【ss】彼方ちゃんの奮闘記
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それは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にとあるインタビューが訪れたことがきっかけだった──
──先日、初めて皆さんのソロ以外の曲が発表されましたね。『TOKIMEKI Runners』、とても爽快感のある素敵な曲ですが、ソロ活動から枠を拡げようと思ったきっかけなどはありますか?
せつ菜「そうですね、やっぱりメンバーが増えたことが大きかったんじゃないかと思います。今年度になって新たに編入してきたエマ・ヴェルデと、近江彼方が同好会へ加わったこと、それに個人的な決意のあったメンバーもいて、結束を固める意味でも──」 彼方ちゃんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 璃奈「誘導波の強さを調整してる途中でちょっと目を離した隙に、牧草を探しにいっちゃったの。出力超強めにしてるから、誰かが浴びちゃったら大変なことになるかも」
彼方「それは大変だねえ」
璃奈「そう、大変なの」
かなりな「「………」」
彼方「捕まえないとまずいんじゃない?」
璃奈「追いかけてるところだった!!」ハッ 璃奈「彼方さんはどの辺で見たの?」タタタ
彼方「ついさっき、ここの廊下ですれ違ったよ」タタタ
璃奈「だったらまだ近くにいるはず。早く捕まえないと被害が──」
死屍累々……… ※生きてます
かなりな「「あっ…」」 璃奈「生徒の皆さんが倒れてる…」璃奈ちゃんボード『戦慄』
彼方「みんないい表情で眠ってるね〜」ツンツン
璃奈「彼方さん、あれ」
彼方「んー?………お、ひつじだ」
ひつじ「…」
彼方「あれを連れてきたらいい?」
璃奈「待って」 生徒「あー、ひつじだー。なんでこんなとこにいるんだろー」テクテク
生徒「可愛いね。迷子かな?小屋まで連れてこっか」テクテク
ひつじ プシュープシュー
生徒「」バタッ
生徒「」バタッ 彼方「なんか煙みたいなのを振り撒きましたな」
璃奈「あれがいわゆる睡眠誘導波、吸い込むと眠っちゃう。見た感じ、人が近づいたのを関知して発生させてるみたい」
彼方「中に溜めてる分を全部吐き出したら落ち着くかな」
璃奈「睡眠誘導波は空気中の成分と内蔵の原料を掛け合わせて作る仕様で、原料は一年分蓄えてるから安心長持ち」璃奈ちゃんボード『ドヤッ』
彼方「つまり放っといても解決するどころか被害は拡がっていく一方ってことだね〜」
璃奈「こんなことになるとは思ってなかった…」璃奈ちゃんボード『原料費がMOTTAINAI』 彼方「うーん…」
彼方 スタスタ…
璃奈「彼方さん、近づいたら誘導波が出ちゃう」
彼方「って言ってもあのままにしておけないじゃん。まあまあ、彼方ちゃんに任せてよ〜」
璃奈「…っ」ハラハラ 彼方 トコトコ
ひつじ「!」
彼方 ジーッ
ひつじ ジーッ
彼方 ススス…
ひつじ ジーッ
彼方 …モフ
ひつじ「…」 璃奈「ゆ、誘導波が出ない…!」
彼方 モフモフ
ひつじ「…」
彼方「はあ〜もふもふしてて幸せだよ〜」
璃奈「彼方さん、角の後ろにあるスイッチを切ってほしい」
彼方「おお、そうだったね。えーっとごめんよ」ゴソゴソ
彼方「これかな」カチ ひつじ「…」
ひつじ「zzz」
彼方「寝ちゃったみたい」
璃奈「すごい、ほんとに止めちゃった」タタタ
彼方「眠くなるやつ出さずにいてくれたからね〜」モフモフ
璃奈「…ああ」 璃奈 (彼方さんはいつでも眠いから、誘導波を出す必要がないって判断したんだ)
璃奈「その仕様に救われたけど、正直想定外。改良が必要」璃奈ちゃんボード『複雑な心境』
彼方「一件落着みたいだし、彼方ちゃんは行くね」ヨイショット
璃奈「また放課後に。でも『夢見るシープくん1号』は置いていってほしい」
彼方「ありゃ、だめか。抱き枕にいいと思ったんだけど、残念」ヘヘヘ
…………
…… 彼方「ふわあ…」
彼方「寝てる人たくさん見たしもふもふしたものも抱いたから、なんだか眠くなってきちゃった」トコトコ
彼方「彼方ちゃんの先輩らしいところをみんなに見せたいけど、お昼寝が先かな。眠いとパフォーマンスが落ちるからね〜」
彼方「ってことで」
『保健室』
彼方「失礼しまーす」ガラ… 彼方「あれ、保健の先生いないみたい。まあいいか、今日もベッド借りますよ〜」ススス
彼方「…………むむぅ!?」
彼方「ベッドがみんな埋まっちゃってる…!」ガーン…
彼方「いつの間にかここまでお昼寝が流行ってたなんて、嬉しいことだけど。彼方ちゃんの使うベッドがなくなっちゃうんじゃよくないなあ」ムー
彼方「他にベッドがある教室なんかあったかな…」
「…その声は、彼方先輩?」 彼方「ん?誰か呼んだ?」
「一番右です、カーテン開けていいですよ」
彼方「お、この声は」シャー
彼方「しずくちゃんもお昼寝してたのか〜」
しずく「あはは…お昼寝、ではないんですけどね…」
彼方「体調よくないの?あんまり顔色が優れないように見えるけど」 しずく「ここ数日、夜も演劇部の方のことを考えていて、お恥ずかしながら寝不足になっていたみたいで…」
彼方「それは大変な事態じゃん…!!」ショック
彼方「ああ、起きなくていいから。横になってないと」
しずく「すみません。ごはんも少ししか食べていなかったので頭もぼーっとしていて…」
彼方「大丈夫?無理せずに帰ったら?」
しずく「いえ、午後の授業でどうしても出ておきたいものがあるので、それまで休ませてもらおうと思って」 彼方「身体あっての物種だよ〜」
しずく「わかってはいるんですけどね。明日は土曜日なので、今日だけ無茶を見逃してください」ハハ…
彼方「そういうことなら止めないけど」
しずく「ベッドを明け渡せずに、すみません。他も埋まってるみたいですね」
彼方「そうなの。こんなに天気がいいんだから、みんな外でお昼寝したらいいのに。そして彼方ちゃんにベッドを譲ってほしいなあ」 しずく「三十分くらい前かな、眠い眠いって呻くようにして、何人も保健室にやってきたんですよ」
彼方「…」
──ひつじ プシュープシュー
──生徒「」バタッ
彼方「戦犯は璃奈ちゃんとひつじさんだったか…」
しずく「璃奈さん?」 彼方「ううん、なんでもないよ。休むの邪魔しちゃったみたいでごめんね」
しずく「いえ」フルフル
彼方「お昼寝できないのは残念だけど、彼方ちゃんは行くよ」トコ…
しずく「はい。また後で」
彼方「…しずくちゃん、お昼ごはんは?」
しずく「食べられなさそうだったので、保健室に来る前に友達に渡してきちゃいました」
彼方「そう…」
…………
…… ────
──
しずく「ん…」
しずく「もう少ししたら授業の時間だ…あんまり力が入らないけど、行かなくちゃ」モゾ…
しずく「!」
『しずくちゃんへ
おなかが減ってたら幸せな演技もできないよ。
かなた』
おにぎり チョコン…
しずく「彼方先輩…」
しずく「ありがとうございます」
モグ…モグ…
…………
…… 彼方「お昼寝しそびれちゃうなんてなあ」トコトコ
彼方「そういえばなんだか全然寝てない気がするけど、なんでこんなに歩き回ってるんだっけ…」
彼方「もう教室に戻って寝ようかなあ。それとも同好会の部室の方が落ち着くかな」
彼方「さすがに勝手にお家に帰るわけにはいかないもんね〜」
愛「お、かなちゃんじゃーん。チッスー」バッタリ
彼方「愛ちゃん」 愛「珍しいねー、今日はお昼寝してないんだ?」
彼方「彼方ちゃんとしては今すぐにでも眠りたいところなんだけどね…」
愛「あはは、だったら寝たらいいのに。変なかなちゃーん」ケラケラ
彼方「愛ちゃんもお昼休みに一人なんて珍しいねえ。お友達と遊ばないの?」
愛「あー、それがさ。ちょぴーっとだけ厄介なことに巻き込まれてる途中だったりして」タハハ
彼方「…?」 愛「──ってわけでさ、喧嘩の仲裁してるんだけど。どうにも片方が愛さんの話を聞いてくれなくてねー。参っちゃってるってわけよ」トホホ…
彼方「なるほどー」
彼方「愛ちゃんは偉いねえ、お友達のためにお昼寝の時間も削って一生懸命になってあげるなんて」ウンウン
愛「私は普段からお昼寝しないからね。それよりも友達がこんな雰囲気じゃテンサゲだし、そっちの方が重要なんだよ〜」
彼方「ふむ。だったらお困りの愛ちゃんのために、ここは彼方ちゃんが一肌脱いでみることにしよう」 愛「へ?かなちゃん、なんかいいアイディアでもあるの??」
彼方「お話を聞いた感じ、お友達も意地を張っちゃっただけだと思うんだよ〜。そこに喧嘩とは直接関係ない愛ちゃんまで入ってきちゃって、引くに引けなくなったんじゃないかな」
愛「そっか、愛さんが出てきたから余計に話がこじれたんだ…」
彼方「だからこんなときは、いつもと違うアプローチをしたらいいんだよ」
愛「いつもと違うアプローチ…?」
彼方「そう」 彼方「例えば、う〜ん…愛ちゃん毎朝電車で通学してるでしょ」
愛「うんうん」
彼方「今日乗った電車の色って、覚えてる?」
愛「色?えっと、ホームドア越しにしか見てないし、ってゆーか気にして見たわけでもないし、あれ〜?普段どんな電車に乗ってるんだっけ」???
彼方「そうだよね、彼方ちゃんも覚えてないよ」
彼方「なんなら電車に乗ったことさえあんまり覚えてないもんね」
愛「眠りながら登校するんじゃない!そんなんじゃケガしちゃうぞ」 彼方「でももし明日の電車が全面ピンクだったらどう?」
愛「それは超〜〜〜テンアゲだね!片っ端からみんなにラインして、会う友達みんなに話しちゃうよ!」
彼方「そういうことなのだ」ウム
愛「どういうことなのだ?」
彼方「ここにおにぎりがあるでしょ」っおにぎり サッ
愛「かなちゃんいつもおにぎり持ち歩いてるの?」 彼方「ううん、今日はたまたまね。さっき作った余りだよ」
愛「さっき作ったのかー」ホー
彼方「アルミホイルを剥くと、」
彼方「なんと、全面真っ黒のおにぎりが出てきます」
おにぎり テテーン
愛「海苔のいい匂いだね!」 彼方「この黒さを利用して、お友達にサプライズメッセージを送っちゃうんだよ」
愛「おもしろそー!どうするの?」
彼方「家庭科室でサランラップを貰って、外側に黒のマジックでメッセージを書いて」
愛「ふむふむ」
彼方「そのサランラップで包んだおにぎりをお友達にあげると」
愛「あげると…?」 彼方「おにぎりを食べ終わったとき、愛ちゃんのメッセージが現れる。そしたらお友達も驚いて反応してくれるはずだよ!」
愛「うわーっ、かなちゃん天才!ナイスアイディアじゃんそれ!」
彼方「えへへ〜そうでしょ。遥ちゃんのお弁当にメッセージを入れたいときとか、たまにやるんだ〜」
愛「なるほどなるほど、遥ちゃんへの愛が為せるわざだね」ウンウン
彼方「彼方ちゃんだけにっ☆」
愛「?」
彼方「?」
…………
…… 愛「あのさ、余計な口出ししてごめんね。これ、よかったら食べてよ」っおにぎり
友達「な、なに…?」
愛「じゃ、また後でね!」タタタ
友達「(愛のおばあちゃんのおにぎり美味しいし)食べるけど、なによ…なんなのよ…」ゴソゴソ
友達 モグモグ…
友達「………………!!」
『三人でカラオケ行きたいな 愛』
友達「………あたし、も…っ」グスン…
…………
…… 彼方「こうして彼方ちゃんは、お昼寝の時間も予備のおにぎりも失ってしまいましたとさ…」
果林「………えっそういう話?」
彼方「うん。歩くの疲れちゃったから戻ってきたんだよ〜」
エマ「そうなんだ…楽しい一日だったみたいだね」
彼方「同好会の時間以外でかすみちゃんたちに会うのは、新鮮だし嬉しくなっちゃうね」フフフ
果林「それはそうよね。でも彼方、たくさん頑張ったじゃない。お疲れ様」 彼方「これで彼方ちゃんが三年生だってこと、みんなにちゃんと伝わったよね………すやぴ…」
果林「そもそも私たちはあなたが二年生や一年生に見えるなんて言ってないんだけど、って寝てるし…」
エマ「でも果林ちゃん、彼方ちゃん本当に凄いね」
果林「ええ。自覚がないようだけど、今の話はみんな彼方だからこそできたことだもの」 エマ「かすみちゃんの秘密の練習場所がどこなのかなんて知らないし」
果林「眠気を振り撒くひつじなんて捕まえられる気がしないし」
エマ「果林ちゃんはおにぎりなんて握れないし」
果林「海苔にメッセージを隠して伝えるなんて思い付かないし──って、おにぎりくらい握れるわよ!?」
エマ「えへへ、間違えちゃった。せめて眠るまで傍にいてあげるくらいで、わざわざおにぎりを握って枕元に置いておくなんてこと考えもしないもんね、って言いたかったんだよ」
果林「まったくもう…」 果林「放課後まではまだ時間があるし、ゆっくり寝かせてあげましょうか。…ん?」
エマ「賛成。眠れなくてお疲れみたいだもんね。…ん?」
『歩夢:ちょっと困ったことになっちゃいました。誰か手が空いてませんか?』
『せつ菜:私も緊急案件です!このままでは放課後の練習に行けません〜!!』
果林「これは…」
エマ「後輩ちゃんたち、ピンチの様子…」
エマかり ニィッ 果林「エマはせつ菜を助けにいってあげて!」ガタ
エマ「うん!歩夢ちゃんの方は任せたよ、果林ちゃん!」ガタ
果林「彼方だけじゃなくて私たちも頼りになる三年生だってこと、見せつけてあげるわよ〜!」
エマ「彼方ちゃんが起きたら話して聞かせてあげようね、私たちの活躍も!」
エマかり「「お〜〜っ!」」タタタタ…
彼方「むにゃむにゃ…彼方ちゃんが一番三年生なんだからね〜」スヤァ
終わり お粗末様でした、一晩引っ張るような内容ではなかったのですが。
果林の心配とはよそに変なことには全くなりませんでしたね…
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そろりっち『××駅住みで今からごはん行ける方、連絡下さい!』
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※ 安価ついちゃうのでスレタイ変えてます μ's、Aqours、ニジガク、スクスタ時空、今はどれがみんな読みたいのでしょうね
頂いたリクエストが溜まりまくってる中で心苦しいものの、ニジガクのメンバーを書くのがなかなか楽しくなってきました 個人的には虹かな
まだ自分にとってキャラのイメージが定まってない子が多いから、とにかくいろんなエピソードを読みたい 乙 彼方ちゃん可愛かった
スクスタ時空が読みたいかな 3年生がお姉さんしててとても良かった
ぬしさんのSS好きよ
どれも読みたいがニジガクがどうなるか気になる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています