俺はバレンタインのチョコ作りの時は必ず六尺を締めてやる。
そのまま調理するから六尺にはチョコ汁がたっぷり染み込む。
それを一回も洗濯しないからチョコがかかる部分は変色し茶ばんで、
臭いもすげぇチョコ臭くなっている。

今年はその六尺締めてチョコブラウニーを作った。
臭いが逃げないように板チョコは密封ケースの中に仕舞ってあり、板チョコ数枚が乾燥状態で、
蓋を開けただけでムワッとチョコ臭え臭い立ち昇ってきて俺のお菓子作り欲を刺激する。

全裸になって素早く六尺を締める。縦褌がケツにギュッと食い込むほどきつく締める。
板チョコ一枚一枚を全身鏡に映して眺める。昨日スーパーで買ってきた板チョコの
ゴツクて浅黒い本体が我ながら食欲をそそる。

既にボウルの中ではトロリとチョコが湯せんで溶けていてがボウル全体にチョコがひろがっている。
俺は溶いた卵を追加し泡だて器でかき混ぜてチョコ美を観賞する。
チョコ臭ぇ。たまんねぇぜ。
俺は刻んだクルミを軽く混ぜて溶けたチョコごと型に流し入れる。
うぉっ!いいぜ。

手早く調理するために一息つきそうになっても手の動きは止めねぇ。
俺は交互に使ってるもう一丁の生乾きのゴムベラを鼻に押し当て臭いを嗅ぐ。
臭ぇ臭ぇ。ホカホカのオーブンで180℃で30分焼きに入る。

こうやってじっくり楽しみながらいよいよ焼き上がりの時が来る。
褌ショコラティエ野郎!チョコブラウニー美味そうだぜぇー!と叫びながらオーブンから取り出す。
チョコブラウニーはホカホカツヤツヤに焼き上がり部屋中にケーキ臭が漂う。
あら熱が取れたら型から取りだしすぐ密封ケースに仕舞う。今年は誰にあげようかな。迷っちゃうぜ。