ルビィ「片割れのジュエル」 1年生編【再】
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※初めに
このssはこちらの話を一部修正したものになります
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1564633163/
以前のものは一度スレが落ちてからだいぶ間が空いてしまい
途中から再開しても内容が分かりづらいだけかと思ったのでこうして一から立て直した次第です
どうかお付き合いいただけると嬉しいです 千歌「じゃあ私から言おうか? 私は結局本番当日までメンバー全員をまとめきれなくてライブを失敗させてしまった」
千歌「これはリーダーである私の責任だよね、だからこそさあ」
千歌「今ここではっきりさせる必要があるんだよ、一体何が原因でこうなったのかってことをさ」
千歌「確かめないといけないわけ、問題解決のために。分かるよね?」
梨子・ダイヤ「……」
千歌「答えてよ早く、ほら!」
果南「千歌、ちょっと落ち着きなって、今はまださ…」
曜「そうだよ、今それについて言わなくても」
千歌「今はってなんだよ!」
曜・果南「!」 千歌「それが言えるんだったらどうしてライブのときもそうしてくれなかったの!?」
千歌「言ったよね私! 頼むよって! 頭冷やしなよって!!」
千歌「なのに実際はどうなの!? 二人は聖良さんに何言われた!?」
千歌「二人が一番足を引っ張ってたって! そう言われたよね!?」
千歌「私があれだけ言ったのに……っ…結局ここまで引っ張っておいて今更どの口が言うの!」
千歌「何も出来てなかったくせに私たちは落ち着いてるみたいな顔するなっ!!」 ダイヤ「…どういうことですか、果南さん……引っ張っていたって」
ダイヤ「一体何があったんですか」
梨子「曜ちゃんも、私に何か隠してることでもあったの、そのことで」
鞠莉「梨子、ダイヤ……それは」
千歌「もう言おうよ鞠莉ちゃん、いい加減さ」
千歌「どうせ本人たちは口を開こうとしないよ」
鞠莉「けど…」
千歌「そこが鞠莉ちゃんの悪いところだよね、空気が重くなると思いきった発言をしない、出来ない」
鞠莉「!」
千歌「前はそれでも良かったかもしれないけどさ、もう無理でしょここまで来ると」 千歌「で、花丸ちゃんと善子ちゃんはいつまでそうして黙ってるわけ?」
千歌「あれかな、私たちの大好きなルビィちゃんが傷つかなければそれでいいってやつかな」
善子「ちがっ……!」
花丸「マルたちはその! この流れをどうにかしたくて……」
千歌「だから、無理なんだってそれは」
千歌「時間が経つとどうしようもなくなることってあるんだからさ、ね。ルビィちゃん?」
ルビィ「千歌さん……やっぱり、そうなの…?」
ルビィ「全部、ルビィが悪いの……?」
千歌「……」 千歌「……まず曜ちゃんと果南ちゃんが対立したきっかけはさ、梨子ちゃんとダイヤさんにあるの」
梨子「え……」
ダイヤ「それってまさか…」
千歌「梨子ちゃんとダイヤさんが揉めてた一部始終を見てたからさ、それを見た二人がそのことで別の言い争いをしてたってわけ」
梨子・ダイヤ「──!」
曜・果南「……」
千歌「だからこんなに拗れてるの、このグループは。色んなところでぐちゃぐちゃになってるから」
千歌「でも、そもそもの原因は一つしかないの。皆それのせいで……傷ついてるんだよ」
千歌「……その原因が」
善子「千歌、待って!」
千歌「ルビィちゃんなんだよ」
ルビィ「!!」 ルビィ「……」
ルビィ「…………」
ルビィ「……………………」
ルビィ「そ、っか」
ルビィ「そう、だったんだ」
千歌「……」
ルビィ「だよね、梨子さんとお姉ちゃんが揉める理由なんてそれ以外ないし」
ダイヤ「ルビィ……」
梨子「ルビィちゃん…」 ルビィ「善子ちゃんや花丸ちゃんがルビィに隠すことなんて、それくらいしか、ないもんね」
ルビィ「うん。だよね、そうだよね」
ルビィ「それなら、ルビィのせい以外、あり得ないし……っ」
ルビィ「だから、ライブも」
ルビィ「……」
ルビィ「っ……!!」ダッ
花丸「ルビィちゃん!」
善子「ルビィ!!」ダッ ルビィ「はぁっ……はぁっ……!」タッタッタ
善子「ルビィ! 待ってよ!」パシッ
ルビィ「……離してよ」
善子「嫌よ! 離さない!」
善子「今貴女を一人になんて出来るわけないでしょ!!」
ルビィ「うるさい! 一人のほうが良かったんだ!! ずっと!!」
善子「そんなことない! だって私は──!」
ルビィ「じゃあ少しは嬉しそうにしてよっ!! 笑ってよ!」 ルビィ「一人じゃ駄目なんて嘘つかないでよ!!」
善子「嘘じゃない!!」
ルビィ「じゃあ何でみんなそんな顔するの! そんな目で見るの!」
ルビィ「みんなの傍にいていいなら! なんでっ!!」
ルビィ「誰も私に大丈夫って言ってくれないの!!」
善子「──!?」 ルビィ「私はここにいていいんだって! ここにいてほしいんだって!!」
ルビィ「なんで誰も言ってくれないの!!」
善子「ルビィ、貴女…!」
ルビィ「私は! 私はただっ!!」
ルビィ「ここにいたかっただけなのに!! スクールアイドルを……」
ルビィ「みんなと一緒にやりたかっただけなのに!!」
善子「!!……ぁ……」 ルビィ「………なんで……」
ルビィ「なんで、出来ないのかなぁ…」
ルビィ「人を笑顔にさせるのが、アイドルなのに」
ルビィ「私がいると、誰も……笑わないんだよ」
ルビィ「こんなんじゃ何にもなれないよ、私」
善子「そんなこと、ないから」
ルビィ「善子ちゃんだってそうだよ」 善子「違う! 私は、違うわよっ…」
ルビィ「でももう、見てないよ」
ルビィ「善子ちゃんの笑った顔」
善子「……っ…」
ルビィ「楽しかったけどね、それでも……本当だよ?」クスッ
ルビィ「けど、これからは……分かんないや」
善子「……ルビィ?」 ルビィ「……」
ルビィ「…………ねえ、善子ちゃん」
ルビィ「私、生まれてこないほうが良かったのかな」
善子「っ!!」
ルビィ「──ううんごめん、聞かなかったことにして、今のは」
ルビィ「じゃあね、もう帰るから」
善子「待ってルビィ!それなら私も…っ…」ギュッ
ルビィ「ほっといてよ!!」 ルビィ「……おねがいだから、もう…こないでよ」ポロポロ
ルビィ「わたしをひとりにさせてよ」
善子「…………」
パッ
ルビィ「………ごめん…もう、いくね」
ルビィ「さようなら」スタスタ 善子「…………」
善子「……何よ、それ……」
善子「…………っ……ぅぐ……」
善子「……あああぁあぁ……!!」
善子「何でなのよおおおおおお!!」
ダッ 善子「なんでそうなのよいつも!!」
善子「いつもあの子が!何で!!」
善子「分かってたのに!!私は!」
善子「知ってたのに!全部!!」
善子「全部!! 全部!! 全部ッ!!」
バンッ
善子「ハーッ…ハーッ…!!」
花丸「あ、善子ちゃ……」
善子「全部……私達のせいじゃないかっ!!」 ダイヤ「善子さん、急に何を…」
善子「ルビィが!あの子がさっき何て言ったのか!分かる!?」
善子「生まれてこなければ良かったって!!そう言ったのよ!!」
「!!!」
善子「ふざけるんじゃないわよ!!いい加減にしなさいよ!!」
善子「それが!あんたらが姉の立場を得てまで!誰かを庇い立てしてまで!!」
善子「言わせたかった言葉なのか!!」
善子「最初にユニットに誘ったのは誰よ!小さい頃から一緒にいたのは誰よ!血が繋がってるのは誰よ!」
善子「あの子を幸せにしたいって言ったのは…誰なのよ!!」 善子「それだけ近くにいた奴らが!気付きもしないで追い込んで!追い詰めて……っ!!」
善子「そんな言葉……っ……言わせるの、やめなさいよぉ…っ…」ポロポロ
善子「……うぅっ……うぁぁあああ……!!」
「…………」
千歌「……そう、だね。もう今日のことで言い合うのはやめるよ……だって」
千歌「私達全員に、それを言う資格はないから」
──
ルビィ「……」
── 黒澤家之墓 ──
ルビィ「…………ねえ」
ルビィ「もし、ね。もしもだよ?」
ルビィ「私と…あなたが、入れ替わっていたら」
ルビィ「こんなことには、ならなかったのかな?」
ポツ……ポツ……
ルビィ「そこにいるのが、私で……ここにいるのがっ…あなたで…」
ルビィ「それなら……」
ルビィ「みんな幸せに、なれたのかなぁっ……!」
ザーッ ザーッ
ルビィ「……わたし……っ…なりたかった…!」
ルビィ「あなたみたいに……なりたかった!!」
ルビィ「……ひぐっ……うぁぁ…ああああああああああ!!!!」
それから…
善子「花丸ー。ルビィのノルマ終わったから来たわよー」
花丸「お疲れ様、今日は早かったね」
善子「別の用事があるんだって、で? 用って何よ」
花丸「ゲーム一緒にやりたいなあって」
善子「はあ? もうすぐラブライブの予選だっていうのに?」
花丸「うん」
善子「何考えてんのよ」 花丸「マルも上手くなったら、見てるだけじゃなくて一緒に出来るかなって」
花丸「今は無理でも、いつか三人で楽しく、遊べるのかなって」
善子「……分からないじゃない、そんなの」
花丸「分からないからやるんだよ、だって」
花丸「今のルビィちゃん、昔の頃に戻ってるもん」
花丸「淡々とやるべきことだけやって、心に厚い壁を張って、一人で塞ぎこんでる」
花丸「でも、それを破るきっかけを作ってくれたのは善子ちゃんだから、今度もきっと…」 善子「……」
花丸「多分みんな何が正解かなんて、分からないと思うけど」
花丸「昔と何も変わらないまま終わっていくのは、嫌だな」
善子「…そうね」
善子「じゃあ私の家に来なさいよ、最近滅多に人が来なくて窮屈していたところだったし。丁度いいわ」
花丸「……」
花丸「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうずら」
──
曜「お邪魔しまーす」ガチャ
梨子「あれ、今日はただいまって言わないんだ?」
曜「……一応私の他にもお客さんがいるもんで」
梨子「お客さんって?」
果南「え、何。曜って梨子ちゃんの家に来た時ただいまとか言ってるの」
ダイヤ「いや、まあ…アリでしょう、そういうのも」
梨子「果南さんに、ダイヤさん…珍しいですね」
ダイヤ「ええ、今日はお二人にお願いしたいことがありまして」 梨子「お願いって、何ですか?」
ダイヤ「鞠莉さんのことです」
曜「鞠莉ちゃんの?」
果南「鞠莉がスクールアイドル部に入った理由は知ってるでしょ」
曜「元から廃校が決まってるからせめて自分の在学中までに大きな功績を学校に残したい、だったっけ」
果南「そう、そんな感じ」
ダイヤ「ですから今流行りのラブライブで優勝すれば大きな注目を浴びると思って私たちに関わってきたのでしょうね」
ダイヤ「今思えば打算的な考えです……けれど」
果南「それだけで今もまだここに居座るわけがないんだよ……本気だったんだ」 果南「だけどそれを私たちが引っ掻き回した……本来あの子はこの件と無関係なのに」
梨子「……」
ダイヤ「お願いします、今度のラブライブ予選……私たちに協力してください」
果南「頼むよ……この通りだから」ペコ
曜「果南ちゃん…」
梨子「……頭を上げてください、私、そこまでされるほどのものじゃないですから」
梨子「問題を起こしたのは、私も同じだし」 曜「それに、私たちもそのことでお願いしようと思ってはいたんだよね」
曜「千歌ちゃんのこと考えたらさ…これ以上ってわけにもいかないし」
ダイヤ「だったら「ただ」
梨子「それで本当に上手くいくのかなって考えて、言えなかったんです」
曜「今まで普通に出来ていたことがさ、ここまでしないと出来ないものになってる時点で」
曜「チームとしては、未完成だって言ってるようなものだし」
果南「いや、だからってこのまま何もしないのも違うでしょ」
曜「それは、そうだけどさ……分からないんだよ」
果南「……そんなの、私だってそうだよ」 「……」
梨子「……ごめんなさい、ダイヤさん」
ダイヤ「え…?」
梨子「私がもっと、貴女の立場に立って考えることが出来ればよかったのに」
梨子「最後まで上手くいかなくて……それに」
梨子「今でも、貴女になんて言っていいのか、どう接していいのか」
梨子「私には、分からないの」
曜・果南・ダイヤ「!!」
梨子「…? どうしたの皆」 果南「…いや、何でもないよ。とにかくさ、私たちが言いたかったのはそれだけだから」
果南「またね、今度は余計なこと考えないし、足も引っ張らないように努力するからさ」
果南「その、なんだろう……上手くいくといいよね、ライブ」
梨子「……はい」
果南「いや、しなくちゃいけないんだけどさ、そうじゃなくてもっとこう私が言いたいのは…」
ダイヤ「果南さん、いいから帰りますわよ」
果南「でも」
ダイヤ「みなまで言わなくとも、お二人には伝わっているはずです」
果南「……全部?」
ダイヤ「半分程度かと」 果南「それ駄目じゃん」
ダイヤ「ではお邪魔しました。ほら行きますわよ」
果南「ちょっとダイヤってば! いいの本当に!?」
バタン
梨子「行っちゃったね、曜ちゃんはどうする?」
曜「ここにいたい」
梨子「…最近冷えてきたよね、ココア作ってくるから待ってて」
曜「……ん」 梨子「どう?」
曜「おいしい」
梨子「ならよかった」
曜「……さっきさ」
梨子「うん」
曜「梨子ちゃん、ダイヤさんにどう接したらいいのか分からないって言ったでしょ?」
梨子「言ったけど、それが?」
曜「あれ聞いたとき、ちょっとビックリしたんだよね。だってその前に私さ……」 果南「いやーそれにしても、まさか梨子ちゃんがダイヤと同じこと言うなんてね」
ダイヤ「ええ、私も驚きました」
果南「ま、二人は考え方似てるところあるから、おかしくないとは思うけどさ」
ダイヤ「私からすれば果南さんと曜さんも同じようなものですわよ」
果南「かもね。けど、だからかな」
果南「どうしてこんなに噛み合わないんだろうって、みんな考えてることは一緒のはずなのに」
ダイヤ「ええ、私もそう思います……だからこそ」
ダイヤ「歯痒いのです。今と、それが続くかもしれないこれからが」
果南「ダイヤ……」
ダイヤ「せめて少しずつでも何かを変えていけたら、元に戻せられるのでしょうか」
果南「さあ…どうだろうね」
──
千歌「……」モグモグゴクゴク
鞠莉「いきなり電話がかかってきて、何事かと思えば」
千歌「ぷはーっ! 生き返ったー! ごちそうさま!!」
鞠莉「食欲旺盛ねえ、千歌っちは」
千歌「糖分摂取は大事だからね! 頭を使うためにも!」
鞠莉「ふーん、それで私に集りにきたってわけね」
千歌「いやーまあ……はい」
鞠莉「で、そんなになるまで何考えてたの?」
千歌「んーとねAqoursのこと、リーダー辞めるかどうかとか」
千歌「そんな感じかなー」 鞠莉「……辞めるの?」
千歌「迷ってるんだ、どっちにすればいいのか」
千歌「責任を取って辞めるべきか、責任を取らなくちゃいけないから続けるべきなのか」
鞠莉「好きな方でいいんじゃないかしら」
千歌「そんなので済ませていいのかな」
鞠莉「だって千歌っちはAqoursが好きだから適当な答えを出したくないんでしょう?」
鞠莉「ならそれにきちんと向き合うためにも、自分の気持ちに正直になるのがいいと私は思うけど」
千歌「……」
鞠莉「私は続けるわよ、ここで成し遂げるまではね」 千歌「鞠莉ちゃんは、凄いね」
鞠莉「引くに引けなくなっただけだから褒められるほどのものじゃないわよ」
鞠莉「それに千歌っちの言葉を借りて言うなら、これが私の責任の取り方なのよ」
鞠莉「好きだからやめたくないっていうのが本心だけどね」
千歌「そっか……うん、分かった」
千歌「じゃあ取りあえず、次の予選が終わるまでは保留にしておく」
鞠莉「そうね、それがいいと思うわ」 千歌「……鞠莉ちゃんはさ」
鞠莉「ええ」
千歌「いけると思う?」
鞠莉「やってみないと分からないわ……今はそう言うしかないでしょう?」
鞠莉「良くも悪くも、ね」
千歌「だね、ここで無理を言うのは…よくないもんね」
千歌「どんなに望み薄でもさ……私、やっぱり諦めたくないから」
鞠莉「…私もよ」
──
ピピピピッ
ルビィ「…あ、もうこんな時間」
ルビィ「えっと走った距離は…うん、伸びてる」
ルビィ「明日は、ダンスの練習にしよう」
ルビィ「予選まであと一週間だから、頑張らなくちゃ…」タッ
ルビィ(もっと、もっと、もっと……) ルビィ「……」
ピタッ
ルビィ「やって、どうするんだろう」
ルビィ「違う、やらなくちゃいけないんだ。だから私は」
ルビィ(……でも)
ルビィ(“やりたい”には、なってないんだよね)
ルビィ「……私、本当は何がしたいのかな」
ルビィ「……やめよう、今は、ライブに集中しなくちゃ」タッ
(次は、次こそは)
……
…
しかし、その決意も空しく
スクールアイドルAqoursはラブライブ一次予選にて敗退、理由は言うまでもない
そして私たちはこれ以降、九人で活動することはなくなった。
上級生の今後の進路に向けて活動を自粛というのが表向きの理由だが
ただ単に、気まずかっただけなのかもしれない。
因みに今年度のラブライブの優勝者はSaint Snow
他を寄せ付けない圧倒的な実力差で、見事その栄光を手にした。
一方で私たちは全てが終わった後で、この有り余った時間をどう使うべきか
そのことだけにただ心血を注いでいたような、そんな気がする。
ラブライブがどうでもよくなったわけじゃない、スクールアイドルに興味がなくなったわけでもない
少し、距離が空いただけ。
けれどそのせいか、心もあまり、揺さぶられなくなってしまって
確かにそこにはあるのに
再び燃え上がることもなく、かといって消し去ってしまうには惜しいほどの情熱の欠片は
ただただ心の片隅につっかえたまま、ふすふすと燻り続けていた。
何も変わらず、何も変えられず、時間だけが過ぎていって
日は進み、年を跨ぎ、季節が移り、いつか来るはずの終わりはもうすぐそこまで迫っている
そのことすら、どこか他人事のようで。
他人……結局そうなんだろうか、血が繋がっていなかったらそれは自分にとって
ただの他人なんだろうか
分からない、今ではどの考えが正しいのか
私には、なにもわからない。
…………
今は四月。 上級生はたったの一言も私たちに残すことなく去っていき
そして──浦の星女学院での二度目の春が桜と共にやってくる
桜は見る者によってその美しさが変わるというが
ただひらひらと、喧騒も何もなくなった過去の居場所を、まるで主張するかのように漂い続けるその花びらは
私にとってはただただ空虚で、まるで鏡を見ているような錯覚にすら陥った。
──何者でもない自分がそこにいるかのような、親近感さえ湧くほどに
それがたとえ気の迷いであろうとなかろうと
偶像であると慮るような欠片は、今もまだ目の前にあるのだから。
黄昏の桜を通り過ぎ、踏み入れた先はいつもと少し違った景色
校舎の中は前よりも広々とした、伸びやかな空間で
それでいて、少し窮屈に感じた。
…………
春は出会いと別れの季節、新たな出会いがあるからこそ日々の出来事は色づいていく。
それが青春というものなんだろう
私の場合はそうだった、けれども
ここはまだ、灰色のままだ。 白と黒ですらない
何もかもが中途半端で、不意にどこかで混ざりあってしまったような
そんな、鉛みたいな居場所にいつの間にかなってしまっていた。
おもい。故に離れられない
今は四月。 後輩は、先輩にはなれなかった。
話の続きですが、そちらは4月初めに投稿する予定です
ここまでお付き合いいただきありがとうございました >>636
4月初めに立てると言いましたが投下量的に少しばかり長引きそうなので
早めに次スレのほう立てさせていただきました
一応こちらにも誘導として貼っておきますのでよろしくお願いいたします
ルビィ「片割れのジュエル」 フェスライブ編【再】
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