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遥「遥か彼方にある一粒のしずく」

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0001名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 00:47:18.48ID:su9XaUir
私、近江遥は姉である近江彼方が大好きです。

私は産まれた時からお姉ちゃんの妹だった。

薄らと、記憶の片隅に残っている思い出。
赤ちゃんだった私の手を小さな手で握ってくれたお姉ちゃん。

そんな彼女の表情は笑顔だった。


『えへへ〜。はるかちゃん』

『かなたちゃんは、おねぇちゃんなんだって〜』

『おねぇちゃんはいもうとをまもるこなんだっておかーさんがいってたの! だから』

『はるかちゃんは、かなたちゃんがおおきくなるまでまもってあげるね〜』ニコッ

『だからあんしんしてね。はるかちゃんっ』






遥「う〜ん……むにゃむにゃ……」

遥「おねぇ……ちゃ……」ニコニコ

遥「……ん〜……?」

遥「ん?」パチリパチリ

遥「!!」ガタッ!
0003名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 00:51:44.71ID:su9XaUir
遥(やばい! 椅子で寝ちゃってた!!)

遥「時間は……あ〜、よかった……まだ17時ちょいだ」

遥(今日は部活はお休みだったから、お家のこと色々とやらなきゃ。お姉ちゃん、部活はあるけどアルバイトはないって言ってたし)

遥(お風呂掃除したり、なんなら夕ご飯も作っちゃおうかな)

遥(よーし! 腕がなるよ! お姉ちゃんの為にがんば──)

ピローン

遥「ん?」

遥(メッセージ?)スッ

遥(お姉ちゃんから?)
0005名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 00:56:29.01ID:su9XaUir
────────────

お姉ちゃん:遥ちゃーん!

お姉ちゃん:今日は早く帰れそうだよー!!

お姉ちゃん:何か買ってくる物とかある? コンビニとか寄れるよ〜

羊のスタンプ

お姉ちゃん:あとそうだ、今日ね!

────────────


遥「」

遥「も、もう帰ってきちゃうの!?」

遥(色々やろう思ってたのに! そうだ! お、お風呂だけでも掃除しないと……!)

遥(ちょっとでもお姉ちゃんの負担を減らさなきゃ!)

タッタッタッタ
0006名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 00:59:36.06ID:su9XaUir
彼方「あれ〜?」

彼方「途中から既読付かなくなっちゃった」

彼方「返事もないし……何かあったのかな?」

彼方(心配だし、早く帰らなきゃ!)

彼方「──よし、じゃあ行こっか」ニコッ



0007名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:02:33.03ID:su9XaUir
遥(よし!)

遥「何とかお風呂掃除は終わった‪〜!」

遥(私もやれば出来るんだよお姉ちゃん!)

遥「よし、後は──」

ガチャ

遥「あっ……」

遥(タイムリミットだ……むむぅ……なんで寝ちゃったの私……)

遥(まぁ仕方ない。お姉ちゃんのお出迎えにいこっと)

遥(そしてお姉ちゃんとゆっくり過ごそう。金曜日だし。あっ、そうだ。お料理のお手伝いとかしようかな。やりたい事沢山あるね。何はともあれ、お姉ちゃんと2人きりの時間は大切にしなきゃ)

スタスタ
0008名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2022/01/11(火) 01:08:51.54ID:S+NsmrsW
ほうこれは
0009名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:10:55.66ID:su9XaUir
彼方「ただいま〜」

遥「お姉ちゃん! おかえりなさ──」

彼方「ほら、しずくちゃん。上がって上がって〜」

しずく「お、お邪魔します」

遥「──へ?」


彼方「あっ! 遥ちゃん! ただいま〜」ニコッ

遥「お、おかえりなさい。お姉ちゃん」

しずく「えっと、こ、こんばんは! 桜坂しずくです」

遥「は、はい! こんばんは……」

遥(え? な、なんでしずくさんがウチに?)

遥(あっ! えっと、とりあえずあれ言わなきゃ!)

遥「姉がいつもお世話になっております」ペコリ

しずく「い、いえいえ! 私の方こそ彼方さんには良く助けて頂いています」ペコリ
0011名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:28:33.53ID:su9XaUir
遥(虹ヶ咲学園の1年生。私と同級生の桜坂しずくさん)

遥(数回くらい話した事はある。とても綺麗で可愛らしい方だなって印象が残ってる)

遥(確か鎌倉に住んでるって前にお姉ちゃんから聞いた気が……する)

彼方「もー、同じ1年生同士なのに2人とも硬いよ〜?」

彼方「遥ちゃん。さっきメッセージは送ったんだけどね。実は今日しずくちゃん、ウチに泊まることになったんだ〜」

遥「えっ?」

遥(め、メッセージ? あっ! 途中から急いでお風呂掃除しに行ったから見れてないや……)

しずく「急に押しかけてしまってごめんなさい遥さん。実は今度調理実習があるんですけれど、私あまり料理が得意じゃなくって……」

しずく「それでお料理がとっても上手な彼方さんに教えて頂きたいなってお願いをしたんです」

彼方「承ったって感じだよ〜」

彼方「そんで、今日はお母さんも泊まりでお仕事あるし、丁度いいかなって思って泊まりに来ちゃいなよ〜って流れになったんだ〜」

しずく「いや、ほとんど強制の流れだったじゃないですか……」

彼方「だってしずくちゃんともっと一緒にいたかったんだも〜ん!」ギュッ

しずく「ちょ、か、彼方さん!? 急に抱き着かれると恥ずかしいって何回も言ってますよね!?」

彼方「照れるなって〜」

しずく「照れてません! もー……」プクー

彼方「照れてるしずくちゃんも可愛いね〜」ニコニコ

遥(え? なにこれ?)
0013名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:40:23.82ID:su9XaUir
遥(目の前でイチャイチャするお姉ちゃん)

遥(カップルかな? 付き合ってるの? ってくらいイチャイチャしてるんだけど)

遥(相手のしずくさんも満更ではない様子だし)

遥(なにこれ)

遥(何を見せられているの? 私……)

遥(いや、まぁ待て待て落ち着こう近江遥)

遥(お姉ちゃんは世界一優しい人。単純にしずくさんへ料理を教えようって思ってるだけだよ。そうに決まってるよね?)

遥(後輩として可愛がってるだけ。うん。そうに決まってるよ)

遥「ね、ねぇお姉ちゃん」

彼方「ん〜?」

遥(とりあえずウチに上がったらって声をかけなきゃ)

遥(平常心。平常心だよ近江遥)

遥(2人は仲良しの後輩と先輩。それだけだよ!!)

遥「2人は付き合ってたりするの?」

彼方「」

しずく「へっ!?」

遥(間違えたああああああああ!!)
0015名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:45:36.63ID:su9XaUir
遥(な、何言ってるの私!? あぁもう! 本当にテンパると変なこと言っちゃう癖治したいよー!!)

遥(て、訂正しなきゃ! はや──)

彼方「そ、そんなわけ……ないじゃん。もー……」

彼方「遥ちゃん? 変なこと……言っちゃダメだよ?///」

遥「お姉ちゃん、かわいい!!」

しずく「遥さん!?」
0017名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 01:57:06.87ID:su9XaUir
遥(いつも余裕のあるお姉ちゃんが恥ずかしそうにしてる……貴重過ぎるよ!)

遥(……ん? ちょっと待って?)

遥(お姉ちゃんが、恥ずかしがってる!?)

遥(お姉ちゃんが!?)

彼方「ほ、ほらしずくちゃん! 上がって上がって〜」

しずく「はいっ。お邪魔します」

遥「……」ジー

遥(お姉ちゃんに特別な表情を作らせる子。桜坂しずくさん)

遥(何者?)

遥(まさか、ただのスクールアイドルじゃない?)

遥「……」ジー

遥(これは見極める必要があるね)

遥(お姉ちゃんに相応しい子かどうか……!!)ジー

しずく(な、なんかすごい遥さんに見られてる……)

しずく(急に来ちゃったから怒ってるのかな……?)
0018名無しで叶える物語(茸)
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2022/01/11(火) 02:01:00.24ID:ibdpTDGv
小姑遥ちゃんいいぞ
0019名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 02:09:31.01ID:su9XaUir




彼方「それじゃあ、一緒にお料理を作ろっか」

彼方「しずくちゃん……と〜……」

しずく「え、えっと…」

遥「……」ニコニコ

彼方「遥ちゃん……?」

遥「なぁに? お姉ちゃん」ニコニコ

彼方「休んでていいんだよ? お料理ならいつでも教えるし、3人だと台所も狭いし……」

遥「ううん! お客様であるしずくさんのお手伝いもしたいし、私も勉強したいから」ニコニコ

遥「ねっ? お姉ちゃんお願い」

彼方「うっ……遥ちゃんからお願いされると断れないよ……」

彼方「わかった。なら一緒にやろっか〜」

遥「ありがとう! お姉ちゃん!」

しずく「遥さん! 一緒に頑張りましょう」ニコッ

遥「はいっ」ニコニコ
0020名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 02:24:15.39ID:su9XaUir
遥(さぁ、桜坂しずくさん)

遥(私は細かく見ていきますよ)

彼方「あっ、しずくちゃん? 指とか切らないように気を付けてね?」

しずく「分かりました。ありがとうございます」ニコッ

彼方「綺麗なしずくちゃんの指に傷がついたら彼方ちゃん耐えられないよ〜」

しずく「もー……何言ってるんですか」

遥「……」

遥(めちゃくちゃ可愛がってもらってる……!)

遥(羨ま──ううん! ずるい!!)

遥(あ、いやそれも違う!)

遥「……」ジー

遥(ううん。違くない)

遥(私ももっと可愛がってもらいたい)

遥(この子は、ライバルかもしれない……!)

遥「……」ジー

しずく(うぅ……すっごく見られてる……どうすればいいんだろ)

彼方(遥ちゃん、しずくちゃんと仲良くなりたいのかな? ずっとしずくちゃんを見てるし、きっとそうだよね〜)ニコニコ
0022名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 02:30:16.00ID:su9XaUir
遥(突然現れたライバル)

遥(お姉ちゃんと同じ学校の同級生。桜坂しずくさん)

遥(まだどんな子かあんまり知らないけれど)

遥(悪い子だったら……!)

遥(まぁそんな事ないと思うけど、見させてもらうよ)

遥(桜坂しずくさん!!)
0023名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 02:35:44.72ID:su9XaUir
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

〜数週間後〜

彼方「ただいま〜」

しずく「今日もお邪魔します」ペコリ

遥「お姉ちゃん、おかえりなさいっ」ニコッ

遥「あっ、しずくさん! この前教えて頂いた映画観ましたよ!」

しずく「えっ!? もう観てくれたんですか? ありがとうございますっ」

遥「こちらこそありがとうございます……本当に面白かった……」

遥「感想会しましょ! 上がってくださいっ」ギュッ

しずく「はい。お邪魔します」ニコッ

スタスタ

彼方「……」

彼方(あの二人、最近めちゃくちゃ仲良しさんだ。お姉ちゃん少し寂しいんだぜ……)
0024名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/01/11(火) 02:52:01.30ID:KCK1vsSE
近江姉妹SSすき
0025名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:01:28.22ID:su9XaUir
遥(しずくさんは本当に良い人だった)

遥(優しくってお淑やかで、落ち着いている子なのに少しだけおっちょこちょいな所もあって)

遥(同級生なんだなって思えるのが親近感湧くし)

遥(一緒に話していて楽しかった)

遥(すぐに仲良くなれた)

遥(お姉ちゃんが彼女を可愛がる気持ちも、分かる気がする)

しずく「彼方さん。どうですか? 今日の料理」

彼方「……ふっふっふ……」

しずく「か、彼方さん?」

彼方「すっっっっっごく美味しいよ! 100点!」

しずく「ほ、本当ですか!?」

遥「やったね! しずくさんっ」

しずく「うん! 良かったぁ……」
0026名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:06:26.09ID:su9XaUir
彼方「上達が本当に早いねしずくちゃんは」

しずく「そんなことないですよ」

しずく「お料理を教えてくれた彼方さんのご指導あっての事ですし、一緒に頑張ってくれる遥さんが居たから頑張れたんです」ニコッ

遥「!!」

しずく「彼方さん。遥さん! 本当にありがとうございます!」

遥「……」

彼方「い、いやはやぁ……照れちゃいますな〜」

遥(本当に……この人は。どこまで良い人なんだか)

遥「──しずくさん!」

ギュッ

しずく「へ!?」

遥「これからも友達として、一緒に、お料理頑張りましょうねっ!」

しずく「!! ──うんっ!」ニコッ

彼方「いやはや、微笑ましいなぁ〜」

彼方「……さて、と」

彼方「こらー! 2人だけぎゅっとしててずるいぞ〜! 彼方ちゃんもまーぜて!」

ギュッ

遥「わわっ!?」

しずく「わぷっ!」

遥「も、も〜。お姉ちゃん?」

しずく「彼方さん? 急に危ないですよ?」

彼方「えへへ〜。ごめんねごめんね〜」

遥「これ絶対ごめんねって思ってないですよね、しずくさん」

しずく「ですね」


──あぁ、幸せだなぁ。

友達が新しくできて、お姉ちゃんがいる。

この瞬間が、幸せを実感出来る。

ずっとこの瞬間が続けばいいのになぁ──
0027名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:11:03.31ID:su9XaUir
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

しずく「それでは、お邪魔しました」

遥「この後の家事の事とか任せちゃってごめんね? お姉ちゃん」

彼方「良いんだよ〜。しずくちゃんを駅まで送るのよろしくね? 遥ちゃん」

遥「うんっ。任せて」

しずく「遥さん。いつもありがとうございます」

遥「平気ですよっ。じゃあ、行きましょうか」

しずく「はいっ! では、お邪魔しました」ニコッ

彼方「またね〜」

バタンッ

彼方「さて、と。色々やりますかぁ」

彼方「……ふふっ」

彼方「幸せだなぁ」
0028名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:21:49.23ID:su9XaUir




しずく「それでね、その時にかすみさんがコッペパンをバッグに忍ばせていたんですよ? 信じられます!?」

遥「あはは……それは、ちょっとびっくりしちゃうかもしれませんね」

遥(しずくさんが泊まらない日は夜に駅まで送っていく、というのも最早いつもの流れになっている)

遥(最初は色々と聞き出したり見極めたりするために提案した事だったけど)

遥(今では純粋に楽しい時間になっている)

遥「……しずくさん」

しずく「なんですか?」

遥「私、今すごく幸せなんです」

しずく「へ?」

遥「しずくさんと友達になれて、お姉ちゃんと楽しく過ごせる日々があって」

遥「本当に、幸せです」

しずく「……」
0029名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:28:03.20ID:su9XaUir
しずく「私もですよ。遥さん」

しずく「私も幸せです」

遥「しずくさん……」

しずく「遥さんとも仲良くなれて、優しい先輩や同級生に囲まれていて」

しずく「本当の自分で過ごせる日々が……すごく幸せ」

遥「本当の自分……?」

しずく「うん。私ね、前まで嫌われるのが怖くって良い子を演じてたんだ」

しずく「けど、もうやめたの。自分らしく生きるって決めたんです」

遥「……しずくさん」

しずく「?」

遥「良い子を演じなくなったって仰ってますけど、しずくさんめちゃくちゃ良い子だと思うんですけど」

しずく「彼方さんにも同じこと言われました……」
0030名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:36:47.09ID:su9XaUir
しずく「そうなんですよね」

しずく「演じる事をやめても、結局私は変わらなかったんです」

しずく「演技していたつもりで、予防線を張っていただけで……私は何も変わらなかったんです」

遥「元から良い子だったってことですね。納得です」

遥「しずくさん、本当に良い子だもん」

しずく「あんまり実感は湧かないんですけど……」

遥「しずくさん」

しずく「?」


少し、共感できる部分があった。

私も、良い子を演じちゃう時がある。

お姉ちゃんの前でもそうだし、クリスティーナさん達の前でもそう。

期待に応えるために、“良い子”になろうとする時がある。

──しずくさんも同じだったんだ。

完璧超人に思えるしずくさんも、同じだったんだ。

凄く、親近感が湧く。
0031名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:46:17.28ID:su9XaUir
遥「なんか凄く安心した」

遥「ねぇ、しずくさん!」

遥「これからも──」


友達として仲良くしてねって、言いかけた瞬間だった。

後ろから私達に近づく何かが見えた。


遥「!!」


歩道と車道に別れているのに、真っ直ぐこちらに向かってくる何か。


しずく「へ?」


しずくさんも気が付いたみたいだけど、身体が先に動いたのは私だった。


遥「──しずく“ちゃん”!!」


しずくちゃんの身体を押してからの感覚は、分からない。

何が起きたんだろう。

身体に浮遊感があって、何が起きたか分からないしずくちゃんのぽかんとした表情が逆さまに見えて──

──私の視界は真っ暗になった。
0032名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:49:02.77ID:su9XaUir
『えへへ〜。◾︎◾︎◾︎ちゃん』

『か◾︎◾︎◾︎ゃんは、お◾︎◾︎ちゃんな◾︎だって〜』

『◾︎◾︎◾︎ちゃんは◾︎◾︎◾︎◾︎をまもるこなんだって◾︎◾︎◾︎さんがいってたの! だから』

『◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎は、かなた◾︎◾︎◾︎が◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎あげるね〜』ニコッ

『だから◾︎◾︎し◾︎してね。◾︎◾︎◾︎ちゃんっ』
0033名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/11(火) 03:54:09.88ID:su9XaUir
遥「……?」

ピー、ピー

遥「……」


ここは、どこだろう。


「遥ちゃん……?」


遥「……?」


綺麗な女の人が、こっちを見つめている。

目が、真っ赤だ。

でも、綺麗な目だ。好きな目。


彼方「は、遥ちゃん!!」

遥「ぇ……?」


急に抱きしめられる。

苦しい。


遥「……」


ここは、どこ?


遥「……」


私は誰?


遥「……誰、ですか?」


──あなたはだれ?
0036名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/01/11(火) 04:38:17.62ID:Pc0EG4kd
車?
0038名無しで叶える物語(光)
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2022/01/11(火) 08:28:06.96ID:jOJHbHaa
壮大なストーリーになりそうだぜ…
0047名無しで叶える物語(あら)
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2022/01/13(木) 01:15:36.23ID:ffWkHzMm
期待
0049名無しで叶える物語(茸)
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2022/01/13(木) 17:44:46.97ID:90ihwu+b
目が覚めたら謎のグラサンが目の前にいて
お前は10年前に死んだ

とかいうオチじゃなくてよかった…
0050名無しで叶える物語(茸)
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2022/01/13(木) 23:02:48.59ID:QPhd2U4h
支援
0054名無しで叶える物語(あら)
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2022/01/15(土) 19:21:31.30ID:MYYQlvgO
待ってるぞ
0060名無しで叶える物語(庭)
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2022/01/18(火) 03:36:39.46ID:iT4Ef44u
1週間経ったからダメな気がする
面白そうな導入だから期待したんだけどなぁ
残念だ
0064名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 22:20:22.02ID:cgGt38GA
暫く更新出来ず申し訳ございませんでした。
保守や書き込みありがとうございました。
今から再開していきます。
0065名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 22:21:11.64ID:cgGt38GA
遥「……」


目が覚めると、知らない場所にいた。

そして、自分が誰だか分からない。

そんな私は、今ベッドの上にいる。

なぜこんな所にいるのだろう?

分からない。


遥「……」

遥(さっきの綺麗な人は、誰なんだろう)

遥「私の事を……ハルカ? って呼んでた気がする」

遥(私は、ハルカって言うの?)


