しずく 「願いよ叶え、1つでいいから」 彼方 「叶うよ、きっと」
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気がつくと、病室のベッドに横たわっていた。
どうやら酸素マスクをさせられているらしい。
一定のリズムを刻んで鳴る電子音と、窓を叩く風の音。ただ天井を見つめ、静寂の中に響くそれらの音に耳を澄ます。
彼方 (どうして……こんなところに)
体を起こそうにも、全身に痛みが走って思うように体を動かせない。辛うじて顔だけは動かせたので、辺りを見回してみる。私以外誰もいない。
そうこうしていると、突然病室の静寂を撃ち破るかのような激しい音を立てて、扉が開かれる。
エマ 「彼方ちゃんっ!!!」
果林 「彼方……っ!!!」 部屋に駆け込んできた2人は、全身汗でびっしょりだった。心配そうな目で、私を見ている。
エマ 「彼方ちゃんっ……大丈夫なの!?」
彼方 「うん……っ…なんと…か……」
ベッドの背もたれに背中を添わせながら、全身に走る痛みを必死に堪えて徐々に座り姿勢へ移る。
果林 「無理しちゃダメよ…。あんな事故に遭ったんだから」
彼方 「…………事故?」
エマ 「もしかして、よく覚えてない?」
思い出そうとするが……ダメだ。あと少し、というところまで行くと、頭痛がする。
まるで、誰かにブレーキをかけられたように。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています