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せつ菜「スカーレットの衝動」
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0001名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/26(土) 23:31:40.28ID:bKefl0id
私、優木せつ菜は、吸血鬼である。

吸血鬼と言っても、ちょっと力が強いのと、傷の治りが速いくらいで、これといって特殊な能力はない。

身体を蝙蝠に変化させたり、空を飛んだり、魔法でも使えたりすれば、アニメやラノベのキャラみたいでかっこいいのだけれど。

自分が吸血鬼ってわかったのは、ちょうど三か月前くらい。同好会の練習中、外でランニングをしている時のことだった。

歩夢「いったた……」

かすみ「わっ! 歩夢先輩!? 大丈夫ですか!?」

歩夢「転んじゃったみたい……」

愛「うわー、結構すりむいちゃってるね。誰か絆創膏持ってない?」

彼方「彼方ちゃん持ってるよ〜」

愛「カナちゃんナイス! じゃあどっかで洗おっか」
0060名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:18:37.30ID:Y0GTt8+0
歩夢「あ、菜々ちゃん」

 ドクンと心臓が鳴って、私の中の怪物が騒ぎ始める。彼女の血を吸えと捲し立てる。

 歩夢さん、どうしてここに……!

 いや、クラスが違うとはいえ、歩夢さんは私と同じ普通科の生徒。同好会以外で、今まで顔を合わせることなんて、何度もあったはずだ。

 しかし、今はまずい。

歩夢「今から同好会行くんだけど、一緒に行かない?」

菜々「……生徒会の、用事がある、ので」

 とっさに目をそらし、嘘をつく。お願いだから、気付かないでいて。
0061名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:22:45.47ID:Y0GTt8+0
歩夢「そっか」

菜々「……では」

歩夢「待って」

菜々「……何ですか?」

歩夢「菜々ちゃん、もしかして」

 やめて、それ以上は。

歩夢「体調悪い? まさか、もう吸いたかったりする?」

 私の顔を覗き込んでくる。また、あの匂いが。

菜々「い、いえ、だいじょうぶ、でs——」

歩夢「菜々ちゃん!?」
0063名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:27:14.35ID:Y0GTt8+0
——

 目を覚ますと、心配そうな、でも少し怒ったような顔をした歩夢さんがそばにいた。保健室のベッド。一週間前と同じことになってしまった。

歩夢「あ、起きた? 大丈夫?」

菜々「……大丈夫、じゃなさそうです」

 眼鏡をかけながらそう答える。はっきりとした視界で見ても、歩夢さんの心までは読み取れない。

歩夢「そうだよね。よだれ、垂れてるもん」

菜々「えっ!?」

歩夢「嘘。出てないよ」

歩夢「やっぱり、お腹空いてるんだね」

菜々「う、噓ついたんですか!?」

歩夢「そうだね。ついたのは、菜々ちゃんもだけど」

菜々「あ……」
0064名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:32:07.64ID:Y0GTt8+0
歩夢「一か月は大丈夫って言ったよね」

菜々「……それは本当です。今までは確かにそうでした」

菜々「たぶん、血の味を覚えてしまったから、吸いたくなるペースが速くなったのでしょう」

歩夢「ふーん。そうなんだ」

 普段とは明らかに違う声色。疑われているのは間違いないだろう。

歩夢「じゃあ、生徒会の用事があるって言ったのは?」

菜々「……それは」

歩夢「嘘だよね。侑ちゃんに聞いたよ。今日は休むつもりだったんだよね?」

菜々「……はい」
0065名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:36:27.14ID:Y0GTt8+0
歩夢「…………私じゃ、頼りない?」

菜々「そんなことありません!」

歩夢「じゃあどうして侑ちゃんにだけ伝えたの?」

歩夢「やっぱり、私なんか……」

菜々「……これ以上、歩夢さんを傷つけたくないからです」

歩夢「菜々ちゃん、電話のときも言ってたけど、傷つけたくないって、何?」

菜々「その、血を吸うのが、負担になると思って」

歩夢「いつ私がそんなこと言ったの?」

歩夢「私は菜々ちゃんなら、血を吸われてもいいんだよ」

歩夢「欲しいなら、今だって……」

 そう告げると歩夢さんは、おもむろに制服を脱ぎ始めた。
0066名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:41:31.05ID:Y0GTt8+0
歩夢「ねえ、吸ってよ」

歩夢「美味しかったんでしょ。私の血」

歩夢「満足するまで、吸ってよ」

 詰め寄ってくる歩夢さん。ベッドの上には、逃げ場なんてもうなくて。

歩夢「菜々ちゃん」

 優しく包み込まれた。体温も、鼓動も、吐息も伝わる距離。私の力であれば、簡単に振りほどけるはずなのに、微塵も抵抗できない。

 歩夢さんの血が、歩夢さんが、欲しくてたまらない。
0068名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:46:17.49ID:Y0GTt8+0
菜々「…………本当に、いいんですか?」

 噛みついてしまう前に、もはや理性とも呼べないようなもので私の怪物を抑え込み、そう聞く。

 ダメって言ってほしい。私を否定して、拒絶してほしい。そうしてくれれば、引き返せそうな気がしたから。

 けれども、歩夢さんは——

歩夢「そう言ってるじゃない」

 私を倒すのは、聖水でも、太陽の光でも、銀の弾丸でもなかった。



 歩夢さんの笑顔。それだけで充分だった。
0069名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:51:15.99ID:Y0GTt8+0
菜々「歩夢さん……! ごめんなさい……!」

 髪の毛をかきあげて、剝き出しになった首筋に噛みつく。すると、糖分をたっぷり蓄えた桃のような香りが私を包んだ。その香りに誘われるままに、皮膚を貫き、吸血を始める。

菜々「……んく、……ごくっ……ごくっ」

歩夢「……はぁっ! ……んっ! ……あっ!」

 以前吸った時より、歩夢さんの声が激しくなっているような気がする。けれども、歩夢さんを気遣っている余裕なんてなかった。

 どうして……どうしてこんなに美味しいの。

 その味は、重くのしかかる罪悪感も、その裏にひっそりと隠れている背徳感も、全て吹き飛ばしてしまうほどで。
0070名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/27(日) 23:55:41.37ID:Y0GTt8+0
歩夢「ななちゃんっ……! ななちゃんっ……!」

 私を掴む手に力が入ってくる。求められているみたいで、私の情欲がますます燃え上がる。

歩夢「……やぁっ! あんっ! ……ああっ!」

 歩夢さん。歩夢さん。この時だけは、私の、私だけの物。

歩夢「…………な、なちゃ」

 名前を呼ぼうとしたであろう、消え入るようなか細い声を聞くまで、私は歩夢さんを摂取し続けた。
0071名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:00:47.25ID:BJWWjHeE
——

菜々「大丈夫ですか? 歩夢さん」

歩夢「……う、うん」

 明らかにぐったりしている。吸い過ぎてしまったのかもしれない。

菜々「……大丈夫そうじゃないですね」

菜々「やっぱり、人間から血を吸うのはやめることにします」

菜々「歩夢さんも、私が吸いたい時には近づかないでください」

歩夢「だ、だめ」

菜々「ダメも何もないでしょう。歩夢さん、ふらふらじゃないですか」

歩夢「菜々ちゃんは、私の血しか……吸っちゃだめ、なの」

 縋りつくように、私に抱き着いてくる。

歩夢「私なら、大丈夫だから」

歩夢「心配なら、ご飯もいっぱい食べて、たくさん血を作るから」

歩夢「私の血だけ、吸って」
0073名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:05:52.74ID:BJWWjHeE
菜々「……どうして」

菜々「どうしてそんなにしてくれるんですか?」

 私がそうこぼすと、歩夢さんと目が合った。綺麗な瞳。普段は曇ることのないそれに、今は迷いの色も混じっているような気がして。

 その瞳の奥の感情も全部知りたい。見つめていれば、少しは分かるのかな。

 炎のような熱い色がかすかに見えた時、歩夢さんが口を開いた。
0075名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:10:12.73ID:BJWWjHeE
歩夢「…………菜々ちゃんが、好きだから」
 
歩夢「菜々ちゃんのためなら、なんでもしたいの」
0076名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2022/03/28(月) 00:10:32.90ID:qw2T6Nra
更新きてたありがたい
0077名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2022/03/28(月) 00:12:30.59ID:mN3YW9aZ
支援
0078名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:14:33.09ID:BJWWjHeE
菜々「……っ!」

歩夢「な、ななちゃ——」

菜々「私も好きです! 大好きです!」

 恋しくて、愛しくて、大好きすぎて、抱きしめずにはいられなかった。

歩夢「……私も大好き!」
0079名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:18:43.05ID:BJWWjHeE
——

歩夢「菜々ちゃん。そろそろいい?」

菜々「あ、はい! すみません」

歩夢「ほら、ここ保健室だし、そろそろ出なきゃ」

菜々「そうですね」

歩夢「人が来なくてよかったよ」

菜々「この後はどうしますか? 歩夢さんは……」

歩夢「今日は練習できないかな」

菜々「ですよね……すみません」

歩夢「いちいち謝らないで。私が吸っていいって言ったんだから」

菜々「でも……」

歩夢「そうだなあ……じゃあ、家まで送ってくれる?」

歩夢「私、倒れちゃうかもしれないから」

菜々「分かりました。お供します」

歩夢「ふふっ、お願いね♪」
0080名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:23:12.76ID:BJWWjHeE
——

菜々「それでは、行きましょうか」

歩夢「ねえ」

菜々「なんですか?」

歩夢「……手、繋いで?」

歩夢「……ほら、倒れちゃったときのために」

 嘘だ。歩夢さんは繋ぎたいだけなのだろう。欲張りなのに、ちょっぴり恥ずかしがり屋さん。そんなところがとってもいじらしい。

菜々「あはは、そこまで気が回りませんでした。そうしましょう」

 でも、恥ずかしがりなのは、たぶん、歩夢さんだけじゃなくて。

菜々「……」

歩夢「……」

 ……私たち、付き合う前は、どういう風に話していたんだっけ。

 分からないけれど、気まずさは感じなかった。

 ほころんでいる口元や、温度を伝えてくれる手が、言葉にせずとも、これでいいんだよって肯定してくれているから。
0082名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:27:27.46ID:BJWWjHeE
温かい沈黙を二人で共有しながら歩いていく。

しばらく歩いて、歩夢さんの家がだいぶ近くなった時、ふとあることを思い出した。

菜々「歩夢さん。私の眷属になってくれませんか」

歩夢「……けんぞくって、何?」

菜々「吸血鬼が血を分けた人間のことです」

菜々「眷属を作れば、他の人の血は吸えなくなりますが、その眷属一人の少しの血だけで生きていけるそうです」

 吸血鬼についてお母さんから話してもらった時、眷属についても聞いていた。
 先祖の中には、大切な人を眷属にして、その人だけから血をもらうって人もいたらしい。

歩夢「じゃあ、私、せつ菜ちゃんの眷属になるよ」

菜々「……提案した私が言うのもなんですが、眷属になったらずっと私に血をあげないといけないんですよ」

菜々「だから、一度しっかり考えてから決めてほしいんです」

歩夢「うーん……」

歩夢「それって、ずっと一緒に居られるってことでしょ?」

歩夢「それなら大丈夫だよ。私、菜々ちゃんのこと大好きだから」

菜々「…………歩夢さんにはかないませんね」
0083名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:33:00.60ID:BJWWjHeE
——

 私の両親が出かける予定の日と、同好会の練習のない日が重なった日。

 二人で決めたその日に、歩夢さんが私の家に来た。

 私の大切な人で、大好きな人。

 今日、私は彼女を眷属にする。

歩夢「よろしくね、せつ菜ちゃん」

 眷属化といっても私の血を飲むだけでいいから、大仰な準備なんかは必要ない。もし両親がかえってきた時のために、儀式は自分の部屋で行うことにした。

せつ菜「はい。では、さっそく始めますね」

 ナイフで左手の掌を切り付ける。鋭い痛みと引き換えに、自分の血がコップに溜まっていった。

歩夢「痛くないの……?」

せつ菜「痛いですけど、すぐ治りますから大丈夫ですよ」

せつ菜「それを言うなら、吸血はどうなんですか?」

歩夢「噛まれるときは痛いけど、吸われてるときは痛くないかな」

せつ菜「そうなんですか……」
0084名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:40:41.80ID:BJWWjHeE
せつ菜「……やっぱり、嫌だったらやめてもいいんですよ」

歩夢「もう! まだそんなこと言うの?」

歩夢「私のことが好きなら、私の言うこと、信じてよ」

歩夢「それに、せつ菜ちゃんも言ってくれたでしょ」

歩夢「始まったのなら……!」

 まっすぐに突き出された右手。自信たっぷりな笑顔。

ああ。本当に、歩夢さんにはかなわない。

せつ菜「貫くのみ、ですね」

歩夢「うん!」
0085名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:46:47.12ID:BJWWjHeE
 歩夢さんにコップを手渡す。まじまじと見つめてから、私の顔を見て一言。

歩夢「いただきます」

 ごくり、ごくりと、一息に飲んでいく。

歩夢「ぷはっ……」

歩夢「ごちそうさまでした」

歩夢「私、せつ菜ちゃんの眷属になったんだね」

せつ菜「はい。気分はどうですか? 血を飲んだので、具合が悪くなったりするかもしれません」

歩夢「うーん。むしろ、ぽかぽかしていい気分かも」

 そう言うと、歩夢さんは牙を見せて笑ってみせた。



 …………え、牙?
0087名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:52:06.43ID:BJWWjHeE
歩夢「初めて飲んだけど、血ってとっても美味しいんだね」

歩夢「せつ菜ちゃん。もっともらっていい?」

せつ菜「え、あ、歩夢さ——」

 やんわり押し倒された。今の歩夢さんはどこかおかしい。

歩夢「ねえ、せつ菜ちゃん」

歩夢「ちょうだい?」

 服に手をかけ、強引に脱がせようとしてくる。私の力でも振りほどけないほどの膂力に驚きを禁じ得ない。

せつ菜「分かりました! あげます、あげますから、落ち着いてください!」

歩夢「はあい」

 会話はできるようで、ひとまず安心。おそらく、眷属化した歩夢さんは、吸血鬼になってしまったのだろう。それなら、血をあげれば大丈夫かな。
0088名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 00:56:37.08ID:BJWWjHeE
 手早く上の服を脱いで、下着だけの状態になる。美味しそうに見えるように、素肌を見せつけ、そこから吸うように促す。

せつ菜「……どうぞ」

歩夢「うふふ。じゃあ、いただきます」

 長い髪を優しくよけてから、私の首元に噛みついてきた。

せつ菜「いっっ……!」

 声を上げてしまいそうなほどに痛い。歩夢さん、毎回これに耐えていたんだ。

 ぐっと深いところまで刺さった後、ゆっくりと牙が抜かれた。これから吸血されるのだろう。

 歩夢さんが言うには、痛いのはここまでらしいけど……
0089名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 01:07:08.02ID:BJWWjHeE
歩夢「ちゅっ……ちゅうう……」

せつ菜「ひぅ!?」

 身構えていた身体を襲ったのは、引き裂くような痛みではなく、痺れるような快楽だった。

歩夢「こくっ…………こくっ…………」

せつ菜「……っあ! ……はっ!」

 味を確かめるかのように、ちびちびと飲み始める。歩夢さんが私を吸う度に、桃色の刺激が責め立ててくる。

歩夢「ぢゅうう……ごくっ……ごくっ」

せつ菜「あっ♡ あんっ♡ ああっ♡」

 気に入られたのか、吸う勢いが強くなった。押し寄せる快楽の波に溺れる。
0090名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 01:13:34.45ID:BJWWjHeE
歩夢「んん……ちゅうう……」

 跳ねる身体を捕まえられる。快感の逃げ場がなくなり、声が抑えられない。

せつ菜「んあっ♡ や、やっ♡」

歩夢「ごきゅっ……ごきゅっ……」

せつ菜「ああっ♡ だ、だめっ♡」

 搾り取られる。優木せつ菜を。歩夢さんの物にされてしまう。中川菜々も。

歩夢「せつ菜ちゃん、気持ちいい?」

せつ菜「あ……あゆむ、さん……」

歩夢「ふふっ。吸血って、気持ちいいでしょ?」

歩夢「これからは私も、せつ菜ちゃんを気持ちよくさせてあげられるね♡」

せつ菜「……は、はい♡」
0091名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 01:20:06.80ID:BJWWjHeE
歩夢「……あ、垂れちゃいそう。もったいない」

歩夢「ちゅっ」

せつ菜「ひゃうっ!?」

歩夢「んふふ〜」

 口づけされて、舐められて、溶けてしまいそうで。

歩夢「ちゅ……れろ……んむ……」

せつ菜「あっ♡ ああっ♡」

 めちゃくちゃになってしまった思考回路は、一つのことしか考えられなくなっていた。

もう一度、あの強烈な快感が欲しい。あれでトドメを刺して欲しい。

 どうすればいいのか、なんて考える前に身体が動いていた。

 魅了の魔法は使えないけれど、今の歩夢さんを魅了することならできる。
0092名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 01:25:20.82ID:BJWWjHeE
せつ菜「……あゆむさん」

せつ菜「わたしのち、すってください♡♡♡」

歩夢「もちろん♡」

 そう言うと、歩夢さんは、深く、長く、しっとりと私の口にキスをして…………

歩夢「せつ菜ちゃん。大好きだよ♡♡♡」

最後に見たのは、淫靡に、妖艶に、可憐に笑う歩夢さんだった。
0094名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 02:08:08.55ID:BJWWjHeE
——

 あの後、いろいろ確認したら、やっぱり、歩夢さんは眷属になったと同時に、吸血鬼になってしまったらしい。

 眷属が吸血鬼になったって事例は、お母さんに聞いても分からなかったけど、歩夢さんの体調も、衝動の高まる頻度も全く問題ないので、心配はないだろう。

 眷属にした歩夢さんの方が、もともと吸血鬼だった私より力が強いのは……なんだか複雑だけど。

 あれから、私たちは、人に見つからないところで吸い合うようになった。

 食事のため以上に、快楽のために血液を交換し合う。なんてちょっとおかしいと思うけれど、これが私たちの愛の形だと思うと、結構悪くないかも。
0095名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2022/03/28(月) 02:08:21.23ID:mN3YW9aZ
支援
0096名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/03/28(月) 02:15:30.21ID:BJWWjHeE
歩夢「菜々ちゃん? 今、いい?」

菜々「ええ!? ここ生徒会室ですよ!?」

歩夢「お腹空いちゃったんだもん」

菜々「嘘つかないでください。昨日もあげたじゃないですか」

歩夢「えへへ、ばれちゃった」

菜々「バレバレです」

菜々「そもそも、お互いに眷属なんですから、こんなにする必要ないんですよ?」

歩夢「でも好きでしょ? 吸うのも、吸われるのも」

菜々「……まあ、そうですけど」
0097名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2022/03/28(月) 02:16:52.38ID:qw2T6Nra
すこ
0098名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/03/28(月) 02:24:09.52ID:BJWWjHeE
歩夢「あ〜、菜々ちゃんの血が欲しいな〜」

歩夢「……だめ?」

菜々「…………」

菜々「……ちょっとだけなら」

歩夢「やったあ! 菜々ちゃん大好き!」

菜々「すぐ終わらせてくださいね。誰かに見られたらまずいので」

歩夢「菜々ちゃんも声抑えてね。昨日ぐらいだと丸聞こえだから」

菜々「も、もう!」

歩夢「うふふ♡」

 こういう時、私たちは、世界で一番幸せな二人だなって思う。だって…………

 信頼で、愛情で、恋慕で、そして、緋色の衝動で——繋がっているから。

    おわり
0099名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/03/28(月) 02:31:08.34ID:BJWWjHeE
お読みいただきありがとうございました。クリアファイルマガジンの歩夢ちゃんのコメントを見て、歩夢ちゃん眷属概念が見たくなったので書きました。

アニメ二期が楽しみですね。

過去作です。

せつ菜「私、最近変わったと思いませんか?」歩夢「え?」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1645530166/l50

せつ菜「歩夢さんへの誕生日プレゼントは私です!」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1646060937/

歩夢「せつ菜ちゃんってさ、ショートケーキみたいだよね」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1647096793/
0100名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/28(月) 02:34:33.29ID:FkHbpn7r
おつおつ!
お互いに快楽の為に血を吸い合うのが溜まりませんね
ありがとうございました!! またせつぽむ書いて
0102名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/28(月) 02:58:26.52ID:67dB3/rI
お互いに吸い合うのは平和でいいね
0103名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2022/03/28(月) 05:10:03.25ID:Nk8ISNgm
良かった
吸血鬼モノといえば微エロだよね
0106名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2022/03/28(月) 15:03:44.86ID:4P/Fk2vu
これもうほとんどエッチしてるな
0107名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2022/03/28(月) 20:36:10.75ID:0BtTn8co
頻繁に2人でいなくなっててみんなの噂になってそう
0110名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2022/03/29(火) 19:15:55.59ID:bSr5KaH4
幸せが一つ生まれた
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