6日午後、東京都内で講演を行った、日本銀行の黒田総裁。

原材料の高騰などで、食品やさまざまな商品の値上げが相次いでいることに触れ、「日本の家計が値上げを受け入れている間に、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかにつなげていけるか」と述べた

日本の家計に、値上げへの許容度が改善しているとの見解を示したのだ。

スーパーの店頭でも値上げラッシュが続く中、一般家庭が値上げを受け入れているとも受け取れるこの発言。

スーパーの買い物客からは「そんなことないと思いますけどね。主婦は努力している」、「(受け入れているのが)100%の人のことのように言ってしまうのは問題が」、「きょうのタマネギはいくらかとか、そういうのを日常の中で考えながら生活しているのに、とても受け入れている人はいないんじゃないでしょうかね」との声が聞かれた。

スーパーのアキダイを経営する秋葉社長も「驚きですね。もうちょっと庶民の生活を考えてもらいたいですね。たくさんのお客さんと関わり合いますけど、価格への関心がすごく上がっている。この10年の間で一番価格への関心が上がっている」と驚きを隠せない様子。

この発言をめぐっては、SNSでも「どういう意味? 少なくとも私は値上げを受け入れていません」、「現実わかってないんじゃない?」などの反応が見られた。

黒田総裁は先週の国会でも、物議を醸す発言をしていた。

立憲民主党・白眞勲議員「最近、黒田総裁は食料品を買った際、以前と比べて価格が上がったと感じるものはあったか」

自分で買い物をする際に値上げを実感したことがあるかと問われ、「私自身、スーパーに行ってですね、物を買ったこともありますけれども、基本的には家内がやっておりますので。物価の動向を直接買うことによって感じているというほどではありません」と答弁した。

2021年度の黒田総裁の年間報酬は、およそ3,500万円。

今回の発言について黒田総裁は、1つの仮説として、コロナ禍における行動制限で貯蓄が増えたことが影響しているとして、これが家計が値上げを受け入れている要因とした。

しかし、コロナ禍で貯蓄が増えたかスーパーの買い物客に聞いてみると、「貯金ですか...まぁ人並みかな」、「あまり変わりはないっていう感じです」との反応。

今回の黒田総裁の発言について、あるエコノミストは「一般の人からすると、値上げの許容ではない節約して頑張っているんだということで、直感と合わないという感じになるのではないか」とコメントしている。

FNN
2022年6月6日 月曜 午後6:35
https://www.fnn.jp/articles/-/370820