Day1

彼方「朝香さん、ここ座ってもいい?」

果林「……あら、珍しいこともあるのね。もちろんよ」

学内のカフェでひとり物思いに耽っている同級生。机に置かれた肘の前にはブラックコーヒーが湯気を立てて主人に存在をアピールしている。
それを敢えて無視するように、まるで相手を焦らしているように、私が知る限りずっと、彼女は窓の外を眺めていた。

彼方「何してたの?」

果林「見て分からないかしら」

彼方「うーん……私が来るのを待っていた、とか」

果林「私を名字で呼ぶような人を?」

彼方「やっぱり違う?」

果林「違うわね」

彼方「ちぇ……」