彼方「じゃ、彼方ちゃん高校卒業するねぇ〜」しずく「やだやだやだやだ!」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
かなしず
こんなタイトルですがシリアスですすみません 最後タメ口に切り替わるの最高にすき
続きも楽しみにしてます! ――――――
部室
しずく「……えっと、お久しぶりです」
しずく「ずっとお休み貰ってごめんなさい!」
しずく「これからまた頑張るので、よろしくお願いしm」
かすみ「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!! しず子ぉ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
しずく「か、かすみさんっ?!」
かすみ「会いたかったぁ〜! もう会いたかったよぉ〜〜〜!!!」
侑「あはは……おかえり、しずくちゃん!」
璃奈「おかえり。私も……会いたかった」
愛「しずく〜〜〜! 愛さんも抱き着いていーい?」
果林「心配したけどよかったわ……」
久々に帰ってきた同好会。
結局、彼方さんが家に来てくれた次の日にすぐ……私は復帰した。
ボロボロになった自分を見られたくない気持ちはあったけど。
彼方さん以外のみんなにすぐにでも会いたかった……っていう気持ちもあって。
いてもたっても、いられなくなっちゃって。
心はまだ不安定だけど、でも……
まずは大好きなスクールアイドルの仲間達を見て、自分の気持ちを確かめたかった。
……やっぱり私はスクールアイドルと、同好会の皆さんが大好きだって気持ちを。
まだ歩夢さんとせつ菜さんは……来てないのか。
同じユニット同士、迷惑をかけちゃったなぁ……ちゃんと謝らなきゃ。
あ、あとエマさんも。
何かと心配させたからちゃんと話さなきゃね…… 侑「しずくちゃん、もし体調が悪くなったらすぐ言ってね」
しずく「は、はい!」
しずく「でもきっと……大丈夫です!」
侑「……でも嬉しいな。しずくちゃんの笑顔、久しぶりに見たよ♪」
しずく「えっ? あ、はは……恥ずかしいです」
侑「休んでる間の練習メニューとかは日誌に記録したから、それ見てね!」
侑「よーし! じゃあみんな! 今日も練習頑張ろ〜〜〜!!!」
うん……大丈夫。
今度はちゃんと楽しむ気持ちを忘れず。たくさんのときめきを感じたい。
それにもし嫌なことがあっても……きっと今回は大丈夫だ。
暖かい同好会のみんながいてくれるから。
まだ迷惑をかけちゃうかもしれないけど。でもみんなとなら大丈夫。
……それに何より。
私にはあの人がいてくれる……!
あの人がいてくれれば、不安なことは何もないんだ。
今の私がいるのは……あの人のおかげ。
だから困ったことがあったら……見守っていてね、かなt
侑「あ、そうそう」
侑「彼方さんは風邪を引いたみたいなのでおやすみです」
しずく「」 ――――――
部室
しずく(もうっ、彼方さんのバカっ)
しずく(よりによっておやすみなんて……っ)
私は部室で一人、休んで間に行っていた同好会の練習メニューが書かれたノートを見ていた。
ほかのみんなはランニング。
私も走りたかったけど、今はまだゆっくりした方がいいという侑さんの計らいだった。
しずく(私、頑張って来たのに……)
風邪を引いた、とは確かに言ってたけども……
でも彼方さんが風邪を引いてくれなかったら。
雨の中、私のことを迎えに来てくれなかったら。
私はここにいなかったと思うから……文句は言えないけど。
しずく(……電話してみようかな、あとで)
しずく(もし時間があれば、彼方さんの家に行こう……)
しずく(今度は私が看病する側で……ふふっ♪)
しずく(それにしても……部室、懐かしいな)
しずく(みんな私が休んである間、いっぱい練習してるんだろうなぁ)
しずく(……私もすぐ追いつかなきゃ)
?「チャオ〜!」ガラガラ
?「わぁ! ほんとだ! しずくちゃんだぁ!」
しずく「あっ……エマさん」 エマ「しずくちゃんっ! 久しぶり!」
エマ「いまグループ通知で『しずくちゃんが復帰しました!』って来たから!」
エマ「もう嬉しくて、ちょっと廊下小走りしちゃったよ〜♪」
