善子「UNDERTALE?」
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UNDERTALEのネタバレを含みます。ご注意ください。
数年前に埋め立てられて途中でやめていた内容を書き直して改めて投稿します。 ヨハネ Lv5
ウォーターフェルのかいろう
コンティニュー 【「足場の種」は水面に4つ並ぶと花を咲かせる】
善子「……足場の種?」
未だ震える足を引きずりながら通路を進むと、壁にそんな注意書きがあった。
なによそれ、と思いながら道を進んで、理解した。
私が向かうべき道は川のような池のような、とにかく通路が遮られていたのだ。
遺跡であったように。
スノーフルへ向かう道にあったように。
これも地底のモンスターたちによる防衛機構────パズルのようだ。 善子「水面に並ぶと花を咲かせる……」
善子「足場の種、か」
私は看板の傍らに生えてあった4つのつぼみを見逃してはいない。
これが『足場の種』で、この花が咲くと足場になる────ということでしょう?
試しに私はそれをひとつ持ちあげ、向こう岸に向けて川に流してみた。
それを4回繰り返す。
なぜなら足場の種は4つ並べなければ花を咲かせないから。
善子「……いい感じ」
足場の種を4つ川に浮かべると、ちょうど向こう岸に渡るまでのちょうどいい長さになった。
そして────その花が、開く。
その光景は生命の誕生のようにも見えて、私は────
善子「よし! これでもう濡れなくて済む……!!」
善子「っていうかさっきのとこもこれ置いてなさいよ! ズボンびしょ濡れのままなんだから私!」
────私は、このゲームの意地の悪さに毒を吐くのだった。
ちなみに流す位置を間違えたら、壁にある鐘を鳴らせば『足場の種』は手元に戻ってくるのだとか。親切設計ね。 ・・・
足場の種の通路を超えて、次へ────
暗転。
あっ……この感覚久しぶり……
・アーロンがきんにくをピクピクさせてあらわれた!
善子「って、なんか変なやつ出たーー!!!」
なんか、なんかめっちゃムキムキの……魚人?人魚!?
いや……きmげふんげふん…… と、とりあえず分析……
・アーロン
・HP(ばりき)がスゴくたかい。
・ボックスのしたのほうにいるとこうげきをよけにくい。
善子「ばりきって何よ……ていうか、これって」
それはそれとして。
今更ながらに戦闘シーンの説明。
私の身体は真っ赤なハートになって、白いテキストボックスみたいな枠で囲まれてるの。
敵の攻撃はその周りから飛んできたり、ボックスの中に降ってきたり……私のハートがそれを避ける弾幕みたいな感じなんだけど……
とっても表現しづらいから、そこは臨場感あふれる地の文で説明していくけどね!
あとは脳内補完に頼るしかないわ!
さて、分析終了! じゃあ攻撃に備えてボックスの上に…… アーロン「好きなだけ分析してよ(^_-)☆」
言うが早いか、私が行動するよりも先にキンニク人魚のキンニク攻撃が飛んできた。
右から筋肉、左から筋肉……私はそれを左へ右へなんとか避けて……!
いやっ! ムキムキの人魚怖い!
・アーロンのあせが だんがんのように とびちる。
・だんがんだった。
善子「本当にどうなってんの!?」
た、戦うわけにはいかないし……と、とりあえず帰ってもらえないか聞いてみる……?
善子「あ、あのー……わたし何もしないからあっちに……」
アーロン「気に障ったかい?(^_-)☆」
帰ってくれなかった。
しかも弾丸の汗で攻撃してきた。
もうやだ。 ・アーロンはじぶんのキンニクを うっとり ながめている。
善子「きんにく……」
善子「……」
善子「筋肉に対抗するには筋肉……?」
善子「た、ためにし……ね、うん」
・キンニクをピクピクさせた。
・アーロンは2ばいピクピクさせた。
・ふたりともATKがあがった。
善子「なんで!?」
アーロン「キンニク自慢? よ〜し(^_-)☆」
なんか乗り気だこいつ……!
・アーロンは こちらが キンニクを みせるのを まっている。
待ってるし……でも、これが正解っぽい! ・キンニクをもっとピクピクさせた。
・アーロンは3ばいピクピクさせた。
・ふたりともATKがあがった。
アーロン「すごい!でも負けないよ(^_-)☆」
善子「ま、まだまだよ……!」
若干うんざりしながらも頑張る。腕がつりそう……
・キンニクをピクピクさせた。
・アーロンは もっともっと ピクピクさせた…
・アーロンはキンニクをピクピクしすぎて へやのそとへ とびだした!
善子「ええー……」
・YOU WIN!
・0EXPと30ゴールドをかくとく!
善子「えぇぇぇぇ……」
暗転。
善子「なんだったのあいつ……」
あのキンニク人魚は消えていた。もう出会いたくないわ……インパクト強すぎでしょ。 ホッと一息をついたのもつかの間、その先にある広間では、また足場の種によるパズルが待ち受けていた。
けれど、この程度のパズルなんて私にかかればものの数分よ!
ちょっと困らせようとした作りになっていたけれど、それを見抜けないようじゃゲーマーは名乗れない。
もちろんすぐ見抜いたわよ? もちろん。
善子「ってことで、先に進まないと────」
・プルルルル…
善子「!」
唐突に電話が鳴った。
いきなりすぎてめちゃくちゃびっくりしたけど……この番号は見たことがあった。 なんか連投規制食らうので今日はここまで
また明日か明後日に続きやりますね 『もしもし! ルビィだよっ』
そう、さっき別れた時に番号を交換したパビィルスことルビィの番号だ。
善子「ああ……ルビィ、ルビィね」
友人からの着信にホッとしかけた心が、ギチリと軋みをたてた。
先ほどの鎧姿の人物との会話を聞いていたこともあって、少し話しづらかったのだ。
だって、もし、彼女も私を……
パビィルス『もしもし? 聞こえてる?』
善子「あ、ああ……聞こえてるわ」
パビィルス『よかった! あのね、どうして番号がわかったか気になるでしょ?』
善子「え?」
さっき登録…………ああ、そうだわ。私が聞いただけで教えてなかったんだった。
でも、だったらどうして分かったの?
パビィルス『1から順番に番号を押したら繋がったの! にゃははっ!』
まじか。このケータイの番号ってそんな簡単なの……?
驚愕の事実に若干うちひしがれている私をよそに、パビィルスはおどおどした様子で話しはじめた。 パビィルス『えっと……いま、どんな格好してるの……?』
善子「え、いま……?」
パビィルス『いや、その……』
どうにも歯切れが悪い。
もしかして……さっきのやつに……?
パビィルス『友達に頼まれたから、聞いてるんだけどね……』
パビィルス『あなたがおふるのチュチュを身につけてるのを見たって、その友達が言うの』
善子「……」
パビィルス『それ、ホント? あなたは今、おふるのチュチュを身につけてるの?』
間違いない……あの鎧の人物……カナンダインだ。
やっぱりカナンダインはあそこで私を見ていたのだ。
……急に駆られた恐怖の心に、口の中が乾いていく。
奥歯が小さくカチカチと音を立てる。
パビィルスが私を呼ぶ声にも、うまく答えられない。
けど、答えなくちゃ。
カナンダインの思惑は知らないし、パビィルスがどこまでそれを知らされているのかも分からない。
私の返答次第では、自分の首を絞めるかもしれない。
自分が死ぬか生きるかの時に、友達をどこまで信じるかは話が別だ。
別だけど、私は……
善子「…………ええ、身につけてるわ」
……友達に嘘はつかないでしょ。 パビィルス『そっか、おふるのチュチュを身につけてるんだね……』
とても、悲しそうな声だった。
私のことを気にかけてくれているのかしら……?
あそこでも、私を守ろうとしてくれていたし……やっぱり、パビィルスは、あなたは……
パビィルス『オッケー! あとはまかせて!』
パビィルス『じゃ!またね!』
・ツー……
……
善子「おい」
……まあいいけど、あなたっぽいし。
…………怖がってちゃ前に進めないわよね。
友達の声を聞いて、少しだけ元気が出たヨハネなのだった。 ・・・
謎解きをしながら奥へ奥へと進むと、
『ニンゲンとモンスターの戦争史』
壁になぜか読める古代文字でこう書かれていた。
ここには、モンスターとニンゲンの戦いの歴史が刻まれている。
内容を簡単にいうと、こうだ。
ニンゲンはなぜモンスターを襲ったのか?
ニンゲンは圧倒的な強さを持っていて、彼らに恐れるものなどないと思われた。
なぜなら、全モンスターのタマシイを集結させて、ようやく1人のニンゲンのタマシイに匹敵するほどに力の差があるから。
しかしそのニンゲンにも弱点があった。
その弱点とは、皮肉にもそのタマシイの強さが関係している。
ニンゲンのタマシイは、死後も肉体を離れて存在することができるのだ。 そのため、ニンゲンを倒したモンスターはそのタマシイを奪うことができる。
モンスターがニンゲンのタマシイを取り込むと、底知れない力を持つ恐ろしい怪物になるらしい。
────タマシイ。
モンスターのタマシイは、倒されるとその場で消滅する。
その光景は、何度か私がこの目で見た。
私が殺してしまった数匹のモンスターが消滅する様を。
この目で────マリエルが消滅する瞬間も、見た。
このタマシイの強さがニンゲンとモンスターの間にある大きな力の差、ということになる。
だから私はモンスターたちにいっぱい攻撃されても耐えられるし、死なない……痛いけど。
けど、このタマシイを取り込めばモンスターは……
……だから、あのカナンダインは私を追っている、ということなの?
私を殺してそのタマシイを奪って、強くなるために……?
ああ、マリエルも言っていたじゃない……!
タマシイを奪われないで、と。
この地底の王様に、奪われてはいけないと。
そうか……こういうことだったのね。 善子「……ふふ、怖い」
善子「でも怖がってばかりじゃダメ」
善子「私は責任を果たさないと……マリーのことも、倒してしまったモンスターのことも胸に刻んで、この世界から脱出する」
善子「それが……せめてもの償いよね?」
グッと拳に力を込める。
殺さないし殺されない! それが私の決意!
それが叶って、外の世界に戻って……
はじめて私はマリエルに償いを─────
─────ドスッ!!!!
と。
意気込む私をめがけて飛んできた青の一閃────プラズマのような輝きを放つ槍が、眼前の地面に深々と突き刺さった。
これ、は────
『……』
善子「…………!」
い、た。
あいつが、カナンダインが、いま、ここに。 『……!』
鎧が槍を生成する。
その数は3本、空中に浮かばせたままそれを私へ目掛け────射出する。
善子「うわぁぁぁっ!!」
ドス、ドス、と連続して槍が地面に突き刺さる。
私は情けない声を上げながらも、転がるようにしてなんとかそれを回避した。
善子「はあ、はあっ……!」
今のは単なるラッキーだ。あれは確実に私を狙っていた。
当たればHPを削られてしまう……もし、それで全損でもしようものなら……っ!
脳裏に恐ろしい光景が浮かぶ。
その槍に貫かれてタマシイが砕け散る、私の姿を……
善子「っ……!」
殺される恐怖より、死にたくない勇気だ。
善子「ぁ、あぁああ────ッ!!」
私は力が抜けてしまった膝を強く叩き、地面を蹴る。
走る。走る。走る。
鎧は次々と槍を生成しては、私目掛けて投げてくる。
避ける。避ける。避ける。
私はそれを避ける。
飛んで避けて。
止まって避けて。
走って避けて。
時々身体をかすめてHPが削られるが、生きている。まだ走られる。
まだ、これくらいでは死なない。 善子「ぅぁあぁぁぁあっ!!」
ああ、もう────
早く、どこかに行って────
善子「ぃだぁっ!?」
全力で走っていたから、気づかなかった。
通路が、またあのトウモロコシ畑みたいな大きな草に覆われていたのだ。
私はそれに気づかずに思い切り突っ込んだ。
当然足を取られて転んでしまい、がさがさと草の中を転がって、絡みついた長い草のおかげで止まることができた。
善子「や、やばい……」
身動きが取れない。
焦ってるのも相まって草を解けない……!
『……』
がしゃ、がしゃ、と甲冑を鳴らして鎧姿がこちらへと歩いてくる。
草に覆われているせいでその姿は見えないが、音で、わかる。
もうあいつはこの草むらの……私の、目の前に……
……止まった。
『……』
────視線を感じる。
もう、やつは私のすぐ前にいて、見下ろしている。 善子「────、────、────」
ここで、終わりなの……? 私、これで……死んでしまうの?
もう、元の世界に……
『……』
鎧が腕を伸ばす。
私を捕まえるつもりか────
……どうせ私は動けない。
こうなってしまったら、私はもう……どうしようもできない。
最後まで抵抗はする。
けれど、きっと、私は……
そう、覚悟を決めそうになった時に。
鎧が伸ばした腕が、私ではない別の何かを掴んだのだった。
リア「ぅゅぅー……」
『……!?』
善子「!?」
……それは、地底の勇者に憧れるあの少女、リアのほっぺただった。
鎧は掴んだリアの姿を認めると、困惑しながらも、そっとリアを下ろし、その場を立ち去ったのだった。
────結論から言って、私は助かった。 ・・・
リア「ねえ……やばい! 今の見た!?」
リア「カナンダインに……触られちゃった!」
リア「私、もう絶対顔洗わない!」
善子「顔は洗いなさいよ」
草むらを抜けた先の通路に座り込んで、はしゃぐリアの話を聞く私。
めちゃくちゃテンション高く語る彼女を眺めつつ、私は死を覚悟しかけたことを悔やんでいた。
……さっき死なないって誓おうとしたばっかりなのに。
恐怖……には、勝てないわね……情けないけれど。
リア「ねえ、聞いてる?」
善子「あ……うん」
リア「ふふ、あなたツイてなかったわね。もう少し左に立ってたらストライクだったのに」
それ、ゲームセットなのよ…… リア「はあ〜……もう、最高っ! カナンダイン素敵! 私のヒーロー……♡」
善子「……ねえ、リア」
リア「なに?」
今の気持ちを、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。
私は少し、リアに話した。
ちょっと悪いことをしたこと。
そのせいで追われていて、逃げてること。
さっきも死ぬんじゃないかと思ったこと。
怖かったこと。
ここに来るまでに私の中に溜め込まれた弱音を全て、彼女に吐き出していた。
もちろんモンスターを倒した倒してないの内容は省いてね。
リアはいきなり話し始めた私にびっくりしていたけど、ちゃんと聞いてくれていた。
さっきまでのテンションはどこかへ置いて、静かに。
私の話を聞いてくれた。
善子「……私、これからまだまだ先に行かなきゃいけないの」
リア「……うん」 善子「この洞窟も抜けて、ずっとずっと先に進んで……お城まで行かなくちゃいけないんだと思う」
リア「……お城に」
善子「でも……怖いの」
善子「モンスターのタマシイはとても弱いって聞いたわ。だから少し傷つけただけで消滅してしまう」
善子「私だって、私だって……何度も傷つけられたらきっと……」
ニンゲンのタマシイがいくら強いとしても、その耐久力は無限ではない。
ダメージを受けすぎると、いつかは……マリエルのように……
リア「……どんな悪いことしたのよあなた。今の話を聞いたら、相当ヤバそうなんだけど」
善子「……」
リア「でも……ねえ、知ってる?」
善子「……え?」
リア「タマシイってね、ケツイする事で強くなれるんだって」
善子「……ケツイ?」
リア「そう!」
震える声で尋ねる私に、彼女は力強く頷いた。 リア「タマシイは、普段は脆くて弱くてすぐに消えてしまうかもしれない」
リア「けれど、ケツイ……変えられない想いとか、強い気持ちがあれば、タマシイは何倍にも強くなる」
リア「カナンダインだって、私たち地底のモンスターを救うってケツイがあるからあんなに強いんだから」
リア「あなただって、強い気持ちをケツイすればきっと大丈夫よ」
そう、胸を張るリアの姿は────あの札幌で見た、ルビィと2人で舞台に立つ姿そのものだった。
彼女も、街から出たら怒られると言っていた。
けど、あの鎧姿……カナンダインに会いたいからと、ここまで……
それが、ケツイなのか。
強い気持ちが、タマシイを……心を強くする。
……わたしは。
リア「さてと! 私はもうちょっとだけ……カナンダインを見たいから先に行くわ」
ぐっと背伸びをしながら、リアは立ち上がって言った。 リア「だから……次会うまでにその顔、なんとかしといてよ」
振り向きざまにその一言は、余計よ……ばか。
でも……
善子「……ありがとう」
リア「ふん」
リアは鼻を鳴らして通路の先へと走っていった。転ばないでよ。
……ケツイ。
ケツイを、強く。
ケツイを力に……
まだ……それは私にはよくわからない。
けど……リアは、恐怖で埋め尽くされていた私の心に、暖かな風を送り込んでくれた。
なら……やっぱり、責任を果たさなくちゃ。
果たすべき責任が増えてしまった。
なおさら、帰らないと。
……ケツイを力に変えて、ね。 ・・・
気持ちが落ち着いたところで、私は進む。
洞窟を、さらに奥へ。
この先のひらけた空間は、とても明るい場所だった。
ヒカリゴケのような青白く光り輝く植物が一面に生えていて、水面すら白く輝きを放っているようだ。
まるで星が地面から空へと昇るようなその光景はとても幻想的で、弱っていた心を回復してくれる。
Aqoursのみんながいたら喜ぶんだろうな……なんて、考えながら歩いていると。
・プルルルル……
電話だ。 『もしもし! ルビィです!』
善子「ええ、聞こえてるわ」
パビィルス『うん! ……で、そのね』
パビィルス『さっき、あなたがどんな格好をしてるか聞いたでしょ?』
善子「……そうね、聞かれたわね」
やはり、その内容……わかっていたわよ。
パビィルス『えーっと……それを知りたがってた友達はね……?』
パビィルス『……あなたに、「殺人願望」を抱いてるんだ』
パビィルス『でも、あなたはそんなのとっくに知ってたよね』
善子「……ええ」
パビィルス『だから、彼女にはちゃーんと伝えておいたよ』
パビィルス『あなたは、おふるのチュチュを身につけているって!』
……おい。 パビィルス『だって、あんないかにも怪しい質問されたら……普通は着替えるでしょ!』
ちょっと待ってあんたに普通を説かれるの?私??
パビィルス『あなたはとってもお利口さんだから! これであなたは襲われないし、ルビィも嘘はついてないよねっ』
パビィルス『誰も裏切ってないよ!』
パビィルス『みんなに好かれるのって案外簡単だね!』
・ツー……
……
善子「……ったく、ルビィのやつ」
善子「でも……私のために悩んでくれたのね。誰も傷つけないように、誰も裏切らないように」
善子「まあ結局私の裏を突かれたわけだけど……あの子なりの思いやりに免じて許してあげましょう」
善子「……さて、行くわよヨハネ。きっとまたカナンダインは現れる」
善子「その時にビビらないように……殺されないように、ケツイを力に変えるのよ」 ・・・
ニンゲンのタマシイを奪う我々モンスターの力……ニンゲンたちはこれを恐れた。
また進んだ先に、古代文字の戦争史。
────さっきの続きだ。
けど、これだけのようね。
続きはまだ……先?
オニオンさんという謎のモンスターに絡まれながら水辺の通路を進むと、交差点っぽいところにたどり着いた。
それからシャイレーンというモンスターと戦闘になったが、どうやら歌いたかっただけのようだった。
Aqoursの曲を教えてあげると、喜んでいっしょに歌った。
ちょっと心が安らいだ。 ・・・
ニンゲンにはこれに対抗する手段はない。
彼らは我々のタマシイを奪うことはできない。
モンスターが死ぬと、そのタマシイはただちに消滅する。
また、生きたモンスターからタマシイを奪うには途方も無い力が必要となるのだ。
────そして見つけた、戦争史の続き。
ただし、1つだけ例外がある。
『ボスモンスター』と呼ばれる特殊な種族のタマシイである。
ボスモンスターのタマシイは強く、死後もすぐには消えない。
わずかな時間だが、その場に留まり続けるのだ。
これをニンゲンが取り込むことは可能だろう。
しかしこれまでに実例はない。
そして今後もそのようなことは決して起こり得ない。 ……ボスモンスター。
そういえば、マリエルのタマシイも……少しだけその場に止まってから、消滅した……ような。
善子「……マリーもボスモンスターだったのかしら」
そんなことを考えながら、天井から滲み出た水が雨のようになって降る通路を進みながら、道端に座り込んだような姿勢の石像の頭を撫でた。
その先に『1本どうぞ』と書かれた看板と、大量の傘が置かれてあった。
私はそれを一本借りると、さっきの石像のところまで戻る。
善子「ほら、これ貸してもらえるみたいだから借りてきたわ。あなた、濡れて大変ね」
石像に傘をさしてあげた。
善子「タオルがあれば拭いてあげたかったけど……これで少しはマシでしょう?」
じゃあね、とその場を去ろうとして────
〜♪
石像の中から、オルゴールのような音が聞こえ始めた。
その旋律は、とても心地よくて。
けれど、儚げで。
まるで、おとぎ話のBGMのような。
善子「いい曲ね。傘のお礼かしら?」
まるで笠地蔵のお爺さんになったような気分。
善子「またね」
私は石像に笑いかけ、その場を去った。 今日はここまで
サンズと望遠鏡のくだりは話の雰囲気的にカットで……申し訳ないです ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています