ルビィ「片割れのジュエル」 1年生編【再】
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
※初めに
このssはこちらの話を一部修正したものになります
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1564633163/
以前のものは一度スレが落ちてからだいぶ間が空いてしまい
途中から再開しても内容が分かりづらいだけかと思ったのでこうして一から立て直した次第です
どうかお付き合いいただけると嬉しいです ひさびさ
まあ1が好きなようにやればええんじゃね?
変なやつが嫌じゃなきゃ いつまでも汚物垂れ流しオナニー駄文が板に残り続けるぜ 過去作なんか貼っちゃって一流作家にでもなったつもりなのかな?
つまらないし寒いからスレ落とした方いいよ
文章の才能無いと思う ぬしって確かss書いてたコテハンだよな?こんな批判するようなイメージなかったんだが
もしかしてなりすましか?それともマジの本人?
一週間後
──海岸
タッタッタ…
タッタッタッタ……
ダイヤ「……ハア、やっぱり少し鈍っているわね」
「おや、珍しい人がいる。珍しいというか、久しぶり?」
ダイヤ「いつも顔を突き合わせているじゃありませんか、果南さん」
果南「それは学校、ここは砂浜。だよね?」
ダイヤ「ああ、場所の問題でしたか」 果南「分かってたくせに、で? なーんでまた走り込みなんかしてたわけ」
ダイヤ「たまにはいいかと思いまして」
果南「それだけ? 私はてっきり体力作りのためかと」
ダイヤ「何のための体力作りですか」
果南「そりゃもちろんスクールアイドルのでしょ。理由は、うーんそうだなあ」
果南「今になって千歌が部を立ち上げたいときたものだから、そのおかげで居ても立っても居られなくなった……とか?」
ダイヤ「……さあ」
果南「おお、正解みたい」 ダイヤ「…別に、気晴らしですわよ」
果南「戻ってくればいいじゃん、辞めたわけじゃないんだしさ」
ダイヤ「貴女の変わり身が早すぎるんです」
果南「いやいや折角だから流れに乗っておこうと、千歌に誘われたってのもあるけどさ」
果南「鞠莉だってどうせ今年帰ってくるんだし、それなら環境はある程度整っていたほうがいいでしょ」
ダイヤ「確かにそうかもしれませんけど」
果南「それに、スクールアイドルやってればルビィちゃんとの距離も縮まるかもしれないし」 ダイヤ「ルビィですか」
果南「そんな睨まなくても、別に狙ってるわけじゃなしに」
果南「ただほら、未だに苦手意識を持たれてるのも私としてはこう思うところがあるわけで」
ダイヤ「すみません、嫌っているわけではないのですが」
果南「分かってるって、元からそんな性格だもんね。それに……環境もひっどいもんだしさ」
果南「寧ろよくやれてると思うよ」
ダイヤ「……しかし、それでもやるとあの子が決めた以上は乗り越えなければなりません」 果南「手厳しいね…というか、もしかしてそれで入部してないわけ?」
ダイヤ「はい。私がいるとあの子は私に頼ってくるでしょうから、それでは駄目なんです」
果南「ほんと、妹を一番に考えるところは変わってないね。昔からさ」
ダイヤ「……」
果南「そうだ、そのことだけどグループ名もそのまま使わせてもらってるから」
ダイヤ「…ちなみに人数は」
果南「んー、私と千歌と曜とルビィちゃんで四人かな」
果南「あとは目を付けられた二人が近いうちに」 ダイヤ「その二人とは?」
果南「千歌のお気に入りとルビィちゃんのお気に入りさ、長いこと断ってきたと思うけどそれも時間の問題だろうね」
ダイヤ「ああ、成るほど」
果南「しっかし分からないんだよね、すぐに影響を受ける千歌が音ノ木坂出身の梨子ちゃんを付け狙うのはともかくとして」
ダイヤ「言い方」
果南「なんでルビィちゃんはあそこまで善子ちゃんに執着するのかなあ」
ダイヤ「憧れ、もっと言うなら羨望でしょう、あの子が彼女に向ける視線は大体そんな感じですから」
ダイヤ「もっとも、それが何を指しているのかまでは知りませんが」 果南「ふーん、そんなもんか」
果南「まあいいや。とにかくそういうわけだから、ダイヤが戻ってくる頃にはきっと結構な人数になってると思うよ」
ダイヤ「そうですか、ではそれまでの間部のことは任せますわね」
果南「了解。ま、私はリーダーじゃないから陰ながらってやつですかね」
ダイヤ「どちらでも構いませんわよ、ではそろそろ行きますからこれで」
果南「ん、じゃあね」
果南「さてと。もうひとっ走りしてくるかな」
……
─部室
千歌「みんな注目ー! 新しい部員を捕まえてきましたー!」
曜「千歌ちゃん言い方」
千歌「こちら新メンバーの桜内梨子ちゃんです!!」
梨子「よ、よろしくお願いします」
曜「おぉー、遂に陥落」パチパチ
千歌「いやぁ長かったねえ」シミジミ 果南「へえ、噂をすればなんとやら」
ルビィ「果南さん?」
果南「いやいやなんでも」
千歌「これで曲は問題なし! ねえ果南ちゃん、もう活動してもいいよね!?」
果南「そう慌てないの、梨子ちゃんまだ入ったばかりじゃん」
千歌「えー、でもさあ」
果南「そもそもスクールアイドルが何なのかちゃんと教えたの?」 千歌「……言ったよね?」
梨子「いいえ、聞いてないけど」
果南「知らないみたいだね」
千歌「でも音ノ木坂出身だし…」
曜「μ'sのことはあまり詳しくないって言ってたじゃん」
千歌「……」 千歌「梨子ちゃん」
梨子「はい」
千歌「ここから始めよう! きっと大丈夫!」ガシッ
梨子「…ちなみにその台詞は二回目なんだけど、大丈夫?」
千歌「…心配ないって!」
曜「根拠はないよね」
果南「保証もないしね」
梨子「……何ならあるの逆に」チラッ
ルビィ「えっ……えーと、その」 ルビィ「笑顔、ならあると思います」
千歌「おおルビィちゃんいいこと言った! そうだよ笑顔だよ!」ギュッ
ルビィ「ひぁっ……!」
千歌「スクールアイドルでも部活でもそれが一番大事だよね! うん私もそう思う!」ブンブン
ルビィ「は、はい…そうですね」
果南「言った本人の顔引きつってるけど」 千歌「μ'sも言ってた! 笑顔ならいつの日も大丈夫だって!」
ルビィ「それは歌詞です…」
千歌「よし、そうと決まれば早速活動を始めよう! ライブしようライブ!」
果南「おーい、さっきの私の話どこにやったー」
曜「やったというより明後日の方向に向いただけな気が」
千歌「というわけだから梨子ちゃんも曲よろしくね! 最初だからなんかこう、元気出そうなやつ!」
千歌「みんなもよろしくね! 詳細は後日ってことで!」ダッ ルビィ「……行っちゃった」
果南「いやあ、お見それするくらい強引な持っていき方だったね」
梨子「千歌ちゃん、せめてもう少し具体的に言ってほしいわ……何、元気出そうなやつって」
曜「でもやるんだ」
梨子「それはまあ部に入ったわけですし」
曜「そっか、真面目だねー。ちなみに梨子ちゃんは新入部員としてここにどれくらい可能性感じましたか?」
梨子「千歌ちゃんがさっきの話を無しにするくらいかな」
曜「だってさ」
果南「だろうね」
ルビィ(ライブかぁ……)
─
ルビィ「というわけでお誘いにきました」
善子「いや流れが全く分からないのだけど」
ルビィ「別に普通だよ? ライブを見てもらいたいだけだもん」
善子「ああ、誘うってそっちね……てっきり勧誘のほうかと、しつこかったし」
ルビィ「もちろんそれを止めるつもりはないけど」
善子「こら」
ルビィ「でもその前にせっかく決まったライブだから」
ルビィ「善子ちゃんに見てほしいの、ルビィの初めてのステージ」 善子「……そういうことなら、いいけど」
ルビィ「やった。絶対だからね?」
善子「はいはい約束ね。それでいつやるの?」
ルビィ「え?」
善子「だから日時は? 場所は? どれくらいの時間やる予定なの?」
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「詳細は後日ということで」
善子「…よく勢いだけでここまでやれるわよね貴女たち」 花丸「─へえ、ルビィちゃんたちがライブを」
善子「やるってことしか決めてないのよ? 絶対おかしいわよね」
花丸「でも見に行くんでしょ」
善子「お願いされたから行くだけよ」
花丸「言われなくても知ってたら見に行ってると思うけどね、善子ちゃんは」
善子「…ほっとけないのよ、あの子」 花丸「気持ちは分かるずら」
善子「それに、見てみたいっていうのもきっとあると思う」
善子「好きなことを一生懸命にやるあの子の姿を」
花丸「そっか…」フフッ
花丸「……笑いたいよね、好きなものと向かい合ってるときくらいは」
花丸「それで幸せになれるなら、尚更」
善子「……どうしたの急に」
花丸「ううん、ライブ楽しみだねえって」
善子「……」
─
ルビィ「ただいまー」
ダイヤ「おかえりなさい、遅かったのね」
ルビィ「練習してた」
ダイヤ「今から? 随分気が早いわね、まだほとんど何も決まっていないのに」
ルビィ「ライブやること聞いたの?」
ダイヤ「ええ、果南さんに」
ルビィ「そっか」 ダイヤ「大丈夫なの」
ルビィ「ルビィは楽しみだよ」
ダイヤ「部活は上手くいってる?」
ルビィ「みんな良い人だから大丈夫だよ、梨子さんとは結構話せるし」
ルビィ「ピアノも上手だったんだぁ」エヘヘ
ダイヤ「それならいいのだけど」 ルビィ「うん、いい曲だから楽しみにしててね」
ダイヤ「…そういえば、このことを彼女には伝えたんですか?」
ルビィ「彼女って?」
ダイヤ「津島善子さん」
ルビィ「うん、言ってきたよ」
ダイヤ「そうですわよね、貴女ずいぶん気にいってるみたいだもの」 ルビィ「そうだね」
ダイヤ「何かあったの? 彼女と」
ルビィ「分からない。でもね、多分それだけじゃないと思うの」
ルビィ「ルビィの一目ぼれかもしれないし、ただ一緒にいたからっていうのもあるかもしれない」
ダイヤ「えーと、つまり?」
ルビィ「その何かがあってもなくても、ルビィは善子ちゃんのことが好きってこと」
ルビィ「ううん、好きになっちゃったのかな」 ダイヤ「……そう」
ルビィ「変かな」
ダイヤ「いいえ、全くそうは思いませんわ」
ルビィ「いいと思う?」
ダイヤ「私は応援します」
ルビィ「……じゃあ、一個だけお願いしてもいい?」 ダイヤ「なに?」
ルビィ「ルビィのこと、善子ちゃんに教えてあげてほしいの」
ダイヤ「教えるって……ルビィ、あなた自分が何を言ってるのか」
ルビィ「……」
ダイヤ「……本当に私が言っていいのね?」
ルビィ「お姉ちゃんにしか頼めないよ」
ダイヤ「…なら一つだけ条件。その後の告白はルビィからすること、向こうが行動してくれるまで待っては駄目」
ルビィ「うん、善子ちゃんのこと困らせたくないもん」 ダイヤ「そう……本当に好きなのね、彼女のことが」
ダイヤ「分かりました、では近いうちに話をしておきます」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「ん」
ダイヤ「私は信じてますから、頑張ってね」
ルビィ「……うん」
数週間後…
─体育館
千歌「──以上で終わりたいと思います!」
千歌「本日はご来場いただき、ありがとうございました!!」
「ありがとうございました!!」
ワー! パチパチパチパチ
果南「……ふう」
「中々いいじゃない今のリーダーは。元気いっぱいでとってもCuteだし」
「前の堅物とはえらい違い」
果南「そういうあんたの神出鬼没っぷりは少しも変わっていないね、鞠莉」
鞠莉「ハロー果南。元気にしてた?」
果南「まあぼちぼち、ていうか帰ってきてたなら連絡くらいしてよ」
果南「なんの前ぶりもなく会場にいたときはビックリしてフォーム崩しそうになったんだから」 鞠莉「ごめんごめん、ちょっと色々立て込んでてこっちも忙しかったのよ」
鞠莉「それにこんな風に突然来た方がサプライズって感じでいいと思って」
果南「そういうところも相変わらずだね」
鞠莉「それで、ルビィって子はどの子?」
果南「自己紹介見てなかったの? 右端の赤い髪の子だよ」
鞠莉「途中から来たから……ってあの子だったの!? 全然似てないわね」
果南「鞠莉」
鞠莉「……ごめんなさい、今のは失言だったわね」 果南「いいよ、言いたいことは何となく分かってるし」
果南「確かに私から見てもダイヤとは全然違うからね、ルビィちゃんは」
鞠莉「そういえばそのダイヤはどこに行ったのかしら? 色々話そうと思っていたのに」
果南「ダイヤならさっき善子ちゃんを連れてどこか行ったけど」
鞠莉「善子ちゃん?」
果南「ルビィちゃんのお気に入りから、片想いに変わった子だよ。同じクラスのね」
鞠莉「成程、片想い。つまり似た者同士ってことね」 果南「…それはどういう意味かなん?」
鞠莉「そういう意味でしょ。さてと、そろそろ先輩として今のAqoursに挨拶にでも行きましょうかねー」
果南「ふうん、挨拶」
鞠莉「そう、ご挨拶」
果南「鞠莉」
鞠莉「んー?」
果南「うちのアイドルはお触り禁止だからね」
鞠莉「Ohそれは残念……ってあら?」
花丸「……」ワイワイ 鞠莉「ねえ、あのルビィと話してる知り合いっぽい子は?」
果南「ああ、花丸ちゃんね」
鞠莉「へえ、花丸……彼女は部に入ってないから大丈夫よね」
果南「今のところはそうだね」
鞠莉「発育もかなりのものだし、フフッこれは久々にいい感触が味わえ…」
果南「ただ黒澤家全員敵に回すことになるけど、それでもいいって言うなら別に」
鞠莉「……やっぱり先輩は威厳がないと駄目よね、そういうのにはNOtouchってやつ」
果南「いいんじゃない? 今の鞠莉に威厳があるかどうかは些か疑問に思うけどね」
─
善子「なに、いきなりこんなところまで呼び出して」
ダイヤ「善子さんに大事な話がありまして」
善子「私に?」
ダイヤ「ええ、ルビィのことについて」
善子「……ルビィの」
ダイヤ「はい、ですがその前に」
ダイヤ「善子さん、貴女はルビィのことをどう思っていますか?」 善子「どうっていうのは?」
ダイヤ「人として好きなのか、恋愛対象として好きなのか、という意味です」
善子「……そうね、人としてかしら。さっきまでなら」
ダイヤ「さっきですか」
善子「最初は少し心配だった、人ともあまり上手く話せない子がステージで歌うなんてって」
善子「でもいざ始まってみたら、そんなもの少しも感じられなくて……」
善子「一番綺麗だった。誰よりも」 ダイヤ「……」
善子「目を奪われたっていうか何というか……恥ずかしいけど」
ダイヤ「そうですわね、活き活きとしていました」
善子「だからその……好きよ、私は。黒澤ルビィのことが」
ダイヤ「……」
善子「……えっと、それから…」
ダイヤ「いいえ、もう十分です。ありがとうございました」 善子「じゃあ……私に教えてください、ルビィのこと」
善子「私も、もっとあの子のことが知りたい」
ダイヤ「いいでしょう、元よりそのつもりで来ましたから」
ダイヤ「ただ少々気を悪くされるかもしれませんが、どうか最後まで聞いてくださいね」
善子「ええ、分かったわ」
ダイヤ「……では結論から。そして単刀直入に言わせていただきます」
ダイヤ「善子さん、あの子は…ルビィは家の子ではありません」 善子「……えっ…」
ダイヤ「……」
善子「…家の子、じゃない……?」
ダイヤ「はい、もっと正確に言うならば」
ダイヤ「私たち黒澤家とあの子には血の繋がりがないんです」
善子「─!?」
ダイヤ「そうですね、今からおよそ十年ほど前……」
ダイヤ「その頃に黒澤家が養子として引き取った捨て子なんです、ルビィは」 善子「……ルビィが、捨て子…」
ダイヤ「お母様がルビィを連れて帰ってきたときのことは、今でも鮮明に思い出せます」
ダイヤ「私は、最初にあの子を見たとき…言葉の一つすら出てこなかった」
ダイヤ「本当に生き写しかと思うくらい、そっくりだったから」
善子「生き写しって……!! じゃあ…前に花丸が言ってた、黒髪のルビィっていうのは……まさか」
ダイヤ「成程、花丸さんがそのように」
ダイヤ「…ええ、想像の通りですわ。名前は黒澤サファイア」
ダイヤ「私の、血の繋がった実の妹です……外見がルビィと瓜二つの…ね」 善子「黒澤、サファイア…」
ダイヤ「はい、私の両親はなにかと子供に宝石名を付けたがるもので」
善子「もしかしてルビィも?」
ダイヤ「はい、あの子のルビィという名前もここに来てから正式に付けられたものです」
善子「改名したってことよね、本名は?」
ダイヤ「そこまでは……ただ」
善子「ただ?」
ダイヤ「お母様が言うには、とてもすんなり受け入れてくれたと」 ダイヤ「自分の名前に思い入れがなかったというよりかは、諦めたように感じたと話していましたわ」
善子「……捨て子、って言ってたわよね」
善子「ここに来るまではどんな生活を送っていたのか、分かる?」
ダイヤ「聞いた限りの話ですが、拾われる前は父親と二人で暮らしていたそうです」
善子「片親家庭ってこと?」
ダイヤ「ですね、母親がいない理由は死亡か、離婚か…」
ダイヤ「詳しいことは分かりませんが親権などの問題を考えると恐らく前者のほうかと」 善子「どちらにしても酷い話ね、結局は捨てるんだから」
ダイヤ「……ええ、出会ったときは身も心も衰弱しきっていたみたいで」
ダイヤ「もしあのとき、お母様が見つけていなかったら…きっと」
善子「死んでいたかもしれないってことね……」
ダイヤ「はい……」
善子「…………でも」 ダイヤ「え?」
善子「いや、ごめん……こんなこと言うのは失礼だって分かってはいるんだけど」
ダイヤ「……」
善子「けど…ルビィが拾われたのだって、そのサファイアって子に…似てるからで」
善子「だからその、結局は──「親のエゴ」
善子「!」
ダイヤ「ですわよね」
善子「…………はい」 ダイヤ「いいんですよ、皆分かっていることですから…寧ろ、その言葉を聞けて安心しましたわ」
ダイヤ「善子さんはルビィのことを、本当に想ってくれているのですね」
善子「…他人だから、言えることかもしれないわよ」
ダイヤ「でも無関心なら、そんな言葉は出てこないでしょう?」
善子「……」
ダイヤ「お母様も言っていました、あの子の人生は親の都合で変えられているだけだと」
ダイヤ「ただそれでも、だからこそあの子を放っておけなかった、幸せにしてあげたいのだと」
ダイヤ「目を腫らしたまま……」 善子「……」
ダイヤ「もしかしたら、ルビィもそれが分かっているのかもしれませんわね」
ダイヤ「だからあの子は、あの子なりに手探りで自分の幸せを探そうとしている」
善子「幸せ……か」
善子「…ダイヤさん」
ダイヤ「はい」
善子「ありがとう、話してくれて」 善子「正直…今の話を聞くまで勘違いしてたかもしれない、ルビィのこと」
善子「ただのちょっと変わった子なんだって、それだけで……でも」
善子「あの子は強かった。私なんかよりもずっと」
ダイヤ「善子さん…」
善子「私があの子に出来ることなんてちっぽけかもしれないけど」
善子「それでもあの子が困っているなら助けてあげたい、傍にいてあげたい」
善子「同情なんかじゃなくて、大切な人だから」
ダイヤ「……良かった。聞いてくれたのが貴女で」
ダイヤ「善子さん、ルビィのこと…どうかこれからもよろしくお願い致します」
─
ルビィ「それでね、ここで曲が盛り上がるから振りも大きくして……」
花丸「ふむふむ、成程ぉ。流石ルビィちゃんずら」
善子「ずいぶんと熱心なのね」
ルビィ「あれ善子ちゃん、お話し終わったんだ?」
善子「さっき丁度ね」
ルビィ「そっかぁ、じゃあ今度はルビィとお話ししようよ…いいよね花丸ちゃん?」 花丸「うん、待ってる」
ルビィ「えへへっありがとう、それじゃあ善子ちゃん」
ギュッ
ルビィ「ついてきて」
善子「……いいわよ」 鞠莉「あら、何やらそれっぽい雰囲気が」
果南「いつまで野次馬してるの」
鞠莉「そろそろ降りるわよ、ここから先は打ち切りみたいだし」
ダイヤ「驚いた。それなりの配慮は出来ますのね」
鞠莉「What's!? 普通出会い頭にそんな失礼なこと言う!?」
ダイヤ「そうでした、まずはご挨拶から。お久しぶりです鞠莉さん」 鞠莉「ハーイ久しぶり…って挨拶が先とかの問題じゃなくて」
果南「あ、ダイヤおかえり」
ダイヤ「ただいま帰りました」
鞠莉「そしてスルーね、いじけるわよ本当に」
ダイヤ「すみません、このやり取りも懐かしかったものですから」
鞠莉「じゃあ触らせてよ」
ダイヤ「は?」
鞠莉「だって果南がダメダメってうるさいんだもの。私だって懐かしみたいのに」
ダイヤ「本当に変わっていませんわね貴女」
果南「ハグならいいんだけどね別に」 鞠莉「はぁ、お堅い世の中になってしまったわね…ただのスキンシップなのに」
果南「ただのスキンシップならこんなに拒否しないよ、初めての人なら特にね」
ダイヤ「? どういう意味ですかそれは」
鞠莉「あっ」
ダイヤ「鞠莉さん? ……貴女、まさか私たち以外にもそんな気をおこしているわけではないでしょうね」
鞠莉「いやそれは」
果南「うん、Aqoursの新メンバーにちょっとね」
鞠莉「果南!?」
果南「あー、それと花丸ちゃんにも」 ダイヤ「……へえ」
鞠莉「ダ、ダイヤ……? あのー、ダイヤさん?」
ダイヤ「……行きましょうか、果南さん」
果南「いいよ、こっちもちょうど話したいことがあったから」
鞠莉「ちょっ…待って! sorry謝るから! ほんの出来心だったのよ分かるでしょ!? 分からない!?」
鞠莉「まず私の話を聞いて! ねえちょっとそんな早歩きしないで置いていかないで! いやダッシュしろって意味じゃなくて!! ねえ!」
ポツン……
鞠莉「……だいやー、かなーん…」
スタスタ
千歌「…えっと結構聞こえてたけど、大丈夫ですか?」
鞠莉「……とりあえず入部届一枚プリーズ」
─
善子「また随分と離れたわね」
ルビィ「人がいるところで話せるようなことじゃないので、そうでしょ?」
ルビィ「…聞いたんだよね、お姉ちゃんから」
善子「ええ」
ルビィ「あれね、ルビィが頼んだの」
ルビィ「本当は自分の口から言ったほうがいいのかもしれないけど、ルビィだと何をどうやって話せばいいのか分からなくなっちゃうから」
善子「かもしれないわね」
ルビィ「それでもね、知ってほしくて」
善子「どうして?」 ルビィ「それは……」
善子「……」
ルビィ「それは……ね、多分怖かったから」
善子「怖い?」
ルビィ「このまま仲良くなっていったその後に、ルビィの知らないところで善子ちゃんが事情を聞いて」
ルビィ「離れていくのが、怖かったの……みんなそうなんだもん」アハハ
善子「……」 ルビィ「どんなに最初は良くったって……だから」
ルビィ「だからね、善子ちゃんだけはルビィの方からちゃんと言わなくちゃって」
ルビィ「そう、思って……だって」
善子「……」
ルビィ「……だって…」
ルビィ「…初めて、ちゃんと好きになった人だから」
善子「……そう」
善子「ねえルビィ」 ルビィ「うん」
善子「ありがとう、ちゃんと貴女の口から言ってくれて、伝えてくれて」
ダキッ
善子「本当に嬉しかった。だから、もういいわよ」
ルビィ「……ぇ…」
善子「ルビィ、もう我慢しなくていいの。愛想笑いで誤魔化すのはやめなさい」
善子「私の前で無理はしなくていい。素直に言いたいことを言っていいのよ、全部聞いてあげるから」ナデナデ
善子「よく頑張ったわね」
ルビィ「…………っ……」 ルビィ「…………いやだったよ、全部」
ルビィ「お姉ちゃんと比べられることも、サファイアちゃんと比べられることも」
ルビィ「いっつもルビィじゃない、違う人を見ようとしてる周りの目も、いやで」
ルビィ「お友達もいつの間にかルビィから離れてるのが、なんか…分かっちゃうのも…いやで」
ルビィ「本当は…もう誰とも話したくなかった」
善子「うん」 ルビィ「ずっと嫌いだった、花丸ちゃんもお姉ちゃんもお母さんもお父さんも」
ルビィ「大っ嫌いだった!! 本当に嫌いだったんだよ!! なのにっ!!」
善子「……」
ルビィ「それなのに……言えなかったんだよ……」
ルビィ「一番嫌いなときに、嫌いだって、言えなかった」 ルビィ「だからね、もう……出来ないの」
ルビィ「だって……みんなのこと、好きになっちゃったから……」
ルビィ「だから…もう、言えない…っ…!」
ルビィ「それが一番いやだったの! ルビィにも皆にも嘘をついてて!!」
ルビィ「怖かった! 嘘つきだからいつか嫌われるんじゃないかって!」
ルビィ「またいなくなるんじゃないかって!! そんなことばっかり! 自分のことばかり考えてたの!!」 ルビィ「酷いって分かってても! ……だけど……それでも」
ルビィ「それでも…ルビィはね」
ルビィ「…もう……ひとりには、なりたくない…から…っ……」ポロポロ
善子「……」
ルビィ「ずっと…我慢してたの……」
ギュッ
善子「大丈夫」
善子「私、あなたのこと好きよ」
ルビィ「よしこちゃ……うぅっ……わああああああああん!!」
……
…
花丸「あっ」
善子「悪かったわね、待たせて」
花丸「ううん、ルビィちゃんは?」
善子「寝かせてる、疲れてたみたいだから」
花丸「…そっか」 善子「ねえ、スクールアイドル部の人たちはまだいる?」
花丸「今あっちで楽しそうにしてるけど」
善子「そう、じゃあついてきて」
花丸「……?」 鞠莉「ふーん、私がいない間も相変わらずだったのね。果南」
千歌「そうそう、のんびりしてて危機感がないっていうか…前あったテストでも危なかったんだから!」
梨子「それを千歌ちゃんが言う? テスト直前に私に教えてもらいに来た千歌ちゃんが」
千歌「いやーまあ…あはは……」
曜「……」
善子「あの、ちょっといいかしら?」 千歌「あれ? えっとあなたは確か、ルビィちゃんと一緒にいた」
善子「津島善子、こっちは国木田花丸」
花丸「ど、どうも」
千歌「こんちかー! で、私になにか用?」
善子「ええ、入部届を貰いに来たの……二枚」
花丸「えっ」 千歌「おぉ!? ということは」
善子「はい。津島善子、並びに国木田花丸は」
善子「スクールアイドル部への入部を希望します」
花丸「─!!」
善子「以後、よろしく」 千歌「やったー! こっちこそよろしくね! 善子ちゃん花丸ちゃん!」
善子「ええ、それじゃ明日から来るから」
善子「今日の所はさようなら。行きましょ花丸」
花丸「ちょ、ちょっと善子ちゃん!?」
千歌「はいはーいまたねー!」
千歌「すっごい! 今日だけで三人も入っちゃったよ! これがライブの力ってやつ!?」
梨子「うーん、なんか違う気がするけど……」
鞠莉「いいわねえ、若いって」
曜「いや、二つしか年違わないでしょ」
スタスタ…
花丸「ねえ善子ちゃん」
花丸「善子ちゃんってば」
善子「なによ」
花丸「どうしてマルまで入部させたの」
善子「嫌なら断ればよかったでしょ、あの場で」
花丸「そうだけど…」 善子「…事情は大体知ってる、やらない理由なんてないでしょ」
善子「いつまでまごまごしてんのよ」
花丸「……本当はもうちょっとアイドルに詳しくなってから入ろうと思っていたのになあ」
善子「知識だけじゃ意味ないでしょ、経験だってしていかないと」
善子「本当に理解することなんて出来やしないわ。それは私もあんたも同じ」
花丸「…かもしれないね」 花丸「でも、好きな子のためって不純な気がしてならないずら」
善子「でしょうね。けど私も似たようなものだから、お互い様よ」
花丸「フフッ、意外とマルたちも似た者同士だったりするのかな?」
善子「惚れた相手が相手だもの、案外近いところはあるかもしれないわよ」
花丸「あはは、成程。それは確かにそうだね」 花丸「……アオちゃんって呼んでいたんだ」
善子「アオちゃん?」
花丸「サファイアちゃんのこと、聞いたんだよね?」
善子「ああ、そういうこと」
花丸「うん。今でも思い出せるよ、あの頃のことは──」
──
『マルちゃん、おはようー!』
『おはようアオちゃん!』
『? なに、そのアオちゃんって』
『あのね、さふぁいあって日本のわめい? だとあおだまって言うんだって』
『だから、さふぁいあちゃんはアオちゃんずら!』 『……』
『だめ、だった?』
『ううんすっごくいい! そっちのほうが絶対可愛いもん!!』
『アオちゃん、うんアオちゃん! 私これ大好き!』
『よかったあ、喜んでくれて』
『当たり前だよ! でもやっぱりマルちゃんってすごい! 色んなこと知ってるんだもん!』
『そ、そうずら?』 『そうだよ! さすがは私のしょうらいのおヨメさん!!』
『え、えぇっ!? あの話ほんとうだったの?』
『ほんとうのほんとうだよ! マルちゃんはいやなの?』
『いや、じゃないけど…でもダイヤちゃんすごく怒ってたから』
『大丈夫! けっこんするまでに絶対せっとくするから!!』
『おねえちゃんだって私たちのこと好きなんだからむりじゃないもんね!!』 『ね! 一緒にがんばろうよマルちゃん!』
『えへへっアオちゃんが言うとほんとうにそうなる気がしてきたずら』
『あたりまえだよ! ほんきならいつかはむくわれるってお父さんも言ってたもん!』
『私はいつだってほんきなんだから!』
『ふふっそうだね』
『うん、だから今からお姉ちゃんにこのこと言ってくる!』
『また!?』 『また! でもすぐもどってくるよ』
『こんどは大丈夫だから!』
『本当かなぁ……』
『ホントホント!! あっ、そうだそれとね』
『アオちゃんって呼びかたマルちゃんしか使っちゃダメだからね!』
『え、どうして?』
『私とマルちゃん二人だけのヒミツなんだから! とくべつってやつ!』 『とくべつ…』
『じゃあいってきまーす!!』
『あ、うん。いってらっしゃい…』
『……くすっ』
『かわいいなあ。アオちゃん』
──
─
花丸「実際はサファイアの和名は青玉“せいぎょく”だったんだけどね」
花丸「でも、そういう細かい違いに気がついても直す気にはならかったんだ」
花丸「マルにとってのアオちゃんはアオちゃんのままだったから」
善子「……」
花丸「善子ちゃん。マルはね、あの子のそういうところが凄く羨ましくて、憧れてて」
花丸「そして、本当に大好きだったんだよ」ニコッ 善子「みたいね、話してるだけでも幸せそうに見えるわよ今の貴女」
花丸「ん、そうかなあ」
善子「見えるわよ。でもさ」
花丸「でも?」
善子「そんなあんたがよくルビィと親友になれたわよね……きつかったんじゃないの? 色々」
花丸「そう、だね……うん。正直そんな関係になれるとは思っていなかったよマルも」 花丸「まず第一印象が最低だったからね。初めにルビィちゃんに会ったときさ」
花丸「気持ち悪くて吐いたの、本人の目の前でだよ」
花丸「いなくなった人の代わりがすぐに見つかりました。みたいな」
花丸「なんだろう、そういう嫌悪感がきっと物凄かったんだと思う」
花丸「だってどこからどう見てもアオちゃんじゃないのに、そのくせアオちゃんにそっくりで」
花丸「頭がおかしくなりそうだったよ、本当に」
善子「……成程ね、どおりで」 花丸「?」
善子「さっきルビィがさ、言ってたのよ。あんたのこと大嫌いだったって」
善子「それに納得した」
花丸「……そっか、ルビィちゃんが」
花丸「申し訳なかったんだずっと、マルたちはあれだけ酷い仕打ちをしておきながら」
花丸「ルビィちゃんは何も言わない、何も言わせない日々を送らせていたことが」
善子「立場とかの問題ってこと?」
花丸「まあ、ね。あとは本人の我慢強さや気遣い、こっちのほうが割を占めてるんじゃないかな」 花丸「マルや他の人達はさ、それに甘えていたんだよ。ダイヤさんも」
花丸「そのことに気付いたのはマルがたまたまお墓参りに遅れて」
花丸「先にアオちゃんのお墓の前でお参りしながら、一人ボロボロに泣いてるルビィちゃんを見たときだった」
花丸「何をしているんだろうって思った。こんなの、おかしいって」
花丸「そこから先はもう無我夢中で駆け寄って、抱きしめて、一緒にわんわん泣いた。悪者のくせに」
花丸「それまでは自分たちだけが苦しい思いをしていると思い込んでたクセに」
花丸「ごめんね、ごめんねって言葉も、もうどっちに言ってるのか分からなくて」
花丸「ただただ泣き喚くしかなかったんだ。それ以外に、出来ることなんてなかった」 花丸「そのときに思ったの、この子の傍にいたいって」
花丸「一人の女の子として、友達として支えてあげたいって」
善子「……それが親友になるきっかけ、か」
花丸「うん。でも良かった、嫌いだってちゃんと言える人が見つかって」
善子「好きになったからもう言えないともね」
花丸「……本当に参るよね、そういうの聞いちゃうと」 花丸「善子ちゃん、どうして善子ちゃんはマルにそのことを教えてくれたの?」
善子「そうね、まあ本人のためにも控えておくべきだったし、私も言うつもりはなかったんだけど」
善子「逆になったって感じね、ルビィとは」
花丸「逆って?」
善子「あんたのこと好きだったけど、さっきの話聞いてすごいムカついた」
善子「だから言った。それだけよ」
花丸「なるほど、納得ずら」 善子「ええ、でも正直まだイライラしてるから」
善子「ストレス発散にちょっと付き合いなさい」
花丸「というと?」
善子「私の家でゲームするわよ、ルビィと三人で」
花丸「!」
善子「ボッコボコにしてあげるから覚悟しなさい」
花丸「……あはは。それは、怖いねえ」 善子「あんたにゲームの素晴らしさと恐ろしさ、その魅力を骨の髄まで味わわせてやるから覚悟することね」
花丸「うん。でもマルは二人の応援だけでも十分な気がしてきたよ」
善子「はあ? 何言ってんのよ、あんたは」
善子「まだ勝負は始まってもいないでしょうが」スッ
入部届
花丸「……っ…」
善子「やり切りなさいよ、最後まで」
善子「じゃあ私、ルビィを起こしに行ってくるから」
花丸「……うん」クシャッ
花丸「ありがと」ポロポロ 本日はここまでです
また、色々とご指摘がありましたが今のところpixivの方に投稿する予定はありません
こちらの掲示板で続けるつもりです 確か4スレ目とかまで行ってたと思うけど、再開ってことはその後の続きも書いてくれるの?
続き楽しみにしてたSSだったから、そうだったら嬉しい。 ずっと待ってた
もう戻ってこないかと思ってた
ありがとう >>108
何がぬし君をここまでキレさせたのか
そして>>1生きとったんかワレ >>198
はい、今度こそ終わりまで書くつもりで立てました
最初の話から投稿した理由は>>1に書いてある通りです ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています