますね」
千砂都「できる年齢になったら、だけどね」
可可「あれだけ激しく言い争ってたのにデス?」
かのん「私たちは別に嫌いになっちゃったわけじゃないんだよ」
可可「そうなのデスか?」
千砂都「うん。ただ、お互いのことを愛してるからこそ、ぶつかっちゃうんだ」
可可「ケンカするほど仲がいいともいいマスね」
かのん「まぁ私たちはケンカじゃないけど」
すみれ「要は結婚前のことをあれこれ話し合ってたらあそこで意見が割れた、ってこと?」 千砂都「そういうことになる、かな。結婚したあとに意見や価値観が違うと大変だから、する前に話し合おうって書いてあって」
千砂都「じゃあ私たちも、ってみんなが来るまでいろいろ話し合ってみることにしたんだ」
かのん「最初のうちは冗談も言い合いながらお昼のお弁当とかどうしよっか?って話してたんだけど……」
かのん「つい、じゃあ苗字はどうする?みたいなことを言っちゃって、そこから……」
恋「そういうことだったのですね……」
可可「ようやく話が理解できマシタ」
すみれ「くっだらな……」 可可「何を言いやがるデスかグソクムシ。これはヒジョーに大事な話デス」
可可「例えば友達である可可とレンレンがどっちの苗字がいいかと言い合ってたらおバカ扱いされても仕方ありまセン」
可可「しかし、この2人は将来を約束しているわけデス。どちらの苗字になるかというのは可可たちが考えるよりもずっと大事なハズ」
可可「それをこともあろうかくだらないとは、本当にこのグソクムシは……」
すみれ「わ、悪かったわよ……」
恋「でも、それこそ今話し合ったおかげでよかったんじゃないでしょうか」
かのん「えっ?」
恋「先ほど千砂都さんが言っていた、結婚したあとに意見や価値観が違うと大変、ってやつです」
恋「こうして言い合ったからこそ、先にその問題が発覚したわけですし」
かのん「それは……そうかもしれないけど……」 可可「しかし、かのんも千砂都も珍しいデスね。こういうときは大抵自分の苗字になってくれ、と言うものでは?」
すみれ「そう言われるとそうね。でも、この2人は揃って相手の苗字に入れてくれって」
かのん「最初はそれでもいいとは思ったんだ。でも、私としてはちぃちゃんの……『嵐』の苗字にしてほしいな、って……」
可可「千砂都も同じなのデスか?」
千砂都「うん……。かのんちゃんが私の苗字になりたいように……私は、かのんちゃんに『澁谷』にしてもらいたい」
すみれ「2人がそう思ってるのはわかったけど、現実的に希望が通るのは1人だけ、なのよね」
恋「差し支えなければ、どうしてお相手の姓になりたいのか教えてもらえませんか?」 かのん「私……ずっと、ちぃちゃんに支えてもらってた。音楽科がダメだったあと、腐ってた間も……」
かのん「だから私、決めたんだ。今度は私が、ちぃちゃんのことを支えようって」
かのん「自分で自分を諦めてたこんな私を、信じ続けてくれていたちぃちゃんのことを……」
千砂都「私だって……!あの日、私を助けてくれたときからかのんちゃんは、私のヒーローで……」
千砂都「私1人じゃ絶対に見られないような景色を、何度も見せてくれたかのんちゃんについていきたい……」
千砂都「それが、私の……『嵐千砂都』の望んだ幸せだから」
すみれ「お、思ったよりもしっかりと考えてるのね、2人とも」
かのん「それは……当然だよ。1人の人間として、女の子として、世界で1番好きな人と一緒になるんだから」
かのん「中途半端な気持ちで結婚なんて、できないよ」
すみれ「……そうね。ごめんなさい」 恋「でも、かのんさんも千砂都さんも、本当にお互いのことを想い合っているのですね……」
恋「私にはまだそういう方はいないので、何だか羨ましいです」
千砂都「あはは……。まぁ、そのおかげで今こうして意見がぶつかってはいるんだけど」
恋「それはお互いがお互いのことを愛しているから、ではないですか?」
かのん「まぁ……それは、ね」
千砂都「……な、何だかちょっと恥ずかしいね。こうして友達に根掘り葉掘り聞かれるのって」
すみれ「そこは幸せの代価ってことで、諦めなさいな」 可可「可可からひとつだけ、いいデスか?」
かのん「可可ちゃん?」
可可「2人の話はしっかり聞かせてもらいまシタ。お互いを愛し合っていることが、可可にもわかるくらいに」
可可「その上で、こういう結婚なんかの知識は漫画や小説から得た可可の意見として聞いてクダサイ」
千砂都「う、うん」
可可「……話を聞いて思ったのデスが、かのんも千砂都も、相手の幸せが第一になってるような気がしまシタ」
可可「自分のことよりも、相手が幸せになる、相手を幸せにさせることを願っている感じで」
すみれ「それが何か問題なの?」 可可「問題かと言われると必ずしもそうではありまセン。愛する人を幸せにしたいと思うのは当然の気持ちなので」
可可「ただ、それと同時に自分が幸せになろうという気持ちも同じくらいに大切なことだと可可は思いマス」
可可「相手を幸せにしたい、自分が幸せになりたい。どちらかが第一というワケではなく、どちらも第一」
可可「ですから2人には、もっと自分の幸せのことも相手に伝えてもらいたい」
可可「……と、いうのが他の人や創作から学んだ可可の意見デス」
恋「確かに……可可さんの言っていることも一理ありますね」
すみれ「さっきの話も思い返してみると、2人揃って相手のことばっかり言ってたわね」 かのん「うぅん、そう言われるとそうだったかも……」
かのん「ちぃちゃんとこうなるって決まったとき、最初に思ったのがいかにちぃちゃんを幸せにするかってことだったしなぁ」
かのん「自分の幸せかぁ……。全然、考えてなかったな……」
可可「そういう相手のことを考えてあげられるところは、かのんの素敵なところのひとつだと思いマス」
可可「ですが、千砂都を幸せにするだけではなくかのん自身も幸せにならなくては千砂都がかわいそうデスよ」
すみれ「千砂都もかのんと同じような感じなの?」
千砂都「だいたいはね。でも、ひとつだけ、私の希望があるんだ」
かのん「えっ?」 千砂都「それはね。かのんちゃんちの喫茶店で、『澁谷千砂都』として働きたいな、って」
かのん「そ、そうなの?」
千砂都「うん。もちろんかのんちゃんがうちに来たとしても似たようなことはできると思うけど」
千砂都「でも私は、澁谷さんちのかのんちゃんに嫁いだ私と、かのんちゃんと一緒にあのお店をやりたいんだ」
千砂都「まぁ実際はかのんちゃんのお義母さんも、ありあちゃんもいるから2人だけってわけにはいかないけどね」
すみれ「素敵な夢じゃない、千砂都」
恋「そのときは、私たちみんなで遊びに行きますね」
千砂都「えへへ、ありがとう」 かのん「私……知らなかったな。ちぃちゃんがそんなことを思っていたなんて」
千砂都「……私も言わなかったからね。ごめん、かのんちゃん」
かのん「これからは、もっと話し合おう。相手のことばかりじゃなく、自分のことも」
千砂都「いっぱい話して、いっぱい気持ちをぶつけよう。私とかのんちゃん、2人で幸せになるためにも」
かのん「……うんっ!」
可可「これで一件落着デスね」
かのん「可可ちゃん、ありがとう。私たちが見落としてたことを教えてくれて」
可可「可可は大したことはしてないデス。むしろ可可の方こそ、何だかエラそうなことを言ってしまいマシタ」 かのん「私たち、気負いすぎてたのかもしれない。幸せにしてあげなくちゃとか、情けないところは見せられない、とか」
かのん「そういうことも自分だけでどうにかするんじゃなくて、2人で協力しなきゃって気付かせてくれたから」
かのん「だから、ありがとう。可可ちゃん」
千砂都「すみれちゃんと恋ちゃんも、ありがとう」
恋「お役に立てたみたいでよかったです」
すみれ「それで?結局、苗字の話はどうするつもりなのよ?」
千砂都「何も今すぐ決めなくちゃいけないってわけじゃないから、もう少し話し合ってみるよ。かのんちゃんと、2人で」
すみれ「そ。結論が出たのなら、今日はもう解散にしましょう」
かのん「あ……もうこんな時間になってたんだね……」 千砂都「みんな、ごめんね。衣装とかの話があったのに、私たちのことに巻き込んじゃって」
すみれ「気にしなくてもいいわよ。振り回されるのも、巻き込まれるのも慣れてるから」
すみれ「ただし、もうこんなことがないようにきっちり話し合っておきなさいよ」
千砂都「わかった。それじゃみんな、私とかのんちゃんは先に帰らせてもらうね」
可可「バイバイ、デス」
恋「帰り道、気を付けてくださいね」
かのん「また、明日ねっ」 バタン
すみれ「……はぁーっ。やっと解放されたぁ……」グッタリ
可可「お疲れデス、すみれ」
すみれ「ほんとよ……。あそこで回れ右して帰ってたらこんな目にはあわなかったのに……」
すみれ「あんたが不用意に話を聞くなんて言っちゃったもんだから……」
可可「ですがすみれだって、今は無視せず話を聞いてよかったと思っているのでは?」
すみれ「それは……まぁ、そうだけど……」
恋「さぁ、私たちも帰りましょう?」
すみれ(……しかし、今日はひとまず意見の衝突を解消できたことはよかったけど)
すみれ(そもそも話し合ってどうにかなる問題なのかしら、あれ……)
すみれ(……ま、何とかなるでしょ。たぶん、きっと)
可可「何してるデス、すみれ。置いていくデスよ」
すみれ「はいはい、今行くわよ」 ―数日後―
すみれ「……で」
かのん「はい、ちぃちゃん。あ〜ん♡」
千砂都「あ〜んっ♡」
かのん「……どうかな、今日のお弁当は?」
千砂都「美味しいに決まってるよ、かのんちゃんの愛妻弁当なんだから♡」
かのん「やだもう、ちぃちゃんってば愛妻だなんて、照れちゃうじゃん♡」
千砂都「えー?だって近い将来にはそうなる予定でしょ?」
かのん「ちぃちゃん……」
かのちぃ「うぃ〜っす♡」ユビキス すみれ「何でまた人の目の前でイチャイチャしてんの、あんたらはっ!?」
かのん「……え?そりゃあ、私たちが恋人以上だからなんだけど」
すみれ「恋人以上だから、じゃないわ!この間も人前では控えろって言ったばっかでしょ!」
千砂都「ほら、かのんちゃん。今度は私からも、あ〜ん♡」
かのん「あ、うんっ。あ〜ん♡」
千砂都「どう?どう?」
かのん「……もう、最っ高!また腕上げたんじゃない!?」
千砂都「かのんちゃんのお嫁さんになるんだもん。当然だよ♡」
かのちぃ「……うぃ〜っす♡」ユビキス
すみれ「人の話を聞けぇっ!」 かのん「んもう。どうしたの、すみれちゃん」
すみれ「どうしたもこうしたもあるかっ!結局、あの日からどうなったのよ!?」
かのん「あの日?」
すみれ「あんたたちがぶつかり合ってた日に決まってるでしょおおぉぉっ!」
千砂都「すみれちゃん、ちょっと落ち着いて。ね?」
すみれ「ぜぇ、ぜぇ……。可可、あんたからも何か言って……」
可可「……アェ、可可デスか?可可としては特に不満はないので」
可可「幸せに包まれているかのんと千砂都を見ていると、可可も嬉しくなるデス」 すみれ「……もういいわ。で、きちんと話し合ったんでしょうね?」
かのん「あぁ、うん。あのあと、ちぃちゃんとしっかり話し合ったんだ」
かのん「私がしてあげたいこと。私がしたいこと。2人で叶えたいこと」
かのん「お母さんやありあの意見も聞いて、その辺はお互い納得する形にはなったんだ」
かのん「……ただ、どうしても苗字の件だけは、解決してないんだよねぇ」
可可「それだけはどうあってもどちらか1人の希望しか通らないデスね」
かのん「だから今、苗字をどうしようかっていうお試し期間中なんだ」
可可「お試し期間?」 かのん「うん。これからしばらく、順番に苗字を入れ替えてみることにしたの」
すみれ「……は?」
千砂都「まぁもちろん外でやるわけにもいかないし、気分的な問題だとは思うんだけど」
千砂都「でも、それで気持ちに何か変化が生まれるかもしれないからね」
かのん「あ、ちなみに今週は私が『嵐かのん』だからね♡」
千砂都「ねー♡」
すみれ「はあああぁぁぁっ!?何よそれ、意味わかんないわっ!」
かのん「そうかな?」
すみれ「そうに決まってんでしょうが!ていうか何で話し合ってその結論になんのよ!?」 千砂都「何でと言われても、私たちなりに結婚に向けて気持ちをぶつけ合ったからだけど」
すみれ「それがもうわけわかんないわ……。話し合ってそうそう解決できる問題じゃないとは私も思ってたけど……」
すみれ「まさかこういう答えになるなんて想定してないったらしてないわよ……」
かのん「そういうわけだから、私のことは嵐さんちのかのんちゃんってつもりで呼んでね♡」
千砂都「ふふっ。かのんちゃん、嬉しそう」
かのん「そりゃそうだよぉ。体験だけとはいえ、ちぃちゃんのお嫁さんになれたんだもん♡」
千砂都「私だって、かのんちゃんがお嫁さんにしてくれて嬉しいな♡」
かのん「やっぱり2人揃ってお嫁さんってことにして正解だったね♡」
可可「なるほど、2人ともお嫁さんというのは素敵デスね」
かのん「でしょー?」
すみれ「はぁ……。もう、好きにしなさい……」 かのん「ね、ちぃちゃんっ。すみれちゃんも好きにしろって言ってるし、あれやろっ」
すみれ「何をしてもいいとは言ってないってことに気付いてもらいたいわね……」
千砂都「あれ?……あぁ、あれね。うん、いいよっ」
可可「あれ、とは?」
千砂都「まぁ見てて。かのんちゃん、行くよー」
かのん「おっけー。それじゃ、いっせーのっ」 かのちぃ「うぃ〜っす♡」ユビキス
千砂都「……かーらーのっ」
かのちぃ「うぃ〜っす♡」Wユビキス
かのん「で、最後は……」
かのん「んっ……♡」
すみれ「なっ……!」
千砂都「っ……は、ふぅ……」
かのん「ぷぁっ……えへ、ありがと……♡」 すみれ「な、ななな、何をしてんのよ人前でっ!?」
かのん「何って、私たちのお約束でしょ?」
すみれ「違う違う違う、私の知ってるあんたたちのお約束とは全然違う!」
可可「かのん、千砂都……。幸せになってクダサイ……」
すみれ「ちょっと、可可!私を置いてそっちに行かないでよ!」
千砂都「幸せになろうね、かのんちゃん♡」
かのん「うんっ。ちぃちゃん♡」
すみれ「ああもう、いい加減にしなさい!このバカップル!」
かのすみ「うぃ〜っす♡♡」
おわり これでおわりです。読んでいただきありがとうございました。
可可ちゃんの語尾は書くとよくわからなくなりますね。
お時間がありましたら過去のかのちぃもよろしくお願いします。
かのん「ちぃちゃんを抱きたい」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1667990762/
かのん「大好きが溢れるボタン……?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1669015249/ 最後の最後で誤字してて死にたくなったよ!見直してるはずなのにね!
すみれ「な、ななな、何をしてんのよ人前でっ!?」
かのん「何って、私たちのお約束でしょ?」
すみれ「違う違う違う、私の知ってるあんたたちのお約束とは全然違う!」
可可「かのん、千砂都……。幸せになってクダサイ……」
すみれ「ちょっと、可可!私を置いてそっちに行かないでよ!」
千砂都「幸せになろうね、かのんちゃん♡」
かのん「うんっ。ちぃちゃん♡」
すみれ「ああもう、いい加減にしなさい!このバカップル!」
かのちぃ「うぃ〜っす♡♡」
今後気を付けますごめんなさい! 再訂正
すみれ「な、ななな、何をしてんのよ人前でっ!?」
かのん「何って、私たちのお約束でしょ?」
すみれ「違う違う違う、私の知ってるあんたたちのお約束とは全然違う!」
可可「かのん、千砂都……。幸せになってクダサイ……」
すみれ「ちょっと、可可!私を置いてそっちに行かないでよ!」
千砂都「幸せになろうね、かのんちゃん♡」
かのん「うんっ。ちぃちゃん♡」
すみれ「ああもう、いい加減にしなさい!このバカップル!」
かのちぃ「うぃ〜っす♡♡」
今後は無いように気を付けます! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています