戦後の漁業のあり方を全面的に改悪する漁業法改悪案について、野党は3日、農林水産省や漁業関係者に対する「合同ヒアリング」を行い、漁業者からは、漁業権や資源管理の在り方など法案の問題点を指摘する声が相次ぎました。

 同法案は、漁業権を地元漁協に優先的に与えてきた仕組みを廃止し、企業に漁業権を与えるもの。宮城海区漁業調整委員の赤間廣志さんは、法案を先取りする宮城県の「水産特区」では、漁業権を与えられた民間企業が多額の税金を受けながら債務超過に陥っていると指摘し、同民間企業の財務状況を検証すべきだと要求。同案が、漁業や漁業権について審議する海区漁業調整委員会の公選制をやめ、知事が任命する制度に変えることで、漁民の意見が届きにくくなると批判しました。

 また同案では資源管理に関し、これまで魚種を限定して漁獲可能量を設定(TAC制度)してきた仕組みを、ほとんどの魚種に拡大します。千葉県沿岸漁業協同組合の鈴木正男組合長は、これまでもスルメイカはTACの規制魚種だったにもかかわらず減少してきたとして、過去を反省した上で進むべきだと指摘。検証もなしにTACを拡大しても「失敗する」と話しました。

 日本共産党の田村貴昭衆院議員は「国会と農林水産委員会は現場の業者の声を聞くべきだ」として、参考人質疑や現場視察を含む徹底審議を求めました。

しんぶん赤旗
2018年12月4日(火)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-04/2018120402_03_1.html