国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕3日で中止に追い込まれた問題で、芸術祭実行委員会長を務める愛知県の大村秀章知事は8日、「辞職相当だと思う」などと批判した大阪府の吉村洋文知事に対し「憲法21条、表現の自由を全く理解されていないのではないか」などと反論した。

 吉村知事は7日の記者会見で表現の不自由展について「表現の自由は保障されるべきだが、プロパガンダと国民が思うものを愛知県が主催者として展示するのは大反対」などと主張。「責任を取らなければいけない」などと大村知事を批判した。

 これを受けて大村知事は、今年2月の知事選で8割を超える得票率で3選したことを挙げ「(辞職要求は)民主主義の否定。愛知県民の民意をどう捉えるのか」などと反発した。企画展についても「公権力が(展示作品を)これは良い、これは悪いと言ってはいけない」と持論を展開。さらに「維新の方々は『表現の自由はどうでもいいと考えている』と、こちらは取ってしまう」とも述べた。

 一方、企画展会場の愛知芸術文化センター(名古屋市東区)に「ガソリン携行缶持って館へおじゃますんで」などと書いたファクスを送信したとして、男が威力業務妨害容疑で愛知県警に逮捕されたことについて「多くの市民に不安を与え、安全を脅かした。厳正に対処してほしい」と述べる一方、「引き続き芸術祭の安全管理に万全を期したい」として、企画展の再開については明言を避けた。【竹田直人】

毎日新聞
2019年8月8日 18時21分
https://mainichi.jp/articles/20190808/k00/00m/040/259000c