千歌「死神さんは暇なんだね」
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曜「暇じゃないよ、君をずっと監視しないといけないからね」
千歌「どうして監視するの?」
曜「君が死んだ時、君の魂を一番に喰らうためだよ」
千歌「チカが死んだらよーちゃんと一緒になれるんだ」
曜「そうなるのかな」
千歌「えへへ」 曜「死ぬ時の話で笑えるなんて羨ましいね」
千歌「よーちゃんだからだよ」
曜「私に食べられるのがそんなに楽しみなの?」
千歌「よーちゃんみたいなカッコイイ人と一緒になれるんだよ?そりゃあ楽しみだよ!」
曜「変わった人」 千歌「チカの余命はあとどのくらい?」
曜「残り2ヶ月ってところかな」
千歌「お医者さんは残り1週間って言ってたよ?」
曜「ヤブ医者なんだね」
千歌「お医者さん嘘つきだ」
曜「人間だし、仕方ないね」 千歌「でもあと2ヶ月はよーちゃんと一緒にいられるんだね」
曜「あと2ヶ月で君の魂を喰らえると思うと全身が疼くんだよね」
千歌「あ、2ヶ月じゃないや、よーちゃんに食べられたらその先もずっとよーちゃんと一緒じゃん」
曜「随分ポジティブなんだね」
千歌「よーちゃんみたいなカッコイイ人に食べられるなら本望だよ」
曜「君みたいな元気な子の魂を喰らったらどれだけ元気をもらえるんだろう」 千歌「よーちゃんこれからどこに行くの?」
曜「今日死ぬ人の魂を回収しに行くんだよ」
千歌「あー、それは浮気っていうんだよ」
曜「仕事だから仕方ないよ」
千歌「すぐ戻ってくる?」
曜「まあ30分もかからないかな」
千歌「えへへ、じゃあ待ってる」 千歌「おかえり、遅いよよーちゃん」
曜「これでも急いだんだけど」
千歌「死んだ人の魂はどこに行くの?」
曜「天界に還るんだよ」
千歌「じゃあ死んだらチカも天界に行くの?」
曜「君の魂は私が喰らうから安心して」
千歌「よーちゃんと一緒にお出かけできるんだ」 曜「世界中を旅行できるね」
千歌「わーい、楽しみ」
曜「旅行したことないの?」
千歌「ないよー、ずっと病院にいたもん」 曜「思えばここに来る前から天界では君の話題でもちきりだったね」
千歌「チカ人気者だったの?」
曜「天界ではね」
千歌「やったー」
曜「たくさんの知らない人に狙われてるってことだよ」 千歌「あー、それはイヤだなあ。食べられるならよーちゃんがいい」
曜「どうして私がいいの?」
千歌「カッコイイから」
曜「真顔で言うことじゃないよね」
千歌「よーちゃんはどうしてチカを食べたいの?」
曜「可愛いから」
千歌「真顔で言うことじゃないね」 千歌「よーちゃんは他の人には見えないの?」
曜「認識を妨げてるからね」
千歌「どうして?」
曜「君以外と話す必要がないからだよ」
千歌「チカとは話していいの?」
曜「一応天界の法で生ける魂に干渉してはならないって決まってはいるけど」
千歌「じゃあ法律違反じゃん」
曜「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」 千歌「よーちゃんよーちゃん」
曜「なに」
千歌「チカのこと早めに食べてもいいよ」
曜「どうして?」
千歌「だって暇だもん」
曜「寿命を終えていない魂は食らっちゃいけないって天界の法で決まってるから無理」
千歌「やーだー、早くよーちゃんと旅行したいもん」
曜「そんなこと言ったって」 千歌「病院の外に出ようとしたら看護師さんに止められるし」
曜「医者の告げた余命はとっくに過ぎてるわけだから危険だと思われてるんじゃない?」
千歌「ずっとここにいると息が詰まっちゃうよ」 曜「外に出たいの?」
千歌「グスッ……うん」
曜「じゃあ、外に出ようか」
千歌「ふぇ?」
曜「幽体離脱って知ってるかな」
千歌「ゆーたいりだつ?」 曜「要するに、こういうこと」
千歌「わわっ」
千歌「う、ん……あれ、浮いてる」
曜「魂だけだからね」
千歌「チカがいる」
曜「そっちは肉体だね」 千歌「動かないよ?」
曜「魂が抜けてるからね」
千歌「わっ、すごーい、自由に動ける」
曜「私の力を分けてるからね」 千歌「ねえ、外に出てもいい?」
曜「私と一緒ならいいよ」
千歌「よーちゃんと一緒かあ、えへへ」
曜「どこに行きたい?」
千歌「んー、じゃあ東京に行きたい」
曜「なんでまた」
千歌「テレビでよく見るから行ってみたくて」
曜「いいよ、好きな所に行こう」 すごくいいようちかなのに渡辺が昼間からこんな妄想してると思うと…… 千歌「ここが東京かー」
曜「イメージと違った?」
千歌「なんか人がいっぱいいる」
曜「人口密度が沼津の比じゃないからね」
千歌「高いビルがたくさん」
曜「日本の中心都市だからね」
千歌「ねえねえよーちゃん」
曜「なに」
千歌「映画見に行きたいな」 千歌「色んなのがあるんだね」
曜「君はどれが見たいの?」
千歌「チカはれんあい映画が見たいな」
曜「って言っても色々あると思うけど」
千歌「じゃあこれ!最近話題のしんかいさんのやつ!」
曜「これは恋愛映画なのかな?」
千歌「あー、知らないんだー」
曜「こういうのは疎いんだよ」 千歌「お金払わなくていいの?」
曜「どうして払うの」
千歌「映画を見るにはお金を払わないといけないって聞いたよ」
曜「席に座るなら払わないといけないね」
千歌「座らないの?」
曜「満席だから座れないよ」
千歌「じゃあ見れないじゃん」
曜「浮いたまま見ればいいんだよ」 曜「面白い?」
千歌「面白い」
曜「どの辺が?」
千歌「ねえねえよーちゃん、鑑賞時のマナー見てなかったの?」
曜「私たちのこと見えてないしこの会話も聞こえてないよ」
千歌「でもルールだし」
曜「私たちには適用されないルールだよ」
千歌「じゃあいいのか」 千歌「よーちゃんよーちゃん」
曜「なに?」
千歌「2人で見ると面白いね」
曜「そうだね」
千歌「死神さんも映画は面白いって思うんだ」
曜「一応人間が何を面白いと思うのかはわかってるつもり」 千歌「それって本当に面白いと思ってるの?」
曜「楽しんではいるよ」
千歌「ずっとチカのこと見てなかった?」
曜「喜怒哀楽の激しい君を見て楽しんではいたかな」
千歌「女の子の泣いてる所見るなんてよーちゃん酷いんだ」
曜「可愛いから仕方ないよ」
千歌「むぅ」 曜「そろそろ帰ろうか」
千歌「えー、チカまだ遊んでたいよ」
曜「あまり肉体から離れている時間が長すぎると死んじゃうから」
千歌「死ぬってなに?」
曜「肉体と魂の繋がりが切れること」
千歌「そうじゃなくてさ」 曜「どういうこと?」
千歌「チカ、ずっと病院にいたんだよ」
曜「うん」
千歌「生きてるのに、生きた心地がしなかった」
曜「そっか」
千歌「でも、こうしてよーちゃんとお出かけして、はじめて生きてて良かったって思ったの」
曜「死神と一緒にいるのに?」
千歌「今の方が、ずっと生きてるって実感があるの」 千歌「病院に戻ってもどうせすぐ死んじゃうんだし、つまらない日々に戻るくらいなら」
曜「……」
千歌「チカ、よーちゃんと一緒にいたいな」
曜「千歌ちゃん」
千歌「よーちゃん、私を」
曜「千歌ちゃん、戻ろう」
千歌「……うん、わかった」 曜「千歌ちゃん、何してるの?」
千歌「お願い事が叶うおまじない」
曜「なんてお願いしたの?」
千歌「よーちゃんともっとお出かけできますように」
曜「……もう少しで叶うよ」
千歌「うん、楽しみだなぁ」 曜「千歌ちゃん、起きれないの?」
千歌「起きるよ、よいしょっ」
曜「眠いの?」
千歌「うん、ちょっとね」
曜「無理しないで寝ていなよ」
千歌「無理してないよー」 曜「千歌ちゃん、何かしてほしいことはある?」
千歌「んー、特にないかなぁ」
曜「遠慮しないで言っていいよ」
千歌「じゃあ、一緒に寝よ?」
曜「ベッドで?」
千歌「うん」
曜「いいけど」
千歌「えへへ、よーちゃんとこんなに近いのはじめて」
曜「そうだね」 曜「生者との接触がバレた」
千歌「大丈夫なの?」
曜「居場所はバレてないから」
千歌「逃げた方がいいんじゃない?」
曜「逃げる必要はないよ」
千歌「よーちゃんが酷い目にあうのはイヤだなぁ」
曜「大丈夫だから心配しないで」 千歌「傷だらけのよーちゃん」
曜「他の使いたちを追い払ってただけだから」
千歌「すごく痛そう」
曜「死神は痛みなんて感じないよ」
千歌「もう逃げていいよ」
曜「千歌ちゃん」
千歌「食べるなんて嘘なんでしょ?」
曜「嘘じゃないよ」
千歌「他の人に食べられないように、守ってくれてたんでしょ?」
曜「違うよ」 千歌「チカ、よーちゃんとまたお出かけしたいなぁ」
曜「今度こそ死んじゃうよ」
千歌「もう一度だけ」
曜「死んでまで叶える夢じゃない」
千歌「チカにとっては大切な夢だよ」
曜「死んだ魂は意識を失うんだ」
千歌「なら尚更よーちゃんに食べてほしいなぁ」
曜「他の人に食べられるくらいなら、私が喰らってあげる」
千歌「ありがとう」
曜「だから、今は生きて」 曜「今日が寿命の終わりの日だよ」
千歌「……うん」
美渡「千歌? 千歌っ、今返事したの!?」
曜「約束通り、私が喰らってあげる」
千歌「ありが……と」
志満「千歌ちゃんっ!」
曜「その前に、もう一度旅行しようか」
千歌「やっ……た……うれしい……な……」
曜「さあ、行くよ」
千歌「うん」
高海母「そんな……千歌……千歌ぁ……」 ようりこスレをまとめない >>39 が誰推しかお察し もうちょいさ… オチみたいなのあるんでしょ? 待ってるよ 千歌「そういえばさ」
曜「うん」
千歌「チカは死んじゃったの?」
曜「そうだよ」
千歌「そっかあ」 曜「ごめんね」
千歌「なんでよーちゃんが謝るの?」
曜「私のせいで寿命が短くなった」
千歌「よーちゃんが来てくれなかったら、こんなに楽しい気持ちは味わえなかったよ」
千歌「全部よーちゃんのお陰なんだよ」
曜「そっか、よかった」 千歌「ところでよーちゃん」
曜「なに?」
千歌「チカは死んじゃったわけだけど、チカの意識って消えちゃうのかな?」
曜「私の傍にいる限りは消えないよ」 千歌「そうなの?」
曜「今千歌ちゃんの魂には、私の力が供給されてるんだ」
曜「私の意識が届かない所まで離れない限り、千歌ちゃんは自由に動けるし、触れるし、認識できる」
曜「いわゆる幽霊ってやつかな」
千歌「なんか難しいけど、つまりはよーちゃんと一緒にいれるんだよね」
曜「そうだね」
千歌「えへへ」 千歌「ねえねえよーちゃん」
曜「なに?」
千歌「チカ、よーちゃんと買い物したい」
曜「買い物は難しいかな」
千歌「えー、なんで?」
曜「買った物を保存する場所がない」 千歌「よーちゃんの力で出したり消したりできないの?」
曜「残念だけど私の力はそんなに万能じゃないよ」
千歌「そっかぁ」
曜「ウインドウショッピングならどうかな」
千歌「ういんどうしょっぴんぐ?」
曜「買わないで、試着したり、見るだけ」
千歌「へえ、面白そう」
曜「じゃあ行こっか」
千歌「うん」 千歌「わあー、お洋服がいっぱい」
曜「ユニクロだけどね」
千歌「ねえねえ、どれ選んでもいいのかな?」
曜「もちろん、選ぶだけならタダだし、誰にも見えてないからね」
千歌「やったぁ」
曜「千歌ちゃんはしゃぎすぎ」
千歌「だってこういうお店はじめて、っていうか、お店に入ること自体あんまなかったし」
曜「そっか。なら、思う存分楽しんでよ」 千歌「これどうかな?」
曜「どうって」
千歌「かわいい?」
曜「もちろん」
千歌「じゃあこれは?」
曜「可愛いよ」
千歌「むぅ」
曜「どうしたの?」
千歌「よーちゃんどれ選んでもかわいいしか言わない」
曜「だってどれも可愛いから」 曜「素材がいいからどれも似合うんだよ」
千歌「素材って……」
曜「どうしたの?」
千歌「なんでもない」
曜「風邪でも引いた? 随分赤いけど……って、肉体じゃないから風邪引くわけないか」
千歌「なんでもないもん」
曜「そうなの? ならいいんだけど」 千歌「チカばっかじゃずるいから、よーちゃんもやって」
曜「何を?」
千歌「試着だよ」
曜「じゃあ」
千歌「うん?」
曜「これとこれとこれと」
千歌「え?」
曜「あれも、あとこれ、んーこれもいいなあ」
千歌「山盛りだね」
曜「誰にも見えてないからね」 曜「どうかな?」
千歌「かっこいい」
曜「これは?」
千歌「かっこいい、です」
曜「じゃあこれ」
千歌「似合ってると思う」
曜「千歌ちゃんこそ同じようなことしか言ってないよ」
千歌「素材がいいんだよ」 千歌「じゃあ次はねー」
曜「千歌ちゃん疲れてない?」
千歌「この通りピンピンしてるよ」
曜「そっか、よかった」
千歌「次はびっくりドンキー行きたい」
曜「それはまた思い切ったね」
千歌「この体じゃ無理かな?」
曜「いや、大丈夫」 店員「いらっしゃいませー、何名様ですか?」
曜「2名です」
店員「かしこまりましたー、こちらへどうぞ」
千歌「どうなってるの?」
曜「彼女の認識を弄っただけだよ」
千歌「私の事見えてるの?」
曜「見えてないけど、いるように感じてる」
千歌「よーちゃんすごいなぁ」 曜「何が食べたい?」
千歌「目玉焼き乗ってるやつ」
曜「定番だね」
千歌「よーちゃんは?」
曜「チーズパケットディッシュ」
千歌「おー、オシャレだね」
曜「チーズがちゃんと中に入ってるのがいいね」
千歌「よーちゃんそういうのが好きなんだ」 曜「すみません」
店員「はい、お伺いします」
曜「これとこれお願いします」
店員「こちらのメニューは150gと300gのどちらもご用意できますが」
曜「千歌ちゃんどうする?」
千歌「ふぇっ?」
曜「150と300」 千歌「え、えっとぉ、あんまり食べれないから150gで」
店員「かしこまりました。注文は以上でしょうか」
曜「あとはいいかな?」
千歌「えっ、あ、うん」
店員「かしこましました、ではメニューをお下げしてもよろしいてしょうか?」
千歌「はっ、はい、お願いします」
店員「承知いたしました」 千歌「びっくりした……」
曜「どうして?」
千歌「だって、ホントにチカの分頼むとは思ってなくて」
曜「2人で来てるんだから当然注文するよ」
千歌「どうなってるの?」
曜「もちろん千歌ちゃんのことは認識できてないけど、2人いるように錯覚してるし、千歌ちゃんの言葉も本当に存在しているように錯覚してる」
千歌「すごいなぁ」 店員「失礼いたします、エッグバーグディッシュのお客様」
千歌「は、はい」
店員「」コトン
店員「チーズパケットディッシュのお客様」
曜「はーい」
店員「……」コトン
店員「ご注文は以上でお間違いないでしょうか」
曜「はい、ありがとうございます」
店員「ではごゆっくりどうぞ」 >>60 訂正
店員「かしこまりました、ではメニューをお下げしてもよろしいでしょうか?」 曜「美味しそうだね」
千歌「うん……」
曜「どうかしたの?」
千歌「なんか、こんなに幸せでいいのかなって」
曜「むしろまだまだ赤字だよ」
千歌「赤字?」
曜「千歌ちゃんの幸せ度数」
千歌「なにそれ」
曜「これまでの分、あとこれからの分、千歌ちゃんは人一倍幸せにならないといけないんだ」
千歌「そっかぁ、幸せにならないといけないのかぁ」 千歌「じゃあ、この美味しそうなハンバーグも、人一倍堪能しないとだね」
曜「うん、そうだよ」
千歌「ふふっ、いただきまーす」
曜「いただきます」
千歌「すごい、ちゃんと食べれるよ」
曜「そうだね」
千歌「美味しい」
曜「うん」
千歌「病院食でこんなに美味しいの食べたことないよ」
曜「そっか」 千歌「よーちゃんと、人生ではじめてのお買い物をして」
千歌「よーちゃんと、人生ではじめてお食事して」
曜「まだまだやりたいことたくさんあるでしょ? そういうの、全部やろうね」
千歌「やりたいこと、たっくさんあるよ」
曜「お楽しみはこれからだよ」
千歌「えへへ」
曜「千歌ちゃん?」
千歌「グスッ……チカ、幸せ者だ」
曜「……うん」 千歌「そういえば、普通に食べちゃったけど、お支払いはどうするの?」
曜「もちろんお金を払うよ」
千歌「どうやって?」
曜「認識を弄るだけ」
千歌「それって犯罪じゃない?」
曜「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」
千歌「それ、この間も言ってたけどバレてたじゃん」
曜「……それは放っといて」 千歌ちゃんの家族が可哀想なので、何らかのフォローとかあって欲しい… こういうの読んでると辛くなってくるな……
たしかに周りの人へのフォローが読みたいかも 曜「次は何をしようか」
千歌「えっとねー、恋人っぽいことがしたい」
曜「私たちって恋人なの?」
千歌「よーちゃんはもっとデリカシーってものを知るべきだよ」
曜「なんかマズいこと言ったかな」
千歌「ふんだ、よーちゃんなんか知らない」
曜「じゃあ、二人で水族館に行こう」 千歌「伊豆三津シーパラダイス、かあ」
曜「千歌ちゃんの家のすぐ近くにあるわけだし、流石に入ったことはあるかもしれないけど」
千歌「ないよ」
曜「……そっか」
千歌「生まれた時からずっと病院に住んでたから」
曜「なら、初体験だ」
千歌「よーちゃんとすること全部初体験だよ」
曜「うん」 千歌「おっきいのが行ったり来たりしてる」
曜「セイウチだね」
千歌「飽きないのかな?」
曜「たまには陸に上がると思うよ」
千歌「かわいい」
曜「日本でセイウチを飼育したのは伊豆・三津シーパラダイスが初めてなんだ」
千歌「へー、よーちゃん死神なのに物知りだねぇ」
曜「ウィキペディアだよ」 千歌「あっ、イルカショーやってるみたい!」
曜「ちょうど今始まったところだね」
千歌「わあ〜」
曜「もっと近くで見ていいんだよ」
千歌「うん!」
曜「もっと、水槽のところまで」
千歌「すごいすごいすごいよぉ!」
曜「ピョンピョン跳ねたら危ないよ」
千歌「だってこんなのっ、すごいっ、すごいんだもん!」
曜「そうだね、すごいね」 魔進チェイサー「俺は死神、仮面ライダーなど凌駕する!」
マッハ「思い出せチェイス!」
魔進チェイサー「俺は…!」
ゲイツ「奴は…仮面ライダーチェイサーだったんだ!」 千歌「はあ〜〜楽しかった」
曜「私も楽しめたよ」
千歌「あっ、あの子なんだろう」
曜「着ぐるみだね」
千歌「やばっ、すっごく可愛い」
曜「この水族館のマスコットキャラクターだね」
千歌「ねえねえ、君名前はなんていうの?」
曜「うちっちーだよ」
千歌「うちっちーって、やばい、名前ちょーかわいい」 千歌「えっ、チカの手、握ってくれた……?」
曜「うん」
千歌「この子、チカのこと見えてるの?」
曜「認識を弄ってるから、見えてるよ」
千歌「ほんとっ!?」
曜「触れるでしょ」
千歌「うちっちー!大好きっ!」
曜「あんまり強く抱き締めたらかわいそうだよ」
千歌「あ、そっか」 カタン
千歌「?」
曜「……っ」
千歌「あ……美渡、姉」
曜「しまった」
美渡「千歌、なの?」
千歌「あっ あぁ 」
美渡「千歌」
千歌「美渡……ねぇっ……!!」
美渡「千歌っ!」
曜「ごめん、千歌ちゃん」 美渡「千歌っ、千歌ぁっ……!!」
美渡「どこにいるの!? 千歌っ!!」
千歌「美渡姉! ここにいるよ! ここに……どうして? なんで見えてないの!?」
美渡「千歌……ち……かぁ……」
千歌「なんでっ……さっきは触れたのに……見えてたのに……っ!」
曜「本当に、ごめん」
千歌「チカのこと、見えなくしちゃったの?」 曜「生者と死者が接触するのは、御法度なんだ」
千歌「嫌だ、ヤダよぉ」
曜「ごめん」
千歌「美渡姉と、こんな風に別れたくない」
曜「無理なんだ」
千歌「法律違反なの? バレなきゃ、犯罪じゃないんでしょ?」
曜「千歌ちゃん1人なら、たとえ誰が来たって守りぬいてみせる」
曜「でも、それ以上は……無理だよ」 千歌「……どうして、美渡姉はチカのことわかったのかな」
曜「何かがいることはわかっても、認識はできないはず、だったけど」
千歌「血が繋がってるから、かな」
曜「多分、そういう次元の話じゃないんだと思う」
曜「理屈を超えた何かが作用したんだよ」
千歌「そっか」
曜「すごいね、千歌ちゃんたちは」 ほんとに家族と会う展開きた
そしてやっぱり辛い…… 曜「今度は、どこに行く?」
千歌「うん……」
曜「千歌ちゃん?」
千歌「チカ、チカの家に行きたいな」
曜「行って、どうするの? もし千歌ちゃんが家族と接触したら、彼女たちにも危害が及ぶかもしれないんだよ」
千歌「何も出来ないのはわかってる。でも、一目見ることすら出来なくなる前に、会いたいんだよ」
曜「千歌ちゃん……」
千歌「よーちゃんの気持ちは痛いほどわかるよ。会ったところで、苦しいだけかもしれない」
千歌「でも……それでも……」
千歌「あんなに苦しい顔した美渡姉は、初めて見たから」
曜「……わかった。会いに行こう」 千歌「失礼しまーす……」
曜「自分の家だよ?」
千歌「いやあ、だってチカもう死んでるし」
曜「そもそも見えてないからね」
千歌「見えてないと挨拶しなくていいの?」
曜「幽霊は挨拶しないでしょ」
千歌「礼儀正しい幽霊もいるかもしれないじゃん」
曜「なるほど」 千歌「美渡姉、いないね」
曜「まだ帰ってきてないんじゃないがな」
千歌「そっか、そうだよね」
曜「千歌ちゃんは、この家に来て何をしようとしてたの?」
千歌「何って、別に……美渡姉と、志満姉と、お母さんと、お父さん、あとしいたけ」
曜「しいたけ?」
千歌「うちで飼ってる犬の名前」
曜「へえ」
千歌「チカ、みんなどうしてるかなって、それが気になって」 曜「そのうち帰ってくるんじゃないかな」
千歌「うん、そうだね……」
曜「手紙」
千歌「え?」
曜「手紙だったら、いいよ」
千歌「いいって、何が?」
曜「要するに、接触しなければいいわけだから」
千歌「手紙……書いてもいいの?」
曜「手紙も接触に当たるとか言われたらおしまいだけど、死ぬ前に書いたことにすれば大丈夫でしょ」
千歌「よーちゃん、テキトーすぎ」
曜「それが私のポリシーだからね」
曜「手紙を書こう、千歌ちゃん」
曜「家族のみんなに」
千歌「っ……うんっ!!」 千歌「ペンの持ち方、忘れちゃった」
曜「病院で何か書いたりしなかったの?」
千歌「あんまり。学校の勉強も一応してたけど、どうせ行けないと思ってて、サボってた」
曜「じゃあそもそも書く機会が無かったんだ」
千歌「あはは……このご時世に、字も書けないってヤバいよね」
曜「もう死んでるんだから関係ないよ」
千歌「あ、そうじゃん」
曜「とはいえ、この場しのぎでもしないと、手紙書けないね」
千歌「あはは、どうしよ」
千歌「やっぱ、チカには無理なのかな」
曜「そんなことないよ」 曜「ほら、こうやって持つんだよ」
千歌「よっ、よーちゃん?」
曜「私が後ろから支えてあげる」
千歌「う、嬉しいけど……」
曜「分からない文字があったら、私が教えてあげる」
千歌「あの、よーちゃん」
曜「ん?」
千歌「……何でもないです」
曜「何か、まずいこと言ったかな?」
千歌「そーじゃなくて、あの」
曜「何でも言って」
千歌「こんなに密着されると、あの……恥ずかしい、です」 曜「それは……私だって、我慢してるんだから」
千歌「ガマン、してるんだ」
曜「千歌ちゃんも、我慢して」
千歌「わかった……チカも、ガマンする」
曜「さあ、手紙書くよ」
千歌「うん」
曜「手紙の最初は、『拝啓』から始めるんだよ」
千歌「死神なのに、詳しいね?」
曜「人間のことは、ある程度学んでるんだ」
千歌「よーちゃん凄いなあ」
曜「拝啓って漢字は、こうやって手を動かして……」
千歌「うっ、うん」
曜「千歌ちゃん、顔真っ赤」
千歌「よーちゃんだってそうじゃん」 曜「……で、最後は『敬具』って書くんだよ」
千歌「『敬具』……で、出来た」
曜「手紙、書けたね」
千歌「うんっ!」
美渡「――千歌?」
曜「っ……!」
千歌「あ……」
美渡「千歌、なんだよね」
千歌「……うん、そうだよ」
千歌「チカだよ」
美渡「…………はぁ」
千歌「へ?」
美渡「あんた、どこほっつき歩いてんの」
千歌「どこって、え?」
美渡「アンタの帰る場所は、この家でしょうが」 千歌「え……あ……」
美渡「おかえり、千歌」
千歌「……うん……うんっ……!」
美渡「バカ、泣いてんじゃない。高校生……なん……だからっ……」
千歌「美渡、姉……」
美渡「泣いてない!泣いてないんだからね!」
千歌「美渡姉」
千歌「ただいま」
美渡「――っ」
美渡「ち……かっ……ちかぁっ……!!」
千歌「わわっ、美渡姉ったら、苦しいよ〜」
美渡「このバカっ!もう、離さないんだから……!」 曜「それは困ります」
美渡「っ……」
美渡「あんた、誰」
曜「私は、死神です」
美渡「死神……」
美渡「そっか、そっかあ」
美渡「あんたが千歌を、連れて行ったんだ」
千歌「美渡姉っ、それは違うんだよ!」
曜「いえ、その通りです」
千歌「よーちゃん!?」
曜「全ては、千歌ちゃんのためにしたことです」
美渡「ふざけないでよ。千歌を、千歌を連れていかないで」
美渡「千歌を返してっ……!」 曜「残念ながら、それはできません」
曜「このまま千歌ちゃんをこの家に留めておくと、千歌ちゃんはこの家から離れられなくなってしまう」
曜「そうなると、貴方たちも危険です」
美渡「そんなの知るかっ! 千歌はっ、千歌は誰にも渡さないんだから!!」
曜「千歌ちゃん」
千歌「よーちゃん?」
曜「美渡さんに、さよならを」
千歌「あっ……」
美渡「え? 嫌だよ、千歌」
美渡「いかないで」
美渡「危害? そんなの、どうだっていい」
美渡「千歌がいてくれれば、それでいいんだ」
千歌「美渡姉」
千歌「ごめんね」
美渡「千歌っ……!!」 千歌「美渡姉、いつも怖いけど、ホントはすっごく優しいところ、大好きだよ」
千歌「志満姉も、お母さんも、お父さんも、しいたけも、大好き」
美渡「やめてっ……お願い、いかないでっ……」
千歌「この家に生まれて、幸せでした」
曜「いこう、もう時間がない」
千歌「バイバイ、美渡姉」
美渡「いやっ、千歌……どこ、千歌っ」
美渡「まだ、いるんでしょ? ねえ、行かないでって言ったじゃん!」
美渡「千歌ぁっ……!!」 / \
/ / \
/ / . イ ト、 ヽ
/ / / | l| \ ヘ ヽ
. / / / | :l l| \ ヘ l ',
/ ン'^⌒` | :l j '^´ ̄` \ i | ,
. ' l l/ | l / Vi | l 剣を握らなければ お前を守れない
│ | l _,.ニ.,,_ | l:{ / _,ニ..,,_ i | |
| :| | ,ィfひ「ハ` |ハ / fひソハ\ i ,' │
| l /( {::::::ノリ j/ l:::::::ノリ )〉 j / |
│ lハ | ` `ー ' `ー '゙ '゙ / / l
. l lハ | :.::::::.: , :.:::::::.: / / ^l l
l l', \ヘ // /ハ } j ,' 剣を握ったままでは お前を抱き締められない
. V{ l', l\ // ノ ノ ノ //
ヽl ', lハ `ー'⌒ ‐-‐' / __ イ //
. \い个:.、 / , / //
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`ヽ ー≧ュ.. __.. ‐ ´ |/ ´ '′
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(´( ,r―――‐-y .,--, r----y r----, ,-----、 ,r-ァ ,r-y ) ヽ
ヽ、`ヽ __ 一7 /'7 } / / / / ̄ .//l l´ / / 7 // /_/ / _ ,r´,r´ THE
,/ / l ( /  ̄ <´/ / / └‐ァ //_l l / / '--' / _. / )ヽ ヽ ヽ、 INNOCENT
/ ( ) ヽ, / /'7 / / / ./ / ̄ //~~l .l / /./ ̄// / / ./ ノ ( ) ). "BLOODY"
./l ヽ-、`''´ /___ー'_,ノ /__'--ァ/___'--ァ/_/ l_-'_'-'__ノ/__ノ/___'--y__ `~ ,--' lヽ GIRL
.l ヽ_ノ .7∠ニニニニニニ フ--y〃/ / _ _┬∠ニニニニニニニフ/ ヽ,_ノ/
ヽ,__,,,,,,7∠ニニニニニニフ / / / ̄∠ニニニニニニフ /,,___,ノ ,. ---------
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. / .∧ : : :| |′ ,,====- 、ヽ : : : :. , 不幸を知ることは
/ .′{ | : :..:.lゝ| 〃 )? }i ‘。 }: : :. | ′ 怖ろしくはない
'j i 、\: : :..| { トr彳炒 '′ | .ハ: : : |: :.
i | | | γ´\\: | ゞ= '″:.:.:.:. }/ |: :: |: : :. 怖ろしいのは
| | | |. / ___ \ |: :: |⌒'. 過ぎ去った幸福が
| | | |/ 〃⌒` /イ /_ }│ 戻らぬと知ること
| リ{ j{ __)j刈 、 / | / lノ /
, 八 j{弋r少′ }′ ィ.:|:
′ ヘ ゝ :.:.:.:.: 厂ヽ /: :..:|/
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| :.:.:.:.:.:.| _,>=- ..,,___ __________ __,,,...ィ:.: '" 美しきを愛に譬(たと)ふのは
/| | : :.:.:.:.:.|弌{'⌒7¨¨ 芹竿≧=ミト、⌒¨¨´ 愛の姿を知らぬ者
′ | : :.:.:.:.| ヽ {ー‐乂ツo::::i}⌒ヾ,
/ : ハ } . :.:.:.| ゝ- ::::::__0ソ
.′: :.:.ハ : :.:.:.ハ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: 醜きを愛に譬(たと)ふのは
{ : :.:.:.い{ 、 :.:.:.小、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: 愛を知ったと驕る者
厂 ̄リ :.:.:.:.:∧ \ :.:.{ \:.:.:.:.:.:.:.
{ | :.:.:.:.:/:.:.\{`ヽ\:.:.:.:.:.:.:.:.:
___,,,....厂 ̄ ̄| :.:.:/:.:.:.:/:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: /
/二ヾ二ニニ==-- {_____ 乂 :.′:.:.′:.:.:ハ
′ニニニiニニニニニニニニニニニニニ二| :.:.:.{二/二ヘ 、
/ニニニニ二}ニニニニニニニニニニニニニニニ| :.:.:.{=/ニニ/ :. /´ \
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