北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、運航会社が昨年に事故を起こした際、国土交通省の出先機関・北海道運輸局からメールで取り寄せた文案をほぼそのまま張り付け(コピー&ペースト=コピペ)て改善報告書として提出していたことが27日の衆院予算委員会で明らかになった。

 立憲民主党の大串博志氏の指摘を斉藤鉄夫国土交通相が認めた。沈没した「KAZU Ⅰ(カズワン)」の運航会社「知床遊覧船」は昨年5、6月に浮遊物に接触したり浅瀬に乗り上げたりする事故を起こして同省の特別監査を受け、7月に改善報告書を提出していた。同党事故検証チームは今月24日、北海道運輸局と同社が交わしたメール5通を同省に開示させていた。

 予算委の中でチーム座長でもある大串氏は、運輸局からのメールにあった文案と報告書の内容を照会。大半が一致していることを明らかにした上で、「反省も検証もない、単なるコピペではないか」とただした。

 斉藤国交相は「コピペ」との指摘を否定せず、「小規模事業者は記載の仕方が分からず指導がないと手続きが進まない。文案については事前の電話などでの聞き取りを踏まえイメージを示したと省の担当者から説明を受けた」と釈明した。

 大串氏は「国が手を貸した改善報告書は実態を伴わず、結果として取り返しのつかない事故を招いた。特別監査が正しく行われていれば事故は防げたはずだ」と批判した。

神奈川新聞
5/27(金) 16:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/2bd4e5aa65dbe69f189705c99c5a01a6bd5aec41