彼方「今日はこの辺にしようか。そろそろ帰らないといけないし」

果林「………………つかれたわ……」

脱力して言葉を絞り出す姿に、私も嘘偽りのない感想を返す。画面を消えないようにしてスマホを机に置いた。

彼方「そうだね。私も疲れたよ」

果林「今日はありがとう」

彼方「どういたしまして」

言いながら荷物をまとめる。朝香さんに自習の指示を出して変える準備を整えていると、家庭教師そのものだと思えて笑いがこみあげる。

果林「急になに?」

彼方「なんでもないよっ」

鞄を肩にかけ、最後に携帯を手に取って出入口の方へ。揃えておいた靴に足を滑り込ませて、部屋の中の方を振り向いた。朝香さんが見送りをしてくれる。

果林「じゃあ、また明日学校で」

彼方「明日も頑張ろうね」

敢えて明日も勉強をすることを確認すると、明らかに朝香さんの顔が歪む。