ダイヤ「願い」
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会えなくなってから……会わなくなってからどれだけの時が過ぎたのでしょうか。
それまでの私の世界は完全に崩れ去ってしまった。
大好きだった。そのことに嘘なんて一つもなかった。
それなのに……。
私たちは時計の針に置き去られてしまった。
ダイヤ「なんて、考えてももう意味のないことですね」 ダイヤ「さぁ、そろそろ就寝の準備もしなければいけませんね」
ダイヤ「ルビィものそんなところでのんびりしてないで、もうすぐ寝る時間ですわよ」
ルビィ「でも、もう少しで年が明けるよ?」
ルビィ「年が明けたら……」
ダイヤ「えぇ、ですから今のうちに眠る準備をしておいた方がいいでしょう?」
ダイヤ「新年のご挨拶をしたらすぐに寝てしまうのですから」
ルビィ「うん、でもお姉ちゃんの誕生日もお祝いしなくっちゃ!」
ダイヤ「ふふっ、ありがとうございます」 ダイヤ「本当にルビィが私の妹で、私は幸せですわ」
ルビィ「そ、そんなっ……ルビィもお姉ちゃんがお姉ちゃんで幸せ!」
ダイヤ「ありがとう」
ダイヤ「ですが、私のお誕生日は皆さんと会ってご挨拶をして、それからお祝いしてくださるのでしょう?」
ダイヤ「せっかくの時に大切なルビィが寝不足だと私は悲しいですわ」
ルビィ「うーん、分かった!」
ルビィ「明日はAqoursのみんなで盛大にお祝いするからね!覚悟しててね」
ダイヤ「ふふっ、そうですか、楽しみにしております」 ダイヤ「私は素敵な仲間に出会えて本当に幸せ者ですね」
ピンポーン
ダイヤ「こんな時間に来客ですか」
ダイヤ「一体どなたでしょうか」
ルビィ「お姉ちゃん、ルビィ出るよ?」
ダイヤ「いえ、私が出ますので、ルビィは就寝の準備を……」
ピンポーン
ダイヤ「はい、ただいま」
ダイヤ「こんばん……っ!」 鞠莉「もぅ!ダイヤ遅いわよ!」
鞠莉「マリーたちを凍えさせる気ですか?」
果南「はぁー、寒い寒い」
果南「おじゃましまーす」
ダイヤ「は?」
ダイヤ「お二人ともなぜ?」
鞠莉「なぜって?」
ダイヤ「集まるのは明日のはずですが?」
果南「あはは、鞠莉の提案でね」
鞠莉「ダイヤにloveを伝えにきたの!」 ダイヤ「果南さん」
鞠莉「もう!無視しないでよ!」
果南「急にごめんね?」
果南「だけど、もう帰りもないし、ね?お願い」
ダイヤ「それは別に構いませんが……」
ダイヤ「とりあえず、お客様を玄関に立たせたままというのもなんですので、奥へどうぞ」
鞠莉「はーい、おじゃましまーす」
果南「おじゃまします」 ルビィ「鞠莉ちゃんに果南ちゃん?」
果南「ルビィちゃんこんばんは」
鞠莉「ルビィー、とても寒かったわ!」ギュ
ルビィ「鞠莉ちゃん冷たいよぅ」
鞠莉「あはは、ごめんね」
鞠莉「ちょっと今からダイヤ借りるけど大丈夫?」
ルビィ「え?」
果南「ごめんね、急に」
ダイヤ「私は許可しておりませんが」
果南「ダイヤの許可は必要ないかなって」
ダイヤ「必要でしょう、普通」 鞠莉「ダイヤがいないと始まらないからね」
鞠莉「それにダイヤだってなんで私たちが来たかもう分かってるでしょう?」
ダイヤ「……まぁ」
果南「よし、それならいいでしょ?」
鞠莉「てことで、ごめんねルビィ」
ルビィ「ううん、むしろ嬉しいかな」
鞠莉「そう?」
ルビィ「ルビィの年末はこうだったから」
果南「うん、ごめんねルビィちゃんも」
ルビィ「ううん、大丈夫!」 ――
ダイヤ「で?」
鞠莉「いやー、せっかくだから、昔みたいにね?」
果南「3人でダイヤの誕生日を迎えたかったの」
ダイヤ「なら、連絡をくだされば良かったのでは?」
果南「ダイヤを驚かせたかったんだよ」
鞠莉「実際、サプライズだったでしょ?」
ダイヤ「まぁ、それは……」
果南「いつからこうなったんだっけ?」
果南「鞠莉と会った年からだっけ?」 ダイヤ「鞠莉さんのお父様とお母様が帰って来れないから、私の家で……」
鞠莉「おっと、大事なところが抜けてるわよ!」
ダイヤ「いいでしょう別に!」
鞠莉「ダメよ」
果南「なんかあったんだっけ?」
鞠莉「元々は果南の家に泊まりに行く予定だったのよ」
果南「あー、そうだったね」
果南「それで、ダイヤが2人だけズルいって……」 鞠莉「そ!それならダイヤのお誕生日もお祝いしたいしね?」
果南「昔は遊び疲れて起きてられなかったけどね」
ダイヤ「いいじゃないですか、子供だったのだから」
ダイヤ「寂しかったんです」
鞠莉「ダイヤ!可愛いわー!」
ダイヤ「いいでしょう!もうこの話は!」
果南「ふふ、そうだね」
鞠莉「やっぱりダイヤの家でないと、年越しって感じがしないわ」
ダイヤ「まったく……」 いつだって正しい答えは見つかるものだと思っていた。
だけど、想いは口にしないと届かない。
誰にも言えない答えは、私の大切な世界の色を変え、形を変えてしまった。
私が弱かったから。
果南「…ダイヤ?ダイヤーっ!」
ダイヤ「はっ……なんですか果南さん?」
果南「また難しいことでも考えたでしょ?」
ダイヤ「い、いえ、そんなことは……」
鞠莉「あら、それならもうおねむなのかしら?」
果南「主役が寝てちゃダメでしょ?」
ダイヤ「……ごめんなさい」 鞠莉「それは何に対して?」
ダイヤ「え?」
鞠莉「ダイヤったら、とーっても!難しい顔してるんだもの」
鞠莉「何考えてるかなんてお見通しだよ?」
果南「これでもダイヤのことは十分に理解してるつもりだよ」
ダイヤ「えぇ、そうですわね」
ダイヤ「ごめんなさい、せっかく来てくれたのに」
果南「そうだよ!しんみりしに来たんじゃなくて、騒ぎにきたんだから!」
ダイヤ「騒ぎにって……子供じゃないんですから」 鞠莉「でも、大体いつも一番騒いでるのはダイヤだったような」
ダイヤ「なっ!そ、そんなことありません!」
ダイヤ「それはきっと貴女たちが……」
果南「もー、一年の最後までダイヤの小言聞いてたくないよー」
鞠莉「そんなことより、久しぶりにアレやろうよ!」
果南「あー、いいね」
果南「最後に勝ったのは誰だっけ?」
ダイヤ「果南さん、鞠莉さん!話を……!」
鞠莉「まぁまぁ、いいでしょ?」 ダイヤ「むぅ……」
ダイヤ「ちなみに勝ったのは私です」
鞠莉「えぇー!ダイヤが勝ってたの!?」
果南「嘘だ!」
ダイヤ「嘘じゃありません!」
鞠莉「ダイヤってこういうゲーム大体運なさそうなのに!」
ダイヤ「どういうことですか」 果南「そうか!分かった!」
ダイヤ「何がです?」
果南「きっとダイヤに花持たせてたんだよ!」
鞠莉「接待プレイってやつね!」
ダイヤ「はぁー?」
ダイヤ「あの時ガチンコって言ってたでしょうが」
鞠莉「いいわ、そこまで言うなら決着つけましょう」
果南「いいね、負けた人は来年まで負け犬の称号つくからね」
ダイヤ「受けて立ちますわ、私が負けるはずありませんもの」 鞠莉「確かここに……」
鞠莉「あったあった」
果南「場所覚えてるもんだね」
ダイヤ「恐らく動かしてないですしね」
鞠莉「ほい、駒配るよー」
果南「その車の色も落ちてきたね」
ダイヤ「また塗りますか?鞠莉さん」 鞠莉「いいじゃない、これの方が味があるってもんよ」
果南「ふふ、そうだね」
ダイヤ「銀行ここに置きますからね、不正は許しませんよ」
鞠莉「今更不正なんてしないわよ」
果南「よし、ルーレットをセットして……」
ダイヤ「……それでは」
「「「勝負!!!」」」 ――
ダイヤ「そんな……」
ダイヤ「こんなことが……こんなことあってはなりませんわ……」
鞠莉「ちぇー、惜しかったなぁ」
果南「へへーん、私案外強いんだって」
ダイヤ「これに強いとか弱いとかないでしょう……」ブツブツ
鞠莉「ダイヤ?なにブツブツ言ってるの?」
ダイヤ「私に負けは許されない……」 果南「ダイヤダイヤ!」
果南「1を英語で?」
ダイヤ「……ワン」
果南「はいよろしい!」
ダイヤ「もう一度!もう一度ですわぁぁぁぁ!」
鞠莉「やっぱりダイヤが一番うるさいじゃない」
果南「それにもうすぐ年明けちゃうから、ね?」
ダイヤ「むぅ……」
果南「そんなにむくれないの」
鞠莉「あら、そんなダイヤもとってもキュートよ」 ダイヤ「来年は負けませんわ」
果南「受けてたつよ!」
鞠莉「今度みんなでチーム組んでやりましょうよ」
果南「そうだね、新しいの買って……」
ダイヤ「部費は出ませんわよ」
果南「やっぱり?」
ダイヤ「当然です」
ダイヤ「ただでさえ、カツカツなのに」
果南「分かってるってば、冗談だよ」 ダイヤ「大体やるならこれがあるじゃないですか」
果南「うーん……」
鞠莉「果南の気持ちもなんとなく分かるわ」
果南「なんとなく、私たちだけのにしたいなって……」
ダイヤ「……まぁ、それもそうですね」
果南「新しくなくても千歌の家なら何かしらあるかもよ」
鞠莉「とりあえずこの話はおしまい!」
鞠莉「そろそろ時間よ?」
果南「おっと、そうだった」
ダイヤ「手でも繋いで飛びますか?」
果南・鞠莉「……」 ダイヤ「なんですか2人して固まって」
鞠莉「ダイヤがそんなこと言うなんてって」
ダイヤ「いいでしょう?たまには」
果南「いいんじゃない、外で飛ぼう外で!」
鞠莉「えー、寒いじゃない」
ダイヤ「まぁ、ですがここであまり音立てるのもご迷惑ですし、外でもいいかもしれませんね」 鞠莉「それは今更な気がするけれど……」
ダイヤ「鞠莉さん行きましょう?」
鞠莉「……なんとなく」
ダイヤ「はい?」
鞠莉「なんとなくダイヤのお願いは断れないのよね」
ダイヤ「ふふ、ありがとうございます」
果南「2人とも遅いよー!」
ダイヤ「今行きますわ!」 ――
果南「はぁー、寒いね」
鞠莉「あとどれくらい?」
ダイヤ「あと5分程ですかね」
ダイヤ「本当にありがとうございました」
果南「なになに急に」
鞠莉「ダイヤ、その話はもうなしだって言ったでしょ?」
ダイヤ「これは別に謝罪とかそういうのじゃなくて……そう、私の願いです」
ダイヤ「それならいいでしょう?」
鞠莉「……」
果南「うん、聞かせて?」 ダイヤ「私は……私には決断することも真実を伝える勇気もなかった」
ダイヤ「私の世界は崩れ去ってしまった……」
鞠莉「そんなことないわ」
ダイヤ「えぇ、鞠莉さんの言う通りです」
ダイヤ「私たちの世界で、私の世界での選択の中で……」
ダイヤ「そうですね、止めどない分岐の中に確かに道はあって、世界は何も変わらない」
ダイヤ「私の心の弱さが世界をそう見せていただけで」
ダイヤ「だから、私は強くなります」
果南「うん、それなら負けないようにしないとね」
鞠莉「そうね、私だって強くなるわ」 鞠莉「どんな世界でも、周りにはいつもの見知った顔があるし、今はいつだって声も聞けるわ」
果南「私たちが私たちでいられれば、それで何だっていいのかもね」
ダイヤ「ふふ、ありがとうございます」
ダイヤ「いつも頼りにさせて頂いておりますわ」
果南「よしっ!」ハグッ
ダイヤ「きゃっ……」
鞠莉「果南、ズルいわ、私も!」ハグッ
ダイヤ「もう、急になんですか」
果南「ふふっ、言ったでしょ?」
鞠莉「私たちはダイヤに愛を伝えにきたのよ?」
ダイヤ「……そうでしたね」 ダイヤ「なんだか、空が滲んで揺れて見えますわ」
果南「ふふ、どうしてだろうね?」
ダイヤ「きっと私の大好きな貴女たちのせいかもしれません」
鞠莉「それは光栄ね」
ダイヤ「……」
ダイヤ「さ、手を繋いで……」
果南「うんっ!」
鞠莉「ダイヤ、カウントダウンお願いね?」
ダイヤ「えぇ、あのきらきらの星まで……星に乗るほどに」
ダイヤ「3.2.1……」
「「「ジャーンプっ!!!」」」 果南・鞠莉「ダイヤ、お誕生日おめでとう!!」
ダイヤ「はい、ありがとうございます」
ダイヤ「それから……」
「「「あけましておめでとうございます」」」
果南「あはは、慣れたもんだね、この流れは」
鞠莉「そうだね、はい、ダイヤ今年の目標は?」
ダイヤ「先ほども言いましたが、私は強くなります、もっともっと」
果南「なんだかゲームの主人公みたいなセリフだね」
鞠莉「確かに、ダイヤが刀とか持ったらすごく強そうじゃない?」
ダイヤ「へ?」
果南「すごく似合いそう!」
果南「ルビィちゃんに相談しに行こうか!」 ダイヤ「あれ?あのー……」
鞠莉「そうね、それに寒いし早く帰りましょう」
果南「ダイヤも早く行くよー!」
果南「ルビィちゃん達にも挨拶しなくちゃ!」
ダイヤ「あ、ちょっと、待ってくださーい!!」
ダイヤ「ふふ、自然と笑顔が溢れてしまう、そんな今の世界はとても素敵なのかもしれませんね」
私、黒澤ダイヤは、黒澤家の長女です。
完璧を追い求める責務がある、と思っています。
だから、今の幸せを、大好きなみんなの笑顔を見られる世界を追い求めたい。
そのために、自分を信じて、心の力を信じて、届かない想いが願いを生んだ。
もっと強くなってみたい。 ダイヤさんの願うPerfect SEKAI
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