【SS】ことり(18)「今日からあなたの専属メイドになることりです。まりちゃんよろしくね♡」鞠莉(11)「ふんっ…」
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行くぞ内浦探険隊! 1/7
五日目、日曜日
ことり ルンルンルン
家野「おはようございます、ことりさん。なんだかご機嫌ですね」
ことり「そうですか?そんな風に見えますか??」ニコニコ
家野「はい、とても」
ことり「別に、うーん、なにもないんだけどなあ」エヘヘ
家野「………そうですかね」
鞠莉ママ「Good morning, イエノ」トコ…
家野「おはようございます、奥様」
ことり「!」タタタ…
ことり「おはようございますっ、小原さん!」
鞠莉ママ「…二回目デスよ」
ことり「朝の挨拶は何回したって気持ちいいものですよ!」
鞠莉ママ「ハァ…」 行くぞ内浦探険隊! 2/7
まり「おはよー」トコトコ…
ことり「!」タタタタッ
ことり「まりちゃあんっ、おはよおおお!」
まり「うわっなに!?きもちわる!」
ことり「まだ一回目だよ!?」ガーンッ
まり「はあ?一回目…?」
家野「どうなさったのでしょうね」
鞠莉ママ「サテね…ワタシはなにも知りまセン。それよりもイエノ、breakfastの用意を」プイ
家野 (あっ、これなにかご存知のやつですね)
家野「はい、ただいま」ペコ… 行くぞ内浦探険隊! 3/7
朝食中…
家野「お嬢様、今日はなにかご予定がありますか?」
まり「ううん、なんにも。かなんと遊ぼうかな〜」
鞠莉ママ「マリ。ハグゥの他にもトモダチはいないのデスか?もっとこう、淑やかな…」
まり「そうよね、かなんと遊ぶならダイヤも呼ぶわ!」
鞠莉ママ「そ、そうではなくて…」
ことり (はぐう?) 行くぞ内浦探険隊! 4/7
家野「せっかくですし、果南さんと一緒に内浦の町をことりさんへご案内してあげてはどうですか?」
ことり「!」
まり「え〜、」
──かなん「ことちゃんだね、よろしく!」
──ことり「ことちゃん…えへへ…♡」
まり ムムムー
ことり「はいはいはい!行きたいですっ、まりちゃん達に内浦の案内してほしいなっ!」
家野「だそうですよ」
まり「…」
まり「わかったわ」
家野「おっ」
鞠莉ママ「ほう」 行くぞ内浦探険隊! 5/7
ことり「! やった、それじゃ…」
まり「でも内浦を歩くなら、三人じゃなくて二人がいいわ」
ことり「そ、それってまりちゃんと二人!?やんやんっ、ことりも大賛成…!」
まり「そう」ガタ
まり「まりとかなんの二人がね!ごちそうさまでした!」ダッシュ!
ことり「あっ!?ままま待ってまりちゃん!ことりも行く〜〜〜!」ワタワタ
家野「相変わらずのようですねえ」
鞠莉ママ「イエノ、coffeeのおかわりを」
家野「はい、ただいま」カチャ… 行くぞ内浦探険隊! 6/7
船頭「三人で仲良くおでかけかい!いいねえ」
ことり「はいっ♪」
かなん「ダイヤのとこに行くんだよ!」
船頭「おー、いいじゃねえか。おじちゃんも行っちゃだめかい?」
かなん「だめ!」
船頭「あたたた、まいったなあ」ハッハッハ
まり「いいから早く出して〜」
船頭「おっと、そうだったな。揺れるから掴まってな!」
ことり ガシッ
まり「まりにじゃなくて手すりにでしょ!」
かなん「じゃ私も〜」ガシ
まり「…」←まんざらでもない 行くぞ内浦探険隊! 7/7
家野「気を付けていってらっしゃいませ」
かなん「行ってくるねー!」ノシシシ
まり「夕方には戻るわね」
家野「はい。美味しい晩ごはんを用意して待っていますよ」
ことり「ま、ままま、まりちゃん達のことはことりにお任せください…」
家野「…果南さん、ことりさんのことをお願いしますね」
かなん「まかせて!」
船頭「そいじゃ出すぜい!」
ブ…
ブゥゥゥゥン…
<ぴぃぃぃぃ〜〜〜〜……!
家野「相変わらずなのはお二人とも、ですか」クスッ 冷たい甘い、ムジュンが愉快 1/4
ことり「これが…内浦…!」パァァァ
まり「別に、よくある港町でしょ」
かなん「まり、内浦の他に港町なんか見たことあるの?」
まり「…ないけど!そういうものでしょ!」
かなん「佐世保とか函館もそうなんだってさ」
ことり「かなんちゃん、詳しいんだね」
かなん「うん!じいちゃんがよく聞かせてくれるんだ、色んな町のこと」
ことり「へ〜、よく旅行に行かれるの?」
かなん「んっとねー、お父さんは『おやじのあれは旅行じゃなくてホーローだ』って言ってた」
ことり「放浪」
まり「ねねねかなん、つじそーさん寄っていきましょうよ」グイ
かなん「いいよ、みかんアイス食べよっか」
まり「うん!」 冷たい甘い、ムジュンが愉快 2/4
辻宗商店
かなん「おばあちゃーん、おはよー!」
まり「おはよー!」
「ああおはよう、かなんちゃん。まりちゃん。今日も元気だねえ」
かなん「えへへー。ねえ、みかんアイスちょうだい!」
「はいはい。まりちゃんも食べるかい?」
まり「もらうわ!」
かなん「ことちゃんも食べるでしょ?」
ことり「! あっうん、食べてみたいな。私にも頂けますか?」 冷たい甘い、ムジュンが愉快 3/4
「おや、見ない顔だね。かなんちゃん達のご親戚ですか?」
ことり「私は、」
かなん「この人はねー、ことちゃんっていってねー、まりの………………まりのなに?」
まり「この前からうちに住んでる人よ」
ことり「あ、新しいメイドですっ!」チュン!
かなん「あはは、それだ。メイドさん」
「そうかいそうかい、みんな仲良しみたいでいいねえ。じゃ今日はおばあちゃんが奢ってあげようかね」っみかんアイス
まり「ほんと!?やったーっ!」
かなん「ありがと、おばあちゃん!」
ことり「えっ、い、いいんですか!?二人の分だけで、私は出します…」ゴソゴソ
「いいんだよ、若い子が遠慮するもんじゃないさ。美味しかったらまた買いにきてくださいな」
ことり「あ…ありがとうございます。お言葉に甘えて、頂きます」
「うんうん」 冷たい甘い、ムジュンが愉快 4/4
まり「んー、おいし〜っ」チュー
かなん「このいっぱいのために生きてる!」チュー
ことり「待って二人とも、ことりも食べる〜!」
かなん「ことちゃんってば遅いよー」
ことり「…ん、美味しい!」チュー
かなん「へっへー、そうでしょー」
ことり「さすが、まりちゃんお気に入りのお店だね。おばあちゃんも優しいしアイスも美味しいな」
まり「そりゃそうよ、まりの目に狂いはないもの!」
かなん「えー、まりってばちょっと前まで恥ずかしがって来なかったじゃん」
まり「か…かなん!余計なこと言わなくていいの!」
アハハハ…
「今日も暑くなりそうだねえ」 観光案内人かなん 1/3
かなん「あれがね、おきしーてっく」トコトコ
ことり「なんの建物なの?」
かなん「わかんない!」
まり「オキシーテックは、海洋音響測定の試験とか評価をする専門の会社よ」
ことり「えっ!まりちゃんすごい、なんでそんなこと知ってるの!?」キラキラ
まり「!」//
まり「べ…別に、これくらい小原の人間としては当然の知識だもの!すごくなんかないわよ!」プイッ
かなん「かいよーおんきょー?」
まり「…海の中で音を測って、海の中の環境を調べるのよ」
かなん「おー、わかりやすいね!なるほどなるほど、確かに海の中って色んな音が聞こえるもんね」
ことり「そうなの?」
かなん「うん。それで今日は機嫌がよさそうだなーとか、あんまりよくなさそうだなーとかわかるんだよ」
ことり「へ〜!」 観光案内人かなん 2/3
かなん「それでね、ここの道を向こうに行ったら、私達の学校があるんだよ」
まり「あっかなん…」
ことり「! わかった、覚えておくね!」ゞ
まり「いいの覚えとかなくて!忘れて!絶対に来ないで!」
ことり「今週雨が降るみたいだよ?」
まり「だからなに!かささすから平気だもの!」
ことり「可愛いレインコート探しておかなくっちゃ」ムンッ
まり「着ないからね!」
かなん「私はアマガエルのレインコート持ってるんだよ。今度見せてあげるね」
ことり「うんっ、楽しみにしてるね」
まり「聞きなさいってば!!」 観光案内人かなん 3/3
かなん「そこがねー、かき氷屋さんでー、郵便局でー、こっちがぎょぎょー組合でー」
ことり「色んなお店があるんだね」
まり キョロキョロ
ことり「まりちゃん?」
まり「あ、うん。あんまりこっちには来ないから…」
ことり「あれ、そうなの?」
ことり (てっきりかなんちゃんと一緒によく来てるのかと思ったけど…)
かなん「でね、あれが松月さんだよ」
まり「松月さんは覚えてるわ。みかんタルトを食べたところよね」
かなん「そーだよ。でもさっきみかんアイス食べたから今は行けないね」
ことり「お菓子屋さんなの?」
かなん「喫茶店なんだって〜」
ことり「…わあ、ショーケースにケーキとお菓子がいっぱい!見て見てまりちゃん、かなんちゃん!」
まり「ちょっと、外から覗くなんてやめてよ恥ずかしい…」
かなん「私らには高いんだよね〜」
ことり「そっか、そうだよね…」
まり「もう、早く行きましょうよー」 敵陣到達!囚われの果南!? 1/3
かなん「♪せーんろっはつづくーよー どーっこまーでーもー」
ことり「♪やーまこえたにこーえー てーんまでとどけー」
かなん「そんな歌詞だっけ?」
ことり「あれ、違ったっけ…」
かなん「ま、いっか!でもことちゃん歌うまいね!」
ことり「えへへ、そうかなあ」
まり ソワソワ…
ことり「まりちゃん?またなんだか落ち着かない様子だけど、どうかした?」
まり「どうもしてない、けど」モゴモゴ 敵陣到達!囚われの果南!? 2/3
かなん「こんにちはー」スッ
ことり「ってかなんちゃん!?そんな自然にどこ入っちゃうの──」ギョッ
『十千万』
ことり「じゅっ、せん…まん……?旅館…?」
ことり「あっかなんちゃん、勝手に入ったら怒られちゃうよ!」アワワ
まり「かなんなら放っといて平気よ」
ことり「で、でも…」オロ
まり「気になるなら覗いてきていいと思うけど、っていうかすぐには戻ってこないと思うから…」
ことり「へ?どういうこと??」
<あっはっはっはっは!!
ことり「!?」ビクッ 敵陣到達!囚われの果南!? 3/3
ことり「かなんちゃんと…元気そうな女の人の笑い声…」
まり「!」
まり サササッ
ことり「まりちゃん!?」
ことり (よくわかんないけど、まりちゃんが私のかげに隠れた…!可愛い!) キュンキュン
美渡「おっ、初めて見る顔だ」ヒョコ
かなん ヒョコ
ことり「あ、かなんちゃん…」
美渡「どうしたんですか、そんなところに突っ立って。入っちゃいなよ」
かなん「はいっちゃいなよ」
美渡「いやいや、ここ果南ちゃんの家じゃないからw」
かなみと「「あははははは!」」ケラケラ
ことり「???」ポカン…
まり モジモジ… 高海さんとこの三姉妹、次女 1/5
十千万、ラウンジ
ことり「とちまんさん!」
──家野『十千万さんというのは本土にある老舗の旅館です。そちらにも年の近い娘さんがいらっしゃるのですが、どうもお嬢様は人見知りで、なかなか新しい友人を作ろうとなさらないのですよ』
ことり「そっか、ここが」
美渡「お?その感じ、名前は知ってたのかな」
ことり「はい、小原家の方から聞いてました」
美渡「そっかそっか。なんだっけ、小原さんとこでアルバイト?」
ことり「アルバイトというか、まあその…職業体験、みたいな…」アハハ…
美渡「なんだそりゃ。せっかくこんな辺鄙な町に来るんだったらうちでやってくれればよかったのに」
かなん「ねーみとちゃん、チカはー?」
美渡「だからいないって言ってるだろ。おとなしくお菓子食べてなって」
かなん「むー」ポリポリ
まり ホッ… 高海さんとこの三姉妹、次女 2/5
ことり「ちかちゃんって確か、」
美渡「うん、うちの末っ子。なんだ〜、そんなとこまで聞いてるんですか?もしかして敵情視察のために来たとか」ニシシ
ことり「そ、そんなんじゃないです!ダイヤちゃん?のところに行く途中だったんですけど…」
美渡「果南ちゃんが自宅かのように入ってったからびっくりしたってわけだ」
ことり「心配ないみたいですね」エヘヘ
美渡「まあね。果南ちゃんも千歌のお姉ちゃんみたいなもんだからさ、朝起きたらいたって驚かないくらいだよ」
ことり「そうなんですね」
かなん「でもチカいないんだってさ。曜の応援に行ってるんだって」
ことり「ようちゃんもお友だち?」
かなん「チカの双子だよ!」
ことり「えっ!?」
美渡「いや双子じゃないだろ。それくらい仲良しってだけだからw」
ことり (情報がごちゃごちゃしててよくわかんなくなってきた) 高海さんとこの三姉妹、次女 3/5
まり ポリ…ポリ…
美渡「鞠莉ちゃんでしょ?」
まり「!」ビクッ
まり「あ、はい、こんにちは、おは…小原…まりです…」
美渡「随分緊張しいだな。鞠莉ちゃんって人見知りなのか?」
かなん「まりは英語が話せるんだよ」
美渡「会話になってないだろ。なんでだよ」
ことり「ちょっぴり恥ずかしがり屋さんみたいで、私もまだなかなかお話しできないくらいなんです」ハハ…
美渡「そっかそっか、大丈夫。怖くないぞ〜、美渡ちゃんって呼んでみな〜」
まり ササッ
美渡「お?」
まり ギュ…(裾)
ことり「!」
美渡「…なんだ。お姉さん、全然なつかれてるじゃんか」
ことり キューーーンッ クラクラ…
美渡 (こっちはこっちで重症そうだな) 高海さんとこの三姉妹、次女 4/5
美渡「へー、じゃ私と同い年なんだ。しっかりしてるからもっと上かと思ったよ」
ことり「そうですか?友達にはいつもぼーっとしてるって言われてましたけど…」
美渡「うん。ぼーっとしてもいる」
ことり「もうっ!」チュン!
美渡「あははは、ごめんごめん。でもせっかく同い年なんだから仲良くしてよ。美渡って呼んでくれていいからさ」
ことり「美渡、ちゃん」
美渡「ことりちゃん」ニカッ
美渡「小原さんとこにいるんじゃよっぽどなにもないと思うけど、ま、なんかあったらいつでも頼ってよ。家族総出で助けにいくからさ」
ことり「わあ、ありがとう!」 高海さんとこの三姉妹、次女 5/5
美渡「さて。千歌もいないんじゃあの子らも退屈だろうし、黒澤さんとこに行くんだよね。あんまり引き留めちゃ悪いか」
ことり「お茶ごちそうさまでした」
美渡「静岡と言えばお茶だからね。美味しかったろ?」
ことり「はい!」
美渡「そろそろ行くってよー。なにやってんの?」
かなん「ここにまりの写真飾ろうと思って片付けてたんだよ!」
美渡「だからなんでだよ!こら、それは置いとかなきゃいけないやつだって、志満姉に怒られるだろ!」
かなん「私はあんまり好きじゃないけどな、これ」っ置物
美渡「知らないよ!」
ことり「うふふ…」
まり「………ふふっ」 メイドさん、正体見たり、枯れぬ花 1/5
ことり「ねえねえ、ダイヤちゃんってどんな子なの?」
かなん「ぷぷっ、ダイヤ…ちゃん…」ククッ
まり「どんなって…頭がかたくて、」
ことり (海未ちゃん?)
かなん「怖がりだよね」
ことり (海未ちゃん…)
まり「かなんが言う…?」
かなん「あと日本のおじょーさまだよ」
ことり「日本のお嬢様?」
かなん「うん。まりはアメリカのおじょーさまでしょ?それでダイヤは日本のおじょーさま」
まり「まりはアメリカじゃないけど…」
まり「立派な日本家屋に住んでるのよ。内浦では歴史のある名家だっても聞いてる」
ことり「へえ〜」
ことり (海未ちゃんんんん!!) メイドさん、正体見たり、枯れぬ花 2/5
かなん「それとねー、背が低くて、前髪がなくて、いつもルビィがくっついてるんだー」
ことり (前髪がない?ルビーがくっついてる??)
ことり (カチューシャで髪を上げてて、お気に入りの宝石かなにかを身に付けてる…の、かな…?)
まり (全然違う想像になってそう)
かなん「今日ルビィもいるかな?」
まり「どうかしらね。いてもこの人がいるから隠れて出てこないかもよ」
かなん「そっかー、私たちはことちゃん好きなんだけどね」
まり「………」//
ことり (鈴木財閥のお嬢様みたいな感じ…??) ムムム
かなん「あっほら、そろそろ着くよ」
ことり「!」パッ メイドさん、正体見たり、枯れぬ花 3/5
黒澤邸
ことり「わあ…本当に立派なお家…!」
かなん「つーしょー『黒澤邸』だよ」
まり「それまりたちしか呼んでないけどね」
ことり「黒澤邸って、歴史的文化遺産みたいな名前だね…あっ、そっか黒澤さんだもんね」フムフム
かなん ポチ
ことり (あ、ここではちゃんとインターホン押すんだ)
かなん「ダイヤのお母さんは礼儀にきびしいからね。勝手に入ったら怒られるんだよ」シーッ
まり「うちのママも怒ってはいるわよ…?」
かなん「まりのお母さんとみとちゃんは平気!」
『はい』
かなん「こんにちはー、かなんでーす。ダイヤいますかー?」
『あら、こんにちは。ダイヤさんね、少々お待ちくださいな』プツッ
かなん「はーい。いるって!」
ことり ワクワク… メイドさん、正体見たり、枯れぬ花 4/5
ジャリ ジャリ ジャリ…
かなん「あ、来た」
ことり「!」
かなん「やっほーダイヤ〜」ノシシ
まり「遊びにきたわよ〜」
ダイヤ「かなんさん、まりさん。おはようございます」トコトコ
かなん「あれ、ルビィが一緒じゃない」キョロキョロ
ダイヤ「ルビィはお琴のお稽古中ですわ。あと一時間もすれば終わると思いますが」
かなん「じゃ上がって待ってよっか!」
ダイヤ「それはかなんさんが決めることではないかと…もちろんいいですけど…」
ことり ポーッ…
まり ツンツン
ことり ハッ!!
ダイヤ「あら、そちらの方は?」キョトン
ことり (ぴええええっダイヤちゃんも二人に負けず劣らず可愛いいいい!!)
ことり「あっえっと、初めまして!」フンスフンス
まり (うわっだいぶ興奮してる…) ヒキ… メイドさん、正体見たり、枯れぬ花 5/5
ダイヤ ジーッ
ことり (見てる!ダイヤちゃんが可愛い目をぱちくりさせて私を見てる!まりちゃんともかなんちゃんとも違うこの反応、ずっと見つめ合っていたいくらい可愛いよぉ) キュンキュン
まり「早くあいさつしなさいよ」
ことり「あっあのあの私ね、まりちゃんのところでしばらくお世話になってます、
ダイヤ「南、こと…り……?」
ことり「!! 嬉しいなあ、ダイヤちゃん私のこと知ってくれてるんだぁ!そうですっ、私、μ'sの南ことりですっ♡」
ことり「…………………………………え?」ハッ…
ダイヤ ポカン…
ことり「あっ…うそ…」
まり「?? ダイヤ、知り合いなの?」
かなん「おっきなネコがいる!」
ネコ ニャー
ダイヤ「……………ぴ」
<ぴぎゃあぁぁぁああああ〜〜〜〜〜〜っっ!!!
<ふぇぇぇ〜〜〜んっンミチャ〜〜〜〜…! 娘の憧れ、母の願い 1/6
黒澤邸
カポーン… (ししおどし)
ことり セイザッ
ダイヤ セイザッ
まり(正座)
かなん アグラッ
ことり「あ、あの…」
ダイヤ「ピギャいっ!!なななな、なんでしょうか南ことりさん!様!」
ことり「さ、様じゃなくていいんだけど…」
ダイヤ「ではではではっみみみみ南ことり…っ孃…!」
ことり「それはなんだか普通にイヤだよ!?」ガーンッ
ことり「フルネームでもなくていいってば、まりちゃんやかなんちゃんみたいにただ名前で呼んでくれたらいいから」
ダイヤ「こっ、こっここここ……ここここ…」
かなん (ニワトリみたい)
まり (ダイヤがこんなことになってるの初めて見たわ)
ダイヤ「ころりさんっ!!!///」
ことり「疫病!!?」 娘の憧れ、母の願い 2/6
黒澤母「ようこそいらっしゃいました。粗茶ですが」スッ
ことり「すみません、頂きます」
まり「ありがとうございます」
かなん「おばさん、」
黒澤母「はいはい、お茶は嫌なのでしょう。ですが我が家にいる間はそう易々とみかんジュースが飲めるとは思わないでくださいな」
かなん「くっ…!ことちゃん!私はちょっと用事をすませてくるよ!」
ことり「へ?なに?なに??」
まり「気にしないで、いつものことなのよ」
かなん「うおーっ」スタスタスタ
ことり (掛け声の勢いの割には走らないで早歩き!黒澤さんの教育が行き届いてる!?)
黒澤母「差し支えなければ、ご一緒してもよろしいですか?」
ことり「! は、はいっもちろん!」
黒澤母「それでは」ストン 娘の憧れ、母の願い 3/6
黒澤母「改めて。黒澤ダイヤの母でございます」
ことり「初めまして。南ことりです」
黒澤母「南さんは、小原さんのところへお勤めの身なのだそうですね」
ことり「はい…ご存知なんですね」
黒澤母「ええまあ。放っておいても区内の情報が入ってくる場所なもので」
黒澤母「私には」
ダイヤ ガチガチ…
黒澤母「このやたらと緊張したダイヤと、妹のルビィ。二人の娘がおります」ポン
ダイヤ ハッ…
黒澤母「いつまで緊張しているのですか」
ダイヤ「お母さま…」
まり「あの」オズ
黒澤母「なんでしょう」
まり「どうしてダイヤはそんなに緊張してるの?ことりのこと、知ってるの…?」
黒澤母「ダイヤさん。ご自分で」
ダイヤ「は、はい」コク 娘の憧れ、母の願い 4/6
まり「──アイドル!?」
ことり「いやっ、あのねっ、アイドルって言ってもテレビに出てたわけじゃなくてね、学校の部活動でやってたってだけだよ」アセアセ
黒澤母「そうご謙遜なさらず。南さんが所属されていたグループ、それに当の南ことりさんといえば、その界隈にわずかでも興味を持てば知らずにいられない存在でしょう」
ダイヤ「そっそうですわ!」バンッ
ダイヤ「国立音ノ木坂学園スクールアイドルμ's!始まりのスクールアイドルとも呼ばれるA-RISEと並び、スクールアイドルの世界ではその名前を知らない人はいませんわ!」
ダイヤ「グループができてからほんの数ヶ月でラブライブ!本選に出場というところまで上り詰めた俊足のスクールアイドル!わたくしはA-RISEよりもμ'sの方が大好きなのです!」バンバン
ことり「わ、わかった。わかったから落ち着いてダイヤちゃん、机が壊れちゃうよ」オロ
黒澤母「ダイヤさん」
ダイヤ ハッ
ダイヤ「ご、ごめんなさい。取り乱しました…」
まり「うん、そうね」 娘の憧れ、母の願い 5/6
ダイヤ「…お母さまにお願いして、ずっとインターネットでμ'sの動画を観ていました。新しい動画が出たら何回も繰り返して観ましたわ」
黒澤母「一日になんべんもせがむので、とうとうホームページをスタートアップに設定したほどです」
ことり「それは…ありがとうございました…」
ダイヤ「ラブライブ!の本選はテレビで流れるので、やっと…やっと動くμ'sをテレビで観られるんだって、歌って踊るμ'sを応援できるんだって、……そう…思ってたのに…」
ことり グ…
まり「な、なに?どうかしたの?」
ダイヤ「μ'sは、本選への出場を辞退したのですわ…」
まり「ジタイ?」
黒澤母「本選に出るのをやめてしまったのですよ」
まり「え、なんで?」キョトン
ことり「…っ」
ダイヤ ジワ…
黒澤母「…」 娘の憧れ、母の願い 6/6
黒澤母「ご覧の通り、ダイヤはμ'sさんに対して強い思い入れを持っています」
黒澤母「たまたま知り合っただけのそんな一人に、しかも現役を退いていらっしゃる御身に無茶を申し上げることは致しませんが」
黒澤母「袖触れ合うも多生の縁。もしご迷惑でさえないのならば、南さんのご無理でない範囲で、娘の話に付き合ってやってはいただけませんか」ペコリ…
ことり「そっそんな、頭を上げてください!私なんかでよければ、こちらこそっダイヤちゃんとたくさんお話ししたいくらいで!」
黒澤母「そうですか。やはり、お優しい方なのですね」
ことり「私なんか、たまたま運に恵まれただけのいちメンバーだっただけなので…たいしたことないんです」
黒澤母「そうでしょうか」
黒澤母「私も娘達に並んで何度もμ'sさんの歌や踊りを拝見しましたが、そこに映る南さんの姿に、笑顔に、歌声に、他の方々と見劣りする部分など全くなかったように思います」
黒澤母「…さて」スッ
黒澤母「これ以上母親が傍にいては話もしづらいでしょうから、私は奥へ下がります。ダイヤさん、くれぐれも失礼のないように」
ダイヤ「はい…」グシグシ
黒澤母「妹も、後ほどこちらへ寄越してよいですか?同じくμ'sさんのことが大好きなのです」
ことり「はっはい、ぜひ!」
黒澤母「それでは一旦失礼いたします」ススス 問う者、噤む者、明かす者 1/6
ダイヤ「…」
ことり「…」
まり「…」
ことり「ダイヤちゃん、あのね」
ダイヤ「どうして」
ダイヤ「どうして、μ'sは解散してしまったのですか」
ことり「っ…」グ…
まり「あ、解散したのね…」
ダイヤ「わたくしたちはたくさんのスクールアイドルを見てきました。
最初はグループだったのに少しずつ減っていて最後にはひとりぼっちになってしまった方や、二年間活動していても全然お名前が有名にならないグループ、どこどこの下位互換、なんて言われているようなグループ」
ダイヤ「たくさん、たくさん。ルビィと二人で知らないグループを見つけてはいっぱい調べて曲を聴いて。そんな風にずっとスクールアイドルを追いかけてきましたが」
ダイヤ「そうして出会ったスクールアイドルの中でも、μ'sの皆さんが大好き……いちばん好きでしたわ!」
ダイヤ「ラブライブ!本選で優勝して、テレビや雑誌にもたくさん出て、曲もたくさん出して、もっともっと好きになる──なりたかった、のに…」
ダイヤ「…………どうして…」ポロ… 問う者、噤む者、明かす者 2/6
ことり「それは……それは、」
──ヒデコ『え!?穂乃果達、解散しちゃうの!?』
──フミコ『ってかことりちゃん海外行っちゃうの!?えーん、寂しいよー!』
──ミカ『まー、無理は言えないじゃん。いちクラスメイトの私達がさ』
──『解散したってまじ?』ヒソ
──『予選突破した〜って騒いでなかったっけ』ヒソ
──『なんか、リーダーの子が倒れたとか』ヒソ
──『うっそ自己管理できないとか、だっさ!』ヒソ
──『ネットニュース』
──『俊足のスクールアイドル、μ's!本選辞退!原因はメンバー間の不仲か!?』
──『μ's解散!本選辞退から見る「計画的解散」の背景とは』
──『かなC』
──『WZ好きだったのにな〜』
──『スクールアイドルは所詮量産品』
──『俊足解散w』
ことり「それ…………は……」
まり「もうやめて」 問う者、噤む者、明かす者 3/6
ことり ハッ
ダイヤ「!」
まり「なにがあったのか知らない、まりにはわからないけど、これ以上ことりにそのことを思い出させるのはやめて。ダイヤ」
ダイヤ「で──ですが、わたくしは知りたいのです!本当に本当に好きだった、μ'sが解散してしまったのはなぜなのか…!」
まり「ねえダイヤ、ことりの表情を見て。今、あなたの目の前にいることりの表情を」
ことり「…!」
まり「わたしはみゅーずのことも、アイドルとしてのことりも知らない。ダイヤがそんなに好きになるんだからきっとすごく素敵だったんだろうなって、それだけはわかる」
まり「でも、もうそれは終わったことなんでしょ。きっと理由があったのよ、誰も知らない事情とか、そういうのが」
まり「ダイヤが本当にみゅーずのことを、ことりのことを好きだったんなら、これ以上ことりを苦しめないでほしいの」
まり「お願い──」ペコッ…
ことり「まりちゃん…」
ダイヤ「まり、さん…」 問う者、噤む者、明かす者 4/6
ダイヤ「ごめんなさい」
ダイヤ「自分が知りたいことだからと、ことりさんの気持ちを考えていませんでした。反省いたします…」
ことり「そんな、いいんだよ。私達を応援してくれてたんだから、それが気になるのは当然だもん」
ダイヤ「まりさんに言われるまで気がつかないなんて、ことりさんを前にして、わたくしは…とんでもない失礼を…」ジワ
ことり「わわわわっ、だだだ大丈夫だよ!ことり怒ってないよ、泣かないでダイヤちゃん!」
まり「ダイヤ」
まり「ことりはそれくらいで怒ったりしないわ。あなたのことをキライになったりなんかしないから、落ち着いて」
ダイヤ「!」
ことり「まり…ちゃん…」
まり「ふんっ」プイッ
ことり「まりちゃあん…♡♡」キュンキュン 問う者、噤む者、明かす者 5/6
ことり「まりちゃんっ、ことりのことそんな風に思っててくれたんだねっ。嬉しい!」ギューッ
まり「もーいーから!うるさい!ダイヤとお話ししなさいよ!ダイヤだって、せっかく憧れのことりに会ったんなら泣いてないで話したいこと話さないと損よ!ああもうくっつかないでってば!」ジタバタ グイ
ことり「ふぎゅ…そ、そうだよダイヤちゃん。なんでもお話ししよ、私ダイヤちゃんのこととかルビィちゃんのこととかたくさん知りたいな」
ダイヤ「は、はい。だったら、ええと、これを」ゴソ
『μ'sに会ったらききたい1000のこと! ダイヤ・ルビィ』 ドスン
ダイヤ「ルビィがまだいませんが、お夕飯までにみんな聞くには時間をむだにできませんわ!さあことりさん、たくさん教えてくださいな!μ'sのことが200個と、ことりさんのことは…どこからだったでしょうか」パラパラ
ことり「」
まり「ことり」
ことり ギギギ…
まり「がんばれ」ポン
ことり「ふぇえ〜〜〜んっ、ンミチャ〜〜〜〜………!!」
ダイヤ「えっ海未さん!?どこですか!?来ているのですか!?」バッ キョロキョロ
………………
……… 問う者、噤む者、明かす者 6/6
<ことちゃ〜〜〜んっヘルプミ〜〜〜〜!
ことり「かなんちゃんの声…?」
ダイヤ「いつもお一人でがんばっているのに、助けを求めるなんて珍しいですわね」
まり「それだけなついてんでしょ、この人に」ムゥ
ことり「なんだかよくわからないけど、ちょっと行ってくるね」タタタ
ダイヤ「お早めにお戻りくださいね!」ウキウキ
ダイヤ「はわ〜それにしても本物のことりさんにインタビューができるなんて、記者さんになったみたいですわ」ウットリ…
まり「みゅ
ダイヤ「はい!?なんでしょう!?」
──まり「みゅーずってそんなにすごかったの?」
──ダイヤ「すごいなんて言葉では言い表せませんわ!きらきら一生懸命でどうのこうのどうのこうのそうだ一緒に曲を聴きましょう!わたくしが好きなのは云々………」
まり「…ううん、なんでもない。ことりと話せてよかったわね」
ダイヤ「はいっ最高ですわ!」
まり「…」
まり「ねえダイヤ。ことり本人に話さないでいてくれるなら、わたしが──」
ダイヤ「はい…?」 愛しき者の膝の上 1/11
黒澤母「どうぞ」コト
かなん「わーいっ、いただきます!」グビグビ…
かなん「ぷはあ〜っ、この一杯のために生きてるぅ!」クーッ
かなん「ことちゃんも飲む?内浦のみかんジュースは最高だよ!」
ことり「悪いよ、それはかなんちゃんが頑張ってお手伝いしたご褒美のみかんジュースなんだから…」
かなん「おばさん、ことちゃんにも同じのを!」
まり「かなんがあげるんじゃないんかい」
黒澤母「飲みますか?」
ことり「いえ、私はお茶で結構です。とっても美味しいです、このお茶」
黒澤母「静岡と言えばお茶ですからね。当然のことです」ホホ
──美渡「静岡と言えばお茶だからね。美味しかったろ?」
ことり「ぷ…」ククッ…
黒澤母「?」 愛しき者の膝の上 2/11
ルビィ「ねーねー、いっしょに歌おー」クイ
ことり「うん、いいよ。なに歌おっか?」
ルビィ「ぼらりゃ!」ゥュ!
ことり「ぼ…なあに?」
ダイヤ「『僕らのLIVE 君とのLIFE』を歌いたいと言っているのですわ」
ことり「そっかあ、さすがダイヤちゃん!」
ルビィ「てーれれってってってって」チマチマ
ことり「かわわわわわわわわっ!!!♡♡♡♡(わあ!振付も覚えてるんだ、すごい!)」キューーーンッ
ルビィ「たしかないまよりも〜 あたやしいゆめ〜 つかまえたい〜」
ことり「♪大胆に飛び出せばO.K. マイライフ」
ことルビ「「〜〜〜〜〜〜♪」」 愛しき者の膝の上 3/11
ダイヤ「いくら映像で見慣れているといっても、ルビィがあんなにも自分から近づくだなんて」
かなん「ね。よっぽどことちゃんのこと好きになったんだな〜」ハハハ
ダイヤ「や、ですからルビィとわたくしは……まあいいですけど」
まり「でも本当に楽しそうに歌って踊るわね、ルビィは」
ダイヤ「まったく、ことりさんにインタビューしたいことが山ほど残ってるというのに、ルビィったら…」ウズウズ
かなん「ダイヤ踊んないの?」
ダイヤ「んなっ!わ、わたくしはそんな、ことりさんと歌って踊るなんて、おおおおそれ多いというかなんというか」
かなん「でも楽しそうだよ。ことちゃんすごく歌じょうずだし!私もやろっと!」スクッ
ダイヤ「え!?」
まり「…じゃあまりも」スクッ
ダイヤ「え!え!?」アワワ 愛しき者の膝の上 4/11
かなん「ことちゃん、私もまぜて!」
ことり「うんっ、一緒に踊ろ!」
まり「まりも歌うわ」
ことり「じゃあなにかみんなが知ってる曲にしよっか〜」
ルビィ「こたえなくていいんだ わかゅから〜……」ハッ
ルビィ「歌うのやめちゃだめー」クイクイ
ことり「あっごめんね、そうだよね。二人ともこの曲が終わるまで待ってね。♪何度でも諦めずに 探すことが僕らの挑戦」
まり「はー…すっごいキレイな歌声…」
かなん「この動き面白いね!こう、こう、こんな感じ?」クイックイッ
まり「あははは、かなんってば上手上手!」
ワイワイワイ…
ダイヤ「んま…」プルプル
ダイヤ「待ってください、わたくしも一緒にやります〜〜〜〜っ!」ワッ
かなん「やっと来た〜」
アハハハ…
………………
……… 愛しき者の膝の上 5/11
ことり「お世話になりました」
黒澤母「娘達と遊んでくださり、本当にありがとうございました。とてもよい想い出になったと思います。ほら二人とも、きちんとご挨拶をなさいな」
ダイヤ「今日はありがとうございました。憧れのことりさんとお話しできて、歌ったり踊ったりしたこと、わたくしの大切な想い出にします。おからだに気をつけて、」ハキハキ
ルビィ「ことりちゃー」ギュ
ルビィ「かえっちゃうのやだー」スリスリ
ダイヤ「………」
ルビィ「もっとあそぶのー」クイクイ
ダイヤ「…わ、わたくしだって我慢してるのに!ルビィってばずるいですわ!ことりさん帰らないでくださいな!」ギュ
ことり「あわわわ…」
黒澤母「こら、無理を言うのではありませんよ。暗くなってしまうでしょう」
ことり「よしよし、また来るからね〜」ナデナデ 愛しき者の膝の上 6/11
かなん「ことちゃん大人気だねー。まりもハグしないの?」
まり「しないわよ、同じ家に帰るのに。そろそろバス来ちゃうわよ」ヤレヤレ
かなん「聞いたよ、まり。ことちゃんのことかばってあげたんだって?」ヒソ
まり「! なんで!?」
かなん「さっきダイヤにね。まりに注意されちゃったって、少ししょんぼりしてたから」
まり「なにか聞いたの?」
かなん「ううん、中身は聞いてないよ。でもやっぱり優しいなって思ってさ。えらかったね、まり」ナデナデ
まり「も、もう!からかわないでよ!」プクー
かなん「あははは!よしよ〜し。ことちゃんの真似〜」ナデナデ
まり「も〜…!」// 愛しき者の膝の上 7/11
ことり「それじゃ行くね、またね。ダイヤちゃん、ルビィちゃん」
ルビィ「ぅゅー!ことりちゃー!」モガモガ
ダイヤ「ぅぶぶ………また来てくださいね」ウルウル
黒澤母「お気をつけてお帰りくださいな」
かなん「ばいばーい!ルビィもまたね!」ノシシ
かなん「おじゃましましたっ!」ビシッ
ことり (わおわお…さすが黒澤さん)
まり「お邪魔しました。ダイヤとルビィも、またね」
ことり「それじゃ二人とも、帰ろっか」
かなん「はーい」
まり「走らないとバス来ちゃうかもよ」
ことり「わ、大変!急ご!」
かなん「負けないよー!」タタタタタ
まり「かなんったら待って〜!」タタタタタ
ことり「え!?お、置いてかないで〜!」タタタ… 愛しき者の膝の上 8/11
黒澤母「さあ、家に入りますよ」
ルビィ「はぁぃ…」テチテチ…
ダイヤ「…」
──まり『ねえダイヤ。ことり本人に話さないでいてくれるなら、わたしが──』
──ダイヤ『はい…?』
──まり『ことりがアイドルをやめた理由』
──ダイヤ『え──』
──ダイヤ『だってまりさん、ことりさんがスクールアイドルだったことすら知らなかったのでは…』
──まり『うん、知らなかったわ。だから正しく言うなら、「ことりが日本を離れた理由」なんだけど。これってたぶん、アイドルをやめたのと関係あるんじゃないかなって思って』
──ダイヤ『…!』
──まり『ママから聞いたの。ことりに言わないでいてくれるなら、ダイヤには…話しましょうか』
──ダイヤ『……………わたくしは…』
黒澤母「ダイヤさん、中へ。いつまでも姿が見えていては南さん達も困るでしょう」
ダイヤ「あっ、はい…」スタスタ… 愛しき者の膝の上 9/11
『沼津駅行き、発車します』
ブゥゥゥン…
かなん「ダイヤたち喜んでたね。あんなにはしゃいでるの初めて見たよ」
ことり「ね。みんなで歌って踊って楽しかったなあ」
かなん「ことちゃん歌もダンスもうま過ぎだよ!なにかやってたの!?」
ことり「あ、ああー…かなんちゃんはいなかったんだっけ。うん、まあ…高校の部活動でちょっとね」
かなん「へー、部活動かー。わたしも高校生になったら歌とダンスの部活やろうかな!」
ことり「わ、それいいね。まりちゃんとダイヤちゃんと?絶対応援しにいくよ!」
かなん「そのときはことちゃんも一緒にやるんだよ」
ことり「わ…私は部外者だし年齢が…!」
まり「…」ボーッ 愛しき者の膝の上 10/11
──ダイヤ『……………わたくしは…』
──ダイヤ『…結構、です…』
──まり『!』
──ダイヤ『それをまりさんの口から聞いてしまうのは、ズルだと思うので。μ'sが解散した理由、それはずっと知りたくて知りたくて苦しいことでしたけど』
──ダイヤ『まりさんに言われたこと。それに』
──ことり『ダイヤちゃん!』
──ダイヤ『わたくしはもう──充分過ぎるほどに、満たされましたから』
──まり『……そっか』
──ダイヤ『はい』ニコ… 愛しき者の膝の上 11/11
かなん「まり?まりってば」トントン
まり「ん、ああ。なに?かなん」
ことり「まりちゃん疲れちゃった?たくさん歩いたし歌って踊ったんだもんね」
まり「…そうね。少しだけ」
まり「だから、ひざ貸してよね」
ことり「へ──」
まり トスン…
かなん「まりったら、すぐ着いちゃうよ?」
まり「いいのー」スリ…
ことり キュン…
かなん「甘えんぼだなー。ダイヤたちと仲良くしてるの見てことちゃん一人占めしたくなったんでしょ!へへ、ダイヤたちには言わないでおいてあげるからね。ね、ことちゃん──」
ことり デレェェェ
かなん「わあ顔やばーーー!!!」
ブゥゥゥン… ニヤニヤが止まらない
今ことりちゃんの数百倍やばい顔してる自信ある スキだから、キライだけど、いつかスキに。 1/5
六日目
まり「いってきます」
鞠莉ママ「行ってらっしゃい、マリ」
家野「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
ことり「行ってきます」
まり「ちょっと、なんであなたまで乗ってるのよ」
ことり「向こうまで送るから」
まり「いいってば!一人で行けるから!」
ことり「だだだ出してください」
船頭「よし、そいじゃ行くぜ!」
ことり「ままままりちゃん座って。ことりのおひざに」ポンポン
まり スタスタスタ… ストン
ことり「まりちゃん!ことりのひざ!あいてますよ!」
ことり「まりちゃん!!!」
ブ…
ブゥゥゥゥン… スキだから、キライだけど、いつかスキに。 2/5
ことり「ただいま戻りました〜」
家野「お帰りなさい。毎朝お疲れ様です」
ことり「お疲れなんて全然!まりちゃんと一緒に船に乗るの好きなので」
家野「怖いのでは?」
ことり「出発のときに大きく揺れるのはまだ怖いですけど、走り始めてからは平気になってきました。まりちゃんもお話ししてくれるから気が紛れますし」
家野「それはよかった。今日はどうなさいますか?」
ことり「お家のこと一通りお手伝いします!でもお昼過ぎにおやつ作りで少し外してもいいですか?」
家野「もちろんです。今日はショーホールの掃除をしたいのでお手伝いをお願いしましょうか」
ことり「はい!お願いします!」
家野「ではこちらへ」
… スキだから、キライだけど、いつかスキに。 3/5
まり「ただいまー」
家野「お帰りなさいませ。おや、ことりさんはご一緒ではありませんでしたか?」
まり「一緒だったわよ。でもなんかまだ船にいる」
家野「? そうですか」
家野「ことりさんがおやつを作ってくれていますので、手を洗ってお待ちください。すぐに参ります」
まり「はーい」スタスタ
家野「ことりさん、いますか?どうかなさいましたか?」ヒョコ
船頭「おう家野ちゃん。よければお姉さんを引き取ってってくれるかい」
ことり「」チーン
家野「これは一体どういう状況ですか」
船頭「いやあ、着岸の速度を少し誤ってな。ドンと揺れたらお姉さんがエンジンダウンしちまったんだよ」ハッハッハ
家野「そうでしたか。ほらことりさん、戻りましょう。まりお嬢様におやつを作ってくださったのでしょう、一緒に食べないのですか?」ユサユサ
ことり「!」キュピーン
ことり「まりちゃんとのおやつタイム!一回だって無駄にできないっ!」シュタッ
家野「ええ。早く用意しないと、またむくれてしまいますよ」
ことり「はい!先に行って用意してます!」タタタ
船頭「ほ〜、アルバイトなんだろ?それなのに仕事熱心で感心だな」
家野「そうですねえ」 スキだから、キライだけど、いつかスキに。 4/5
ことり「今日のおやつはバナナティラミストライフルですっ」
鞠莉ママ「可愛いデスね。しかし tiramisu とは」
まり「…」ジー
まり「ねえいえの、」
家野「私も先ほど味見をさせていただきました。一口、食べてみてください」ヒソ
まり「いえのがそう言うなら…いただきます」
まり パク…
鞠莉ママ「…」
まり「! お、美味しい!」
ことり「ほんと!?よかったあ!」
鞠莉ママ「どれどれ。………フム」モグ
まり「コーヒーの味はするけど苦くないわ」
ことり「生地に加えるコーヒーを薄めに淹れてみたんだよ。バナナとチーズも多めにしたからあんまりコーヒーの苦味が気にならないでしょ?」
まり「うん、美味しいわ」パク
ことり「えへへ〜」 スキだから、キライだけど、いつかスキに。 5/5
ことり「まりちゃん、コーヒーの香りはキライ?」
まり「え?ううん、匂いは好きよ」
ことり「そっか。だったら、きっとコーヒーそのものを楽しめるようにもなると思うの」
ことり「すっぱかったり渋かったり苦かったりするけど、まりちゃんが『美味しい』って思えるコーヒーに出会えるように、少しずつ試してみようね」
まり「な…誰かコーヒー好きになりたいなんて言った!?」
ことり「ううん、言われてないけど」
ことり「好きな人の好きなものを好きになりたいって気持ちは、誰にだってあると思うから」
まり「!」
まり チラ…
鞠莉ママ「ワタシの tiramisu は coffee の風味が強く感じマスね」
家野「奥様の分とまりお嬢様の分とで、分量を変えて作っていらしたようですよ」
まり …//
ことり「ちょっとずつコーヒーの味に慣れていって、いつかママと一緒にコーヒーを楽しめるようになろうね」ヒソ
まり「うん…」
ことり「飲み物はね、どうしようかなって思ったんだけど、ロイヤルミルクティーを用意したから淹れるね──」カチャ…
まり「ことり」
まり「……………ありがと…」
ことり「うんっ♡」
六日目:まりちゃんにありがとうって言われた! 夜は一人、あなたを想って針の音 1/3
ことり「それじゃ、私もお部屋に戻りますね」
家野「はい。今日もお疲れ様でした、ゆっくりお休みください」
鞠莉ママ「Good night, コトリ」
ことり「お休みなさい!」ペコッ タタタ…
Bird's room...
ことり「ふう…」パタン
ことり トコトコ…
ボフンッ (in bed)
ことり スッ (makura mo-gyu!!)
ことり「あああああああああああ!!!!今日もまりちゃんが可愛かったよおおおおおおおお!!!!」 夜は一人、あなたを想って針の音 2/3
ことり「朝!!まだちょっぴりおねむで目をうとうとさせてる姿!!寝てる間に取れちゃったはずのナイトハットをちゃんと被り直し…たつもりがへにゃってなっちゃって!!それも含めた全体が可愛いの権現!!」
ことり「お船のとき!!口ではあんな風に言っていながらも、実は船に乗るとき足元が震えちゃうことりの手を先に乗ったまりちゃんが引いてくれるようになってきました!!
それで出発前に少しだけいじわる言うの!!今日はおひざには座ってくれなかったけど、たぶんもうそろそろ座ってくれるようになるってことりは思ってます!!」
ことり「帰りのお船!!思いがけずドンってなって怖くて動けなくなっちゃったことりでしたが、それでも気づきました!!お船が大きく揺れた瞬間、まりちゃんも『ひっ』って言いました!!ちっちゃな声で『ひっ』って!!
ちくしょおおおおおっなにやってんだことりぃぃぃぃぃ!!あれはかっこよくまりちゃんを支えて『大丈夫だよ、怖くないよ(イケボ)』ってしてあげる場面だったのに!!
ちくしょおおおおおおおおおおおっ!!!」
ことり「最初はちょっぴり警戒されてて、ことりの作ったごはんとかおやつとか恐る恐るって感じだったけど、最近は喜んでくれてるってわかる!!楽しみにしてくれてる!!
そりゃそうだよ、だってまりちゃんのために愛情いっぱい込めてるもん!!人を愛せる子は人の愛情に気づけるものだもん!!まりちゃん!!ああっ好き!!可愛い!!」
ことり ………
ことり「二日続けてコーヒーの味はイヤだよね。明日はスコーンでも焼いて、アフタヌーンティー風にしよっかな…」(賢者タイム) 夜は一人、あなたを想って針の音 3/3
ことり「さてと」ヨイショ
ことり「後は大詰めだけだもんね、今夜じゅうに仕上げちゃおっと」
ことり「〜♪」ダダダダ…
ことり「それにしても、……」チラッ
ことり「う〜ん。どう考えても帰るまでに使いきれないくらいの分量だよね」
布と生地の山 コンモリ…
──ことり『それに、結局みんな買ってもらっちゃいましたし』
──鞠莉ママ『…本当にそんなものでよかったのデスか?それでは余計にコトリの時間が減るだけなのでは…』
──ことり『ううん、これがいいんです。私の数少ない得意なことなので』
ことり「張り切ってあれもこれも選んじゃった私も悪かったなあ。小原さんにしてみれば、これくらいの平凡な布なんかこれだけ積み重ねてもきっとたいした金額じゃないのかもしれないもん」
ことり「かと言って、持って帰って向こうで自分の服とか実習に使うのもなあ」
ことり「どうしようかなあ」ダダダダ… 心臓に悪いタイプの女の子 1/5
七日目
<きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜………………っ!!!
家野「まりお嬢様!?」
鞠莉ママ「何事デスか!?」
家野「お部屋の方からです!」
鞠莉ママ「ワタシが行ってきマス!イエノは現場に混乱が行かぬよう、ゲストへの対応指示をお願い」
家野「かしこまりました」
タタタタタ…
鞠莉ママ「マリ!入りマスよ!」ガチャッ
鞠莉ママ「どうしまシタか!?」
まり「ママ…」ワナワナ…
まり っベレー帽と ギュ…
鞠莉ママ「それは…!?」
まり「起きたら──起きたら可愛いベレー帽が置いてあったの!!」
鞠莉ママ「……………ハイ…?」 心臓に悪いタイプの女の子 2/5
まり「いえの!おはよう!」
家野「おはようございます、まりお嬢様。先ほど大きなお声がしましたが、なにか──…まあ」
まり(ベレー帽equip)「なんにもないわ!」ニコニコ
家野「…そうでしたか、それならばよいのですが」
まり「うん!」ニコニコ
家野「…えっと、」
家野「とてもお似合いですね、そちらの帽子」
まり「そう?そう??気づいちゃった?」
まり「えへへ、いえのってば目ざといんだから〜♡」
家野「どうされたのですか?初めて見るように感じますが」
まり「わからないの。起きたら部屋の入口に置いてあってね、あけたら可愛かったのよ!」フフン
家野「ほう、もう完成したのですね」
まり「え?なあに?」
家野「いえ、なんでも。今日のお洋服ともばっちり合っていますね」
まり「そうでしょ!」クルン 心臓に悪いタイプの女の子 3/5
まり ウキウキ ソワソワ
家野「ところで、ことりさんなら調理場の方にいらっしゃいますよ」
まり「!!」
まり「な、なんでことり!?どこにいたっていいわ!」
家野「そうですか。ご挨拶なさるかと思いまして」
まり「…ま、まあ、朝のあいさつはした方がいいかもね!小原家の者として、日々の礼儀は大切にしなくちゃいけないもの!」
家野「そうですね、それがいいと思います」
まり トコトコ…
まり「あいさつしにいくんだからね!」
家野「はい」
まり トコトコ…
まり「それだけだからね!!」
家野「わかっていますよ」ニコニコ 心臓に悪いタイプの女の子 4/5
ことり「…うん、焦げ目もいい具合。まりちゃんは甘いのが好きだから仕上げにハニーをたっぷりかけてっと…」
ことり「ことり特性のフレンチトーストの出来上がり〜♡」
コホン
ことり「! あ、家野さん。ちょうどできましたけどまりちゃんは起きてきて──」
まり「ぉ、おはよぅ…ことり……」モジ
まり(ベレー帽equip!!)
ことり「──────」
ことりは、大宇宙を感じた。
産まれてから今日までに体験してきた様々な出来事が脳裏を駆け巡り、森羅万象、世の中のありとあらゆる真理を瞬時に理解した。
人は皆ちっぽけだが、営みは繰り返され、何世紀にもわたり命を紡いでいく。
そう、世界はそれそのものが永遠に終わることなく生き続けていく一つの輪廻であるのだ。
生を受けると同時に定められる死、その限られた時間の中で為す各々の営みこそが大宇宙。それはまるで、そう、スクールアイドルという存在そのものに コホン、コホン
ことり「!!!」ハッ 心臓に悪いタイプの女の子 5/5
まり「おはようって、言ったんだけど。聞こえなかったの?もっと近くに行って耳元で言わなくちゃだめかしら」モジ
ことり スタ…
ことり スタスタスタスタ
ことり スッ (片膝つき
まり「な、なによ。なにか言ってよ──」
ことり「可愛いよ。とっても似合ってる」
まり「…っ!」///
まり「ま、まあ、知ってるし。っていうか、なにが。まりはおはようって言っただけなんだけど」
ことり ハグッ
まり「……!!?」
まり「ちょっ放してよヘンタイ!ヘンタイことり!もう、朝ごはん食べられないじゃないの!いえの!いえのーーー!」ジタバタ
まり「あれ、なにこの濡れてるの…」
ことり 鼻血ダラァーーーーー
まり「ぎええええええええっ!!鼻血!鼻血出てるわことり!出てるとかいうレベルじゃない!!待ってほんとに放してお洋服についちゃう!ついちゃうううう!!」ジタバタジタバタ
ことり「(鼻血が)ぶっぶーですわぁ…♡」トローン
まり「いえのーーーーーーーーーー!!!!」 真実に刺された日 1/6
船頭「お、まりさんですね」
ことり「! お〜〜〜〜い、まりちゃあ〜〜〜〜ん!お帰りなさぁ〜〜〜〜い!」ノシシシ
まり「…た、ただいま…」
ことり「ん…?」
──ことり「まりちゃ〜ん、お帰りなさ〜い!」ノシシシ
──まり「ちょっと!大きな声で呼ばないでよ、恥ずかしいでしょ!」
──ことり「お帰りなさい♡」
──まり「ただいまっ!」フンス
まり「早く乗ってよ、帰るわよ」
ことり「まりちゃん、なにかあった?」
まり「な、なんにもないから!見ないで!」プイッ
ことり「んんーーー……???」ムムム 真実に刺された日 2/6
船頭「はい到着しました、一日お疲れ様でした」
まり「ぁ、ありがと」スタスタ…
船頭「なんだか元気なさそうですね」
ことり「やっぱりそうですか?お膝に乗せても暴れなかったし、どうしたんだろう…」
船頭「お姉さんとしては少し嬉しかったんじゃないですか?」
ことり「…………ううん。お膝になんか、座ってくれなくていいんです」
ことり「そんなことよりも、まりちゃんには笑顔で元気でいてほしいのに」 真実に刺された日 3/6
まり「ただいま」
家野「お帰りなさいませ、まりお嬢様。今日は久し振りに私がおやつを作りましたよ、すっかりことりさんの味に慣れてしまったかもしれませんが──」
家野「…」
家野「お嬢様」
まり「な、なにっ」
家野「お顔が赤いですが、どうかなさいましたか?」
まり「べ、別に!なんにもないけど!」
家野「…そうですか、それならよいのですが。カバンをお部屋に置いていらしてください、おやつの用意をしておきますね」
まり「う、うん」トコトコ…
家野「ああそれと、その帽子はとても似合っていますが、お家の中では脱いでおきましょうね」
まり「っ!」
まり「わ、わかってるっ!」/// タタタタ…
家野「…………んん?」ハテ 真実に刺された日 4/6
まり's room
バタン… スタスタ ボフン (布団)
まり「ぅぅ…」
まり「ぅぅぅ〜〜〜っ」
──家野「とてもお似合いですね、そちらの帽子」
──まり「起きたら部屋の入口に置いてあってね、あけたら可愛かったのよ!」
──コホン、コホン
──まり「おはようって、言ったんだけど。聞こえなかったの?もっと近くに行って耳元で言わなくちゃだめかしら」
──ことり「可愛いよ。とっても似合ってる」
──まり「…っ!ま、まあ、知ってるし。っていうか、なにが。まりはおはようって言っただけなんだけど」
まり「ぅぅぅぅううううう〜〜〜〜」 真実に刺された日 5/6
──まり「おはようっ!」ルン
──かなん「おはよー、まり」
──まり「ねえねえ、かなん。お、は、よ、う」頭フリフリ
──かなん「うん、まり。お、は、よ、う!」お尻フリフリ
──まり「…」
──かなん「?」
──ダイヤ「おはようございます、かなんさん。まりさん」
──かなん「ダイヤおはよー!」
──ダイヤ「まあ、まりさん!その帽子!」
──まり「! さすがダイヤ、ニブチンのかなんとは違ってよく気づくんだから。どう、とっても可愛いでしょ?」
──ダイヤ「とっっっっっても可愛いです!はああ〜〜羨ましい、ことりさんお手製の帽子をかぶれるだなんて」ウットリ
──まり「えへへ〜。朝起きたら置いてあってね、なんにも言わなかったけどたぶんママがプレゼントで──────え?」
──ダイヤ「またお会いしたいですわぁ…」トロン
──まり「え?ねえダイヤ、今なんて?ことりの手作りって言った?」
──ダイヤ「えっ、違いましたか!?」
──ダイヤ「μ'sの衣装で一番気に入っているとおっしゃっていた飾りがあしらってあるので、てっきりそうだと思ったのですが…」 真実に刺された日 6/6
まり「ぅぅぅぅぅうあああああああああっっっっ!!!!」///////
まり「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!」
まり「やだやだやだやだやだやだやだやだ、散々可愛いって誉めてママにもいえのにもことりにもみんなに見せびらかして!!」
まり「ママがくれたんだと思ってた!!この前のお土産なんだと思ってた!!だってこんな可愛いベレー帽が手作りだなんて誰も思わないじゃない!!」
まり ベレー帽と彡 バッ
まり っベレー帽と ギュ
まり ジィィィィィィィ…
ベレー帽 Kawaii !!!
まり「あああああ可愛いいいいいい!!!」チクショーーーッ!!
──ことり「可愛いよ。とっても似合ってる」
──ことり ハグッ
──ことり 鼻血ダラァーーーーー
──ことり「(鼻血が)ぶっぶーですわぁ…♡」トローン
まり「ヘンタイ鳥めぇぇぇえええええっ!!!!!」ウオオオオオッ
その日、まりは寝るまでことりと口を聞いてくれなかったという。 大人達の夜、その二 1/4
※ まりがことりと口を聞いてくれなかった日の夜中
家野 スタスタ… (館内巡回中)
家野 (うん、異常なし。このまま奥様に挨拶してから部屋へ戻るとしましょうか………ん?)
ことり コンコン
家野 (ことりさんも奥様に挨拶でしょうか)
<いマスよ、どうぞ
ことり「こんばんはぁ」キィ…
家野 (…挨拶、ですかね?)
家野 (…)
家野 ススス… 大人達の夜、その二 2/4
<小原さぁん
<なんデスか、そんな声を出して
<まりちゃんがお話ししてくれませんでしたぁ
<またなにか構い過ぎたのではありまセンか
<なんにもしてないのにぃ…
家野 (…………ほう)
<そういえば、コトリがマリに作ってくれた帽子デスが
<はい
<とても可愛かったデスね。今朝もマリは喜んでいまシタよ
<似合ってましたね!はぁぁ〜可愛かった
<鼻血がどうとか言っていまシタが
<きっききき気のせいじゃないですか!?
家野 (気のせいではなかったでしょう)
<そうデスか
家野 (奥様…) 大人達の夜、その二 3/4
<まりちゃんがとびっきり可愛くしたいなって思ったときに選べるように、デザインしてみたんです
<横につけてた飾り
<私が昔作った服につけたもので、一番可愛くできたなって思うやつで。ほ………友達も、すっごく誉めてくれたやつで
<まりちゃんのお洋服の好みに合わせて少し変えてみたんですけど、気に入ってくれたみたいで、よかった
<ほんとは、毎日学校に着ていくお洋服も、お休みの日にはくスカートも、パーティに着ていくドレスも、みんな作ってあげたいです
<今度はしっかりまりちゃんとお話ししながら、こんなデザインがいいなって教えてほしい
<そうやって少しずつ可愛いお洋服を増やしていって、まりちゃんが明日を楽しみにしながら毎日過ごせるような、そんな………風に………
<……………… 大人達の夜、その二 4/4
家野 (なるほど、こういうことでしたか)
家野 (奥様と眠ったことなど、もう何年前になるのやら)
家野 (少し──羨ましいですね) スタスタ…
ことり スー
鞠莉ママ ポン…ポン…
鞠莉ママ「あら、もうこんな時間デスか。イエノが寝る前に顔を出さないとは」
鞠莉ママ (また一緒にどこかへ旅行にでも行きたいものね…)
こうして夜は更けていく── 適材適所、明確な不適 1/3
八日目
ことり「ただいま戻りました」
家野「お帰りなさい、ことりさん。いつもありがとうございます」
ことり「普段は、家野さんが向こうまで送ったりするんですか?」
家野「そうですね、朝から用があって本土へ渡る日なんかは、少し時間が早くてもお嬢様のお見送りもかねて同じ船に乗ることが多いです」
家野「ただお嬢様ももうお年頃ですから、あまり構われてもイヤかと思って、そう毎日はご一緒しないようにしています。本当は学校まで送り届けたいくらいなのですけどね」
ことり「なるほどなるほど、そうですよね。あんまり構われたらイヤですよね。愛情だってわかってても『ほっといて!』ってなっちゃいそうですし」ウンウン
ことり「あ、お洗濯物干してきますね!」タタタ
家野「お願いします」
家野 (頭で理解しているからといって行動が伴うとは限らない、という見本みたいですね) クス 適材適所、明確な不適 2/3
サンルーム
ことり「♪ふんふふ〜ん」パタパタ
ことり「…むむっ!」っしわくちゃの布きれ
ことり「もうっ小原さんってば!こういう生地のお洋服はネットに入れるか手洗いしなくちゃって言ってるのに!」チュンチュン!
ことり「こんな雑に洗濯してたら、すぐぼろぼろになっちゃって着られなくなっちゃう。乾いたら傷んでるところ見とこうっと」サッサッ
ことり「……………!!」チュピーンッ
ことり っブラ プルプル…
ことり (お、大きい…!ことりの<秘>カップのブラとは迫力が違う…!)
ことり (これは小原さん…?ううん、もしかして家野さん…!普段のお洋服は生地も厚くて装飾も多いから見た目じゃわからないけど、あのメイド服の下に広がるエデンの園には──もしかして、極上の果実が………!?) ゴクリ
ことり (くっ、耐えて。耐えるのよことり。裏地を触ってみたり縫製を確認したりするのはお洋服の勉強として見逃されても、他の好みから誰のものかを想像したりましてや匂いを嗅いじゃったりするなんてっ…そんな、ヘンタイさんみたいなこと…!)
──母親の手料理──幼女向けのテレビアニメ──一面のお花畑──友近姉さんの物真似芸──淡島の緑と内浦の海──YAZAWAの絶壁──
ことり スン
ことり (無心で干そう) サッサッ… 適材適所、明確な不適 3/3
ことり「〜♪」パタパタ
ことり「────」
ことり「ぁ………ぁあ………っ」カタカタ
ことり「ぁぁぁぁぁぁああああああ……!!」
ことり っ小学生の女の子の服 ババーーーン
ことり (こっこここここことりが干してるのは、ホテルに住んでる中でもごく一部の人達の洗濯物のみ…!)
ことり (小原さん、家野さん、ことり自身、そして──そしオフッw そして、まっまま…まりちゃんのもの…!!)
ことり (まりちゃんの──まりちゃんのまだあどけない、それでいてちょっぴり背伸びしたい気持ちも見え隠れする、揺れ動く思春期の心を体現したかのような可愛いお洋服…)
ことり (背中のデザインがちょっぴり主張強いな、肩から肘にかけて伸びるラインの色はすごく好き、合ってる。確かこれと合わせてたスカートはっと) ゴソゴソ
ことり (こっこれだあ…) エヘヘ…
ことり (それぞれで見ると悪くないけど、まりちゃんの身長と髪の毛、靴とランドセル。みんな含めて考えると上をもう少し落ち着いたトーンの柄モノにするか、スカートを思い切ってパンツスタイルに変えてみるとか──デュフw まりちゃんのパンツスタイルもいいなあ)
ことり デヘヘヘヘ……
家野 (ことりさんはお仕事が早いですが、洗濯物を干す時間だけは日に日に長くなっていきますね) ヤレヤレ… Cleaning of Memories 1/3
『まりの部屋』
キィ…
ことり「失礼しまぁす」
ことり「本人がいないときにお部屋に入るのって、なんだかとっても緊張するよね…」
──家野「お嬢様のお部屋の掃除をお願いできますか?」
──家野「ただ、お嬢様もお年頃ですので、できればお部屋に入ったことは気づかれない方がベターです」
ことり「ふっふっふ…」
ことり っハタキ スチャ
ことり「この南ことりをなめてもらっちゃ困りますよ、家野さん」
ことり「適度に散らかっているこのお部屋を、物を動かすことなくお掃除するのは困難です。困難ですが──それは普通のお母さん達のお話!」
ことり「ことりには長年培ってきたスキルがあるのです!」
※ 独り言です。 Cleaning of Memories 2/3
──ことり「──ちゃあん、こんにちは〜」
──母親「あらことりちゃん、いらっしゃい。あの子ってばお菓子買ってくるって出かけちゃったのよ。ことりちゃんが来るなら言っておけばいいのに」
──ことり「そうなんですかあ」
──母親「どうせ近所の駄菓子屋さんだと思うから、よかったら上がって待ってて。すぐお茶持っていくからね」
──ことり「ありがとうございます!」
──ことり「失礼しまぁす」キィ…
──ことり「──ちゃんってば、またこんなに散らかしてる」
──ことり「片付けておいてあげたいけど、勝手にさわられたらいやかなあ。それなら、ものを動かさないようにすき間だけお掃除しておこうっと」ヨイショヨイショ
──「お母さんたっだいまー!」
──母親「あっ、あんた!ことりちゃん遊びにきてるわよ!」
──「あーっ、忘れてた!いっけない!」タタタタタ
──「ことりちゃん!待たせてごめーん!」
──ことり「お帰りなさい。全然まってないよ〜」
──「お菓子買ってきたから一緒に食べよう!」
──ことり「うんっ!」 Cleaning of Memories 3/3
ことり「約束して遊びにいくのに、いっつも出かけちゃってたよね」
ことり「お部屋だって、読みかけのマンガとか使い終わったおもちゃとか、いつもそこそこ散らかってたもんね」
ことり「遊びにいくたびに、気づかれないようにお掃除してたから──いつの間にか、変なスキルが身に付いちゃったよ」クス
ことり サッサッ…サッサッ…
ことり「──ねえ。今はきちんと片付いてるかな。ことりなんかがいなくても、ちゃんとお部屋はきれいにしておかないとだめだよ」
ことり サッサッ……サッサッ……
ことり「ふうっ、こんなものかな!」
ことり「うん。見た目には人が入ったなんて全然わからないはずだけど、拭き掃除も磨き掃除もできた。完璧!」フフン
ことり「それじゃ家野さんに報告して次のお仕事をっと〜…」
──ことり サッサッ…サッサッ…
──ことり「…あれ?なんだろう、これ…」カサ
ことり「…………」
ことり「家野さん、お掃除終わりましたよ」
家野「ありがとうございました。それでは次ですが…」
ことり (帰ってきたら秘密のお話があるけど、うーん…どうしよっかなあ。これ…) っ小テスト カサ… おおらか・オア・無頓着 1/4
家野「…」
ことり「…」
小テスト『30点』 ドン
家野「なるほど、なかなかのものを見つけてしまいましたね」
ことり「まりちゃんに言うのも小原さんに言うのも気が引けちゃって、巻き込んじゃってすみません」
家野「いえ。元々私がお掃除をお願いしたことで見つかったわけですからね」
ことり「ちなみに、小原さんって成績とかに厳しいんですか?」
家野「そうですね…」
家野「ほぼ全くの無関心ですね」
ことり「そうですか……………えっそうなんですか?」
家野「はい。通知表すらわざわざお見せしなければ見ようともなさいません」
ことり「え、あ、それは…珍しいですね…」
家野「テストの点数や成績が原因で怒っていらっしゃったことは、私の記憶にある限りは一度もないですね」
ことり「い、一度も」 おおらか・オア・無頓着 2/4
ことり「でもだったらどうしてまりちゃんはテストを隠したんでしょう」
家野「…奥様がそんな風ですから、必ずテストのたびに答案用紙を見せるという習慣は、確かにお嬢様にもないのですが」
家野「これくらいの点数でもあえてベッドの下に押し込んでいらしたことなど、それはそれで一度もなかったと思います」
家野「奥様が長く不在の時期もあるので、そういうときは私に預けてくださるのですが…」
家野「…」
ことり「…?」
家野「これ、つい最近のものですね」
ことり「え?」
家野「先生の性格なのでしょうか。テストの作成日の記載があります」トン
ことり「あ、ほんとですね。先週の金曜日…ってことは、返ってきたのは昨日か一昨日ですかね」
家野「この規模の小テストならば当日に採点が済んだ可能性もありますが、いずれにせよ直近であるのは間違いなさそうですね」 おおらか・オア・無頓着 3/4
ことり「明日の準備をしてるときに、たまたまベッドの下に紛れ込んじゃったとかでしょうか」
家野「それも有り得なくはないですね。結局、テストに無関心なのはお嬢様にも引き継がれてしまった特徴だと言えるので…」
ことり「もしそうなら、わざわざ見つけたことを話す必要もないですよね」
家野「反対に、あえて見て見ぬふりをする必要もないということではあります」
ことり「そっかあ。まりちゃんの認識がわからないと、どうしたらいいのかもよくわからないですね…」
家野「そうですね。ただこれまでお嬢様を傍で見てきた私の感覚としては、ことさら取り沙汰することではないように思います。たまたまベッドの下に紛れ込んでしまいお嬢様自身がそれに気づいていない、という可能性が濃厚でしょう」
ことり「…だったら、ベッドの下に戻してきますね!」
家野「それもおかしな行為ではあるのですが、お部屋に入ったことを悟られないことを優先していいでしょうからね。お願いします」
ことり「はぁーい♪」タタタ おおらか・オア・無頓着 4/4
再び『まりの部屋』
ことり「ぎりぎりまりちゃんが気づくか気づかないかってレベルで、端だけ覗くように…」ゴソゴソ
ことり「こう」
ことり「…ちょっと不自然に出すぎかな。えっとー…こう」
ことり「…隠れすぎかな。なにか物を置いたら見えなくなっちゃうかも…」
ことり「うーん…うーん…」ゴソゴソ…
ことり「…うん!このくらいならいいかな」フゥ
ことり「そういえば小学校って単元ごとに小テストあったもんね。中学校に入ってテストの形式が変わったのは驚いたな〜」
ことり「こんな可愛いテストばっかりだったらやる気も出るのにね」
──「あれがデネブ、アルタイル、ベガ。俗に言う夏の大三角ね」
ことり「…みんなで星を見にいったりもしたなあ。あの子が先生だったら、まりちゃんにも楽しくわかりやすく教えてくれたかもな」
ことり「なんてね」
キィ… バタン 長女の微笑み 1/1
まり「ただいま!いえの!」
家野「お帰りなさいませ、お嬢様。ことりさんも」
ことり「今日はまりちゃんがお膝に乗ってくれませんでしたぁ」シュン
まり「なんで乗るのが前提なのよ」
ことり「昨日は乗ってくれたもん!」
まり「そっ!れ、は…そんなの気にする余裕なかったからっていうか……」ゴニョ
まり「いいから、早くおやつの用意してて!ママ呼んでくるわ!」スタスタ
ことり「うう………あ、家野さん。紅茶とコーヒー淹れましょうか」
家野「はい。では紅茶をお願いします。お嬢様とも随分打ち解けてきましたね」カチャ
ことり「えへへ…そうですか?」テレ
家野「目標の髪を撫でるのはそろそろできそうですか?」
ことり「それは、まだ…っぽい、ですね…」ム
家野「では引き続き精進ですね」フフ
ことり「あっでも昨日お話はしてくれなかったけどお風呂は一緒に入ってくれましたよ!」ルン
家野「それは素晴らしい」
ことり「それから、それから──」
家野 (お嬢様とことりさんと。姉妹のようで、お二人の仲はずっと見ていても飽きませんね) ことりが変態すぎるw
にやけが止まらんわ
それにしても矢澤の絶壁よ...... 凶兆不安注意報 1/3
九日目
スッ…
家野「! ことりさん、おはようございます──」
ことり「お、おはようございますっ家野さん!!」
家野「!?」キーン
家野「えっと、はい、今日もお元気そうで…なによりです…?」
ことり「はいっ!南ことり、元気です!朝ごはんの用意しますね!」
家野「では、いつも通りお嬢様のご朝食をお願いできますか」
ことり「お任せくださいっ!!」
家野 (う、うるさい…)
鞠莉ママ「なんだか大きな声が聞こえマスが、どうかしまシタか?」ヒョコ
家野「奥様、おはようございます。特になにがあったというわけではないのですが…」
ことり「おはようございますっ小原さん!!」
鞠莉ママ「!? ぉ、オハヨウ…」キーン
家野 (これです、これ) 凶兆不安注意報 2/3
船頭「おはようございます、まりお嬢さん。メイドのお姉さんも」
まり「おはよう。よろしくね」
ことり「ぉ、おはようございます…」
まり (え。さっきまであんなにうるさかったのに)
船頭「…?乗らないんですか?」
ことり「えっと…」
まり「早くしてよ、学校行くの遅くなっちゃうでしょ」
ことり「…今日は、お見送りここまでにしよっかな、なんて…」
まり「は?」
まり「…どうして?」
ことり「その……今日はちょっと、船に乗るの、は…」
まり「………」
──まり「ママ、また──────の?」
まり「…ことり、あなたも…私のこと…」 凶兆不安注意報 3/3
ことり ハグッ
まり「!」
ことり「本当は向こうまで送っていきたいんだけど、今日は…ちょっとね。ごめんね」
ことり「今日、おやつなに食べたい?」
まり「ぇ、ぁ…」
まり「なんか、フルーツの…やつ…」
ことり「わかった。美味しいおやつ作って、まりちゃんが元気で帰ってくるの待ってるからね」
ことり「いってらっしゃい」ギュッ
まり「………うん。いってきます」ギュ…
まり「…!」
まり (汗のにおい?こんな朝から…?)
船頭「出しますよ」
ブ…
ブゥゥゥゥン…
ことり 手フリフリ
まり「…」 前スレで設定踏襲したスクスタ時空っぽい話があったけどあれは作者別だったのか
あれもすげえ面白そうな感じだったからまた読みたい あらかじめ、あったもの。 1/7
ことり「私、温泉見てきますね!」タタタ
家野「あ、はい。お願いします」
鞠莉ママ「イエノ」ヌッ
家野「奥様」
鞠莉ママ「なんだか、今日のコトリは随分と…張り切っている?ように見えマスが、ワタシの気のせいデスか?」
家野「ええ、私にもそう見えますが…」
家野「張り切っている、のとは少し違うようにも見えます。挨拶を含め全体的な声量が大きく、動きも普段より明らかにきびきびしている」
家野「ことりさんもバイタルの波があるでしょうし、その一環なのかもしれませんが…」
鞠莉ママ「…笑顔が、強いデスね」
家野「強い…?」
鞠莉ママ「なんと言うのでショウ。一生懸命笑顔を作っているように見える、というか」
家野「表情が堅い、と?」
鞠莉ママ「ああ、そう言うのかしら。なんだか無理をして笑っているように──…」ハッ
鞠莉ママ「イエノ。コトリを連れてきなサイ」
家野「? は、はい」タタタ あらかじめ、あったもの。 2/7
ことりの部屋
家野「なるほど、こういうことでしたか」
『37.8度』
家野「ことりさん、平熱はどのくらいですか?」
ことり「…36度前半です」
家野「朝から体調が悪いのは自覚していらっしゃいましたね?」
ことり「はい…」
家野「いけませんね」
家野「お仕事をきちんとこなそうとするのは大事ですが、体調不良を隠すのは責任感不足です」
家野「ことりさんはお客様達のいるフロアにも顔を出しますし、まだ免疫力の低いお嬢様とも密接な距離にいる。風邪など伝染るものであった場合、接した相手に影響を与えることも充分に考えられます」
家野「一人で動いていただいているときにもし体調が悪くなって倒れたりしても、それを把握していなければ気付くのが遅くなるかもしれません」
家野「ことりさんご自身のためにも、周りの方々のためにも、決してよい選択とは──」
鞠莉ママ「イエノ」ポン
鞠莉ママ「あなたは現場に戻りなサイ。イエノの手がなくては、現場の業務の進行が間に合わなくなってしまいマス」
鞠莉ママ「コトリにはワタシからよく言って聞かせておくから」
家野「…はい」 あらかじめ、あったもの。 3/7
家野「それでは後ほど」
キィ…バタン
ことり「……ごめんなさい」
鞠莉ママ「ノンノン。イエノはマジメなのであんな言い方をしまシタが、コトリを心配していただけデス。言わなければいけない立場というのもありマスから」
鞠莉ママ「…朝からオオゲサに元気がよかったのはわざとデスか?」
ことり「はい…昔からの癖で」
ことり「お母さんがあんまりお仕事を休める人じゃなかったから、風邪を引いたりしたときも気付かれないように隠す癖ができて。いつもより元気に振る舞うようになってました」
鞠莉ママ「シカシああも普段と違えば、余計に変だと思いマスけどね」
ことり「あはは…その通りです。お母さんにも友達にも、すぐにばれてました」
鞠莉ママ「そこはまだまだ子どもということね。オトナはいつもより元気に振る舞うのではなく、いつもと同じように振る舞うものなのデース」
ことり「そっか、そうなんですね…」エヘヘ… あらかじめ、あったもの。 4/7
鞠莉ママ「…」ギシ
鞠莉ママ「いけまセンね。体調不良を隠すのは」
ことり「はい…」
鞠莉ママ「あなたは『それ』を、ずっと後悔しているのでショウ」
ことり「……ぇ…?」
鞠莉ママ「ホノカ、でシタか」
ことり「……………!!」バッ
鞠莉ママ「体調不良を隠して無理をして、倒れて。気付いてやれなかったことをずっと後悔している。自分が気付いていれば、ホノカは倒れなかった。あんなことにはならなかった」
鞠莉ママ「そう、全てを後悔しているのではないのデスか?」
ことり「どう、して……」
ことり「小原さんが、そんな…こと…」 あらかじめ、あったもの。 5/7
鞠莉ママ「ミナミ」
鞠莉ママ「あなたの母とは、何度か話をしたことがありマス」
ことり「えっ!?」ガタ
ことり「小原さん、お母さんと──っ」フラ
鞠莉ママ「おっと。急に体勢を変えてはいけまセン」ガシ
ことり「なん、なんで、いつ、お母さん、」
鞠莉ママ「落ち着きなサイ」
鞠莉ママ「ワタシの夫が、いくつか学校の理事としての権利を持っているのデス。細かいことはショウリャクしマスが、その仕事の中で話す機会があった──といったところデスね」
ことり「そう、だったん…ですか…」
ことり「…あれ?ってことはもしかして、私がここに連れてこられたのって偶然じゃないんですか…?」
鞠莉ママ「HA-HAHAHAHA!!」カンラカンラ
ことり ビクッ
鞠莉ママ「どこの馬ともanemoneとも知らない輩に大切な娘を任せるほど、愚かではありまセーン」
ことり「え、ええ…」ポカン ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています