北朝鮮の金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が「日本人拉致問題は解決済みだ」とする姿勢を、ポンペオ米国務長官に伝えていた。米朝関係筋が明らかにした。5月末にニューヨークで行った協議で伝えたとみられる。

 北朝鮮は公式メディアで「解決済み」との立場を繰り返しているが、金英哲氏はポンペオ氏に「日朝間では、すでに終わった問題だ」とも伝えたという。

 米朝関係筋は金英哲氏の発言について、「拉致への謝罪や一部の被害者の帰国など、可能な措置は全て行ったという立場を強調したかったようだ」と語った。

 一方、金正恩(キムジョンウン)党委員長は、4月27日の南北、6月12日の米朝の両首脳会談で、日朝首脳会談に前向きな考えを示した。金英哲氏の発言には、今後の日朝交渉で有利な状況をつくるため、最も強硬な姿勢を示して日本に譲歩を促す狙いがありそうだ。

 日本は米国に、日朝首脳会談の実現に向けた協力を要請している。ポンペオ氏の訪朝が実現すれば、金英哲氏との間で再び、日朝協議が話題になる可能性がある。(ソウル=牧野愛博)

朝日新聞
2018年7月3日18時24分
https://www.asahi.com/articles/ASL7252SJL72UHBI016.html