歩夢「大好きな人気者の大好きな私の好きな侑ちゃん、、」
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侑「歩夢!」
侑ちゃん。小さい頃からずっと一緒で大好きな私の幼馴染。
侑ちゃんは人気者でいつも周りに誰かいる。
歩夢「でね、あそこのパフェ凄い美味しくって」
侑「そうなんだ」
かすみ「侑先輩〜侑先輩〜」
侑「どうしたの?」
かすみ「これ食べてみて下さい〜!」
侑「これは?」
かすみ「かすみんの自信作です!りな子もしず子も絶賛してます」 侑「へ〜そうなの?」
しずく「はい。凄く美味しかったですよ。ね?」
璃奈「うん。かすみちゃんの作るパンは美味しい」
かすみ「特別にかすみんがあ〜んしてあげます。先輩!あ〜ん」
侑「いいよ。自分で食べれるよ」
かすみ「またまた〜恥ずかしがっちゃって〜」
歩夢「かすみちゃん!私も食べたいな」
かすみ「え?あっ、もちろん。皆さんの分もありますよ〜。食べますか?」
歩夢「うん。ありがとう、かすみちゃん」 かすみ「じゃあ、皆さんにも」
愛「じゃあ、お言葉に甘えて!」
せつ菜「私も頂きます!」
エマ「彼方ちゃん、起きて〜。かすみちゃんがパン持ってきてくれたよ」
彼方「も〜食べれない」
果林「お腹いっぱいみたいね」
かすみ「まだ食べてないじゃないですか!!?」
侑「あはは。夢の中で何か食べてるのかな?」
歩夢「あっ、侑ちゃん。これ美味しいよ!一口…」
かすみ「でしょ!それ自信作なんです!あと、こっちも自信作で〜侑先輩一口食べてみて下さい」
侑「あはは…そんなに沢山は食べれないよ」
かすみ「そんな事言わずに」 歩夢「本当!!!!!!凄い美味しい」
かすみ「当たり前です!かすみんが作ったんですから」
愛「よっ!流石かすかす」
かすみ「かすみんです!」
侑「美味しいよ〜かすみん!」
かすみ「えへへ〜もっと褒めてぇ」
侑「ヨシヨシ〜」
歩夢「かすみちゃん一人で作ったの?」
かすみ「そうですよ」
歩夢「へ〜凄いなぁ。作り方教えてくれない?」
かすみ「作り方ですか?」
歩夢「うん。お願い」
かすみ「ん〜…良いですよ!特別ですからね〜」
歩夢「ありがとう、かすみちゃん」 次の日。
侑「ふぁ〜」
果林「大きなあくびね」
エマ「夜更かし?」
侑「えへへ。ちょっとね」
歩夢「ちょっとって?」
しずく「私のお芝居の練習に付き合って貰っていたんです」
果林「あら、そうなの?」
しずく「はい。相手役が欲しかったので」 歩夢「あれ?でも、昨日は一緒に帰った後ずっと家に居たはずだよね?」
侑「え?あ〜…リモートでね」
歩夢「そうなんだ」
愛「え?どうなの?どうなの?ゆうゆの演技は?」
しずく「あはは」
侑「え?なんで笑うの?」
果林「まあ…そう言う事なんでしょ?」
しずく「でも、とても助かりました」 せつ菜「どんな役なんですか?」
愛「あ〜確かに気になる。しずく主演?」
しずく「いえ、私はヒロインで」
璃奈「しずくちゃんがヒロインって事は…侑さんはその相手役」
彼方「もしかして恋愛もの〜?」
しずく「あはは。そうですね」
歩夢「へ〜…どんなセリフがあるのかな?」
しずく「どんなセリフ……そうですね…」
歩夢「あっ、ごめん。楽しみにとっておこうかな」
愛「確かに。舞台で観たいね」
しずく「そうですか」 歩夢「侑ちゃんのセリフは?」
侑「私?私はほら…ただの練習相手だから」
しずく「君の事を愛してる」
歩夢「え?」
愛「どした?」
しずく「昨日、侑先輩に演じて貰ったセリフです」
侑「あはは…これだけなんだけどね…なかなか難しくてね」
愛「へ〜これはこれは。ゆうゆの口から聞いてみたいなぁ」
侑「や、やらないよ」
彼方「え〜しずくちゃんだけズルいなぁ」
しずく「あはは。文字通り、役得ですね」
愛「おっ!上手いこと言うね!」
歩夢「………しずくちゃん!」
しずく「え、はい?」
歩夢「無事、舞台が成功すると良いね!応援してるね!」
しずく「はい!ありがとうございます」 🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ もちろんゆうぽむHappyEndなんだよね 別の日。
愛「ダジャレを言うのは誰じゃ?」
侑「あはははは」
果林「よく…あれで爆笑出来るわね」
せつ菜「確かに…」
歩夢「侑ちゃん…昔からツボが赤ちゃんだから」
彼方「にしてもよく笑うよね」
璃奈「愛さんも楽しそう」
愛「面白い話します!白い犬は〜尾も白い!」
侑「あははは。やめて〜」 歩夢「あっ!そうだ!今日、パン作って来たんだ!」
果林「へ〜歩夢が?」
エマ「わ〜美味しそう〜」
歩夢「うん。良かったら皆んなで食べて」
せつ菜「では、お言葉に甘えて」
彼方「頂きます〜」 歩夢「ほら侑ちゃんも食べて〜」
侑「あははは。え?うん」
歩夢「じゃあ、あ〜ん」
侑「いいよ。自分で食べるから」
歩夢「むぅ」
愛「あ〜歩夢、ほっぺた膨らませて〜」
歩夢「ほっぺたも膨らませるよ」
愛「え?」
歩夢「ううん」 せつ菜「歩夢さん!凄く美味しいです!今度私も作ってみようかなぁ」
歩夢「え…それは…」
彼方「うん。それは…あはは」
せつ菜「それは?」
侑「ん…んん?」
愛「どうしたの?」
侑「なんか…パンの中に…べっ」
歩夢「何か入ってた?」
侑「髪の毛だ」
歩夢「あっ、ごめん。髪の毛入ってた?」
侑「うん。平気平気」 歩夢「本当にごめんね」
侑「大丈夫だって」
愛「ゆうゆは丈夫そうだからダイジョーブだよ」
侑「あははは。またぁ、あははははは。も〜愛ちゃんたらおかしい〜」
愛「えへへ〜」
歩夢「愛ちゃんも沢山食べてね」
愛「サンキュー歩夢!」 次の日。
歩夢「侑ちゃんおはよう」
侑「おはよう」
歩夢「さっ、行こ」
侑「うん。……今年の風邪はだいぶ長引くみたいだね」
歩夢「そうだね」
侑「愛ちゃんも風邪ひいたって。昨日夜中に連絡来たよ」
歩夢「そうなんだ」
侑「歩夢の所にも来たでしょ?」
歩夢「うん。そうだったね」 侑「私達も気をつけなきゃね」
歩夢「うん。そうだね」
チャラララ〜 チャラ〜
侑「ケータイ鳴ってるよ?」
歩夢「うん」
侑「出なくていいの?」
歩夢「そうだね」
侑「そうだねって…こんな朝から何かあったのかもよ?」
歩夢「そんな事より早く行こ。遅刻しちゃうよ」
侑「歩夢…」 小学生の頃Aちゃんと言う友達が居た。
小学三年生の時に同じクラスの隣の席になり仲良くなった。放課後も一緒に帰る様になり歩夢も交えて遊ぶ様になった。
二学期になってAちゃんは学校へ来なくなってしまった。いや、正しくは来れなくなってしまった。学校で鬼ごっこをしていた際に屋上から誤って転落してしまった。幸い植え込みがクッションとなり死には至らなかったけど、Aちゃんは半身不随となり寝たきりとなってしまった。
当時、学校の杜撰な管理体制は世の中から厳しく批判された。施錠が壊れたまま放置され誰でも屋上にアクセス出来てしまう状況だった。
あの日、偶然歩夢が発見して居なかったらAちゃんはこの世には居なかったと思われる。 退屈な毎日だった。大好きな物を隠し、ひたすらに自分を殺し続ける日々。真面目な顔して周りの顔を窺って何も起きず、死ぬまで平穏に生き続けるのが私の人生だった。
そんな退屈な日々から抜け出せたのは、あの時の侑さんの言葉があったから。お陰で今は仲間に恵まれ、好きなものは好きと隠す事なく楽しい日々を送ってる。
しかし、そんな日常に暗雲が立ち込めている。先日、生徒会室にある情報が入って来た。
普通科一年の中須かすみが一週間前から家に帰って居ないとの事だった。彼女は同好会の後輩と言う事もあって教師陣は直接私の元へ聞きに来たのだ。しかし、私の元には風邪で休むと本人から連絡が来ていた。その旨を伝えると分かったと言って先生達は生徒会室から静かに出て行った。 それから少しずらして生徒会室から出ようと扉を開けると、歩夢さんが廊下に佇んでいた。
せつ菜「歩夢さん。どうしたんですか?」
歩夢「さっき先生達が話しているの聞いちゃったの」
かすみさんの事だろう。誰が聞いているかも分からない場所で少し軽率ではないかと思った。歩夢さんは心配そうに私を見つめる。
せつ菜「大丈夫ですよ。すぐに見つかるはずですから」
根拠のない言葉を私はデタラメに並べた。 歩夢「見つかるといいよね」
とても他人行儀で冷たく聞こえたのは私の思い過ごしだったのだろうか。季節外れの寒気を感じ私は逃げる様にその場を後にしようとした。急用を思い出した。必要以上に大きな声で告げると右腕を歩夢さんにガッと掴まれた。
歩夢「急用?この後練習だよ?部室に行くんでしょ?一緒に行こうよ」
思えば歩夢さんから誘いを受けた事は一度もなかった。同じ同好会に所属していても二人で遊んだ事はもちろん、下校した事もない。教室間の移動ですら声を掛けられた事はなかった。彼女はいつもどんな時でも幼馴染の高咲侑と一緒に行動していた。 せつ菜「ごめんなさい歩夢さん。本当に大事な用事があって。同好会には必ず顔出しますから」
そう言って手を振り払うとか彼女はバランスを崩しその場に転倒してしまった。
せつ菜「だ、大丈夫ですか?」
心配して彼女の顔を覗き込んだ時、一瞬睨み付ける様にこちらを見つめる瞳をその後の短い人生で一度足りとも頭から離れる事はなかった。 行くあてもなくひたすら歩きながら、何度も後ろを振り返る。上原歩夢が段々と小さくなっていくのを確認してから私は鞄からスマートフォンを取り出して侑さんに電話を掛けた。
呼び出しのコールが耳元で鳴り響く。私はなるべく人が寄り付かない場所を考えながら電話が繋がるのを待った。
「もしもし?せつ菜ちゃんどうしたの?」
せつ菜「侑さんですか。ちょっとお話があって。なるべく二人で話したいのですが」
「二人で?何かあったの?」
せつ菜「はい。なるべく誰にも気づかれない様にお願いします。場所は……D棟の第二視聴覚室が現在使われてないはずなので」
「分かった。すぐに向かうよ」
せつ菜「お願いします」
電話を切る間際に侑さんの声ではない、けど聞き覚えのある声が聞こえた様な気がした。 視聴覚室の後ろの席に座り、私は侑さんが来るのを待った。この学校の視聴覚室はまるで小さな映画館の様で予備教室とは言え使われていない事を勿体ないと思っていたが、それに感謝する日が来るとは思ってもいなかった。
侑「お待たせ」
待つ事10分。少し呼吸を乱しながら侑さんは現れた。
侑「何があったの?」
待っている間、私は彼女にどう説明するべきか考えていたが結局思考がまとまる事はなかった。
せつ菜「かすみさんが行方不明なんです。ずっと風邪で休んでる事になっていましたが」
ストレートにそう伝えると侑さんは咄嗟に左手の甲をギュッとツネって声を出すのを我慢した。 侑「思わず大声が出そうだったから」
私の視線に気が付いたのか侑さんはそう口にした。
せつ菜「その為にこの部屋を選んだんです」
防音が施されているこの部屋なら多少の音なら漏れる心配はないと思ったのだ。
せつ菜「一昨日からしずくさんも風邪で休んでいますよね」
侑「愛ちゃんも風邪で休むって連絡が来たよね」
風邪なんて流行ってないのに。
せつ菜「これって偶然ですか?」
侑「あまり考えたくないけど」
そう言いかけて侑さんは言葉を飲み込んだ。 せつ菜「ごめんなさい」
侑「何が?」
せつ菜「こんな事を話したって子供の私達には何が出来る訳でもないでしょう?それなのに…無駄に不安にさせるだけと分かっているのに」
侑の事は信頼している。けど、別に解決したくてこの事を話した訳じゃなかった。ただ、自分だけでは抱えきれなかっただけだった。
侑「私もせつ菜ちゃんの立場だったら同じ事したよ」
まるで私の心境を全部理解しているかの様に彼女は優しく微笑む。
侑「私達は子供だけど、私達にしか出来ない事もあるかもしれない。私はそれを考えてみるよ」 せつ菜「そうですね」
侑「取り敢えず、部室に向かおうか」
せつ菜「あっ、私は施錠をしてから出るので先に行ってて下さい」
そう言って部屋から出て行く侑を見届けてから、何気なく私は隅っこにある椅子に座った。
「ダメじゃない。侑ちゃんに心配かけちゃ」
せつ菜「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
耳元で急に声がしたので私は思わず悲鳴をあげてしまった。実際には側には誰も居なくて、ただいつの間に部屋に入ったのか上原歩夢が扉の前に立っていた。 歩夢「人の口に戸は立てられないとはよく言った物だよね。誰にも言っちゃいけないんじゃなかったの?まあでも、先生達も酷いよね。一方的に聞いてきて誰にも言うなって。生徒会長って言っても17歳の子供に抱えきれる話じゃないもんね。あれ?まだ16歳だっけ………?どっちでもいっか。年齢なんてただの数字だもんね」
上原歩夢はペラペラと言葉を口にするけど一向に耳に入って来なかった。彼女はひたすら喋りながらゆっくりとゆっくりと扉の鍵を閉めた。
せつ菜「何故、鍵を閉めたのですか?」
歩夢「なんでだろう?なんでだと思う?」
言葉が出てこない。
歩夢「ここのプロジェクターってスマートフォンの動画写せるのかな?」
せつ菜「……何故ですか?」 歩夢「かすみちゃんの可愛い動画があるんだけど。見たい?」
私は何も答えられず、身体は小刻みに震えていた。その間、上原歩夢はプロジェクターをいじり始めたが結局使い方が分からなかった様だった。
歩夢「えへへ。昔からの機械音痴なんだ。仕方ないから後で動画送るね」
気がつくと上原歩夢は私に近づいていた。思わず私は近くあった鞄を彼女に向かって投げてしまった。
歩夢「痛ぁい」
鞄は彼女の頭部に当たり、よろけてその場に転倒した。核心は何もなかった。けど、私の本能が彼女を攻撃していた。気が付けば倒れた彼女を両手で抑え込んでいた。
歩夢「やめて。せつ菜ちゃん。やめてよ」
上原歩夢が大声で私に呼びかける。一瞬我にかえって手が緩んだ隙を彼女は見逃さなかった。 私が最後に見た景色は視聴覚室の天井だった。私はゆっくりとゆっくりと引きずられた。
どうしてこんな事になってしまったのか。最早、考える気力も残って居なかった。
引きずられている途中、ボトッと私から何かが取れた。その頃にはもう私は何も感じなかった。 先日、港区の虹ヶ咲学園高等部に通う女子生徒四名が連続して失踪する事件が発生しました。また、校舎内で一人の少女の血痕が見つかった事から警察は事件性があると判断し捜査を開始しています。
失踪した生徒達は今流行りのスクールアイドル活動を行なっていたとの事です。近年、スクールアイドルはメディアへの露出も増え一部過激なファンからの付き纏い行為が問題視されています。
虹ヶ咲学園は中等部を合わせて生徒数が6000人を超えるマンモス校であり業者等の出入りも頻繁だった為、部外者の侵入が容易だったのではないかと言われています。 警察は何をしているのだろうか。せつ菜さんが行方不明になってから何も進展がないまま一週間が過ぎた。
校内からはせつ菜さんの血痕が発見されたらしいけど、犯人に関係するものは何一つ見つかってないらしい。けど、そんな事は絶対に有り得ない時思う。警察は本気で捜査をしているのだろうか。
学校側の杜撰な体制にも驚いた。これだけ、デカい学園なのに校舎内に監視カメラの一つも設置されて居なかったらしい。記者会見で生徒のプライバシーが何とかって言ってたけどどうにも苦しい言い訳に聞こえる。別に更衣室やトイレを録画しろと言っている訳じゃないんだから。
屋外には監視カメラが数台設置されていたらしいけど、結局それらしきものは映ってないらしい。
こんな事件が起きていても親は相変わらず仕事で家に居ない。高層マンションの上層階に侵入するのは不可能だろうけど、それでも普通は心配で仕事になんていけないでしょ?
あれから私は学校に一度も行っていない。 学校に行ってないと言うよりは行かせて貰えない。心配するふりをした親が私を閉じ込めてるから。高層マンションの上層階の一室に閉じ込められた私はまるでラプンツェルの様だ。
いつかこの部屋から連れ出してくれる人が現れるのを私は待ってみても良いのだけど、愛さんもせつ菜さんも、かすみちゃんもしずくちゃんも多分もう居ないんだ。
考え方を変えてみようか。皆んなの居ない外の世界に未練なんかある?ないと思う。だったら引きこもってればいいじゃない。元通りの生活になるだけなんだからなにも苦じゃないでしょ。
こんに風に適当に言葉を並べてみたけど外に出るのが怖いだけだったりする。別に見張りがある訳じゃないからいつだって外には出られる。外に出れば私も狙われるかもしれないし、残された他の皆んなが目の前から居なくなるのを見たくないだけかもしれない。 虹ヶ咲のssにおけるしずく愛歩夢のサイコキラー率は異常 璃奈「皆んなに会いたい」
そう呟いたと同時にスマホの呼び出し音が鳴った。画面には高咲侑と表示されている。
璃奈「侑さん…」
一瞬出るか迷ったけど私はスマホを手に取るとスグに通話ボタンをタップした。
「あっ、もしもし璃奈ちゃん?私、侑だけど」
璃奈「うん」
「特に用事がある訳じゃなかったんだけど、どうしてるかなって。あれから私と歩夢以外は同好会に顔を出さなくなっちゃったから」
侑さんは私を心配している様だったけど、逆に侑さんと歩夢さんはこんな事になっても同好会に顔を出していたんだと驚いた。 >>78
せつなも最期は誰に引きずられてるのかわからないしな そこから、少しお互いの近況報告をした(とは言っても家から一歩も出ていない私は報告する事もないかった)
「きっと皆んな帰ってくるよ。大丈夫、心配ないから」
電話を切る間際に根拠もない言葉を口にしたのは、侑さん自身がそう自分に言い聞かせたかったからなんだろうと思う。 侑ちゃんは呪われ体質で近づいた人が不幸になるから歩夢ちゃんが死なないように助けてる説 私だってそう思いたい。握りしめたスマホを操作して何気なく開いたのはかすみちゃんがやっていたSNSだった。ことあるごとにSNSを更新していたかすみちゃん。私はよくかすみちゃんの投稿にいいねを付けていた。
最後に更新されたのは4日前、空を写した写真を投稿している。あれ?4日前って…かすみちゃんが実装したのは一週間以上前のはず。
色々な考えが頭の中で駆け巡る。
犯人がなりすましている?どこの写真?写真から投稿した場所が分からないかな?位置情報から辿れないかな?こんな事警察だって気がついているはず。
もしかしたら、かすみちゃんは生きてるかもしれない。 そこで、浅はかな私はかすみちゃんよスマホに電話を掛けてみようと考えた。人間はどうしたって自分の都合の良い様に考える生き物なんだと痛感する事になる。
4コールで電話が繋がった。自分から掛けたのに電話が繋がった事に私は驚いて言葉を出せずにいた。するとそれに察したのか向こうの方から喋り始めた。
「もしもし、璃奈ちゃん?」
かすみちゃんの声では無かった。けれど聞き覚えのある声だった。
「もしもし?もしも〜し」
もしかして、かすみちゃんのスマホに掛けたつもりで操作を誤ったのだろうか。私はスマホの画面を確認する。
画面には中須かすみとちゃんと表示されていた。
じゃあ、どうして歩夢さんが電話に出るのだろう。
璃奈「歩夢さん…だよね?」
私が確認すると歩夢さんは不安そうな声で「そうだよ。歩夢だよ」と答えた。
璃奈「どうして歩夢さんがかすみちゃんの電話に?」
歩夢「実はね、学校で拾ったの。どうしよう璃奈ちゃん。警察に届けた方がいいかな?」
歩夢さんの声は震えている様だった。引っかかる事はあった。あれだけ捜査して警察は見つけられなかったのか。けど、私は歩夢さんを疑う事はしなかった。だって友達だよ?疑ったりなんてしないでしょ?
璃奈「今、どこにいるの?」
歩夢「学校だよ」
璃奈「一人?」
歩夢「うん。璃奈ちゃん、私心細いよ」
今行くと返事をして私は電話を切った。 来世があるならもっと深く考えてから行動しようと思う。違和感を覚える時はだいたい何かがおかしいんだから、それが解消するまでは慎重に行動しなきゃいけないと学んだ所で後の祭りなんだけど。
上原歩夢に呼ばれたのは一度も入った事の無い様な教室だった。まあ、これだけデカい学校だから入った事の無い部屋の方が多いんだけど、それにしたって誰にも使われていない様な部屋だった。
歩夢「来てくれてありがとう、璃奈ちゃん」
電話で言っていた通り上原歩夢は一人だった。上原歩夢は扉の前に立つ私に手招きをすると乱雑に置かれた椅子を綺麗に並べながら座るように促した。 上原歩夢は一通り椅子を並び終えると扉の方へと向かい、鍵をしめた。そして、淡々と喋り始めた。
歩夢「私ね、璃奈ちゃんはもっと頭の良い子だと思ってたの。今回の事件が起きた時にスグに自分から切り離して関係ないって顔して家に引きこもったまま出て来ないと思ってたんだ」
私は席を立とうとした。しかし、いつの間にか私の背後にいた上原歩夢に肩を押さえ付けられて立ち上がれなかった。
歩夢「家族とかよく知らない番号とか結構いっぱい掛かって来てたんだけど、同好会のメンバーで掛けて来たのは璃奈ちゃんだけだよ。だから出てみたの。SNSも覗きに来たでしょ?」
ドキッとした。まるで自分の行動を見抜かれているのかと思った。
歩夢「足跡で分かるんだよ」
そう言って上原歩夢はクスクスと笑った。何が面白いのか分からない。 歩夢「璃奈ちゃん。皆んなの事、ちゃんと好きだったんだね。良かった。私は嬉しいよ」
そう言って上原歩夢はブレザーのポケットに手を突っ込むと何かを取り出した。
歩夢「スマホの指紋認証を解除するのに必要だったんだけど、一週間も経つとダメだね。もう使えないからあげるよ。大好きなかすみちゃんのだよ」
そう言って微笑みながら私にそれを渡して来た。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています