ルビィ「片割れのジュエル」 フェスライブ編【再】
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
Dancing,dancing! Non-stop my dancing
Dancing,dancing! Let me do!
ツバサ「ふぅ…ありがとうございました!」バッ
ルビィ・理亞「ありがとうございました!」
「…………」
「……………………お」
オオオオオオォォォォォォ!!! ワアアアアアァァァ!!!
雪穂「こんな人と競いあってたなんて、本当に凄いよ」
雪穂「羨ましいよ、お姉ちゃん」 「すご……鳥肌たった…! ツバサさんの生ライブ!!」
「隣にいるあの二人もスゲーよ!! まんま英玲奈さんとあんじゅさんの動きじゃん!」
「もう駄目、私死ねる」
「いいぞー! 最高だったーー!!」
「ルビィちゃーん!! 理亞ちゃーん!!」
ツバサ「フフッ、大成功ね」
ツバサ「二人ともどうだった? 私とのライブは」
ルビィ「……」
理亞「ルビィ?」 ルビィ「ツバサさん、ありがとうございました」
ツバサ「何のことかしら?」
ルビィ「歌も、踊りも、いつも以上に上手く出来てるのが分かって」
ルビィ「でもそれはツバサさんが私たちを引っ張ってくれたからだと思うので」
ツバサ「……」
理亞「私もルビィと同じ意見です」
理亞「ツバサさんと一緒にライブをやって、改めてA-RISEの凄さが分かりました」
理亞「周りの人たちの評価も多分、私たち本来の実力で得たものじゃないと思います」
理亞「それでも……凄いゾクゾクしました」
理亞「貴重な体験をありがとうございました、あと」
ルビィ・理亞「最高に楽しかったです!!」ニコッ
ツバサ「そう、私もよ」ニコ ツバサ「ねえ二人とも、今の感覚忘れちゃ駄目だからね」
ツバサ「次はあなた達が引っ張る番なんだから、そうでしょ?」
ルビィ・理亞「!」
ツバサ「まあ、少しサービスしすぎな気もするけど」
ツバサ「その分いつかのライブで応えてもらうとするわ」
ツバサ「楽しみにしてるから」
理亞「…っ…絶対! 絶対期待に応えてみせます!!」
ルビィ「誰が見ても良かったって言われるくらいのライブを! やってみせます!」
ツバサ「ええ、待ってるわよ」 スタスタ
ツバサ「……流石に贔屓だったかしら?」
雪穂「そんなことないと思いますけど、自分で言ってたじゃないですかご褒美だって」
雪穂「皆勤賞のお祝いにしては大きすぎるって意味なら分からなくもないですけど……飲みます?」
ツバサ「ありがとう頂くわ……そうよね、私も最初はここまでやるつもりはなかった」ゴクゴク
プハッ
ツバサ「でもやっぱり勝てないわね……未来の可能性、その楽しみには」 ルビィ(……期待、してるんだよね色んな人が…私たちに)
理亞「ちょっと、いつまでボーっとしているの」
ルビィ「ごめん、考え事してた」
理亞「そう」
理亞「…言われなくても分かってると思うけど」
理亞「これで本当に合宿は終わり、そして練習ももう必要無い」
理亞「残すはフェスだけ、いい? ここから今日を含む残り6日間で一気に巻き返す」
ルビィ「うん、分かってる」
ルビィ(それなら─)
ルビィ「……」
ルビィ「ねえ理亞ちゃん、その前に一つだけいいかな」 理亞「何?」
ルビィ「宣戦布告する、今ここで」スッ
ルビィ「これ持ってて」
理亞「……スマホ、グループ通話?」
『もしもーし! ルビィちゃん?』
『ルビィ、どうしたの?』
理亞「……成程」
理亞「もしもし」
『あれ、その声理亞ちゃん?』
理亞「久しぶり。ところでいきなりなんだけど」
理亞「ルビィからあなた達に言いたいことがある、そこで聞いてて」
理亞「……」クイッ
ルビィ「ありがとう理亞ちゃん」 ルビィ「……」カツン
ツバサ「じゃあそろそろ締めの挨拶をって……ん?」
雪穂「ルビィちゃん? 何で壇上に」
ザワザワ ナンダナンダ?
カツンカツン ピタッ
ルビィ「…………」スゥーッ
ルビィ「全員、聞いてください」
シーン……
雪穂(あれ、なんかルビィちゃん今までと雰囲気が……)
ツバサ(……飲まれた?)
ルビィ「私から皆さんに、一つだけ言いたいことがあります」
ルビィ「今日を含めた残り6日間、その全ての日程が終了するまでに」
ルビィ「私、黒澤ルビィとそのパートナー、鹿角理亞は」
ルビィ「ここにいるスクールアイドル全員を押し退け」
ルビィ「今年のラブライブ!サマーフェスティバル2020デュオ部門で───」
ルビィ「優勝します」
ルビィ「以上です。ありがとうございました」ペコ
理亞「……だって」
『…………ふふっ…あはははははは!!』
『へぇ…面白いじゃない!』
『受けてたーつ!!』
雪穂「……いやー、まさかルビィちゃんの口からあんな言葉が出てくるなんて」
雪穂「意外ですね……ってツバサさん、笑ってません?」
ツバサ「……ごめんなさい、ちょっと不意打ちだったから……ふふ」 イイゾー!! ヤッタレー!!
さゆり「ノリいいなあUTXの人たち」
あきる「優勝宣言、言ったからには本気でしょうね」
さゆり「全くさー参っちゃうよね」
さゆり「私たちからすればさっきのライブよりこっちの方がよっぽど爆弾だよ」
あきる「……かもね」フッ ルビィ「……」タッ
理亞「気が済んだ?」
ルビィ「うん」
理亞「あっちから伝言、返り討ちにするって」スッ
ルビィ「そっか」パシ
理亞「これでもう後には引けない、失敗したら大恥」
ルビィ「分かってる、だからね理亞ちゃん」
ルビィ「絶対優勝しようね!」
理亞「当然、恥かかせないでよ」 雪穂(全く、最後まで目立つコンビだったなあ)
雪穂(でも私は、あの二人が一番好きかもね)
雪穂「ツバサさん、最後に激励でも」ドウゾ
ツバサ「そうね」アリガト
カチッ
ツバサ「さあ先程優勝宣言が出たけどあなた達! 怖じ気づいたら駄目よ!」
ツバサ「まだ何も終わっていない! 勝負はここから!」
ツバサ「逃げ切りも大番狂わせも全てはあなた達次第!」
ツバサ「力の限り暴れてきなさい!! 以上!!」
「「「おーーーーーーー!!」」」
雪穂「はは……結構アグレッシブ…」
雪穂「でもこんな時くらいは、いいか」
─── スクールアイドル選抜強化合宿、全日程終了 ───
─8月11日
浦の星女学院、体育館
バタンッ
千歌「いっったぁ〜……」
果南「こら千歌! またビビったでしょ! 縮こまってたら余計に危なくなるよ!」
果南「腕の振りは大きく遠くに! 蹴りはかかとじゃなくてつま先!! 砂浜ダッシュで練習したときのこと思い出して!」
千歌「押忍!!」
果南「じゃあ次ラスト!」
聖良「千歌さん頑張って!」
千歌「ふぅーっ……いきます!」
バッ トン クルン タン!
果南「!」
千歌「わっ……とと、セーーーフ」ホッ 果南「千歌……」
千歌「うーん、着いた後が駄目だなー……ってあれ? なんか出来てる?」
聖良「やりましたね千歌さん! バク転成功していますよ!」
千歌「お、おぉ……やったーーーー!!」
千歌「やったよ果南ちゃん!」ハグッ
果南「うん、頑張ったね千歌」ナデナデ
千歌「聖良さん! 聖良さんも!」
聖良「いえ私はハグはその……」
千歌「じゃあハイタッチ! へーい!」バッ
聖良「へ、へーい!」パンッ!
果南「ごめん、こういう子だから慣れてね」 千歌「よーし、バク転もバッチリだし次はロンダートとの連携だね!」
千歌「特訓から一週間! やっとここまで来れたよー!」
果南「いや、一回成功しただけじゃまだまだだね。もっと数をこなして成功率上げないと」
千歌「じゃあもう一回! もう一回お願い!」
果南「ラストって言ったじゃん、今日はもう終わり」
千歌「あと一回だけでいいから!」
果南「千歌、ストレッチ」
千歌「……はーい」
……
千歌「お疲れさまー、また明日ねー」
果南「はいお疲れ……全く、最後まで不貞腐れてたなー」
聖良「今日はいつになくやる気に満ちていましたね、練習自体もいつもより長いくらいなのに」
果南「本当にね、もう一回どころか何十回もやってるのに…本人は気付いてないんだろうけど」
聖良「凄い集中力でしたからね、気付かないのも仕方ないのかもしれません」
果南「まっ大方昨日のルビィちゃんの発言に感化されたってところかな、負けられないって思ったんだろうね」
聖良「ああ……あれですか」
果南「胆が据わってるよね、ルビィちゃん」
果南「電話越しから歓声聞こえたってことは大勢の前であれ言ったってことでしょ? ルビィちゃん変わったなあ」
聖良「変わったといえば、理亞もですね」 『おー! 言ったねルビィちゃん!』
『優勝上等! 燃えてきたー!』
『望むところよ。理亞、ルビィに伝えておいて』
『返り討ちにしてあげるって』
『分かった、でも私もこれだけは言っておく』
『私と一緒にいるときのルビィは強いし、ルビィと一緒にいるときの私は……最強だ』
『!』
『勝つのは私たちだから、それじゃ』 聖良「あそこまで他人を信頼する理亞は初めてです」
果南「そうなの?」
聖良「はい、仲間に対するそれとはまた違う……そんな感じがしました」
果南「そっか……でも確かに前より刺が抜けた印象あるかも、ちょっと落ち着いたっていうか」
果南「良かったね聖良、上手くいったじゃん合宿の推薦!」ニコ
聖良「ええ、本当に良かった……」
聖良「ルビィさんには感謝してもしきれませんね」フフッ
─千歌の部屋
千歌「う"ぅ〜……」
梨子「ほら千歌ちゃん、手動かして」
千歌「いやだーもうやりたくないー……」
千歌「宿題なんて後回しでいいじゃん…」カリカリ
梨子「最終日に追い詰められてもいいのね?」
千歌「やります」
梨子「疲れてるかもしれないけど頑張って、今日の分はあとここだけでいいから」
ガチャ
志満「梨子ちゃんいつもありがとう、お夜食持ってきたからよかったら食べて」
梨子「ありがとうございます志満さん」 千歌「……終わったー!」
梨子「はいお疲れさま」
千歌「さーて宿題も終わったし、確認確認っと」スッ
梨子「あれ、食べなくていいの?」
千歌「あとで!!」
梨子「ふーん、珍しい」 千歌(えーっとこっちが私のバク転で)
千歌(これが果南ちゃんのロンバクかあ……)
梨子「ねえ千歌ちゃん、なに見てるの?」ヒョコ
千歌「これはねー、秘密特訓の動画!」
梨子「秘密特訓って……秘密なのに私に教えていいの?」
千歌「あっ……まだ何の特訓かは言ってないから!!」
梨子「そ、そうだね……うん、そういうことなら見るのやめておこうかな」
千歌「うん見ないで! 見ちゃ駄目!」 千歌「…………」ジッ
千歌(やっぱり全然違うなー…今日出来た私のバク転、自分では結構上手くいったと思ってたけど)
千歌(ビデオでこうして果南ちゃんのと見比べると私のはすっごい恰好悪い、形だけバク転って感じだ)
千歌(足伸び切ってないし落とすの速いし……どうやったらこんな綺麗に出来るんだろ)
千歌(……果南ちゃんの言う通りだね、もっと特訓しないと! こんなんじゃ成功したって駄目ダメだ!!)ウズウズ
梨子(フフッ、特訓ね……千歌ちゃんとっても楽しそう)
梨子「…………」
梨子(昨日のルビィちゃんも千歌ちゃんも、曜ちゃんもみんなそれぞれ頑張ってる)
梨子(……そろそろ、私も──)
─8月12日
ライブ会場
♪
花丸「ココロウキウキ 浮世のドリーム」
花丸「ビーチセカイで 冒険しよう」
梨子・花丸「“ぼーっ”と過ぎちゃもったいない」
梨子・花丸「“ぎゅーっ”と濃い時間が欲しい?」
梨子・花丸「だったら」
鞠莉「Let's go!」
梨子・花丸「だったら」
鞠莉「Let's go!」
梨子・花丸「今年は一度きりさ」
鞠莉「フゥーーーーーーッ!!!」ピーーーーー!!
果南「テンション高いなー鞠莉」
ダイヤ「日頃のストレスの発散でしょうか」 「遊ぼう Splash!」
鞠莉「Splash!」
聖良「でも鞠莉さんの気持ちも分かります」
聖良「軽快なリズムとダンスはこちらも見ていて気持ちがいいですし」
聖良「明るく爽やかな曲調は、晴れ渡った夏の海のイメージをより一層感じられてつい胸が躍ってしまいます」
聖良「それに彼女たちには華がありますからね」
ダイヤ「ええ、確かに」
果南「ん、それってもしかして洒落? ほら“桜”内と“花”丸をかけた」
聖良「違います」
ダイヤ「説明しなくてもいいですから、なに千歌さんみたいなことを言ってるんですか」 果南「そういうダイヤは梨子ちゃんっぽかったけどね」
ダイヤ「……まあ、そう言われてみれば確かに」
果南「近くにいると影響するってやつ? ほらダイヤって梨子ちゃんたちの練習に付きっきりじゃん」
果南「私も最近は千歌とずっとだからさー」アハハ
ダイヤ「それは確かにあるかもしれませんわね、何となく梨子さん達の考えも分かってきましたし」
ダイヤ「特に、マイペースな人に振り回される気持ちは」
果南「あー苦労してそうだもんねー」
ダイヤ「……」
聖良(どの口が言ってるんでしょうか、この人は) 果南「そうだ、影響っていえばさ。今梨子ちゃんが浦の星の生徒会長やってるけど」
ダイヤ「そうですわね、それが何か?」
果南「それってさ、もしかしてダイヤの影響だったりするのかな?」
果南「なんだろう、前任者が誰とかって意外と重要だったりするじゃん。梨子ちゃんそういうの気にしそうだし」
ダイヤ「…………まさか、今の時点ならまだ百歩譲って理解はできますけど」
ダイヤ「梨子さんが就任したのは私たちが卒業してすぐの話でしょう? あり得ませんわ」
聖良「今みたいに落ち着く前の時期ですからね」 果南「ねえ鞠莉、どうなの?」
「飛びこんでみせたあと キミがためらってる」
鞠莉「ならば!」
「容赦なく Summer Summer Summerへ連れてっちゃうから!」
鞠莉「フゥーーーーーーッ!!!」
果南「駄目だ、ライブに夢中で全然こっちの話聞いてない」
ダイヤ「いいことじゃありませんか」
聖良「多分今日一番楽しんでますね、鞠莉さん」
……
花丸「はぁ……」
梨子「お疲れさま花丸ちゃん、飲み物いる?」
花丸「頂くずら、梨子さんはいつも気が回っているね」
梨子「そんなことないと思うけど」
花丸「そうかなあ……あっさっきのライブの点数が出たよ!」
梨子「得点は……20100! 今までの最高点!」
花丸「やったー! 遂にマルたちも2万点台ずら!」
梨子「えっと……ランキングの方は3位、1つ抜かれたわね」 花丸「1位はまだ善子ちゃんたちで、他は……え!?」
梨子「どうしたの?」
花丸「ルビィちゃんたち、もう10位以内に入ってる……ほらここ」
梨子「! ……凄いね」
花丸「うん、マルたちも負けてられないずら!」
花丸「明日も頑張ろう! 梨子さん!」
梨子「明日…………そうだね、そうなんだけど」
花丸「梨子さん?」
梨子(……言わなくちゃ、昨日決めたでしょ) 梨子(みんな頑張ってるのに、私だけまだ迷ってるわけにはいかないのよ)ハァー
梨子「……あのね花丸ちゃん」
梨子「その明日のことで、ちょっと話したいことがあるんだけど……いいかな」
梨子「大事な話なの」
花丸「……どんな?」
梨子「それは──」
─8月13日
黒澤家
チリーン チリーン
黒澤母「ああ、今日もいい天気ですね」
黒澤父「そうだな、風も心地がいい。外へ出るにはとてもいい日和だ」
黒澤父「ダイヤ、準備は出来たかい?」
ダイヤ「はい、問題ありません」
黒澤父「では行こうか、サファイアのところへ」
ゾロゾロ
ダイヤ「快晴のおかげか、いつもより人が多い気がしますわね」
黒澤母「そうですね、こんな光景を見るのは久しぶりかもしれません」
黒澤父「ん…そういえばダイヤ、花丸さんには今日のお参りのこと言ったのか?」
ダイヤ「いえ、今年は忙しいでしょうし……あまり無理に行かせたくはなかったので」
黒澤父「そうか……いやしかし、あの後ろ姿は」
黒澤母「ええ、花丸さんですよね」
ダイヤ「!? まさか!」タッ
黒澤母「……それに隣にいるのは…」
黒澤父「……ああ」 花丸「…………」
ダイヤ「花丸さん!」
花丸「ダイヤさん、こんにちは」
ダイヤ「どうしてここに!? 貴女にはフェスがあるでしょう!」
ダイヤ「それに貴女がここにいたら梨子さんはどうすれば!」
「私がお願いしたんです」
ダイヤ「!! ……え……?」クル
スタスタ
黒澤母「やっぱり……」
黒澤父「……一年ぶりかな、その節はお世話になったね」
梨子「はい、ご無沙汰しております」
黒澤父「花丸さんも久しぶりだね」
花丸「お久しぶりです。小父様」ペコリ
ダイヤ「どうして……」
梨子「一度サファイアちゃんに挨拶しておきたくて。それと……」
梨子「どうしても貴女に会いたかったんです、ダイヤさん」 ダイヤ「……私に」
梨子「はい、話したいことがあるので」
花丸「……」
ダイヤ「……そうですか。その前に先にこちらの用事を済ませてしまっても?」
梨子「大丈夫です、待ってますから」
梨子「行こう花丸ちゃん」
花丸「うん」 ダイヤ「……ふぅ」スッ
ダイヤ「すみませんお母様お父様、私……」
黒澤母「いいですよ、行ってきなさい」
黒澤父「大事な話なんだろう?」
ダイヤ「ありがとうございます……行ってきますわ」
ダイヤ「また来るわね、サファイア」
スタスタ
黒澤母「……大丈夫でしょうか、ダイヤは」
黒澤父「……心配ないさ、見てみろ」
黒澤母「あなた?」
黒澤父「これはきっと彼女が持ってきたものだろう」
黒澤父「トゲも無く、綺麗に整えられたいい花だ……恨みのある人はこんなもの墓前に持って来やしない、大丈夫だよ」 ダイヤ「お待たせしました」
梨子「もういいんですか?」
ダイヤ「ええ」
梨子「そうですか」
ダイヤ「……話しというのは?」
梨子「ルビィちゃんのことです」
梨子「いい加減、こちらに返してください」 ダイヤ「!! 梨子さん」
花丸「……」
梨子「……なんて、言うつもりはもうありません」
梨子「そんなことを言ったところで、何の意味もないですから」
ダイヤ「……え?」
梨子「ねえダイヤさん」
梨子「少し、私に付き合ってもらえますか」
─
浦の星女学院、校内
スタスタ
梨子「ここです」
ダイヤ(……理事長室?)
コンコン
「どうぞー」
ガチャ
梨子「こんにちは」
鞠莉「ハロー♪ダイヤも待ってたわよー」
ダイヤ「鞠莉さん、貴女まで」
鞠莉「ちょーっと梨子に頼まれてね」 鞠莉「あ! そうそう二人とも昨日のライブ良かったわよー! とってもシャイニーだったわ!!」
花丸「えへへ、照れるずら」
梨子「ありがとうございます鞠莉さん」
ダイヤ「あの、状況がよく飲み込めないのですが」
ダイヤ「梨子さんはどうして、私をここへ?」
梨子「私とダイヤさん、どっちにも縁がある場所はここくらいかなって」
鞠莉「そうねえ、梨子も生徒会長になってからそろそろ半年。長かったような短かったような」
梨子「ですね」
ダイヤ「……?」 梨子「最初は大変だったし、鞠莉さんの絡みも正直鬱陶しいときがあったけど」
鞠莉「さり気ないカミングアウト!」
梨子「でも、ここで過ごす時間は心地いい。それに生徒会の仕事を通していく中で私は」
梨子「この学校のことをもっと好きになることが出来たから。今ではやって良かったって思ってるんです」
鞠莉「梨子、あなた……」
梨子「例えその引き受けた理由が、どんなものであれ……ね」
花丸「……」
クルッ
梨子「ダイヤさん」
梨子「私は、貴女みたいになりたかったんですよ」
ダイヤ「─!?」 梨子「前に私がダイヤさんに言ったことを覚えていますか、貴女の立場に立って考えることが出来ればよかったのに。って」
ダイヤ「もしかして、それで……?」
梨子「単純でしょうか、でも……それでも私はそうしたかった」
梨子「実際にやってみることで変わることや分かることがあるかもしれないから」
ダイヤ「!!」
まさか梨子ちゃんがダイヤと同じこと言うなんてね
ま、二人は考え方似てるところあるから、おかしくないとは思うけどさ
ダイヤ「……」
梨子「だから自分の目で、直接その景色を確かめてみたかった」
梨子「それが私が生徒会長を引き受けた理由です。鞠莉さん」
鞠莉「……成程ね」
梨子「今まで隠してきてごめんなさい」 鞠莉「ねえ梨子、どうして今になって話そうと思ったの?」
梨子「みんなが頑張ってるのに私だけいつまでも後ろを向いているのが嫌だった」
梨子「私も千歌ちゃんや曜ちゃんみたいに前を向いていきたいと思った。っていう理由もありますけど」
梨子「一番は、やっぱりルビィちゃんです」
花丸「ルビィちゃんが?」
梨子「最近になって改めて気付かされたの。ああ、この子はやっぱりダイヤさんの妹なんだって」
ダイヤ「!」
梨子「今日のルビィちゃんのライブ見たら、それが何となく分かったんだ」 梨子「花丸ちゃんも、そう思わなかった?」
花丸「……うん」
梨子「ダイヤさん」
梨子「ルビィちゃんの中にはいつだって、貴女がいるんですよ」
梨子「たとえ本当の血が繋がっているのが私だとしても、貴女を故郷から追い出しても、貴女と同じ役職に就いても、それは変わらない」
梨子「そこまで来たら、もう何も言えないじゃないですか」
梨子「それに……悔しいですけど」
梨子「果南さんやダイヤさんが戻ってきた今のAqoursでの活動は、やっぱり楽しい」 梨子「みんなで一緒に練習して、失敗して、乗り越えて、喜んで」
梨子「たったそれだけのことがこんなにも大切で、そこには当然、あなた達もいる」
梨子「だから夏が終わらないでって思ったこともある。終わってしまえばあなた達はまた向こうへ行ってしまうから」
梨子「そう考えただけで、寂しくなってしまうくらいに……私は」
梨子「貴女のことが好きになってしまった」
ダイヤ「!」
梨子「あの時は、一緒にいるだけで辛かった。なのに、今は離れたくないって思ってる」
梨子「身勝手なことを言ってるんでしょうけど……でも仕方ないですよね」
梨子「私にとって大切な人はルビィちゃんだけじゃない、ここにいるみんなが……私にとってかけがえのない大好きな人」
梨子「もうそんなところまで来てしまいましたから」フッ 花丸・鞠莉「……」
梨子「今日はそのことを伝えたかったんです、たとえフェスに支障が出ることになってしまっても」
梨子「花丸ちゃんには、悪いことしちゃったけどね」
花丸「ううん、いいよ」
花丸「マルもアオちゃんに会うことが出来たから」
ダイヤ「梨子さんっ……花丸さん……」 梨子「きっと私たちは急速に追い上げてきているルビィちゃんたちに、この一日の差で抜かされることになると思います」
梨子「だからせめて、一緒に見届けてもらえませんか」
梨子「同じ姉として」
スッ
ダイヤ「……はい……っ……」ギュッ
ダイヤ「喜んで……!」ポロポロ 花丸「ふふっ、それにマルたちが抜かれたとしても大丈夫だよ」
梨子「そうだね、だって」
梨子・花丸「私(マル)たちにはまだ曜(善子)ちゃんがいるから!!」
ダイヤ「……ええ」
鞠莉(あれから一年……ようやく元の鞘に……いや、これはそれ以上に強いものね)
鞠莉(でも解決に導いてくれたのが時間だけじゃないということは……私が一番よく知っている)
鞠莉(この子たちの陰で絶やすことなく行ってきた努力を、私は知っている……それがただ日の目を見ただけなんだ)
鞠莉(半年もの時間をかけて、やっと……)
鞠莉「……ああ、今日は本当に天気がいいわね」
鞠莉「夕日が眩しすぎて、外がぼやけて見えるもの」
─8月14日
沼津、ライブ会場
♪
曜・善子「一緒の夏は ここで過ごそうよ」
曜・善子「お休み気分で 寄せて返す波の声」
曜・善子「一緒に聴きたいな のんびりするのもいいでしょ?」
曜・善子「たまには息抜きしなくちゃ」
曜・善子「砂をサクサク 踏みながらお喋りしようよ」
曜・善子「ほらっ 地元自慢のサマーライフ」 曜・善子「ありがとうございました!!」
キャーーーーー!! ヨウチャーーン!!
ヨシコチャーーン!! キャーキャー!!
鞠莉「ワーオ、すごい歓声」
果南「あの二人は固定ファン多いからなあー」
聖良「それをここまで維持できるのも凄いですけどね」 曜「ふう、今日の分はこれで最後かー」
善子「残すは明日のみね」
果南「二人ともおつかれ」
曜「あっ果南ちゃん!」
果南「どうだった? ライブの感触は」
曜「いい感じ! ね、善子ちゃん!」
善子「そうね、それに得点だってほら」
曜「……おおー! 23000pt! 今大会の最高記録更新!!」
鞠莉「流石、トップの座を譲らないだけあるわね」 果南「そういえば去年の最高記録を出したスクールアイドルはSaint Snowだったよね、聖良は何点出したの?」
聖良「私たちは24100ptです」
曜「くぅー惜しい! 届かないかー!」
善子(去年と今年じゃ条件も色々違うのに、それでもまだ届かない、流石の貫禄ね)
曜「でもまだ明日のライブがあるし、まだチャンスはあるよね!」
鞠莉「あ、そのことなんだけど二人とも」
曜・善子「?」
鞠莉「最終日は東京の方に行くわよ」ピラッ
鞠莉「運営さんから特別会場へのご招待がかかっているわ」 果南「へえ、そんなのあるんだ」
聖良「はい、全部門のランキング10位までの上位勢は全員、最終日にその会場でライブを披露するんです」
聖良「そこでポイントの集計と最終結果の発表を行うんですよ」
善子「東京……ルビィ」
曜「ワクワクしてきたね、地元愛VS姉妹愛」
曜「決戦のときって感じ!」
果南「なにそれ?」
曜「今付けた! そういうのあったほうが盛り上がる気がするし!」
善子「いいんじゃない? 悪くないと思うわよ私は」フフッ
曜「だよね!」
聖良(……決戦のとき、ね)
聖良(明日、理亞はどんなライブを私に見せてくれるのかしら───)
その頃、東京
ルビィ・理亞「ありがとうございました!」
ワーーーーーー!!
「集計終わりました!」
「黒澤ルビィ・鹿角理亞組の得点はーーー!」
バンッ
「23000pt!!」
ルビィ・理亞「!」
ウオオオォォォォ!!!
「すっげーーーーー!!」
「じもあい組が出した最高記録に並んだーーーーーー!!!」
雪穂「でも、それだけじゃない……今ので2人の合計数は439800pt……つまり!」 「これは……なんとぉ!!?」
「「「トップ……3ーーーーーーーーー!!!」」」
雪穂「ツバサさん!」
ツバサ「ええ、ついにここまで来たわね」
「まさに急追! ダークホース!!」
「一体誰がこんな展開を予想したでしょうか!!」
「このまま決めてしまうのか大番狂わせ! それとも上位勢が意地の追い越しを見せるのか!!」
「果たして勝負の行方は!? 全ては最終日! 明日のライブに託された!!」
「衝撃の瞬間を! 見逃すなーーーーーーっっ!!!」
ウオオオオオーーーーーーー!!
雪穂「ゾクゾクしてきた……っ! いよいよ明日、全部が決まるんだ……!」
ツバサ「盛り上げ上手ね、あの進行役の人」ウズ
……その夜
サァーッ サァーッ
ルビィ「……」
ポン
ルビィ「! 理亞ちゃん」
理亞「いつまで外にいるの、風邪でも引いたらどうするつもり?」
ルビィ「えへへっごめん。ちょっとね、色々考えちゃって」
ルビィ「ここに来てからのこと」 理亞「……」
ルビィ「明日で最後だから、お姉ちゃんたちもみんな来るって言ってたし」
理亞「……そうね」
理亞「緊張してるの?」
ルビィ「ううん」
理亞「あっそ」
「…………」
ルビィ「本当に、色々あったねぇ」
ルビィ「最初は理亞ちゃんとも喧嘩ばっかりで」
理亞「息は全然合わないし」
ルビィ「考えもバラバラで」
理亞「何一つ上手くいかなくて」
ルビィ「それでも何とかここまでやって来て」
理亞「明日で私たちの全てが決まる」
ルビィ「それが終わればこのコンビも解散」
理亞「清々するわね」
ルビィ「私も」
ルビィ・理亞「……」クス
理亞「明日、勝つわよ」スッ
ルビィ「うん」コツン
そして……
─8月15日
ラブライブ!サマーフェスティバル2020 〜最終日〜
ワイワイガヤガヤ! ザワザワザワッ!!
千歌「うわー! おっきいねー!!」
千歌「こんなところでやるんだー!」
果南「ていうか、今日は上位勢しかライブやらないんだね」
鞠莉「開始2週間が全員参加で、残りの1日は盛り上げたスクールアイドル達へのご褒美って感じかしらね?」
鞠莉「ボーナスステージ、いやエクストラステージみたいな」
聖良「はい、そんなところです」
果南「はあ、成程」 千歌「確かデュオ部門って最後だったよね?」
聖良「はい、いつもは一番初めに行うんですけど」
聖良「今年は観客の期待もあるのでトリに回されたみたいですね」
千歌「へえー!!」
果南「相当話題になってたもんね」 「ねえねえ! デュオ部門誰が優勝すると思う!?」
「私あきるちゃんと姫乃ちゃん組!」
「いやーやっぱりじもあい組っしょ!!」
「私はルビィちゃんと理亞ちゃん!」
「私もりあルビ派!! 今勢い凄いもん!!」
「分かる! ここまで来たら優勝決めてほしいよなー!!」
千歌「おー……注目されてるねールビィちゃん」 ダイヤ「優勝争いの場に影も形もなかった人物が突然現れたようなものですからね」
果南「あれだね、賭け事でいうところの大穴枠」
ダイヤ「確かにエンターテインメント性ならこれに勝るものはないでしょう、その証拠に」
ダイヤ「デュオ部門のライブ発表、その最後の一組はルビィと理亞さんになっていますし」
千歌「え!? 本当だ! っていうことはトリの中のトリ!?」
果南「トリトリだね」
鞠莉「何言ってるの果南」
ザワザワザワッ!!
果南「……? なんだろ」
聖良「───!!?」
千歌「あーーーーー!! あれってまさか!!」 「本日はよろしくお願いします」
ツバサ「はい、こちらこそ」
穂乃果「よろしくお願いしまーす!!」
「ツバサさんと穂乃果ちゃん! 本物だーっ!!」
ドタドタドタドタ!
警備員「はい押さない! 押さないでください!」
穂乃果「みんなー! こんにちはー!!」ブンブン
キャーーーーー!!
穂乃果「今日のライブ! 楽しんでいってねー!」
雪穂「ちょっとお姉ちゃん! 余計に目立つようなことしちゃ駄目でしょ!!」タッ
穂乃果「あれ? 雪穂こっち来てたんだ」 雪穂「まあ挨拶にね、ツバサさんおはようございます。無事お姉ちゃんを間に合わせました」
ツバサ「おはよう雪穂ちゃん、朝早くからご苦労様」
雪穂「いえいえ」
穂乃果「な、何それ! そんな言い方ある!? ツバサさんも!」
ツバサ「フフッ、ごめんなさい」
雪穂「他にどんな言い方があるのさ」
穂乃果「もっとこう、うちの姉をよろしくお願いしますとか!!」
雪穂「自分から不甲斐なさをアピールしてどうするの」
穂乃果「あ」
雪穂「はあ……まあいいや、とりあえず用はそれだけだから私もう行くね」 穂乃果「一緒に来ないの?」
雪穂「私は一般席! 昨日言ったじゃん!」
穂乃果「あーそうだったね!」
雪穂「しっかりしてよね本当に!」
雪穂「じゃあツバサさん、うちの姉をよろしくお願いします」
ツバサ「クスッ……任せて」
スタスタ
穂乃果「ちょっ……本当に言うことないじゃん!! 雪穂のばかーーー!!」
ツバサ「あははっ、さあ穂乃果さん私たちも行きましょう」 千歌「な、生穂乃果さん……」
果南「いやーまさか、ここで拝めることになるとは……」
ダイヤ「ツバサさんもとても綺麗な方ですわね、あれで素ですか」
鞠莉「全くこうして見ると本当に指導してもらったルビィたちが羨ましくなるわね〜、ねえ聖良」
聖良「…………」
千歌「聖良さん? おーーい」
果南「生で見るの初めてだったんだろうね、石みたいに固まってる」
─
善子「なんか外騒がしいわね」
曜「今千歌ちゃんから連絡あったけど、穂乃果さんたちが来てたんだって」
善子「あー成程ね……っていうか、もうそんな時間なの」
曜「開始まであと30分、まあデュオ部門は最後だから私たちの出番はまだまだ先だけどね」
曜「だからそれまでは一時休戦って感じでお喋りしたかったんだけどなー」
ルビィ・理亞「……」
曜「油断したら噛みつかれそうだ」
善子「静けさの中の闘志、ね」 「ルビィちゃん」
ルビィ「!」
花丸「久しぶりだね」
ルビィ「花丸ちゃん、梨子さんも。どうしたの?」
梨子「ちょっと応援にね」
花丸「今の時点で優勝できる可能性があるのは多分5位の組まで、マルたちはもう間に合わないと思うから」
花丸「あっ勿論ライブはちゃんとやるよ! 敵になるのはやめようってだけで!」
ルビィ「そっか」 梨子「さっき曜ちゃんと善子ちゃんのところにも行ってきたんだ、頑張ってねって」
梨子「だから今度はこっちに来たの、私たちはどっちも応援したいから」
花丸「ルビィちゃん、頑張ってね!」
ルビィ「うん、ありがとう!」
理亞「……」
「理亞ちゃん」
理亞「! こっちも会うのは久しぶりかもね」
茶髪「そうだね」
理亞「あなたたちも応援?」
黒髪「だって理亞ちゃん前から言ってたでしょ? フェスライブでトップを取るって」 黒髪「まさかその相手がルビィちゃんだとは思わなかったけど」
茶髪「ねー」
理亞「私も」フッ
黒髪・茶髪「…………」クスッ
理亞「なに?」
黒髪「ううん、心配するだけ無駄だなって」
茶髪「優勝、期待してるね」
理亞「……ありがと」
理亞「私も二人に期待してるから、今日のライブで今よりも高い順位にいくこと」
黒髪・茶髪「!!」
理亞「このまま9位止まりは許さない」
黒髪「……了解!」
茶髪「任されました!」 ワーーーーーー!!
善子「……始まったわね」
曜「うん」
ルビィ「…………理亞ちゃん」
理亞「そわそわしないで、他のグループのライブ見てればいいでしょ」
ルビィ「だからだよ、だって……みんな凄いんだもん」
理亞「…………はあ、馬鹿みたい」
ルビィ「……」ジッ
理亞「本当、スクールアイドル馬鹿」 そして……
「さあ! 休憩も終わり、いよいよラスト!!」
「デュオ部門の開幕だー!!」
穂乃果「おぉー! ついに来たねー!」
穂乃果「グループもトリオも両方すっごく良かったけど、これはどうなるかな!!?」
ツバサ「グループでの多人数だからこそ映えるステージ目一杯に広がる賑やかさも」
ツバサ「トリオのまさに三者三葉、それぞれの組み合わせによってはっきりと違う形が現れるパフォーマンスの面白さも」
ツバサ「どちらも素晴らしく、魅力的なものだったものね」
穂乃果「うんうん!」
ツバサ「でも、たった二人……個性と個性がぶつかり合い、混ざりあって」
ツバサ「そこに余分なものが入る余地もない、二人で一つのデュオっていうのは───」
ツバサ「想像以上に見ていて気持ちがいいわよ」フフッ 千歌「おっ! 最初は梨子ちゃんと花丸ちゃんかー!」
果南「花丸ちゃーん! 頑張ってー!」
ダイヤ「梨子さん! 応援していますわよー!」
果南「! ……なんだ、吹っ切れてたんなら言ってよ」
鞠莉「まあまあいいじゃない!」
果南「全く……梨子ちゃんリラックス−!」 「続きまして、津島善子・渡辺曜組!」
キャーーーーー!!
千歌「おーー!! やっと曜ちゃんたちの出番だ! よーーうちゃーーん!!」
果南「そういえば千歌は曜たちのライブ見るの初めてだったっけ」
聖良「練習に明け暮れる毎日でしたからね」
果南「そうだね、おかげで最後までフェスには参加出来なかった……でも」
千歌「いいぞー! 善子ちゃーん!!」
果南「身を潜めているのも今のうちだけさ」ニヤ
鞠莉「わっるい顔するわねー果南も」
───♪ ……♪
「「ありがとうございました!」」
パチパチパチパチ!!!
雪穂「……」パチパチパチ
雪穂「……今ので9組目のライブ終了、あとは」
雪穂「あの二人だけ」
ルビィ・理亞「」
雪穂「……頑張れ」 「さあ! これで残すはあと一組!」
「黒澤ルビィ・鹿角理亞組だーーー!!」
キターーー!! マッテマシタ!
「そして! 現在の順位はこちら!!」
1 善子・曜 488900pt
2 あきる・姫乃 467400pt
3 さゆり・瑞希 452200pt
4 るう・蘭花 448600pt
5 ルビィ・理亞 439800pt
穂乃果「うわーここ点数高いねー! 他の部門と5万くらい離れてるよ!」
ツバサ「ええ、そこも確かに凄いけどこれは……」 鞠莉「現在1位の善子たちとの差が49100pt……つまり」
果南「優勝するには49200pt取らなくちゃいけないわけで、1組がステージでライブを披露できるのは2曲までだから」
千歌「えーっと……それって」
ダイヤ「去年Saint Snowの二人が出した、現時点での大会最高記録24100pt……その記録を塗り替えなければいけない」
鞠莉「しかも2曲どちらも……ハードル高いなんてものじゃないわよこれ」
聖良「……理亞」
「では登場していただきましょう! まずは1曲目!」
「黒澤ルビィと鹿角理亞で……SELF CONTROL!!」
聖良「───!?」
千歌「……うそ」
♪
ルビィ「最高だと言われたいよ 真剣だよ」
ルビィ・理亞≪We gotta go!≫
黒髪「嘘でしょ……あの理亞ちゃんが」
ルビィ・理亞≪敵は誰? 敵は弱い自分の影さ≫
茶髪「ルビィちゃんと一緒に! それを歌うの!?」
ルビィ・理亞≪いま立ってる場所≫
ルビィ・理亞≪SELF CONTROL!!≫ ルビィ「最高!」
理亞「One more chance time!」
ルビィ「言われたいみんなにね」
理亞「最高だと言われたいよ」
理亞「Dance now! Dance now!」
ルビィ「最高!」
理亞「One more chance time!」
ルビィ「言わせるって決めたんだよ」
理亞「真剣だよ遊びじゃない」
理亞「Dance now! Dance now!」 ルビィ「遠くの光へもっとBaby!」
理亞「一緒に跳びたいもっとBaby!」
ルビィ「ふるえる指先知ってても」
ルビィ・理亞≪見 な い で≫
ルビィ・理亞≪大切なのは SELF CONTROL!!≫ 「…………な、おぁ……」
ウオオオォォォォ!!!
果南「……すご」
聖良(……全部が全部同じというわけじゃない、細かいところだけどルビィさんがやりやすいようにアレンジしている)
聖良(それでも、ここまで合わせられるっていうの?)
千歌「いける……これ、もしかしたらいけるかもしれないよ!!」
千歌「次! 次は!?」 「えー、ただいま着替え中ですので少々お待ちください」
ルビィ「……ふぅ、上手くいったね」
理亞「当然でしょ」
ルビィ「えへへっそうだね」
ルビィ「……次が本当に最後の最後かぁ」
理亞「そうね、私たちコンビの……ラスト1曲」
理亞「だから……その前に一つだけあなたに言っておくことがある」
理亞「ルビィ」
ルビィ「なに?」
理亞「─────」
ルビィ「! うん……もちろんだよ!!」ニコ 「さあ! 準備も終わったようなので2曲目いきましょう!!」
「最後の曲は……真夏は誰のモノ? です!!」
ダイヤ「───!!」
鞠莉「えっ……?」
「よろしくお願いします!!」
♪
ルビィ・理亞≪赤い太陽のドレスで踊る≫
ルビィ・理亞≪私のことを見つめているの?≫
理亞「目をそらしたい」
ルビィ「でもそらせない」
ルビィ・理亞≪Ah 情熱で灼かれたい≫
穂乃果・ツバサ「!」
ルビィ「赤い」
ルビィ・理亞≪太陽のドレスで踊る≫
ルビィ・理亞≪私のこと見つめる瞳≫
ルビィ・理亞≪目をそらしたい でもそらせない≫
ルビィ・理亞≪真夏は誰のモノ?≫ ルビィ・理亞≪私とあなたのモノにしたい≫
ルビィ・理亞≪だってね こころが止まれない季節に≫
ルビィ・理亞≪初めて胸のトビラが開いてしまいそうよ≫
ルビィ・理亞≪You knock knock my heart!!≫ 「…………」
ルビィ・理亞「……」スゥーッ
ルビィ・理亞「ありがとうございました!!」
ワアアアアアァァァ!!!
梨子「あれって……ダイヤさんとの」
曜「……綺麗」
善子(ルビィもダイヤとの曲を……)
善子「ああ、そっか……そういうことだったんだ」
花丸「うん、凄いね。理亞ちゃんもルビィちゃんも……」 「ただいま集計しております! もうしばらくお待ちください!!」
穂乃果「……ツバサさん」
ツバサ「穂乃果さんも気付いた?」
穂乃果「うん」
穂乃果「あの二人……笑ってた」
穂乃果「ここにいる誰よりも、楽しそうだった」 ツバサ「……11日から今日までの5日間に渡って、怒涛の勢いで上り詰めてきた話題沸騰のダークホース」
ツバサ「でもそのせいか、私を含め全員が彼女たち中心で物事を考えてしまっていた……本当に優勝するのか、そうでないのか」
ツバサ「それが一番盛り上がるし、もうすでに無視できない存在になっていたから」
ツバサ「けど……このフェスは本来そういう意味で開かれたものじゃない」
ツバサ「このイベントで大切なのは、勝ち負けよりも」
穂乃果「誰かを楽しませること、そして……自分たちが楽しむこと」 ツバサ「誰よりも優勝に拘っていた……そう見えたはずだったのに」
ツバサ「最後の最後で、見事に予想を裏切られたわ」
ツバサ「全く、あの二人は本当に……」
ルビィ「理亞ちゃん理亞ちゃん!」バッ
理亞「……仕方ないからやってあげる」スッ
その前に一つだけあなたに言っておくことがある
ルビィ
楽しんでいこう
ルビィ・理亞「」パァンッ!!
ツバサ「本当に……優秀な生徒ね!!」 「集計終わりました! 発表いたします!!」
「黒澤ルビィ・鹿角理亞組の得点は───!!」
雪穂「…………」
雪穂ちゃん、私は彼女たち二人だけの特別講師じゃないの
そう、ですね……確かに少し特別視していたかもしれません
雪穂(……そう、分かってる。私は合宿の生徒を指導する側で、それは二人だけじゃないんだって)
雪穂(分かってる……けど)
だから! 手を大きく出し過ぎなの!! みっともない!
そっちこそ前に出すぎだよ! 今は横に並んで踊るところでしょ!
あなたの入りが遅いんでしょ!
理亞さんが早いんだよ! ペース無視してやるから!
雪穂(……いけ)
そのときまでに私が何とかしないと! そうしないとっ……!
今まで姉様と積み上げてきたものが! 全部崩れるじゃない!!
今が一番大事な時期なんだ!! 私がっ!!
私がやらなくちゃ! 一体誰がやればいいのよ!!
雪穂(いけ……っ)
あの!! 雪穂さん!!
雪穂さんにとってお姉ちゃんって、どんな存在ですか!?
お姉ちゃんたちに私は、私たちは大丈夫なんだって! ちゃんと成長したんだってところを見てほしい!
私たちの自慢の妹なんだって周りに堂々と言えるくらいの晴れ姿を!
どんなにどうしようもなくても!みっともなくても!!
それが全部出来るのは私たちしかいないから!!
私、黒澤ルビィとそのパートナー、鹿角理亞は
今年のラブライブ!サマーフェスティバル2020デュオ部門で───
優勝します
雪穂(いけ……!!)
ガタッ!
雪穂「いけーーーーっ!! もう決めちゃえーーーーーーっ!!!」 「得点は!!」
「1曲目 28900pt!!」
「2曲目 31500pt!!」
「合計60400ptが加算されます!」
「この結果! 黒澤ルビィ・鹿角理亞組の最終ポイントは!」
「500200pt!!」
ダイヤ・聖良「!」
「よって!! ラブライブ!サマーフェスティバル2020デュオ部門優勝は!!」
「黒澤ルビィ・鹿角理亞に決定ーーーーーー!!!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています