遥「私、アルバイトがしたい!」
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彼方(朝香様の名義でのご宿泊)
彼方(案内されたのは10畳ほどの和室で、窓からは青々とした山が見える)
彼方(食事の時間とか、軽い説明を受けて、一息)
彼方「本当に、いいお部屋」
彼方「畳のにおいがする〜」
果林「ふふっそうね。懐かしいわ」
果林「虹ヶ咲での合宿の時も、和室だったものね」
遥「なんだか、和室の匂いを嗅いでいると落ち着きますね」
果林「和の心ってやつかしら?」
彼方「眠気を誘うねぇ〜」ゴロンッ
果林「もうっ寝たらだめよ」
果林「荷物置いたら少し外歩きましょ」
彼方「どのあたりに行く〜?」
果林「まず駅前に戻るんじゃないの?」
遥「お姉ちゃんが行きたいところ行こうよ」
彼方「ん〜じゃぁ、適当にふらつく感じで、駅前に戻ろう」 彼方「意外と車通りが多いねぇ」
果林「それはそう――」
グイッ
彼方「わっ」
果林「危ないから車道側歩かないで」
彼方「ありがと……」
遥「果林さんがお姉ちゃんポイント貯めようとしてる……」
彼方「お、お姉ちゃんポイント?」
遥「お姉ちゃんドキドキポイント。貯めると良いことあるかも」
果林「夜に同じ布団で寝られるのよね」
彼方「別にそんなポイントなくても一緒に寝るくらいなら別に良いよ〜?」
果林「さすが彼方ね。特売だわ」
遥「お姉ちゃんがたたき売りされてるなんて……」フイッ
彼方「果林ちゃんのせいで遥ちゃんが不純な子に……」
果林「ただの英才教育でしょ」
彼方「あっ、見てみて。らーめん缶の自販機があるよ〜」タタタッ
果林「……切り替え早いわね」 遥「みそ、しょうゆ、しお……とんこつもある」
果林「それ以前にパスタもあるんだけど……?」
彼方「パスタもラーメンなんだよ。きっと」
果林「いやいや……」
果林「ならうどんは?」
彼方「らーめんだよ〜」
果林「……」
スッ
サワサワ
遥「っ……果林さん?」
果林「このサラサラな髪の毛は?」
彼方「らーめんだよ〜」
果林「じゃぁ、夕食はらーめんね」
遥「えっ?」
彼方「食後のデザートじゃないかなぁ?」
遥「お姉ちゃんっ!?」
彼方「美味しくいただくね?」
遥「あ、うん……別に良いけど」
果林「まずいわ。冗談にならない……」 いつもながらこの会話のテンポの良さ好きだわ
スイスイ読めるけど、何があったかどんな会話してたかちゃんと頭に残るのがすごい 彼方「遥ちゃんが美味しそうなのは別として、この自販機動いてないねぇ」カチカチッ
果林「ほんと……もう一つのなんて棚の一部欠落してるわ」
遥「でも、壊れてると思っていた自販機って夜になると動いてることがあるらしいよ」
彼方「えっ?」
遥「部活もあって、暗くなった帰り道」
遥「いつもは、しんっと静まってるはずなのに、どこからともなくジジッ、ジジッって音が聞こえてきてね」
遥「街路灯が切れかかってるのかな? って上を見ると、そんなことないよって言わんばかりに光はしっかりとしてて」
遥「早く帰ろうって一歩踏み出したとたんに、街路灯の明かりの届かない角のところがね、パッっと明るくなったの」
遥「でも、びっくりして動けずにいると、少ししてその明かりは消えちゃって」
遥「なんだろう? って、怖くも気になって近づいてみると、この自販機みたいに、年季の入った自販機が一台設置されてたの」
遥「恐る恐る触れてみると――パッっと、また電気がついて」
遥「売切の表示が並ぶ中、商品表示のない、一ヶ所のボタンだけが緑色で……」
彼方「待って待って」
彼方「誰? 誰の話?」
遥「えっと……」
遥「友達の友達の姉の友達の親戚の友達の従妹の親の妹の娘……だったかな」
彼方「遥ちゃんじゃないなら、よかったぁ」
果林「……謎の交友関係には疑問持たないのね」 スタスタスタ....
彼方「果林ちゃんは、高校出たら免許取ったりする予定ある?」
果林「また急な話ね」
果林「そうねぇ、取ると思うわよ」
彼方「さすが〜」
果林「さすがでもないわよ」
果林「こっちにずっといるならともかく、地元ではあった方が良いし」
遥「果林さんの地元って?」
果林「ん、まぁ……大したことないわよ」
彼方「少なくとも、船舶免許が必要なところらしいよ〜」
遥「すごいっ」
果林「……否定しきれない絶妙なラインで来たわね」
果林「でも悪いけど、取るのは車の方よ」
遥「大型バイクとか、似合いそうですけど」
果林「ムリムリ。あんなの、自力で起こせる自信がないわ」 彼方「果林ちゃんがバイクに乗るなら、後ろに乗せて貰おうと思ったのに」
遥「じゃぁ、私は前に乗せて貰えれば……」
果林「自転車じゃないんだから」
彼方「じゃぁ横かな? サイドカー」
果林「サイドカーって、何か条件必要だったはずよ?」
遥「お姉ちゃん」チョイチョイ
彼方「なぁに?」スッ
遥「えっと……」コソコソ
彼方「ふむふむ……果林ちゃんっ」
果林「……嫌な予感しかしないんだけど?」
遥「車の免許取るんですよね?」
果林「そう、だけど。なに? 準備が出来たら乗せるくらい構わないけど……」
彼方「彼方ちゃんと、遥ちゃん」
遥「助手席に乗せてくれるのはどっちですか?」
果林「……」
果林「……ん」
果林「抱き合ってる二人を助手席に乗せるってことで」
彼方「あ、免許取れなそうだね」
果林「質問が悪いのよ質問がっ!」 果林「助手席には荷物を送って選択肢は?」
彼方「どうしよう遥ちゃん、彼方ちゃん達荷物だって」
遥「えっ……」
果林「二人って、私に対して意地悪よね。まったく」
果林「はぁ……遥ちゃんね。乗せるとしたら」
遥「やったっ!」
彼方「そっか……彼方ちゃん、実家に帰――」
ガシッ
果林「こらこらこら」
果林「日頃の行いを顧みなさいよ。そうじゃなかったら、別に彼方だって……」
彼方「果林ちゃん……」
遥「……」
遥「でもベッドの上では隣にいて貰うからな。とか言わないんですか?」
彼方「果林ちゃん!」ギュッ
果林「痛っ……待って、違う。私じゃないっ!」 彼方「彼方ちゃんは怒ってます」プンスコ
果林「もうっ、遥ちゃんが変なこと言うから」
遥「えへへっ」
果林「彼方」スッ
.....サッ
彼方「やめて、彼方ちゃんが破廉恥になっちゃうっ」
果林「茂みに押し倒すわよ?」
遥「人が来たら教えますね」
彼方「謝るから止めて、警察呼ばれちゃうよ〜」
サッサッ
彼方「果林ちゃんってば、冗談が通じないねぇ〜」
果林「十分通じてる方よ。本気で茂みになんて押し込むわけないでしょ」
果林「まぁ……人気がない場所なら、壁ドンくらいは、するかもしれないけど?」
彼方「え……壁ドンだけで、いいの?」チラッ
果林「ね? この人、もう押し倒すしかないでしょ?」
遥「……お姉ちゃん、旅館では同室なんだよ?」
彼方「あっ」 彼方「見てみて〜温泉饅頭だよ〜」
果林「いいわね。買っていきましょうか」
遥「私、食べ歩きとかしてみたかったんですっ」
果林「あら、したことないの?」
遥「まったくないわけじゃないんですけど……やっぱり、この3人で」
彼方「そういえば、したことなかったねぇ」
遥「せっかくですから、いろんなものを食べて歩きませんか?」
遥「観光ですし」
彼方「うんっ、いいよね? 果林ちゃん」
果林「そうしましょうか。余計なこと考えずに好きなものを食べるのも、悪いことじゃないもの」
果林「すみません、このお饅頭三つください」
彼方「あ、お金」
サッ
果林「大丈夫……このお饅頭、私が奢るわ」ドヤッ
彼方「1つ70円のなのに〜」
果林「こういうのは気分よ気分。奢ってくれる系彼氏」
彼方「わぁっかっこいい」
果林「そう思ってないってことだけは解ったわ」 彼方「あったかぁい」
彼方「できたてのお饅頭なんて、食べるの初めて」
果林「さすがの彼方にも、お饅頭を自作は出来ないのね」
彼方「ん〜……作ろうと思えば作れるけど」
彼方「やっぱり、ちゃんとした器具で作りたいかなぁ」
果林「なるほどね。はい、遥ちゃんも」
遥「ありがとうございます」
遥「……」
遥「蒸しあげられたばっかりの皮は、指に張り付きそうなくらいにぷにぷにしてて」
遥「中のあんこは、時間が経ってるものよりもずっと柔らかいから、ちょっと力を入れただけで潰れちゃいそう」
....スッ
パクッ
遥「んっ……」
遥「一口かじると、お饅頭の皮の仄かな甘さに包まれていたあんこが押し出されて」
遥「口いっぱいに広がっていく、強い甘味と出来立ての新鮮な温かみ」
モグモグ
遥「ちょっぴり火傷しちゃいそうな甘さがとろっと喉を流れていくこの感覚が、またクセになりそうで……」ペロッ
果林「……遥ちゃん、実はかなりテンション上がってるでしょ」
遥「えへへっ」
ナデナデ
果林「もう一個、買いましょうか」 彼方「あのお店、待ってる人いっぱいいるねぇ」
遥「お蕎麦屋さんみたいだよ」
遥「人気なんだって」
果林「寄ってみる? お昼、大したもの食べてないし」
彼方「ん〜……今からだと、また結構時間かかっちゃうんじゃないかな?」
果林「そうねぇ。食べられる頃には、品切れになってるかも」
彼方「なら諦めてほかのとこいこ〜」
彼方「タクシーの中で見た、あそこのお店とか」
遥「あ、ついでにお土産も見ておく?」
彼方「そうだね〜何か良いのあるかなぁ」
果林「確かに、時間のある時に見ちゃっておいた方が良いわね」 遥「お姉ちゃんっ、プリン。プリンあるよっ」
彼方「お〜買っていこ〜」
彼方「果林ちゃ……」
果林「……」ジーッ
彼方「果林ちゃん?」
果林「へっ、あっ」
彼方「へぇ〜ウリ坊饅頭?」
彼方「可愛いね〜果林ちゃん好きそう」
果林「……ん」フイッ
果林「けど、可愛くて食べられないかも」
彼方「ふぅん……そっか」プイッ
果林「彼方?」
彼方「可愛くないから彼方ちゃんは食べられるんだね」
果林「またそういうこと言って」
.....スッ
果林「食べたって無くならないから。彼方は特別よ」ボソッ
遥「……じゃぁ、私は特別じゃないんですね」グスッ
果林「待って、二人で同じキャラ設定は困るわ」 果林「そもそも、私たちの中心は彼方でしょ?」
彼方「え、遥ちゃんだよ」
遥「そうです、私です」
彼方「ほら〜」
果林「え、あ、ごめんなさい」
果林「……」
果林「いやいやいや、だったらさっき私が責められたのおかしいわ」
遥「私達はただの天秤ですよ」
....バッ
遥「この、両手……釣り皿の上には同じ重さのものしか乗っていない天秤」
彼方「そうそう。だから、みんな一緒〜」
彼方「まぁ、一番背が高い果林ちゃんが二股する男みたいなものだけどね」
果林「そう……」
果林「……」
果林「待って、それって私がクズってこと?」
彼方「そんなことないよ〜」ギュッ
遥「ないですよ〜」ギュッ
果林「二人とも……」
果林「待って、やめて、見られてる。見られてるからっ!」 果林「はぁ、もう。酷い目に遭った」
彼方「いやぁ、大変だったねぇ。二股彼氏様〜」ギュッ
彼方「悪いけど、私の連れだから」カリンッ!!
グイッ
果林「彼方がいけないのよ? 私達にはこの人がいる。なんて、私の腕掴むから」
彼方「……だって、ナンパされるとは思わなくて〜」
遥「果林さん、胸のある男の人みたいでした」
果林「誉め言葉になってない」
遥「……凛々しかったですよ」ボソッ
果林「もう……調子いいんだから」
彼方「でも、こういうところでも声かけられることってあるんだね〜」
果林「それはそうでしょ。みんながみんな、恋人連れてるわけでもないし」
果林「地元と離れてるから、せっかくだし声かけてみようって勇気が出ることもあるんじゃない?」
彼方「そういうものなんだねぇ」
遥「あ、コンビニ寄って良い?」
彼方「いいけど……?」 彼方「……Aneson?」
遥「そうっ」
遥「私が欲しかったもの、ここで受け取りにしてたんだ〜」
彼方「わざわざ、観光地で受け取らなくても……」
彼方「そんなに大事なものなの?」
遥「ん〜……」
遥「とっても大事だよっ」ニコッ
果林「そろそろ旅館に戻りましょ」
果林「帰りも歩きだし、そのまま温泉入って、ゆっくりして、食事」
果林「きっと、ちょうどいいわ」
彼方「じゃぁ段ボール持ってあげる〜」
遥「ありがとっ」
彼方「段ボールは最悪持ち帰りで、旅館の人に相談してみた方が良いかな」
遥「それなら、処分してくれるって言ってたよっ」 果林「……」
彼方「果林ちゃん?」
果林「ん」
果林「なんか、二人を見てるだけでも、いい感じなるかなと思って」
彼方「姉妹だからねぇ〜」
彼方「彼方ちゃんと遥ちゃんは、二人で一人みたいな感じだから」
彼方「……」チラッ
彼方「けどっ」
ギュッ
果林「!」
彼方「果林ちゃんは私たちの緩衝材だから必要だよ〜」
彼方「一歩引かれちゃったら、遥ちゃんに喰いつくされちゃうっ」
遥「も〜っ、私そこまで節操なしじゃないもんっ!」ギュッ
果林「もぅ……仲がいいんだから」ナデナデ ――――――
―――
チャプンッ
ガララッ
ザァァァ....
彼方「はふぅ……」
果林「さすがに、お風呂は貸し切りにはならないわね……」
彼方「なぁに〜? 貸し切りにするつもりだったの〜?」
果林「まさか」
果林「ただ、こう……これだけ広いお風呂で、贅沢に身内だけっていうのもいいと思っただけよ」
遥「お姉ちゃんっ、ここなら泳げるよっ」
彼方「泳いじゃ駄目だよ〜」
遥「分かってるよ〜……」
パシャッ....
遥「んっ……ん〜……」ググッ....
果林「なんていうか、彼方。遥ちゃんに比べると髪の量とてつもないわね……減らしたら?」
彼方「果林ちゃんが切ってくれるなら」
果林「光栄だけど、やぁよ。美容院でやってもらいなさい」 彼方「果林ちゃん、肌綺麗だよねぇ」
遥「うんうんっ」
遥「入浴剤もそうだけど、スキンケア頑張ってますよね」
遥「この前の撮影の時貸してくれたクリームも、すっごく良いのでしたし」
果林「良いの……って、程でもないのよ?」
果林「まぁ、確かにドラックストアで手軽に買えるものじゃないけど」
果林「そこらへん、手を抜いてそうな彼方が比較的色白なのがむしろ羨ましいわよ」
パシャンッ
彼方「わぶっ」
果林「……ずるい」
彼方「もぅ……」フルフル....
彼方「手を抜いてるわけじゃ、ないんだよ?」
遥「お姉ちゃんはお姉ちゃんで、私のためにいろいろ揃えてくれたりしてたんですけど」
遥「私ばっかりじゃ、なんかやだって、無理言って一緒に使って貰ってたりします」
遥「綺麗ですよね? お姉ちゃん」ニコッ
果林「……そうね」
サワサワ
果林「きれい可愛いわ」チュッ
彼方「か、果林ちゃんっ?」 彼方「うぅ……のぼせたかも」
パタパタパタッ
果林「大丈夫?」
彼方「果林ちゃんがあんなことするからなのにぃ〜……」
遥「ほかの人に見られちゃうかもって、ドキドキしちゃったんだね」
彼方「見られてた。絶対見られてたよ〜」
遥「私が前にいたから、見えてなかったと思うよ」
遥「大丈夫大丈夫」
パタパタ....
果林「このあと夕食だけど、食べられる?」
彼方「少し休めば平気……」
遥「夕食は部屋でしたっけ?」
果林「そうよ。時間になったらここに直接持って来て貰えるから」
果林「少し、ゆっくりしてて」ナデナデ
彼方「遥ちゃんの、膝枕〜……」
遥「えへへっ、あとで果林さんもします?」
果林「そうね。少ししたら交代するわ」 果林「それにしても、遥ちゃん。こっちに送ったのね」
果林「向こうで受け取るとばかり思ってたわ」
遥「最初は、そう考えてたんですけど」
遥「よく考えたら、向こうじゃ果林さんがいないだろうなって思ったので」
果林「まぁ、それはそうなんだけど……」
果林「ほら、向こうでだって部屋を借りたらいいわけだし」
遥「思い出に、なるとおもって」
果林「あぁ、それで」
彼方「……」
彼方「ん〜……」
彼方「ねぇ、遥ちゃん」
遥「なぁに?」
彼方「あのダンボール、開けちゃダメ?」
遥「良いけど、食事の後にしようよ」
彼方「そっかぁ」
彼方(これは、彼方ちゃん美味しく頂かれちゃうだろうなぁ……) 彼方「お刺身、お蕎麦、煮魚、煮物、鯛の炊き込みご飯、ほかにも……」
彼方「美味しそう……っ」
果林「気にいって貰えてよかったわ」
彼方「自分で夕食を作らない贅沢……」
果林「……貴女、専業主婦か何か?」
彼方「えへへ〜ついつい」
彼方「でも、最近は遥ちゃんも手伝ってくれてるから、今までよりはずっと楽だよ〜」
遥「このくらい、早く作れるようになりたいな」
彼方「ん〜……」
彼方「あと1年は頑張らないとだねぇ」
果林「1年でこのレベルになれるなら、プロになるべきだと思うわ」
遥「プロ……プロかぁ」
果林「あら、なぁに?」
遥「いえ、卒業したら、お姉ちゃんはどうするのかなって」
遥「専業主婦?」
彼方「わお、結婚前提」
果林「あら、結婚願望無し?」 彼方「いつかはしたいけどねぇ」
彼方「でも、まだそういうのは考えてないよ〜」
果林「共働き希望? 専業主婦希望?」
彼方「そうだなぁ……」
彼方「一緒になる人と、一番幸せになれる方が良いかな」
遥「お姉ちゃんの場合、お仕事してても朝食夕食……もしかしたらお弁当も作りそう。だけど」
遥「私は、専業主婦になって欲しいなぁ」
果林「そうねぇ」
果林「彼方には専業主婦になって貰いたいわ」
彼方「どうして?」
果林「そんなの、決まってるじゃない」
果林「行ってらっしゃいとお帰りなさい。彼方にして貰いたいからよ」
果林「なんて……」
果林「本音は、必要以上の負担をかけたくないって、プライドかしら?」
遥「お姉ちゃんはワーカーホリックな面があるから、絶対に専業主婦になって欲しい」
果林「確かに」
彼方「え〜……」 彼方「なら、旦那様にはお金持ちになっていただかないと〜」
グイグイッ
果林「そうねぇ」
果林「相手には、専業になって貰いたい」
果林「その望みをかなえるには、平均的な年収よりも最低一回りは上の方が良いって聞くわ」
果林「それくらい、稼げるようになりたいわね」
遥「そうですね」
遥「果林さんは、ファッションデザイナーとか、ですか?」
果林「それもピンキリというか、まぁ、難しいところよね」
果林「本気で取り組んでる読モの方もうまくいっているし」
果林「もっと頑張ってちゃんとしたモデルを目指すのもありかなって思ってる」
遥「でも、平均年収が400万円くらいだとしても」
遥「2で割れば、200万円なのでどうにかなりそうな気がします」
果林「そうね」
果林「あとは、FXでどうにか」
彼方「それはやめようね〜」
果林「最近、Web上の広告でよく見るのよ」
彼方「璃奈ちゃんが鼻で笑いそうなこと言ってないで、ご飯食べよ〜」 遥「お姉ちゃんお姉ちゃんっ」
ツンツンッ
彼方「なぁに〜」
スッ
遥「あ〜ん」
彼方「あ〜んっ」
モグモグ
果林「躊躇ないわね……」
彼方「モグモグ.....ごくんっ」
彼方「誰かに見られる心配もないからねぇ」
彼方「だから」
.....スッ
彼方「あ〜ん」
果林「ふふっ、そうね……」
果林「あ――」
遥「あ〜んっ」パクッ
彼方「あっ」
果林「遥ちゃんっ!」
遥「えへへっ」 遥「果林さんが早く食べないからですよ」
果林「だからって……」
遥「なので、はい。どうぞ」
スッ....
果林「まったく……遥ちゃんってば」
果林「……」
果林「あ――」
彼方「あむっ」パクッ
彼方「モグモグ」
果林「やっぱりね」
果林「ふふっ、知ってたわ」
果林「……塩味、マシマシの夕食になりそう」
彼方「果林ちゃん」
果林「なによ……」
彼方「あ〜ん」
スッ
果林「……」チラッ
遥「しませんよ」
果林「あ〜ん……パクッ」
モグモグ
果林「美味しい」
遥「次、こっちもどうぞ。美味しいですよ」 ――――――
―――
彼方「美味しかった〜」
果林「結局、ほとんど食べさせあってたわね……」
果林「一生分した気がするわ」
彼方「美味しさ二割り増しだった〜?」
果林「そうね。美味しかった」
果林「他人に見られる心配がない分、味覚が狂うこともなかったし」
彼方「そっかぁ」
遥「でも、お姉ちゃんのご飯の方が美味しかったかも」
彼方「そう?」
遥「うん……なんだろ」
遥「お姉ちゃんはいっつも、私の好きな味付けにしてくれてるから。かな」
遥「旅館のお料理もおいしいけど、やっぱりお姉ちゃんのお料理が好き」
彼方「遥ちゃん〜」
ギュッ
遥「えっへへ〜」 果林「ほんと、愛し合ってるわねぇ」
遥「姉妹ですから」
彼方「姉妹だもん」
果林「……ふふっ、それでいいの?」
彼方「それでよかったら」
彼方「それだけで済んでたら、果林ちゃんの前にいるのは二人の内どっちか片方だったよ〜」
果林「……でしょうね」
ガサガサッ
ビリッ
彼方「あ、開けるの〜?」
遥「うんっ」
遥「食器も係の人に回収して貰ったし、今日はもう、誰も来ないはずだから」 ガサゴソッ
遥「〜♪」
彼方「上機嫌だね〜」
彼方「見せて見せて〜」
果林「……」チラッ
果林「……ふふっ」フイッ
ピリッ
ビリッ
遥「はいっ」スッ
彼方「どれどれ〜……」
彼方「……んっ?」
彼方「……」
彼方「んん〜?」
彼方「遥ちゃん……この、丸みを帯びた特徴的な先端の、緩やかなカーブを描いてるシンメトリーなやつって」
遥「えっとね」
遥「女の子が、男の子っぽいことできるようになるやつ」ニコッ 果林「遥ちゃんが欲しがってたの、それなのよ」
果林「彼方に言ったって、絶対買ってもらえないだろうから」
彼方「うん、絶対買わなかった……」
遥「でも、買ってくれたとしても買って貰う気なかったよ〜」
遥「だって……私のわがままだもん」
果林「で、私はその提案に乗ったってわけ」
ガシッ
彼方「わっ……えっ、あっ、か、果林ちゃん!?」
果林「ふふっ、夜は長いわ」
果林「たっぷり……ねっとり……」
果林「ふーっ……」
彼方「ひゃわっ」ビクッ
果林「彼方のこと……奥深くまで、戴くわ」
彼方「ま、待って、汚しちゃう……いろいろ。待っ……」
遥「一緒に色んな道具も買ったから、大丈夫」サワサワ
遥「ここにはお母さんもいないから、ゆっくり……しようねっ」チュッ ――――――
―――
果林「おはよう、彼方」
彼方「うぅぅ……」グッタリ
果林「大丈夫?」
彼方「足腰が……もう……」
果林「大げさねぇ」
彼方「大げさじゃないよ〜……」
彼方「二人は責め手だったから、平気なだけで」
彼方「板挟みだった彼方ちゃんはもう、擦り切れてボロボロになっちゃった」
果林「ふふっ」
ナデナデ
果林「ごめんなさい」
果林「あまりにも美味しかったから」
果林「はしたないと分かってても、骨までしゃぶっちゃったわ」 モゾモゾ
遥「……お姉ちゃん?」
彼方「遥ちゃ〜ん」
彼方「遥ちゃんは大丈夫〜?」
遥「ぁふ……」
遥「ん……うん……大丈夫」
彼方「そっかぁ」
遥「お姉ちゃん、駄目そう?」
彼方「もう少し動けなそう」
遥「……」チラッ
果林「……」コクッ
ボフッ
彼方「アイコンタクト禁止〜!」
遥「ちょっとだけっ」
遥「ちょっとだけだからっ」
彼方「や〜っ!」
果林「良いじゃない、昨日……あんなに食べて欲しがってたんだから」ギュッ
彼方「お、怒るよっ」
彼方「彼方ちゃん、ほんとに怒るよっ!」
遥「大丈夫〜」チュッ
彼方「〜っ!!」 遥「お姉ちゃん、好き」
遥「大好きっ」
遥「可愛くて、きれいで、優しくて、温かくて」
遥「自慢の……お姉ちゃん」
果林「そうねぇ」
果林「勉強も、仕事も、家事も、アイドルも」
果林「とっても頑張る努力家」
果林「そして家庭的な、女の子」
彼方「煽てたって、許さないよ〜」
果林「もうっ……意地悪なんだから」
遥「お姉ちゃんは、私たちのこと嫌い?」
彼方「……」
彼方「好きだよ」
彼方「好きだけど……」
彼方「節操のない二人は嫌いっ」プイッ
遥「そんなぁっ!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています