彼方「真姫ちゃんの病院で再検査……?」
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彼方「これはこれは、1年生お揃いでお出かけかな?」 しずく「はい。かすみさんが最近とっても美味しいスイーツ屋台を見つけたと言うので」 璃奈「ネットでも最近話題。新型ウィルスのせいで行けなくなっちゃう前に3人で行こうってなったの」 かすみ「あ〜あ、りな子がウィルスなんてやっつける発明してくれればなぁ〜……」 彼方「……!」 璃奈「私が得意なのは電子系統。薬学は専門外」 かすみ「そうだよね……じゃあ頼むならまき子の方だね!」 しずく「真姫さんにだって分野があるだろうし……というかそもそもまだ医者じゃないよ?」 璃奈「だけどなんとかしてくれそうな感じは、する」 彼方(やっぱり、みんなウィルスのことを何とかしてほしいって思ってるんだね) かすみ「──ってことで〜、彼方先輩もいっしょにどうですか〜?」 彼方「はえ?どこに〜?」 かすみ「んもうかすみんの話聞いてなかったんですか?スイーツですよ、スイーツ!」 彼方「ああそうだったね〜、えっとぉ……」 彼方(行きたいっ……!行きたいけど……お金が心配だからなぁ……) 彼方「ごめんねえ、行きたいのは山々なんだけど、遥ちゃんがお腹を空かせて待ってるから……また今度ね〜」 璃奈「……?」 しずく「そうですか、それは残念です」 かすみ「じゃあじゃあ、また今度行きましょう!」 彼方「わかったよ〜。それじゃあね〜」スタスタ 彼方(ふぅ〜、危ない危ない……) しずく「それじゃあ行こう?」 かすみ「行こう行こう……って、りな子どうしたの?」 しずく「誰かから連絡?」 璃奈「ううん。ちょっと調べ物……やっぱり。璃奈ちゃんボード《ぴこーん》」ツイツイー かすみ「調べ物?」 璃奈「うん。遥ちゃんの学校のスクールアイドル部、Twitterで今日は校内イベントだって告知をしてる。あと10分後に開始みたい」 かすみ「それがどうしたの?」 しずく「……さっき彼方さん、『遥ちゃんがお腹を空かせて待ってる』って言ってたよね」 璃奈「だけどその遥ちゃんはイベントでお家にいない。だからあの発言はおかしい」 璃奈「それに、会話中ちょっと上の空だった」 しずく「言われてみれば、帰り際どこか早足だったような……何か隠してることがあるのかな?」 かすみ「それじゃあ決まりだね!」 しずく「えっ?」 かすみ「今度のお休み、彼方先輩を尾行するよ!」 また夜更新します 彼方母→彼方の呼び方が既出だったのは私の不勉強です。申し訳ありません…… そこは真面目な話の最中だし彼方呼びしたって脳内変換したからおk 続きも楽しみにしてる 急な大金は振込だろうと散財だろうと不審に思われそう 楽しみにしてる ──数日後── かすみ「というわけで、早速尾行しちゃおう!」 璃奈「おー!」 しずく「……本当にやるんだね」 かすみ「だってぇ!彼方先輩の秘密がわかっちゃうかもしれないんだよ」 しずく「前にもにこさんの後をつけたことがあったけど、かすみさんこういうの好きだね」 かすみ「まあね。ほらっ、あんぱんと牛乳だって用意したんだよっ」 しずく「今時ドラマにもそんな人出てこないよ」 璃奈「そう言いつつ、しずくちゃんもやる気満々」 しずく「えぇ、そ、そうかな……?」 かすみ「確かに……しず子がスカート以外をはいてるの、衣装以外で全然見ないかも」 しずく「だ、だって……スカートだと走って追跡する時に不便かなって……」 かすみ「しず子ガチじゃん!」 ──── ── ─ かすみ「……つまんない」 璃奈「彼方さんの家の近くに張り込みして20分経ったね」 しずく「まあ、彼方さんが何かを隠していたとしても、今日行動に移すとは限らないし、そもそもこの間のことだってただの言葉の綾だったとかってこともあるかもしれないよ」 かすみ「ん〜でもでも……あの時の彼方先輩怪しかったんだけどなあ……」 璃奈「それに初めに気がついたの、私」 かすみ「そうかもしれないけど!よく見たら何か焦ってたような感じしたんだけど……」 かすみ「彼方先輩のアルバイトのシフト的にも、同好会の練習のスケジュール的にも、何かやるなら今日しかないと思ったんだけどなあ……」 しずく「かすみさんの方がガチじゃない?」 璃奈「でも、これ以上何もなさそうなら──」 ガチャッ 3人「……!!」 彼方「さてと……」 璃奈「彼方さん、出てきた」 しずく「ただのおつかいの可能性とかもあると思うけど……」 かすみ「でも見てよしず子、あの格好」 璃奈「確かに……おつかいにしてはやけにおしゃれ」 かすみ「よし、追ってみよう!」 しずく「しっ、かすみさん、気づかれるよ?」 璃奈「しずくちゃんも案外のりのり」 しずく「い、いいから行こう?」 ──駅── しずく「やっぱり……本格的におでかけだね」 かすみ「かすみんリサーチによれば、同好会の誰かとの予定はなかったはず」 璃奈「部のほうは確か今日はミーティングだって愛さんが言ってた」 しずく「遥さんとどこかに行くなら、今一緒にいるはずだろうし……」 かすみ「ってことは!やっぱり秘密のお出かけだね!」 璃奈「彼方さん、改札通った」 しずく「あっちの路線ってことは行き先は……」 かすみ「もしかして……遊園地だ!」 彼方「あれえ、もしかして彼方ちゃん、時間間違えちゃった?」 真姫「そうじゃないわ。私が早く着きすぎただけよ」 彼方「それじゃあやっぱり待たせちゃったんだね……ごめんね〜」 真姫「いいんだってば。私が勝手に早く来たのよ。その……楽しみだったから……」クルクル 彼方「ま、真姫ちゃ〜ん……!」ダキッ 真姫「んもう、だから抱きつかないでってば!」 ──── かすみ「着いた、やっぱり遊園地だよ」 璃奈「彼方さんと……真姫ちゃん……?」 かすみ「まき子と彼方先輩が密会?」 しずく「そうか……そういうことだったんだね……」 璃奈「しずくちゃん?」 しずく「そう、きっと2人は禁断の恋に……!」 しずく「別の学校でありながら2人は出会い、そして恋に落ちてしまう」 しずく「合同練習の合間を縫って逢瀬を重ね、親睦を深めていく」 しずく「音楽室での2人きりの時間。舞うは彼方 奏でるは最美の調べ……そんな束の間のひとときを楽しんでいたの」 しずく「しかし、2人は1年生と3年生。身分違いの恋に苛まれることになる」 かすみ「いうほど身分違いじゃなくない?」 しずく「いずれ彼方さんが卒業してしまえば、2人は離ればなれになってしまう。噫無情……この世界は悲しみに満ちてる……」 璃奈「今だって学校が違うのに会ってると思う」 しずく「しかし!最後の最後で2人は愛を確かめるために、初めて外でデートをすることにしたの。人目を気にしがながら、それでも2人は会うのをやめられなかった」 かすみ「全然めげないじゃんしず子……」 しずく「2人は少しずつ身体を重ねていき、そして──」 「あーーー!!!」 かすみ「えっ……!?」 Hey guys! We have a gift for you 凛「やっぱり!かすみちゃんたちだよ〜!」 璃奈「凛ちゃん、花陽ちゃん」 しずく「お2人ともは遊びに……?」 花陽「いや、えっとね……」 凛「……最近真姫ちゃん、練習終わったらすぐに帰っちゃうから、何かあったのかなって心配で」 かすみ「ええっ、もしかして2人も尾行!?」 花陽「2人も……って?」 璃奈「私たちも一緒。彼方さんの様子が変だったから、見に来たの」 しずく「では、やはりそうだったんですよ!2人はきっと禁断の──」 真姫「してないから」 花陽「ぴゃあああ!ま、真姫ちゃん!?」 真姫「そりゃあね、知り合いのあんな大きな声聞いたら、普通気がつくわよ」 彼方「ごめんね〜、心配かけちゃったんだね〜」 しずく「こちらこそ……後をつけるような真似をしてすみませんでした」 彼方「いいんだよ〜、遊園地だもん。みんなで遊んだ方が楽しいからね〜」 花陽「でもいいんですか?」 彼方「彼方ちゃんはね〜。真姫ちゃんは?」 真姫「……いいんじゃない。彼方がいいなら私も異議はないわ」 凛「やったにゃ〜!」 璃奈「それで、2人はどうしてここに?璃奈ちゃんボード《はてな?》」 真姫「料理をちょっと教えてもらおうと思ったのよ。この前は彼方たちもいたからなんとかなったけど、いつも合宿の時はにこちゃんに頼りっぱなしでしょ」 真姫「それで、にこちゃんと被りそうにないメニューのレシピをいくつか教えてもらったりしてたってわけ。そしたらこの間彼方が遊園地に行こうって言ったから今日一緒にいるの」 彼方(おお〜真姫ちゃんナイスアドリブ) 彼方「それじゃあ今日は楽しもうね〜」 凛「凛、またジェットコースター乗りたい!」 かすみ「うぇぇ、あれですか!?」 花陽「そういえば、凛ちゃんとかすみちゃんは前にも彼方さんと来たことがあるんだよね?」 凛「うん!その時、今度かよちんとも行こうって思ったから一緒に来られてよかったにゃ」 しずく「かすみさん急に大人しくなったけど……もしかして怖い?」 かすみ「し、仕方ないじゃん!かすみんかわいいのは得意だから、怖いの苦手なんだもん!」 璃奈「どういう理屈……?」 彼方「そうだなあ……」チラッ 真姫「……?」 彼方「彼方ちゃん、今日はゆっくりしたい気分だから、メリーゴーラウンドとかのほうがいいかなあ」 凛「そ、そうなんだ……」 璃奈「面白そうだったけど、それならまた今度だね」 真姫「……ああ、そういうことね」ボソッ ──── ── ─ 彼方「はぁ〜、最高だったね〜!!」ニコニコ しずく「知りませんでした、彼方さんがここまでジェットコースター好きだったなんて」 璃奈「以外」 彼方「そうなのかなあ?普通はこんな感じじゃない?」 花陽「私はもう途中から怖くなっちゃって、凛ちゃんの手をずぅっと握ってたよ」 かすみ「かすみんもでずぅ……」 真姫「相変わらずの迫力だったわね。だけど、クセになる気持ちも少しわかるかもって今回は思ったわ」 しずく「あっ、もうこんな時間なんですね」 花陽「ジェットコースターに乗れる時間が結構遅かったもんね」 璃奈「次のアトラクションで最後になりそう」 彼方「それじゃあアレに乗ろうよ、観覧車!」 真姫「夜の観覧車って、ライトアップされた園内が一望できて綺麗なのね」 彼方「そうなんだよ〜、これはこの前遥ちゃんと行った時に教えてもらったんだ〜」 真姫「そうだったのね……ねぇ、彼方」 彼方「ん〜?」 真姫「2人になれたことだし、私を遊園地に誘った理由、そろそろ教えてもらってもいいかしら?」 彼方「……真姫ちゃん賢いからなぁ。もう気がついてたりするんじゃない?」 真姫「メリーゴーラウンドに乗りたいって言ったり、ジェットコースターを遠慮したり……やたら私に気をつかってたでしょ?だけどそれがどうしてなのかはわからなかったわ」 彼方「あちゃあ、やっぱりそのあたりはバレちゃってたんだね……ただ今日は真姫ちゃんにお礼がしたかっただけなんだ〜」 真姫「お礼?」 彼方「……最初におしっこを採取した日ね、やっぱり怖くなっちゃったの」 彼方「もしかしたら、大金もらってこんなことするなんて、彼方ちゃん騙されてるのかな、悪用されるんじゃないかなって……」 真姫「まあ、そう思われても仕方がないかもしれないわね……」 彼方「もしこれを知らない男の人に渡すようだったら、彼方ちゃん続けられる自信なかったと思うんだ〜。でも真姫ちゃんが手伝ってくれてたから、そんなわけないよねって思えたんだよね」 彼方「だから、真姫ちゃんに感謝してるんだよ。ありがとう、真姫ちゃん」 彼方「ただ、真姫ちゃんには逆に気をつかわせちゃったみたいで、ごめんね〜」 真姫「そんな……それなら私だってそうよ」 彼方「ええっ?」 真姫「こういう風に色々と誘ってくれてありがとう。こうやってみんなと遊んだりするの、憧れがあったから……」 真姫「私、こういう性格だから自分から誘ったりできないし……彼方も含めて、虹ヶ咲のみんなが遊びに連れて行ってくれるの、感謝してるの」 彼方「えへへ、お互い様なんだね〜」 真姫「もっともちょっと前までの私だったら、誘われても断っていたかもしれないわね」 彼方「どうして?」 真姫「遊んだりしたいっていう気持ちを、抑えていたと思うからよ。今よりももっと自分の世界に閉じこもっていたから……」 真姫「だけど穂乃果が私を頼ってくれて、花陽と凛が友達になってくれて。そうしてμ'sに入ったことで、私は変わることができた」 真姫「たまに対立したりもするけれど、それも含めて楽しいことなのを知ってるから。だから、μ'sのみんなにももちろん感謝してる。まるで10年くらい一緒にいるみたいな錯覚すらあるわ」 彼方「錯覚……?」 真姫「もちろんものの例えだけどね」 彼方「へえ、真姫ちゃんはμ'sのこと大好きなんだね〜。素直な真姫ちゃん、いいじゃ〜ん」 真姫「もう……はぐらかすのが上手な彼方に言われるのは釈然としないわね……」 彼方「えへへ、それじゃあ彼方ちゃんももう1つお礼をしようかな〜」 真姫「だから気にしなくても……」 彼方「ううん、お料理の話だよ〜。きっとあれは誰かに気づかれた時に用意していた言い訳なんだと思うけど、今の話を聞いてたら、きっとそれも真姫ちゃんの本心なのかなって」 真姫「そうね。それじゃあまた今度お願いしようかしら」 しずく「夜景、すごく綺麗でしたね!」 かすみ「かすみん感動しちゃいました!」 花陽「私もっ!」 凛「今日は楽しかったにゃ〜!」 璃奈「今度はもっとみんなで来たい」 真姫「何人になると思ってるのよ……」 彼方「あはは、みんなで来たら海未ちゃんやダイヤちゃんの胃がもちそうにないね〜」 凛「だけどそれも楽しそう!」 しずく「では、そろそろ帰りましょうか」 真姫「そうね。行きましょう」 彼方(今日はみんなと親睦が深まったし、真姫ちゃんに感謝も伝えられたし、よかったなあ) 彼方(だけど、新型ウィルスがもっと流行しちゃえば、ここにくることもできなくなっちゃうかもだもんね〜……) 彼方(はやく解決するといいなぁ) ──数日後── 彼方「ええ?緊急事態!?」 真姫「そうなのよ。彼方のせいじゃないんだけどね……」 彼方「どういうこと?」 真姫「それが、パパが言うには彼方の尿の中から発見できるK細胞の量が減少を始めたみたいなの」 真姫「彼方の膀胱で繁殖していると思っていたのだけれど、何らかの原因でそれができなくなったのか、それともそもそもが外的要因によるものだったのか」 彼方「外的要因って、彼方ちゃんがK細胞を作ってたわけじゃないってこと?」 真姫「可能性としてはそこも考えられるわ。とはいえ一緒に送ってもらっている食事のレポートを見る限りは何か変なものを摂取しているわけでもないし……」 真姫「彼方は何か心当たりない?健康診断の前後で何かいつもと違うものを摂取した覚えはある?」 彼方(うーん、健康診断の前っていうと、合同合宿があった時だよねえ。そんな時にも特別変なものを食べた覚えは──) 彼方「──あっ!!!」 私の料理は世界のみなさんを健康にします! ブイッ❤︎ 彼方「さて……」 真姫「言われたものは全部用意したわ」 彼方「さっすが真姫ちゃん、ありがと〜!」 真姫「このくらいどうってことないってパパが言ってたわ。それよりも、本当に可能なの?」 彼方「まっかせて!こう見えても特待生なんだあ。彼方ちゃんだって、やるときはやるんです」 真姫「それは知ってるけど……まさか何週間も前に食べたレシピも知らない料理を、味の記憶を頼りに再現するなんて……!」 彼方(そう、彼方ちゃんがやるべきこと、それは──) 彼方(──あの合宿で食べたせつ菜ちゃんのスープを、再現するよ!!) 彼方「健康診断の付近で唯一食べた変なものが、あのスープだからねえ」 真姫「やっぱりエリーが遠慮してたってのはそういう意味だったのね」 彼方「逆に言えば希ちゃんは平気そうに食べていたよね〜」 真姫「その時は彼方が作ったってわかったんじゃない?希はタロットに愛されてるみたいだから」 彼方「あはは、なんだか納得できちゃうなあ」 真姫「それで、どうやって再現するの?」 彼方「もちろん、せっかくあの日準備した食材と全く同じ種類のものを用意してもらったからね、あの時の味に近づくように料理をしていくんだ〜」 真姫「手がかりはあるの?」 彼方「彼方ちゃん、気がついたんだよ〜。合宿以降で変わったことがもう1つあったことに」 真姫「変わったこと……?」 彼方「それはずばり……眠気なんだよ〜!」 真姫「眠気って……彼方はいつもそうでしょ?」 彼方「それがね〜、最近は特に眠気がすごかったんだよね〜」 【しずく「彼方さん、ここ最近ずっと眠そうですね……具合が悪いんですか?」】 【彼方(できないけど……ふかふかのベッドが睡魔を……)】 【彼方(今日も寝るのは2時頃かなあ。でも、早く寝ないと、練習中に、寝ちゃ、い、そう……)】 真姫「なるほどね。つまりあのせつ菜のスープには、眠気を誘うような何かが入っていたかもしれないってことね」 彼方「そのとおりだよ〜。それで今回彼方ちゃんが目をつけた食材が、じゃ〜ん、くるみだよ〜」 彼方「くるみの中にはね〜、トリプトファンがたくさん含まれてるんだ〜」 真姫「トリプトファン?」 |c||^.-^|| 「説明しましょう。トリプトファンとは、快眠ホルモンである『メラトニン』を生成する必須アミノ酸のことですわ。ヒトの体内では十分に生成ができない為、食事から摂る必要があるのですよ」 ──── ── ─ 彼方「むぅ……」 真姫「あれから2時間くらいかしら……」 彼方「う〜ん、惜しいところまできたと思うんだけどなあ……」 真姫「色味はだいたいこんな感じだったように思うけれど……味の再現までは流石に私にはわからないわね」 彼方「彼方ちゃんが今までやってきたのはね、既にある料理をアレンジしたり、盛り付けを考えたり、そういうのがほとんどだったんだあ。全く新しい料理を開発することはほとんどしたことないから……」 彼方「こんな、荒野を突き進むような大変なものだったなんて知らなかったよぉ……」 真姫「ふふ。独特の表現ね……じゃあ彼方、少し息抜きしない?」 彼方「息抜き……?」 真姫「前に約束したでしょ。料理教えてくれるって」 彼方「おお、そうだったね〜!それじゃあちょっと中断して、彼方ちゃんのお料理教室のはじまりはじまり〜」 彼方「はい!これでアクアパッツァのかんせ〜い」 真姫「……美味しい」 彼方「真姫ちゃん、トマトが好きだって聞いたからね。それににこちゃんの料理は和食が多いって聞いたから洋食がいいかなって」 真姫「色々気にして選んでくれてありがとう。料理って結構楽しいのね」 彼方「でしょでしょ〜、彼方ちゃんも大好きなんだ〜」 真姫「ふふ。ちょっと前の表情とはだいぶ変わったわね」 彼方「表情……?」 真姫「せつ菜の料理を作ろうとしていた時のことよ。色々プレッシャーがあるのはわかるけど、あまり楽しそうな表情でなかったから」 彼方「そうだったんだ……」 真姫「前に言ったでしょう。μ'sの活動は上手くいかないこともあるけど、それも含めて楽しいから続けられるって」 彼方「……!」 【真姫「たまに対立したりもするけれど、それも含めて楽しいことなのを知ってるから」】 【遥「上手くいかないこととか、意見が違ってケンカみたいになることもあるけど……結局は楽しい!って感情に繋がるから続けられるんだ!」】 彼方「そっか……!」 彼方「彼方ちゃん、うっかりしてた……せつ菜ちゃんもきっと、楽しい!っていう気持ち全開で料理していたんだよね!」 彼方「彼方ちゃん、せつ菜ちゃんのこと全然理解できてなかったよ……通りで再現なんてできないわけだよね」 彼方「それなら……きっとこんなもの使ってちゃダメなんだよ!」 真姫「ちょ、ちょっと彼方……?」 彼方「軽量カップもスプーンも必要ないよ。ぜ〜んぶフィーリングで作っちゃおう!」ババババ 真姫「は、早い……手際は流石ね」 彼方「あははは〜、こういう料理も楽しいんだね〜」ババババ 真姫「このスピード感……ジェットコースターといい、彼方ってスピード狂なのね、意外だわ」 彼方「え〜っと、こうした方が美味しくなるんだろうけど……こっちのほうが面白そうだね〜」 ──── ── ─ 彼方「出来た〜!!」 真姫「すごい……あれから30分くらいで、ここまで来たのね……!」 彼方「さてと。ここからはまた彼方ちゃんの本領発揮だよ〜」 真姫「あら?もう完成したかと思ったんだけど違ったの?」 彼方「ううん。せつ菜ちゃんの料理の再現は完璧にできたはずだよ。ただ、あとは彼方ちゃんがちょっとずつ味見をしながら調整したんだ〜」 彼方「どの段階でK細胞がなくなるのか、それとも現れるのかわからないからね。これはこれとしてそのパターンもいくつか作ろうと思うんだ〜」 彼方「ここからの作業は彼方ちゃんの得意分野だからね。もうすぐ終わると思うよ〜」 真姫「そう、流石特待生ね」 彼方「そこから先は真姫ちゃんのお父さんにお願いしなきゃだね〜、お薬を作るのは、彼方ちゃんにはできないから」 彼方「だから彼方ちゃんができることを精一杯!それじゃああと少しがんばるぞ〜」 ──数日後── 彼方「真姫ちゃん、なんだか久しぶりだね〜」 真姫「そうね。一時期は毎日顔を合わせていたからね」 彼方「それで、どうなった?」 真姫「ビンゴだったの。彼方が作ったサンプルの1つからK細胞が発見されたの。そのレシピを研究して、生成することにも成功できたわ」 真姫「あとは元々彼方から採取したK細胞のデータと統合して、注射タイプのワクチンに昇華することもできたの。既に動物実験には成功していて、政府の方に一般化の申請をしている段階みたい」 彼方「おお〜、それじゃあそれが承認されたら?」 真姫「うちの病院で試験的に導入して、結果が出れば全国に流通するわ。抗体ではなく新型ウィルスを完全に死滅させるものだから、感染拡大は間違いなく終息に向かうはずよ」 彼方「ってことは、イベントとかも……?」 真姫「そうね。自粛したりってことはなくなると思うわ」 彼方「よ、よかった〜……」 真姫「それからK細胞は仮称のつもりだったんだけどね。彼方から採取したんじゃなくて彼方が生成したものになるんだから、あなたの名前をそのままつけられるようになったの」 真姫「それとうちの名前を合わせて、NK細胞って名付けられることになったわ」 彼方「か、彼方ちゃんの名前がつくんだ〜……!」 真姫「……それと、もう1人の立役者の名前ね」 彼方「もう1人って……ああ、中川菜々ちゃんってことだね」 真姫「せつ菜の料理にインスピレーションを受けた彼方が作ったレシピにNK細胞が見つかったっていうシナリオにするみたい。せつ菜にも報酬金が与えられるみたいよ」 真姫「それにもちろん、彼方にもね」 彼方「彼方ちゃんが世界を救うことになるなんて、思ってもみなかったなあ……」 真姫「もちろん未成年の学生だからある程度情報は保護されるでしょうけど、少なくとも同好会のメンバーとかには公表できると思うの」 彼方「そっかあ、彼方ちゃん、ヒーローになっちゃったんだね……だけど彼方ちゃん、お金よりも名誉よりも、もっと素敵なもの貰っちゃったんだあ」 真姫「そうなの?」 彼方「真姫ちゃんと親しくなれたことだよ〜」 真姫「彼方……」 彼方「きっかけはちょっと変な感じだったけど、これが終わったからって真姫ちゃんと疎遠になるのは彼方ちゃんいやだからさ〜、またお料理教室を開催しようと思いま〜す」 真姫「まあ、彼方がしたいんならしていいんじゃないかしら」クルクル 彼方「やった〜!それじゃあ彼方ちゃん、腕によりをかけちゃうぜ〜!」 終わりです。締め方にちょっと納得いかなくて直したりしてたら遅くなりました…… 本当はもっとふざけるつもりがあったんですが、彼方ちゃんと真姫ちゃんを自然に動かそうとしたらだいぶ真面目よりの話になってしまいました ご覧いただいてありがとうございました 乙!面白かった まさかの廃人の人だったとは.... 次回作も期待してるね 廃人の人だったのか、納得。 今回は、初っ端ぶっ飛んでて後からまともになっていく、廃人とかとは逆のパターン。 おつおつ 面白かったです!廃人の人だったんだね、あれも楽しませてもらいました いい話だった 特待生彼方ちゃんの手際が感じられたのが良かった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.1 2024/04/28 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる