愛「鬼殺隊?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
暗い、暗い森の中でうずくまる。執拗に追いかけてくるナニカから隠れるために。
さっきまで走って逃げたためにきれる息を必死に殺す。
愛(何だったの、アレ…)
気がついたら日の暮れようとする森の中にいたアタシは、そこでようやく出会えた人影に安堵して、不用心にも声をかけてしまった。しかし、それが間違いだった。
振り返った男の姿は異形そのものだった。真っ赤な目にむき出しになったとがった牙、あげく頭には角まで生えていた。その姿に暗い森の情景も合わさり、りなりーの家で一緒にやったホラーゲームを思い出し、アタシの脳内に不吉な結末が浮かび、気が付いたら逃げ出していた。
愛(確か愛さん、りなりーと別れて、ウチに帰る途中で…)
意味も状況も分からない。ただ、逃げる後ろから尋常ではない速度で追いかけてきた男に対する恐怖心だけがあった。 お待たせしています。
明日の夕方以降に更新予定です。 食事を終えて、義勇にも手伝ってもらいながら食器を洗って布で拭いていく。
片付けが終わったところで、お茶を入れてようやく二人で居間で向かい合った。
愛「さて、と。話の続き、いい?」
義勇「…ああ」
愛「じゃあ、ぎゆーさんが柱じゃないってどういうこと?」
義勇「…鬼殺隊には選抜試験がある」
何かを堪えるような表情で義勇が話し始める。
義勇「そして、俺は選抜試験を突破していない」
愛「受けずに隊士になったの?」
義勇「いや、そうではない。俺は鬼殺の剣士の育て手に訓練を受け、あの日、試験を受けるために山に登った。そして、あの日俺は錆兎という少年と出会った。錆兎は明るく、優しく、強い男だった」
だが、と義勇は続ける。
本当に辛そうな表情に、アタシはなんとなく次の言葉が分かってしまった。
義勇「錆兎は…死んだ」
愛「そっ…か」 義勇「俺は途中で怪我をして、その最期に立ち会うことも出来なかった。俺は、錆兎に助けられていなければ、柱どころかこうして生きてすらいないだろう。本当は水の柱は錆兎がつくはずだったんだと今でも思っている。姉さんのことといい、宮下、俺は周りの人間を盾にしてこれまで生き残ってしまった男なんだよ」
懺悔をするかのようにアタシにそう言った義勇に、そんなことない、と言いたかった。けれど、話す義勇の表情があんまりに悲痛で、自分の掛けようとしている言葉が全部薄っぺらい表面だけの励ましに思えてならなかった。だから、代わりに手を握った。
義勇「宮下?何を」
愛「…手を握るとね、頑張れって気持ちが伝わるんだよ。でも、ぎゆーさんはもうこれまでずっと頑張ってきたんだもんね。だから、これはお疲れ様の握手だよ」
義勇の右手を上から包み込むように握っているから、正確には握手じゃないかもだけど、細かいことは別にいいだろう。
愛「あのさ、アタシ嬉しかったよ。義勇さんが言いたくない過去のことまで話してくれて」
義勇「宮下…俺は…」
アタシは近しい人を失った経験があまりない。
すぐ側で二人も失った義勇がこれまでどれだけ苦しんできたかなんて、分かち合えはしないだろう。
愛「すごく、頑張ってきたんだね」
義勇「そんなんじゃな…」
愛「ううん、そうだよ。だって、この手も、たくさんタコができてる。ぎゆーさんが頑張らなきゃ、こんな手にはならないし、なれないよ」
だから。
愛「もう、自分を悪く言わないで。アタシ、ぎゆーさんの悪口はぎゆーさんからも聞きたくないよ」
義勇は手をアタシに握られたまま少し困った顔をしたあとに、軽くうなずいた。
愛「うん、合格っ!」 つづきが来てた。ありがとう。体調悪かったら無理はしないでね。義勇さんだからわからないけど、こんなの普通の男だったら愛さんに惚れちゃうな ぎゆーさんは話しかけるだけで好感度上がるから愛さんの好感度もうMAXじゃないですかね
それがどう展開するかは別として と言うかトラウマきちんと話すあたり本当に好感度高いんだろうな そういえば比較的好感度高い炭治郎でも追い回した結果の過去話だったからな…
愛さんに対する好感度MAXでしょ 鬼滅次回作ってでっかなぁ
出たとしても四年後の二千二十五年だな >>461
何とかクオリティを保って最後まで作って欲しいな。無一郎くんの活躍を見たいんだ 愛「…ところで、しのぶさんの言ってた担当も柱のお仕事なの?」
その後少し無言で見つめ合っちゃったんだけど、さすがに照れ臭くなって、手を離して義勇に違う話題を振る。
義勇「ああ」
愛「へぇ、いつからあるの?」
義勇「昨日からだな」
愛「そっか、じゃあ今日も頑張ってきたんだね」
義勇「…それほどでもない」
ちょっと目線をそらす義勇。
ん?
愛「でも、そっか。それなら今日も早く寝ないとね。大分話し込んじゃったし」
義勇「ああ。風呂を沸かしてくる」
愛「え、いいよ。アタシが…」
言う間もなく義勇はサッサといってしまった。
まだ何か隠してるな?
愛「さて、と。アタシは布団でも敷いてこようかな」
でも、今日はもう満足だ。これ以上は踏み込まないでおこう。 続き来てた。この辺の距離感の取り方がコミュ強の愛さんっぽいね それから数日経つけれど、アタシたちは特に何事もなく毎日を過ごしていた。
義勇は毎日変わらず朝早くに出かけて、アタシが仕事先から帰ってくるころには家に帰ってる。
これまではいたりいなかったりしていた分晩御飯の献立を考えるのは楽だ。
愛「ただいま〜。あれ?」
玄関に見覚えのない履物が。お客さん?
抱えてた食材を台所に置いて居間に行くといない。
自分のお部屋かな?
愛「ぎゆーさん?あれ、たんじろーくんじゃん!おひさ!」
炭治郎「あ!愛さん、お久しぶりです!お邪魔してます。これ、お土産です!」
部屋着に着替えてお部屋に行くと、部屋の前に炭治郎くんがいた。
義勇の部屋の前で正座している。
愛「ご丁寧にどうも…入んないの?」
ちらりとふすまを開けると義勇は中にいるみたいだけど。
炭治郎「いえ、義勇さんにお話しがあって入らせていただいたんですけど、帰れと言われてしまって」
愛「ええっ!?義勇さんひどいな」
よく見ると、炭治郎くんは足にギプスを付けていて、松葉杖も脇に置いている。
そんな状態で来てくれた炭治郎くんを、放ったらかしにするなんて。
虫の居所でも悪いのかな。だとしたら粘る作戦は逆効果じゃない? 愛「もうそろそろ日も暮れるし、今日は帰ったら?」
炭治郎「ですが、まだ義勇さんと話せていないので」
愛「うーん、廊下で話すのもなんだしさ、とりあえず居間に行かない?お茶入れるよ?」
炭治郎「いえ!俺はここで結構ですから!」
愛「いやいや、アタシが気にするんだって」
炭治郎「おかまいなく!」
頑固だなぁ!?
愛「えーと、ほら、ぎゆーさんへの要件もアタシが後で伝えられるかもだしさ。とにかく、ね?」
炭治郎「え、うーん。わかりました」
やっと譲歩してくれた。
まぁ、みたことないけど、義勇が本当に怒ってて閉じこもっちゃったんならとりあえず離さないとね。
それに、何があったのか話を聞かないことにはどちらにも協力できないし。 続きがきてた。炭治郎くんが松葉杖ついてるから錆兎の話をするときか。今回は愛さんとも話してるけどどうなるかな 愛「さてと、まずは義勇さんに何の用事があったか聞かせてもらおうかな」
お茶をどちらが入れるかで少し揉めたので居間にたどり着くまで少しかかった。
炭治郎「はい。足が治ったら義勇さんに稽古をつけていただこうと思いまして、ですが話の途中で…」
愛「帰れっていわれちゃったんだ。怒らせちゃったの?」
炭治郎「はい…怒ってる匂いがしました」
匂い?
愛「ふーん。ほかに心当たりはないの?何か言っちゃったとか」
炭治郎「いえ…でも、義勇さんは俺が水の呼吸を極めなかったことを怒ってると言っていました」
愛「水の呼吸?」
炭治郎「俺と義勇さんが師匠から教わった呼吸法です。ほかにも炎や雷、風の呼吸なんかがあって、鬼殺隊は呼吸法を使って鬼と戦うんです」
武道や茶道なんかの流派みたいなものか。
そういえば義勇は水柱なんていわれてるし、水の流派の免許皆伝したようなものなのかもしれない。
愛「なるほどね。弟弟子のたんじろー君が他の流派に取られると思って怒っちゃたんだね」
義勇は炭治郎くんのこと凄く気に入ってるみたいだし。
でも炭治郎くんは命がけで鬼と戦ってるんだし、ちょっと他の流派に浮気するくらい許してあげてもいいんじゃないかなとは思う。
炭治郎「いえ、そういうことではないと言っていました」
愛「あ、そうなんだ。そうだよね」
炭治郎「ただ、俺が水柱にならなければならなかったと言っていました。あとは、水柱が不在だとか。水柱は義勇さんなのに…」
愛「ぎゆーさん…」
ここまで聞いて、ようやくアタシは義勇の怒っている理由が分かった。
自分が柱にふさわしくないと思っている義勇は、錆兎っていう人が着くべきだった(と義勇が思ってる)その地位を炭治郎くんに継いでほしかったんだ。 炭治郎「俺、義勇さんの言っていることがよく分からなくて。それで意味を聞こうと思って部屋の前で待ってたんです。もしかして、愛さんは知ってますか?」
愛「…知ってるよ」
炭治郎「!じゃあ…」
愛「でも、義勇さんが言ってないことをアタシからは教えられない。たんじろーくんが自分で聞かないとね」
炭治郎「…わかりました」
愛「でも、その協力はできるだけしてあげる」
炭治郎「!ありがとうございます!」
あの日、うなずきはしたものの結局義勇はまだ自分を責めている目をしていた。
アタシがこれから側でゆっくり励ましていこうと思っていたけれど、もし義勇が自分から炭治郎くんにも話すなら。
義勇が自分を許せるようになるための助けになってくれるかもしれない。
愛「さて、話もついたし、ごはんにしよっか。炭治郎くんも食べてく?」
炭治郎「え、ですが…」
愛「ぎゆーさんから話聞くなら、食卓は一緒な方がいいっしょ?いっしょだけに!」
炭治郎「じゃあ、お願いします!」
スルーされた。
ああ、久しぶりにあの娘が恋しい。 炭治郎くんはスルーというか駄洒落に気が付いてないなw ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています