水素社会政策

なぜ、水素社会政策は実行されたのか? トヨタの奥田社長が最終的に認可した理由がFCV部長の手記に書き残されていた。

「奥田社長が『小泉首相の最初の所望なので、なんとかしてやってくれ』と切に私に翻意を促された。結局、奥田社長の人情論に負けたのだ。」
冷静な分析より人間関係が優先され、2002年、水素社会政策は発令されたのだ。

FCV発売開始から3年。
水素ステーションは1か所数億円の補助金、FCVには1台あたり200万円の補助金、という名の税金を総額数百億投入しても、化石燃料から作った水素ばかりで、CO2は減るどころかむしろ増えるという惨憺たる状況

『どのくらいCO2排出量に効果が出るか』と質問があり、『ハイ、20%だと思います』と返事。
最初はCO2排出量が20%減るのかと思った。それは、化石燃料から作った水素ばかりでCO2排出量がハイブリッドより20%増大するということだった。

エコカーで最も無謀といわれる水素社会政策。税金の無駄遣いは数百億とも言われている。
官僚の上層部は2030年、この事実とどう向き合ったのか。

官僚が残していた回想録には「水素社会政策は、総理の指示だった」と、綴られていた。

経済産業省は、次のように答えている。
「水素社会という点では、経済産業省は、どの時点であれ一度も、いかなる計画も立案したことはない。
水素社会政策の失敗は、経済産業省が担うべき責任というよりも、トヨタ、ENEOS、そして、岩谷産業の責任である。」