愛「鬼殺隊?」
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暗い、暗い森の中でうずくまる。執拗に追いかけてくるナニカから隠れるために。
さっきまで走って逃げたためにきれる息を必死に殺す。
愛(何だったの、アレ…)
気がついたら日の暮れようとする森の中にいたアタシは、そこでようやく出会えた人影に安堵して、不用心にも声をかけてしまった。しかし、それが間違いだった。
振り返った男の姿は異形そのものだった。真っ赤な目にむき出しになったとがった牙、あげく頭には角まで生えていた。その姿に暗い森の情景も合わさり、りなりーの家で一緒にやったホラーゲームを思い出し、アタシの脳内に不吉な結末が浮かび、気が付いたら逃げ出していた。
愛(確か愛さん、りなりーと別れて、ウチに帰る途中で…)
意味も状況も分からない。ただ、逃げる後ろから尋常ではない速度で追いかけてきた男に対する恐怖心だけがあった。 映画の2020年の興行収入世界1位だそうでおめでとう保守 義勇「…宮下」
愛「あ、ぎゆーさん!聞いて!たんじろーくんすっごいご飯炊くの上手いんだよ!アタシ感動しちゃった!」
炭治郎「俺、実家が炭焼きで。だから、火加減は得意なんですよ」
愛「へ〜。あ、ぎゆーさんの分もご飯よそうね?座って待ってて」
義勇は何か言いたげにこっちを見ていたけど、一度嘆息すると大人しく席に着いた。
愛「はい、どーぞ」
義勇「ああ」
そこからは楽しい夕食の時間だ。
義勇はほとんど自分から話題を振るなんてことはしないから、いつもアタシが言うことに相槌をうってもらうのが毎度おなじみの我が家の食卓の光景。なんだけど。
炭治郎「あ!このぬか漬け凄いおいしいです!」
愛「でしょでしょ!宮下家伝統の味なんだ〜!」
炭治郎「へ〜、今度作り方教えてください!」
愛「ふっふっふ〜、いいよ〜!あのね、ぬか床からこだわってて〜」
今日はいつもよりずっと賑やかだ。
いつものも、それはそれでいいんだよ?なんというか味があるっていうか。
でも、やっぱり賑やかなのもいいよね!…義勇さん一言もしゃべってないけど。 きてた。炭治郎くんの反応や義勇さんずっと無言なのすごくそれっぽい。楽しそうだけどもう決戦までそれほど間がないか 義勇「…炭治郎。禰豆子はどうした」
あ、しゃべった。
炭治郎「!今は鱗滝さんのところで預かってもらっています」
義勇「…そうか」
でも、それだけいうと、また黙々とごはんを食べ始めてしまう。
炭治郎「あの!」
義勇「…それを食べたら帰れ。明日も訓練があるのだろう」
愛「あ、それなんだけどさ。たんじろーくん今日泊まっていきなよ」
あ、二人ともびっくりしてる。
そして、義勇さんだけ何言ってるんだお前みたいな顔で固まった。
炭治郎「でも、さすがに急なお話ですし、ご迷惑じゃ…」
愛「いや、アタシたちはいいよ。ね、ぎゆーさん」
見るからに嫌だ、という顔をしている。
でも、今回はそれを察していない振りで笑顔で無視した。
心が痛まないことはないけれど、炭治郎くんをきっかけに義勇にはいつか過去を乗り越えてほしい。
アタシは剣士じゃないから、本当の意味で義勇の苦しみを分かってあげられないから。
せめて乗り越えられなくても、自分を許せるように頑張れるようになってほしいから。
愛「それに、足折れてる人を暗い中一人で帰すのは…ね?」
義勇「…今日だけだぞ」
あ、折れた。
炭治郎「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」
愛「うんうん!どんどん甘えちゃって!」
それからも炭治郎くんは毎日来て、アタシの勧めで2日に一回はウチに泊まるようになった。
最初の方は不機嫌になってた義勇だったけど、炭治郎くんは来る度に義勇に話しかけ続けるから、途中からは、え?なんでまた来たの?いつまで来るの?という戸惑いの表情になっていった。 愛さんと炭治郎くんはすごく相性良さそう。戸惑ってる義勇さんの表情めちゃくちゃ目に浮かぶな 義勇「宮下…」
愛「ん?どーしたの?」
今日は炭治郎くんのいない夕飯だ。
珍しく義勇から話しかけてくれたけど、なんだかその表情は疲れている。
義勇「どういうつもりだ」
愛「どういうって?」
義勇「とぼけるな。炭治郎のことだ。何をたくらんでいる」
あー、さすがにアタシが炭治郎くんに手を貸していることに気づいたか。
いや、あからさま過ぎたし、とっくに気づいていて我慢の限界がきたのかもしれない。
愛「たくらんでるっていうか…。ほら、夕飯は賑やかな方がいいじゃん」
義勇「それだけではないだろう」
じーっとこっちを見つめる義勇。
うーん、ここらが潮時かな。 愛「ぎゆーさんだけのけものみたいになっちゃてたのは、ゴメン。実はさ、たんじろー君が最初に来た日に相談されたんだよ。ぎゆーさん、たんじろー君に水柱がいないってだけ言って、帰れって言ったんでしょ?」
義勇「…ああ。話したのか?」
愛「話してないよ」
義勇「…そうか」
愛「でもさぎゆーさん、たんじろー君に柱になってほしかったって言ったんだよね?そんな一目置いてる炭治郎くんくらいにはさ。話してあげてもいいんじゃない?」
ここ何日かでずいぶん仲良くなったけれど、すごく優しい人だってわかった。
どんな経緯で鬼殺隊士になったのか、鬼になってしまった妹の禰豆子ちゃんを連れていることからこれまでにとてもつらいことがあったんじゃないかと想像できる。
でも、そんなことを微塵も感じさせない温かさを持っている。
話したって、きっと義勇が傷つく結果にはならないはずだ。
愛「大丈夫だよ。たんじろー君なら。たった一人の弟弟子なんでしょ?」
義勇「…俺は、宮下だから話したんだ」
そういってもらえるのは嬉しいけれど、アタシもいつかぎゆーさんに自分を許せるようになってほしいんだ。けれど、流石に急すぎたかな。
ずっと一人で苦しんできたんだもんね。
アタシに話したのだって相当な覚悟だったのかもしれない。
愛「そっか…わかっ…」
義勇「だが、宮下がそう言うなら…考えておこう」
愛「!ぎゆーさん…!うんっ!ありがとう!」
義勇「…」
それからは黙々と二人でごはんを食べた。
考えておくなんて言い方だったけれど、義勇にとって良い方に転がってくれたらいいな、なんて思いながら。 続き来てた。義勇さんにとって愛さんが特別な存在になってるのがよくわかるね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています