【ss】彼方ちゃんの奮闘記
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それは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にとあるインタビューが訪れたことがきっかけだった──
──先日、初めて皆さんのソロ以外の曲が発表されましたね。『TOKIMEKI Runners』、とても爽快感のある素敵な曲ですが、ソロ活動から枠を拡げようと思ったきっかけなどはありますか?
せつ菜「そうですね、やっぱりメンバーが増えたことが大きかったんじゃないかと思います。今年度になって新たに編入してきたエマ・ヴェルデと、近江彼方が同好会へ加わったこと、それに個人的な決意のあったメンバーもいて、結束を固める意味でも──」 果林「せつ菜はすごいわね、あんな風にはきはきと喋れて」
しずく「そうですね。さすが注目度ナンバーワンのスクールアイドル、まだ二年生なのに部の代表として先頭に立つ姿がとても似合います」
璃奈「…しずくちゃん。あんまりそういう言い方、しない方がいいかもしれない」
しずく「え?どうしてですか?」
璃奈「ああなるから」
果林「注目度…ナンバーワン…」ムムー
しずく「あっ!?」 かすみ ウズウズ…
歩夢「かすみちゃん?」
かすみ「もう我慢できません!はいはいは〜いっ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会で一番インタビューすべき人がぁ、ここにいると思うんですけど〜」
歩夢「だ、だめだよかすみちゃん。今せつ菜ちゃんがインタビューに答えてくれてるんだから」
かすみ「あーん、放してください〜!かすみんの可愛いところいっぱいみんなに見てもらうんですぅー!」ジタバタ
歩夢「よ、よしよし。私はかすみちゃんが一番可愛いって思ってるよ」
かすみ「えっほんとですかぁ!?」パァ
歩夢「う、うん。だから、ね?もう少し大人しく待ってよ?」
かすみ「は〜〜〜い♡」 ワイワイ…
彼方「ふわぁ…」
彼方 (なんでもいいから早くしてほしいなあ。知らない人がいると落ち着かなくてお昼寝できないよ)
エマ (とか思ってそうだけど、)
彼方 ウツラ…ウツラ…
エマ (そんなことないと思うよ、彼方ちゃん♪) ニコニコ ──では最後に皆さんの写真を撮らせていただけますか。
愛「おーっ、きたきた!愛さん写真撮るのとかめーっちゃダイスキ!ほらほらみんなせっつーの傍に寄って寄ってー!かなちゃんも寝てないで〜」グイ
彼方「んん、彼方ちゃん寝てないよ…」
せつ菜「九人だとちょっと多いですね。何人かずつに分かれた方がいいでしょうか」
歩夢「それじゃ学年別なんてどうかな?」
愛「えー、せっかくだし全員で撮りたかったな。こうやってみんなオソロのポーズで、ビシッとキメちゃったりして!」ビシッ 果林「それじゃどっちも撮ればいいじゃない。九人全員と、学年別とで。ね、いいわよね?」
──は、はい!では先に学年別の写真を…
しずく「インタビューの方をも思い通りに頷かせる魅力、やっぱり果林さんは圧倒的ですね…」ムム…
かすみ「りな子が右でー、しず子が左でー、かすみんが真ん中ねっ♡」
璃奈「かすみちゃんにも予備の璃奈ちゃんボード貸してあげる。これでオソロ」スチャ
かすみ「ああーっ!?こんなの着けちゃったらかすみんの可愛い顔が写らなくなっちゃうー!」 エマ「ほら彼方ちゃん、まず学年別で撮るってよ」
彼方「結局何枚撮るんだろう。写真はキライじゃないけど、じっとしてると眠くなっちゃうんだよなあ」トコトコ…
──近江さん、こっちにいいですか。
彼方「え?」
歩夢「あれ?彼方さん、私たちと一緒に撮るんですか?」 彼方「?」キョトン…
──あ、あれ…すみません。もしかして…
──近江さんって、二年生ではないんですか…?
彼方「…………………へ………」
彼方「私は、エマちゃんと果林ちゃんと同じ三年生ですけど……」
──す、すみません!てっきり二年生だと思ってました。そうですよね、いちねん…あっ三年生ですか、失礼しました!ヴェルデさんと朝香さんと同じ、…三年生………あー…… ──…………ではまず二年生から撮りますね。えー、優木さん、上原さん、宮下さんですね。こちらに…
彼方 ポカン…
彼方「なに?その感じ、彼方ちゃんが三年生だとなにか不都合でもあるみたいな、っていうか…」
彼方「彼方ちゃん、二年生だと思われてたの…?」
彼方「えええ〜〜〜…」
*** ***
彼方「よくないと思う」プゥ
果林「なに?わざわざ私たちだけ残して」
エマ「よくないって、なにが?」
彼方「彼方ちゃんが三年生らしくないみたいな風潮は、よくないと思うなあ」
エマ「へ?」
果林「ああ、気にしてたのね」 エマ「なにかあったの?」
果林「この前インタビューが来たでしょう。そのときのインタビュアーの人に二年生だと思われてたみたいなのよ、彼方」
エマ「えっ、そうなの…!」
彼方 ムー
果林「こうしてむくれてる様子を見ると、確かにらしくないかもしれないわね」
彼方「もう、果林ちゃんは三年生に見られるからって余裕ぶって」
果林「別に余裕ぶってなんかいないけれど…」 エマ「彼方ちゃんってそういうの気にするんだね、ちょっと意外かも」
彼方「知らない人から何年生だと思われててもどうでもいいっちゃいいんだけどさ、なんか…なんか…」
──ヴェルデさんと朝香さんと同じ、…三年生………あー……
──…………ではまず二年生から撮りますね。えー、優木さん、上原さん、宮下さんですね。こちらに…
彼方「なんだか納得できないんだよ〜」
エマ「あんまり不満そうに見えないけど…」
果林「いいじゃない、学年の一つや二つ。若く見られる方がこの先は都合いいでしょ」 彼方「…………いーや、よくない」プン
彼方「よくないから、彼方ちゃんは考えました」
果林「考えたって、なにを?」
彼方「今日から彼方ちゃんは、三年生らしくなる。オトナらしくなるの…!」グッ
エマ「お、オトナらしく」
果林 (変なことにならないといいわねえ)
…………
…… かすみ「こーして、こーして、んん〜〜〜こうっ!」タンッ
かすみ「キレた動きではあるけど、あんまり可愛くはないかなあ。かすみんらしくするならここでキュートに腰を振って、でもこれじゃ繋がりが悪いかな…」
彼方「だったら下半身の動きはさっきのままで両手をこうして顔の前に持ってきて、首をかしげてみるとか」スッ
かすみ「こ、こうですか?」
かすみ キャピッ
かすみ「わあ可愛いですぅ!やっぱりかすみんってば、どんな動きでも可愛くしちゃう天才で困っちゃう〜!」 彼方「かすみちゃんは、とっても一年生らしくて可愛いよね〜」
かすみ「ですよねぇ、彼方先輩わかってるぅ──」
かすみ「…」
彼方 ニコニコ
かすみ「ぎょえええええっ彼方先輩!?なななななんでここにいるんですか!?かすみんだけの秘密の練習場なのに!」
彼方「かすみちゃんがなにか悩んでないかと思って、彼方ちゃん様子を見にきたのだ〜」 かすみ「は、はあ。今の助言はありがたかったですけど…じゃなくって!どうしてここにいるってわかったんですかぁ!」
彼方「? かすみちゃん、同好会に顔を出さない日とかお昼休みとか、一人で練習したいときはここにいるじゃん」
かすみ「ば…ばれてたんですか…!」ガビーン…
かすみ「みんなに知られてるとなると、いつ誰にかすみんの秘密のステップを盗まれるかわかんない。場所を変えなくっちゃ…」グヌヌ…
彼方「かすみちゃん、かすみちゃん」
かすみ「なんですか、今かすみんは秘密の考え事をしてる真っ最中なんですけど」 彼方「秘密の考え事なら口に出さない方がいいんじゃないかなあ。そんなことより、ねえねえ、彼方ちゃん頼りになるよね」
かすみ「頼りに…?」
彼方「彼方ちゃんがいてよかった〜って思うこと、あるでしょ?」
かすみ「…」
──彼方「彼方ちゃんは後でいいよ〜」フワァ…
かすみ (彼方先輩はそこまで積極的に前に出てこようとしないんだよね。スクールアイドルで一番を目指すー、とはよく言ってる気がするけど) かすみ (二人組を組んだりするときも、彼方先輩が相方だったら私ばっかり目立てるかも??)
かすみ「はいっ、かすみん彼方先輩のこと大好きですよ。だからなにかあったら一緒に組みましょうね!」
彼方「おお!彼方ちゃんやっぱり後輩に頼られてる。これは、年上の風格…!」
彼方「ふっふっふ、この調子で私が三年生だということをみんなに改めて教えてあげないと。それじゃかすみちゃん、また後でね〜」フラフラ…
かすみ「行っちゃった。なんだったんだろう…」
…………
…… 彼方 トコトコ
彼方「お困りの一年生や二年生はいませんか〜」
彼方「今なら近江彼方ちゃんが助けてあげますよ〜」
彼方「この学校は広くて歩くの疲れちゃうなあ」
彼方「…ん?」
ひつじ トコトコ… ひつじ「!」
ひつじ ジーッ
彼方 ジーッ
彼方「ひつじ、だ…」
ひつじ プイッ トコトコ…
彼方「酪農科のひつじかな。お散歩させるのはいいけど、なにも校舎の中で放さなくてもいいのに。自由だなあ」
彼方 トコトコ… タタタタタ…
「きゃっ!」
彼方「うわあ、あぶない!」ガシッ
彼方「だめだよ〜廊下を走ったら。こんな風にぶつかってケガしちゃうよ」
「ごめんなさい、少し急いでて…あれ、彼方さん」
彼方「む。よく見たら璃奈ちゃんじゃん」
璃奈「こんにちは。ぶつかってごめんなさい」ペコッ璃奈ちゃんボード『反省』 彼方「いいよ、いいよ。璃奈ちゃんもケガはしてなさそうだからよかったけど、人も多いから気を付けないとね」
彼方「ところでなにをそんなに急いでたの?」
璃奈「あっ、忘れるところだった。彼方さん、この辺でひつじを見ませんでしたか?」
彼方「ひつじ?見たよ。向こうに歩いていった。あんなにもふもふのひつじを抱いてお昼寝したら、気持ちい〜だろうな〜」ヘヘヘ…
璃奈「あれ、本物じゃなくて私の発明品」
彼方「えっそうなの」 璃奈「睡眠誘導波発生装置、その名も『夢見るシープくん1号』。2レンズ式の風景認識機能と色彩判定機能で視界を立体的に捉えた上で、自走機能も搭載してるから機械的な自立歩行が可能」璃奈ちゃんボード『得意気』
彼方「ゆめみるしーぷくん…」
璃奈「早い話が人を眠らせる機械。『夢見るシープくん1号』があれば不眠症も解消できるし、入眠が遅くて悩んでる人も一秒でぐっすり」
彼方「おお、それはなんとも彼方ちゃん向けな。貴重な休み時間は一秒でも長く寝ていたいからね〜」 璃奈「睡眠誘導波発生装置、その名も『夢見るシープくん1号』。2レンズ式の風景認識機能と色彩判定機能で視界を立体的に捉えた上で、自走機能も搭載してるから機械的な自立歩行が可能」璃奈ちゃんボード『得意気』
彼方「ゆめみるしーぷくん…」
璃奈「早い話が人を眠らせる機械。『夢見るシープくん1号』があれば不眠症も解消できるし、入眠が遅くて悩んでる人も一秒でぐっすり」
彼方「おお、それはなんとも彼方ちゃん向けな。貴重な休み時間は一秒でも長く寝ていたいからね〜」 璃奈「睡眠誘導波発生装置、その名も『夢見るシープくん1号』。2レンズ式の風景認識機能と色彩判定機能で視界を立体的に捉えた上で、自走機能も搭載してるから機械的な自立歩行が可能」璃奈ちゃんボード『得意気』
彼方「ゆめみるしーぷくん…」
璃奈「早い話が人を眠らせる機械。『夢見るシープくん1号』があれば不眠症も解消できるし、入眠が遅くて悩んでる人も一秒でぐっすり」
彼方「おお、それはなんとも彼方ちゃん向けな。貴重な休み時間は一秒でも長く寝ていたいからね〜」 ああ…こうなるのね
エラーで何度か書き込みました、失礼 エラーで書き込みストレスが凄いのでここで。
また朝にでも続きを投下します ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています