毎日新聞2017年11月21日 11時38分
https://mainichi.jp/articles/20171121/k00/00e/040/202000c

 大阪府豊中市の国有地が、学校法人「森友学園」にごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題で、会計検査院が値引きの根拠となったごみ推計量について「十分な根拠が確認できない」とする検査結果をまとめたことが、関係者への取材で分かった。検査院は22日に検査報告書を国会に提出し、結果を公表する。国土交通省と財務省は国会で「基準に基づき適切に積算した」と説明してきたが、矛盾する結果となる。

 関係者によると、検査院はごみ推計量が過大に見積もられた可能性を指摘するものの、国交省が積算に用いた資料の一部がないことなどから適正な撤去費の金額については言及せず、8億円の値引きが不当かは判断を示さないとみられる。両省は森友学園との交渉記録を破棄するなどしており、行政文書の管理についても改善を求める見通し。

 森友学園は2016年6月、評価額9億5600万円から地中のごみ撤去費など約8億2000万円を差し引いた額で国有地を購入した。野党は交渉経過が不透明として国会で追及したが、両省は約8億円のごみ撤去費について「土地面積にごみの深さ3.8メートル(一部9.9メートル)とごみ混入率47.1%を乗じてごみ推計量を出し、適切に算出した」と説明してきた。

 関係者によると、ごみの深さを撮影した写真が不鮮明だったり、混入率も土地全体ではなく一部から得たデータが使われたりしており、検査院は積算に使用する資料として不十分と判断した。検査院は参院予算委員会の要請を受けて3月から検査していた。【島田信幸、杉本修作】