大阪府は、新型コロナウイルスの重症患者向け病床を使う患者を限定するよう、医療機関に呼びかけ始めた。これまでは重症化リスクがあるとみれば中等症患者も重症病床で受け入れることもあったが、人工呼吸器が必要な患者らに限ってもらう。病床が逼迫(ひっぱく)しているためだが、対応が遅れかねないとの懸念もある。

 呼びかけは府内の医療機関に対して、11月中旬から始めた。中等症患者であっても、重症化する可能性があると医師が判断すれば、早い段階で重症病床に移すケースがあったが、人工呼吸器などが必要な重症患者に限るよう求めている。重症患者であっても入院が長期化していれば周囲に感染させる可能性が低いとみて、重症病床を使わないことも促している。

 重症病床が足りなくなる恐れがあるためだ。府は3日、確保している重症病床(206床)の使用率が70%に達する見通しとなり、独自基準「大阪モデル」に基づき非常事態を示す「赤信号」を点灯させた。6日発表段階で入院中の重症患者は過去最多の141人で、重症病床使用率は68・4%。実際に運用している病床(164床)に限れば使用率は86・0%となっている。

吉村知事「医療資源は無限ではない」
 大阪急性期・総合医療センター(大阪市)の敷地内に重症病床を30床備えた「大阪コロナ重症センター」を設置するが、十分とは言えない。

朝日新聞
2020/12/6 20:34
https://www.asahi.com/articles/ASND66R8FND5PTIL010.html