何も、分からなかった。
0067名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 22:25:50.03ID:cgGt38GA
彼方『な、何言ってるの……?』

彼方『は、遥ちゃん……冗談は……やめてよ……』

遥『へ? え……?』

遥『あの……本当にすみません。ここはどこなんですか?』

遥『あなたは……誰なんですか?』

彼方『』


その後、綺麗な人は泣き出してしまった。

私は困惑を隠せなかった。

どうしていいのかも分からなくて、ずっとあたふたとしてしまった。
そんな私の様子を見る度に、その人は悲しい表情で私を見つめ、涙を流していた。
0068名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 22:33:15.53ID:cgGt38GA
遥(あの人、なんで泣いてたんだろ)

遥(どっか行っちゃったし……)

遥(何も分からない)

遥「……」

遥(でも)

遥(あの人が泣いている姿を見た時)

遥「……」ズキ、ズキ

遥(なんか──胸が痛かった)

遥(泣かないで笑ってほしかった)

遥(そんな気持ちでいっぱいになった)

遥「また会えるかな……?」

コンコンコン

遥「!!」

遥「い、います!」


私は何を言っているんだろうか。

ノックが聞こえ、ビックリしてしまいつい変な事を言ってしまった。

その後部屋に入っていいかと声が聞こえ、私は了承し部屋に誰かが入ってくる。

白衣を着た女性の方だった。赤色の髪がよく目立った。
0072名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 22:48:15.18ID:cgGt38GA
遥「あっ」

彼方「……」


先程の女の人もいた。本当に綺麗な方だ。

なんか、見てるだけで安心感がある。

──お話したいなぁ。

そんなことを思っていると、白衣を着た人が話しかけてきた。


「近江遥ちゃん。目が覚めて良かったわ」

遥「へ?」

遥「目が覚める?」

遥(それって別に普通のことなんじゃ……)

遥(人は寝たら起きるもんだよね?)

遥(あれ……?)


──私、何して寝たんだっけ?

そもそも、どこでどうやって寝たんだっけ?


遥「……」ポカーン

「……まだ本調子じゃなさそう……まぁそれもそうよね」

遥「へ? あっ……ご、ごめんなさい。少し考え事しちゃって」

「考え事? あら、そうだったのね。何を考えていたのか教えてくれないかしら」

「ちょっとお話しましょ?」

遥「は、はぁ」

「よろしくね。遥ちゃん」


白衣の女性は慣れたようにウインクをして、ベッドの近くに折りたたみ式の椅子を置き腰をかける。


彼方「……」


遥「……」ジー


綺麗なあの人は、私を静かに見つめていた。
0073名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 23:02:02.58ID:cgGt38GA
「さっきまで何を考えてたの? 差し支えなければ教えてくれないかしら」

遥「えっと、その……いいんですけれど……あなたは……」

「あぁ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私は医者よ。西木野って言うの。よろしくね。遥ちゃん」

遥「医者……? ハルカ……?」

彼方「っ……」

「……やっぱりそうなのね」

遥「へ?」

「遥ちゃん。あなたの名前は近江遥よ」

遥「コノエハルカ?」

遥「それが私の名前……?」

「えぇ」

「遥ちゃん。落ち着いて聞いてちょうだい」

遥「え?」

「あなたは事故にあって暫く眠っていたの。強く頭を打ってね……」

遥「事故? 私が……?」


信じられなかった。

だって、どこも痛くないもの。
0074名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 23:11:30.49ID:cgGt38GA
遥(けど、この人は自分を医者だと言っていた。確かにこの部屋も病室みたい)

遥(嘘つく必要もないと思うし……)

「信じられないって顔してるわね」

遥「そりゃ……」

「1ヶ月」

遥「へ?」

「あなたが事故にあってから目を覚まさなくなった期間よ」

遥「」


1ヶ月……? 1ヶ月!?


遥「その間ずっと眠っていたんですか!?」

「えぇ」

遥「えぇ……」

「車とぶつかって、頭を強く打ったの。身体の方は軽傷で、打撲とかはもう治ってるわ。眠っている間にね」

遥「……」
0075名無しで叶える物語(しまむら)
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2022/01/18(火) 23:18:19.64ID:cgGt38GA
「目を覚ましてくれて、本当に良かったわ」

「この子も本当に喜んでいると思う」

彼方「……」

遥(いや、そんな風には見えないんだけれど……すごく寂しそうだもん)

「すぅ……はぁ」

彼方「へ? ど、どうしたんですか……?」

「なんでもないわ。ちょっと深呼吸しただけ」

遥「は、はぁ……」

「遥ちゃん」

遥「……」

「あなたの事よ」

遥「え!? あっ、そっか……は、はい!」

「落ち着いて聞いてちょうだい。必ず何とかするから、取り乱さないように」

遥「は、はい……」

「今のあなたは、恐らく記憶障害を起こしているわ」

遥「──へ?」

「わかりやすく言うと、記憶喪失になっている」

遥「き、きおくそうしつ……?」

「えぇ」コクリ
0076名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/18(火) 23:31:03.68ID:cgGt38GA
「エピソード記憶障害というものがあってね。体験してきた出来事をきちんと思い出せないことを指すの」

遥「わ、私がですか……?」

「あなたの名前はなにかしら?」

遥「こ、コノエハルカと聞きました」

「それ、覚えてた?」

遥「……」フリフリ

「なら、この子は分かる?」

遥「へ……?」

彼方「……」

遥「……分からないです。思い出せない……頭に浮かんでこない……」

彼方「……ッ……」ジワァ

遥「あっ……」


またあの人が泣きそうになっている。
胸がズキズキと痛みだす。
いや、やめて。

遥「な、泣かないでください……」

彼方「へ?」

遥「あなたが泣いてる姿……見たくないです」

遥「なんか、嫌なんです……あなたが悲しむの……」

彼方「遥ちゃん……」

遥「だ、だから……」

遥「泣かないで」

彼方「っ……!」

彼方「うん……」コクリ
0078名無しで叶える物語(あら)
垢版 |
2022/01/19(水) 01:30:46.49ID:izRteTaQ
続き待ってた!
0080名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/19(水) 07:33:23.91ID:fH6fxxzS
「遥ちゃん……」

「この子はね──」

彼方「先生。待ってください」

彼方「自分で言います」

「……わかったわ」

遥「……」


先程までの寂しそうな表情とは一転し、真剣な眼差しで私を見つめてくる。

──かっこいい。綺麗な瞳になんか吸い込まれる。

目が合うと少し恥ずかしくなって、顔が熱くなってくる。

なんてだろ。不思議だ。
0081名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/19(水) 07:44:49.12ID:fH6fxxzS
>>80 誤字修正。

× → なんてだろ。不思議だ。

○ → なんでだろ。不思議だ。
0082名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/19(水) 07:56:12.61ID:fH6fxxzS
彼方「遥ちゃん」

遥「はい」

彼方「かな……ううん。私は」

彼方「私の名前は──」

彼方「近江彼方って言うの」

遥「コノエ、カナタ?」

遥(私と同じ苗字……?)

彼方「あなたはね……」

彼方「私の大切な子」

彼方「たった一人の──大好きな妹」

遥「妹……?」

彼方「そう」

彼方「私はね……遥ちゃん」

彼方「あなたのお姉ちゃんなんだよ?」


──これがおねーちゃんとの出会いだった。

いや、再開って言った方がいいかもしれないね。
0084名無しで叶える物語(あら)
垢版 |
2022/01/20(木) 01:00:46.07ID:9Sof84So
支援
0095名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/25(火) 22:03:43.50ID:iK+wQp2g
>>82 誤字修正

× → いや、再開って言った方がいいかもしれないね。

○ → いや、再会って言った方がいいかもしれないね。
0101名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/27(木) 01:49:59.31ID:KGpyYFQf
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「それじゃあ遥ちゃん。今から色々と質問をしていくけれど……大丈夫?」

遥「……大丈夫です」

遥(コノエカナタさん……私のおねーちゃん)

遥(その事を告げ、私のおねーちゃん? はどこかへ行ってしまった)

遥「……」

遥(追いたかったけれど、先生に止められた)

遥(今は一人にさせてあげましょうって言われた)

遥(……分からない。分からないよ)

遥(なんで追いかけちゃダメなの?)

遥(私はなんであの人の事を思い出す事が出来ないの……?)

遥(事故にあったことなんて……知らないよ……)

遥(なのになんで──)

「遥ちゃん? 本当に大丈夫?」

遥「……ごめんなさい。色々と考え込んじゃいました」
0102名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/27(木) 01:53:06.41ID:KGpyYFQf
遥「ご心配をお掛けしました。大丈夫です。何でも聞いてください。……答えられる内容を答えていきます」

「……わかったわ。じゃあ、今から質問するから、分からないことは分からないと正直に答えてね」

遥「……はい」コクリ


そうこうして私は質問攻めを受ける。

簡単な質問から難しい質問等、幅広く問われた。

家族の事は彼方ちゃん以外のことは覚えているか。ペンはどう使うのか。好きな事は覚えているか。

本当に色々と聞かれた。

その結果、分かったことがある。
私は日常生活の中で行われる行動や勉強した内容は覚えていた。

でも周りの人達のことは何も思い出せなかった。

お母さんもお父さんも──おねーちゃんのことだって思い出せなかった。

なんだか心にぽっかりと穴が空いてしまったみたいで、話せば話すほど辛くなって来る自分がいた。
0106>>1(茸)
垢版 |
2022/01/27(木) 08:22:29.24ID:TjRBpTaJ
遥「……」

「こんな質問ばかりして本当にごめんなさい。でも──」

遥「大丈夫です。分かっています」

「……」

遥「状況把握は……大事ですから。先生の気持ちは察せます」

「……しっかりしているわね」

遥「そんな事ないですよ」

遥「何をすればいいのか分からないから、こうしているだけですから……」

「……ごめんなさい。起きたばっかなのに色々聞きすぎちゃったわ」

遥「平気です……」

「遥ちゃん。最後にもう一回だけ聞くわね?」

「自分の周りにいた人たちのこと、やっぱり覚えていないのよね?」

遥「……」


その問いに対し、私はもう一度考え込む。

自分の名前すら覚えていなかった。

優しそうなあの人の名前だって分からなかったのに、覚えている人だなんて──
0107名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/27(木) 08:42:47.65ID:TjRBpTaJ
◾︎◾︎◾︎『今◾︎◾︎お◾︎◾︎◾︎ます』◾︎◾︎◾︎

◾︎『◾︎◾︎◾︎◾︎ん、おかえ◾︎◾︎さいっ』ニ◾︎ッ

◾︎『あっ、◾︎◾︎◾︎さん! この前教えて頂いた◾︎◾︎観ましたよ!』

◾︎◾︎◾︎『えっ!? もう◾︎◾︎くれたんですか? ありがとうございますっ』


──きれいなこ。


◾︎『私、今すごく幸せなんです』

◾︎◾︎◾︎『へ?』

◾︎『◾︎◾︎◾︎さんと友達になれて、◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎と楽しく過ごせる日々があって』


──ともだち。


◾︎『本当に、幸せです』


──しあわせなひび。
0108名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/27(木) 08:49:44.01ID:TjRBpTaJ
◾︎◾︎く『……』

◾︎ずく『私もですよ。遥さん』







しずく『私も幸せです』







遥「」
0109名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/27(木) 09:02:26.25ID:TjRBpTaJ
「──ちゃん? 遥ちゃん!?」

遥「」

「ちょ、ちょっと遥ちゃん!? 大丈──」

遥「しずく」

「へ……?」

遥「しずくさん」

遥「桜坂……しずくさん」

「桜坂しずくさん……?」

遥「先生……私……」

遥「その人の事なら、少しだけ覚えています」

遥「私の……友達? だったのかな……?」

遥「うん。そうに決まっている……」ブツブツ

「……」

遥「名前は……しずくさん」

遥「──桜坂しずくさんです」
0110名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/27(木) 09:06:48.16ID:TjRBpTaJ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

「……」

「またここに来ちゃった……」

「でも、中に入る勇気なんて……」

「言わなきゃいけないのに……私は……」




しずく「本当にごめんなさい……」

しずく「……遥さん……」
0119名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/29(土) 23:01:43.40ID:Yebe/0ak
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ…

彼方「……」

彼方(病室、抜け出してきちゃった)

彼方(ずっと目が覚めるのを待っていた遥ちゃんが、ようやく目を覚ましたのに)

彼方「記憶喪失……?」

彼方「漫画とかドラマでしか見たことなかったような事が……なんで……」

彼方(遥ちゃんは私の事を覚えていなかった)

彼方「な、なんでぇ……!」ポロ、ポロ

彼方「っ……!!」

彼方「…………」ゴシゴシ

彼方(泣いちゃダメだ)

彼方「私はお姉ちゃんなんだから……泣いちゃダメ……」

彼方「……」

彼方「私はお姉ちゃんなんだから」
0120名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/29(土) 23:05:29.53ID:Yebe/0ak
彼方「…………」

彼方(お母さん、今日も仕事だって言ってた。遥ちゃんが起きた事を連絡しても既読が付かない。電話にも出ない)

彼方「……ッ……!」ギリッ

彼方(遥ちゃんが大変だっていうこんな時にも休めないの?)

彼方(私はアルバイトを休んでいるのに、大人は休めないの?)

彼方(そうまでしないと、生活できないの?)

彼方(私達のために働いてくれているのは分かるけれど……)

彼方(それが“大人”の在るべき姿なの……?)

彼方「そうだとしたら」

彼方「……大人になんかなりたくないよ」

彼方「……遥ちゃん。……私、ずっと子供のままでいたいよ……」

彼方「…………」

スタスタ
0122名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/29(土) 23:19:32.39ID:Yebe/0ak
彼方「あっ……」



しずく「……」ポツン



彼方「しずくちゃん……」

彼方(窓から見える)

彼方(今日も来てくれたんだ)

彼方「……」

彼方(でも、今日も帰っちゃうのかな?)

彼方(やだ。帰らないで)

彼方「話したい」

彼方(帰らないで、しずくちゃん)

彼方「す、スマホ……!」ゴソ、ゴソ

彼方「!! あった」

彼方「……」スッ、スッ

prrrr

彼方(あっ、しずくちゃんびっくりした)

彼方(お願いしずくちゃん。──電話に出て)

彼方(お願い)

彼方「私をひとりにしないで」






──ピッ

しずく『は、はい』

彼方「!!」
0124名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/29(土) 23:33:27.52ID:Yebe/0ak
彼方「こんにちは〜しずくちゃん〜」

しずく『……はい。こんにちは』

彼方「あはは……なんか久しぶりだね〜」

しずく『……はい』

彼方「……」

しずく『……』

しずく『か、彼方さん! わた──』

彼方「遥ちゃんが目を覚ましたよ」

しずく『』

しずく『ほ、本当ですか!?』

彼方「うん」

彼方「でもね、覚えていないの」

しずく『え?』

彼方「彼方ちゃんの事、覚えてないんだって」

彼方「なんにもわからないんだって」

しずく『』

彼方「記憶喪失……なんだってさ……」
0125名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/01/29(土) 23:44:20.94ID:Yebe/0ak
しずく『そ、そんな……』

彼方「……」

しずく『なんで……』

彼方「しずくちゃん」

彼方「一緒に来て……」

しずく『!!』

彼方「彼方ちゃんをひとりにしないで……」

彼方「お願い」

しずく『か、彼方さん……』

彼方「お願い……」
0130名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 08:46:59.90ID:INX0Zp5p
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「遥ちゃん。色々と聞かせてくれてありがとう」

遥「いえ……」

「とりあえず、さっき話した通り当面の間は入院よ。またお母様や彼方ちゃんが来た時に話し合いましょう? いい?」

遥「わかり、ました」


言葉が詰まる。けど、どうしようもないから返事はする。
──前の私もこんな感じで流されちゃってたのかな?


コンコンコン

「はーい? どうぞ」

ガラガラ

遥「!!」

彼方「え、え〜と……か、彼方ちゃん戻りました〜」ニコッ

遥(あっ、えっと……お、おねーちゃんだよね?)

遥(あの人が私のおねーちゃん、なんだよね?)
0131名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 08:54:54.48ID:INX0Zp5p
遥「え、えっと……」

遥「お、おねーちゃん……で……いいん、ですよね?」

彼方「……う、うん! そうだよ〜」ニコッ

遥「よ、よかった。……お、おかえりなさい」

彼方「……うん。ただいま」

遥「……」

彼方「……」

「……」


──なんか、気まずいや。


彼方「そ、そうだ遥ちゃん! 今ね、遥ちゃんのお見舞いに来てくれた子がいるんだよ〜」

遥「へ?」

「あら、そうなの? よかったわね。遥ちゃん」

彼方「ほらほら、そんな所に隠れていないでこっちおいで〜?」

彼方「“しずく”ちゃん」

遥「」

「へ?」

スタスタ

「か、彼方ちゃん! ダ──」



しずく「こ、こんにちは……」

遥「」


──その姿を見た瞬間、この子が誰だか“わかった”。
0132名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 09:04:30.11ID:INX0Zp5p
遥「桜坂、しずくさん……?」


──その一言で、理由は分からないけれど空気が凍った気がした。なんでだろ?


しずく「へ……?」

「……」


──先生が顔を俯かせている。なんでだろ?


遥「し、しずくさんですよね!?」

遥「全部じゃないですけれど、あなたのことは覚えているんです……!」

遥「あ、あってますよね!?」


──私は嬉しかった。分かる人が目の前に現れたんだもん。さっき思い出せた子が、こうして来てくれたんだもの。自然と笑顔が零れる。

おねーちゃん? にしずくさんの事が分かる事を伝えようと思い、私は彼女の方に顔を向けた。




彼方「」




──おねーちゃんの顔は真っ青になっていた。

──なんでだろ?
0133名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 09:09:41.30ID:INX0Zp5p
遥「お、おねーちゃん……?」

彼方「……んで?」

遥「へっ?」

彼方「なんで?」

スタスタ

遥「え? へ……?」

彼方「な、なんで……?」


おねーちゃんが私の目の前にやってくる。


「か、彼方ちゃん! い、一旦今は──」

彼方「──静かにして下さいッ!!」

遥「ひっ……!!」ビクッ!!

「ッッッ」


──怖い。
0134名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 09:27:22.11ID:INX0Zp5p
彼方「は、遥ちゃん……?」

彼方「私の事は……? わ、分かるよね?」

彼方「近江彼方だよ?」

ガシッ

彼方「は、遥ちゃんのお姉ちゃんだよ? ずっと一緒に過ごしてきた……家族だよ?」

遥「ご……ごめんなさい」


なぜだか知らないけれど、謝ってしまった。


彼方「あ、謝らなくていいんだよ?」

彼方「ただ──」ギュゥゥッ

遥「お、おねーちゃん……い、痛い……!」

彼方「“私の事も”、覚えてるよね?」

遥「わ、わかんないよ! 私、わかんない!!」

彼方「」

彼方「な……なんで……?」

彼方「なんで? なんで……?」

彼方「なんで……なんでなんでなんで!!」

彼方「──なんでッ!!」

遥「ひっ!!」

遥「こ、怖いです!!」


──つい、叫んでしまった。

凄い剣幕で迫られて、怖かった。


しずく「……ごめんなさい……」


──そんな中、しずくさんの謝罪が病室に響き渡った。
0136名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/01/31(月) 09:45:36.73ID:INX0Zp5p
しずく「ごめんなさい」

しずく「ご、ごめんなさい……」ポロ、ポロ

しずく「ひっぐ……! ごめんなさい……ごめんなさい……!」

彼方「あっ……」

遥「し、しずくさん……?」


しずく「ごめんなさい……ごめんなさい…っ…!!」


しずくさんの涙が、床に落ちていく。

──雨のように、大粒の涙が落ちていった。


彼方「あっ、いや……ち、違うのしずくちゃん……。その……な、なんで私……!」スタ、スタ

彼方「ご、ごめんなさい……」

彼方「ごめんなさい!!」バッ

タッタッタッタ

遥「あっ……」

しずく「か、彼方さん!」

「彼方ちゃん! ごめんなさい。私、追いかけてくるわ。桜坂さんはここにいてちょうだい」タッタッ

しずく「……」

遥「……」



しずく「ごめんなさい」



──これが私が眠りから目を覚ました? 一日目の出来事だった。
0138名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2022/01/31(月) 11:43:46.42ID:nXDRDO9P
辛えわ…
0141名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 08:37:39.84ID:RNuFEJuH
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

あれから少し時間が経ちました。

今日も私は病室で目を覚ます。

私はまだお家にも帰れないし、学校にも行けないようです。

だけど──帰れたとしても、学校に行けたとしても、今と変わらず居心地は良くないんだろうね。


遥「……」


ベッドから上半身を起こし、周りを見渡す。

個室。誰もいない、静かな病室。

──誰もいない。


遥「…………」


窓の外を見つめる。

どんよりとした曇り空で、正直見ていて気分が良くなるものではなかった。

──そんな中、私を呼ぶ声が耳に届いた。


「遥さん」


私は声が聞こえた方へ顔を向ける。


遥「あっ……!」


自然と頬が緩んだ。


しずく「おはようございます。遥さん」ニコッ


桜坂しずくさんが、“今日も会いに来てくれた”。
0142名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 08:44:34.33ID:RNuFEJuH




遥「──でね、もう休憩室に置いてある絵本は全部読み終わっちゃったんだ! 本当に面白かったなぁ……この歳になって絵本に夢中になるだなんて思わなかったよ」

しずく「ふふっ。そうだったんですね」ニコッ


今日もしずくさんは私に会いに来てくれる。

話を聞いてくれる。

毎日、欠かさず会いに来てくれる。


しずく「ちっちゃい頃も楽しめましたけれど、大きくなってからも楽しめますよね、絵本って。むしろ大きくなってからの方が、物語に込められた想いや伝えたかったメッセージが分かるというか」

遥「そうなの! しずくさんの言う通りなの!」


あれからおねーちゃんとは──会えていない。
0143名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 08:57:48.40ID:RNuFEJuH
遥「……」


あの日から、具体的にどれくらいの時間が経ったのだろう。

私と面会できる人は限られていて、親族と“私が唯一覚えていたしずくさん”だけだった。

徐々に会える人は増やしていく予定だって先生は仰っていたけれど、いつになることやら。

そして、その中でも会いに来てくれるのはしずくさんだけだった。

私の事を“はる”って呼んでくれる綺麗な女性であるお母さんも、私が記憶喪失になったという事を聞いた時は崩れ落ちていた。──そして、会いに来てくれることは無くなった。

私の家は母子家庭と聞いていた。だからお仕事で忙しいのかもしれない。

もしくは──以前の自分を知らない今の私と会うのが嫌なのかもしれない。


遥「……」

しずく「遥さん……?」


ぼーっとしていた私を見て、しずくさんはきょとんとした表情で私の名前を呼ぶ。


遥「……ねぇ、しずくさん」

遥「前の私って、どんな子だったの?」
0144名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 09:10:52.04ID:RNuFEJuH
しずく「え?」

遥「今の私と、そんなに違うの?」

遥「違和感があるの?」

遥「別人みたいなの?」

遥「……だからおねーちゃんもお母さんも、私に会いに来てくれないの?」

しずく「ち、違います!!」ガタッ!!

遥「……」

しずく「遥さんのお母様も、彼方さんも! ……少し忙しいみたいなんです」

しずく「お二人共遥さんと本当は会いたいんですよ」

遥「……」

しずく「それに、遥さんは今も昔も変わっていませんよ?」

遥「……ほんと?」

しずく「はい!」ニコッ

遥「……自分の好きだったものも覚えていないのに……?」

しずく「……」

遥「料理っていうものはわかるけれど、好きだったご飯も覚えていないし、趣味だって覚えていない」

遥「そんな私は……“前の近江遥”と変わっていないの?」

しずく「遥さん……」

遥「ごめんなさい……めんどくさい事を聞いちゃって」

しずく「……遥さんは」

しずく「今も昔も変わらず、私の友達です」

遥「!!」

しずく「私が、そばにいますから」

しずく「私が、支えますから」

しずく「だから……泣かないで?」

遥「っ……!」ポロ、ポロ

遥「うん……! うん…っ…!」ポロポロ

遥「ごめんね……色々忘れちゃって……!」

遥「ごめんなさい……!!」

しずく「…………」
0145名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 09:17:36.09ID:RNuFEJuH
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

スタスタ

しずく「……」

しずく(どうしてこんなことになっちゃったんだろう)

しずく(神様はどうしてこんなにひどい運命を遥さんと彼方さんに与えるの……?)

しずく(事故に遭うということが必然だったんだとしたら、なんで遥さんを巻き込んだの……?)

しずく「私だけが事故に遭えばよかったのに」

しずく「……どうしてあの日……車に気がつけなかったんだろう……」

しずく「話に夢中になっちゃったんだろう……!」

しずく「…………」
0146名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/01(火) 10:07:37.21ID:RNuFEJuH
>>145 修正

× → しずく「……どうしてあの日……車に気がつけなかったんだろう……」

〇 → しずく「……どうしてあの日……もっと早く車に気がつけなかったんだろう……」
0147名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2022/02/01(火) 14:09:33.94ID:6gguPzH5
悲しすぎる
彼方ちゃんは少し時間が必要だとしてもお母さんは何とか時間を作って顔を見せてあげてよ
0148名無しで叶える物語(やわらか銀行)
垢版 |
2022/02/01(火) 16:25:30.53ID:qhzVMyvt
打ち所の問題でしかないとドクターがしっかり説明してあげても納得できないんだろうな
0149名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2022/02/02(水) 00:42:23.16ID:RqhbcG90
しずくちゃんのせいで事故にあったのにしずくちゃんのことだけ覚えてるんだ
みたいなドス黒い感情が彼方ちゃんに生まれてしまいそう
0151名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 08:37:41.99ID:VLIl3ZKh
しずく(遥さんが目を覚ましたあの日から、彼方さんは同好会に来なくなった)

しずく(連絡しても、返事がない)

しずく(3年生の方々は受験シーズンが近づいて来ているから、登校する機会も少ない)

しずく(だから、学校でも会えていない)

しずく(エマさん達も心配していた)

しずく「彼方さん……」




しずく『もー、彼方さん? こんな所でまた寝て……風邪ひいちゃいますよ? 起きてくださーい』ユサユサ

彼方『ん〜? あっ、しずくちゃんだ〜。おはよう〜』ニコッ

彼方『いつも起こしてくれてありがとうね〜』




しずく(ベンチで寝ていた彼方さんを起こしていた日々が、懐かしく感じる)

しずく(……あの頃に戻りたい)

スタスタ
0152名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 08:48:12.08ID:VLIl3ZKh
しずく「……へ!?」


歩いている途中、窓から外の様子を見た。


しずく「彼方さん!?」


──彼方さんの姿が目に映った。


しずく「!!」


私はすぐに走り、彼方さんがいる病院の正門まで向かう。

外はどんよりとした曇り空。今にも雨が降りそうだった。

雨が降っても大丈夫なように傘だって持ってきたのに、それを取りに戻らず、全速力で正門へ向かう。


しずく(彼方さん!)

しずく(来てくれたんだ!)


病院を走る事はダメなことだってわかっている。

だけど──今だけは許してほしいと思った。
0153名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 08:52:08.13ID:VLIl3ZKh
彼方「……」

タッタッタッタ!!

彼方「へっ……?」

しずく「はぁ、はぁ、はぁ……──彼方さん!!」

彼方「しずく、ちゃん……」

彼方「っ!」クルッ

しずく「ま、待って!! 行かないで!!」

しずく「──遥さんが彼方さんに会いたがっています!!」

彼方「!!」

しずく「はぁ、はぁ……」

しずく「会いたがって、います」

彼方「…………」
0154名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 09:02:52.60ID:VLIl3ZKh
彼方「……図書館に行こうと思っててさ、前を通っちゃったから病院を見ていただけなんだよね」

彼方「……会えないよ」

しずく「な、なんでですか……」

しずく「わ、私が邪魔だからですよね!? 大丈夫です。すぐに帰りますから……だから、遥さんと──」

彼方「違う」

しずく「え?」

彼方「違うんだよ。しずくちゃん……」

彼方「私が行ったとしても、あの子を怖がらせちゃうから」

しずく「そ、そんなことありません! あの時だって遥さんは少し驚いちゃっていただけで、あれは本心じゃありません」

彼方「そんなこと、わからないじゃん」

彼方「直接あの時の私が怖くなかったか、怖かったか……遥ちゃんに聞いたの?」

しずく「そ、それは……」

彼方「あの時の遥ちゃんの表情……本当に怯えてたよ。分かるんだ」

彼方「だって……あの子からあんな表情、向けられたこと無かったもん」

彼方「だから会えないよ」
0155名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 09:48:43.78ID:VLIl3ZKh
しずく「そ、それでも……」

しずく「遥さんは……」

彼方「私は遥ちゃんのお姉ちゃんだから」

彼方「あの子にとって、障害になっちゃダメなの」

しずく「しょ、障害って……そんな!」

彼方「──分かってよッ!!」

しずく「!!」ビクッ

彼方「今の私じゃ……あの子を支えられないんだよ……」ポロポロ

しずく「か、彼方さん……」

彼方「だから……沢山勉強して……あの子の楽しかった日々を取り戻せるようにしなきゃいけないの……それが、今の彼方ちゃんのやるべきことなの……」

しずく「……」

彼方「この前、取り乱しちゃってごめんね」

しずく「……」

彼方「私……しずくちゃんの事も大好きなの。……だからこそ、しずくちゃんとは喧嘩したくないんだ」

しずく「……」

彼方「……遥ちゃんの事、少しの間よろしくね」バッ

タッタッタッタ

しずく「……」


──頬に一粒の雫が落ちてくる。

雨が降ってきた。


しずく「ぐすっ……ひっぐ……!」ポロポロ

しずく「わたし……どうすればいいの……?」


──その声に反応してくれる人は誰もいなかった。
0156名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/02(水) 09:51:42.80ID:VLIl3ZKh
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

prrrrrr!! prrrrrr!!

プー、プー

「まだ繋がらないの?」

「うん……」

「そう。……少し、心配になるわね」

「うん……」



エマ「彼方ちゃん、どうしたんだろう?」

エマ「心配だよ……」
0192名無しで叶える物語(あら)
垢版 |
2022/02/18(金) 07:41:02.34ID:qnOEnPpn
>>191
荒らしやめろ
0193お待たせしてしまって申し訳ないです。保守ありがとうございます(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 08:46:22.48ID:YLdsFpL/
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

遥「雨、降ってきちゃった」

遥(しずくさん、飲み物買いに行くって言ってたけれど……遅いなぁ)

遥「大丈夫かな?」

コンコンコン

遥(あっ、戻ってきた?)

遥「空いてますよ? 入って大丈夫です」

ガチャ

スタスタ

遥「!?」

しずく「……」ポタ、ポタ

遥「し、しずくさん!? びしょ濡れじゃないですか!」

遥「とりあえず拭かないと! えっと……た、タオルタオル」ガサガサ

しずく「大丈夫です」ニコッ

遥「へ?」
0194名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 08:49:51.38ID:YLdsFpL/
しずく「ごめんなさい。傘を忘れてしまって……」

しずく「お手数お掛けしちゃうのも申し訳ないので、大丈夫ですよ」ニコニコ

遥「申し訳ないってそんな……」

しずく「もう、帰りますから」ニコッ

しずく「だから、大丈夫です」ニコニコ

遥「何言ってるんですか? 風邪引いちゃいますよ!?」

しずく「本当に大丈夫ですから」


彼女はずっと笑顔だった。

にこにこと可愛らしい笑顔。まるでテレビの向こうにいるアイドルのようだ。

──何かが頭の中を過る。
0195名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 08:51:17.52ID:YLdsFpL/
しずく『本当の自分で過ごせる日々が……すごく幸せ』

◾︎『本当の自分……?』

しずく『◾︎ん。私ね、前◾︎で嫌わ◾︎◾︎のが怖◾︎って良い子を演じてた◾︎』

しずく『けど、もうやめたの。自分らしく生きるって決めたんです』





遥「…………」

しずく「遥さん?」

遥「ダメです」

しずく「へ?」
0196名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 08:58:28.15ID:YLdsFpL/
遥「今のはしずくさんの本当の気持ちですか?」

遥「本当の自分ですか?」

しずく「!!」

遥「何かあったんですよね……?」

遥「私で良かったら、お話聞きます」

しずく「遥さん……」

遥「……とにかく! 今は身体を拭きましょう。風邪ひいちゃいますから」

遥「私の洋服も貸しますので、着替えましょう」

遥「話はそれからです」

しずく「で、でも私……本当に!」

遥「しずくさん?」ジー

しずく「うっ」

遥「……」

しずく「……え、えっとぉ……」

遥「……」ジー

しずく「……」

しずく「ふふっ」クスクス

遥「へっ?」
0197名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 09:00:49.34ID:MxhRnJJz
向こうのSSは書くの止めたんですか?
まだ10レスも書いてないのに保守出来たからまた放置っすか?
0198名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 09:05:07.86ID:YLdsFpL/
しずく「ご、ごめんなさい。急に笑ってしまって」

遥「それは別にいいんですけど……どうしたんですか?」

しずく「……やっぱり姉妹なんだなぁって思いました」

遥「えぇ!? 私としずくさんがですか!?」

しずく「違いますよ」

遥「???」

しずく「遥さん」

しずく「タオルとお洋服、お借りします」

しずく「そして」

しずく「今までの事、全部話します」



0201名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 09:08:29.58ID:l8ekddfi
また放置して保守荒らしSIM呼ぶ気か?
0204名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/18(金) 12:55:22.18ID:RJ9oRkJb
遥「……そんな」

しずく「すぐには納得出来ないかもしれません」

しずく「すぐには受け入れられないかもしれません」

しずく「でも」

しずく「私が今お話ししたことはすべて事実です」

にこにこと愛らしかった彼女は、語られた真実に茫然としていた。

見開いた瞳は乾きつつも涙が浮かび上がっていた。

話さない方が良かったのではと、誰かが耳元で囁いたような気がした。

しずく「……ごめんなさい」
0206名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2022/02/18(金) 14:25:52.38ID:WUnME8WT
荒らしの話題になった途端書き出して草
やる気ないんだったら最初から書くなよ
0211名無しで叶える物語(もこりん)
垢版 |
2022/02/18(金) 17:29:36.40ID:xInpCJlU
作風も投下方法も書く側の自由ではあるけどさ
わざわざキャラ不幸にして長期放置の上書き終わらない内から並走疑惑っていうのは作者もちょっと迂闊なんじゃないの?
0212名無しで叶える物語(もこりん)
垢版 |
2022/02/18(金) 17:33:42.90ID:bThUj55x
タイミング悪く荒らしに目をつけられたところはあるな
ss総合で相談なんかしなきゃよかったのに
荒らしもss総合は見てるからな
0219名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/19(土) 09:27:21.94ID:Aw/RwI5I
この>>1はエタ宣言なんてせずに逃げて別SS書くからな
律儀な宣言は成り済ましだよ
0220名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/19(土) 09:35:02.15ID:0ysAT+lK
成り済ましではなく本当に>>1です
色々な人に不快な思いをさせたので反省してこれは落とします
0221名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/19(土) 09:41:04.97ID:xhwG0P3a
まぁ正直良くない動きだったよね
もっと早くエタ発言してから別の書くべきだったでしょ
0223名無しで叶える物語(やわらか銀行)
垢版 |
2022/02/19(土) 09:52:37.59ID:lckUuyfA
続き書いてくれよ…
0230名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2022/02/19(土) 16:37:26.94ID:y1alEZim
>>220
これ途中で終わりにすると、楽しみにしてる色々な人を不快にするんだけどそれは良いの?
不快な思いをする人がでない作品なんて古今東西ひとつも無いぞ
0239名無しで叶える物語(もこりん)
垢版 |
2022/02/20(日) 23:31:08.11ID:an3CUWME
しずく推しって近江家を不幸にしてばかりだよな
これで話に深みを出してるつもらなんだから下らないわ
0241◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 02:52:23.67ID:oVW3+VIk
>>1です
ここ最近浪人が切れて連投規制がかかったりリアルが忙しかったりで全然更新できませんでした。
お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。
ゆっくりですが今後も書いていきますのでよろしくお願いいたします。
0243◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 02:54:43.87ID:oVW3+VIk
しずく「遥さんがこうなってしまったのは私のせいなんです」

しずく「話すのに夢中になってて、車が来る事に気が付くのが遅れて」

しずく「あなたに……救われました」

遥「……」

しずく「ぐったりするあなたを見て、私はどうしていいのか分からなくなりました。頭が真っ白になって、身体が震えて……」

しずく「救急車を呼んだのだって、私じゃなくて他のたまたま様子を見ていた一般の方だったんです」

しずく「私は……!」

しずく「何も出来なかった……っ!」

遥「……」
0244◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:02:37.96ID:oVW3+VIk
しずく「今だってそうです」

しずく「こうして遥さんを泣かせてしまって」

しずく「彼方さんに気を遣わせちゃいました!」

しずく「私の事が憎くて堪らないでしょうに……!」

しずく「わたしは…っ…!」

遥「しずくさん!!」

しずく「!?」ビクッ

遥「もう大丈夫です。もう、大丈夫だから」

遥「だから……泣かないで下さい」

しずく「な、何が大丈夫なんですか……?」
0245◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:10:11.10ID:oVW3+VIk
遥「もう苦しまなくて大丈夫」

遥「今までの事を話してくれて、ありがとうございます」

しずく「あ、ありがとうございますって……」

しずく「私は!!」

遥「私がしずくさんの立場だったら、同じ気持ちになってたと思う」

しずく「お、同じ気持ち?」

遥「うん」

遥「もうどうしていいのか分からない気持ち」

遥「罪悪感がある中、私達に会いに来るの……辛かったと思う。でもしずくさんは私に会いに来てくれた」

遥「辛かっただろうに……会いに来てくれたの」

しずく「それは……」

遥「だから、もう苦しまなくて大丈夫だよ」

遥「しずく“ちゃん”」

しずく「!!」
0247◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:19:59.85ID:oVW3+VIk
遥「急に泣いちゃってごめんね」

遥「しずくちゃんの今の立場を考えたら、悲しくなっちゃったから」

しずく「で、でも!」

遥「しずくちゃん」

遥「私とあなたは似た者同士だと思うんだ」

しずく「似た者同士……?」

遥「うん」

遥「薄らと覚えているんだ。なんか、考え方が似てるなって思った事を」

しずく「……」

遥「しずくちゃん」

遥「苦しまなくて、もう大丈夫だよ」

遥「そして、私の今からやるべき事が決まったので……それのお手伝いをしてください」

しずく「お、お手伝い……?」

遥「はい!」
0248◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:36:22.64ID:oVW3+VIk
遥「私は思い出してみせます。あの頃の思い出を」

遥「しずくちゃんとおねーちゃんと過ごした、大切な思い出も全部」

遥「思い出してみせます」

遥「その為にはしずくちゃんのお手伝いが必要です」

しずく「お、お手伝いって! 私に出来ることなんて……」

遥「あります」

遥「何時間か前にも似たようなこと聞いちゃったと思うんですけれど」

遥「前の私がどんな子だったのか教えて下さい」

遥「あと、おねーちゃんについても全部教えてほしい」

遥「それで、なんとしてでも思い出してみせますから」

しずく「……」

遥「お願い」

遥「それにしずくちゃん、さっき言ってましたよね?」

遥「私が、そばにいますから」

遥「私が、支えますから」

遥「って」

しずく「!!」

遥「言質はとってありますよ?」

しずく「……」

遥「しずくちゃん」

しずく「……まだ私、あなた達のそばにいてもいいんですか……?」

遥「そんなの当たり前です」

遥「むしろ離れるだなんて、許さないから」ニコッ


にこにこと愛らしかった遥さんが、また目の前に現れた。

話さない方が良かったのではと囁いた誰かが、耳元から消え去った気がした。
0249◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:39:47.22ID:oVW3+VIk
しずく「やっぱり遥さんは彼方さんの妹さんですね」

しずく「強くて……優しいよ……」

しずく「──分かりました」

しずく「たくさんお話しましょう」

しずく「私が、あなたのそばにいます」

しずく「支えます」

しずく「だから、これからもよろしくお願いします」

しずく「遥さん!」ニコッ

遥「うん!」ニコッ


少しずつ、取り戻していこう。

あの頃の日々を。
0250◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 03:46:17.94ID:oVW3+VIk
遥「ねぇしずくちゃん」

遥「早速なんだけれど、おねーちゃんってどんなことが好きだったの?」

しずく「彼方さんが好きなこと……そうですねぇ」

しずく「お昼寝ですね」

遥「お、お昼寝!?」

しずく「はい」

遥(あんなにしっかりしてそうなのに……?)

遥「そ、そうなんだ」

遥「……よし! ならしずくちゃん」

遥「お昼寝しましょう」

しずく「へ!?」

遥「おねーちゃんのことを知る為にはおねーちゃんが好きなことをどんどん実行して、こんな感じなんだってのを体験しないと」

遥「なのでお昼寝しましょう」

しずく「な、なら私はそれを見届けてから──」

遥「──何言ってるんですかしずくちゃん」

遥「しずくちゃんも一緒にお昼寝するんだよ?」

しずく「えぇ!?」
0251◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/21(月) 04:00:29.92ID:oVW3+VIk
しずく「そ、それは流石に……」

遥「私のそばにいてくれるって言った」ジトー

しずく「一緒にお昼寝しましょう」

遥「はい!」ニコッ

遥「広いベッドだから寂しかったんです。んしょ」スッ

遥「はい、こっち側が空きましたよ?」

しずく「あ、ありがとうございます。お邪魔します」

遥「うんっ」ニコッ

しずく「……」

しずく(彼方さん。やっぱり遥さんはあなたの妹さんです)

しずく(強くて優しくて、私の憧れのあなたにそっくりです)

しずく「遥さん」

遥「ん〜?」

しずく「ありがとう」ニコッ


──いつの間にか外から聞こえていた雨の音が止んでいた。
0265名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/22(火) 08:11:33.96ID:B7ugCP3h
>>263
いやだってこっち放置してスレ立てたくせに6レスしかしてないのに放置してるんですけど

>>241で浪人切れた、忙しかった、連投規制だったとか言ってるけどそれなら別スレ進行しようとしたのは意味不明では?
0268名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/22(火) 08:38:16.38ID:B7ugCP3h
>>267
じゃぁ意見を聞かせてくれよ
別スレ進行しようとしてた上での>>241の言い訳はどう思う?
0270名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/22(火) 08:59:50.60ID:B7ugCP3h
>>269
だったら>>241はおかしいでしょ
忙しいなら他の書いてる余裕がないし、浪人切れてたなら向こうを茸で建てられるのはなんで?
0272名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2022/02/22(火) 11:27:35.65ID:cMwPutMK
シリアス書いてると気分転換で別の書きたくなるのはあるし分かるけどあっちもシリアスっぽいからそれが気分転換になるのかよく分からんっていうのがある
書き溜めてないらしいけど書き溜めつつ進行するのじゃダメだったのかな
0274名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2022/02/22(火) 11:57:01.92ID:fXDvsnU6
金払ってるわけでもないのに偉そうなやつ多いよな
プロじゃないんだから書いてくれるだけで御の字だろ
0275名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/22(火) 12:11:11.66ID:UVMdshwb
>>272
シリアスの息抜きに荒れかねない要素のシリアスSSを平行して6レスのみの建て逃げ状態にするのか?

ただの荒らしじゃん
0277名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2022/02/22(火) 13:00:46.06ID:O7dSiQCR
確定はしてないよ
ただ文章と場面の切り替え方が同じだし同一人物でしょ
0283名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/22(火) 16:37:41.20ID:RzXVXk49
自演失敗は草なんだ
0284名無しで叶える物語(SIM)
垢版 |
2022/02/22(火) 18:35:11.88ID:Qy1pd3m0
あっこりゃあああああああああ
消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ消せ
0287名無しで叶える物語(光)
垢版 |
2022/02/22(火) 22:41:13.65ID:diu9Hpde
>>277
こwwwこれはwwwダメだwwwわら、笑うなwwwかわ、可哀そ、プヒョwwwwだははははwwwwwだせえええwwww
0290名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/23(水) 00:32:07.64ID:wrpkXPco
>>288
俺は茸でしかやらねーよ
まぁ俺が自演したってことでレスしまくってくれても構わんけどな
0294◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/02/24(木) 07:57:55.35ID:5vkI9Iz2
すみません、更新できませんでした。
もう少々お待ちくださいませ。
0300名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2022/02/24(木) 14:28:48.85ID:hwLNiGVi
スタァライトの映画観に行ったり他のSS作者とエンカするのは別にいいけど出来ない約束するのやめた方がいいよ
0305名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/02/24(木) 22:05:00.66ID:cY7X+vHQ
>>304
バカかお前
SNSは見てくださいって公開してるもんなんだから監視してるって言う方がガイジなんだよ
厄介に絡まれたくなきゃ公開しないあるいは鍵垢にすんのが基本だろうが
0316名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/01(火) 18:00:46.08ID:p3opgcat
まーた1週間放置してやがんのかよ
ここまで保守してる奴らは全員保守荒らしとして報告するわ
>>1の傾向からして来ないの分かっててやっ
てるわけだから荒らしでしかないしな

しゃーないから俺が>>1呼んだるわ
0319名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/02(水) 23:40:20.06ID:e23UGanx
令安かすみんとかしずく27もちょくちょく連載だったな
完結さえしてくれればいいよ
0327名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/07(月) 07:56:30.78ID:OJe345Ii
作者さん酉付けたしエタるなら宣言あるんじゃない
今までも間隔開いて更新あったし
0330名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/07(月) 08:27:19.03ID:crK2jOvA
だったら保守荒らしするな
落ちたら立てれば良いんじゃねぇの?書く気があるならまた立てるだろ

もう保守すんなよクソ荒らし
0349名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/16(水) 09:55:17.79ID:6CAbptUs
>>344
お前マジで暇なんだな

1 名無しで叶える物語(茸)[sage] 2022/03/16(水) 08:48:42.79 ID:jeg62VN3
あいつら絵も描けないから誰でも書けるような拙い文章で他人の作ったキャラクター借りてオナニーしてるんだろ?良い趣味してるよなマジで

SS作者がチヤホヤされてるラ板ってマジで異常だよな
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1647388122/
0368お待たせしてしまい申し訳ない。 ◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:19:08.43ID:W1r3oCQh
>>251から続き。


あれからまた少し時間が経ちました。

今日も私は病院で目を覚ます。

私はまだお家にも帰れないし、学校にも行けないようです。

だけど──今の私にはやるべきことがある。


遥「……よしっ!」


ベッドから上半身を起こし、周りを見渡す。

個室。誰もいない、静かな病室。

──誰もいない。

だけど、あの子が来てくれる。


しずく「遥さん」


私は声の聞こえる方へ顔を向ける。


遥「おはよう。しずくちゃん」

遥「今日も、よろしくお願いします」


今日もまた、彼女と“お話”する。

あの頃の思い出を思い出す為に。



0369名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:24:41.61ID:uuKO1Keu
ゆっくり更新でもちゃんと更新してくれるの本当にありがたい、適度に精神病まない範囲で頑張って欲しい
0371名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:27:14.09ID:uuKO1Keu
>>370
尚更ありがたいわ
0373◆71HolTAunkPP (しまむら)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:31:26.33ID:W1r3oCQh
遥「うーん……うーん」

しずく「やっぱり、まだピンと来ませんか?」

遥「うん……」

遥「だって……私がスクールアイドルでセンターをやっていただなんて」

しずく「ダンスも歌も上手で、すごかったんだよ? 遥さん」

遥「ほんと?」

しずく「えぇ。本当です」

遥「信じられないですね……」

しずく「なら動画を観ましょう。私のスマートフォンで観れるので」

しずく「遥さん。本当すごかったんですから」


なぜかしずくさんが得意気な様子だ。

今日は前の私のお話を詳しく聞いていた。

どうやら私はスクールアイドルだったらしい。

スクールアイドルがどんなものかは覚えている。

女の子だったら誰もが夢見る、素敵でキラキラしていて、憧れの存在。

でも、誰でもなれるわけではない。だからこそ、スクールアイドルになりたい子達は努力をするんだ。
0374名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:32:40.27ID:eYikDvj/
私、近江遥は姉である近江彼方が大好きです。

私は産まれた時からお姉ちゃんの妹だった。

薄らと、記憶の片隅に残っている思い出。
赤ちゃんだった私の手を小さな手で握ってくれたお姉ちゃん。

そんな彼女の表情は笑顔だった。


『えへへ〜。はるかちゃん』

『かなたちゃんは、おねぇちゃんなんだって〜』

『おねぇちゃんはいもうとをまもるこなんだっておかーさんがいってたの! だから』

『はるかちゃんは、かなたちゃんがおおきくなるまでまもってあげるね〜』ニコッ

『だからあんしんしてね。はるかちゃんっ』






遥「う〜ん……むにゃむにゃ……」

遥「おねぇ……ちゃ……」ニコニコ

遥「……ん〜……?」

遥「ん?」パチリパチリ

遥「!!」ガタッ!
0375名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:33:04.29ID:eYikDvj/
遥(しずくさんは本当に良い人だった)

遥(優しくってお淑やかで、落ち着いている子なのに少しだけおっちょこちょいな所もあって)

遥(同級生なんだなって思えるのが親近感湧くし)

遥(一緒に話していて楽しかった)

遥(すぐに仲良くなれた)

遥(お姉ちゃんが彼女を可愛がる気持ちも、分かる気がする)

しずく「彼方さん。どうですか? 今日の料理」

彼方「……ふっふっふ……」

しずく「か、彼方さん?」

彼方「すっっっっっごく美味しいよ! 100点!」

しずく「ほ、本当ですか!?」

遥「やったね! しずくさんっ」

しずく「うん! 良かったぁ……」
0376名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/03/27(日) 23:33:34.04ID:0+0GS1Jn
遥(やばい! 椅子で寝ちゃってた!!)

遥「時間は……あ〜、よかった……まだ17時ちょいだ」

遥(今日は部活はお休みだったから、お家のこと色々とやらなきゃ。お姉ちゃん、部活はあるけどアルバイトはないって言ってたし)

遥(お風呂掃除したり、なんなら夕ご飯も作っちゃおうかな)

遥(よーし! 腕がなるよ! お姉ちゃんの為にがんば──)

ピローン

遥「ん?」

遥(メッセージ?)スッ

遥(お姉ちゃんから?)
0377名無しで叶える物語(茸)
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2022/03/27(日) 23:35:24.56ID:YKZ33MXD
遥(虹ヶ咲学園の1年生。私と同級生の桜坂しずくさん)

遥(数回くらい話した事はある。とても綺麗で可愛らしい方だなって印象が残ってる)

遥(確か鎌倉に住んでるって前にお姉ちゃんから聞いた気が……する)

彼方「もー、同じ1年生同士なのに2人とも硬いよ〜?」

彼方「遥ちゃん。さっきメッセージは送ったんだけどね。実は今日しずくちゃん、ウチに泊まることになったんだ〜」

遥「えっ?」

遥(め、メッセージ? あっ! 途中から急いでお風呂掃除しに行ったから見れてないや……)

しずく「急に押しかけてしまってごめんなさい遥さん。実は今度調理実習があるんですけれど、私あまり料理が得意じゃなくって……」

しずく「それでお料理がとっても上手な彼方さんに教えて頂きたいなってお願いをしたんです」

彼方「承ったって感じだよ〜」

彼方「そんで、今日はお母さんも泊まりでお仕事あるし、丁度いいかなって思って泊まりに来ちゃいなよ〜って流れになったんだ〜」

しずく「いや、ほとんど強制の流れだったじゃないですか……」

彼方「だってしずくちゃんともっと一緒にいたかったんだも〜ん!」ギュッ

しずく「ちょ、か、彼方さん!? 急に抱き着かれると恥ずかしいって何回も言ってますよね!?」

彼方「照れるなって〜」

しずく「照れてません! もー……」プクー

彼方「照れてるしずくちゃんも可愛いね〜」ニコニコ

遥(え? なにこれ?)
0379◆71HolTAunkPP (しまむら)
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2022/03/27(日) 23:38:29.03ID:W1r3oCQh
遥(なんとなくだけど、私の周りの子達がすごく努力をしていたのを覚えてる。その周りの子達がどんな顔でどんな声だったかは覚えてないけれど……)

しずく「あっ、見つけました」

しずく「遥さん、どうぞ。そこの再生をタップすれば観ることができますよ」

遥「はい。ありがとうございます」

遥「……わぁ……本当に私が歌って踊ってる」

しずく「そうでしょ?」


ステージの真ん中で、楽しそうに歌っている私。


遥「……楽しそう」

しずく「……そうですね」
0380◇71HolTAunkPP (しまむら)(茸)
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2022/03/27(日) 23:42:43.43ID:d8GQ3YQk
遥「え、えっと……」

遥「お、おねーちゃん……で……いいん、ですよね?」

彼方「……う、うん! そうだよ〜」ニコッ

遥「よ、よかった。……お、おかえりなさい」

彼方「……うん。ただいま」

遥「……」

彼方「……」

「……」


──なんか、気まずいや。


彼方「そ、そうだ遥ちゃん! 今ね、遥ちゃんのお見舞いに来てくれた子がいるんだよ〜」

遥「へ?」

「あら、そうなの? よかったわね。遥ちゃん」

彼方「ほらほら、そんな所に隠れていないでこっちおいで〜?」

彼方「“しずく”ちゃん」

遥「」

「へ?」

スタスタ

「か、彼方ちゃん! ダ──」



しずく「こ、こんにちは……」

遥「」


──その姿を見た瞬間、この子が誰だか“わかった”。
0381◇71HolTAunkPP (しまむら)(茸)
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2022/03/27(日) 23:42:57.66ID:t2p1pCjH
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

遥「雨、降ってきちゃった」

遥(しずくさん、飲み物買いに行くって言ってたけれど……遅いなぁ)

遥「大丈夫かな?」

コンコンコン

遥(あっ、戻ってきた?)

遥「空いてますよ? 入って大丈夫です」

ガチャ

スタスタ

遥「!?」

しずく「……」ポタ、ポタ

遥「し、しずくさん!? びしょ濡れじゃないですか!」

遥「とりあえず拭かないと! えっと……た、タオルタオル」ガサガサ

しずく「大丈夫です」ニコッ

遥「へ?」
0382◇71HolTAunkPP (しまむら)(茸)
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2022/03/27(日) 23:43:20.46ID:g8dAMMBg
遥「私は思い出してみせます。あの頃の思い出を」

遥「しずくちゃんとおねーちゃんと過ごした、大切な思い出も全部」

遥「思い出してみせます」

遥「その為にはしずくちゃんのお手伝いが必要です」

しずく「お、お手伝いって! 私に出来ることなんて……」

遥「あります」

遥「何時間か前にも似たようなこと聞いちゃったと思うんですけれど」

遥「前の私がどんな子だったのか教えて下さい」

遥「あと、おねーちゃんについても全部教えてほしい」

遥「それで、なんとしてでも思い出してみせますから」

しずく「……」

遥「お願い」

遥「それにしずくちゃん、さっき言ってましたよね?」

遥「私が、そばにいますから」

遥「私が、支えますから」

遥「って」

しずく「!!」

遥「言質はとってありますよ?」

しずく「……」

遥「しずくちゃん」

しずく「……まだ私、あなた達のそばにいてもいいんですか……?」

遥「そんなの当たり前です」

遥「むしろ離れるだなんて、許さないから」ニコッ


にこにこと愛らしかった遥さんが、また目の前に現れた。

話さない方が良かったのではと囁いた誰かが、耳元から消え去った気がした。
0383◇71HolTAunkPP (しまむら)(茸)
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2022/03/27(日) 23:44:08.54ID:g8dAMMBg
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

遥「雨、降ってきちゃった」

遥(しずくさん、飲み物買いに行くって言ってたけれど……遅いなぁ)

遥「大丈夫かな?」

コンコンコン

遥(あっ、戻ってきた?)

遥「空いてますよ? 入って大丈夫です」

ガチャ

スタスタ

遥「!?」

しずく「……」ポタ、ポタ

遥「し、しずくさん!? びしょ濡れじゃないですか!」

遥「とりあえず拭かないと! えっと……た、タオルタオル」ガサガサ

しずく「大丈夫です」ニコッ

遥「へ?」
0384◆71HolTAunkPP (しまむら)
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2022/03/27(日) 23:48:35.28ID:W1r3oCQh
遥「うわ、どうやってこんな声出してるの……? 本当に私だよね?」

遥「わっ、今のターンすごい……」

しずく(自分のダンスを食い入るように見てる遥さん、なんか可愛い)

遥「本当に私、スクールアイドルだったんだ」


動画に映る私を見て、ふと鏡を見る。

見た目は同じなのに、まるで別人のような子が、動画に映っている。


遥「もっと頑張らないと、だね」

遥「この頃の私に戻れるように」

しずく「遥さん……。うん! 私もお手伝いするから!」

遥「うん! ありがとう、しずくちゃん」
0386◆71HolTAunkPP (しまむら)
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2022/03/28(月) 00:00:11.57ID:uAHA/HOQ
遥「あれ? そう言えばしずくちゃん」

遥「学校は?」

しずく「お休みってわけではないんですけれど……自由登校なんです。3年生の方々も……受験に向けて自由登校の時期だから、それに合わせてって感じです」

遥「あっ……そうなんだ」

しずく「えぇ」

遥(3年生、かぁ)

遥(おねーちゃんも3年生なんだよね?)

遥「もっかい……お話したいなぁ……」ボソッ

しずく「ん? 遥さん、どうしました?」

遥「ううん! なんでもないよ?」

遥「もう少し私の動画観たいかも」

しずく「えぇ! 沢山あるので、一緒に観ましょうっ」



0409名無しで叶える物語(SB-Android)
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2022/04/12(火) 21:56:23.10ID:wk6uB7qB
なんか漫画描いたり他のSS書いたりしてるけどもうここ書く気ないならエタればいいのに
やってることがいつも中途半端
0410名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/04/12(火) 22:19:26.76ID:6Aydh+EW
書く気はもうなさそうだよね
ただエタらせたいんだったらそういう書き込みもしなきゃいいのにアンチツンデレか?
0436名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2022/04/30(土) 23:05:07.58ID:9kZoryz3
とっくに書く気無くしてるだろうし続き書いたなら作者がまた立てりゃいいだけなのにまだ保守してるんだ
「保守」「ほ」「支援」ばかり並び続ける異様なスレ保守され続けても作者はやりにくいんじゃ?
0437名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2022/04/30(土) 23:08:59.38ID:PhcOog3b
ツイの方で毎日SS書いてるみたいだし多分こっちは書く気ないんじゃないかなぁ
まぁ続けるにせよエタるにせよ一言ほしいところだけど
0450名無しで叶える物語(しまむら)
垢版 |
2022/05/06(金) 22:24:47.43ID:8CNFS+QT
ぶっちゃけこのスレに一番粘着してるのあんたでしょ
保守されるのが作者さん側からしたらもはや迷惑になってるかもしれないし一旦落としてあげてもいいんじゃないの
0452名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/05/07(土) 22:28:10.69ID:TknbpX7k
なんで何ヶ月も粘着してるだろう

>>450
トリップあるしそれなら宣言ありそうなんだけどな
プロの作家でもないしやめますの一言で済む
0454名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2022/05/07(土) 23:08:43.43ID:pnYTtnqh
そんなわけない
一ヶ月半以上開いて更新される作品は他にもあるからな
そのくらいなら待てるというだけ
0460名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2022/05/12(木) 01:33:28.37ID:3XQD7NO4
凄いなこのアスペぶり、無意味な事を毎日同じ時間にやってる
実生活でも空気読めなかったりすぐ意固地になったりしてないか?
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