しずく「お久しぶりです……エマさん、元気でしたか?」
しずく「って、私が言うセリフじゃないですよね……」
エマ「……うんっ! 私は元気だったよ〜♪」
エマ「そしてもっと元気になった! しずくちゃんに会えたからねぇ♪」ナデナデ
しずく「あ、あはは……」
早速、ニコニコしながらエマさんに撫でられてしまった。
さっき久しぶりにみんなの顔を見て、同好会に帰って来たなぁって思ったけど。
エマさんと会うと特にそう感じるなぁ。
やっぱり暖かくて優しい同好会だと思うのは、この人の包容力が大きいんだよね。
エマ「みんなは?」
しずく「ランニングです。私は日誌見て、練習メニュー見返してました」
エマ「そっかぁ〜、う〜ん……私は」
エマ「……久しぶりにしずくちゃんとお話ししようかな?」 しずく「あはは……そんな大して話すことないですよ」
しずく「ただ具合悪かっただけなので」
エマ「そお? でもまた帰ってきてくれて、本当に嬉しい!」
しずく「私もエマさんと会えて嬉しいです……」
しずく「あっ、そういえばエマさん」
しずく「前に彼方さんと3人で考えたダンスのフォーメーションってどうなりました?」
しずく「ごめんなさい、全部まかせっきりにしちゃって……」
しずく「多分もうお二人で何か形決めちゃいましたよね」
しずく「私もいまそのフリ覚えるので」
しずく「教えてください! まず確かフリの初めは……」
エマ「……しずくちゃん!」
しずく「はい?」
エマ「……とりあえず、今は頑張ろうとするのはナシ、だよ!」
しずく「えっ、あ……」
私ったらまた真面目に頑張ろうとしちゃってる。
この性格が、足を引っ張って迷惑をかけたくないから頑張らなきゃって思うこの性格が。
私をダメにしたのに、私ったらまた……
エマ「だから今日のしずくちゃん練習メニューはね?」
エマ「エマ・ヴェルデのぽわぽわ癒しタイム〜♪」
しずく「へ???」 エマ「……どうかな〜?」
しずく「え、えっと……」
何故か私の練習初日のメニューは……エマさんの膝枕になっていた。
なされるがまま、って感じに。気づいたら、こうなってた。
エマ「ふふっ、しずくちゃんを膝枕するの初めてだね〜♪」
しずく「……」
エマ「……彼方ちゃんの膝枕とどっちが気持ちいい?」
しずく「ふえっ?! み、見てたんですか?」
エマ「いやいや。彼方ちゃんならしてるかな〜って思って」
エマ「やっぱりしてたんだねぇ〜♪」
しずく「べ、別に私から言ってるわけじゃないですから……っ!」
エマ「えぇ〜、そうなの?」
エマ「これからはいっぱい言ってくれていいのになぁ……」シュン
しずく「なんで寂しそうなんですか……」
しずく「……じゃあたまに、その……お願いします……」
エマ「……うんっ!」ナデナデ エマ「……もう彼方ちゃんからたくさん言われてると思うけどね?」
エマ「私も……しずくちゃんの味方だよ♪」
しずく「……」
エマ「だから上手くいかなくてつらい時も」
エマ「自分のこと、嫌いになりそうな時も」
エマ「深呼吸だよ、しずくちゃん」
エマ「……みんな、しずくちゃんが大好きだからね」
しずく「……」
しずく「エマさん……何か知ってます?」
エマ「うん? 知らないよ?」
しずく「そ、そうですか……その……」
しずく「……ありがとうございます」
しずく「エマさんは……人の心をぽかぽかさせる天才です」
エマ「……嬉しい♪ もっとぽかぽかさせちゃうね?」 Prrrrrrr……
エマ「あれ、電話鳴ってる?」
しずく「は、はい……あ、彼方さん!」
エマ「しかもテレビ電話だね?」
しずく「も、もしもし?」
彼方『ししししししししししずくちゃん?!!?』
彼方『同好会! 同好会来てくれたの?!』
しずく「あ、えっと……はい」
しずく「まだ具合はよくないけど、顔だけでも見たくて……」
彼方『……うっ、うっ、うええぇぇ〜〜〜んん!!!』
しずく「な、なんで泣いてるんですか!」
彼方『だってぇ……ずっと来て欲しかったんだもん……』
しずく「……風邪は大丈夫ですか?」
彼方『うん、大丈夫! まぁ雨の中走ってたらそりゃ引くよねぇ……』
しずく「……でも私は感謝してますよ」
しずく「ありがとうございます。彼方さん」
彼方『えへへ〜♪ どういたしましてっ!』
彼方『ところで……後ろに映ってるお膝はなに?』 しずく「えっ?! あ、こ、これは!」
彼方『……リモート中に膝枕とな?』
エマ「彼方ちゃん! エマだよ〜♪ 風邪、大丈夫かな……?」
しずく「あ、ちょ、エマさん……っ! バレちゃいま……っ」
彼方『』
彼方『だあああああ〜〜〜〜〜!!!!!』
しずく「わわわっ!」
彼方『しずくちゃんの浮気者ぉ〜〜〜!』
彼方『おのれエマちゃん! おのれエマちゃん!』
彼方『いいとこどりされた〜!!! んもう〜〜〜!』
彼方『しずくちゃん、私、会いに行く!!! 会いに行くからぁ〜!!!!』
遥『ちょ、ちょっとお姉ちゃん!! ど、どうしたの?!』
彼方『し〜〜〜ず〜〜〜く〜〜〜ちゃ〜〜〜〜〜ん!!!』
遥「も、もう熱あるんだからお外出ようとしないで〜!」
エマ「あ、あはは……怒っちゃった、彼方ちゃん」 ……私の心はどんどんおかしくなっていって。
布団の中でただ独りぼっち。きっと何もかも狂ってしまうんだって。
そう思ってた。だけど……
しずく「ふふ……あははは! もう彼方さん、おかしいです!」
……こんなに笑っちゃう楽しい日常があれば。
きっとそんなことも忘れていくよね。
大好きな先輩、大好きな親友、大好きな時間。
……うん。
私、幸せですよ。すっごく。
彼方『……』
彼方『やっぱりさぁ、しずくちゃん』
彼方『しずくちゃんは笑ってる顔が一番だよ』ニコッ >>228
今から熱い接吻しに行くけど覚悟できてんだよな? ――――――
11月 スクールアイドルフェスティバル
しずく「……」
……曲が終わって、照明が暗くなる。
久しぶりのステージ、私は……スクールアイドルとして、ある一曲を歌い切った。
この舞台に上がるまで、失敗するかも、という緊張と不安に悩まされた。
やっぱり簡単に自分の心の不安に打ち勝つことはできなくて。
ここにくるまで何度も泣いたし、何度も弱気になった。
電車に乗ると呼吸ができなくなって、座れずにうずくまりながら登校したこともある。
練習中に体が痙攣して思うように動かず、汗が止まらなかったこともある。
やっぱり無理だって。できないって。
彼方さんやエマさんに……弱音を吐いたこともある。
だけどその度に、同好会のみんなが声をかけてくれて、助けてくれた。
みんなのおかげで今日私は……歌い切ることができたんだ。
しずく(……きっとみんなと一緒なら)
しずく(どんな結末も……ハッピーエンドに変わるんだ) 暗転からまた照明が照らされると、舞台は璃奈さんが作ってくれたPVが流れた。
その間に舞台からハケると、次の出番の準備をしていたQU4RTZがいた。
しずく「あっ、みなさん……」
かすみ「……しず子〜!」
しずく「わっ……!」
お客さんに声が聞こえるといけないから小さな声でだけど、かすみさんが私のほっぺを両手で挟んでくる。
しずく「にゃ、なにしゅるのぉ、かしゅみさん……」
かすみ「すっごいよかった! サイコーだよ、しず子!」
しずく「……ありがと」
璃奈「……」ピタッ
しずく「り、璃奈さん?」
璃奈さんは何も言わず、背中にくっついてきた。
璃奈「……しずくちゃん、おかえりなさい」
璃奈「わたしは、しずくちゃんとこのステージに立てて、本当に嬉しい」
しずく「……ありがとう、二人ともっ!」
かすみ「ひゃっ!」
璃奈「あっ……」
大好きな親友の二人。ねぎらってくれる二人がたまらなく愛おしくて。
私の方から二人まとめて抱きしめてしまった。
……かすみさん、璃奈さん、私ね。
二人と友達でいられて、すごく幸せだよ。 かすみ「も、もうしず子〜、かすみん達、もう出番だから〜……」
璃奈「……でも、緊張解けてきた」
璃奈「しずくちゃん、ありがとう」
二人とはこれからも2年間……スクールアイドルをやっていくんだろうな。
傍から見れば、私は言葉遣いもどこか丁寧っぽくて大人びているように見られるかもしれない。
でもかすみさんは芯がブレなくてしっかりしてるし、璃奈さんは頭がよくて周りにも気を遣える子だ。
本当は私が一番、幼くて、ここぞという時に弱くなったりする。
だからこれからも……頼りにさせてね?
彼方「……」
しずく(あ、彼方さん……)
彼方「……ぶいっ」ピース
エマ「……しずくちゃん、お疲れ様っ♪」
3年生の二人は一歩引いたところで、私のことをねぎらってくれた。
1年生同士ではしゃいだから、空気でも読んでくれたのかな。
でも私はお二人にもいま、抱き着きたい気持ちでいっぱいですよ……
彼方「……しずくちゃん」
彼方「……」
しずく「……?」
彼方「あっ、えっと……」 彼方「ご、ごめんねぇ……えっと、なんか言葉でなくて」
しずく「か、彼方さん……?」
彼方「えーと……ちょっと、感激しすぎて……」
彼方「うん……ごめん、ちょっと彼方ちゃん、だめだ……えへへ」ポロポロ
しずく「え、な、泣いてるんですか?」
彼方「だってぇ……すごくよかったからぁ……」
しずく「……」
この人は……どれだけ私のことを想ってくれるんだろう。
いつもぐうたらしてる彼方先輩は、
真面目にがつがつ頑張る私のことなんて煩わしいんじゃないかと思ってた。
だけど彼方さんはいつも私のことを好きでいてくれて……私もそんな彼方さんが大好き。
しずく「……もう泣かないでくださいよ」
しずく「せっかく可愛いのに泣きじゃくっちゃ台無しですよ」
しずく「ほら、涙拭いてください」
彼方「……うんっ」
しずく「……はい、かわいい」
しずく「いってらっしゃい、彼方さん!」
彼方「……うんっ!」
そう言って、二人でハイタッチ。
こんな私でも、彼方さんの力になれてるのだとしたら、嬉しいな。 ――――――
3月
あれから、月日が流れて3月。
私が病気になって倒れた夏休みから秋と冬を超えて、ぽつぽつと桜も咲き始めている。
しずく(……卒業、しちゃうんだよね)
……彼方さんは、希望の大学に合格した。
夢を叶えるのには一番いい場所なんだ、って嬉しそうに報告してくれた。
成績のいい彼方さんだからあまり心配はしていなかったけど、やっぱり報告を聞いた時は嬉しかったな。
虹ヶ咲からかなり離れた遠い大学で、彼方さんは一人暮らしを始めるらしい。
そういえば遥ちゃんはすごく寂しがってたっけ。
寂しいよね、大好きなお姉ちゃんだもんね。
しずく(私は……寂しくないですよ)
しずく(寂しくないです。嬉しいんです、私は)
しずく(そう。寂しい訳がないです)
しずく(彼方さんの希望が叶ってくれてすごく嬉しい)
しずく(だから今日は精一杯、お祝いしなきゃ)
今日は彼方さんと二人きりで、ショッピングモールに遊びに行く。
おそらく今日が卒業前に二人で過ごせる最後の時間。
卒業前にうーんと遊んで、うーんと今までのお礼を言って、うーんとお祝いするんだ。
彼方さん、はやくあいたいな。
彼方「お〜い、しずくちゃ〜ん♪」 ――――――
ショッピングモール
彼方「わぁ〜、おっきいねぇ〜♪」
しずく「ふふっ、嬉しそうですね♪」
彼方「あんまりこういうとこ来ないからさ、しずくちゃんと来れて嬉しいよ〜」
しずく「どこに行きますか?」
彼方「そうだなぁ〜……お腹空いたから、なんか食べよっか」
しずく「そうですね。レストランもいっぱい入ってますから」
しずく「何食べたいですか?」
彼方「うーんとねぇ……彼方ちゃんはねぇ……」
彼方「……ピーマンかなぁ?」
しずく「え?」
彼方「ピーマン食べたいなぁ。ピーマンたっぷり入ったやつ」
彼方「あんな美味しい野菜はないからねぇ〜」
彼方「しずくちゃんはどお? ピーマン」
しずく「……いやっ」
しずく「帰ります、私」
彼方「う、うそうそ〜! 冗談だよぉ〜……」 ――――――
彼方「あ、見て見てしずくちゃん!」
しずく「なんですか?」
レストランで一緒にご飯を食べた後、ふらふらといろんなお店に立ち寄った。
そこで入った雑貨屋さん。可愛い小物やいろんなアンティークが揃ってる。
彼方「これ可愛くない?」
しずく「それ、傘ですか?」
彼方「うん! 透明っぽい紫で、綺麗な傘じゃない?」
しずく「そうですね。ハード柄もすごく可愛いです」
彼方「うむむ……いいなぁ〜これ。買おうかな〜、悩むな〜」
しずく「珍しいですね、彼方さん、節約家なのに」
彼方「まぁせっかくしずくちゃんとおでかけしてるしね!」
彼方「う〜ん……よし、買った!」 彼方「じゃーーーん!!! いいでしょ〜!」
ショッピングモールを後にした私たちは近くの広い公園で休憩をとることにした。
お台場の海と大きな白い橋が見えて、私もお気に入りな綺麗な場所だ。
彼方さんは自慢するみたいに、買った傘を広げてはしゃいでいた。
しずく「気持ちはわかりますけど、雲一つない晴れですよ……」
彼方「いいんだも〜ん、嬉しいから!」
しずく「もう、すっごい目立つなぁ……」
紫色の傘をした彼方さんは公園で明らかに浮いていて、なんだか恥ずかしい。
でも子供みたいにはしゃいでる彼方さんはたまらなく可愛かった。
彼方「あっ、見てしずくちゃん! ちょうちょ!」
彼方「2匹いるよ、春だねぇ〜」
二匹の蝶々が草っぱらで仲良くしている。
彼方さんは傘を差しながらまじまじと仲睦まじい蝶々を眺めていた。
しずく「……ちょうどベンチありますから、座りましょうか」 彼方「よいしょっと」カチッ
お気に入りの傘を閉じてベンチに腰掛ける彼方さん。
私も隣に座って、彼方さんの近くに寄りかかった。
彼方「今日はいい天気だねぇ〜♪」
しずく「……そうですね」
もう私が体を寄り添っても彼方さんは何も動じない。
たぶん私が彼方さんに甘えすぎて、当たり前になっちゃったのかもしれない。
しずく(……でもこの時間が私は大好きなんです)
しずく(心から安心して、過ごせる時間)
しずく(彼方さん……傍にいてくれて、私は幸せでした)
しずく(今の私があるのは彼方さんのおかげです)
しずく(私はそんな彼方さんのことが……)
彼方「……いやぁ」
彼方「来週にはもう卒業式だねぇ」
しずく「……!」 彼方「1年生って卒業式、何するの?」
しずく「……確か卒業生の胸に花のバッジをつけてあげる係だったと思います」
彼方「あ〜、雰囲気出るねぇ。いいなぁ」
しずく「いいなぁ、って……そんな他人事みたいな」
しずく「卒業するの……彼方さんじゃないですか」
彼方「そうだったねぇ……あんまり実感ないなぁ」
彼方「この1年はあっという間だったよ」
彼方「スクールアイドルを始めて、大好きなしずくちゃんと会えて」
彼方「本当に濃くて楽しい1年だったよ」
彼方「ありがとねぇ」
しずく「……」プイッ
思わず顔を反らしてしまった。
なんですか、そんな……
最後だからいいこと言おうみたいなその感じ、やめてくださいよ。 初めて彼方さんと出会った頃、ダメな先輩だなぁと思った。
目を離せば眠っちゃうし、練習には来ないし。
女優として、スクールアイドルとして頑張ろうと意気込んだ私にとっては
どこか嫌な顔をして見てたこともあるかもしれない。
……だけど彼方さんは。
ふにゃっとした雰囲気が愛くるしくて。
料理がとっても上手で。
妹がこれでもか、ってくらい大好きで。
底を知らないほど優しくて。
いつも私を優しく……包み込んでくれた。
……私はそんな彼方さんが大好き。
自分が病気になって、真っ暗闇な気持ちに飲み込まれそうになった時。
誰よりも初めに見つけてくれて、誰よりも私のことを気にかけてくれた。
彼方さんがいなかったら私はどうなっていたかなって、いつも思う。
そしてこれから。
彼方さんがいなくなったら……私はどうなるのかな。
私は…… 彼方「……しずくちゃん、今までありがとうね」
彼方「これからも彼方ちゃんと……仲良くしてくれると嬉しいな」
しずく「……」
彼方「じゃ、彼方ちゃん高校卒業するね〜」
しずく「……っ!」
彼方「あ、振り向いてくれた〜」
彼方「あ、あれ……? しずくちゃん?」
彼方「泣いてるの……?」
しずく「ぅ……」ポロポロ しずく「……卒業、やだ」
彼方「ん?」
しずく「……いやです」ポロポロ
彼方「えっ?」
しずく「……やだやだやだやだ!」
彼方「?!」
しずく「やだやだやだやだ! やだやだやだやだ!」
彼方「し、しずくちゃ……」
しずく「彼方さん……どこにも行かないで……ください……っ」 しずくちゃんのやだやだ駄々っ子は破壊力が高すぎる
これは続きが楽しみすぎますね……! 寂しくない、寂しくないよ。
仮に寂しくても……私は女優なんだから。
そんな安直に自分の気持ちをぶつけることはしないよ。
もしも私が、寂しすぎるだなんて言ったら。
昨日オフィーリアに抱き着いて、彼方さんの卒業しちゃうって号泣したことがバレたら。
優しい彼方さんはきっと行き辛くなってしまうから。
だけど寂しい気持ちがあふれ出してしまう。
演技ができない。歯止めが利かない。ずっと一緒にいたい気持ちが止まらない。
しずく「彼方さん、行かないで……」
しずく「私は彼方さんが大好きなんです、きっと彼方さんが思ってる以上に」
しずく「彼方さんがいなかったら私は……」
たぶん一番泣いてる、かもしれない。
今までは自分が辛いからとか、女優もアイドルも続けられなくなるとか。
そうやって自分の問題で泣いてきた。今回も寂しいのは自分の気持ちだけど……
でも今回は彼方さんのことだから……自分じゃ涙を我慢できないんだ。 彼方「……」
ベンチで彼方さんにしがみついて、人目をはばからず泣いていた。
しずく「自分が……どれだけワガママを言って」
しずく「彼方さんを困らせてることはわかります」
しずく「でも私、どうしても……寂しくて、辛くて」
しずく「ごめんなさい、本当は卒業おめでとうございますって言いたいのに……」
こんなんでよくダメな先輩なんて思ったよね。
ワガママで、幼くて、心が弱いダメな私なくせに。
お世話になった先輩に「卒業おめでとうございます」も言えない。
彼方さんが離れる寂しさ、自分の情けなさに涙が止まらない。
……私は彼方さんに完全に“依存”してしまってるんだ。
しずく(……もう嫌われる)
しずく(これはさすがに嫌われる、引かれる)
しずく(嫌われなくても、付き合い辛く思われるだろうな)
しずく(彼方さんの夢を叶えるのに、私はその足を引っ張ってしまってる……)
彼方「……」
彼方「……」バサッ
しずく「か、彼方さん……?」 紫色のお気に入りの傘を広げる彼方さん。
そして泣きじゃくる私を、周りの目線から守るように……横に傘を差した。
しずく「な、なんですか……?」
彼方「しずくちゃん、泣いてるから」
彼方「見られたくないかなぁ、って思ってさ」
しずく「……」
彼方「彼方ちゃん、約束は守るよ」
彼方「しずくちゃんのこと、ぜーんぶ受け止めるっていうね」
彼方「……しずくちゃんの心が辛くて寂しくてどしゃぶりの“雨”に打たれた時は」
彼方「彼方ちゃんがしずくちゃんの“傘”になるの」
しずく「っ……」
彼方「どんな気持ちにしずくちゃんが襲われても」
彼方「彼方ちゃんが絶対に、しずくちゃんのこと守るよ」 彼方「……卒業したらなかなか会えなくなると思うけど」
彼方「その気持ちだけは絶対に忘れないからさ」ニコッ
しずく「うぅ……彼方さん、彼方さん……」
彼方「泣き虫だなぁ、しずくちゃん」ナデナデ
彼方「でもそんなしずくちゃん、大好き♪」
しずく「だめです。こんな私、カッコ悪いです」
彼方「えぇ〜、でも可愛いよ〜?」
しずく「ちゃ、茶化さないでください! もう……」
しずく「うぅ、うっ……」
彼方「……よかったよ、傘買っといて」
彼方「しずくちゃんの泣き顔、独り占めできる」
しずく「何言ってるんですか……見世物じゃありませんから」
彼方「……しずくちゃん」
彼方「ちょっと目、閉じてくれない?」
しずく「……?」
……なんだろう。
言われるがままに目を閉じて……
……………………
…………
…… …………
……
しずく「……っ、な、な……」
彼方「……おまじない、だよ」
彼方「しずくちゃんがこれからも頑張れるように、ってね」
しずく「……」
しずく「……もう顔見れないです」
しずく「恥ずかしすぎます……」
彼方「大丈夫だよ〜、傘で見えてないから」
しずく「意味わかんないです、もう……」
彼方「……あのさ」
彼方「彼方ちゃんね、しずくちゃんが思ってる以上にしずくちゃんのこと好きなんだよ」
彼方「一方的に彼方ちゃんの卒業を寂しい、って思ってるかもしれないけど」
彼方「彼方ちゃんもおんなじくらい……寂しいんだぞ」
しずく「そんな……私の方が寂しいに決まってます」
彼方「……えへへ。嬉しいな」
…………
しずく「……彼方さん、私もひとこと、いいですか?」
彼方「なあに?」 次の更新でおしまいになります!
SS大変長くなってしまいすいません。
よかったら最後までお付き合いよろしくお願いいたします。 傘のシーンいいね……蝶々出てたしButterflyの傘ってことなのかな 2人ともアニガサキのMVで傘と雨がモチーフだったの良いよね
続き期待 敢えて傘の中を見せない演出いいね…最後の更新楽しみ 傘の使い方が天才的すぎて素晴らしいし読者にすらその瞬間を見せずに完全に二人の世界にしてるの大好き
最後まで楽しみにしてます! 次更新で終わるのやだやだやだやだ!
でも見届けたい
まってる! 良すぎる…
公式のいろんな要素をうまく落とし込んでるのすごい ――――――
……………………
…………
桜坂しずくちゃん。
そして、近江彼方ちゃん。
……私の大好きなお友達。
私から見て、二人は本当によくお似合いだと思う。
果林ちゃんに言うと「性格、正反対じゃない?」なんて言われるけど。
確かにパッと見た感じだと、そうだと思う。
厳格で真面目になんでもこなすストイックな女の子。
いつも眠そうにしてて、ふわふわしてる柔らかい女の子。
私も二人と知り合ってしばらくは、正反対だなぁって思ってた。
きっと同好会のみんなもそう思ってるんじゃないかな?
真面目なしずくちゃんが、やむなく彼方ちゃんの面倒を見てる〜、って感じに。
だけど……きっと誰も入ってはいけない、心の深いところで。
誰にも見えない、わからないところで二人の心は強く繋がってると思う。
もちろん同好会のみんな。誰一人漏れることなく、絆は強く繋がっている。
でもしずくちゃんと彼方ちゃんは、その中でももっと特別な何かがあるような……
……こんなこと考えるの、私だけかな? もしかしたら思い過ごしかもしれないけど。
でもそれはなんとなく、私が二人の近くにいて感じていたことだった。 ――――――
果林「どう、久しぶりの日本は?」
エマ「え……あ、うん」
エマ「やっぱりね、大好きだよ。日本!」
虹ヶ咲学園を卒業してスイスに帰っていた、わたし。
卒業以来、久しぶりに日本に帰って来た……帰って来た?
あはは……自分でもよくわかんないや♪
だけどそれだけ、この日本と虹ヶ咲にはいい思い出が多すぎるんだ。
果林「しずくちゃん、元気かしら」
エマ「きっと元気だよ。なんせ主演女優だからね〜♪」
果林「……それにしても私たち、後輩のこと好きすぎよね」
果林「高校卒業してもわざわざ後輩の舞台、見に来ちゃうんだもの」
エマ「……まぁいいんじゃないかな?」
エマ「実際、大好きだもん♪」
今日は、虹ヶ咲学園で“しずくちゃんの主演舞台”がある。
演目は『オズの魔法使い』
……去年、しずくちゃんが降板しちゃった舞台。
あれから1年経って。今年の夏、しずくちゃんはもう一度主演として舞台に返り咲く。
その晴れ姿は見に行くしかないよね、ってなって。
卒業した私たちはこの舞台を見に行くことにしたんだ。
わたしと果林ちゃんと……彼方ちゃんの3人で。 遥「あっ! 果林さん、エマさ〜ん!」
校門の前で遥ちゃんが手をふって出迎えてくれた。
久しぶりに帰って来た虹ヶ咲学園。
わたしがいた頃と同じ、今もまだたくさんの生徒が行きかってるなぁ。
果林「遥ちゃん、久しぶりね」
遥「ほんとですね! あっ、そういえばこの前、綾小路さんが……」
……むぅ。
意外とこの二人、仲いいんだよなぁ。
……そんなことをよそに遥ちゃんの背後を見ると、そこに彼方ちゃんがいた。
彼方「やっほ〜、エマちゃん♪」
大学生になった彼方ちゃんは少し大人になった……かな?
元々きれいな女の子だったから、昔とそこまで変わってないように見える。
エマ「久しぶり! 元気だった?」
彼方「元気元気〜、相も変わらず元気だよ〜♪」
大人になっても、ふわふわした彼方ちゃんらしさは、健在、だね。
なんだかホッとしたよ♪
エマ「……彼方ちゃん。今日のしずくちゃんの舞台、楽しみにしてたんじゃない?」
彼方「……うん。そりゃそうだよ〜」
彼方「今日は……彼方ちゃんが泣かされちゃうんだろうなぁ」 果林「彼方ってば。ちゃんとお部屋のお掃除してるの?」
彼方「してるよ〜、気が向いた時に」
果林「それなら充分ね。私も気が向いた時にしてる」
彼方「おっ、似た者同士だねっ。あっはっはっは」
果林「うふふふふ♪」
エマ(……もう〜〜〜! 二人とも〜〜〜!)
エマ(お片付け……行ってあげたい)
会場に向かう途中、わたしの前で何やら不穏そうな話をしてる二人。
この二人は大学生になって大人になっても、お世話しがいがある。
そんな二人だから私は大好きなんだけどね。
とにかく日本にいる間に、絶対行ってやる。二人のお部屋。
遥「……お姉ちゃん、今はあんな感じですけど」
エマ「うん?」
遥「今日は朝からずっと、ソワソワしてたんですよ」
遥「大丈夫かなしずくちゃん、また倒れちゃうんじゃないかな……って」
遥「それで、お姉ちゃんには内緒ですけど……しずくちゃんに連絡したんですよ」
遥「“見に行くよ、頑張ってね”……って。そしたら」
エマ「……そしたら?」
遥「……“ありがとう、絶対最高の時間にするからね!”って」
遥「凄く力強いお返事が返ってきました」
遥「皆さんが卒業して、しずくちゃんは」
遥「……本当に。強い女の子に変わったと思います」 ――――――
会場
会場に入って座席に座る。
私は彼方ちゃんの隣に座ってふと目をやった。
彼方「……大丈夫かな」
やっぱり遥ちゃんの言った通り、少し落ち着かない感じがする。
エマ「……すごいよね、しずくちゃん?」
エマ「一度できなくなった舞台にまた主演として立つんだもん」
彼方「……うん」
エマ「……不安?」
彼方「えっ、あ……うん、そうだね」
エマ(……そうだよね)
エマ(彼方ちゃんが一番、弱ったしずくちゃんを見てきたんだもんね)
しずくちゃんが今、舞台の裏でどんな表情をしているのかわからない。
だけどもしかしたら、しずくちゃんより彼方ちゃんの方が緊張してるんじゃないかなぁ?
それくらい彼方ちゃんも、このしずくちゃんの舞台に対して特別な思いがあるんだと思う。
彼方「……スクールアイドルとして一緒にステージに立ったからさ」
彼方「きっと大丈夫だって思うんだよ」
彼方「でも……卒業してからしずくちゃんと会えてないから」
彼方「本当に大丈夫かなって……つい考えちゃうんだよ」 すみません。
最後の更新といったのですが、ラストなので少し考えています。
もう少々お待ちください、今日中もしくは深夜には更新します……! 気長に待ってるから納得行くものを書いて貰えたら嬉しい 遥ちゃんが言ってた通り、いざ会場に入るとさらにそわそわしてる。
彼方「緊張しすぎて、朝ごはんも喉を通らなかったんだよねぇ……えへへ」
元々今日は卒業生3人で、って話だったけど
彼方ちゃんがこんな調子だから遥ちゃんはついてきてくれたのかな。
遥ちゃん自身もしずくちゃんの舞台を楽しみにしていたみたいだけど
この様子を見るとついてきてくれて本当によかったと思う。
どこか余裕があるように見えるけど、意外と彼方ちゃんは繊細だ。
そういうところがやっぱりしずくちゃんと似ている。
……劇のパンフレットをまじまじと見つめる彼方ちゃん。
キャスト欄の主演『桜坂しずく』の文字を何度も確認している。
……そういえば彼方ちゃんは……このことも知ってるかな?
エマ「……彼方ちゃん」
エマ「今日の演目、なんだか知ってる?」
彼方「え? えっと『オズの魔法使い』だっけ……?」
エマ「そう! それでね、この曲の主題歌なんだけどね」
エマ「日本語で『虹の彼方に』っていうんだよ」
彼方「虹の……彼方に?」
エマ「そう。虹の“彼方”に」
エマ「……なんだかまるで彼方ちゃんに向けて歌ってるみたいだよね?」 彼方「んなっ……」
エマ「今日しずくちゃんは、誰よりもまず彼方ちゃんのために歌うんじゃないかなぁ?」
エマ「だから絶対失敗しないよ。大好きな人のために歌うんだもん」
彼方「……な、なにいってるのさ、エマちゃん……」
エマ「ふふふ、なんてね♪」
……そんな話をしていると、ステージの照明が暗くなった。
会場の会話もその照明にしたがって、だんだんと静かになっていく。
彼方「あわわ……始まる、始まっちゃうよぉ」
わざわざ不安を口にしちゃう彼方ちゃん。それだけ緊張してるんだろう。
……そして、やがて幕が上がる。
幕が上がって舞台が照明に照らされると……
しずく「……」
そこに立っていたのは、綺麗な衣装を身にまとうしずくちゃんだった。
目を閉じて、下を向いている。
彼方「しずくちゃん……!」 彼方ちゃんは椅子の背もたれを使わず、前のめりに乗り出して舞台を見つめる。
彼方「……しずくちゃん、しずくちゃんだ……っ」
隣にいるわたしにしか聞こえない声で、大切な人の名前を繰り返していた。
しずく「……」
しずく「……」ニコッ
顔を上げたしずくちゃんは、ニコッと笑顔を会場に見せる。
それはあくまでもお芝居の演出として、なんだろうけど。
わたしにはそれが彼方ちゃんに
「大丈夫ですよ、彼方さん」と投げかける笑顔にしか見えなかった。
その瞬間、ふと舞台から目をそらすと……
彼方「……っ」
ツーっと。彼方ちゃんの頬に流れる、涙…… ――――――
……………………
…………
彼方(……しずくちゃん、久しぶり)
彼方(ずっと……会いたかった)
彼方(……なのに彼方ちゃんってば、バカだ……)
彼方(まだ劇が始まって何も始まってないのに)
彼方(意味わかんないよね、いきなり泣いちゃうなんて……)
彼方(せっかくのしずくちゃんの舞台、ちゃんと見なきゃなのに……)
エマ「……彼方ちゃん」
彼方「ご、ごめん……わかってる、わかってる……」
……自分に自信をとことんまで失っていたしずくちゃん。
もうアイドルも女優も絶対できないって、言ってたあのしずくちゃんが。
いま、みんなの前で。
全ての悲しみから吹っ切れたかのような、そんな自信満々の笑顔で舞台に立ってる。
彼方ちゃんの胸の中で「頭がおかしくなっちゃった」とか「心が普通じゃない」って、
あんなにボロボロに泣いていたしずくちゃんが。
……これからしずくちゃんの大好きなお芝居で、みんなにたくさんの拍手を浴びるんだよ。
私はそれが嬉しくて、嬉しくて……それだけで涙が止まらないんだ。 ねぇ、しずくちゃん。
しずくちゃんはもう一人でも大丈夫なのかな。
何せぐうたらな先輩の私を、いつも力強く引っ張ってくれたしずくちゃんだもん。
私がいなくても、きっと自分でやりたいことを、自分の力で切り開いていけるよね。
……本当はいつでもワガママ言って欲しいけど。
だって彼方ちゃん、寂しがり屋だから。
しずくちゃんがいなくちゃダメなんだ。
えへへ、あの時とは真逆だね……
彼方ちゃん、遠い大学で一人暮らし始めて、すごく寂しくなってて……
ほんとずっと、しずくちゃんが恋しかったんだよ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています