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虹ヶ咲痴漢同好会_議事録
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0001名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 07:34:10.10ID:AgPZO/ij
とある施設のとある一室に、ひっそりと隠れ潜む同好会がある。部員達はみな他の部活に入っていたり、無所属だったりとまばらではあるが、自分達がこの同好会に所属していることは決して他言することはない。

当然ながら学年も違っており、しかしながら部員達は互いの連絡用グループを作ってもいない。なぜなら、痴漢が犯罪行為であり、その情報を保持するようなことはするべきではないからである。

故に、どこかで誰かが言う。

「今日は、乗っていくか?」

それに義務はなく、自由である。しかし、ひとたび囁かれれば、その部屋には必ず明かりが灯る。

そしてそれは、今日も開かれている。
0002名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 07:44:32.45ID:AgPZO/ij
当同好会においては、部長という役職は存在していない。部員達はみな部員でしかなく、それ以上でも以下でもなければ、年齢さえもそこでは無視される。

部員達は相手を部員とは呼ばない。誰が相手であろうとも

「同志」

みなそう言って、通じあう。とても奇妙なものではあるが、同好会という立ち位置であれば、好き者の仲間としてそう呼ぶのも不思議ではないだろう。

どこかの誰かの呼び掛けによって、部屋に明かりが灯されると、一人が手を上げる。

「先日の議題について、同志諸君の答えを聞きたい」

先日の議題とは、つまり『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の中で痴漢に適しているのは誰か。というものである。
0005名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 07:56:12.18ID:AgPZO/ij
議論の中心である虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会というものには、『中須かすみ』『桜坂しずく』『天王寺璃奈』『三船栞子』『宮下愛』『優木せつ菜』『上原歩夢』『鐘嵐珠』『エマヴェルデ』『朝香果林』『近江彼方』『ミアテイラー』『高咲侑』といった面々が所属している。

学園という呼称から察せられるが、彼女達はみな未成年であり、一部を除けば電車を使う。中にはバスを使うものもいるが、議論において必須とされる前提条件から、今回は『電車における痴漢対象に相応しいのは?』となっている。

『バス痴漢派』と『電車痴漢派』の二大派閥が主な痴漢同好会の同志だが、前提に異議を唱えることはない。
0007名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 08:14:30.26ID:AgPZO/ij
「その前に一つ良いだろうか」

議論が再開されようとしたところに、一人の同志が挙手する。その表情はやや厳しいものであったため、みなが固唾を飲んで頷く。

同意が得られたと見た同志は、席から立ち上がると「先日の議論において招致した講師を覚えているだろうか」と問いかける。

参加は自由の同好会であるため、前回居なかったものも居れば、今回はいないものもいる。まばらに挙手が見えると、同志は「残念な話だ」と切り出す。

「前回の講師殿は我々の同志足り得なかった。数日後に痴漢を犯し逮捕された」

その講師を知っていても知らなくても、それが行ったことは理解しているからか、ざわつく。

「我々の議論は、それによって欲求を刺激することもあるだろうが、しかし決して現実に干渉させて良いものではないことを肝に銘じて欲しい」

同好会において、痴漢とはすなわち

『ファンタジー』

であるべきなのだ。
0010名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 08:28:42.67ID:AgPZO/ij
「水を差して済まなかった。議論を再開しよう」

報告者がそう言ってから着席すると、先日の議論をおいて挙手をしていたが時間を得られなかった同志が挙手する。

今度こそはと、指名されて立ち上がった。

「堕ちた講師殿はやはり悪だが、自分は彼の言う『大人しい少女』という意見は正しいと思う」

痴漢において狙うべきは、抵抗をしなさそうな大人しい少女であるべきで、抵抗されそうな少女に関しては不向きではないかという話だ。

「よって、自分は痴漢対象として最適なのは『璃奈ちゃん』だと思ってる」
0011名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 08:41:15.64ID:AgPZO/ij
『天王寺璃奈』は、他の同好会メンバーに比べて非常に大人しく見える少女で、感情を表に出しにくく、咄嗟に大声を張ることも難しいだろう。

それゆえに、その同志は『天王寺璃奈』が適していると考えたようで、賛同すると言わんばかりに頷く同志も少なくない。

だが、一人が手を上げる。

「それは一理あるが、一理無いな」

賛否両論する同志は、周りが続きを求めていることを確認すると、最初の同志を見ながら立ち上がる。

「自分も『璃奈ちゃん』は同意する。しかし、その理由が気にくわない」

やや苛立った様子に、緊張が走った。

「表情が乏しい? 声が出されない? なんだ。何を言ってる? まるで理解が出来ない。それに同意する同志は考える頭を持っていないのか?」

罵詈雑言も甚だしく捲し立てる同志を周囲が宥める。白熱することはあるが、しかしそれは罵倒であってはならない。

熱くなっていた同志も、一言謝罪して。

「分からないだろうか。それは、自分が痴漢として捕まらないための前提条件でしかない! 我々がこの手で痴漢をし、反応を見たいとする議論において、その前提は捨てるべきだ」

それにはっとした数名が声を漏らす。痴漢は犯罪行為である。ゆえに、それを曝されないことを無意識に条件としてしまっていたためだ。

同志は、笑みを浮かべる。

「もっと柔らかく行こう。我々は『ファンタジー』を語るんだろう?」
0012名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2022/04/06(水) 08:45:10.79ID:76OoybAo
>>6
ぬしさんすか?www
0013名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 08:57:10.68ID:AgPZO/ij
「さて、そんな自分が『璃奈ちゃん』を推すのは、やはりその愛らしさからだ。あぁいや、他のメンバーが愛らしいことも充分理解しているつもりだが」

しかし、こと『ファンタジーヒロイン』においては彼女ほどの適任はいないと同志は豪語する。声が出ない。表情が出ない。それではなく、単純に彼女の性格からして、我慢しようとする点が魅力的なのだ。

「主だった膨らみには欠けるが、小刻みに震える体躯。これほど刺激的な光景があるだろうか? 目を閉じ思い浮かべてみて欲しい」

脂肪の少ない、幼女のような可愛らしい臀部。スカートの上から擦ると、小さく跳ねるような反応を見せ、肩から下げた鞄の持ち手を、その小さな手できゅっと握るのである。

「どうだろう。可愛らしいと思わないか? 高揚感を禁じ得ないはずだ。自分は感じる。だからこそ、『天王寺璃奈』を、自分は推している」

同志の熱弁に、最初の同志も感心したのか拍手をし、それに続くように称賛される。だが、同志は首をふる。

「他にも意見があるはずだ。聞かせてくれ」
0014名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 09:00:22.84ID:AgPZO/ij
離席
残ってたら後程、落ちてたらまた後日
0027名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 12:30:10.79ID:AgPZO/ij
声をかけた同志が見渡すと、一人が手を上げた。前回は不参加だったように見えるその同志は、指名を受けてから席を立つ。

そのとたんに、周囲がざわついた。その同志は、自信に満ちていたのだ。自分の発言が賛同されるであろうことを確信している。そんな雰囲気を帯びていた。

「自分も『璃奈ちゃん』は実に素晴らしい痴漢対象だと思います。そこは否定しません。というよりも、同意できます」

ですが! と、その同志は高らかに声を上げた。

「自分は『かすみん』を推薦したい!」

『かすみん』という言葉に騒がしさが増す。『かすみん』とは、『中須かすみ』のことであり、彼女は『天王寺璃奈』に比べて非常に快活である。

そのため、痴漢をして愛らしい反応が返ってくるとしても、それは『天王寺璃奈』には劣るはずなのだ。
0028名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 12:46:22.81ID:AgPZO/ij
「ええ。ええ。分かります。分かりますとも。『かすみん』の反応は『天王寺璃奈』に劣ると。同志諸君はそうおっしゃりたいのでしょう」

『かすみん』を挙げた同志は、しかしながらその自信を全く崩さない。だからだろう。みなが息を飲んだ。この同志が持つ自信とは何か。それを与える理由とは何か。

そう、議論とは争いなどではなく、
純真足る己の欲求を掲げる場なのである。
ゆえに、みなが期待をしていた。

「彼女はとても明るくて元気ですし、痴漢されたとしても「やめてください!」って言える性格だと思っているのでしょう? ですが、考えてみてください」

電車に揺られているなか、無意識だったところを突然触られる恐怖を感じる『かすみん』を。

何かの間違いではないか。そうだ。きっとそう……と。怯える彼女の姿を。

「明るいからと言って、恐怖に面と向かって立ち向かえるとは限らない……『かすみん』は、気のせいですようにって祈りながら耐えるんですよ。想像してみてください」

普段から『かすみんは可愛い』と自称してきたことを後悔し、歯を食い縛って震える姿。目元には涙を浮かべ、俯いている姿。

「どうですか? 『天王寺璃奈』とはまた違った高揚を覚えませんか? 『璃奈ちゃん』の幼い身体に思う背徳感ではなく、天真爛漫とも言える『かすみん』から明るさを奪い、後悔に身を浸させるというこの感覚」

素晴らしいとは思いませんか?と、同志は穏やかに問いかける。
0029名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2022/04/06(水) 12:51:32.00ID:F0+S54R1
かすみんを曇らせるな
曇らせろ
0030名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 13:00:37.68ID:AgPZO/ij
「なるほど、『かすみん』が『かわいい』を口に出来なくなるという、痴漢の果てを空想するわけか」

納得だと、数名が頷く。その点を言うなら、『天王寺璃奈』は大きな変化がみられないのに対して、『かすみん』は性格そのものが変質する可能性さえ秘めている。

「かわいいと言われたがっていた『かすみん』が、かわいいと言われることに拒絶反応を示すようになる……かもしれない。その可能性は充分に、痴漢対象として推せる理由になります」

『かすみん』を推している同志が座ると、みながひと息つく。空想は頭を使う。頭を使うから疲れやすいのだ。

静まった場に、一人の声が上がる。

「自分はあえて『宮下愛』を推したいのだが……良いかな?」

そのあり得ないと反論されかねない人選に、やはり、騒がしくなった。
0033名無しで叶える物語(はんぺん)
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2022/04/06(水) 17:30:51.41ID:0+IzD0ED
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0034名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 18:52:10.80ID:AgPZO/ij
 そしてやはり、一人の同志がいきり立った。

「それはあり得ない!『宮下愛』はあの草壁姉妹のようなスクールアイドルだが、だからといって痴漢を許してくれるわけがない! 気づいたときにはママにキスさせられているだろうさ!」

興奮しているからか、大部分が理解の難しい言葉を吐き出してくる同志だったが、『宮下愛』を挙げたのとは別の同志が落ち着くようにと言葉を掛けて、手を上げる。

「自分は『宮下愛』に一理ある。反抗を受けて組伏せられるのではないか。という点を否定する気はない。自分はむしろ、だからこそではないか。と思う」

『宮下愛』は、先の同志が語ったように同志諸君のようなまっくろくろすけにも、「出ておいで〜」と呼び掛けてくれるようなオープンな性格だろう。それは『中須かすみ』とはまた違う系統のものだが、明るい性格という部分は共通している。

「あの『宮下愛』が、その目を細めるんだ。睨み、力強く手首を捻り、烈火のごとき声色で責め立ててくる。どうだろう? なかなかどうして、胸が高鳴るではないか」
0035名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 19:10:06.75ID:AgPZO/ij
普段は優しい目をしている彼女が、導いてくれる手が、名を呼ぶ声が……全てが敵意と憎悪、怒りに満ちて自分に突き刺さってくる感覚を空想するため、『宮下愛』にざわついていた同志たちが静まり返る。

そして、感嘆溢れる声がどこかから漏れた。

「……悪くない」

抵抗できずに覆われていく姿。そればかりに囚われていたのではないだろうか。固定観念を持っているがゆえ、思想の幅が狭い。そのさきに道はあるというのに、壁があるなどと誤認しているのではないか。

なにも、痴漢とはされるがままで反抗をされないわけではないのである。

みなが思うなか、最初に『宮下愛』を挙げた同志が小さく手を叩く。

「なるほど、それも良い。しかし自分はやはり、抵抗できるはずの『宮下愛』が抵抗できずに愛でられる姿こそが至高だとあえて言おう」

同志はニヤリと笑った。
0036名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/06(水) 19:30:35.85ID:AgPZO/ij
「同志諸君は勘違いをしていないか? 我々は屈強ではないし、威圧感もない。だから取り押さえられることになると……もちろん、それから得られる昂りを否定はしないが、考えて貰いたいことがある」

語る同志は、ひと息ついてから落ち着いた様子で周囲を窺う。

「これは『ファンタジー』だ。同志諸君は『ファンタジーの世界』では剣を振るう自分でありたいと思わないのだろうか。魔法を使える自分でありたいと思わないのだろうか」

ぽつりぽつりと賛同の声が聞こえると、同志はその度に頷いて

「我々には『宮下愛』を黙らせる『技』があるという前提であるなら、容易く彼女の割増の愛しさを感じられるとは思わないか?」
0039名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/07(木) 07:36:04.74ID:T+xiGt7q
「想像出来ないだろうか」

本来なら抵抗できるだけの力があり、それを成し遂げるだけの技があり、抗う心の強さも兼ね備えているであろう『宮下愛』が、それを出来ずに、なされるがまま……身悶えている姿を

恨み言を吐き捨てるべき口からは、ただただ熱を帯びた吐息が漏れてしまうだけで、声を出すまいと必死に堪えている姿を

「その扇情的と言わざるを得ない『宮下愛』の姿をおもえば、痴漢対象として優れているのは明白ではないだろうか」

これは『ファンタジー』だ。だからこそ、高望みが許される。それゆえの空想。賛同する同志たちが個々に頷いたりと反応を示し、『宮下愛』を推薦した同志は満足気に笑みを浮かべると、一人が手を上げ、口を開く。

「であれば、自分は『朝香果林』を推したいね。間違いなく、彼女は素晴らしい痴漢対象だ」

議論はまだ、始まったばかりだ。
0040名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/07(木) 08:36:38.90ID:T+xiGt7q
「さて、同志諸君は『朝香果林』と聞いてどちらを思う?」

セクハラ紛いの行為には免疫があって、痴漢されることに対して嫌悪感を持ち、厳しく抵抗することができるのか

それとも、免疫はあるがあくまでもからかう側としてであり、自分に向かってくるそういった行いには弱く、嫌悪感はあっても強く抵抗することが出来ないか

「自分は、どちらの『朝香果林』も等しく素晴らしいと思うし、正直に言えば甲乙つけがたく、判断を下すのは苦渋だとさえ感じている」

そこで。と、同志は続ける。同志諸君は静聴しているお陰か、語り部である同志の声は良く通る。

「どちらでも良いのではないか。と、自分は思ったわけだ。先ほど『宮下愛』はどちらの可能性も秘めていると言われていたが、そうだ。一点突破型もいれば、器用貧乏型そして、万能型と、痴漢対象は様々な特性を持っている」

持っているというのに、どちらかしか選ばないというのはとても勿体無い話ではないだろうか。その可能性を持ち、どちらでも魅了する実力のある痴漢対象に対して失礼ではないだろうか。

「自分はこう思う。空想は己の頭の中で繰り広げられるものであり、そこに他者の介入は不要であり、その結果は各々の好みに別たれて然るべきであると。つまり『シュレディンガーの痴漢』で良いのだと」
0042名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/07(木) 08:59:19.35ID:T+xiGt7q
シュレディンガーの使い方の正否はともかくとして、同志の発言は決して間違っていることではないと示すかのように、ちらほらと気付きの顔が見える。

「数多の可能性を秘めている痴漢対象が、同志諸君の頭の中でどの可能性を見せてくれるのかまで、干渉する必要など無い。我々は、ただ同志諸君にこの人こそが痴漢対象として優れていると可能性を示すだけで良い。あとはその痴漢対象の魅了が魅せてくれるはずだ」

だからこそ、『宮下愛』は『宮下愛』で良いのである。『宮下愛』が腰砕けて女の顔を魅せるかもしれないし、抵抗し組伏せる強者であるかもしれないけれど、どちらであれ『宮下愛』なのだから。

確かにそうであるとみなが頷き、しかし一人が挙手する。

「その通りです。その通りですが、自分はこう思いますね。その上で、我らが同志が『朝香果林』を推薦するに足る魅力を語って頂きたいと」

可能性を秘めていることも、それが各々の裁量で判断されるべきであることも、全て理のあることではあるものの、しかしながら。いや、だとしても。と言うべきだろうか。

「我々には我々の推しがいます。ゆえに我々は色眼鏡で見てしまうし、やはりこの人であるべきだと忖度してしまう。それでは議論の意味がない。我々は同志諸君に推し変させるためのきっかけを与える努力をするべきだと、思いますね」

それが、空想への介入であるのならば、それはやはり侵すべきである。
0043名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/07(木) 10:30:31.42ID:T+xiGt7q
指摘した同志が言い終えると、『朝香果林』を挙げた同志へと視線が集中する。同志はどう答えるのか、何を語るのかと期待しているようだった。

「自分が『朝香果林』を推薦する理由……それは『朝香果林』が『誘い受け』であれば、痴漢対象としてこれ程似合う人はいないのではないかと思うからだ」

誘い受けとは言うまでもなく言葉そのままであり、相手を誘って受けに回ることを指している。それが無意識なのか故意なのかといった分類もあるため、どちらが似合うかというものもあるのだが。

「自分が思うに、『朝香果林』は『故意に誘い受け』を行うが、それはあくまでも『それでも手を出せない相手』に強いだけなのだと思っている」

誘っても手を出すことが出来ないようなタイプが相手だからこそ強く出ることができ、手を出してくるようなタイプには手を出さない。

「彼女は知識があるがゆえ、攻められることに弱いと思う。だからこそ、痴漢されるといった状況下において、普段は大人びた印象を受ける『朝香果林』が少女のように弱々しく、しかしながら女性としての蠱惑的な雰囲気を醸し出しているというギャップは筆舌に尽くしがたいのではないだろうか」
0044名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/07(木) 12:50:22.72ID:T+xiGt7q
「膨らみの良い乳房、掴めと言わんばかりの腰、丸みを帯びた臀部。はっきり言って『朝香果林』はシチュエーションを度外視したとしても選ばれるべき逸材だ。だが、ここでは痴漢というシチュエーションに限定するとして…だ。想像して見てくれ」

揺れ動く電車内で、つり革に掴まっている『朝香果林』の姿を。肩掛けの鞄によって僅かにずれている重心、伸びるシャツの皺と、その先にある乳房の膨らみの細やかな動きを。
電車が揺れ、手の甲が臀部に触れる……スカートを膨らませ、触れてと主張する臀部に…そして気のせいだと思いつつ後ろを確認しようとする『朝香果林』の薄紅色の頬を。
それが気のせいではないと身体に示されたとき、恐怖と困惑に震えながらも、甘い吐息を溢す『朝香果林』の姿を

同志は語り、静かに息を吐いて余韻を作る。同志諸君の空想において『朝香果林』がどのような痴態を晒しているのかは分からないが、何れにしても、それは至高であることだろう。

同志はそれを確信しているかのように、ゆっくりと問いかける。

「……どうだろう? 『朝香果林』は素晴らしいと思わないか?」
0046名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/07(木) 20:36:29.44ID:U1BBwDOS
ここまでに挙がったのは4人か。どうなる?
0048名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/08(金) 07:25:06.64ID:buDfZ8+9
「素晴らしい。素晴らしいが、やはり……自分は『鐘嵐珠』かな」

静まり返った部室に響く一人分の声。誰が言ったのかときょろきょろとしていた視線が、自分であると主張する手に向かう。

その中の一人が切り込む。

「失礼だが『鐘嵐珠』の系統は『宮下愛』と同種ではないだろうか? 抵抗するかしないか。それを抑え込むのかどうか。『宮下愛』と『鐘嵐珠』は通ずるものがあると思うがどうだろうか」

もちろん、同志は『鐘嵐珠』を好ましいとするその意見自体には反論をする気はなかった。同じ人物であっても反応という部分で派閥ができるものだし、それよりも広い分類において意見の対立や派閥というものが出来ないわけがないからである。

そもそも反抗一つとっても『宮下愛』はこうするが『鐘嵐珠』はああするだろう。という面での違いもある。その違いに魅力を覚える人もいるはずだ。

とはいえ性格的な分類と、そこから枝分かれている反応面では、両者は似ているとも言えるため、議論の必要は無いのではないかと、同志は思っているようだった。
0049名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/08(金) 08:26:26.77ID:buDfZ8+9
「確かに『宮下愛』と『鐘嵐珠』には通ずるものがあるだろうし、語る必要はないようにも思えるだろう」

問われた同志は相手を否定はせずに、むしろ同意であるとでもいうかのように首肯する。『鐘嵐珠』は抵抗する側の人物であり、それを落とせるかどうかという点において強い魅力を感じさせるタイプだ。

しかし、と同志は言う。

「自分は『宮下愛』は強さはあるが気が強いタイプだとは思っていない。例えば、挫折することはあるが、必ず立ち上がるし闘志を燃やす性格である一方で、打ちのめされた時には僅かにも光を失う。そういったタイプだ」

ならば『鐘嵐珠』は違うのだろうか。挫折しない? 立ち上がれない? 闘志を燃やしたりしない? いいや、そうではない。

「自分が思うに『鐘嵐珠』は光を失わない。やられたら絶対にやり返すとしているのではないだろうか。『宮下愛』のように技で乱されようと、最後の最後まで鋭く睨み、そして牙を剥こうとする。そんな人ではないだろうか」
0054名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/10(日) 20:03:38.29ID:yYBZVjvR
これで5人
0055名無しで叶える物語(くさや)
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2022/04/10(日) 20:08:43.92ID:NdU4zgdL
支援
0058名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/12(火) 07:47:22.53ID:o0CeUeAz
「ですが同志、『鐘嵐珠』は本当に痴漢を理解しているのでしょうか」

『鐘嵐珠』を推している同志の問いかけへの答えというよりも、疑問が返る。何を言っているんだと唖然とする者もいれば、その言葉の意味に深慮する者も居た。

「同志……まさか。まさか、同志はあの『鐘嵐珠』が無知だとでも言いたいのか?」

驚きを隠せないまま問いただそうとする同志に対して、発言者は微笑みながらも力強く頷く。完成されたプロポーションと、それを惜しみ無く引き出そうとしている衣装。しかしながら、自分自身がどのような目で見られるかも、それがどのような欲求かも、何も分かっていない?

「同志、自分は『鐘嵐珠』が痴漢によって学ぶという状況が素晴らしいと思います」
0059名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/12(火) 08:42:18.89ID:o0CeUeAz
部室が静まり返り、ぽつりぽつりと呟きが聞こえてくる。『鐘嵐珠』は唯我独尊とまではいかないかもしれないが、かなりの自尊心があり、自信があり、事実見合うだけのものがある。それを完璧に使いこなそうとしていることや、その自信から来る強さは、無知感を感じさせない。

だが、しかしだ。しかし、もしもそうだったら? 全てにおいてそつなくこなせるだけの力と技、知識があるようにも思わせる『鐘嵐珠』が、実は何も知らない純粋無垢な少女であったとしたら?

最初は何をされているのかも分からなくて、だんだん……自分が痴漢というものをされているんだって気付きはじめて、けれど、今まで感じたことのない身体の内側から広がっていく快感に絆されて、身悶えて……性的なものに目覚めていく『鐘嵐珠』は
どうなのだろうか。

「……なる、ほど」

『鐘嵐珠』を上げた同志は、噛み締めるように呟く。

「それは、悪くない……いや、むしろ……なるほど……」

無知な『鐘嵐珠』を提案した同志は、満足げに頷く。どちらも素晴らしいものだ。けれど、より素晴らしいものはないかという議論は、やはり必要なのである。もちろん、それは互いに認めあってこそ成立するものではあるのだが。
0060名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2022/04/12(火) 21:43:11.03ID:PvgUTg4V
続き来てたか
0062名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/13(水) 07:54:00.69ID:hW+p8UA6
『鐘嵐珠』を挙げた同志が言葉を失っていき、案が出終わったとみたのだろう。一人が挙手する。

「自分は『王道』を提案したいですね」

同好会に所属するメンバーの名前ではなく『王道』を口にした同志。各々に想い人がおり、それに当てはまる人など十人十色のはずだが、しかし、同志達はそてに当てはまる人物がみな同じであるかのように、無駄な言葉はなかった。

「同志諸君にそれぞれ推しがいることは理解しているつもりですが、これは誰が痴漢対象として相応しいかという議論の場です。であれば、推しか否かではなく、相応しいか否かで語るべきでしょう」

しかしながら『王道』と口にした同志にとっては、その人物こそが推しであるらしく、自分が語れることに満足げな様子だ。

「痴漢における『王道』とはそれすなわち――『桜坂しずく』でしょう」

にやりと同志が不敵に笑う。皆が避けた、あるいは語れなかった人物の名を、同志は高らかに宣言する。異議を唱える者はおらず、同志達は反論の余地はないといった雰囲気を感じさせる。
0064名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/13(水) 08:35:15.55ID:/9Bvac4C
異論がないとみて、同志は軽く頷いてから席を立ち、顔を上げると同志達を見渡して「そうでしょうとも」と得心のいった呟きをする。

これは否定の出来ない人選だ。痴漢行為は一般的に背後から行われるもので、ファーストタッチとしては臀部が圧倒的に人気がある。それ以外では肩や鎖骨、二の腕や腋、太ももや仙骨ラインなどというのもあるにはあるがやはりメジャーなのは臀部である。

まったくないのではなく、若干の筋肉があり、それを包んで余りある程で、しかし多すぎることのない脂肪。そうして作り上げられる丸みを帯びていて張りのある臀部。

「自分が思うに『桜坂しずく』は『臀部にて最強』であると言えるでしょう。ゆえに、痴漢対象としてこれ以上はあり得ないと断言できるわけですよ」

数値で言えば上が居るし、全体で見ればそれもまた上回る人物が居る。それはこの同志も認めざるを得ないものだ。けれども、特定の条件下においては、そんな数値上の敗北など覆せる。
0065名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/13(水) 09:09:02.33ID:/9Bvac4C
「議論を聞いていて自分は常々疑問だったことがある。いや、痴漢という行為は犯罪であるのは間違いなく、それを考慮するというのは当然ではあるし、そもそもこれは一方的に行われるものだという認識があるから、仕方がないことかもしれないけれど……」

つらつらと、考えを纏めるためか言葉を羅列していく同志に目を向けながら、皆が首をかしげる。同志はいったい何を言っているのかと。それは言うまでもないことではないだろうかと。

それを感じているためか、同志は「分かりませんか?」と問いかける。問いかけながらも答えを待ちはしなかった。

「ではご賞味あれ。目を閉じ、感じてみてください」

揺れる電車内、人混みの中で奥まった場所に居る『桜坂しずく』を。目の前で揺れる束ねられた髪から溢れる香りは鼻腔を擽り、大きなリボンは目を釘付けにし、揺れる度にぷにぷにと下腹部に接してくる柔らかくも弾力のある臀部――そして、チラリと向けられる視線と薄い笑みを。

「ま、まさか!」

同志の一人が気付いて声を上げると、同志は頷く。

「合意の上……あるいは、誘い受け。そんな痴漢だっていいでしょう?」

これは『空想』なのだから、夢物語は自由であって然るべきなのだ
0066名無しで叶える物語(かぶらずし)
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2022/04/13(水) 09:32:35.09ID:w8DQptfP
続けて
0067名無しで叶える物語(SIM)
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2022/04/13(水) 12:30:23.88ID:qvLPponh
間違った文章力の使い方
もっとやれ
0068名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/13(水) 21:45:52.95ID:dhlpCMWM
6人目
0070名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 07:39:13.46ID:o5oGXI5K
「こちらから触れる気はなかった……いいや、触れないようにしていた。なのに、向こうから触れさせてくるんですよ」

見ているのは分かってると。触れたいのは分かっていると。心踊っているのは分かっていると。大人びたものはないはずなのに、妖艶に思える笑みを浮かべている『桜坂しずく』は、こちらが顔をそらすと小さく笑う。まるで可愛い反応だとでも思っているように。

「そして『桜坂しずく』は周りには聞こえない声で『良いのに』と、言うんですよ。こちらを横目に見て、電車の揺れに合わせてわざと臀部を突き出して」

ぶつかってしまったことを詫びるために振り向いて、やらしい笑み浮かべながら「ごめんなさい」と言ってくる。それはぶつかったことに対するもののはずなのに、まるで触る気概も無いのに気を引いて。と言われているようにも錯覚してしまう。

「そう。『桜坂しずく』は『王道』ゆえに、我々は『痴漢をする』のではなく『痴漢をさせられる』ことになるんですよ」
0071名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 07:55:16.12ID:o5oGXI5K
同志達は痴漢において相手に優位に立たれるべきではないと考えているようだが、しかし『王道』はそれをいとも容易く打ち崩してくるだろうというネガティブな信頼もあって、焦燥を感じさせる空気が漂う。

痴漢の実行犯は、周囲に悟られ有事になるのではないかという緊張感によって気を高める……いわば、精神的マゾであることが多いとされている。しかしそれは相手の下位になることでは満たされないし、許されないことだとも言われるが『桜坂しずく』はそんなことなど忘れさせる。

技があっても『桜坂しずく』は喜ぶだろう。技がなければ『桜坂しずく』は導いてくれるだろう。そして、別れの時に彼女は言う『また、機会があれば』と、仄かに赤く染まった笑顔を浮かべながら。

『桜坂しずく』は知人でも友人でも親友でも恋人でもなく、ただただ『痴漢関係』でしかない。

「我々は同じ時間、同じ車両、同じ箇所に乗り続ける。そこにはいつも『桜坂しずく』がいるからです」
0072名無しで叶える物語(SIM)
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2022/04/14(木) 08:29:06.18ID:yOJfd3fJ
この性への熱量感でファンタジスタドールイヴを思い出した
0073名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 08:41:23.00ID:o5oGXI5K
痴漢をするか、させられるか。行動自体は同じであってもその違いはかなりの違いがある。されているのか、させているのか。その違いだってある。

ただ、『桜坂しずく』は後者足り得るものがある。他のメンバーでは首をかしげることも、彼女であればと納得できる。

「自分からは以上ですよ」

語り尽くしたと息を吐き『王道』を語った同志は着席する。ある程度の要素が語られ、今までとは一線を越えた場所に居る『桜坂しずく』を出したことで、議論は収束に向かいつつあると皆が感じたのだろう。同志達の中で、一人が挙手した。

「さて、そろそろ出尽くしただろうか?」

『天王寺璃奈』、『中須かすみ』、『宮下愛』、『朝香果林』、『鐘嵐珠』、『桜坂しずく』と順に登場し、虹ヶ咲スクールアイドル同好会の約半数が語られている。必ずしも要素が一致しないとは限らないため、これ以上は語られることもないのでは? という判断だろう。
0074名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 08:59:52.26ID:o5oGXI5K
『王道』さえも語られた今、もう十分ではないかと思っている同志が多いようで、場は肯定を表すが如く、静まり返る。人物に違いはあっても、要素が同じであれば議論として成立させるのは難しくなってくるからだ。

議長代行のように終わりを切り出した同志が周囲を確認し、終わりでいいと見て席を立とうとした瞬間にその声は響いた。

「Hey Guys」

静寂が一転して喧騒に満ち、すらりと上げられている手へと視線が集中する。

「終わるには、早計ではないかな?」

そう言われても。と、惑うなかにその同志は立ち上がる。

「良いだろう。なら、自分が『ミアテイラー』を挙げさせて貰おうじゃないか。『王道』に敵わずとも、語るには十分だ」
0077名無しで叶える物語(SIM)
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2022/04/14(木) 12:10:31.01ID:yOJfd3fJ
ぴっぴの手はスラリとしてるだろうなぁ
0078名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 12:52:51.32ID:o5oGXI5K
「海外では、満員電車のことを『ジャパニーズチカントレイン』と呼ばれていることは知っているかな? それほど『痴漢』は日本文化に近しいものであり、海外においては馴染みないことなんだ」

前者は諸説あって呼ばれていない場合がほとんどということはさておき、実際の問題で『痴漢』は海外ではあまり行われることの無いものだ。すなわち、聞いたことはあるが知らない。あるいは聞いたことさえもない可能性が『ミアテイラー』にはある。

「知っての通り『ミアテイラー』は実年齢14歳と、中学生相当の年齢だ。そう……つまりは、『ロリ』というカテゴリに属する」

同志の堂々たる発言に、皆がざわめく。『ミアテイラー』が14歳という点については周知の事実であったが、高校生という肩書が『ロリ』という事実を隠蔽していたのである。危機感を覚えたのか、同志の一人が椅子を蹴飛ばすように立ち上がった。

「では語るべきではない! 『ロリ』は不可侵領域であり、触れるのは犯罪だ!」

怒号にも近しい声と、それに賛同する声が部室に響く。ここは『痴漢同好会』であって『ロリータ同好会』ではないからである。いや、仮にそうであっても『Yes.ロリータNo.タッチ』という理念のもと激しいバッシングに遭うことだろう。しかし、『ミアテイラー』を挙げた同志はまったく動じることはなかった。堂々と相手へと向き合う。

「そもそも『痴漢』が犯罪でしょうに。ましてや、『ミアテイラー』が駄目なら1年生では語ることも出来ないじゃありませんか」
0079名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/14(木) 20:06:32.88ID:IKFUqD3G
突然のhey guysは笑う
0082名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/15(金) 07:50:06.54ID:ptX0lnvd
「我々は夢を語っているのでしょう? 夢でさえ語ることが出来なくなったらその渇望はどこへ持ち出せと言うのですか。現実に不法投棄などするわけにはいかないのですよ」

夢だからこそ、許される。真に許されるかは別だろうし、抱くことさえ誤りであるのかもしれないが、しかし、人間には知性があり、その知性から産み出される好奇心や欲求というものは止まることを知らない。それを破棄出来なくなれば、人は易く壊れるだろう。

声を荒くしていた同志達が口を閉ざすと、穏健派とみられる同志がそうっと手を上げて発言する。

「良いでは有りませんか。頭の片隅で『※登場人物は全員18歳以上です』とテロップでも流しておきましょう。良くあることですし……ね?」

この話題はここまでにしましょう。と、暗に込められた妥協案に皆が同意する。別段、否定側が間違っているわけではないし『ミアテイラー』を切り出した同志も、夢であれば誤りではないからだ。この議論はどこまでも平行する。ゆえに、妥協は必須だ。

穏健派の同志の目配せを受けて、『ミアテイラー』を推している同志が会釈し話を戻す。

「さて……自分はだからこそ、『ミアテイラー』は無知だと思うわけですよ。それも『鐘嵐珠』と違って行為の意味は知っているけれど、されるということを知らないわけです」
0083名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/15(金) 08:56:17.21ID:ptX0lnvd
他の人に比べて、発育が良くないとネガティブに考えた末に『痴漢』されるわけがないと考える『天王寺璃奈』とは違って、『ミアテイラー』は年齢に対して十分に発育がいいと言えるだろう。

だからこそ、自分が性の対象に含まれるかもしれないことを自覚し、しかしながら、まさか自分がそんな目に遭うわけがないだろうという確率的な安寧に身を委ねているという状況に至ることが可能になる

「想像してみてください。あの解らせたくなるような性格をしてる『ミアテイラー』が、びくりと身体を跳ねさせてきゅっと唇を結び、まさか、そんな、自分がとうち震えている姿」

満員電車という悪しき風習に遭い、ただでさえ意気消沈としているところに襲い掛かる臀部を愛でられる感覚。その気強さからふざけるな! と怒りを覚えるものの、それと同時に反抗した場合の注目と反撃に萎縮して……結局、なにも出来ない。

臀部の脂肪を撫で、肉を揉み、筋を指でなぞって……と、手練れているような手つきで弄ばれ、苛立ちながらも身に染みて感じてしまっている姿

「……昂るなとは不可能でしょう」
0086名無しで叶える物語(かぶらずし)
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2022/04/15(金) 12:06:17.66ID:rIeEKSlH
ふむ
0087名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/15(金) 18:58:37.14ID:mwulurt1
これで7人。全員分語ってほしい。
0088名無しで叶える物語(SIM)
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2022/04/16(土) 12:27:04.63ID:cqTo2wC5
胸もケツもデカい女が沢山残ってるよなぁ
0097名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/19(火) 08:07:06.03ID:j20yQqeq
最初は憤っていた同志達も落ち着きを取り戻し、静まる部室に残った語り部の余韻。ああ確かに、『ロリ枠』であることを除けば、それは滾るのも無理はないのではないかという同調に似た空気が流れる。

『痴漢』によって自分はこんなにも淫らであったのかと自覚させられ、次第に堕ちていく……所謂、分からせられていく『ミアテイラー』は、なるほど魅惑的である。

「それが齢15にも満たない少女から得られるともなれば、犯罪的でしょう」

ゆえに禁忌。空想でのみ許され、決して現実に持ち出してはならないエクスタシーであると『ミアテイラー』を挙げた同志は口にして、席に座る。

「良いですね……素晴らしいと思いますよ。ですが、そうですねぇ……あえて『三船栞子』はいかがでしょう?」

にこにことした笑顔で、一人の同志がまた別の名前を挙げた。
0099名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/19(火) 08:59:53.24ID:j20yQqeq
その笑顔に向けて、一人が手を上げて発言する。

「待ってくれ。『三船栞子』だと? 年齢はともかくとして、彼女には特筆して愛でられる部分がないように思うが?」

その疑問には、もっともだ。といった同意と見られる首肯や呟きがまばらに聞こえてくる。それもそうだろう。齢14にしては発育が良く、留学生というアクセントのある『ミアテイラー』や、逆に貧相な体型で自分に自信を持てない『天王寺璃奈』

かわいいを自称しているがゆえの『中須かすみ』、セクシャライゼーションの代名詞とも謳われる『桜坂しずく』といった面々に比べれば、『三船栞子』にはこれといったものがない。

八重歯がワンポイントとして挙げられるが、今語られているのは
は『痴漢』である。その特徴が活かされる口淫はその範疇を越えているため、無意味だからである。

しかし、同志はそれを一笑に付す。

「埋もれることは否めませんがね? しかし『三船栞子』は『中須かすみ』と同じく1年生らしいスタイルであり、そして『真面目』なんですよ……『痴漢』において『真面目』なことは良い素材になるとは思いませんかね?」
0101名無しで叶える物語(SIM)
垢版 |
2022/04/19(火) 12:18:26.32ID:iiyMfQxV
筆者は貧乳が好き
なぜなら残ったメンバーはもう巨乳しかいないから
0103名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/20(水) 00:00:00.63ID:Ujrxb+ke
8人目。続いてくれ
0115名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/25(月) 07:43:37.59ID:FfI/8YlX
「目立った身体の膨らみがなかったとしても、しかしながら『三船栞子』は間違いなく女性の身体……そして、『真面目な性格』でもある」

間違いなく『痴漢』という行為に対して嫌悪感を持ち、その対象とされたならば『三船栞子』は怒りを露にしてこちら側に歯向かって来ることだろう。八重歯だけに。

しかしながら、所詮は少女。真面目だろうがなんだろうが、純然たる少女であるがゆえ、社会的制裁の一切を恐れぬ我らに抗いきることなど……きっと出来ないに違いない。

「最初こそは威勢良く、睨みを利かせようとしたり、あわよくば足を踏んづけてやろうとするものの、動じず、あろうことかより触れてくる『痴漢』に恐怖が募り……次第に震えが止まらなくなっていくんですよ」

耐えるべきか抵抗するべきか……抵抗したいけれど相手は全く動じない。ならやっぱり耐えて次の停車駅で降りるべきなのではないか……と『三船栞子』は必死に考えて

そんな『三船栞子』の臀部を荒々しく鷲掴みにすると、普段の毅然とした声色の一切感じられない、少女然とした小さな悲鳴をあげる。

それはどこか、心地よさを感じているようで――

「そして、こう囁いてあげるんですよ。『貴女には痴漢される適性がありますよ』と」

そんなことはないと目を見開く間にも、身体に迸る感覚に震え、乱れ、溺れていく。『真面目』だからこそ、そんな『不正行為』に没していく姿

「……味わいたいとは、思いませんか?」
0116名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/25(月) 08:08:42.84ID:FfI/8YlX
「彼女自身の性格を刺激する……と?」

なるほどと呟いた同志の発言に『三船栞子』を挙げた同志は満足気に頷く。身体への刺激もそうだが、精神面への刺激も有用である。『痴漢』には2種類ある。『身体の痴漢』と『心の痴漢』そして、真面目であればあるほど、『心の痴漢』は効果的なのである……と、同志は信じていた。

「性格からして『三船栞子』は絆されやすい。そして自らに『痴漢』される『適性』があると染み込まされれば、彼女は誘う側に転じる可能性さえ秘めているんですよ」

されるがままだったり、反抗的だったりは極々メジャーなものだが、目覚めて誘い受けに転じる可能性というものは、大変貴重であり、最高の素養である。

「素晴らしいでしょう」
0117名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/25(月) 08:57:08.88ID:FfI/8YlX
ああたしかに悪くはないものだなぁ……と、安穏とした空気が流れる。ここまで半分以上の同好会の女性陣の名を挙げ語ってきた同志達。時間は決して長くはないけれど、空想という、非肉体的な労働によって酷使された脳には疲れが出ているからだろう。

「以上で終わりだろうか?」

また、一人の同志が問いかける。あるなら語り、なければ閉会とする。そんな空気感の中で問われた同志諸君は、そうだなぁ……とありそうでなさそうな曖昧な言葉を口にする。

そして……

「ムッツリスケベ」

誰かが、呟いた、ぼやきにも思える、僅かな喧騒でさえ掻き消されそうな小ささだが、しかしながらそれは、まるで天命が如く澄んだ一瞬の合間を縫っていた。

誰かが、立ち上がる。

「……まさか『優木せつ菜』か?」

ムッツリスケベといえば『朝香果林』をあげる人もいるのだが、彼女は別にムッツリではない。言ってしまえば耳年増である。やはり、ムッツリスケベといえば『優木せつ菜』だろう。

そういったものは好ましくないと言った態度を取る一方で、興味津々に耳を傾けているような姿勢が正しくそれである。

そして何より――

「彼女は『真面目さ』を持った『中川菜々』でもある……」

『痴漢』は身体つきだけでなく声や性格と言った少女達が持つ全てを吟味し、それを空想へと昇華させるために一般人に比べて見極める力がある。

ゆえに、同志諸君は気付いている。『中川菜々』という『真面目』な少女と、ムッツリスケベで快活な『優木せつ菜』が同一人物であるのだと。

同志の一人がそれを口にすると『ムッツリスケベ』を挙げた同志がゆっくりと席を立った。

「いかにも、みながご存じであろう『優木せつ菜』そして『中川菜々』こそ、適任ではないかと自分は思っているがいかがか?」
0119名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/25(月) 13:44:37.87ID:1Wv61GtN
9人、いや10人?
0122名無しで叶える物語(茸)
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2022/04/26(火) 07:51:12.27ID:eKxxS8D8
「言うまでもないが、『優木せつ菜』と『中川菜々』が同一人物だからといって、『痴漢』においてまで同一であるとは限らない」

それは二面性を持っている上で重要なものであると同志は考えている。二重人格であれば、それはもちろん異なったものであるべきだろう。

しかし人格ほど大きなものではなく、時と場合によって自身の在り方を変えるというのは、同一人物かつ同一人格であることに代わりはないため、同じではないか。と考えられやすい。

だがしかしだ。それはあまりにも浅慮だといわざるを得ない。特に自らの思慮深さが直結する空想世界を必須とする当同好会において、その固定観念は視野を狭める禁忌とさえ言われるほどである。

「自分が思うに、『優木せつ菜』はあえて痴漢されるような格好はしない……いや、自分が知る彼女はそもそも、その手のセンスに欠ける節があるのだが……」

残念ながらといった様子の同志に対して、ほぼ満場一致の同意が聞こえてきた。『優木せつ菜』および『中川菜々』は、勿体無いがとても個性的なのである。
0124名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/26(火) 08:58:23.87ID:eKxxS8D8
その個性的ファッションセンスのこともあり『優木せつ菜』はどちらかというと『痴漢』されにくいタイプである。身体つきこそ、膨らみ十分で選択の余地があるのだが、如何せんロリータなのである。場合によっては少年のようなファッションだが、身体がそれを突っぱねているに過ぎない。

「だからこそというわけでもないが『優木せつ菜』は自分が『痴漢』されるとは考えていない。だが、それゆえに無防備なんだ」

電車に揺られながら、あのお店に行こう。あれを買おう。あれはあるだろうか。今日はライブだ。今日はあのイベントの日だ。そんな陽気な楽しみを抱き、ついつい浮かべてしまう屈託のない笑顔。そこに忍び寄る――影。

この子は触っても抵抗しないか、騒がないかと確かめるように臀部へと触れてくる感覚。純真しかしながら無垢ではない『優木せつ菜』は、それが『痴漢』だとすぐに気付く

「けれど『優木せつ菜』は、『ムッツリスケベ』ゆえにこう思うわけだ。『自分も対象なり得るんだ』と」

『痴漢』は犯罪であるが、しかし、されるだけの魅力がなければその手は伸びない。スクールアイドルなんていう衆目に素肌を晒すようなことをしている彼女は、特段強く承認欲求を得られるであろう『痴漢対象』として選定されたことを――

そこで、同志は言葉を切った。聞き入る同志諸君の静寂に、まさかと気付きを得た者達が喉を鳴らすのが聞こえる。語り部である同志は、ふっと笑みを浮かべながら口を開く。

「そう。『優木せつ菜』はそれを悦んで受け入れるのだ」
0127名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/27(水) 08:36:37.88ID:MB/Hu56j
触れられることに驚き戸惑うのは一瞬で、すぐに身を委ね受け入れる『優木せつ菜』は臀部を撫でられて小さく声を漏らし、腰をなぞられて身震いし、背丈に見合わない膨らみへと試みられる感触に、やっぱり気を惹くのはそこなんだと、赤みがかった笑みを浮かべる。

抵抗せず、受け入れ、徐々に穏やか――優しくなる感覚に『痴漢』はある種の愛であると感じ、悦びに満たされ恍惚とした表情を見せる『優木せつ菜』の姿

「どうだろう? 良いとは思わないか?」

疲れた身体に鞭打つ普段の熱量は上気し、ふやけていて、ホットアイマスクのように心地よく空想に疲れた脳を癒してくれるようだった。

そのうたた寝から一足早く戻った同志は深々と頷く。

「良いと思いますよ。実に……ただ、自分は『中川菜々』も気になりますね。同一人物でしょう?」

逃れようのない疑問。『優木せつ菜』と『中川菜々』は似て非なるものと豪語する同志の語りに期待する視線が多く向けられる。どのようにして差別化されるのか。それが有意義なものであると納得させられるのか。

同一世界における『優木せつ菜』あるいは『中川菜々』からの相互変換といった使い分けではなく、単一個体としてみる場合の有効的な空想とは何ぞやと。
0128名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/27(水) 09:00:20.76ID:MB/Hu56j
「確かに空想世界を組み上げるにあたっては、二重人格を含めて同一個体として扱い、スイッチのようにオンとオフを切り分ける形で考えるのがメジャーと言える」

まれに、人格分離式の世界観を構築し、同一人物異人格での関係性を見出だす者も現れるが、今回に限って言えばそれではないし、『優木せつ菜』が『中川菜々』に、あるいはその逆の立ち位置で『痴漢』されるというシチュエーションには興味が湧く人もいるだろうが、それでもなく。

「自分としてもスイッチ式を採用したいと思う。が、そのボタンは『虹ヶ咲の制服』という点を意識して貰いたい」

『虹ヶ咲の制服』を着ているということは、学生――つまりはJKである。特例もあるが、旬の時期と言われることの多い3年間の真っ只中にいると自覚が湧くことだろう。

そして『中川菜々』は、それを身に付けている間は『真面目な学生』でなければならない。『優木せつ菜』になってはならない。欲求を解放してはならない。

「だからこそ『中川菜々』は誘わずにはいられない」
0131名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/28(木) 08:24:53.65ID:QiwX3luo
校則であるべきスカート丈よりも僅かに短くし、電車はあえて人目につきにくく、かつ囲まれやすい奥の奥

背筋を伸ばし、胸を張り、触れてみたいでしょう。と問うように見せつけ、向けられる視線に紅潮しながら微笑む。

「そうして誘いながら、電車に乗り込み背後に立った人にわざと臀部を触れさせる。どうぞどうぞ触ってくださいと」

そして、相手が痺れを切らして触れてくると『中川菜々』はあえて、足を肩幅ほどに広げる。もっと。もっとしてください。と。

真面目そうな顔をしているのに、萎縮してしまうのではなく協力的で、むしろもう少し深くと要求するように臀部をつき出すような動きを見せるのである。

それはどこか『王道』を彷彿とさせるようなもので。

「しかし『中川菜々』は『真面目』それゆえに義理堅い……そして礼儀正しい。分かるかな……『桜坂しずく』のようにただ弄ぶだけではないんだ」

同志の発言にみなの眉が動く。一部は先を読み、うんうんと頷いているが、疑問符を浮かべている者はどう違うのかと首を傾げている。それを確認し、同志は口を開く。

「そうして、一頻り楽しんだあとに『中川菜々』は我々に触れてくる。してくれたお礼だと、心だけでなく身体まで癒してくれるんだ」

こちらが『痴漢』するだけでなく、『中川菜々』が『痴漢』をしてくれる。それはとても――

「自分はその出で立ちからすでに性的衝動を揺さぶる『王道』も好みだが、『真面目』であるがゆえに、性的欲求が強い『王道』の方を推したい」

『中川菜々』はいわば『桜坂しずく』と『三船栞子』のハイブリッドであるのだと、同志は力強く掲げる。

「立派な凹凸のある矮躯でありながら、淫乱な側面を併せ持つ真面目そうな眼鏡女子……」

それはもう、豪華海鮮丼の比ではない。
0132名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/28(木) 08:40:04.07ID:QiwX3luo
「いかがだろうか。『優木せつ菜』そして『中川菜々』同一人物でありつつも、異なる属性をもって『痴漢』される姿。推さずにはいられないだろう?」

同志の自信に満ちた問いに反対意見は出なかった。確かに『中川菜々』と『優木せつ菜』は一粒で二度美味しい完璧な食材である。好みに合わせて調理することでどちらも扱えるし、同時に味わうことも不可能ではない。

一人でフルコースを作り上げられそうなそれは『王道』であり『反則』であるとも言えるかもしれない。

部室が静寂に包まれていき、これは決まったなと早合点しかけた同志の視界に、一人の挙手が差し込まれる。

「でも、自分は『高咲侑』をあげたいかな」

よろしいですか? と、その同志は立ち上がる。
0133名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/28(木) 08:58:53.50ID:QiwX3luo
同志諸君は当然だが『高咲侑』という人物を知っている。彼女はスクールアイドルではなく、マネージャーという立場を取ってはいるものの、よくよく見かける人物だからである。

スクールアイドルじゃないのに『痴漢対象』として適切なのかという疑問もあるだろうが、『虹ヶ咲スクールアイドル同好会』の一員であれば良いのである。そこに所属していれば、彼女にもチェックボックスが与えられるし『痴漢対象』という栄誉を得る権利が与えられるのだ。

無論、それはこの同好会の考えであって、公的に認められたものではないことは忘れてはならない。

「もちろん『優木せつ菜』も『中川菜々』も素晴らしいと思いますけど、でも『高咲侑』は『ミアテイラー』などと別ベクトルで自覚が足りてない……っ」

同志は僅かに腹立っているかのような。そんな雰囲気と声音で切り込んでいく。

自分はスクールアイドルの華々しさには劣ると、個性に欠けると、可愛らしさがないと。ああだこうだと宣っている『高咲侑』だが、むしろ、その分からず屋加減にこちら側が日々のたうち回っているくらいだ。

「そんなの――分からせるしかないと思いませんか?」
0142名無しで叶える物語(かぶらずし)
垢版 |
2022/05/01(日) 20:37:56.33ID:4HFennuX
いつの間にか俺も「同志」の一人になってる
0143名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/05/02(月) 05:19:30.01ID:1siXsWPL
言葉では伝わらないこともきっとあって、特に、自分はそうではないなどと思い込んでるような人には実力行使が必要な場合だってある。

自分がどれ程の魅力を内包しているのか『高咲侑』に知らしめなければならず、その手段として『痴漢』はこれ以上ないほどに有効だと言えるだろう。

そんな目に遭うだなんて微塵も思っていない『高咲侑』は、当然ながら無防備だろうし、決してそんな目で見られているとも、そんな手が自分に延びているとも察する能力に欠けていることだろう。だから、背後に我々の誰かが立ったとしても、振り返って警戒することさえしないはずだ。

それはあまりにも愚かしい油断ではあるが、しかし、だからこそ純粋無垢で可愛らしいとも思えるし、それを汚してしまいたい――分からせてやりたいとも思わされる。何とも酷い話だと、同志は悪態をつく。
0144名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/05/02(月) 05:46:40.25ID:1siXsWPL
良くある話だが『痴漢』された際、大抵の人はそれを偶然だと考えて気にしないようにしようとする傾向にある。というのも『痴漢』はやはり、犯罪行為に相違なく、それは受ける側からしたら恐れるものだからだ。それは単なる偶然の接触であり、決してそんな目に遭っているわけではない――と、いわば現実逃避するのは、人間の性とも言えるだろう。

もちろん、それにだって例外はあるだろう。『王道』足る資格を持っている『桜坂しずく』は、偶然などとは思わずに『チャンス』だととらえるだろうし、それは『中川菜々』も同様だろうから。とはいえ、それは同志諸君の偏見なのだが。

「類に漏れず『高咲侑』もまた偶然だと捉えると思う。自分はそんな目に合わないという自己評価の低さから来る、思考放棄ゆえに。そんな『高咲侑』の臀部にもう一度手の甲が当たる。今度は電車の揺れなどもなく、明らかに故意に感じられるようなシチュエーションで」

けれど。と、語り部である同志はため息をつく。その目は悲しげだった。

「きっと『高咲侑』はこう考える。鞄か何かがぶつかっただけ。気にすることじゃない。と。だって、電車は混雑しているんだから。そういうこともあるよね。と」

全く持って、度し難い話である。電車の揺れもない中、手の甲が触れたことに対してさえ警戒する必要がないほどに、自分の魅力はそれに値しないなどと評価しているのだから。

「我々からすれば、それはもはや『侮辱』だ。なにせ『高咲侑』を選ぶ我々の見る目がないのだとあざ笑われているに他ならないからね」

同志が言うと、室内のどよめきが広がる。そこまでの話かと疑問符を浮かべる同志もいるが、確かに。と同意する同志も少なくない。『痴漢』を行ううえで、『大人しそうだし、抵抗しないだろうから』なんて理由で狙う人も確かにいる。それについては同志諸君も認識しており、許しがたいものだとも思っている。

『痴漢』は、『痴漢対象』の心身に酷く傷を負わせるものである。ゆえに、同志諸君は空想から外には出さない。現実へと持ち出すことはしない。ロリコンと呼ばれる者達が掲げる理念である『Yesロリータ、Noタッチ』と同様に『Yes痴漢、Noタッチ』であるべきなのである。

話は逸れたが『高咲侑』の無頓着さは、もはや我々の尊厳に傷を負わせるほどの力を有していると言えるだろう。

「だからこそ、接触は慎重に。かつ大胆にそして――発覚を恐れることなく挑むのである」

想像して欲しい。と、同志は声を響かせてゆっくりと目を閉じる。瞼の裏に浮かぶのは、スクールアイドルに負けず劣らずにもかかわらず自己評価の低い『高咲侑』の後姿だ。
0146名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 08:22:31.29ID:FwrSnMHH
電車の揺れに合わせるようにして、臀部に何かが触れる感覚を覚えつつも、気のせいや偶然だとして気にも留めない『高咲侑』に、今度は電車の揺れから外れたタイミングで接触を試みる。それでも、自分はそれに値しないなどと誤認している『高咲侑』はまるで気に留める様子はなく、ほとんど無反応だ。

そこで、手の甲ではなく手のひらで臀部を撫でると『高咲侑』は小さな声をあげる。偶然ともとられやすい、手の甲での接触と違い、手のひらを使った包むような愛撫は『触られた』と認識させるには十分な感覚を相手に与えることが出来るからである。

それは『高咲侑』とて例外ではなく、しかし、『高咲侑』はそれでも偶然だと切り捨てる。だって、周りにはもっとかわいい子がいる。綺麗な人がいる。そんな中で自分にそんなことするような人なんていないだろう。なんて、我々が憤慨しかねないことを平然と考えているからだ。

その意識の表れが『高咲侑』を包むボーイッシュファッションである。それ自体は特別悪いことではないのだが『高咲侑』に関しては、自分に合うのはそちら側であるといった『諦念』から来ているもののように思われるのが好ましくない。

「だからもう一度、臀部に触れる。手の甲ではなく手のひらで。撫でず、揉まず。ただ包むように触れるだけ――でも、それが『高咲侑』に気づかせる。自分は『痴漢』されているんだって」

どうして自分なんかがと戸惑う『高咲侑』に、囁く。

「可愛いからだと。それに値する魅力があるからだと」

それと同時に臀部を撫でてそれが嘘ではないことを『高咲侑』の身体に教えてあげると、自分にはそれだけの魅力がないという自意識の低さから生まれる防壁が瞬く間に崩れ、ごく普通の少女に恐れた表情を見せる。

「もちろん『高咲侑』はやめて欲しいと言ってくるけれど、当然ながら止めるわけがないでしょう。臀部を撫で、そして、揉み、体躯に釣り合わない大きな膨らみを下から支えるように触れてあげる」

こんな魅力の詰まった身体をしているくせに、可愛らしさに欠けるだとか没個性だとか何をのたまっているのかと囁きながら『痴漢』し、そして、『高咲侑』に言わせる。

私はかわいいと『痴漢』されるに足る魅力があると。言わさせ、認めさせるのだ。
0148名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 09:04:36.93ID:FwrSnMHH
『痴漢』される恐怖と、『痴漢対象』に選ばれるだけの魅力があると認めて警戒して来なかった後悔とでうっすらと涙ぐみながら、「私はかわいいです。ごめんなさい」と繰り返す『高咲侑』は、可哀想だけれども可愛らしい。何より自業自得である。

「そして『高咲侑』はボーイッシュファッションを避けてスカートなどを着用するようになるんですよ。自覚が足りてなかったから狙われたんだって考えて、もっと女の子らしくしなきゃって」

『朝香果林』や『宮下愛』、『上原歩夢』といった同好会の面々に相談を持ちかけて、恥じらいを持った女性へと変わっていく『高咲侑』の姿

「自分は……そんな『高咲侑』が見たい! ニジガクの制服だけがスカートだなんて勿体ない! どうなんですか同志諸君は! そうは思いませんか!?」
0149名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 10:30:20.89ID:FwrSnMHH
「なるほど……着目すべきは『痴漢中』ではなく『痴漢後』の『痴漢対象』の行動ということか。その点で言えば『中須かすみ』にも言えることだが、『中須かすみ』はややネガティブな結果であるのに対し、『高咲侑』は非常にポジティブだと言える」

自覚してこなかった結果、本来得られた評価を得られなくなってしまった『高咲侑』に正当な評価が下されるようになったというハッピーエンド。これに勝るものはない。もしこれで『痴漢』として逮捕され人生が終局に転落するのだとしても『痴漢対象』が幸福を得られるのであれば、正に痴漢冥利に尽きるというものである。

「我々が『痴漢』出来るという幸福、『高咲侑』が少女として、女性としてより可愛らしく、より美しくなっていくという幸福。素晴らしいでしょう?」

語り部である同志が問いかけると、同志諸君は一理あると頷く。『痴漢』は本来、独善的な愛であるが、互いに幸せになれるならばそれはもはや両思いではないだろうか。いや、それはない。だが、それは最良と言える。ゆえに、同志諸君は反論を持ち得なかった。
0150名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 11:40:38.84ID:FwrSnMHH
「とはいえ、自分は『エマヴェルデ』を推しますけどね。だってほら、分かるでしょう。あの『痴漢』されるための身体」

『痴漢』されるというか、『痴漢』させる身体をしているのだと、同志は言う。一目見た瞬間に、あっ触りたい。と理性を貫くほどの欲求を抱かせ無意識に『痴漢』させる魔性のボディ。

日本では得がたいそれは、実りある大自然にて放牧され伸び伸びと育まれたスイス産である。何が黒毛和牛か。良いだろうスイス牛。

「自分だったら『エマヴェルデ』の魅惑のボディには抗えない。それだけの魅力が詰まっている。たとえ隣に『朝香果林』が並んでいようと『エマヴェルデ』に触れるね。間違いない」

なにせ『エマヴェルデ』はそんな素晴らしき身体でありながら『無垢』なのである。その偉大さをそこまで理解していない。全くもって惜しい話だが、それは自覚されると隠蔽されかねないため、中々に示しがたい。

「きっと『エマヴェルデ』は電車の揺れに合わせて触ったり抱きついたりしても驚く程度で『痴漢』を疑いもしないはず」

すみません。と、一言言えばそれで笑って許してくれる。そこには恥じらいも何もなく、純真な笑みがあるだけだろう。
0151名無しで叶える物語(SIM)
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2022/05/02(月) 12:37:33.57ID:zsbpQYme
>>150
最初の一言ぐうの音も出ないわ
0152名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 13:23:17.94ID:2HgvlRRf
「だが――『痴漢』が『痴漢』と思われなくて良いのか! 良いわけがない! そうでしょう!」

『痴漢』の技術を持ってしても『痴漢』とされず、寵愛に受け止められる。それは一般人なら包まれたいと思うものだろうが、生憎と我々は『痴漢同好会』である。それに甘んじるのはプライドが許せないのだ。

「当然『エマヴェルデ』は強敵だ。ただの『痴漢』では「めっ!」されて「ママごめんなさい」で終わってしまう」

必要なのはそう、技術力である。一手で身を震わせ、二手で唇を噛ませ、三手で熱を帯びた吐息と共に甘え声を漏らさせる技量。

「しかし、自分はそれを持っていないべきだと思う」

叫ぶような熱量から、一転して鎮まった雰囲気から発せられた言葉に部室が騒がしくなる。さっき言っていたことと違うのではないか。プライドはどうしたんだと、不満が囁かれるが、同志は静かに首をふって答える。

「予めその技術を持っているという『空想』の特権はあっても良いかもしれない。だが、あえてそれを持たないという設定もまた活かせられるのではないだろうか」

『空想』でまで現実を見たくない。その気持ちは分かる。強くたって良いだろうと思いたい。だが、あえて『エマヴェルデ』に敗北したって良いではないか。

「我々は『エマヴェルデ』に敗北し、その雪辱を果たすために果敢に挑むんだ。そして『痴漢』という行為があるのだと彼女に知らしめるんだ」
0153名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/02(月) 18:14:10.14ID:2HgvlRRf
電車の揺れに合わせて、触れる臀部。その膨らみは弾力があってただの接触を接触とすら思わせず、撫でてみるが『エマヴェルデ』は気に留めてさえくれない。

ならば……と、ぎゅっと鷲掴みに近い形で揉んでみるが痛みを与えるだけで『エマヴェルデ』には『痴漢』とさえ思って貰うことが出来ずに敗北を喫する。

「心が折れるかもしれない。だが、あの身体を弄び、手中に収めたい。あの声を甘く解かしたい。なによりも、見返してやりたいという熱意を持って立ち上がり、挑む」

触れるその手は優しく柔らかいフェザータッチ。それを気にしないことを良いことに、弧を描く撫でかたをする左手の一方で、圧し揉む力加減で臀部を責める右手。

故意に触られていると『エマヴェルデ』が察する頃には、たわわに実った膨らみへと手が延びる。下着を身に付けていても重量を感じるそれが下から支えあげられ、愛される感触。じっとりと汗ばんだところに吹き込む風は心地よく、小さな声が漏れる

そして『エマヴェルデ』の乳を搾れそうな膨らみを軽く擦ってあげてから、ゆっくりと揉みしだいてあげると……もう、いくら『エマヴェルデ』でも自分が悪いことをされていると自覚するだろうがもう遅い。

小指から中指までをマッサージするかのような手つきで動かしながら、人指し指を使って先端を弄ってあげれば――『エマヴェルデ』の身体が微かに震えて熱を帯びた吐息が漏れる。
0154名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/05/02(月) 21:44:03.67ID:ntLB8H31
これで残りはあと1人。続いてくれ!
0155名無しで叶える物語(SIM)
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2022/05/02(月) 21:51:59.61ID:3mI6Lh/4
まだエマのいいところだろ!
0157名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/03(火) 21:12:41.97ID:+sT0t/kW
純粋無垢な『エマヴェルデ』の身体を蝕んでいく快楽の味。一度味わってしまったら二度と忘れることが出来なくなるその感覚を覚えてしまった『エマヴェルデ』は、普段見せる余裕に満ちた許しの表情を浮かべることもできずに、身悶える。

大自然によって育まれた豊かさを象徴せしめる実りを弄びながら臀部を撫でおろして、後ろから包み込むように抱きしめる。それだけやっても、初めての感覚に浸されていく『エマヴェルデ』は抵抗の1つもできずにただ、甘い吐息を零していくだけ。『痴漢』という行為自体を知りえていないため、冒されていく恐怖よりも快感に満たされていくことへの恐ろしさに涙を浮かべて……しかし、それへの好奇心と欲求と言った相反する感情に苛まれて、声を出すこともままならない。

段々と熱を帯び始める吐息、温かくなっていく身体、たわわな実りには果汁のごとき汗が浮かんでいく。昂りが極限に近づくにつれて『エマヴェルデ』は小さな声で『smettila』とかなんとかいうが、我々は日本人である。通じるわけがないので、止めるわけがなかった。

そうして――あえて、達する前に手を止める。『エマヴェルデ』には最後の解放される瞬間を感じさせないまま終わりにするのだ。冒されていくことへの恐怖が取り除かれたのと同時に、昂っていった熱が満たされないまま抜けていくことへの喪失感に『エマヴェルデ』は苛まれることになるだろう。だが、それでいいのだ。電車で『痴漢』されたことで感じたことに手を出せるほど『エマヴェルデ』はそれに詳しくはないはずだから、悶々とした1日を過ごすことになる。そして、次の日に、本番が行われる。

「経験がなく強かだった『エマヴェルデ』はもういない。そこにいるのは『果て』を知りそこなった女。そうなったらもう、あとはただの『痴漢』だ……」

語り部である同志の頬を涙が伝う。『痴漢』を『痴漢』と知らず許してくれる聖母はいなくなってしまったからだ。聖母は穢れ、堕ちた。ヴィーナスフォートならぬ、ヴィーナスフォールである。

「臀部を触る手を感じ『エマヴェルデ』は気づく、前回の続きだと。だが『エマヴェルデ』は抵抗しない」

なぜか? それは、興味を抱いてしまったからだ。快感を知ってしまったからだ。そして、その先を知ることが出来なかったからだ。自分で触れてみても、触れられた以上のものは得られず、やりすぎてしまうことが恐ろしくていまいち踏み込むことが出来なかった場所へと、その手は触れてくれるのかもしれないと、思って。

やがて『エマヴェルデ』は『痴漢』されることを受け入れるようになっていく。『痴漢』を知らないからではなく、『痴漢』を知っているがゆえに、『エマヴェルデ』はそれを受け入れるようになるのだ。

「女神を穢し、堕とすこの背徳感……っ! これこそ『痴漢』の醍醐味! ただの一度しか味わえない、最高の快感……っ!」

語り部である同志は祈るように手と手を合わせ、ふっと息を吐きながら着席する。『空想』の中で堕ちた女神を想い涙する同志の姿を見ていた同志諸君は、それほどの熱意はなくとも、その言葉は理解できるとちらほらと同意するような仕草が見られた。
0158名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/04(水) 00:35:41.78ID:5V8puv6+
「女神の落日か……いいと思いますよ。ですが、忘れていませんか? 『上原歩夢』を。彼女の醸し出すフェロモンは我々の思考力を奪い『野獣』へと変質させるものなんですよ」

欲望に対して、理性というものがあるから人間は常に常識的な行動をとろうとすることが出来るし、抑制が出来る。しかし『上原歩夢』はその防波堤である理性をものの見事に爆破するフェロモンを持っている。

それがなくても、胸だってお尻だって魅力的な大きさを誇っており、まさしくキューティーバニーであるのだが『上原歩夢』秀でている大きさあるいは程よいものをお持ちの人はいくらでもいる。その部位だけで選ぶのであれば、語る必要はないはずだ。

その指摘なら同志諸君の中にも出来る者はいるのだが、しかし、同志が語るのはフェロモンである。それに関していえば『上原歩夢』は唯一無二であり、議論の余地が存在していた。だからこそ、同志はゆらりと席を立って不敵に笑う。

「実は自分、ここに来る途中で嗅いでしまったんですよ。ふふっ……『上原歩夢』のフェロモンをね」

羨望と動揺、犯したのかという憤りといった様々なものが部室に渦巻き、響き渡る中で、同志は静かに手を上げて発言の許可を求めると、静まった同志諸君に感謝を述べて、薬をキメた笑顔で感謝を述べる。

「もう、ここで人生終わってもいいかもしれないと。そう思いましたね。あと1つか2つ動けば目の前に『上原歩夢』がいるという滅多にない状況。昂りを抑えられませんでしたよ。でも、自分は『痴漢同好会』のポリシーが理性の代役を務めてくれたおかげで事なきを得ました。やはり、入っていて正解でした」

同志の誇らしげな声音に信憑性を見出した同志諸君は「それなら」と口々に呟いて同志の語りが続くのを待つ。『痴漢』はしてはならない。あくまで『空想』でのお話であるべき。それが『痴漢同好会』の理念である。それに従っているなら何も問題はないし、むしろ、推しを目の前にして耐えられたことは称賛に値するものだった。

「さて『上原歩夢』は前言の通りに我々を一歩踏み出させるフェロモンを醸し出している非常に危険な存在です。猫に木天蓼と言うことわざの通りにね。それに加えて触れたくなるような丸みを帯びた見事な膨らみの臀部……これは、もう、触らせるために育ったと言っても過言ではないでしょう」

スイスの大自然で育まれた『エマヴェルデ』でも言われていたことだが『痴漢』をさせる身体というのは『痴漢対象』を決めるうえで非常に強力なアドバンテージとなる。それに関しては『王道』ですら後れを取るほどのものである。もっとも、『王道』には見るからにいやらしい雰囲気という強みがあるのだが。
0164名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 16:51:12.11ID:Nz7DGh7o
「惑わされ、伸びてしまう手……さらりと撫でてしまった我々の耳に響く『上原歩夢』の小さな悲鳴。戸惑いが色濃いその声を聞き、一瞬ながら理性を取り戻す」

しかし、動きに合わせてふわりと膨らんだ髪から舞い上がるフェロモンと、手に残る柔軟剤仕上げのような臀部の感触にいてもたってもいられずにもう一度、触れる。形良く丸みを帯びた臀部。肉厚で弾き返すほどの力を持っていながら、至福の柔らかさを持って受け止めてくれる。

恐怖に震えるのではなく怒りに震え、歯ぎしりさえも聞こえてくる。しかしながら、触れれば声が漏れる。可愛らしい声。屈辱に歪み、悦楽がわずかに滲む声。

「自分が思うに『上原歩夢』は抵抗してくると思う。その危険性は理解しつつも、なされるがままではいられない。そういう性格だろうから」

声をあげるか、鋭く刺すような視線を向けてくるか、かかとでつま先を踏みつけるか、肘鉄をかましてくるか、臀部に触れる手を弾こうとするか。どんな抵抗するかは十人十色。

そして『上原歩夢』は声をあげようとするだろう。止めてください。と、『痴漢』されていると。けれど、声をあげようとする抵抗なんて最も弱いものだ。声は上げられなくしてしまえばいいのだから。技術で責め立て、嬌声へと昇華させてしまえばいい。現実には難しくとも『空想』であればいともたやすくそれが出来る。

「声をあげたいのに、声があげられない。口を開けば糸引く甘い息が漏れてしまう。そんな『上原歩夢』の腰から手を回して、一番敏感なところに触れるんです」

誰にも触られたことのない場所への侵入を許してしまったことへの焦燥と、なおも責め立て上り詰めてくる密のように甘くねっとりとした感覚に『上原歩夢』は身悶える。

「嫌だ……嫌だ……嫌だ……。助けて、助けて……って『上原歩夢』は涙ぐむ」

けれど、そこに延びるのは救いの手ではなく『痴漢』の魔の手だけ。臀部を摩り、下腹部をまさぐり、少しでも阻もうと膝を曲げて閉じた足の間をかき分けようと動くいやらしい手だけ。

身体が温まって、熱を帯びた吐息が零れ、ぷっくりとした唇の端から細く伸びる唾液。じっとりと汗ばんで張り付く下着と、それが『痴漢』の手によって擦り上げられることで外へと逃げ出す熟成した香りが辺りに広がっていく。

嫌なのに、なのに――身体はどうしようもない熱に浮かされて小さく弾む。ベッドで1人まさぐるときよりも酷くまとわりつき、骨の髄にまで染みこんでいく解放感と、達してしまったことへの敗北感に『上原歩夢』の頬を涙が伝う。

「そうして『痴漢』が去って行ったあと、床に崩れ落ちて嗚咽を零す『上原歩夢』の姿を――同志諸君、想像できるだろうか」

その姿のなんと美しく、背徳的で、充足感に満ちていることか。

「自分はこう思うんですよ。彼女は我々のヒロイン足り得るのではないかって……ね」
0167名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 19:57:22.42ID:Nz7DGh7o
抵抗しない子もいれば、抵抗しきる子もいる。『上原歩夢』のように抵抗しきることが出来ずに折れてしまう子だっているだろう。そんな中でなぜ『上原歩夢』がヒロイン足り得るのか。それはひとえに、彼女の心の向き先が他に比べて明白だからだろう。

「ヒロイン……ヒロインか。だが、それは『悲劇のヒロイン』と言わざるを得ないな。まるで『寝取り』だ。美しくない」

しかし、同志の1人は首を横に振って、苦言を言う。『上原歩夢』を語った同志の言葉そのものを否定はしないが受け入れられないとする返しに、その同志は首肯で応じる。

「それはそうでしょう。ですが、その苦悩は我々が『上原歩夢』を知っているからにすぎませんよ。悪いですが、同志は『痴漢』の研究不足だと言わざるを得ませんね。『痴漢』は心を奪うことこそが究極の結果なのですよ」

『痴漢』は相手の交友関係には着目しない。基本的には知人を狙わないし、何一つ知り得ない赤の他人を相手とするからである。だが『痴漢同好会』は別である。『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のことを調べ尽くし、知人以上の距離感を持っていてもおかしくはなく『空想』においては、彼女たちの交友関係や家族構成に至るまですべてを絡ませて積み上げる。

だからこそ『上原歩夢』にも向き先があることを知っており、その思いを穢されて崩れた姿を愛おしく思うのだ。

「本来の『痴漢』では絶対に得ることのできない想い人がいる人を穢す悦び。『上原歩夢』はそれを味わわせてくれる。だからこそ、我々にとってはヒロイン足り得るのですよ」

中には一途になるあまりその人をつけ狙い『痴漢』やその他の非道な行いに手を染める者もいるにはいるが、言わずもがな犯罪行為である。すべては『空想』の中であるべきであり、だからこそその非道も許される。

異議を申し立てた同志は語り部である同志の反論を受けて、目を見開いてゆっくりと伏せる。同志とて『上原歩夢』を好ましく思う1人である。しかしだからこそ非道を許せなかったのだろう。

「同志の気持ちも分かりますよ。『空想』とて許せないことがあることも。しかし魅力は語られるべきだ。人間は知る権利があり、人間には語る権利がある。そして、それに対し反論を述べる権利も。だからこそこの議論の場が設けられているのだから」
0168名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 21:01:21.16ID:Nz7DGh7o
語り部である同志が手を差し伸べ、同志が静かに受け取る。白熱しかけ暴論さえも飛びかねない雰囲気が沈静化していき同志諸君の口から安堵の声が漏れる。ただの茶番である。

そんな中で、どこかからあくびが聞こえた。良く眠ったと言っているかのようなあくび。同志諸君の視線が集中する一点にいた同志は眠たげに瞼をこすり、ゆっくりと目を開いて数秒間だけぼうっとしてから口を開く。

「みんなが語る『痴漢』はどれもまっすぐだね。非道であれ、外道であれ『痴漢対象』には『痴漢』であることを認識させている。だけど――それを認識させない『痴漢』だってあるはずだよ。座席に揺られ眠っているときの『痴漢』とかね」

同志は眠たげな瞼のまま、テーブルに手をついてゆらゆらと立ち上がる。同志の語るシチュエーションは『痴漢』としてはありふれたものである。それでも他の同志がそのシチュエーションで語らなかったのは『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の面々が学生ゆえ余りある活力によって覚醒時の方が『空想』しやすいからだ。

しかし、それには適役が1人だけいる。まるで、その為に存在しているとでもいうほどに最適な『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のメンバーが。

それは。

「自分は『近江彼方』に『痴漢』した――……じゃなくて、えぇっと、そう。勧めたいね。『痴漢』において彼女のような『眠れる森の美女』は最適解だと思うんだよ」

学生としての本業である学業のほかに、スクールアイドルという運動部系の部活動とアルバイトといったこともしている『近江彼方』は他の面々に比べて1日の体力消費は相当なものだろうし、若年層特有の驚異的回復力をもってしても補いきれない疲労がある。そのため、よくよく眠る。その睡魔は普段抗うものだが、ゆりかごほど穏やかではないとはいえ、ゆられる心地よさに落ちてしまう事だろう。

「正直、隣の席に座って肩に頭を乗せて貰えたらそれで満足してしまうというか、よだれの一滴でも垂らして貰って、起きた後にクリーニング代を請求して反応を見るだけで満足できそうではあるんだけどね」

それはそれで喜ばしいものだからと語る同志だったが、しかし、ここは『痴漢同好会』であり『痴漢』を語る場である。『近江彼方』のみを語るならバスケットボール部にでも入部しておけばいい。

「さて、座席で眠っている『近江彼方』への『痴漢』は、素晴らしいものだってことを教えてあげよう」
0170名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 21:36:51.20ID:Nz7DGh7o
「彼女は日夜、心身を尽くしている。学生という若さでありながら疲労を持ち越すほどにね。そんな『近江彼方』は電車の中を休息の場の1つとしているわけだ」

ガタンゴトンガタンゴトンと揺れる車内、多少は耳障りだったり、他人の匂いだったりで寝苦しさも覚えるものだけれど、蓄積した疲労に勢いづいた睡魔には抗えるわけもなく、次第にこくりこくりと頭が揺れて――眠ってしまう。すやすやと幸せそうな寝顔だが『痴漢』を誘発しかねない胸囲を持ち、座席の幅いっぱいになりそうな臀部と、他の面々に比べてややぽっちゃりとして感じられる腰回り。

そこにまで伸びる癖があって長い髪と、そこから感じられる妹のためにと拵えた質のいいシャンプーやトリートメント、コンディショナー等の香りは女性としての魅力を高めて、誘引する。

「そして、停車の際の少し強い揺れと車内放送があってもすやぴしている『近江彼方』は、ぽてりとこちら側に寄りかかってくる。耳を傾ければ聞こえてくる小さな寝息、肩に感じる体温……我慢できる? 出来るわけがない」

まずはそうっと……『近江彼方』の腕に触れる。ややぽっちゃりとした体形が生み出している二の腕の柔らかな感触に女性に触れていることを強く意識して気分を高揚させながら、下へと流れて手を握る。

「手……だと?」

同志の1人が違和感を覚えたのか声をあげたが、語り部である同志はさも当然だと言わんばかりに笑みを浮かべながら頷く。

「そう。『痴漢』の際、相手が起きているとその手は塞がっていることがあったり、一矢報いられる可能性が高まるため迂闊に手出しできない。手だけに。でも、寝ている場合は違う。触れるんだよ。リスクが低いからね」

手を握るという行為はある程度の親しみを持っていなければすることはなく、何らかの関係性があってようやく出来ると言った行為である。関係者であれば普段からすることかもしれないけれど、こと『痴漢』においてはかなりの難易度がある。

「だからこそ、ただ手を握るだけでも充足感が得られるし、なにより――『今、恋人が隣で眠っている』と、思うことが出来てしまう」

違和感を口にした同志が目を見開いて得心がいった声を漏らす。自分の手を見つめ、そうっと握り目を閉じると、背中を背もたれに預けて、深く息を吐く。それを見届けた『近江彼方』を推す同志は話を続ける。

「そうして――目を閉じ『近江彼方』へと体を預ける。当人にとってはまるで関係がなかったり、そんな関係ではないのだとしても、周囲からしてみれば立派な『恋人』に見えるように」
0172名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 22:20:59.20ID:Nz7DGh7o
「そんな至福の時間を過ごしてから……いよいよ動く」

座席に座っている為、臀部に触れることは出来ない。けれど、通常ではなかなか手を出せない下腹部がすぐ目の前に来ているし、後ろから回り込むしかない胸もまた、目前に迫っているという状況である。

深く息を吐いて、深く、吸い込む。体に溜まっている酸素が、全部『近江彼方』の匂いに染まってしまうくらいに。寝る前の予備動作だが、赤の他人と女子高生だったら怪しさ満点でも『恋人』であれば、場を弁えろよ。と舌打ちされる程度で済む『痴漢』の一種。

「電車の揺れで離れていく『近江彼方』の頭に手を添えて、支える。癖っ毛が手のひらにチクチクとするけれど、さらさらの髪質を感じながら――優しく撫でるんだ」

疲れて眠っているから、頑張ったねと、お疲れ様。と。穏やかに。眠りを妨げることなく、揺れでどこかにぶつけてしまったり、首を痛めてしまうことを気遣っているかのように、自分の方へと抱き寄せる。

ふと、一方的に握るだけだった手が『近江彼方』から握り返される。身体の反射か、夢の中で誰かと握っているのかは分からないけれど、はたから見れば『恋人』のいちゃつきとしか思えないくらいに……想いは自分の方が上だとでも言うかのように握り返す。

そして――そうっと、頬に口づけをする。『近江彼方』の口から洩れる音が、すやすやとした寝息からほんの一瞬だけ、小さな声に変わる。目を覚ましたともとれる小さな小さな「ん……」という呟き。頬に触れたことだけは認識しているようで、唇が触れた部分を肩にすりすりとして、また寝息を立てる。

「そこまでを確認してから、キスをする。頬じゃなく、唇に。優しく触れさせる」

最悪目を覚ますかもしれないけれど、普通だったら出来るはずのないそれは『痴漢同好会』としては避けられない好奇心の墓場である。目を覚ませば声をあげられるだろうし、周囲の目障りだから死ね。が、死ね。に変わるだろう。けれどそれでもいい。だが『空想』は目を覚まさない奇跡のルートを確実に手に入れられる。

「電車に揺られながら、毎日を忙しなく生きる『近江彼方』を抱き、称賛を込めて頭を撫でて、心地よさそうな寝顔と、吐息を見守る――そんな『痴漢』があっても、良いとは思わないかな」

ありふれた性的な物を主目的とした『痴漢』ではなく、もっと別の、精神的な満足感を得ることを目的としている『痴漢』それは特殊で、マイナーで、けれどもだからこそ『近江彼方』が最適と思えてしまうもの。
0173名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 22:43:44.43ID:Nz7DGh7o
「……ほぅ」

語りを聞いていた同志諸君は、気付けば閉じていた目を開いて、一息つく。今までとはまるで違う『痴漢』はあまりにも穏やかで、平和的。いずれにしても犯罪ではあるのだが『空想』にもかかわらず、必要以上に相手を汚していない。

性的欲求によって求めている場合には物足りないものではあるが、しかし、及第点は得られるものだ。なにより、同志の語りがそうであっただけで、衣服を剥いたり、触ったりと眠っている相手への『痴漢』はそれなりにバリエーションが豊富である。

「こういうのも悪くないな。じゃぁ次――……いや、そうか。今ので最後か」

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のメンバーは、『天王寺璃奈』、『中須かすみ』、『宮下愛』、『朝香果林』、『鐘嵐珠』、『桜坂しずく』、『ミアテイラー』、『三船栞子』、『優木せつ菜』、『高咲侑』、『エマヴェルデ』、『上原歩夢』、『近江彼方』の13人だ。そして今、最後に『近江彼方』が語られたため、全員があげられたことになる。

「さて……では、誰が一番『痴漢対象』に相応しいと思う?」

今回の議論は、それを決めるのが目的だった。そのために、各々が一番と思う『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の面々を挙げて、語ったのだ。同志たちは互いに顔を見合わせる。誰が一番良かったのだろう。誰であるべきなのだろう。
口々に悩みを零し、あの子が良い、あの子も良かった。じゃぁあの子に。いや、あの子も……と。

そうして、1人が手を上げた。

「ごめんなさい。議論を終えた後にこんなことを言うのもあれなんだけど、一つだけ言わせて貰ってもいいかな」

仕切りに入ろうとしていた同志が周囲を見渡し、それに反対する者がいないのだと判断して頷くと、席に座る。それに連動して席を立った同志は息を吐いて。

「一人だけなんて選べないよ。こんなの……だからさ、みんな違ってみんないい。みんな一番――それでいいんじゃないかな」

そう、問いかけた。
0174名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/05/06(金) 22:56:16.64ID:vtoU/QIG
まだ残っていたか。途中で数を間違えていた。ソーリー。
0175名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 23:10:56.66ID:Nz7DGh7o
誰が一番なのか、良さを言い合って決着がつかなくなると、大体が悪い部分を指摘して蹴落とす方向にシフトしがちである。そんな破滅への一歩なんて避けるべきだ。と同志は声高らかに言う。

「良いじゃん。あの子が一番、この子が一番。今日はあの子、明日はあの子。『痴漢』は臨機応変に行うものなんだから」

同じ子を狙う人もいるが、それは中々にない。一度『痴漢』に遭った子は警戒心が強くなったり、電車そのものに乗らなくなることもある。そのため、別の子が狙われるのが殆どだ。

「賛成の人〜」

問いかけた同志が反応を確認するために手を上げると、ぽつぽつと手を上げる同志が現れ、一人また一人と不得手、全員の手が上がる。誰が一番かなんて決められない。個人的な一番は簡単に決められるけれど、総意としては簡単ではないし、対立することになってしまうと考えたからだろう。

今回の議論がそもそも無駄になってしまうかもしれないが『痴漢同好会』としては様々な好みと可能性を聞くことが出来ただけでも十分な収穫でもある。

「なら、ひとまずは閉会……かな? あ、でも、くれぐれもこの前の講師のように現実世界で手は出さないようにしよう。偶然にも状況を得てしまったとしても、決して行わないこと。万が一侵害されている子がいたら、我々はそれを救うべきであることを忘れないようにね」

『痴漢』は犯罪である。だからこそ『空想』で完結しなければならない。そこから手を出してしまったら、終わりである。

「もうこんな時間だよー」

お疲れ様〜と、同志達は家路につく。途中までは同じ道だからと固まって、けれどそれも少しずつ分かれて行って、やがては1人になって、家にたどり着く。けれど、同志達はまた集うだろう。誰かが「今日は、乗っていくか?」と口にして。同志達のみが知る部室の明かりを灯し、また『痴漢』を熱く語り合うのだろう。
0176名無しで叶える物語(茸)
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2022/05/06(金) 23:15:39.44ID:Nz7DGh7o
以上で終了となります。
一ヶ月と長い間お付き合いありがとうございました。
0179名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2022/05/07(土) 00:26:51.73ID:O8vxzJEA
一人だけ本当に痴漢した疑惑があるやつがいるな…
0181名無しで叶える物語(SIM)
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2022/05/07(土) 03:33:10.12ID:ASyrNmmm
歩夢からの彼方への熱量が凄まじすぎた
ただただ乙と言いたい
0182名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/05/07(土) 17:42:23.08ID:o+fHdgm7
コンプリート乙、素晴らしい!
0183名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2022/05/08(日) 01:45:34.92ID:CSqeElUN
歩夢編で語ってるのが侑だと仮定して読むと「侑ちゃん…私汚されちゃった…」
と泣く歩夢を想像して愉悦に浸る侑が見えてさらに捗る
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