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ダイヤ「ここは……?」
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0001名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 21:53:30.40ID:6tjBvKIq
目を覚ますと見覚えのない部屋にいた
今まさに横になっているベッドが一台、学習机が一台、机の上にノートパソコンが一台
壁のない手洗い場と洋式便座があって窓はなく、固く閉ざされた鉄の扉が正面にある
着ているのは浦の星女学院の制服で、鞄はなく携帯もない
つまり、自分の持ち物と言えるものは着ているもののみで、それ以外のすべてが他人の所有物


ダイヤ「……なぜ」

いつ、ここに来たのかがまったくわからない
昨夜……と言うのが正しいのかは分からないが、自室で寝たことだけは覚えている
いつものように寝間着に着替え、明日の用意を確認し
起きる予定の時刻に目覚ましをセットし、眠りに落ちた

ダイヤ「にもかかわらず、これですか」

誰かに連れ去られた?
誰に? どうやって?
黒澤邸、黒澤ダイヤの自室……そこから誰が?

ダイヤ「鞠莉さん……でしょうか」

実行はともかく、部屋を用意できるのは小原鞠莉くらいだろう
0004名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 21:59:31.89ID:6tjBvKIq
ダイヤ「鞠莉さん! 鞠莉さん!」

声を荒げても、返答はない
からかっているのか、今は見ていないのか

ダイヤ「……まったく」

どこかに監視カメラがあるはずだが、壁にも天井にもそれらしいものは見当たらない
扉を叩いてみたが、叩いているという音が一切ない
コンコンという接触の音のみ
つまり、人の手でたたく程度では揺れるような代物ではないということだ

ダイヤ「……」

仕方がなく唯一の道具と言えるパソコンの前に座る
電源は入っているようで、マウスを動かす程度でモニターが映った

ダイヤ「……は?」

見えるのはどこかの掲示板
書かれているのは、監禁したらどうこう……という不快な言葉
0005名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:06:36.16ID:6tjBvKIq
ダイヤ「何を、望む……?」

子作り、嫁と言った不快極まりない物から、
プリンを食べさせる、拘束して目の前でプリンを食べるという生易しいものまで
そこには書かれている

ダイヤ「なんなんですか……一体」

とりあえず、助けを求める書き込みをしてから
他の操作が出来ないかを確認したが、
件の掲示板を見ること、書き込むこと
それ以外は一切の操作を受け付けないらしい

ダイヤ「電源は落とせる……」

左側のマークを押して、手順を進める
シャットダウン、スリープ、再起動
その選択肢はあるが、それ以外にはない

ダイヤ「……なるほど」

考えていた通り、眠った記憶は昨夜だとパソコンの時間が証明する
弄られていた場合、それは何の証明にもならないかもしれないが、
一先ず、それを信じるほかない
五月二日、それが今日の日付のようだ
0007名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 22:09:42.60ID:9mwV4PXL
これあのスレと連動してるのか
0008名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:12:42.14ID:6tjBvKIq
ダイヤ「……くっ」

掲示板を更新しても、真っ当に考えてくれるつもりはないらしい
結婚する……などという書き込みがあるのみ

ダイヤ「どうしろと」

考えても、解るはずがない
監禁される覚えはないし、悪戯にしては度が過ぎている

ダイヤ「鞠莉さん! いい加減にしてください!」

怒鳴るが、やはり返答はない
カメラの奥で笑っているのだろうか、それとも……
0009名無しで叶える物語(しまむら)
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2020/05/02(土) 22:17:22.39ID:jHjSWz0L
視聴者参加型企画かな?
0010名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:20:27.86ID:6tjBvKIq
ダイヤ「な……」

書き込めば更新されるようで、
小原鞠莉に対しての書き込みをおこなうと、いくつかの書き込みが増えた

空腹になるまで放置、ルビィへの酷いことの動画
目の前で妹の凌辱、お手洗いの我慢、ごろごろしている姿を見せる

ダイヤ「……な……」

妹への酷いこと、それを望む書き込みに動揺する
もし、犯人がそれをしたら……
ほかの誰かの書き込みが、今に反映されるとしたら……

ダイヤ「なっ、なにか……!」

何か落ちているものを探せ
唯一、信じてくれていそうな書き込みを頼ってパソコンの前を離れる

机の下には何もない
ぱっと見て、落下物はないが。

ダイヤ「ベッドの下は……?」

妹のルビィを思い出す
時々、片付けをしたと言いながらベッドの下や押し入れに隠しただけと言うこともある
押入れがない部屋だ、あるとすればベッドの下だろうと、手を伸ばす

ダイヤ「痛っ……」

ベッドの下に、包丁が落ちていた
0011名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 22:21:59.62ID:LNuBxQ33
これは新しいな
0012名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:35:34.19ID:6tjBvKIq
ダイヤ「なぜ包丁がこんな場所に」

少し指先が切れてしまったが、大事には至らなそうだ
包丁はそこまで高いものではなさそうだが、D.KUROSAWAと彫刻が掘られている

ダイヤ「D.KUROSAWA……黒澤ダイヤ」

それ以外にはないだろう
だが、それ以上の情報は得られそうにない

なぜダイヤの名で包丁が作られているのか
理由は分からないが、嫌がらせにしては手が込んでいる
名入りの包丁など、無駄も良い所だ

ダイヤ「……そ、そうですわ。次を!」

掲示板を更新するといくつかの提案があった
机の引き出し、部屋の間取り、マッドレスの中、トイレの中……

ダイヤ「ありがとうございます……」

とりあえず返答し、机の引き出しを開けてみる
左の引き出しにシャーペンが一本あり、右側の引き出しには何も入っていない
0013名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:41:38.38ID:6tjBvKIq
ダイヤ「マットレス……」

ベッドに使われているマットレスを触る
低反発……だろうか、押し込めば程よく返してくれる

ダイヤ「この中……?」

マットレスをベッドから引き擦り下ろして床に落とす
一緒に堕ちた枕と布団をベッドの上に放って、調べる

ダイヤ「……」

マットレスにはカバーがついているが、チャックはない
引っ張っても伸びるくらいでびくともしない

ダイヤ「そういうこと、ですか」

ベッドの下に落ちていた包丁を手に取る
刃元の部分を突き立てて引き裂く
スポンジ部部分が露出し、工具のドライバーが床へと転がり落ちた

ダイヤ「ドライバー……?」

先ほど見た限りでは、ドアをどうこうできそうにはない
ドライバーは手に入ったが、使い道は不明だ
0014名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 22:43:58.97ID:X952EdSt
支援
0016名無しで叶える物語(しうまい)
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2020/05/02(土) 22:46:19.46ID:hhmWjcZo
面白いから失踪しないでくれ
0017名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 22:47:48.02ID:inKyohZL
脱出ゲームか
面白い
0018名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:48:42.68ID:6tjBvKIq
ダイヤ「トイレは……避けたいですが」

便座に手を突っ込むことも考えながら、
18の人にマイナスドライバーがあったことを書き込み、一息つく

シャーペンを分解してみろというのに従って、キャップを外す
内側には消すための小さな円形の消しゴムが一つ
逆さにして振ってみると、数本の芯が飛び出した

ダイヤ「……おかしなところは」

シャーペンの芯はもちろん、消しゴムにもおかしなところはない
ペン自体は回らず、解体は出来そうにない
これも、安物のようだが。

ダイヤ「包丁のようなこともありましたし……」

何か、別の場所で使うのだろうか
0019名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 22:56:10.16ID:6tjBvKIq
ダイヤ「それにしても……」

急に助けてくれる人が増えた
信じてくれているのか、とりあえず遊びに付き合ってやろうというのか

ダイヤ「まさか、ね」

実は犯人が書き込んで誘導しているのかと考える
唯一の連絡手段だ、疑ってしまったらもはや頼りはなくなり孤独になる

ダイヤ「……仕方がありません」

洋式便座は、白い陶器製
汚れはなく、まさかとは思うがこの為に新しく用意されたように見える

水はしっかりと溜まっている

ダイヤ「くぅ……っ」

まだ綺麗、まだ綺麗
そう言い聞かせながら手を突っ込んでみると、何かに触れた
ふゆふゆと、変な感触
だが、ギリギリ手が届かない

ダイヤ「シャーペンかドライバー」

シャーペンが書けなくなることを考えると
ドライバーだろうと握りしめて、もう一度手を突っ込む

ダイヤ「……鞠莉さん……貴女だったらっ」

絶対に許さないと、便器の中に隠された何かを引っ張り出す
0020名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:02:10.22ID:6tjBvKIq
入っていたのはビニール袋
わざと詰まらせていたのか、引き抜いたとたんにごぽごぽと便器が唸る

ダイヤ「……?」

ビニール袋の中には紙が一枚
書かれているのは『安価3』と言う言葉

ダイヤ「安価?」

何が安価なのだろうか
包丁か、シャーペンか、ドライバーか

ダイヤ「良く分かりませんが、19さんに返すべきですね」

もしかしたら何か情報が得られるかもしれない
とりあえず、とパソコンの前に座って書き込んだ
0021名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 23:03:15.77ID:qBk7GMNN
即死回避
0022名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 23:03:24.64ID:qBk7GMNN
即死回避
0024名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:12:30.65ID:6tjBvKIq
ダイヤ「返事は……」

流石にすぐには来ない
更新しても何も無いことを確認してから、すでに書き込まれていただろう枕を調べることにした

枕にもカバーはあるが、こっちにはチャックがある
開けてみると、中身の本体が出てくるだけで変わったところはない

押し込んでみる、引っ張ってみる
残念ながら、変ったところはない

ダイヤ「っ……」

マットレスと違い、さすがに破くほどの秘密がなさそうに思える
とりあえず戻して、ベッドに座る

ダイヤ「誰か……」

掲示板の書き込み……もし、ルビィが巻き込まれたら
そう思うと、体が震える

助けがこない
調べても調べても、出てくるのは断片的なアイテム

ダイヤ「……」

掲示板を更新してみると、いくつかの書き込みがあったが、情報はない

ダイヤ「あれ?」

ただ一つ、他が【名無し〜】なのに【♦4U〜】の書き込みがあった
0025名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/02(土) 23:14:45.29ID:LNuBxQ33
支援
0026名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:27:14.07ID:6tjBvKIq
ダイヤ「判定、白」

それ以外に書かれていることはなく、意味が解らない
部屋にも変化はなく、何かされるでも与えられるわけでもないようだ

ダイヤ「つまり、白ならセーフ?」

判定が白ということは許された
つまり、判定が黒だったら……

ダイヤ「……よく、解らないけれど」

ダイヤの書き込みから、判定の書き込みまでの間
そこで何かが判断、判定されて
その結果が白だったのだろう

ダイヤ「でも、これからどうしたら……」

とりあえず、掲示板を更新する

ダイヤ「ひぃっ!?」

これが黒澤ダイヤちゃん?prprしたいわwwwという気色の悪い書き込み
そこに付加されているhttpから始まる蒼い文字を押すと、ダイヤの写真が画面に表示された

ダイヤ「なっ……なん……」

スクールアイドルをやっているのだから、写真くらいは出回るだろう
その覚悟もある
しかしながら、そこに合わせて書かれていた言葉に、悪寒が走った
0027名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:34:02.70ID:6tjBvKIq
ダイヤ「嫌……こんな……」

身体を抱きしめる
震えている体は、心なしか冷たい

監禁したのはこれが目的だったらどうしよう
眠っている間にこれをされていたら?
寝間着から制服への着替え、いったい誰がしたのか

ダイヤ「うっ……うぅ」

触られた覚えがないのに、触られたような感覚を覚え身震いする
パソコンの裏と側面に何かないのか
その言葉に触れて……パソコンを持ち上げようとしたが……

ダイヤ「こ、れは……」

ノートパソコンは机に固定されており、まったく動かせそうにない
側面にはパソコンに元々備わっているコード類を差し込むであろう穴が数個

ボタンらしきものを押すと、モーターの音が聞こえ
側面が開いた

ダイヤ「CDなどを入れるもの、よね?」

CDまたはDVDを入れるためのものだろう
しかし、何も入っていない
0029名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:47:29.03ID:6tjBvKIq
ダイヤ「なぜ……どうしてっ」

とにかく書き込む
鞠莉が犯人とは限らないが、一番可能性が高いからと名指しする

しかし、反応はない
マウスの解体という指示があったが、マウスについて出来そうなのは何もない
有線タイプのマウスは、パソコンにUSBケーブルでつながっている

ダイヤ「……誰か!」

扉を叩く
反動の痛みが手首まで登っていく
じんじんとした痛み、これ以上強く叩けば痺れてしまいそうな硬さ
それなのに、一切の反応がない

ダイヤ「……」

覗き穴のようなものはなく、
内側からは開くことが出来そうにない差し出口が下部についている

ダイヤ「誰……なの……」

くぅ〜……と、お腹が鳴る
冷蔵庫がなく、箱もなく
つまり、食べ物がこの部屋にはないのだ
0030名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/02(土) 23:59:40.70ID:6tjBvKIq
パソコンを更新する

ダイヤ「服……?」

着ているのは浦の星女学院の制服だ
寝ているときに出来ただろう皺があるが、新品のような硬さは感じられない
絶対とは言えないが、おそらくはダイヤ本人のものだろう

ダイヤ「脱いで、みるしか……」

周りを見回して、タイを外して観察する。
緑色系統の色合いのそれは、特に変わったところはない
上着についても、脱いでは見たが変化はない

ダイヤ「……」

白い肌着、白いブラジャー
どれをとってもどこにもおかしなところはなかった
浦の星女学院の制服着替えさせたのはただの気まぐれだろうか

ダイヤ「……あ」

ポケットには、ヘアゴムが一つだけはいっていた
見覚えがある……ルビィの髪を留めていたものだ
ただ、それだけだ
0031名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 00:20:18.43ID:bt90srof
書き込むと更新される
更新されれば書き込みがいくつか増えてきてくれる

ダイヤ「洗面台……?」

トイレのすぐ近くに併設されている洗面台
近づくと、鏡に自分の姿が映る
いつもと変わらない顔、髪型だ

ダイヤ「………」

便器に手を突っ込んだ時にも使ったが、
蛇口からは普通に水が出てくる
鏡の両サイドを開けるなんてことは出来ず、何かがあるということはないらしい

台の横にはコップが一つあるだけで、歯ブラシも歯磨き粉もない
当然のように、石鹸もなければタオルさえないのだ

ダイヤ「……っ」

コップに水を注いで、まずはうがいをする

そのあとに、のどを潤す。
一杯、二杯、三杯
食べ物を与えられない分、水だけでおぎなう

ダイヤ「……どうしたら」

パソコンの前に戻って、祈る気持ちで更新する
0032名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 00:30:06.21ID:bt90srof
ダイヤ「……?」

自分の少し前の書き込みに、さっきとは違う変化があった
>>61という小さな文字
カーソルを合わせてみると、文章が表示された

ダイヤ「不等号……レス番指定……?」

言葉は分かる、けれど意味が解らない
しかし、自分の書き込みに関連付けされるのかと判断する

洗面台を調べろと、頑張れと
応援してくれる53の人に、その指定をして書きこんで
教えてくれた61の人に感謝を書き込む

ダイヤ「……けほっ」

水だけのお腹が、変に揺れる
空腹をごまかしただけで、実際に満たされたわけではないのだ
それでも数日は生きられる

ダイヤ「……包丁、パソコン、シャーペン、安価3の紙きれ……ドライバー」

最悪、包丁を使ってしまおうか。そんな、駄目な考えが脳裏を過った
0033名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 00:55:08.05ID:bt90srof
書き込むと、鏡を叩いてみようという書き込みが増える
その可能性はあまりなさそうに思えたが、それでも。と、洗面台の前に立つ

ダイヤ「……」

息を吐く、息を飲む
胸の前にあげた手を、鏡の方へと伸ばしてみる
こつん……と、小さな音

ダイヤ「もう少し、強く」

手の甲、骨の部分でノックする
コンコンっという音がした

ダイヤ「……もう少し」

鏡に耳をつけながら、叩く
渇いた音……けれど、少しだけ反響する音だ

ダイヤ「鏡……」

割って何もなかったら?
でも、割らなくてもなにもない
ならばどうするか、考えるもないことだ

ダイヤ「素手では、駄目」

ドライバーを手に取り、差し向ける
深呼吸をして――叩き込んだ
0034名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 01:02:14.54ID:bt90srof
鏡が音を立てて砕け散る
ぽっかりと空いた穴の中には、トンカチが入っていた

ダイヤ「トンカチ……?」

鏡を割る前に見つけていれば、鏡を割るためだと思えたかもしれない
だが、鏡を割って手に入れたトンカチに意味はあるのだろうか

扉はトンカチでどうにかできるものではない
パソコンを壊す?
外部とのせっかくの連絡手段を断てというのだろうか

ダイヤ「……用途が、わからない」

包丁で自分を指す、トンカチで自分の頭を殴る
自殺をする選択肢を増やしてやった。とでも嘲笑っているのだろうか

ダイヤ「……」

考えてみれば、監禁の犯人はダイヤを解放する気がないかもしれない
わざわざ道具をちりばめているのは、希望を持たせた後に絶望させる下準備かもしれない

ダイヤ「そこまで恨まれるようなこと……したのですか?」

ダイヤ自身に、覚えはない
0035名無しで叶える物語(関東地方)
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2020/05/03(日) 01:06:59.21ID:YvbRAg2x
ナイフとドライバーと鏡の破片って脱出ゲーム的には最強の装備だな
0036名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 01:22:41.32ID:bt90srof
返事を書き込んでみると、机の引き出しに仕掛けはないのかという書き込みが追加されていた
左側にはシャーペンがあったが、右側には何もなかった

念のため、左右両方の引き出しを引っ張り出して
並べてみると、厚みに差違はないように見える

ダイヤ「……うまく二重にされているとか?」

左側を押してみると、びくともしない
右側を押してみても……残念ながらびくともしない

ダイヤ「何も、ない?」

引き出しは二つで一つで、左側のシャーペンだけがアイテムなのかもしれない
当たりとはずれ。そうやって弄ばれているのだろうか

ダイヤ「………」

綺麗な引き出しの底を指でなぞる
つるつるとした引き出しの底……なにもない

ダイヤ「でも……」

トンカチで叩けばそこが抜けそうだ
0037名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 01:29:10.29ID:bt90srof
とりあえず今日はここまで
0039名無しで叶える物語(しまむら)
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2020/05/03(日) 02:41:50.33ID:aAIQlz46
とても面白い
0042名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/03(日) 13:10:29.40ID:RAEUUtuL
こういう発想力ある人凄いよな
0043名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 14:33:29.11ID:bt90srof
ダイヤ「……あっ」

引き出しの底に仕掛けは見かけられないこと
トンカチで叩けばそこを抜くことが出来そうなこと
それを書き込むと、掲示板が更新された

金槌――トンカチやドライバーを使って
パソコンを机から引きはがしたり、包丁の柄を外してみては?という書き込みが追加される
パソコンを引きはがすことに関しては、壊れる可能性があるから控えるべきでは?という意見も見られる

ダイヤ「そうですね……控えたほうが良いと思います」

情報は一つでも多く欲しい
だから、パソコンを引きはがすことも考えるべきではあるが、
それをして得られる情報と、パソコンをそのまま使えるようにしておくこと
どちらが有益であるかを天秤にかけて、そのままにしておくことを決める

ダイヤ「……顔も見えない、名も知らない。匿名ではあるけれど……」

しかし、貴重な情報源だ
なにより、自分が一人ではないという気持ちにさせてくれる唯一の救い

ダイヤ「救い……ですわね」

他に情報は得られないかと更新すると、また新しい書き込みが増えた

ダイヤ「なん……で」

◇4U〜から始まる名前の書き込み
空腹を感じていること感知しているという
そして、食事を与えるべきかどうかを他者に委ねるという

ダイヤ「餌……っ」

食事ではなく、餌
まるで、飼われているペットのような扱いだった
0044名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 14:48:55.96ID:bt90srof
ダイヤ「いったいどういう……」

餌から感じられる気色悪さに身震いする
そうして、「安価はそうですねぇ……」という言葉を睨む

安価とはつまり、値が安いということではないのだろう
先ほどの書き込みを思い出す
安価3と、ダイヤが書き込むと数件の書き込みの後に判定は白となった

そして、今回の謎の人物の書き込みにも安価ということがあり、下3つの中と言うのが見られる

ダイヤ「そして、例の不等号……」

不等号=安価。と考えるべきだろうか
どうして関連付けが安価と呼ばれるのかは分からないが、インターネットではそういうものだと考えておいた方が良い

ダイヤ「……そういうこと」

判定が白だったのは、ダイヤの書き込みから3つの書き込みが
ダイヤに対しての指示でも何でもない書き込みで通過されてしまったからだ

犯人は、そこでダイヤに対する嫌がらせを支持させ、それを実行しようとしていたのかもしれない
それを思えば意味の無い書き込みをしてくれた人に感謝するべきだ
0045名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 15:00:05.96ID:bt90srof
ダイヤ「とにかく……っ」

謎の人物……おそらくは犯人に関連付け
安価を差し込んで書き込む

何が目的なのか、自分に原因があるのなら教えて欲しいと
犯人の目的が分かれば、何かできることが変わるかもしれない
そんな希望を持って……

ダイヤ「……あ」

書き込みが、増える
犯人の書き込みに続いて、いくつかの書き込みだ
ダイヤに食事を与えようとみんなが考えてくれているようで、無しと言うのはない

ダイヤ「この書き込みは……」

書き込みが文字化けしている
その結果、犯人の指定の中で一人が二回書き込んでいるが、これはセーフなのだろうか

ダイヤ「ひっ!?」

カタンッっとどこからか音が鳴る
部屋を見渡すと、扉のすぐそばにおにぎりが二つほど転がっているのが見えた

ダイヤ「おにぎり……この、書き込みの通り……」
0046名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 15:07:38.84ID:bt90srof
ダイヤ「お皿も、無いのね……」

無造作に彫り込まれたようなおにぎり二つ
市販のものではないのか、ラップにくるまれたおにぎりはまだ温かい

ダイヤ「っ……」

手に取っただけで、お腹が鳴る
手に感じる温もり、鼻を通って肺に溜まるご飯の優しい匂い
けれど、これは市販されていたものではないのだ

ダイヤ「……もし、毒が入っていたら」

致死性のものではないにせよ
意識の混濁や、身体的な障害をもたらすようなもの
睡眠導入剤や、錯乱させるような毒が仕込まれていないとは限らない

ダイヤ「あぁ……」

お腹を擦る
悲しそうな鳴き声だ
けれど、食べてなにかがあると思うと食欲に負けられない

ダイヤ「食べたい……食べたい……」

けれど、食べてはいけない
0047名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 15:24:03.99ID:bt90srof
今の状況を書き込む
ねじを探してみよう。という提案に返事をして、パソコンの前を離れる

ダイヤ「……」

取り外したままの引き出しは、滑車で滑らせるための部品がついている
そこにねじがついているが、これを外したところでぶひんが外れるだけだ。意味はないだろう

ダイヤ「……っ」

重厚な扉には、手持ちのマイナスドライバー一本でどうこうできるような部品が使われていない
手洗い場、便器
それに関しても、ドライバーではどうにもならないのは明白だった

ダイヤ「……ベッドは」

ベッドは、所謂六角形の頭を持つねじで固定されているようで
当然だが、ドライバーではどうにもならない

ダイヤ「せめて、プラスネジなら……」

手に入れたのはマイナスドライバーだ
本来の用途で言えばマイナスのネジに使われるべきだが、マイナスとプラスのつくり上、プラスのねじも回すことが可能だ

ダイヤ「のこりは机ですが……」

パソコンが固定されている学習机は、壁際に張り付けられているように動かない
側面、正面、上面そのどこを見てもネジは見られない
0048名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/03(日) 15:25:06.26ID:mx/XmF25
向こうのスレにも書いたけど面白いわ。
続き期待してます。
0049名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 15:32:12.49ID:bt90srof
ダイヤ「一応、パソコンにはネジがあるのですが」

残念ながら、手持ちのドライバーとはサイズが違いすぎる
もちろん、パソコンに使われているのは
あまりにも小さすぎるのだ

ダイヤ「包丁を解体するのも視野に……包丁?」

パソコンの横に置いてある包丁を手に取る
追加の情報が無いかと更新してみると、おにぎりに毒はないのでは……? という書き込みが追加される

ダイヤ「なるほど……」

殺すつもりなら、こんなことせずに殺されているのでは? と言う書き込みに向けて安価をつける
頃好きなら初めから殺しているのではという点には概ね同意できる
しかし、果たしてそうだろうか

ダイヤ「いつでも殺せるから、遊んでいるという可能性も考えられる」

そう、例えば下剤だ
犯人は空腹を訴えていると知ることが出来たということから
ダイヤのことを監視していることは間違いないと言えるだろう

だから、下剤でダイヤを追い込み、みっともない姿をさらさせようと目論んでいるかもしれない
疑うとキリがない
だけど、疑わなければ生き残れない

ダイヤ「……相談、しましょう」
0050名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 15:44:04.79ID:bt90srof
ダイヤ「……お願い」

もしかしたらの不安を書き込む
キーボードを叩く手が震えて、涙が零れてしまいそうになる

ダイヤ「助けて……助けてください……」

自分では、これを食べる気にはならない
食べたくて、食べたくて仕方がないのに
毒があるかもしれないと考えてしまう頭のせいで、食べられない

ダイヤ「……」

だが、みんなが大丈夫と言ってくれたら
そうしたら食べられる。そんな気がしたのだ
掲示板を更新してみると、崩してみたらどうか、香りはどうかと言う書き込みが増える

ダイヤ「……確認、ですね」

下剤の種類は101の人が言うように不明だ
錠剤か液剤か
薬と言っても複数種類あるため、錠剤だけではないと考えておくべきだ

ダイヤ「包丁で半分に……いえ、それでは薬を砕く可能性がある」

包丁は使わずに、おにぎりの一つを手で崩した
0051名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 16:00:47.73ID:bt90srof
ダイヤ「……梅」

おにぎりの真ん中部分は真っ赤に潰れた果肉に浸食されている
ツンとした匂い……酸っぱさを感じるそれは、梅干しだろう
種は取り除かれ、一度すり潰された梅干しだ

ダイヤ「……」

海苔の仄かな磯の匂い、ご飯と混じった塩の匂い
そして、最も強い梅干しの匂い

ダイヤ「違和感は、無いけれど」

もう一つのおにぎりを崩す
それも同じく梅干しのおにぎりで、違和感は感じられない
情報を書き込んで、一息つく頃
すでにお昼はとうに過ぎた時間が目に入った

ダイヤ「……みんな、探しているのでしょうか」

黒澤ルビィ、小原鞠莉、松浦果南、高海千歌、渡辺曜、桜内梨子、国木田花丸、津島善子
スクールアイドルの仲間を想い、妹たち家族を思い出す

ダイヤ「っ」

ぐぅ〜……とお腹が唸った
割ったせいで強くなったおにぎりの匂い
はしたないが、零れてしまいそうな唾液を飲み込む

ダイヤ「このまま食べなくても餓死してしまう……」
0052名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 16:21:21.68ID:bt90srof
幸い、水はあるからすぐに餓死することはないが
食べなければ力が無くなっていくし、頭も回らなくなっていくことだろう

ダイヤ「……くっ」

しかも、おにぎりを捨てることが出来ない
ゴミ箱が存在しないのが非常に厭らしいのだ
目の前で腐っていくおにぎりを見ながら、水を飲んで誤魔化さなければならない
いっそ、トイレに流してしまうのが英断と言えるかもしれない

ダイヤ「……保留?」

掲示板を更新してみると、空腹の限界まで放置してみるのはどうかと言うのが追加される
銀での毒性判定と言うのも追加されたが、包丁は銀でできているものではない

ダイヤ「放っておく……」

お腹を撫でる
目を閉じて考えて、生唾を飲み込む

ダイヤ「そうしましょう」

崩したままののおにぎりを放置して、夜に食べる
硬いだろうし、不味くなっているかもしれない
非常にみすぼらしいが、死ぬよりはましだろう

ダイヤ「……ありがとう」

監禁されている証拠なんてないのに信じて付き合ってくれる掲示板の人たち
感謝を述べて、その指示に頷く
0053名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 16:36:26.90ID:bt90srof
ダイヤ「……」

犯人の目的は不明だ
書き込みに対して返してみたが、返答はなかった
ダイヤに恨みがあるのかどうかさえない

ただ、解っていることもある
この部屋は犯人の監視下にあり、常にみられているということ
それは掲示板も同様で、犯人はダイヤとその他の人々の返しを見ている

だが、犯人はダイヤの書き込みにもその他の人たちの書き込みにも返す気はなさそうに感じる
周りに対し、ダイヤに対しての行為を安価というものを用いて決める程度だ

ダイヤ「……最低」

監視されているのが明確になってくると、
便器が部屋の中で野ざらしと言う点が酷く不快になる
もちろん、そうでなくとも不快だが、見てやろうという嫌な考えが見えてきて……吐き気がする

絶対にしたくない
でも、水を飲まなければ脱水症状に見舞われる
食事をしなければ空腹に襲われ、思考力を奪われる
それを避けて飲食すると……必然的に排泄が必要になってしまう

ダイヤ「お風呂も、替えの衣服もないのよね……」

一日過ごしたら帰してくれる
それだったらどれだけ救われるだろうか
汚れていく体を綺麗にするための道具もない部屋は、不気味でしかない
0054名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 16:59:59.00ID:bt90srof
トンカチを手に取る
左側の引き出しの底を軽く叩いてみると、軽い音が返ってくる

ダイヤ「……ッ!」

今度はもう一度力強く振るう
ガンッっという衝撃が抑える左手にまで伝わり、引き出しがすっぽ抜けていく

ダイヤ「……もう一回」

逆さに置いてできれば楽だが、形状を見る限りでは内側から叩かなければならない
その手間に迷わず、もう一度引き出しを手に取ってトンカチを振るう
強い衝撃、木製の砕ける歪な音が響いて、床へと薄い板が落ちる

ダイヤ「はぁ……はぁっ」

底の抜けた引き出しを放って、その場にへたり込む
左側の引き出しは、はずれだ
抜けた底はただの部品でしかなく、何の仕掛けもヒントも施されていない

ダイヤ「今度は、右……」

同じようにトンカチで二回、三回
弱った力で何度もたたいて、底を外すことに成功した
0055名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 17:14:22.33ID:bt90srof
右側の底は、床に落ちると二枚に増える
いや、凄く薄い二枚合わせの底が落ちた衝撃で割れたのだ

ダイヤ「……?」

しかし、二枚の板で構成されていただけで
何か細工があるようには見えない

ダイヤ「ただの、嫌がらせでしょうか」

何かがあると思わせるためだけの仕掛け
実際には何もなく、無意味な希望を持たせるためだけのもの

ダイヤ「く……っ」

犯人に馬鹿にされているのではと思うと苛立ちが募る
思わず振り上げたトンカチを叩きつけそうになって、息を吐く

ダイヤ「冷静に……落ち着いて」

味方はいるのだから
助けようとしてくれているのだから
今は得られた情報を伝えて、一緒に考えて貰おう

ダイヤ「……お願いします」
0056名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 17:49:31.50ID:bt90srof
ダイヤ「……ありがとうございます」

書き込むと更新され、新しい書き込みが追加される
それだけで思わず泣きそうになってしまうが、抑えて首を振る
包丁の柄に関して、ドライバーとトンカチを使って慎重に行えば
持ち手を割らずにとれるのでは? という話だ

ダイヤ「一理あります」

プラスドライバーではなく、マイナスドライバーである理由は持ち手を外すためではないか。という話
確かに、普通ならプラスドライバーだ
マイナスドライバーなのは、プラスマイナス兼用かと思われたが
包丁の持ち手に限らず、差し込んで使えるという利点がマイナスドライバーにはある

提案に答えてくれた人達に返答する

ダイヤ「……ふふっ」

手を切らないように気を付けてね。と、
優しい言葉をかけてくれる書き込みに思わずほころぶ

匿名で、顔も名前も知らない相手
何の返礼もできないが、せめて感謝だけは述べようと書き込む

ダイヤ「ええ、気を付けます……ええ、気を付けますわ……」

刃を素手で握ることも厭わないつもりだった
けれど、かみしめる様に呟いて、枕のカバーを手に巻く
慎重に包丁を押さえて、口金の部分にマイナスドライバーの先をつける

ダイヤ「慎重に……ふぅ……」
0057名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 18:20:56.64ID:bt90srof
ダイヤ「……はぁ」

コンコンっと軽く叩く
口金からずれては戻し、叩いて……戻す

一回一回、慎重に叩く
力が弱すぎるのか、なかなか先に進んでくれない
焦りはない、ただ、空腹を感じる

ダイヤ「……両手で、やるしかない」

カバーを巻いた手で包丁とドライバーを押さえている
だが、そのせいでズレやすくなっていると考えるべきだろう
包丁にカバーを巻いて、足で包丁を押さえて左手でドライバーを刺して――右手で打つ

支えるのが手ではなく足になる分不安定にはなるが、仕方がない

ダイヤ「……」

叩く、叩く、叩く

ダイヤ「痛っ」

間違って指を叩いたり、足にドライバーが刺さったり
痛い思いをしながら、泣きそうになりながら……何度も叩く

ダイヤ「っ……まだ」

叩いて、叩いて、叩いて
ピキッ……と、包丁の口金にひびが入った

ダイヤ「……無理」

壊さないなんて無理だ
割らないなんて、難しい
慎重にやっているけれど、こんなことをした経験がないし
道具は適性のものではない

ダイヤ「……仕方がない」

ひびに向けて、ドライバーを突き立て……叩いた
0058名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 18:32:31.03ID:bt90srof
口金の部分が割れ、刃先がブレる
持ち手まで割れることはなかったが、差し込んだ状態でしっかりと固定するための口金が壊れたのだ
もう、正常に扱うことは出来ないだろう

ダイヤ「……っ」

カバーを巻いた状態の刀身を掴み、左右に揺らしながらゆっくりと引っ張る
カタカタと揺れながら少しずつ動いて、不意に――刀身と持ち手が分離した

ダイヤ「あっ」

取りこぼした持ち手が床に落ち、口金が外れる
隠れていた中子の部分には特にか変わったところは見られない

では、持ち手はどうか
外れた口金の内側は汚れているが、作り上の影響で仕掛けではなさそうだ

ダイヤ「……収穫、なし?」

刀身を戻してみるが、口金が壊れた影響だろう
逆さにするとすっぽ抜ける危ない道具へとなり果ててしまった
0059名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 18:42:14.36ID:bt90srof
ダイヤ「……ふぅ」

結果を書き込んで、またいくつかの書き込みが増えるのを横目に一息つく
犯人からの書き込みはなく、ダイヤの情報から推測してくれている書き込みだ

ダイヤ「あぁ……私が中途半端だったから……」

引き出しの二枚重ねになっていたほうにディスクが隠されていなかったか。
開け方は正しかったのか
そういった書き込みが散見されることに、呻く

ダイヤ「………」

底板は床に落ちたはずみで割れており
底にはディスクらしきものは影も形も見られない
開け方に関しても、トンカチで叩いてもシャーペンでこじ開けても
どちらも結果は変わらなかったように思える

いや、シャーペンで開けていれば状況は違っていただろうか

ダイヤ「……大した違いがるようには思えませんが」

二枚重ねになっていた底板は、
上に重なっていたほうに対し、下になっていた部分の接着剤が剥がれて付着した状態になってしまっている
仕掛けと言うよりも、作りの問題に思えるが、先ほどのように困惑させないようにと、詳細を書き込んでいく
0060名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 19:09:00.53ID:bt90srof
ダイヤ「そんなっ……一緒に考えて下さっているだけで救われていますっ!」

情報は得られなかったことに関して、ごめんねと書き込まれていることに、目頭が熱くなる
実際にここにいるのは自分で、本当なら助けなんて得られない状況なのに
考えて貰って、提案をもらっている

ダイヤ「考えて頂けているだけで、私は……」

声が聞こえるわけではないけれど
他者とのやり取りが行えているというのが、救いだった
一人ではない、孤独ではない
それが、ダイヤの心が折れることを抑止してくれている

ダイヤ「頑張ります……頑張りますね……」

目元を拭い、一旦状況を整理しようという書き込みに頷く
調べたもの、調べていないもの
それを分けたうえで、部屋の状況を調べる

ダイヤ「……そう、ですね」

あたりを見渡す
六畳一間、洗面台、鏡、トイレ、ベッド、マットレス、枕、学習机、引き出し、
パソコン、扉、おにぎり、シャーペン、トンカチ、包丁

ダイヤ「……今は」

とにかく、書き込んだ
0061名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 19:30:17.07ID:bt90srof
ダイヤ「……天井?」

見上げてみる
見えるのは規則正しく設置された横長の蛍光灯
監視カメラの類は見えない

ダイヤ「不思議なところは、ありませんが……」

電気については、壁際に設置されているボタンで点けるも消すもできると考えるべきだろう
蛍光灯の数に対し、ボタンは一個
恐らく、一つですべてに影響が出るはずだ

下手に消すのは控えたい

ダイヤ「……っ」

尿意を感じて、身を捩る
最初に数杯飲んで、空腹をごまかすためにも水を飲んで
たっぷりと取った水分は排出されることを望んでいるのだ

だが、壁のない場所でそんなことをするなど、人としての尊厳が認められない

ダイヤ「……いや……いやっ」

スカートの上から両手で押し込む
パソコンの前に座り込んだまま、ダイヤは息をひそめた
気付けば、目が覚めてから早くも半日が経過しようとしている
0062名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 19:53:12.39ID:bt90srof
ダイヤ「っ……はぁ……」

何とか抑え込んで息を吐く
天井には何もないことを書き込む

掲示板が更新されると、天井などの材質を教えて欲しいという書き込みが増える
白玉チャレンジ。と言うのも増えたが、良く分からないので無視だ

ダイヤ「……」

床は一般的にフローリングと呼ばれているものだ
壁は壁紙が張られているので分からないが、
叩いてみた限りではコンクリートのような音がする

天井にも紙が貼られているので絶対とは言えないが、
壁を参考にするならば、天井もコンクリートと考えるべきだろう

ダイヤ「ひぅっ……」

少し動いたせいで、またぶり返す

ダイヤ「く……うぅ……」

便器を一瞥する
漏らしてしまうリスク、その結果自分が着る衣服が無くなる可能性
醜態を犯人に見られることを加味しても
いずれ、自分がそうせざるを得ない状況に陥ることを考えれば
まだスカートと下着が残っている方が良いのではないかと計算する

ダイヤ「……どうして……っ」

下着を下ろして、冷たい便座に座る
遮る音もなく、部屋に恥ずかしい水の音が跳ねまわる
じわじわと広がっていくアンモニア臭

ダイヤ「うっ……うぅ……」

涙を堪えることは出来なかった
0063名無しで叶える物語(光)
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2020/05/03(日) 20:02:14.52ID:CjwNBDgi
白玉チャレンジ無視されてて草
0064名無しで叶える物語(四国地方)
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2020/05/03(日) 20:10:19.14ID:G/7pZYfO
トイレ流せないやつ!?
0065名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 20:18:22.85ID:bt90srof
ダイヤ「……先に探しておいて良かった」

水を流し、手を洗って一息つく
詰まっていたので流れることはなかったかもしれないが
自分が使った後、流す前に手を突っ込むというのは本能が拒絶してしまう

ダイヤ「……」

調べた床や壁などの材質を書き込む
6畳が本当に6畳なら……と言う書き込みが追加される

ダイヤ「すみません……畳ではないので、憶測なんです」

6畳ほど……と書いておくべきだっただろうかと後悔する
学習机の端に置かれているおにぎりは作り立ての輝きと温もりを失ってしまっている
そろそろ食べても平気かもしれない

ダイヤ「まだ、1日目……」

犯人はどれだけ監禁しておくつもりなのだろうか
1日?2日?3日?
それとも……死ぬまでだろうか

ダイヤ「……っ」

首を振って、掲示板を更新する
0066名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 20:54:26.30ID:bt90srof
ダイヤ「あっ……」

犯人からの書き込みが追加されていた
安価下3つ、欲望の限り……そして、解放はダメ
解放が選択された場合、悪いことが起こるという怖い言葉

ダイヤ「……っ」

だが、掲示板の参加者は差し入れというのを書き込んでくれている
prprしたい……と言うのも見られたが、意味が解らない。と言うことにしておく
言葉通りなら悍ましいが……そんなことはないと、信じる

ダイヤ「コンマ……っ!」

コンマは秒数よりもさらに前のもの
書き込みを見てみると、コンマが一番低いのは差し入れだ

ダイヤ「プリ――じゃないっ!」

そこに喜ぶのではなく、扉に目を向ける

まだおにぎりもプリンもない
つまり、差し入れが来るのはこの後と言うことになる

ダイヤ「……捕まえる」
0067名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 21:30:02.76ID:bt90srof
ダイヤ「……」

耳を澄ませても足音がしない
ゆっくりと扉に近づいて、差し出口を見る

おにぎりは恐らくここから入れられただろうし
今度もここから差し入れが入れられるはず
少し待っていれば、犯人が来るはずだ

ダイヤ「……」

おにぎりの差し入れは、書き込みを見ている間に来てしまったが、
今度は逃すまいと息を顰める
だが……犯人には見られているかもしれない

ダイヤ「……ふぅ」

数分間待っていると、カチッと音が鳴る
厚い扉の下部、差し出口のところからだ

ダイヤ「……っ」

手にもったトンカチを振り上げて、息を殺す
外からしか開くことのできない差し出口がだんだんと開いて、外の影が見える

そして――差し入れが入ってくる
0068名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 21:42:33.66ID:bt90srof
ダイヤ「!」

今度はお盆に乗せられており、
おにぎりはやはり手作りだが、プリンは市販のものだ

そのお盆は伸ばし棒のようなもので押し込まれ、
犯人の手は部屋の中に一ミリたりともはいってくる気配はない

ダイヤ「くっ……待ってください!」

大声で叫ぶ
振り上げていたトンカチで扉を叩いて、自分がここにいることを誇示する

ダイヤ「お願いしますっ! お願いですから……解放してください」

懇願する
涙が零れそうなほど力強く願う
しかし、犯人かあの答えは何もなかった
差し入れが押し込まれただけで、その出入り口は閉じていく

ダイヤ「どうしてッ!」

すかさずトンカチを差し出口に突っ込む
閉まりかけていた扉がガチンっと音を立てる

ダイヤ「どうして……こんなことをするんですか……」
0069名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 22:01:20.13ID:bt90srof
ダイヤ「答えて頂けるまでは、これを抜きません」

せめて犯人の肉声だけでも聞くことが出来たら
その思いで声をかける

しかし、犯人は何も言わない
無理矢理差し出口をしめることはなく、まるで、そこに誰もいないかのように静まり返る

ダイヤ「目的は何なのですか……どうしたら、出していただけるんですか……」

返答はない

ダイヤ「なぜあんな掲示板を使うんですか!」

返答はない

ダイヤ「どうし――」

不意に、トンカチの先端が引っ張られる
返答がないことへの失望に揺れていた心は対応できなくて、トンカチが持っていかれてしまう

ダイヤ「待って! 待ってください……っ」

犯人からは何も返答はなく……差し出口は閉じられてしまった
得られたものはなく、ただトンカチだけが失われた
0070名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 22:15:59.03ID:bt90srof
ダイヤ「プリンとおにぎり……」

トンカチと引き換えに残った差し入れ
手製のおにぎりは除いて、市販のプリンを手に取る

蓋の部分はビニール状で、押してみると中身が出てくるようなことはなく密封されていることがわかる
カップの部分を一通り撫でる
穴があけられたようなざらつき感は感じられない

ダイヤ「これは大丈夫そうです……」

トンカチが取り上げられてしまったことを書き込むと、
またいくつかの書き込みが増えた
その前に、その手前の自分の書き込みから増えている書き込みに目を向ける

ダイヤ「……すみません」

床を叩いてみては? と言う提案があるが、それはもうできない
電気に関しては、スイッチが壁にあるが、消せば全部消えてしまう
しかし、四の五の言っている場合ではないかもしれない

そして……ビニールに入っていた紙だ
なにか書くのに使うのかもしれないという話だ
だが、すでに安価3と書かれている
けれど言われてみれば、犯人の指定はすべて直接書き込まれている
にもかかわらず、これについては紙に書かれていた
ダイヤの無知を狙ってのものかもしれないが
0071名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 23:32:50.36ID:bt90srof
パソコンの明かりをそのままに、壁に備え付けられている電気のスイッチに触れる
押せば一瞬で真っ暗になるか
それとも、オレンジ色の薄暗い部屋になるか

ダイヤ「……まずは」

カチッっと音が鳴って、電気が消える
部屋は真っ暗になるようで、パソコンの明かりだけが視界を確保してくれる
もう一度スイッチを押すと……電気がつく

ダイヤ「変化は、無し」

電機は消えたが、それだけだ
何か変化があるわけではなく、ただ寝るときに暗い方が良いなら消せばいい。と言う程度だろうか

ダイヤ「外……どうなっているのでしょう」

パソコンの時間は、すでに夜といえるような時間に入っている。
書き込みをする前に、掲示板を更新してみると、また書き込みが増えていた

ダイヤ「おにぎりとプリン……あぁ、すみません。まだ口にしていません」

プリンは食べられそうだが、おにぎりは怖かったのだ
放置していたほうは、もう大丈夫だろうか
すでにカピカピになっているおにぎりの一部をちぎって、口に運ぶ
0072名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/03(日) 23:42:11.04ID:bt90srof
ダイヤ「ぅ……」

冷たくて、固いご飯
噛みしめるとじんわりと広がる塩の味
グミを噛んでいるかのような歯ごたえは、ときおりガリッっと音を立てる

ダイヤ「……っ」

それでも、もう一つ、もう一つ
おにぎりをちぎって口に運ぶ
どれだけ不味くても、お腹に入ってくる感覚が……体に染みる

ダイヤ「けほっ」

1個の半分ほど口にしたところで、手を止める
あまりにもひもじいのだ
とてもではないが、惨めすぎる

ダメになってしまう前に……と、プリンの蓋を剥がそうとして手を止めた
プリンはあるが、スプーンがないのだ

ダイヤ「啜れ……と?」

あるいは、指を突っ込めと
そういうことなのかもしれない

ダイヤ「あぁ……みっともない……」
0073名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 00:12:42.03ID:94l+800N
ダイヤ「……こんなこと、するなんて」

プリンのカップを手に持ち、舌で舐めとる
なんてみっともないのか、なんて惨めなのか
黒澤家の長女としての品性の欠片もない、無様さ

けれど、差し入れとして与えられた、唯一安心して食べられそうな市販品だ
それを放置することは出来ない

ダイヤ「ん……っ」

唇をつけて、啜る
舌を差し込んで、かすめ取る
染み渡る甘さ、溶け込む匂い
我慢できなくて、はしたないと思いつつカップを舐める

ダイヤ「……屈辱……」

腹は満たされるものの、尊厳が傷つけられた
公開されてはいないだろうが、監視下でのお手洗い
そして、スプーンを使わせて貰えないプリン
心は、ボロボロだ

ダイヤ「とにかく、返事を書かなきゃ……」

見捨てられたくない、離れられたくない、一人にして欲しくない
その一心で、書き込んでくれている人みんなに向けて、返答を書き込んだ
0074名無しで叶える物語(光)
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2020/05/04(月) 00:29:29.05ID:GsUAn6vs
ごめん、抜けるわ
0075名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 00:32:05.98ID:94l+800N
ダイヤ「……ふぅ」

慣れないことを考えていること
ストレスがたまる一方であること
精神的な疲れは身体的にも影響があるようで、
ダイヤは湧いてきた眠気をあくびと共に飲み込んだ

ダイヤ「紙……ですね」

安価3と書かれていた紙
触ってみると、安価3と書かれていた部分に感触はあるが
それ以外の部分には特別変わった感じはない

市販されている、ダイヤが良く買っているノートとも変わらない触り心地だ
安価3と言うのは、ただの悪戯だったのだろうか

ダイヤ「透かし……」

天井に向かって掲げてみる
安価3と言う文字は見えるが、それだけだ

ダイヤ「炙り出し……」

シャーペンを手に取って、芯を出す。
シャーペンでこすると書いてあったが、芯を出してやるものだろう

ダイヤ「……よし」

意を決して、全体的に黒塗りにしていく
限りなく薄く、優しい力で……どちらかと言えばグレーに染まるように
0076名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/04(月) 00:48:19.07ID:94l+800N
ダイヤ「……これは」

横に2本、縦に2本……井の形
俗にいう、マルバツゲームと呼ばれるものが浮き上がってきた

ダイヤ「3目並べね……」

真ん中に×が書かれていて
それ以外のところは空欄になっている

ダイヤが〇を書けと言うことなのだろうか?
いや、これではゲームにはならない
ダイヤが丸を書いたとして、誰が次の×を書くというのか

もしかしたら、犯人が別の紙に書いていた時に
下にこの部分があったのかもしれないが……

ダイヤ「とにかく、これは新しい情報ね……」

役に立つか分からないけれどそれでも情報は情報だ
ダイヤはさっそく、書き込むことにした
0077名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 01:00:58.89ID:94l+800N
とりあえず情報を書き込んで……目元を押さえる
安心はできないけれど、もう夜だ
空腹と疲労、精神的なダメージによって、睡魔が襲う

ダイヤ「ダメ……まだ……」

今の書き込みに対しての返事がまだ見られていない
それに、書き込んだことによって更新されて
また別の書き込みが増えていた

返事をしないといけない
返事をしないと、無視したとか、本当は遊んでいるだけで飽きたと思われてしまうかもしれない
見捨てられたら困る……一人にされたくない

ダイヤ「おにぎり……?」

読む限りでは、包丁を直せるのでは? と言う話だ
ご飯粒をのり代わりにして、ヘアゴムと合わせて

ダイヤ「……ん」

机の上に置いてあった分離した包丁
ご飯粒を押して……その上から差し込んでみる
そして、口金代わりにヘアゴムを巻く
0078名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 01:09:19.61ID:94l+800N
差したばかりと言うこともあって、まだ不安定な状態だ
机の上に置いて、取り合えずは放置する

ダイヤ「はぅ……ふぅ……」

殺しきれなかったあくびを漏らして、閉じそうな瞼を開こうと首を振る
朝起きてからほぼ1日、休まずに考え、行動し、屈辱を味わい、苦汁をなめた

ダイヤ「えっと……」

とりあえず、指示通りにやってみました。
そう、書き込もうとキーボードに触れる
眠気の襲う瞳にパソコンの光は刺激が強く、目を閉じたくなってしまう

ダイヤ「っ……」

かくんっと……落ちる
夜更かしにも慣れていないダイヤの身体には
あまりにも、現状は辛過ぎたのだ

ダイヤ「お返事……わた……」

何とか目を開けて、指を動かして
そして意識が――消えていく
0079名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 01:10:48.02ID:94l+800N
とりあえず今日はここまで
0081名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 07:39:10.70ID:94l+800N
ダイヤ「……ぁ……」

ベッドの上で目を覚ますと、自室ではない天井の明かりが目に入る
監禁されている六畳ほどの部屋の常に照らし続ける蛍光灯だ

どんな夢を見ていたのかは分からない
けれど、ダイヤは昨日のことが夢ではなく現実だったこと
自分は今も監禁されているということに気付かされて……思わず涙が溢れる

ダイヤ「っ……」

まだたった1日目だとか、希望はあるだとか
そんな生易しいことではなく、ただ、自分が絶望的な状況であること
心を折りに来る環境が何一つ変わりがないことに、精神的に耐えられなかったのだ

ひとしきり、声を押し殺し枕を抱いて涙をこぼして心の平穏を取り戻そうとした頃に
ようやく、ダイヤは自分の状態が明らかにおかしいことに気付いた

ダイヤ「……え?」

飛び起きて、学習机の方へと目を向ける
開いたままのノートパソコンはこうこうと光を放っている
それは何もおかしくはない……だが、そう、機能、ダイヤはパソコンの前で意識を奪われたはずなのだ
入力中にふっと途切れたことだけは記憶にある。

だから――ありえないのだ

ダイヤ「なぜ……なぜ、ベッドに……」

パソコンの前で倒れているべき身体が、ベッドに横たわっている
それはつまり、誰かがダイヤをベッドに運んだのだ

ダイヤ「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

誰が? 犯人が……だ
0082名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 07:49:38.77ID:94l+800N
叫び、体を抱いて布団にくるまる
誘拐犯にはすでにここに連れ出されたという前例がある、だから平気……とはならないのだ

ダイヤ「あぁ……いや……いや……っ」

ここが犯人の手中であることは理解している
彼あるいは彼女が容易に入ってくることが出来ることも当然ながら理解はしている
けれど、それが自分の意識が失われている最中に行われ、
あろうことか、そのことに気付くことも出来ずに体に触れられたという事実が……受け入れがたかった

ダイヤ「うぅ……ぁ……あぁ……っ」

疲れ果てていた
精神的にも、身体的にも
だから、途中で寝落ちしてしまったのかもしれないが
その浅はかさに、絶望する

ダイヤ「無理……無理……」

眠れば、犯人が入ってくる
重厚な扉を開き、笑いながら、あるいは怒りを滲ませながら
そうして、ダイヤの体に触れるのだ

ダイヤ「うぅ……うぷっ……」

自分の体に触れる、自分の肌以外の感触が唐突に気持ち悪く感じて、ベッドから飛び出す

ダイヤ「うぇ……ぁ゛……ぉ゛ぇ゛……」

倒れるように伏した便器の中、水面が跳ねて顔にかかる
ぼたぼたと口元から溢れて滴る胃液
焼けるようなのどの痛み、口の中に広がる強い酸味に涙が滲む
0083名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 08:03:12.55ID:94l+800N
ダイヤ「あっぅ……っ」

便座に手をつき、ふらふらと危うい足取りで立ち上がる
すぐそばの洗面台に向かい、目いっぱいに水を流して顔を洗い口を漱ぐ

ダイヤ「げほっ……けほっ……」

吐くように水を出して、もう一度口に含んで……吐き出す

ダイヤ「んぐっ……んく……ん……おぇっ」

飲んで、吐いて、飲んで、飲んで……水で癒していく
ただの水道水ではあるけれど、胃液よりは気持ちが楽になる

ダイヤ「はぁ……はー……はぁ……」

ただでさえ空腹に悩まされる中、嘔吐によって胃液が減って……不快さが増した腹部を撫でる

ダイヤ「……みな、さんにご挨拶……しないと……」

ふらつきながらパソコンの前に戻って、更新前の掲示板へと目を向ける
昨夜の書き込みは中途半端で、意味不明な文章になってしまっていた

ダイヤ「……すみません……勝手に眠ってしまって……」
0084名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 08:35:55.72ID:94l+800N
書き込んだ後の更新を確認する
三目並べに関しては、部屋の間取りに関してのものではないか。と言う書き込みがある
正方形のように見える部屋を三目並べに切り替え、その位置……つまり中央にバッテンマーク
そこに何かがあるのではないかという考え

ダイヤ「……どう、でしょうか」

一見、床は一面フローリングとなっており、
特に不自然な断裂などがあるようには思えない

そして続いた書き込みは、眠るべきと言う優しい言葉だ
監禁されていることを信じてくれているうえで、休んだ方が良いという言葉

ダイヤ「あり……がとうございます……っ」

信じてくれている。身を案じてくれている
ただそれだけのことで、胸が熱くなる

ダイヤ「この……っ」

そのあとに犯人が、ダイヤが眠ったことを確認したと思われる書き込みがあった
眠った後のダイヤに何がしたいかと言う厭らしい書き込み
それに対するみんなの書き込みは、タオルや安心して口にできる飲食品の差し入れやベッドに寝かせてあげて欲しい。というものだ

ダイヤ「……え?」

ベッドで寝かせてあげて。ではなく、ベッドに戻してあげて。と言うのが引っかかる
戻してあげてということは、ダイヤがパソコンの前で寝落ちしたことを解っている可能性があるからだ

それが分かるのは普通に考えれば犯人だが
……もしもだ
もし、この部屋の監視映像が外部に配信されているとしたら、どうだろうか

ダイヤ「まさか……」

見渡す。カメラは見えない
だが、確実にどこからか撮っている

ダイヤ「みなさんに、見せられている……?」
0085名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 08:53:38.82ID:94l+800N
ダイヤ「嘘……嘘……うそ……っ!」

パソコンの前を離れて、カメラを探す
どこから見られているのか、どこから撮影されているのか
生理現象に敗北してしまった瞬間は見られてしまっただろうか……きっと、見られた

寝落ちし、犯人に触れられ……そのことに絶望して嘔吐した瞬間は?
きっと、見られてしまった

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」

変な場所で寝落ちしてしまったことを気遣ってくれた書き込み
それの結果が、今朝の嘔吐
自分のあられもない姿を見せてしまったことよりも
善意に対し、仇で返すような姿を見せてしまったことが申し訳なかった

ダイヤ「申し訳ございません……私は……なんてこと……っ」

慌てて、掲示板を更新する
やはり、戻そうとしてくれた書き込みをしたと思われる人は、ダイヤの今朝の姿を見たような書き込みをしている

ダイヤ「違う……違う……私が……っ」

弱いせいで……
弱いせいで、吐いてしまったのだ

ダイヤ「あなたは何も悪くありません……どうか、どうかご自分を責めないでください……」
0086名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 09:14:32.19ID:94l+800N
ダイヤ「……あぁ」

見られているなら監禁されていることは明白だ
犯人はそれをしてもこの場所が割られる可能性はないという自信があるのだろう
そのことが、また深い絶望へと足を引き摺りこむ

ダイヤ「……状況は特に変わりがありません」

腐る一方のおにぎり、食べ終えたプリンのゴミ
応急処置をした包丁、シャーペン、壊した引き出し、砕けた鏡
何一つ変わりがない

ダイヤ「もしかしたら、犯人は私を解放する気はないのかもしれません」

画面越しに常に見張られ続け、必要とあれば食事を与えられる
いや、食事ではなく餌だと……ダイヤは思わず笑ってしまう
つまりは飼育だ
これは監禁ではなく、飼育
黒澤ダイヤというペットの育成

ダイヤ「皆さんが、私の飼い主……なのかもしれません」

そうではないと思いたい
救いがあると思いたい

ダイヤ「うぅ……」

拭う。何度も、何度も目元を拭う
これも見られてしまう。泣いていたらもう駄目だと思わせてしまう……だから、首を振る

ダイヤ「頑張れる……大丈夫……大丈夫……」

足に爪を突き立てながら、何とか持ち直すまでに数分の時間を要した
0087名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 09:38:14.81ID:94l+800N
ダイヤ「……かゆい」

お風呂に入れずシャワーも浴びることが出来ず
下着さえも変えられないまま一日が経過した

頭がかゆく感じる、下腹部もむず痒い
服の下に隠れている柔肌も……不快感がある

ダイヤ「汚らしい……」

紙に触れそうな手を押さえて頭を振り、乱れた髪もそのまま、俯く
産まれてこの方、不衛生なままで過ごした経験のないダイヤにとって
それはとてつもなく不快で、汚らわしく……死にたくなるような辛さだった

ダイヤ「……っ」

運動したわけではないおかげで
汗臭さはまだ感じられないが、それも最初の内だけ
だんだんと異臭がするようになってくることだろう

ダイヤ「こんな姿を、見られる……」

スクールアイドルとして活動しているダイヤを貶めたいのだろうか
引退させ、Aqoursを崩壊させることが目的なのだろうか

ダイヤ「ダメ……弱いところは、もう……だめ……」

もう、涙腺は緩くなっていた
0088名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 09:52:47.22ID:94l+800N
ダイヤ「トリップ……?」

自分の体の不快さを忘れようと、考えに没頭することに決める
書き込みをさかのぼってみると、犯人らしき人書き込み時の名前を解析してくれた人がいるようだ。

ダイヤ「直接入力だと思ってたけれど……」

どうやら、犯人の名前は直接入力ではなくトリップと呼ばれるものらしく
名前欄に【#誘拐犯】という入力によって形成されているもののようだ

つまり、犯人だろう。と言う仮定に変わりはなく
それ自体が大した情報を持っているようには思えないというのが、視聴者……と言うべきだろうか
匿名の集まりによる見解らしい

ダイヤ「同意ね」

入力文字列によって自動生成されるものであるなら、
意味を持たせるためにはそれなりに複雑な内容となるはずだ
しかし、この犯人はすぐに解析できそうな【#誘拐犯】というのを使うだけだった

しかも、これを見ているはずなのに犯人からのリアクションはない

ダイヤ「……あとは」

三目並べの件だ
部屋の間取りに照らし合わせて中央の部分
床の部分を手で叩いてみる

ダイヤ「……普通?」
0089名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 10:04:50.14ID:94l+800N
別の場所を叩いてみるが、音に違いはないように感じる
トンカチがあればもう少し強く叩けるのだが、奪われてしまった

ダイヤ「……」

ベッドに戻すついでにトンカチも返してくれないだろうかと思うが、さすがにそんな優しさはないようだ
ただし、例の安価が行われた際に参加者がトンカチなどの道具を記載してくれれば、与えられるだろう
犯人の書き込みから察するに、犯人はダイヤをもう少し弄ぶ内容が書かれることを期待していると思われる

ダイヤ「そういえば……」

犯人の最新の書き込みは
0090名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 10:18:21.53ID:94l+800N
ダイヤ「……もしかして」

最新の書き込みは昨夜で、そこに書かれているのは安価だ
しかし、文頭には市販なら〜と言うのが書かれている

プリンのゴミを一瞥する
一見、何にもなかったように思えたし、軽く触って問題は感じられなかったが
ここに細工をされた結果、寝落ちしたのではないか。と言う不安が湧く

手製の不信感と、市販の安心感
おにぎりをあえてあからさまに怪しくすることで口にしないよう誘導し
スプーンもなく食べてしまうほどに、視野を狭くさせられていたのだろうか

ダイヤ「あぁ……かゆい……かゆい……っ」

ポリポリと頭を掻く
集中すればするほど、不快感が鮮明になっていくし、
我慢すればするほど、それは倍増して襲い掛かってくる

ダイヤ「ほかに何か……」

気が逸る
寝るのが怖い
与えられた食べ物を口にするのも怖い
身体がかゆい、空腹でお腹が痛みを訴えてくる

ダイヤ「……水、飲まなきゃ」

もうトイレがどうこう言っている余裕なんて、ない
0091名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 10:51:46.75ID:94l+800N
掲示板を更新すると、また犯人の書き込みが増えていた
寝落ちしたことに対する躾をしようというらしい

ダイヤ「どうして……」

おやすみなさい。そう言うことが出来なかったからだろうか
まだ寝るつもりはなかった、ただ、心身ともに限界だっただけ
そこにまで追い詰めてきたのは犯人なのに……だ

ダイヤ「どうして……こんな目に……」

仕方がないはずだ
何の前触れもなく目が覚めたら監禁されていて、
女として、人として
そんな当たり前の尊厳さえ踏み躙られるような状況に置かれて……
頑張って、頑張って、それでも気絶してしまっただけだ

ダイヤ「うぅ……ぁあ……」

不特定多数に見られているなんてことが頭から消え去ったように、涙をこぼす

ダイヤ「あぁ……ぁぁぁぁぁっ!」

ガチャン……と、ひと際大きな音が扉から聞こえてきた
身体が震える
恐る恐る顔を上げると、まさしく犯人のような覆面を付けた人物の姿が見えた
0092名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 11:04:58.19ID:94l+800N
ダイヤ「こないで……来ないでぇっ!」

慌てて立ち上がろうとして尻もちをつく
足が動かない、体が震えて、自由がまるで効かない

トンットンッ……トンッ……と、わざとらしい足音が近づいてくる
まるで遊んでいるような音
覆面に埋まった表情は、見えないのに笑っているように感じる

ダイヤ「いやっ……いやっ……いやぁっ!」

震える足で床を蹴る
滑るように体を動かして、けれど……うまくは逃げられなくて
学習机に足がぶつかって痛みが走る

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんなさいっ!」

一心不乱に手足をばたつかせて
それでも侵入者の足音は容赦なく近づいてくる

ダイヤ「もうしないっ……しませんっ……命令には服従します……っ!」

逃げられないことを悟り、頭を庇う
相手が許してくれる一縷の望みに賭けて……懇願する
しかし――足が掴まれ……引き摺られていく

ダイヤ「許して……いや……っぅぇぇ……」

頭を庇う手が引き上げられ、無防備に晒された額にバチンッっと衝撃が加わる
犯人はそれだけでダイヤを解放したが、ダイヤはその場に倒れこんで……謝罪を口にする

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんな゛げほっ……ぁ゛っ……ぅぅ……ごめんなさい……」

脱出のチャンスだったかもしれない
包丁で抵抗できたかもしれない
けれど、ダイヤにその余裕など全くなかったのだ
0093名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 11:27:39.44ID:94l+800N
寝ているときだけでなく、犯人は部屋に入ってくる
しかも、理不尽な事でのお仕置きと称して……だ

ダイヤ「何もしてない……してない……」

床を這いずって……布団をベッドから引っ張り落とす
一緒に落ちてきた枕を抱きしめて、顔を埋める

されたのは弱いデコピン一回
けれど、その理不尽さ、まるで抵抗をものともしないという堂々とした侵入
じわりじわりと、そしてわざと響かせられた足音

たった一日で疲弊していたダイヤには、到底耐えられることではなかった

ダイヤ「うぅぅ……うえぇぇ……ぐすっ……あぁぁぁ……」

泣いて、泣いて……吐きそうな思いをしてどれくらい時間が経ったのだろうか
髪がぐしゃぐしゃで、制服もぐしゃぐしゃで
ほんのりとショーツへの違和感が滲む中、ダイヤは虚ろな瞳でパソコンへと向かう

ダイヤ「……もう嫌……」

書き込む
短く、たった二言
何も書かないと、またお仕置きをされてしまいそうだから

耐えられない弱い自分であることへの謝罪
結局、助力を無駄にしてしまうことへの謝罪
もしかしたら、見せてはいけない残酷な映像を見せてしまうかもしれないことへの謝罪

そして……救おうとしてくれたことへの感謝

ダイヤ「不甲斐ない私を……どうかお許しください。どうか、皆様がご自身を責めないように……」

包丁を握る
胸に差しても心臓を貫ける保障がない
だから……喉元に切っ先を突き立てた
0094名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 11:38:26.72ID:94l+800N
ダイヤ「うぅぅ……」

手が震える
首の皮一枚が刃先によって裂かれ……だんだんと熱を帯びていく
冷たいはずなのに熱く
傷口から何かが流れていく感覚が伝わってくる

目を瞑る
一思いに串刺しにしてしまおうと
けれど……怖くて……それが仇となったのかもしれない
半壊させてしまっていた包丁は力を入れると歪んで、滑る

ダイヤ「……あぁ」

包丁が手から落ちる
カランッ……と、悲しい音がした

ダイヤ「あぁ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

両手で顔を覆う
声を出して、泣く……叫ぶ
死ぬ勇気もない、死ぬ力もない
だから……ただただ、声を上げるしかできなかった
0095名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 12:10:48.77ID:94l+800N
カタンッっと音がした

ダイヤ「申し訳ありませんっ!」

瞬時に後退りして……謝罪を口にした頭を床へとぶつける
ごんっと鈍い痛みが走ったが、それよりも許されたかった

些細なことで……罰を受けるいわれもないことでお仕置きをされるのが怖かったのだ
しかし、犯人が入ってくることはなかった
恐る恐る顔を上げると、扉の近くに何かが落ちている
箱のような、何か

ダイヤ「ぁ……」

立ち上がる気力もなくて、四つん這いのまま扉の方へと向かう
落ちていたのは、箱だ
市販されている、一般的なお弁当……幕の内弁当だった

ダイヤ「……冷たい」

おにぎりを放置したのも見られていたからだろうか
温める意味もないと思われたのかもしれない
冷凍まではいかないけれど、冷蔵されていたような冷たさが手に伝わる
当然というべきか、お箸など与えては貰えていないようだ
0096名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 12:19:15.43ID:94l+800N
ダイヤ「………」

泣きはらした顔を、水で洗う
鏡がないのがこれほど良かったと思うことはない
きっと、とても酷い顔をしているはずだ

タオルもなく、仕方がなく袖で拭う
はしたないと叱責されるだろうが、もうどうでもいいと言わんばかりだ

包丁を拾い、幕の内弁当と一緒にパソコンの隣に置く
更新を選択して……書き込みを確認する

ダイヤ「うぁ……」

締まりのない涙腺からあふれる滴を拭う
諦める書き込みに対して向けられる温かい言葉が染みる

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんなさい……」

生きて、やめろ、歌えなくなったら……
そんな言葉を、指でなぞりながら、謝る

ダイヤ「頑張って……頑張って……みます……」

一人じゃない。それだけが、唯一の救いだった
0097名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 12:28:44.21ID:94l+800N
さらに読み進めていくと、また犯人の書き込みがあった
ダイヤの泣く声が煩いという苦情
昨日、あまりにも食べなかったから一食にすると言う宣言

だれも無しにして躾用と言う様子はなく
まだ、自分がペットとして扱われていないことに安堵する

ダイヤ「……こんな、汚れた私を……」

清潔さを奪われて早くも一日半
女として、人としての尊厳も奪われて至ったみすぼらしい姿
それでも、まだ人間なのだ

ダイヤ「……市販」

食べて大丈夫なのだろうか?
これを食べなければ、食事をもう無くされてしまいそうな気がするが
市販が安全とは限らない。というような犯人の書き込みが怖い

ダイヤ「蓋は……」

開けられた形式がない、ように思える
傷がついているようにも見えないし、買ってそのままなのかもしれない
とりあえず、書き込むことにした
0098名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 13:52:36.98ID:94l+800N
温める手段もなく、食べるための箸もなく
けれど、せっかく頂いた大切な食事
これ以上減らされたくはないという、背水の陣で、手を合わせる

ダイヤ「……いただきます」

外国の文化の一つとして、手で食べる国もある。と言う覚えがある
その慣習についての講習と考えれば……

ダイヤ「っ」

よくある付け合わせのお漬物をひとつまみ
冷たさと、微かな汁気が指に染みる

ダイヤ「ん……」

口に運ぶ
漬けられた酸味と、ほんのりとした甘さ
冷たいけれど、漬物はそれが良いのだ
噛みしめると、キュシュッ……と潰れてうまみが口いっぱいに広がっていく

ダイヤ「ん……んっ……」

小さな漬物
たった一口、たったひと噛みで終えられてしまうものを何度も噛みしめて味わう

ダイヤ「ん……っ……ぐすっ……」

――涙が零れる
たった一日……されど一日
生きていることを実感する、大切な感覚だった
0099名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 14:07:02.85ID:94l+800N
ダイヤ「……美味しい……」

きんぴらごぼうを指で摘まむ
どうしようもなく指ごと咥えこんで舌の上に乗せる

甘さとしょっぱさの程よいきんぴらごぼうは
冷めている分、少しだけ味が濃く感じられる

出来立てでもないのに、にんじんもごぼうも噛むとしゃっきりとした歯ごたえが響く
噛めば噛むほど、広がっていく味わい
呑み込むのが文体内と感じてしまいそうになりながら、ごくりと、下す

ダイヤ「ほぅ……」

残念ながら、べっちょりとしてしまっている白いご飯
上にはゴマがまぶしてあり、真ん中には赤い紅一点の梅干し
梅干しを避けて、はじっこの方を指で潰しながら抓む

ダイヤ「……ん」

口に含むと、振りかけられたゴマがカリッっと潰れる
ぐちゅりと潰れていく白米から溢れ出てくる水分は、水道水では絶対に得られないようなうま味が込められている
0100名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 14:24:04.09ID:94l+800N
ダイヤ「ぁむ……」

幕の内弁当の定番だろうか
皮のついた鮭の切り身はあらかじめ骨が取り除かれているものだ
指で切り崩すことは出来ず、つまみ上げてそのまま齧る

はしたない、品性に欠ける
今のダイヤからは、それが抜け落ちてしまっていた

きんぴらごぼうのように甘くしょっぱい
けれど、それよりもずっと塩気の染み込んだ鮭

甘口……いや、中辛だろうか
口の中でほろっと身が解れていくたびに、じわじわとご飯のうま味が上書きされる

ダイヤ「んく……ん……」

咀嚼して、飲み下す
美味しかった
身体と心が満たされていく
気付けば、お弁当は空き箱になっていた

手がべたつく、口周りがしょっぱい
スカートの上にはいくつか取りこぼしたご飯粒や、鮭の解れ身がぽろぽろと落ちている

ダイヤ「ん……」

食べ零しも指でつまんで、しっかりと頂く
味の染みた指を咥えて、口周りを舐めて……残すまいと――

ダイヤ「……あっ」

そこまでしてしまってから、自分の品の無さに目を見開いた
0101名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 14:41:55.39ID:94l+800N
ダイヤ「……ご馳走様でした」

空箱に手を合わせる
腐りかけのおにぎりをその中に詰めて、ふたを閉じる
捨て方として問題だが、ゴミ箱もない以上においが極力抑えられるほうに持っていくしかない

ダイヤ「はぁ……」

洗面台で手を洗いながら、ダイヤは思わずため息をついた
仕方がないとはいえ、手で食べることに途中から違和感がなかった
あろうことか、はしたなく指を舐めてしまうまでに、落ちぶれてしまっていたのだ

もちろん、空腹のせいであることは分かっている
だが、それでもそうしてしまったという事実がダイヤの尊厳を傷つけることになった

掲示板を更新すると、また書き込みが増えていた
知り合いに連絡してみたらどうか
このパソコンに出来ることはほかにないのか

ダイヤ「……このパソコンは」

最初に調べてみたが、インターネット上でできるのはこの掲示板を覗くことだけだ
他のサイトに接続しようとしても、回線が切断されたりはせず、強制的に掲示板に戻ってしまう
フォルダに関しても、怪しそうなものはないように思える
と言うのも、起動と掲示板を利用する最低限のフォルダしかないのだ
0102名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 15:21:45.59ID:94l+800N
ダイヤ「……そんな」

書き込むと、掲示板が更新されて新しい書き込みが増えた
鞠莉ちゃんの連絡先をここに書くのが一番いい……と書いてあるが
追い詰められた今も、さすがにそれは……と抵抗感がある

ダイヤ「鞠莉さんの……」

携帯は手元にないが、長い付き合いだ
電話番号くらい頭に入っている
だから、出そうと思えば出せるのだが……

個人の電話番号をこんな公の場に出していいのだろうか?
それも、犯人も見ているような場所にだ

ダイヤ「でも」

助かりたい……助けて欲しい
鞠莉の電話番号を出せないと言ったら、みんなになんて思われるだろうか
指示に従うと言ったくせに、実行しない不誠実なやつだと見限られてしまうかもしれない

ダイヤ「それは……嫌っ」

この掲示板の人達に見限られたくない
そんな思いが、ダイヤの指を動かしかけて……目を瞑る
0103名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 15:43:50.67ID:94l+800N
必死に代案をひねり出して、鞠莉の番号の代わりに自分の番号を書き込む
これで失望されずに済んだだろうか
更新をするのが怖くて……ドキドキと痛い胸を押さえながら、
先に書き込まれていた内容に目を通す。

ダイヤ「ぁ……」

そして、書き込みに絶句する……【>>207で書いた掛布団はどうだろう。】と言う書き込みだ
確かに、207でそのことについて書き込まれている
気が動転していて、はっきりと目を通せていなかったのかもしれない

ダイヤ「あぁ……申し訳ございませんっ!」

叫ぶように謝罪を口にして、一心不乱に書き込んでいく
謝罪、反省……状況……そして、謝罪
見捨てないで欲しいという思いのまま、涙ながらに祈りながら書き込む

一人でも多く力を借りたい
一人でも多く、自分のことを見てくれている人が欲しい
だから吐きそうなほど、罪悪感が滲む

無視をしたわけじゃない
でも、結果的にそうしてしまったようなもので……ダイヤはごめんなさい、ごめんなさい。と
呟きながら、ベッドの横にずり落ちた掛布団へと向かった
0104名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 16:05:28.52ID:94l+800N
掛布団はそれほど厚みがないものだ
部屋自体が、中々に温かい作りとなっているからだろう
どちらかと言えば薄い

ダイヤ「……」

模様らしい模様は見受けられず、ごく普通の市販されているものだろうか
色合いはダークブラウンで、枕も同じ色のカバーだ
マットレスに関しては白色系統……いうなればオフホワイトだ

ダイヤ「特に、何も……」

タグを見てみても違和感はない
流石に布団にまで手は咥えられなかったのか、製造元は普通だし
どこにもD.KUROSAWAという苛めのような文言が書かれていない

ダイヤ「……呆けている場合じゃないっ」

掛布団を放り投げ、急いで書き込む
掛布団を確認したこと、特に異常は見られなかったこと
そして、もう一度謝罪を書き込む

もう二度と、無視するような失態はしないから許してほしいと……願うように書き込んだ
0105名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/04(月) 16:15:52.31ID:94l+800N
書き込みを向けた219へと戻る
そして、207の辺りにまでスクロールしていく

ダイヤ「ほかに、無視してしまっている方は……」

せっかく考え、提案をしてくださっている方を無視していないだろうか
書き込みの一つ一つを、ゆっくりを眺める
そこから219にまで戻ってきたところで、一息つく

ダイヤ「良かった……」

見ている間、胸が張り裂けそうな思いだった
ズキズキとした痛み
どうしよう、どうしよう……そんな想いに涙が溢れた
見捨てられるのが、怖くて仕方がなかった

ダイヤ「あぁっ……もう三十分もっ!」

そして220の書き込みの時間に目を見開く
書き込まれたのはもう三十分近く前だ

ダイヤ「ごめんなさい……申し訳ありませんっ!」

慌てて、読む
急いで判断する
その人はなにが言いたいのか

ダイヤ「そんな……っ」

そして――悟る
自分以外が無事と言う前提……その、異常さに
0106名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/04(月) 16:27:38.49ID:94l+800N
ダイヤ「あぁ……ルビィ……ルビィ……っ」

自分が家から連れ出されたということは、
最も身近であるはずのルビィが一番、危ないのだ

ダイヤ「お願い……どうか、ルビィだけは……」

涙が滴る
もしも、無事ではなかったら?
最初のほうに見られた書き込みのように、酷い目に遭いそうになっている動画を撮影されているかもしれない
凌辱されそうになっているかもしれない

ダイヤ「そのような掲示板がある……かもしれないっ」

ひたすらに書き込む
願い、祈り、希望
そして、自分にはできないことを……

ダイヤ「お願いします……お力添えをっ!」

書き込んで、更新された傍から220にまで戻り、また一つずつ確認する
今の自分に出来るのは誠心誠意対応し、少しでも黒澤ダイヤを見て貰う。ただそれだけだと信じて疑わなかった
0107名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/04(月) 16:45:40.62ID:94l+800N
自分の電話番号を書き込んだ書き込みから下にずれる
大人数に晒される不安、それを分かってくれていることに、嗚咽が零れる

ダイヤ「無事に出られたら……出たい……出たいです……」

無事に出られたら電話番号を変えよう
その提案に、胸を押さえながら……首を振る

ダイヤ「いえ、それよりも皆様にお礼が言いたい……もしも出ることが出来たら……恩返しがしたいです……」

そのあとの書き込みも、見捨てないよ。という温かい書き込みがあって
自分の不誠実な行い、その謝罪に対して、そんな謝らないで。と、寄り添ってくれていて

ダイヤ「ありがとう……ありがとうございます……」

涙が止まらなかった
胸の痛みが治まっていくのを感じた

ダイヤ「ありがとう……ありがとう……」

視界が歪む
拭っても拭ってもよく見えない
無機質な機械の中に羅列された、匿名の文字列でしかないのに
今は、その微々たる温もりが、限りなく大きなものに思えたのだ
0108名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 17:07:09.15ID:94l+800N
ダイヤ「……はぁ」

大きく息を吐く、生唾を飲み込む
ようやく動悸が収まった胸を軽く撫でおろして……もう一度

ダイヤ「怖い……怖いですが……」

まだ、助けようとしてくれている人たちがいる
だから、諦めない
泣き叫びながらも、諦めない
そうするべきだろう……と、思っていても、ダイヤの心はもう、半分ほど折れてしまっている

ダイヤ「……爆破、予告?」

爆破予告をすれば警察が一日で来てくれるという
本当だろうか?
どうやって、警察は家に来るのだろうか?

ダイヤ「もしこれが本当なら、私がこの掲示板に爆破予告をすることで……助けて貰える?」

だが、慎重に考える
それはジョーカーだ
たった一日で警察が来るほどの危ない橋……救われた一一心で書き込んでしまったら
この提案をしてくれた人を巻き込んでしまうのではないだろうか?

だから、飲み込む

ダイヤ「貴重な意見ありがとうございます……ですが、この提案をして下さったあなたが、巻き込まれてしまうのは嫌です」

最高の一手、それは独断で打つべきではない一手だ
0109名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 17:23:46.90ID:94l+800N
だいぶ過ぎてしまったほかの書き込みにも目を通す
みんな、気にしすぎないで、思い込みすぎないで……と
とても優しい言葉をくれている

ダイヤ「ありがとうございます」

心からの感謝を述べて、書き込みを読み進めていく
みんな、犯人の推測に入っているようだ
犯人の目的……確かに分からない

ダイヤ「犯人は、私を苦しめたいだけと言う可能性はないでしょうか?」

ただ解放する気はないが、掲示板の方々に救わせる気もない
黒澤ダイヤという人間を貶め、汚し、尊厳をぶち壊しにしようとしているのではないだろうか?
だから、いつでも殺すことが出来るのに殺さずに生かしている

道具を与え、あたかも希望があるかのように見せ……苦しませている

ダイヤ「犯人書き込みですか……」

確かに、言われてみれば書き込んでいる文章が違う
似せようとしているようにも感じられない
単独ではなく、複数犯なのだろうか? それとも、そう思わせるための仕掛けか

ダイヤ「難しいですね……」
0110名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 18:32:12.72ID:94l+800N
ダイヤ「……ほかの正方形」

掲示板を更新して部屋を見渡す
正方形らしい正方形は、一見するとどこにもないように思える
差し出口が正方形なら嬉しいのだが残念ながら長方形でできている

ダイヤ「と、なると……」

考えて……引き出しの底板を手に取る
見ようによってはこれも正方形ではないだろうか?
完全な正方形ではないかもしれないが、正方形と言えるような、気がしなくもない

ダイヤ「……カメラ、どこにあるの?」

映像を見ているのなら、そこに見せたほうが早い
底板を手に取り、胸の前に掲げて時間をかけながらくるりと回る
はたから見れば馬鹿な女だが、そうする理由がある

ダイヤ「……見て、頂けたでしょうか?」

パソコンの前に戻って、書き込む
引き出しの底板がそれっぽいこと、三目並べに興じるのであれば……どこに置くのがいいか
その相談をしたい

ダイヤ「……真ん中は取られているから勝つためには……?」

正攻法なら4つ角のような気がするが、どうだろうか?
0111名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 19:20:26.20ID:94l+800N
ダイヤ「かっ……解散……?」

書き込み更新で追加された最初の書き込みに、思わず喘いだ
追記されているURLを押すと、表示されるのはAqoursのメンバ一覧
これを見せて、解散しろと伝える……なんてあんまりではないだろうか

ダイヤ「酷い……っ」

協力してくれる人がいる中、こんな悪意のある書き込み
鞠莉の電話番号を公開しなくてよかったと、改めて思う

ダイヤ「こんな書き込み、気にしたらダメ……」

もしかしたら犯人の嫌がらせかもしれないのだ。
そう考えておこうと、目を背ける

ダイヤ「そうですね……勝負だとしたら、決着はつかないかもしれません」

だが、引き分けになれば新しい紙が渡されるかもしれない
テンキーやNumLKという言葉は、残念ながら何の話か分からない
しかし、意味はあるのかもしれない

ダイヤ「それはこのかたにお任せしましょう……申し訳、ありませんが」
0112名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 19:51:17.03ID:94l+800N
ダイヤ「……その通りです」

書き込んだことによる更新の追加を確認する
底板に関しては、接着面が張り付いてしまって皮が剥がれている点を除き、何もない
それを影響なく剥がすのはまず不可能だ

トンカチを使わず丁寧にやっていたら……なんていうのは、無意味だろう

ダイヤ「引き分けにしかならないのは同意――!?」

ミスしない限り引き分けにしかならない。それは同意だ
だが、すでに書き込んだ通り引き分けにこそ意味があるかもしれない
……そう思っていた考えを、次の書き込みが歪ませる

ダイヤ「Aqours……」

電話のボタンを参考にしたのだろうか?
正方形に関係なく、9つの分類として考えたとき、
Aqoursは9人であることを、この書き込みはあげている

ダイヤ「通し番号5は……ルビィ……」

通し番号というべきか、掛け声になるのだが
1から9までの掛け声を上げるとき、ルビィが5番を担当している
もしも、この×が、悪い意味。だったとしたら?

ダイヤ「もう……ルビィは……捕らえられてしまった……?」
0113名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 21:02:01.59ID:94l+800N
ダイヤ「………」

考える。考えて……深く息を吐く
今朝の自分、昼間の自分
あんな状態だったら冷静でいることは出来なかったかもしれない

しかし、今は違う
折れかけた心を支えてくれる人たちがいる
助けてくれる人たちがいる

ダイヤ「……さて」

掲示板を更新する

ダイヤ「っ……」

自作自演、不人気……嫌味な中傷だと分かってはいても、少し胸が痛む
大の中の小かもしれないが、それでもそう思っている人がいるかもしれないということが……痛いのだ

ダイヤ「……頑張れ、頑張れっ」

胸を押さえ、自分を鼓舞する
みんなの優しい言葉を噛みしめて、イヤな言葉を振り払う

ダイヤ「机の裏……?」

思えば、引き出しを抜いた後の机の下は覗いていない
0114名無しで叶える物語(たこやき)
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2020/05/04(月) 21:10:20.09ID:eVpH1WH2
ただただ抱きしめてあげたい
0115名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 21:15:59.63ID:94l+800N
ダイヤ「……暗い」

当然のことながら、机の下は光が届かない
割れた鏡の破片を使っても、そこに光を届けることは無理のようだ

手を伸ばしてみる
触れるものは何もない
では、引き出しに隠れていた部分はどうだろうか

ダイヤ「……痛っ」

触れてみると、ささくれが指に刺さる
それでも我慢して、叩くように触れてみる

たんっ、たんっ、たんっ
叩きながら何か無いかを試していくと、ふと、冷たいものが触れた

ダイヤ「なにかしら……」

指先で触ってみると、爪で外れるようなものではないように感じる
鉄……鋼……少なくとも金属だ

ダイヤ「もしかして……ネジ?」
0116名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 21:33:09.92ID:94l+800N
ダイヤ「………」

ドライバーを使って、机の裏側の金属に触れてみる
カツンッカツンッ……ぶつかってカチリと嵌まる
しかし……左右に回そうとしてもびくともしない

もう一度やってみたが、全くダメだ

ダイヤ「ネジじゃない……?」

マイナスドライバーは刺さる。だが回らない(回す力がない?)
そう考えると、ネジの可能性はあるが、そうではない可能性もある

ダイヤ「……鍵、とか?」

指で触ってもどちらかの判別は難しそうだ
ドライバーで動かないことを考えると、鍵の可能性が高い

書き込みをしようと、パソコンに向かう
裏には鍵穴か、ネジがあること
残念ながら、今の持ち物にはどうにもならなそうであること

ダイヤ「……安価」

三目並べをどう取り扱うか、聞こうと思ったのだ

ダイヤ「……そろそろ、ね」

時間はもうすぐ夜になる。
寝落ちする前に、おやすみと連絡もしておきたい
0117名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 22:35:01.21ID:94l+800N
書き込み、返事を待つ間にお腹を擦る
冷めていたけれど、幕の内弁当は美味しかった
膨れるほどではないけれど、お腹には溜まった

ダイヤ「ん……」

昨日は、まだ優しい方で助かったけれど、
今日はそうもいかない
音も出てしまうし、においだって酷いものになるだろう

ダイヤ「今日、くらいは……」

我慢できないだろうかと、体に相談する
ぎゅるるる……という唸り声は、拒絶だ

ダイヤ「……あぁ」

人として……と言うよりも
女の子として、スクールアイドルとして、他人に聞かせるのは屈辱極まりないものだ
生理現象とはいえ、死にたくなってくる

ダイヤ「書き込み……」

見ないで、聞かないで
そう書き込んでどれだけの人が応じてくれるだろう
面白がってまた中傷されるかもしれない

汚いとか、臭いとか……きっと

ダイヤ「我慢……我慢……っ」

根性と尊厳で、生理現象を押し込める
小さい方でも心が折れそうなのに、もう一つの排泄の姿を公開するなど……無理だ
0118名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 23:11:01.59ID:94l+800N
ダイヤ「んっ……」

腰を浮かせながら、パソコンの前に座る
更新ボタンを押して、書き込みを確認する

やはり、難しい内容のせいか答えは出ないという
言われている通り、犯人との接触リスクを考えれば、やらない方が良いかもしれない

ダイヤ「……明日に、回すべきでしょうね」

明日の食事の時間……
犯人曰く、ダイヤの餌の時間
食事が差し出口から押し込まれる際に、差し出口から投げ込めばいい

だから、それまでに考える。と思えばいいだろう

ダイヤ「……」

悩ませてしまった人に謝罪と感謝を述べる
はっきりとは言わずに、辛いとだけ告げて……休みたいと書き込む

悩んでいただいている人たちには申し訳ないと思う
だが、泣きすぎた、傷つきすぎた……そして、耐えがたい屈辱と言うものがある
だから……ダイヤは休ませてくださいといい、謝罪をする
0119名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/04(月) 23:20:13.21ID:94l+800N
ダイヤ「……これで」

昨日は寝落ちしたから、お仕置きがあった
であれば、今日は寝落ちする前にしっかりと連絡をしたうえで眠ろうと考えたのだ

腹部を擦り、部屋の電気を消すべく壁まで歩いて……スイッチを切り替える
部屋が瞬く間に暗くなって、パソコンの明かりだけが部屋を照らし出す

ノートパソコンのカバーを半分ほど下ろして光の範囲を狭めて、ベッドに向かう
ずれていたマットレスを押し込み、落ちていた枕を戻して、掛布団を広げる

ダイヤ「……おやすみなさい」

考えたいことは沢山ある
やらなければならないことだってたくさんある
けれど、休むことも大事だ

ダイヤ「……お腹、痛い……」

擦りながら、息を吐いて、歯を食いしばる
強く目を瞑って……眠るための努力をする

明日はもう、我慢できないかもしれないと……冷汗が浮かぶ
なにせ、昨日何も食べていなくても、
まだ監禁される前の一昨日は夕飯があったのだ

その分が下ってきているところに、大量の水分、時間の経ったおにぎり、プリン
そして……冷めた幕の内弁当
我慢しろと言うのが、無理な話なのだ

下世話な話になってしまうが……もう、明日は事前に書き込んで避けて貰うしかないかもしれないと、
ダイヤは羞恥心と尊厳を踏み潰す生理現象に、嗚咽を漏らした
0120名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/04(月) 23:21:27.15ID:94l+800N
とりあえず今日はここまで
0121名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2020/05/04(月) 23:48:06.95ID:eVpH1WH2
ボロボロになっていくダイヤさんの儚い美しさがたまらん
スレの本来の楽しみ方から逸脱してしまっている気がする…
0122名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/05(火) 00:44:07.39ID:rlurzT0X
ダイヤさんに酷いことしたい参加者?が思いの外少ない反動なのか犯人茸の鬼畜ゲス度がどんどん増してるのちょっとこわい
なんとか無事に脱出させてあげたい
0123名無しで叶える物語(家)
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2020/05/05(火) 02:11:22.78ID:JTzZ0HL/
なんならダイヤさん既に十分酷いことされてるし、その状況を見ているワイも感情移入しちゃって胃が痛いし、さっき寝落ちしたときなんか夢にも出てきちゃってもう精神的ダメージがすごい
0125名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 11:20:24.83ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

目を覚ますと、現実が戻ってくる
昨夜電気を消したおかげで部屋がどうなっているのかは分からないが、
ダイヤが昨夜と変わらずベッドの上にいることだけは確実だった

ダイヤ「……あ」

部屋の中を照らす唯一の光源であるノートパソコンに目を向ける
やはり自室ではないのだと……分かり切っていたことが身に染みる

ダイヤ「……臭い」

監禁されてから三日目の朝
入浴はもちろん、シャワーを浴びることも出来てはおらず
清潔なタオルとお湯で拭うことも出来てはいない

普段はそう気にならない汗のにおいも、不衛生な状況にあるダイヤの体は
女の子として、あってはならないような異臭を感じる

ダイヤ「うぅ……」

ずっと着たままの制服、肌着、下着
汗で張り付いている不快感、肌に感じるべたつき
むず痒さを感じて髪を掻くと……指先が僅かにぬるぬると汚いテカリを感じる

ダイヤ「黒澤家の長女……落ちぶれたものね……」

不衛生な臭いを放つ体、ぼさぼさで艶を失った長髪
皺だらけで、床を這いずった汚れのついた制服
ダイヤの心に傷をつけるのは、なのも犯人ばかりではないのだ
0126名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 11:30:30.04ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……はぁ」

溜息をつく
頑張るとは言ったが、今まで味わったこともない不衛生さに
ダイヤはため息をつかざるを得なかった
それでどうにかなるとは思っていないが、どうしようもなかった

覚束ない足取りでパソコンの前に向かう
電気をつけていないのは、これからすることを他人には見られたくないからだ
そう、昨夜ねじ伏せた生理現象は、もう限界だった

ダイヤ「……」

書き込む前に、掲示板を更新する
やはり、ダイヤが寝た後に犯人からの書き込みが追加されている

ダイヤ「……饒舌、ね」

日中と比べて口調が違うことも気になるが、
以前に比べて数度の書き込みを行っているのが気になった
ダイヤがまだ気丈に頑張っていること……それが不愉快なのだろうか?

ダイヤ「奪う……」

頑張っているから褒美……ではなく徴収
書き込みを見ていると、犯人からの指定は奪われたら大変な事になるものばかりだが
匿名の人々はそれに対して怒りを滲ませ、何でもと言うのなら弁当の空箱。と、指定している

ダイヤ「……ありがとうございます」

すっかり泣き虫になってしまった
目元から流れ落ちる滴は止めても無駄だと放置して、空箱があった場所に手を伸ばす。
確かに、弁当の空箱は回収されているようだ
0127名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 11:36:37.76ID:r7GLBX7x
ダイヤ「え……」

そうして、最新の書き込みが目に入る
安価。と言うものを行うだけの犯人からの書き込みは、今日に限って電気をつけて。と言う言葉だった
単なるお遊びか、それとも電機が消えていることが不都合なのか
だが、ダイヤは躊躇う
今日は、少しの間電気をつけたくないのだ

犯人は、その事情を知っていて……あえてこの書き込みをしたのかもしれない

ダイヤ「……お願い、して。みるしか」

少しの時間で良いから、電気を消したままにさせて欲しいと
犯人との直接的な会話の成立は今までできなかった
ダイヤか犯人の一方的な書き込みか言葉で終わっている

しかし、犯人は今回初めてダイヤに向けて書き込みをした
ならば、会話もできるのではないか。と、思ったのだ

ダイヤ「……」

息を飲む
落ち着くようにと、深呼吸
不快なにおいに、眉を顰めてしまう

ダイヤ「……まずは、質問を」
0128名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 11:55:13.63ID:r7GLBX7x
ダイヤ「できるだけ刺激しないように……」

なぜつけなければならないのかと言う質問をし、
それに対して、なぜそんなことを言えるのかと言う理由を付け加える

電気のスイッチがこちらの手にある以上、
それの決定権はダイヤにあってしかるべきなのだ
数分経って、掲示板を更新する

ダイヤ「命令……」

電気をつけるも消すも、寝るときだけの権利
日中はつけろという命令
逆らったらどうなるだろうか
またお仕置きされるのだろうか

ダイヤ「……っ」

ズキズキと胸が痛む
けれど、お願いを……するしかない

ダイヤ「どうか、お願いします」

たった数分間で良い
たったそれだけでいいから、消したままにさせてはくれないか。と
0129名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 12:04:24.78ID:r7GLBX7x
それに対する犯人らしき人の書き込みは、理由を教えたら考えてあげる。と言うものだった
恐らくだが、犯人はダイヤが電気をつけたくない理由を知っている
知っているから、こんなことを書き込んでいるのだろう
つまり、嫌がらせだ

もちろん、電気を消したままでは犯人が困る可能性もあるが、
それはどうなのだろう……と思う
電気を消されたら困るならば、そもそも、その決定権を与えなければいいはずなのだ

しかし、決定権がダイヤにある
ということはつまり、消していようがつけていようが、犯人には大した影響がない可能性が高い

ダイヤ「理由……」

トイレが使いたいから。
ダイヤが電気を消したままにしたいのはそれだけの理由だ
他人には見せたくない行為
もし、電気を消すことで阻めるのであればそうしたいのだ

ダイヤ「……っ」

言葉を選ぶ
書き込むだけで、そのあまりにもな姿を見せずに済むならば……と
0130名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 12:26:41.52ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……この……」

犯人はそれでは伝わらないんじゃないか。と返してきている
オブラートに包んだだけで、それなりに直喩的な書き込みをしたはずだ

現に、それで解っている。という書き込みをしてくれている人がいるし
消したままで良いよ。という書き込みもある

ダイヤ「やはり……」

犯人はダイヤを辱めたいのだ
公然の場で、自分がなぜお手洗いを利用するのかを詳細まで宣言させるか
公然の場に、その醜態をさらさせようとしている

あんまりではないか
公の場で、スクールアイドルが、女の子が
そんなお願いをするなど、そんな醜態を晒させられるなど

ダイヤ「くっ……」

苛立ちと、焦り
歯を食いしばりながら恵仁版を更新すると、また犯人からの書き込みが追加されていた

そこにはみんなの本心、みんなの期待がある。と、URLが貼られていた
0131名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 12:43:30.72ID:r7GLBX7x
ダイヤ「ひっ!?」

URLの先は、ほかの掲示板のようだった
ダイヤと和式便所は性的である。という掲示板には、
ダイヤのそういう姿が見たいと言っているような書き込みがある

ダイヤ「花丸さん……」

ダイヤだけではなく、花丸たちまで対象にされていた
これが、彼らの本心だと犯人は言った

ダイヤ「嘘……」

みんながこれを望んでいるなんて嘘だ
だって、お仕置きと称した嫌がらせは出来るだけ痛みのないものにしてくれた
何を奪うのかだって、弁当の空箱というゴミ捨てに変えてくれた

心が折れかけたダイヤを支えようと声をかけてくれた
どうにもならない絶望に直面していたダイヤに、優しい声をかけてくれた

ダイヤ「嘘……嘘……違う……違うっ!」

信じられるものか。
だが、最初の方の書き込みはどうだっただろうか
あろうことか、ルビィを害そうとしていなかっただろうか

ダイヤ「違う……嘘……違うっ……だって、だって……」

みんなは、優しい人のはずだ
0133名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 12:56:43.55ID:r7GLBX7x
断腸の思いで、掲示板を更新する
実はそうだった。なんていう書き込みがあったらどうしよう
犯人の企みに乗っている書き込みがあったらどうしよう
そんな恐怖に手が震える。胸が痛む

違うはずだ……と、自分の願望のみで、書き込みに目を通す

ダイヤ「あぁ……あぁ……ほら……嘘、嘘だった……っ!」

ダイヤを助けたいという書き込みがある
そういうやつもいるかもしれないが、自分は違うという書き込み
少なくともここにいる人たちは違うと。

ダイヤ「はぁ……はぁ……ん……ふふ……」

動悸が激しく、息が荒くなってしまう
そんな中で、ダイヤは笑う
犯人の言うことは嘘だった、みんなは優しい人、信じられる人
だから、心が大きく匿名の人々へと傾倒していくのだ

もう……ダイヤに残っているのは彼らだけだった
0134名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 13:15:03.86ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

反論を書き込む
自分を疎めるのは別にいい
馬鹿にされてもいいし、見下されたって良い

けれど、ダイヤは自分を救ってくれている人々が馬鹿にされているような書き込みが、気に入らなかった
そんなことはないと否定する
匿名ではあるけれど、彼らは優しく誠実な人々であると断言する。信じていると書き込む

ダイヤ「だって……そうじゃなきゃ……」

ダイヤが、嫌だった
腹のうちにあんなことを考えている人たちだったとしたら、
ダイヤは何を信じて良いのか分からなくなってしまう。
何を頼りに頑張ればいいのかがわからなくなってしまう

ダイヤ「……違い、ますよね……?」

口では何とでもいえる
それと同様に、書き込むだけなら何とでもいえるのだ
だけど、信じる
みんながそうではないと言ってくれたから
助けようとしてくれているから

ダイヤ「……ほら、誰も望んでいません」

掲示板を更新すると、犯人はそれを望むか否かの安価を行い、
結果は、見なくていいというものだった
しかも、安価の範囲と思われる中は、みんな見なくていいというものだったのだ

ダイヤ「ほら……大丈夫……大丈夫……」
0135名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 13:43:33.73ID:r7GLBX7x
ダイヤ「ん……」

みんなの厚意で電気が消えたままの部屋に、ダイヤの小さな声が漏れる
空気が破裂するような音が数回響いて、
搾り袋からクリームを絞り出しているような、水っぽい音が続く

ダイヤ「くぅ……」

ぶすぅ……と、異音がして水しぶきが上がる音が鳴る
約三日間、ため込んだ生理現象はその一回では終わらない

ダイヤ「はぁ……ん……」

溜息が部屋に落ちる
ぶぶ……ぶちゅ……と、小さな空気の音
微かにメリメリ……っと音が流れて、ぼちゃんっ……ぽちゃんっ……と沈む

ダイヤ「うぅ……」

ちょろちょろとした音は次第に強くなって
ぷしゅあぁ……と吹き出し、パタパタパタっと、水が跳ねまわる

メリメリ……ぶぼっ……と、部屋中に響きそうな大きな音
不意に、扉の方からカタンッ……と音がした

ダイヤ「え……」

たが、一度したものは止められず
それから数分間、部屋中に排泄の音が続いた
0137名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/05/05(火) 13:45:28.81ID:DdR91I7V
でも可哀想なダイヤは抜ける
0138名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 13:54:42.54ID:r7GLBX7x
トイレを終えたダイヤは、しっかりと後処理をして手を洗う
そうして電気をつけた後に、扉の所にコップが一つ置かれているのが見えた

水の汗に塗れたコップの中には麦茶色の液体……おそらくは麦茶だろう
からんっと氷が揺れる

ダイヤ「……え?」

時間は見ていないが、体感的には今日一日分の食事のはずだ
今日一日分の食事が、たった一杯の麦茶。ということだ

ダイヤ「嘘……」

たまったものを出してしまったお腹はくぅ〜っと鳴く
それはそうだ。昨日のお昼には幕の内弁当を食べたのだ
今日も何か食べられると、体は要求するはず
だが、目の前にあるのは……500mlもないたった一杯分の麦茶

ダイヤ「……あぁ」

コップを持って、パソコンの方に向かう
ちらりと目を向けた先、洋式便器の近くに設置されたトイレットペーパーは、もうない
もともと、数センチもなかったのが一昨日
小さい方に二回、大きい方に一回
たったそれだけで、トイレットペーパーはなくなってしまった

ダイヤ「……まずは、感謝を」
0139名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 14:10:27.72ID:r7GLBX7x
ダイヤ「げほっ……はぁ……けほっ」

今まで生温い水ばかりだった喉に、冷たい麦茶は染みる
思わず咳き込んで、口元を袖で拭おうとして……手で拭う

ダイヤにはタオルなど与えられていないし、替えの衣服もない
そのため、手を洗ったらパタパタと振るしかないし
口が汚れたら手で拭うくらいしかできない

ダイヤ「……はぁ」

自分が汚くなっていくのが分かる
髪は微かにべたついているし、肌はもうベタベタで痒みがある

制服と肌着に覆われている部分が特に不快感が強く
手で何度もこすっては、不意に訪れるヒリつく痛みに泣きそうになる
痛いからではなく、あまりにも不衛生だからだ

ダイヤ「ん……」

麦茶を飲み下す
ほんのりと苦みのある、水ではないうま味が喉を流れていく
キンキンに冷えた冷気がお腹には少し痛いのか、ダイヤはお腹を擦る

ダイヤ「ごちそうさまでした」

すでに麦茶の消えたコップの中には氷が二つほど沈んでいるが
流石に、これをかみ砕くほどの余力はダイヤにはなかった
0141名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 14:46:57.47ID:r7GLBX7x
掲示板を更新すると、麦茶では不足だったという書きこみや
食べ物や着替えを差し入れたいという書き込みが増えていた

ダイヤ「……ですが、機会が与えられるとは思えません」

今日の様子を見るに、ダイヤがよごれていくことを悦んでいるように思える
出来る限り貶め、辱め、尊厳を砕こうとしているように感じる
であれば、犯人がダイヤに清潔な衣服を与えてくれるとは到底思えない

ダイヤ「清潔な服に着替えたいとは思いますが……」

身体が清められないならばせめて清潔な服を。
そうは思うけれど……やはり難しいだろう
皺だらけでよれよれの制服、汗の染みたかすかにすっぱいにおいがし始めている肌着
極めつけは、シミの出来てしまったショーツだ

昨日、お仕置きの為に侵入された際にあまりにも恐ろしくて少しだけ漏らしてしまったし
ペーパー不足でしっかりと拭ききれていないこともあって、その分の汚れがショーツに移っている

ダイヤ「……制服、脱ぐことも考えましょう」

制服は最後の砦として
もう本当に駄目な状態になるまでは下着姿で過ごし、
下着がダメになったら下着を脱いで、制服だけを着る……というものだ
この際、背に腹は代えられない

ダイヤ「相談、してみましょう」
0142名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 15:22:02.50ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……あまり、見たいものではないですよね」

自分の汚れているからだなんて、普通は見たくはないと思うだろうと、ダイヤは首を振る
だが、今はそんなことを言っている場合ではない
だから、見る人が、汚らしい体を見ても離れていかないようにと……事前に許可を求める

彼らに何も言わずに不潔な姿を晒したらいなくなってしまうかもしれない
けれど許可の上で見せるのなら、離れていく人は最小限に留まるはずだ

ダイヤ「………」

女の子として、不特定多数の人に下着姿を見せるのは憚られることだという理解はあるけれど、
この掲示板を、そしてダイヤを見ている人は優しい人だから。という信頼があった
信頼があるからこそ、体を晒してもいいという思いがあり
だからこそ、汚らしい自分の体を見て離れていく人がいて欲しくなかった

ダイヤ「さて……」

今ある問題はそれだけではない
三目並べ、机の裏の鍵穴らしき何か
現状、手元にある不可解な点はこれだけしかない

そして、道具はマイナスドライバーとシャーペン、包丁のみ
正式な用途に使っていないのはドライバーと包丁だろうか
包丁に関して言えば、切るという点においては正当な使い方をしたともいえる
0143名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 15:32:51.48ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

鍵穴らしきものに関しては、
マイナスドライバーではどうにもならなかった以上、放置するべき案件だ
よって、考えるべきは三目並べ

ダイヤはシャーペンで浮き出した三目並べの書かれた紙を見つめる
三目並べのほかに、安価3という文字がある

ダイヤ「安価……安価は、インターネット上の話……」

値段ではなく、安価
犯人は、不等号による関連付けによって形成されたものを【安価】として使っている
安価3の安価と言うのは、それと同様のものと解釈して良いだろう
では、3とは何か。

犯人は常に、【安価は下3つ】としていることから、その範囲であると考えるべきではないだろうか?
これについては、ダイヤの無知を利用してそれを書き込ませ、
匿名の誰かがとりあえず書いた内容を、ダイヤに対して実行する。そういう狙いがあったと推測できなくもない

ただ、ダイヤにとっては運良く、書き込みをしている人が指示にならない内容を書いていたため、
判定は白。として、何事もなく終了した

ダイヤ「では……」

ぐぅぅぅ……と、鳴くお腹を擦る
コップの中に残っている、小さな氷を口に含んで、飴玉だと誤魔化す

ダイヤ「……大丈夫、大丈夫」

言い聞かせるしかなかった
0144名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 15:46:38.95ID:r7GLBX7x
掲示板を更新してみると、
下着は洗ったらどうか。と言う書き込みに目が行く
洗剤のない水洗いでどこまで清潔に保てるのかは分からないが、問題は別にある

ダイヤ「……干せない」

この際、みんなに自分の下着を見せることについては考えない
色気のないただの白いショーツはもう黄ばんでる箇所がある
それを落とすことは難しいだろうから、その汚い下着を見せて良いか、許可も取りたい
だが、それ以前の話として干せる場所のめどが立たなければだめだ

ダイヤ「……っ」

右腕を掻きむしり、頭を掻いて……それでも下腹部のむず痒さにだけは歯を食いしばる
頭を掻くのは癖の一つとしてある、体を掻くのだって蚊に刺されればあることだろう
けれども、下腹部を弄るのはどうか
そんな品のない姿を見せられた側はどうか

ダイヤ「許可……あぁ……でも……」

もじもじと足を知り合わせて、誤魔化す。
我慢すればいいのだと、息を吐いて体を動かして誤魔化し続ける
閉じていると逆にむずむずとするのだろう、ダイヤの座る姿勢はだんだんと崩れていく

その合間にも、お腹が煩くなる
お腹に力を入れ、胃を限りなく圧迫しても、空腹は変わらない
仕方がなく5杯ほどの水を飲んで、胃に溜めた
0146名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/05(火) 15:56:57.84ID:DdR91I7V
わかる
0147名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 15:58:12.09ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……ふぅ」

たぽっっとするお腹を擦りながら、部屋を見渡す
ベッド、マットレス、掛布団、枕
これらに関しては、手出しできるものはないと考えていいだろう

次に学習机だ
固定されたパソコン、分解済みの引き出しと抜けた底板
机の裏の鍵穴

ダイヤ「………」

鍵穴らしきものの位置から考えるなら、
あれはパソコンの固定を外すための鍵である可能性が高い

つまり、パソコンを持ち出せるようになる。と言うわけだ
そこに利点はあるかどうかは分からないが、とにかく、その可能性はある

そして引き出しの底板
二枚板になっていたほうは、接着面が剥がれてしまった方と剥がれた部分が見事に張り付いている方とで分離している
このくっついていた部分に何かがあるのか、それともただ接着していただけなのかは分からないけれど
差違として認識できるのはこの部分である

ダイヤ「……やって、見る?」

手で剥がせないが、マイナスドライバーで削ることは出来る
底板が真っ二つに割れる可能性もあるが……

ダイヤ「聞いて……でも、まだ下着の件が……」

下着の件の話がついていないのに、次の質問を投げて大丈夫なのかとダイヤは書き込む手を止める
考えさせているくせに、次から次へと疑問を投げたら見限られないだろうか?

ダイヤ「……まずは、聞かなきゃ」
0148名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 16:06:21.69ID:r7GLBX7x
書き込むと掲示板が更新される
吐しゃ物などに塗れていないなら大丈夫では? という書き込みに、
ダイヤはもしかしたらそうなるかもしれないから……という不安を抱く
そうなったときに、付き合いきれないとなったら困るから、伺いを立てている

ダイヤ「嘔吐……それに、排泄だって……」

食事はまともではないし、飲んでいるのは水道水だ
いずれ、下痢になるのは残念ながら目に見えている
そうなった際に、醜悪な姿をさらしてしまうのは確実だ
なにせ、後片付けする道具も、新しい衣服もないのだから

ダイヤ「ぁ……」

そして、男性器を擦りつけたいという書き込みが見える
数は少ない、一部はいるだろう。それは分かっていた
だが、本当に居るのだと……ダイヤは知る

ダイヤ「でも……大事な人」

もしかしたら、この欲望に答えてあげる約束をしたら、
モチベーションが高くなって、画期的なアイディアを出してくれるかもしれない
0149名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 16:19:57.01ID:r7GLBX7x
そして次の長い考えに目を通す
引き出しに引っ掛けておく……と言うのは確かにありかもしれない
ただ、干すというよりは垂れかけることになるので、あまり変わりはないように思えるが……

ダイヤ「通気性という点では、一理ある……」

底板を戻せないので、どうせ使い物にはならないのだ
せめて、その使い方をするのもいいだろう

ダイヤ「下着には……」

ブラジャーの方にならワイヤーが使われている……わけではない
寝るときに着用させられていたブラジャーはワイヤーのない閉め過ぎないタイプのものだ
留め具は前についており、引っ掛けるタイプだが、ワイヤーとは言えない

そもそもだが、鍵を用いない解錠など……ダイヤには不可能だ

ダイヤ「………」

さっきの書き込みを行ったことで更新がされており、
次の書き込みに目を向ける
気を遣わずに相談して良いよ。と言う優しい書き込みだ

ダイヤ「……ありがとうございます」

感謝をしつつ、343への返答を書き込む
0150名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 16:34:08.42ID:r7GLBX7x
書き込むと、露骨に媚びてきたな。と言う書き込みが増えた
媚びる。という言葉をダイヤは知っている
だから、その書き込みが何に対して向けられたのも……察しが付く

ダイヤ「仕方ない……じゃないですか……」

男性器を擦りつけたい。そんな相手に自分の下着を差し出すなんて普通ならありえない
でも、普通じゃないのだから仕方がない
欲望に忠実な書き込みをしている人に、それを叶えるから協力して欲しいと求めて何が悪いのか

ダイヤ「うぅ……」

自分がどれほど落ちぶれているのか、卑しくなっているのか
ダイヤ自身も解っていることではある。
けれど、どうしようもない
少しでも多くの力を借りて、今この現状から脱したいのだ

そのために、自分が差し出せるものを使おうとして何が悪いのか
媚び諂うことの何が悪いというのか……
相手が、黒澤ダイヤを救う理由を作るだけだ
相手が、助けてやってもいいかもな……と、手を差し伸べてくれるための理由を作るだけだ

ダイヤ「うぅ……あぁ……あぁ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁっ」

どうしようもないことだ
けれど……それは今までのダイヤがしてこなかったこと
黒澤家の長女として、人として、女の子として……あまりにも、惨めだった
0151名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 16:48:21.51ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……っ」

ここに来てから、泣いてばかりだ
陽の光も自由も何もない一室
食事もまともに与えられず、はしたない姿を晒させられて、怖い思いばかりさせられて……
こんな場所で平静を保てる人間など、そうはいないだろう。

ダイヤ「……」

手首で目元を拭い、それでもぽろぽろと涙が落ちる
惨めで卑しい黒澤ダイヤ
どこからともなく、そんな中傷が聞こえてくるようで……吐きそうだった

開示版を見て、更新する
書き込みの最後はダイヤ自身のものだ
媚びてきたことを笑うような書き込みには胸が痛くなる

ダイヤ「ぅぇ……ぁ……」

慌てて立って、便器の方に顔を向ける

ダイヤ「ぉぇ……ぅ゛……がひゅ……ぁ゛……」

ぼたぼたと、液体だけが零れる
酸味の強い嘔吐はすぐに収まったけれど、不快感だけは持続する
十数回も口をゆすいで、空っぽになった胃に水を流し込む

ダイヤ「辛い……辛い……つらい……」

身体がふらつく
倒れるようにパソコンの前に落ちたダイヤは、何とか体を起こして書き込む

ダイヤ「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

媚びているのは不快だろうか
不快なら、気をつけないといけない
一人が不快ということは、また別の人も不快かもしれないからだ
0152名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 17:00:05.58ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……どうしたら」

たった一つ、相手が不快に思っているような言葉を目にしてしまっただけで、
ダイヤは唐突に、自分の書き込みが出来なくなった

何かを書き込んで、もし、それが相手にとって不快な事だったらどうしよう。
そんな気持ちが先攻する
許可を取ってやっていけばいいと思っていたから、下着の件の相談をした

けれど、それ自体が不快な話題だったとしたら?

ダイヤ「………」

衣服の話をしていたから、こうするのはどうだろうか。と、
自分なりの考えを書いたつもりだった

でももし、勝手な考えを書くな。と思われていたら?

ダイヤ「うぅ……」

ダイヤはキーボードから手を離すと、更新をクリックする
そんな状況なら仕方がない。そう言ってくれる人がいる
けれど……

仕方がないと思っていない人もいるかもしれない

ダイヤ「………」

更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない
更新を押す。書き込みはない。更新を押す。書き込みはない

更新を押す……書き込みが増えた
0153名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 17:11:07.69ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……難しいと、思います」

書き込まずに、呟く
何かと引き換えに着替えを用意してくれるような相手ではないと、大は感じている
感じているだけで、そうとは書き込まない
勝手な書き込みをしたら、また不快に思わせてしまうかもしれない

ダイヤ「あ……」

掲示板を更新すると、さっきの媚びていることに対して書き込んだ人の書き込みが増えた
媚びるのが悪いとは言っていない。
むしろ、もっと恥ずかしくて情けない姿を見せれば、同情する協力者が増えてくれるかもしれない。と

ダイヤ「……もっと、恥ずかしくて情けない……」

今以上に恥ずかしくて情けない姿なんてあるのだろうか
ダイヤは自分の着ている制服を見る
自分の考えは、あくまで下着と制服をそれぞれ分けることで先延ばしにしようというものだった

それは、超えてはいけないラインを見定めたうえでの考えだ

ダイヤ「………」

そのラインと言うのは、裸になることだ
衣服のべたつきも汚れも気にしなくて済むし、体をふくための布として使うことも出来る
道具が増えるし、縛るものも減って多少は快適になるかもしれない

けれど……けれどそれではまるで獣のようではないか
0154名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 17:22:52.05ID:r7GLBX7x
ダイヤ「………」

それはさすがに間違っていると、ダイヤは思う
しかし、それで協力者が増えるかもしれないと言っている
越えてはならない一線だ。独断で決めたら破滅へと向かうかもしれないことだ

例の紙切れが目に入る
安価3.と書かれている紙だ
もしかしたら、その言葉はダイヤが安価というものを知るためのきっかけとして用意されたのではないだろうか?
自身での判断能力を失った時、掲示板の彼らが信頼に値する者達であると依存した時
自らの決定権を、彼らに移譲するためのキーワードとして、用意されたのではないだろうか

ダイヤ「……私」

掲示板を更新する
苛めないで上げて。と、優しい書き込みがある
媚びるどうこうではないという書き込みがある
死ねばいい。という書き込みがある
脱出させてあげたい。という書き込みがある

ダイヤ「……分からない」

この短い中で判断するなら、まだそこまでする必要がないように見える
ただ、それで判断して良いのかどうか。

ダイヤ「……っ」

書き込むのが怖い
けれど、自分の意志を、書かなければならない
0155名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 18:07:06.25ID:r7GLBX7x
意思を書き込み、それに対する書き込みに頷いて、返答する
自分の醜態を望んでいる人はいる、心はもう折れかけている
けれど、まだ応援してくれている人がいる限り、折れるわけにはいかないのだと、ダイヤは思う

ダイヤ「大丈夫……大丈夫……」

うわごとのように呟く
まだ、返せるもののない自分を応援してくれる人がいる間は
媚びずにやっていこうと、決めたのだ

ダイヤ「……」

書き込んだ通り、底板の接着部分にドライバーを押し当てる
接着面が付着している辺りは、触ってみると特に何かが隠されているようには感じない
ガリッガリッと少しずつ削っていく

ダイヤ「やっぱり……」

マイナスドライバーで削っていくと削れてほしくない部分まで削れていく
だが、こればかりはどうしようもない
落とした衝撃で無理矢理に引きはがされた結果だ

ダイヤ「……っ」

少しだけ浮き上がらせて指で引っ張ってみるが
ビリッっと破けてしまう
0156名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 18:27:20.92ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……あ」

中盤の辺りに差し掛かると削れているせいだろうか、模様が少し変わったように見える
くっついている部分の表面を削り、時折水に濡らして、また削る
慎重に表面を削っていくと、半分ほど抉れた文字が見えた

ダイヤ「……?」

1と9
9の前は半分ほど削ってしまったがイコールと書かれていたように思える
つまり、ここに書かれていたのは【1■■■■=9】というものだと考えられる

ダイヤ「これは……」

なぜ、こんなものを隠す必要があったのかは分からないが、
犯人が用意したヒントの一つ。と考えるべきだろう

ダイヤ「とりあえず……」

書き込む前に、掲示板を更新する
犯人の新しい書き込みがあり、それに対して不平不満をぶつける匿名の人々
中には、犯人は調教したかったのでは? と言う書き込みも見られるが、真意は分からない

そう思ったところで、犯人の書き込みが続く
0157名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/05(火) 18:33:59.57ID:r7GLBX7x
ダイヤ「そう……」

犯人としては、脱出させることに異論はないと
そのために道具を用意していると
匿名の人々の善意と悪意が入り乱れることに期待していたと……彼か彼女は書き込んでいる

きっと善意の書き込みが多い分、悪意を増長させるような書き込みをし、調節しようとしたのだ
その結果が、また相手の思い通りにならなかったのは良いことだろう

ダイヤ「……ふふ」

彼女の心が折れる前に助けてあげられることを心よりお祈り申し上げます。
犯人の書き込みを見て、ダイヤは思わず笑みがこぼれた

これは負け惜しみだ
善意の多さに負けた犯人の、負け惜しみ
だから、信じてよかったのだ
匿名の人々の善意は本物だと、彼らは味方だと
全幅の信頼を置くことに間違いはなかったのだ

ダイヤ「ありがとう……」

感謝を述べて、ダイヤは書き込みをする
今調べたことが、解決の糸口になるかもしれない……と。
0158名無しで叶える物語(関東地方)
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2020/05/05(火) 19:04:04.44ID:BNV2I6hJ
接着部分を削ると文字が浮かび上がるって現象が意味わよんないんだけどどういうことなん?
0159名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/05(火) 19:40:54.29ID:LYVlJIfI
>>158
2枚の板と板の間に文字書いてあったけど綺麗に剥がせなかったから隠れてたって話でしょ
0160名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 20:14:18.98ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

1と9そこに=があることを考えると、
単純に解釈するのであれば、何らかの計算式だろう
しかし、本当に【1】とは限らない

【9】に関しては、後ろに何も書かれていないことは確実で
前には=と書かれていることは半分ほど確定している
つまり、これは9である可能性が非常に高い
違うとすれば、これを逆さまにした【6】だが……

ダイヤ「それはない」

と言うのも、1は棒線一本ではなく、しっかりと跳ねられているからだ
それゆえに、逆さにしてしまうと1という数字が壊れてしまう。

ダイヤ「……無視」

掲示板を更新すると犯人の書き込みがあるが、負け惜しみと考えておけばこんなのは気にもならない
壊すからそうなる。と言う点においてはぐうの音も出ないが
それ以外に方法はなかったのだ。今は、後悔よりも先に進むことを考えたい

ダイヤ「私にはみんながいてくれる……だから、怖くない」

助けようとしてくれる人がいる限り
助けられる側であるダイヤが諦めるわけにはいかないのだ

ダイヤ「パソコンを与えたのが、間違いね……」

彼らに嫌がらせの協力をさせ
より、ダイヤを苦しませる算段だったのかもしれないが、それが裏目に出たのだろう
0161名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/05/05(火) 20:31:51.93ID:DdR91I7V
ちょっとたくましくなってきたな
0162名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 21:37:20.92ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

問題は、どうやったらここから出る事が出来るのか。だ
犯人は無事に出ることもかまわないと言っていたし、そうでなければ道具の意味がない。とも言った

ダイヤ「つまり……すべてに意味はある」

手に入れることのできた道具
そのいずれにもそれが必要である意味があり、使い道がある
それらはすべて、脱出に用いられる

ダイヤ「っ……」

ぐぅぅぅぅ……と、お腹が鳴る
麦茶一杯、水を数杯
そのあとに吐いて、また水数杯
空腹に唸るのは致し方ないかもしれないが、ダイヤは腹部を撫でて首を振る
与えて貰えないものは仕方がない

犯人はダイヤに甘くはないのだ
弱っている姿を見られたら……何をされるかわからない

ダイヤ「そう……脱出……」

見る限り、部屋にある出入り口は重厚な扉一枚のみ
机の裏の鍵穴に関しては、出入り口ではないことは分かり切っている
0163名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 21:45:27.38ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……」

扉に近づき、よくよく観察する
硬い鉄の扉は、叩いても全くびくともしない
ネジ穴などは露出しておらず、鍵穴らしきものも見当たらない

ダイヤ「……鍵穴」

内側から開けられない作りの可能性が高いが
もしも、これがそうではない扉だとしたらどうだろうか
たとえば……オートロック。電子扉の場合だ

ダイヤ「暗証番号……カードキー……」

不慣れな知識を総活用して、考える
通常の家鍵などのようなものではなく、電子的な操作で開く扉だったとしたらどうだろう
そもそも考えてみれば、この見るからに重厚な扉が手動で押し開けられるわけがない
つまり、解錠と共に、自動ドアのように電動で開く……と考えるのが妥当だ

ダイヤ「……ふむ」

鉄の扉の表面を、撫でる
上から中央、中央から下そして左から右
余すところなく撫でて行き、扉に作られている凹凸感を探る

ダイヤ「カードキーを刺す場所は、無い?」

無論、暗証番号を入力する場所も見当たらない
内側からの操作は一切受け付けていないか、電気のスイッチのように離れたいr力操作するものなのか
前者では終わりだ……つまり、後者である可能性にすがるしかない
0165名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 22:12:47.76ID:r7GLBX7x
ダイヤ「ふぅ……」

一先ず掲示板に書き込んで、一息つく
頭を掻いて、胸の辺りを掻く
汗の溜まりやすい所が妙に痒みが増し易くて、不愉快で……辛い

ダイヤ「ん……」

掻きむしると、ほんの一瞬だけ心地よく感じる
ダメだと分かってはいるが、我慢すればするほど増幅する痒みは
いずれ癖になってしまう可能性があるとしても、せざるを得ない

ダイヤ「……臭い」

肌が擦れ、服が擦れて……悪臭が鼻を突く
不衛生なにおいにはまだまだ慣れそうもない

ダイヤ「……水しか出ないのですが……」

犯人の温情はないらしく、洗面台で使えるのは水のみ
どうしたものかと……考える

ダイヤ「いっそ、下着は諦める……というのも……」

スカートがあることを前提に、ショーツはもう布切れとして扱う考えだ
手を拭くのはさすがにないが、毎回洗って自分の下腹部の清潔さを保つくらいは可能な限り保つのは悪くはない気もしてくる
そんな考えが出てくるほどに、不快感が強く、臭いも出始めていた
0166名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/05(火) 22:16:25.85ID:gQ8km5Ct
痒いって、下手したら痛いより辛いからね。特にデリケートな部分だと夜眠れなくなるくらいしんどいから。
0167名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 22:28:12.61ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……まって、冷静に考えて靴下で良いのでは?」

不快感が先行するせいでショーツをどうにかしたくなるが、布切れ扱いにするならまずはこっちだ
少し考えてから……ダイヤは両方の靴下を脱ぐ
素足で踏む床はひんやりとして冷たい

ダイヤ「靴下……」

デリケートな場所を靴下のような荒い生地で拭っていいのだろうか?
生地感と今の体の痒みを考えると、その荒々しさはとても心地よさそうなのだが……

ダイヤ「……ダメ」

かゆいからではなく、お手洗いのあとなどの処理の為に使うことを決め水道水で濡らしていく
水に浸し、絞ってもう一度濡らした後にごしごしとこすり洗いをして……揉み洗い
手洗いが、少しでも清潔にするためだ、仕方がない
便器の横に中の抜けた引き出しを立てて、上部に靴下の片方を干す

ダイヤ「……はぁ」

もう片方はとりあえず洗って、もう一つの引き出しを使って、干しておく
これで一応、小さい方のトイレの時には……拭くことが出来る
屈辱的だが、無いよりはまし。との考えで羞恥心を蹴飛ばす
0168名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 22:49:34.32ID:r7GLBX7x
ダイヤ「………」

書き込みを更新すると、新しい書き込みが増える
ダイヤは複雑な表情でその書き込みを確認し、返事を返す

流石に水分を取りすぎてしまった
小さい方を流してしまいたいのだが、書き込みがあるということは、見ている人がいる。と言うことだ
もちろん、書き込みがなくても見ている人はいるかもしれないけれど、
書き込みがあれば、確実に居る。

ダイヤ「ぅ……ん……」

少しだけお尻を突き出し、お腹に力を籠める
ぴったりと足を閉じて、唇を噛む

ダイヤ「……っ」

少し考えてから、掲示板を更新する
書き込みがないことを確認し、今度は書き込んでいく

ダイヤ「少しだけ」

少しだけ電気を消す。との書き込みだ
見ている人たちに見えなくなる……はずなので、
急に何が起こったのか心配させないようにと言う気遣いだ
0169名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 22:59:57.81ID:r7GLBX7x
ゆっくりと立ち上がって、スイッチの方に向かう
壁際にあるスイッチは、縦長の板で中央にボタンが備えられている

ダイヤ「……」

考えようによっては、これも例の三目並べの当て嵌まる先になるのでは……と思うけれど、
殆ど長方形のスイッチと、正方形であろう三目並べでは無理があるかもしれない

ダイヤ「……すみません」

少しだけ。と、もう一度心に念を押し、
壁から便器への道を再確認して、スイッチを押す

カチッと音がして――

ダイヤ「えっ?」

電気は消えなかった
昨日の夜は消えたはずだと、もう一度押してみる
カチッっと音はするが、電気はついたままだ

ダイヤ「……?」

連続で押してみるが、電気が消える気配はない
呼称した可能性もある……と、扉の方へ向かう

ダイヤ「すみません! 電気が消えなくなっているのですが!」

聞こえない可能性がかなり高いと理解しつつ、一応呼びかけてみたが……返事はなかった
0171名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/05(火) 23:32:28.85ID:r7GLBX7x
ダイヤ「……あぁ」

パソコンの前に戻って、掲示板を更新してみると、またしても犯人の書き込みが追加されている
負け惜しみのようなことを言い出してから、嫌がらせに拍車がかかったようだ
そうとう、嫌われたのだろう

ダイヤ「ダメって……」

犯人曰く、電気を消すのはダメらしい
ダイヤが書き込んだ後にこの書き込みが行われている辺り、
電気が消えないのは向こうの嫌がらせの可能性が高い

ダイヤ「っ……」

なぜどうしてと聞いても、向こうはきっと譲らない
最終的には、みんなに安価を取るに違いない
何を奪うかの安価で予想されていたことだが、電気を点ける消すの主導権は向こうにある

ダイヤ「……」

みんなのことを頼りに頑張ろうとは決めたが尊厳を捨てたわけではない
電気をつけた状態でトイレに行くのは聊か勇気がいる
弱音を吐かないようにしよう。そう決めた
それを貫くのであれば、ここは迷わず堂々とトイレに行くべきだ

ダイヤ「なんて人……」

寝るときは電気を消してください。とだけ返し、
テンキーの質問に答えてくれた優しい人に礼を書き込んで、便器に向かう
我慢して漏らす危険性がある以上、それは避けられなかった
0172名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 00:17:54.46ID:EY/fqOW2
ショーツを下げて、便器に座る
むわっとした異臭が鼻を突く
もう体が腐り始めているんじゃないかと錯覚しそうなものだが
別に腐っているわけではないと、手で鼻をこすって、誤魔化す

ダイヤ「はぁ……」

下腹部のたぷっとした感覚が徐々に薄くなっていき、
ビタビタとデリケートな部分が汚れていく
すぐそばに用意してある靴下を一瞥すると……思わずため息が零れた

ダイヤ「もう……電気とか気にしている状況じゃない……」

出し終えたのを確認してから靴下を手に取る
まだ濡れそぼっている靴下の先の方でまずは拭う

ダイヤ「んっ……」

軽く、かすめるように拭って、次はもう少し押し当てるように拭う
敏感な場所を通るたびに、変な声が出そうになるが……それは堪えて数回拭いて、水を流す

ダイヤ「……」

むず痒い下腹部に靴下の生地感は酷く強烈で、満たされた傍からまた触りたいと思ってしまう
靴下で拭っても、きちんと洗わなければ汚れは溜まっていく
このままでは、衛生面で死ぬのではないだろうか……と
黄ばんだ靴下を洗いながら、ダイヤはため息をついた
0173名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 00:36:50.37ID:EY/fqOW2
ダイヤ「っ……」

屈辱的な思いを払拭するようにパソコンの前に戻って、書き込みを確認する
犯人からの追加の書き込みはなく、電気の主導権を奪われたなら……と言う書き込みが見えた

ダイヤ「……いえ、それは」

電気のカバーは下手をすれば感電死しかねない
しかも、マイナスドライバーなんてものを使って無理矢理にこじ開ければなおさらだ
カバーをこじ開けることについては避けたいという返事を返して、テンキーについて考える。

ダイヤ「……えっと」

掲示板の書き込みを参考にするなら、三目並べの真ん中は5またはIとなる。
これに関して……ダイヤはふと考える
先ほど見つけたキーワード、1と9これはここのどこかに当て嵌まらないだろうか。と

そうすると、1はJで9は9となる。
つまり、j=9だ。これを、テンキーに合わせてみる
123が923となる。
そうなると、真ん中の5は左下の9と右上の9に挟まれることになる

ダイヤ「……?」

オセロで考えると、同じ数字(色)に囲まれたものはその数字(色)になるだろう
これも同じように考えてみたらどうだろうか
右肩上がりに9が流れていく

ダイヤ「そこで……反転」

参考の書き込みの数字ではなく、英字に切り替える
そこで、数字になった部分は排除し、英字になった部分のみを抽出する

ダイヤ「UOKL……」

関係はなさそうだ
0174名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 00:51:10.07ID:EY/fqOW2
テンキーの考えを放棄して、掲示板を覗く
書き込まれていた指摘に、
魔と法を見て反射的に津島善子の名前を出していたのだと気づいて頭を抱える

空腹に苛まれているとはいえ、あまりにもあれではないだろうか
そう思うと……またぐぅぅぅぅぅ……と、大きな音が鳴る

ダイヤ「……お腹空いた……」

起きているだけで空腹を感じる
身体の痒み、頭の痒み、酷い体臭を感じる

ダイヤ「……」

掲示板を更新して、書き込みを確認する
マイナスドライバーの持ち手はプラスチックのように感じるが、絶縁素材なのだろうか
もしもそうなら、試しても良いのかもしれないが
持ち手がそうであれ、素手であることには変わりがないのが少し怖い

専門的な知識があればいいのだが……残念ながらさすがに詳しくはない
0175名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 01:05:32.73ID:EY/fqOW2
ドライバーについての書き込みに返事を打ち込んでから、
もう休んだ方が良いのでは。と言う書き込みにも返事を書き込む

ダイヤ「……」

少し前から鳴りっぱなしのお腹は、水を飲んでも止まらない
空腹のせいか、痛みまで感じそうなほどだ
麦茶一杯で頑張ったほうなのではないか……と、ダイヤ自身も思う

ダイヤ「はぁ……っ」

息を吐いて、お腹を擦る。
パソコンのカバーを半分ほど倒し、歯磨きが出来ない不快さを払拭するように口をゆすいでうがいをする
立てかけてある割った鏡の破片を覗くと、少しやつれたダイヤの顔が見える

黒い長髪はぼさぼさとあちこちに跳ねて、
綺麗と言われた翡翠の瞳は濁っているように感じる
頬はかきむしった後で赤くなってしまっている

これが、今の黒澤ダイヤだ
明日にはもっとひどいものになっていると思うと憂鬱で……鏡の破片を倒す

ダイヤ「……」

電気のスイッチを押すと、今度はちゃんと電気が消える
壊す話を聞いてなのか、トイレを晒したいだけなのか
きっと後者なのだろうが、前者だとしたら滑稽だ

ダイヤ「……おやすみなさい」

その声に異論を唱えるように、お腹が高らかに声を上げる
食べるものはない。だから、諦めるようにと腹部を擦ると、また大きくお腹が鳴る

ダイヤ「っ……」

暗い部屋で、小さな嗚咽が木霊した
0176名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 01:06:41.44ID:EY/fqOW2
とりあえず今日はここまで
0178名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 06:11:00.36ID:EY/fqOW2
ダイヤ「っ……」

空腹の不快感で目を覚ます。
ぐぎゅるるるぅ……という唸るようなお腹の音が部屋中に大きく響き渡って、ずきりと痛む
とてもはしたない音で、惨めさを実感させられる

ダイヤ「……」

目を瞑る。
眠っていれば、空腹に苛まれることはない
泣きそうなほど辛い感覚に見舞われることはない
気丈に頑張ろうという……精神的なストレスを感じることはない

ぎゅるるる……と、唸る
じわじわと感じる言いようのないべたつきの不快感
ぱちぱちと神経を逆なでするような痒みにガシガシと乱雑に頭を掻きながら果tらだを起こす
一度目を覚まし、感じてしまえば……もう戻れないのだ

ダイヤ「……あぁ」

頭を掻きむしった左手にはいくつかの黒い線が流れている
細く長いそれは、髪の毛だとすぐに気づいた
0179名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 06:26:10.48ID:EY/fqOW2
ひとまず起きようとベッドの端に足を投げ出して一気に立ち上がった途端
まるで、足が折れたかのようにダイヤはふらっと崩れ落ちる

ダイヤ「ぇ―ー」

反射的に手を突いたダイヤは、間の抜けた声を漏らして自分の足に触れる
一瞬、足が奪われたのかと思ったが、そうではないようだ
触ることが出来ているし、触られているという感覚もちゃんとある
ただ、力だけが入らなかったのだ

ダイヤ「……っ」

立ち上がろうとすると、膝が笑う
がくがくとした震えは、自分の体を支えるほどの余力がなさそうに感じる
意を決して、ぐっと力を入れて立ち上がると……二歩ほど勝手に足が進んでいく

空腹と、栄養不足、ストレス
ダイヤの体はかなり限界が近かった
鼻を突く臭いも酷く、汗臭く濁っている
ベッタリとした不快感
下着に触れている肌のむず痒さ

ダイヤ「っ」

首を振る
泣くな。泣くな……と、歯を食いしばる
それでも……涙が滴った
0180名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 06:44:20.93ID:EY/fqOW2
普通に電気を点けて洗面台で顔を洗う
ビタビタな顔のまま犬のように首を振って水分を飛ばす
べったりとした髪が浮き上がり、すっぱさのあるツンとした臭いに吐き気がする

ダイヤ「……」

鏡の破片を立てる気にはなれなかった
自分の顔を見る勇気がない
昨日よりも悪いことになっているのは明白で……

ダイヤ「かゆい……かゆいかゆい……っ」

ダメだと分かってても体を掻いてしまう
ぼりぼりという音が汚らしさを強調し
肌と衣服の生地がこすれ合う悪臭に、恥ずかしさが増す

ダイヤ「……」

頭をぼりぼりと掻くと、白い粉のようなものがぽろぽろと落ちる
指はぬるっとしたテカリがあって爪の間に汚れが溜まっている
手を洗って、品性の欠片もない手ぶりで水を払う

ダイヤ「はぁ……」

だんだんとその所作に違和感を覚えなくなっていることに、絶望的なものを感じた
0181名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 07:12:12.81ID:EY/fqOW2
パソコンの前に座って、掲示板を更新する
解り切っていたことだが、眠った後に犯人からの書き込みがあり
眠っているダイヤに意地悪をしようと言うその安価は
どうやら、【口元に黒子を追加】と言うものに決定したらしい

ダイヤ「……」

どうせ安価でそうなったのなら、そうなっているのだろう。と、ダイヤは特別気にしなかった
顔色は悪いだろうし、やつれているだろうし、見るのは嫌だったのだ

挨拶を書き込んで、ぐっと体を伸ばす
昨日は少しだけ進展があった
今日もできれば進展させたいところではあるけれど、どうなるかは分からない
ぽろぽりと頭を掻いて、コップ一杯の水を飲み下す
生温く、けして美味しいとは言えない水がお腹に溜まる
ぐぅぅぅ〜……というみっともない音にもう一杯分の水を飲み込む

ダイヤ「けほっ……うぇっ」

空腹をごまかすとは言え、水道水ばかりでは吐き気がする
掲示板を更新すると、まだ誰もいないのか書き込みはない

ダイヤ「……」

電気を消すこともせずに便器へと向かい、汚れたショーツを下げて当たり前のように放尿する
水ばかりのせいかおかげか、出てくるのは黄色ではなく透明のおしっこで
これならショーツが黄ばまなくて済む……と、馬鹿らしいことを考える
0182名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 07:30:28.19ID:EY/fqOW2
勢いのあった流れがだんだんと弱くなり、ちょろちょろとはぎれが悪くなっていく
下腹部の辺りを撫でるように揉んで出し切り、すぐそばの靴下を手に取る
昨日の夜に洗った靴下はまだ湿っていて、ごわごわとした感触は少し控えめだ

ダイヤ「ん……」

掠めるように拭ってから、少しだけ力を入れて拭う
割れ目の辺りに付着したものをしっかりと拭った後に、その内側に残っている水滴を拭う

ダイヤ「っふ……んっ」

ごしごしとした力強さではなく、ぎゅっ、ぎゅっと押すような手つき
尿道口の付近をそうしていると、敏感なところが擦れて心地の良い声が漏れる
頭の中がふやけていくような感覚
ひりつく痒みも、体の悪臭も忘れられる悦びに……少しだけ心奪われる

ダイヤ「っぁ……」

掲示板を更新しても誰もいないのだから、少しくらい……と
洋式の便器に座ったまま足を開いて、靴下に手を通す
湿った靴下の先、右手の指で拭うように手を動かしながら刺激する

ダイヤ「ん……っ」

ごわごわとした生地が割れ目を削り、敏感なところをくすぐる
縦に擦るような手つき、押し揉むようなぐりぐりとした手つき
時折つまむようにして、ぎゅっとしてあげると……ぞくぞくとした刺激が這い上がってきて、甘美な声が零れ落ちていく

ダイヤ「っは……はぁ……ん……」

ポタポタと便器の中の水面が揺れる
靴下が余分な湿り気を帯びて、ぬるっとした艶やかさが光を反射する

ダイヤ「……っ」

まだまだ物足りないという危うい考えを振り払って、慌てて水を流し靴下と手を洗う
ほんのりと熱を帯びた下腹部を撫でて、唇を噛んだ
0183名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 07:44:52.47ID:EY/fqOW2
ダイヤ「ぇ……」

掲示板を更新すると、2件ほどの書き込みが増える
1つはついさっきだが、もう1つはちょうどやってはいけないことをやらかしている時間の書き込み
見られたのだろうか……見られてしまったのだろうか
そう思うと、頭の中が真っ白になる

冷静に考えれば、書き込みがなかったとはいえこんな晒されている場でトイレなんていけないし、
ましてや、自慰行為に耽るなどありえない話だ
けれど、ダイヤは当たり前のように電気を消すことなくトイレにいき、流れとは言え……犯してしまった

あまり我慢できそうになかったのは仕方がないことだ
だが、羞恥心を感じたのは最初の内だけ
気付けば見られていることなど忘れて……

ダイヤ「……っ」

少しずつだが、この状況に慣れ始めている
それはまず間違いなく、悪い方向に向かっていると考えるべきだろう
犯人の手によって隠すことを阻まれるとはいえ、もう少し節度と恥じらいを持つべきではないだろうかと、考えを改める

監禁されてから4日目の朝だ
まだ、脱出するめどは経っていない

ダイヤ「……」

とりあえず返事を書き込んだ
0184名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 08:21:40.80ID:EY/fqOW2
暫くして掲示板を更新すると、犯人の書き込みが追加された
いつものように餌を与えられる時間かと思ったが、違う
ダイヤに与える餌の時間は何時が良いと思うのか、それは飼い主が決めることだ。と、書いてある

ダイヤ「っ」

悪趣味な犯人だというのは分かっていたが、
それでも、飼い主と言われるのはあまり気分の良いものではない

最初から餌と書かれていたこともあって、想像はついていた
けれど、実際に言葉にされると自分はそういう扱いなんだと明確になる
身体を洗うことも許されないのは、ペットだからだろう

飼い主が洗わなければ、汚れていく一方
飼い主が見ている前でトイレをし、与えられた餌を食べる

ダイヤ「……あれ?」

犯人に対して書き込みをしようとすると、紅い文字が表示される

ダイヤ「……書き込み規制?」

ついさっきまで書き込めていたはずなのに、規制されてしまう
ダイヤの餌の時間を決めるにあたって、ダイヤの意見は邪魔だということだろうか

ダイヤ「みなさん……」

善意に満ちている彼らは、ダイヤの意見があればそれに従う可能性が高い
だから、飼い主が飼い主らしくペットの感情に左右されないようという計らい
なんとも……酷い話だ
0185名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 08:42:11.45ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……」

空腹で寝るのが辛い……そうだ
朝に食事がない……それもそうだ
掲示板を更新して見えた書き込みに頷く

可能なら朝も夜も食べたい
しっかりと食べたほうが頭が回るし、辛さが和らぐ

ダイヤ「コンマ判定……」

犯人の追加の書き込みはコンマ判定というもので決めるというものだった
餌の時間を決めると言いつつ、しれっと今日はなし。という項目を差し込む辺りがいやらしい
だが、結果は朝に与える。とういうものだった

ダイヤ「……よかった……」

お腹が痛いほどに鳴る
一昨日に幕の内弁当を食べて以降、水道水以外で口にしたのは麦茶だけ
身体の空腹感はとうに限界にきている
起きてからすぐにまともに動けなかったのも、それが原因だろう

負け惜しみのような書き込みに続く朝食の安価は、
オムライス。という結果になったようだ
0186名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 08:52:13.40ID:EY/fqOW2
ダイヤ「オムライス……」

言葉だけでぐぅぅ……とお腹が鳴く
ケチャップで炒めたご飯、チキンやグリーンピース、玉ねぎ……
それらを薄焼き卵でふんわりと包んだオムライス

ダイヤ「オムライス……」

ごくりと、生唾を飲み込む
オムライスを食べられると思うと、ドキドキする。
飲み込み切れない唾液が口元から零れそうになって、じゅる……とはしたない音がする

ダイヤ「っ……」

きっとまたスプーンは与えて貰えないだろう
冷め切った冷たいオムライスだろう
でも、1日開けたまともな食事だ
ダイヤは涙で頬を濡らしながら、差し出口の方に目を向けて……はっとする

ダイヤ「ぁっ……あ……」

書き込みはできるだろうか
感謝を書き込んで、犯人が来る前にと確認をする
0187名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 09:03:08.96ID:EY/fqOW2
急いで書き込んで、書き込みが正常に通ったことに安堵する
書き込み制限はやはり、犯人側の意地悪だったのだ
そうしてまだ興奮冷めないまま自分の書き込みを見て……唖然とする

ダイヤ「いくら急いでいるからって……」

余分にキーを叩き、間違った場所を叩き変な言葉になってしまっている
きっと、ダイヤよりも慣れている方々なら察しがつくだろうから問題ないだろう

ダイヤ「……餌……」

1日の中で、たった一度のご褒美
犯人が餌と称するそれの結果に、一喜一憂している自分
客観的に見たら、どれほど惨めなのだろうか
ダイヤはそこにまで頭が回らず、ただ目の前のことに目を向ける

ダイヤ「……訂正しておかないと」

本当はなんと書きたかったのかを、書き込む
掲示板が更新されると、今日はまともで良かった。という言葉にダイヤは笑みを浮かべる

ダイヤ「……はいっ」

胸が温かくて、目頭が熱くて……ドキドキとする
本当に、本当に……嬉しくて堪らなかった
0188名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 09:33:06.35ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……角」

書き込みには、提出するなら角にしようという意見も書いてある
犯人が下手をしない限り、引き分けになるという話だが
勝ちを狙うならば、角を取るのが正攻法ではある

テンキーを参考に考えれば、
1,3,7,9の位置が四つ角となる
現状、ヒントらしいヒントで得られているのは、この中で1と9だ

昨日見つけた引き出しに底板の書かれていた数字
その場所を、取ったうえで提出するべきだろうか

ダイヤ「1……?」

思えば、犯人が使っているトリップと呼ばれている名前欄の文字列にも数字がある
そこには4と1が書かれている
意味がないという説が濃厚ではあるが、確認できている数字としては貴重だ

ほかに数字らしい数字はなになかっただろうか
3枚の底板、1つだけの電気スイッチ……ほかには……ぐぎゅるるるる……

ダイヤ「……っ」
0189名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 10:26:39.25ID:EY/fqOW2
掲示板の人々と書き込みをしあって、相談する
D.KUROSAWAが1と8で=9という発想には素直に感嘆した
少なくとも、ダイヤの今の頭ではそんなこと考えられない

ダイヤ「右上……」

消しゴムで黒塗りを消してから
犯人が書き込んだと思われる三目並べに倣ってシャーペンを走らせる
そうして、右上に〇をつける

扉の方を確認する
まだオムライスは来ていないようで、何も置かれていない扉の前に待機する

ダイヤ「……」

トンカチを差し入れたら、トンカチを持っていかれた
つまり、三目並べのこの紙も、投げ入れれば持っていかれるはず
いや……まさか。と、思う

ダイヤ「もしかして……ゴミもそうやって回収する……?」

差し入れの際にゴミを差し向ければ、それを回収する
犯人は何も言ってこないから分からないが
もしかしたらそういうシステムの可能性がある

今はゴミがないため分からないが……

ダイヤ「昨日のコップ……」

麦茶が入っていたコップ
昨日の夜に回収されずに残ったままのコップを手に取り、
その中に最初に入っていたようにビニールに包んだ紙切れを入れる

そして――カタンッっと、差し出口が音を立てた
0190名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 10:39:41.79ID:EY/fqOW2
ダイヤ「あ、あの……!」

上手く言葉が出ない
頭がしっかりと回らないから、言葉の準備が出来ていなかった

ダイヤ「あ……え、あっ」

落ち着けと胸を撫でる
どうせ、聞いてもらえないのだから

ダイヤ「これをっ!」

開いた瞬間に差し出口に向かってコップを突っ込む
数秒の間なにも応答はなかったのだが、不意にカツンッっとコップに軽い衝撃が加わる
手の力を抜くと、コップはあっさりと向こう側へと消えていく

ダイヤ「……お願いします」

もうやめてください。とは言わない
助けてくださいとも言わない
ただ、お願いします。と言う

ダイヤ「……」

犯人はやはり何も言わなかった
そうして差し出口から今日の食事が差し込まれる

ダイヤ「……え」

ケチャップの香りが食欲をそそる――ことはなかった
0191名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 10:55:06.19ID:EY/fqOW2
ダイヤが呆然とする中、一方的に差し出口の扉が閉まる
差し出口から差し入れられたオムライスは、袋の中に入っていた

ダイヤ「……」

湯気などは立っておらず、それどころかひんやりとした冷気を感じる袋には、小さな氷がついている
これは……冷凍食品だ
温められていない、冷凍されていたオムライス
ダイヤに与えられたのは、そんな……悪意だった

ダイヤ「ま……え……いや……待ってっ!」

厚い扉を力一杯に叩く
手首がずきりと痛む
それでももう一回、もう一回……何度も何度も扉を叩く

ダイヤ「お願いしますっ! 待って! 待ってくださいっ!」

叩いて、泣いて、叩いて、叫んで……叩く
響かない鈍い音ばかりで、叩きつける右手だけが傷つく

冷めたご飯を覚悟していた
けれど、冷凍されたままというのは……あんまりだ

ダイヤ「待って……」

袋を手に取る
しっかりと冷え切った氷のような冷たさは、叩いて傷つき真っ赤になった右手には良く沁みる
期待するだけしていたお腹が大きく音を立てるのが……悔しかった
0194名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 11:18:23.23ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……」

ぐぅぅぅぅ……と、お腹が鳴る
手元には、冷凍されていた、まだ氷の張り付いているオムライスの袋がある
中にはちゃんと入っているようだが、どう考えてもそのまま食べるものではない

冷凍食品というものを、ダイヤはあんまりよく見たことはないのだが
パッケージを見る限りでは、これは温めて食べるものだ
常温解凍……などということも不可

ダイヤ「っ……」

涙が零れる
頑張ろう。頑張ろう……そう、強く心の中で繰り返す
けれど、手の中にある冷たさが、それを許さない

ダイヤ「大丈夫……大丈夫……っ」

みんながいるから、大丈夫
冷凍のオムライスを抱きしめながら、ふらふらと学習机に向かう
冷たいオムライス、とうてい食べられないオムライス……けれども、お腹は寂しそうに啼いている

ダイヤ「……ぐすっ」

キーボードに手を伸ばす
大丈夫……そう言わなきゃ。と
0195名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 11:42:16.16ID:EY/fqOW2
ダイヤ「っ……」

袋を開ける
冷たいオムライスは、まるで氷菓子だ
顔に近づけると、より一層冷気を感じる

美味しそうな匂いなんて微塵もない
むしろ、ダイヤ自身の悪臭の方がはるかに強い

ダイヤ「ガリッ……」

硬く冷たいオムライスを齧る
氷菓子だと思えば、冷たいのは気にならない

ダイヤ「うぅ……」

じゃりじゃりと、口の中で溶けていく
グリーンピースのような何か、玉ねぎらしき何か、ご飯粒っぽい何か、
何か、何か、何か……何もかもが、味気なくて

ダイヤ「っ……ぅぁ……」

目元を拭う
拭いながら、オムライスを齧って、咀嚼する

ダイヤ「……美味しい……」

ゴリゴリと……じゃりじゃりと……オムライスらしくない咀嚼音に嗚咽が混じる
美味しいと呟く、大丈夫と呟く

そうしたら……少しは変わる気がしたのだ
0196名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 12:03:27.52ID:EY/fqOW2
ダイヤの手には、2割ほどの食べ痕がある硬いオムライスが握られている
朝食として与えられたオムライスを食べ始めてから数時間
気付けばもうお昼時にまで時間が経っている

それでも、全然食べ進めることが出来ない
一口があまりにも固く重い
そして……まったく美味しくない。むしろ不味い

ちゃんとしていれば美味しかったはずなのだ
満足に食べられたはずなのだ

ダイヤ「っ……」

あまりにも冷たい物はお腹に悪い
けれど、ぐーぐーと……なり続けている
だから、食べる
食べないとどうにかなりそうで……

ダイヤ「げほっ……けほっ……」

むせて咳き込む
空き袋の上にオムライスを置いて、手をすり合わせる
手もお腹も喉も冷え切ってしまった
傷だらけの赤い手は、まだ少し……血が滲んで見える

ダイヤ「食べなきゃ……」

残したらまた、食べ物を奪われてしまうかもしれない
残したりしたら、せっかくオムライスを出してくれた人に申し訳ない
だから、食べ続ける

ダイヤ「……大丈夫……」

大丈夫、大丈夫……大丈夫……
ひたすらに、そう言いながら食べ続けた
0197名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 12:36:26.37ID:EY/fqOW2
まだ食べ終えてもいないのに
カタンッ……と、また差し出口から何かが投入される
今までは、犯人が安価を使ってみんなに何かを選択させ、それがここに反映されてきた

食事の間に何か変化でもあったのだろうか。と、掲示板を更新する
誤魔化せたとは思っていなかったが、書き込みは冷凍についてのことがいくつか続く

ダイヤ「……だいじょうぶ、だいじょうぶです……」

ぽろぽろと涙をこぼしながら、そう呟く
まだまだ頑張れる、心は折れていない
支えてくれる人たちがいるから……まだまだだいじょうぶ。

ダイヤ「っ……」

大丈夫……と、打ち込む
ありがとうございます……と、打ち込む

手が震えるのは冷えたせいだ
泣いているのは、優しさがとても温かいからだ
パソコンの前から立ち上がり、扉の方へと向かう

ダイヤ「……?」

四角いプレート……いや、ケースだろうか
落ちているそれに手を伸ばして……おもむろにスカートで手を拭う

ダイヤ「……はは……」

以前なら絶対にこんなことはしなかった
それが、当然のようにできてしまうことに、乾いた笑いが涙と共に零れた
0198名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 13:06:55.37ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……これは」

ケースの表面にはHと書かれている
透けて見える中身は、CDかDVDに見えるが……どちらなのかは分からない
ダイヤが三目並べと思っていたあの紙の9に値する場所に〇をつけたからだろうか

ダイヤ「……」

パソコンの前に戻って、ケースを開く
ROMの表面は白く、何も書かれていない
パソコンの側面にあるボタンを押して、ROMを読み込むための機能を呼び出す

ダイヤ「……まず、書くべきね……」

ウイルス……というものがあるかもしれない
安易に読み込んで、パソコンが使えなくなったりしたら困る

Hと書かれている四角いケース、白いROM
CDなのか、DVDなのか……

傍らに置いてあるオムライスを一瞥して、齧る
がりがりじゃりじゃり……
歪な咀嚼をしながら、書き込む
0200名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 13:56:16.80ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……これで」

もしもパソコンが使えなくなったら、きっと……ダメになる
けれど、これ以外に道はない
ダイヤは決死の覚悟を持って、中に入っていたROMをパソコンにセットする

三目並べの答えなのか……否か

ダイヤ「……」

パソコンがディスクの中身を読み込んでいるのだろう
深い起動音がパソコンから鳴り響く
マウスのカーソルがぐるぐるとした輪っかに付きまとわれ始めて動きが鈍くなる

ダイヤ「ジャリッ……ガリッ……」

片手間に食事をしながら、読み込みが終わるのを待つ
暫くすると、メディアを起動するか否か……というような選択肢が表示される

ダイヤ「これは……」

CDではなく、DVDだったようだ
またしばらくの時間をかけて――映像が再生された
0201名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 15:20:48.71ID:EY/fqOW2
画面に映し出されたのは、ホテルオハラの一室……そう、小原鞠莉の私室となっている部屋だ
定点で撮影されているであろうその映像には、
ベッドの上に座り込む鞠莉が映る

『ダイヤ……』

呟き、一枚の紙を手に取る
黒澤ダイヤが行方不明になっていることを知らせるビラだ
疲れ果てた様子の鞠莉は、深々とため息をつく

『………噂は、出回っているのに……』

鞠莉は頭を抱える
手にしたビラをくしゃくしゃにしてしまうことも厭わずに、強く、強く

『………』

携帯電話を手にした鞠莉は、電話をかける
スピーカーモードになっているであろうその端末からは、「おかけになった番号は――」と、流れる

『役立たず……ッ!』

携帯電話を投げつけて、叫ぶ
壁にでもぶつかったのだろう、壊れた音が部屋に響く

『どうして……どうして……っ!』

何度も、何度も、何度も……鞠莉はベッドを叩く
叩いて、叩いて……ダイヤの名前を叫ぶ

どこに行ってしまったのかと
何があったのかと
鞠莉は半狂乱に叫び……不意に、ノックが聞こえた

『あ……』

鞠莉ははっとしたようにベッドから飛び上がり、音のした方へと向かう
乱れた服も、髪も
何も正さずに……まるで、帰宅した親に駆け寄る子供のように画面から消える

――ガンッ

動画は、その音を最後に途切れた
0202名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 15:54:17.95ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……え?」

ダイヤは止まってしまった映像の再生をクリックする
続きはない
DVDの中に入っている映像はこれのみで、鞠莉がどうなったのか。は、わからない

ダイヤ「鞠莉……さん……?」

手にしていたオムライスが床に転がっていく
カンッ……コロン……と、固そうな音をたてながら。

鞠莉はダイヤを探していた
つまり、ダイヤが監禁されてから、あの映像は撮られた
いつ、どうやって、誰が?

ダイヤ「……っ」

ぐるぐると……頭の中がめちゃくちゃになっていく
上手く考えが回らない
お腹が空いた、体がかゆい、頭が痛い、鼻が曲がりそうな臭いがする

ダイヤ「鞠莉さん……」

小原鞠莉は無事だろうか
彼女が画面から消えた後のあの音は……

ダイヤ「っ!」

首を振る
それは考えすぎたと
それはあってはならないと
小原鞠莉が――襲われた。などということは

――カタンッ

ダイヤ「!?」

考えの定まらない中、また……何かが差し出された
0204名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 16:31:14.87ID:EY/fqOW2
ダイヤ「これって……」

差し出口の傍に置かれているのは、ビニールに包まれた深紅の衣類
書かれている文字を鵜呑みにして良いのかどうかは分からないが、
その服は、【フラワーレースベビードール】という商品名らしい

ダイヤ「ベビー……ドール……?」

そんな横文字長い衣類を身に纏ったことのないダイヤにも、
その言葉が付けられる衣類というものを知っている
さっきの映像にも映っていた、小原鞠莉が好んで着ていたものだ

特に、同じ学年である松浦果南、黒澤ダイヤらと宿泊する際などに
二人に対して勧めたりしていた
果南は面白い。などと適当に返して着ていたが、ダイヤだけは……破廉恥だから。と拒んだ

そして、鞠莉が勧めてきていたベビードールこそ、今この手元にあるものだ

ダイヤ「……っ」

急いで、パソコンの前に戻る
動画は最初のもの以外にはない
プレイヤーを閉じ、掲示板を更新する

差し入れられた映像が何なのか。という推測
犯人のご褒美……という安価
そして、決まったのは新しい衣服

新しい清潔な衣服がベビードールとは……どんな嫌がらせだ
0205名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 17:04:56.56ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……鞠莉さん」

新品のはずのベビードールの袋からは、
不思議と、鞠莉の清潔なシャンプーの匂いが感じられる
バラだろうか……フローラルな香りのするシャンプーだ

ダイヤ「これは……汚せませんね……」

抱きしめようとした手を止め、ベッドにまでもっていく
枕元に置いて、軽く撫でる
清潔な衣服に着替えたいところではあるが、体が汚い以上は控えたい

いや……控えたいのはきっと、鞠莉を感じられるからだ

ダイヤ「あんなにも毛嫌いしていたこれを……支えにするとは」

鞠莉のちょっとむくれた顔が浮かぶ
果南の中立的な困り顔が浮かぶ
元気で明るい……でもちょっとだけ煩わしく感じる鞠莉の声

ダイヤ「どうか……どうか……どうか……ご無事で……」

祈り……願う
もう一度、あの声が聞くことが出来ますように……と
0206名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 17:27:32.26ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……食べ物は、大切にしなくちゃ」

床に転がっていたオムライスを手に取る
多少は柔らかくなりつつあるようで、中のご飯がぐちゅりと潰れ……薄焼き卵がビリッと破れる
ぽろぽろとご飯粒が床に散らばる
一粒一粒、床に落ちたそれを摘まんでは口に運ぶ

ダイヤ「……今は……」

生きるためだ
卑しく、生きるためだ
食べものとは言い難い状態のオムライスを、丸ごと齧る

いつかは、この映像も出回るのだろうか
床に落ちた食べ物を食べる意地汚い女の映像など……Aqoursの誰かが見たらどう思うだろう

ダイヤ「っ……」

もし、鞠莉が襲われていたら?
もし、それがダイヤのせいだったら?
もし、もし、もし……もしも……

ダイヤ「だいじょうぶ……」

胸が痛い、体が冷たい、力が入らない
黒澤ダイヤは、朽ちかけている
0207名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 17:56:37.41ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……9が鞠莉さんである理由」

掲示板を更新して、書き込みを確認する
なぜ鞠莉だったのか……その考察が書き込まれている
鞠莉の加入は9番目ではない

ダイヤ「……誕生日?」

Aqoursメンバーの誕生日の順番
だが、残念ながら鞠莉は9番目ではなく、6月の5番目だ
誕生日で言うなら、9番目はルビィだ……

ダイヤ「鞠莉さんが9番目は……ライブなどでの点呼?」

それで考えると、5番目の×とは?
これもまた、ルビィではないだろうか?
鞠莉と入れ替わるようにして、ルビィがその場所に収まっている

ダイヤ「ただの……考えすぎ……では?」

ルビィが犯人など、ありえるはずがない
あっていいはずがない
こんなことが……出来るはずがない
0208名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 18:12:01.94ID:EY/fqOW2
ダイヤ「鞠莉さん……」

誰のせいだ……お前のせいだ。と、誰かが言う
なぜ鞠莉が狙われたのか……お前のせいだ、と誰かが笑う

三目並べだなんて考えたのはダイヤだ
それに印をつけて出すと決めたのはダイヤだ

ダイヤ「浅はかだった……っ!」

強く、机を叩く
叩きつけた右手は鈍く震えて……血が滴る
時間がないから、9に印をつけて提出する?
あろうことか「お願いします」?

ダイヤ「私のせいで……私のせいで……ッ!」

キーボードを壊す勢いで入力していく
最初は不慣れだった操作も、
書き込むことに関しては手慣れてきた

ダイヤ「誰も悪くない……私……以外は……」
0209名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 18:45:46.21ID:EY/fqOW2
ダイヤ「怖い……怖い……」

自分の行動一つで、鞠莉が害されたように誰かが害されるかもしれない
体が震える……怖くて、恐ろしくて
でも抱きしめてくれる人はいない
松浦果南を思い出してしまったから―ーはぐされることが恋しい

自分で自分の体を抱きしめる
血に濡れた右手のせいで、制服が少しだけ赤くなっていく

ダイヤ「……っ」

首を振る
頑張ると言ったではないか
みんなが諦めない限り諦めないと言ったではないか

だから――

ダイヤ「……だいじょうぶ……」

繰り返す
繰り返して……ノートパソコンに手を伸ばす

ダイヤ「教えてください……」
0210名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 19:15:18.86ID:EY/fqOW2
もう手前まで来ているはずなのだ
重厚な扉を開けるためには、学習机の裏側が必要になる
そこさえこじ開けることが出来れば……

それさえできれば……きっと、扉を開けることが出来るはずなのだ
そうでなければいけない
そうじゃなければ許されない
手を尽くして……ダメでしたなどと言えるわけがない

掲示板を更新する
匿名の勇士たちからの返答はない……だとしても、ダイヤは止まれなくなった

ダイヤ「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

学習机の、引き出しが入っていた部分に手を差し込んで、
力一杯に持ち上げようとして見る

ダイヤ「はぁ……はぁ……っ」

当然、不可能だ
空腹と疲労で力が衰えているからではなく
そもそも、完全に固定されている学習机を持ち上げて動かす……などということは不可能なのだ

ダイヤ「んっ!」

引き出しを抜いて空白の出来た隙に、力いっぱい踏み込む
ガンッっという鈍い衝撃は足に返るばかりで……机はびくともしない

ダイヤ「だったら……っ」

包丁を振り上げてーー机に叩きつける
バキンッっという炸裂音にも似た音が響き、ダイヤの頬を破片が霞めていく

ダイヤ「っ……」

今度は、ドライバーを叩きつける
何度も何度も、出来る限り同じ場所をドライバーの先端で叩く
衝撃で右手を痛めて……今度は左手を使う
それを繰り返してようやく……ほんのわずかに机の表面―コーティング―が削れた
0211名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 19:27:05.69ID:EY/fqOW2
ダイヤ「っ……」

両腕を力なく垂れ下げ、荒々しく喘いで
汗に塗れ、悪臭が立ち込める中、ダイヤは呆然と学習机に跪く

これは壊せない
壊せる代物ではない
洗面台の鏡のように、軟なものではない

ダイヤ「はぁ……はぁっ……」

つまり、大事なものだ
この部屋において、無くてはならず
決して破壊されてはならないもの

ダイヤ「……机が……壊せないなら……」

頬の切り傷を袖で拭う
じっとりと汗ばんで、臭いと汗が染み込んだ肌着と制服が張り付く

ダイヤ「っ……」

びりびりと痺れるような痛みが腕の中を駆け巡る
ドライバーを握るだけで震えて……ずきずきと痛む
仰向けに寝転がると、机の裏側、鍵穴らしきものがある部分にマイナスドライバーを突き立てる
ほんの数ミリ程度の挿入感で、内部構造に阻まれる

ダイヤ「この……っ!」

上下左右、縦横無尽にかき混ぜてみるが開く気配はない
当然のことながら、鍵穴が壊れるような気配もない
0212名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 19:38:44.76ID:EY/fqOW2
ダイヤ「ここに……あるのに……」

絶対に、ここなのだ
机の裏。
ここさえ開けることが出来れば、脱出するための最も重要な手段が手に入るはずなのだ

ダイヤ「っ……」

壊せないなら、こじ開けられないなら
鍵を見つけるしかない
それはどこにあるのか、参考に出来そうなものではどこに配置されているのか

ダイヤ「ぁ……」

掲示板を更新する
普通なら扉付近に鍵穴などがある……という話だが、それは見当たらなかった
遠隔解除のための何かは、机の裏にある……可能性が非常に高い
今欲しいのは、その机の裏の鍵を開くための鍵だ

ダイヤ「……私?」

体の中だったりね……という言葉
包丁の遣い道とは……という言葉
名前入りの理由とは……という言葉

ダイヤ「あぁ……そう、そのかのうせいがあります……」

道具を見つけたときに、自傷する為の道具では?と考えたではないか
何をいまさら……と、ダイヤは苦笑する
0213名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 20:06:16.95ID:EY/fqOW2
書き込むと掲示板が更新されて、次の書き込みが表示される
鍵穴的な部分に挿せそうな物はほかにあっただろうか。と
分解した際の包丁の中子の部分ではないだろうか。と

ダイヤ「……それも一理ありますが……」

少し考える
包丁の中子の部分の強度を考えると、中子が鍵ではなかった場合に
中で折れて二度と鍵が開けられなくなってしまうリスクがある
そして、今度こそ包丁が使い物になってしまうリスクもある

すでに、無理矢理叩きつけたせいで先端が欠けてしまっているが
中子を出すためには持ち手を外さなければならない
ご飯粒での補強がされているため、一番確実に外す方法は持ち手そのものを壊すこと
そうなった場合、包丁はもう使えないと考えたほうが良いだろう

ダイヤ「……中子」

考えつつ、書き込む
中子が鍵である可能性は、どちらかと言えば低いはずだ
0214名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 21:00:54.28ID:EY/fqOW2
書き込めばまた更新が行われ、他の書き込みが追加されていく
少し待ってからもう一度更新を行って、書き込みを最新化させる

悪いのはダイヤではなく加害者で、ダイヤは被害者なのだという慰め
身体に傷をつけるのは最終手段……まだあきらめたらダメだという書き込み
ベッドの裏は? 枕の中は?
切って埋めたなら縫合跡があるのでは。という書き込み

お腹を着るのは止めよ?という書き込み
体の中にあるのはまれだという書き込み
体のどこかにヒントが書かれているのではないか。という書き込み

ダイヤ「犯人が悪いのはそうです……でも、相手に付け込む隙を与えたのは、私です……」

三目並べだと勝手に解釈し、早まって印をつけて提出してしまった
新しい衣服を与えられたのだっては犯人が望んでいることをやらかしてしまったからではないだろうか

ダイヤ「諦めません……だいじょうぶです……私は、まだまだだいじょうぶですよ」

体への傷なんてもう無数についている
散々掻き毟って、叩きつけて、刺さったり、切ったり
もうボロボロなのだから切腹くらい今更ではないだろうか

ダイヤ「ベッドの裏……」

枕については、以前カバーを外して中を見たが何もないように思えた
だが、鍵のような小さい物を想定していなかった
ベッドの裏もそうだ
固定されているかは分からないが、確かめてみる価値はある

ダイヤ「体のどこかのヒント……」

残念ながら、割れた破片で確認するのは無理だ
姿見のようなものがあれば話は別だが……
どうしても、というのなら服を脱いでみんなに見て貰うしかない
0215名無しで叶える物語(光)
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2020/05/06(水) 21:12:58.07ID:WQMEICqM
誰か助けてあげて(´;ω;`)
0216名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 21:32:21.05ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……」

ベッドに近づき、ゆっくりとベッドの端に手を入れる
指を引っ掛けることのできる部分があることを確認し、引きやすいように腰を下ろしていく
少しずつ、左足を下げて……膝を曲げる

ベッドを引くための絶好の姿勢を探っていく中で、
ダイヤの体は張り付く肌着の不快感と蒸れた暑苦しさに汗を滴らせる
それで手が滑らないように、一度手を離し裾でしっかりと拭っておく

ダイヤ「ふっ……んっ……うぅぅぅっ!」

もう一度手をかけ、全力で引っ張る
軸足の踏み込み、腕の張り、腰の落とし具合は完ぺきだったーーが

ダイヤ「っ!」

指の力が足りず、弾かれたように尻もちをつく
痺れるような痛み、震える両腕
両手を握り合わせると寒さに凍えているかのような震えが全身に響き渡る

ダイヤ「……っ」

指先には内出血や軽い裂傷、擦り傷が出来ていて
これ以上の力仕事はできそうにはなかった

ダイヤ「……だいじょうぶ」

ダイヤはそれでも立ち上がる
まだ大丈夫だ
まだ諦めるわけにはいかない
応援されているのだから、勇士が頑張ってくれているのだから
先に折れるわけには、いかない
0217名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 21:44:21.37ID:EY/fqOW2
引き摺ることが出来ないのなら、浮かせることは出来ないだろうか
そう考えて、もう一度同じ姿勢に切り替えていく

ベッドの下の隙間は、大体30センチほどしかない
可能な限り腰を落とさなければ、持ち上げることは出来ない
だが、そこから持ち上げるにはかなりの力がいる

要するにーー失敗した

ダイヤ「っあっ!」

ガリッとあわや爪を剥がしかねない勢いで手を滑らせたダイヤは、
そのまま後ろにつんのめって尾てい骨を床に直撃する
鈍痛の残るお尻の辺りを擦り、掻き毟しり、じんじんと痛む左手の人差し指の爪を見る

他の指の爪よりも、赤っぽさが増しているように見えるが、
剥がれているような感覚はない
まだしっかりと、指を護ってくれている

ダイヤ「っ……」

けれど、ベッドは無理だ
動かすのも持ち上げるのも
あとはなんとか潜って裏側を探るのが関の山だろうか
0218名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 21:56:19.79ID:EY/fqOW2
ダイヤ「まだ、だいじょうぶ」

両手を軽く振り、痛みを誤魔化す
震えは止まらないし、痛みもまだひいてはいないが……まだだ
動くのなら――大丈夫だ

ダイヤ「っ」

ぐぅぅぅぅ……と、お腹が鳴る
頭は大丈夫だと思っても、体にはエネルギーが残っていない

ダイヤ「……お腹空いた……」

まだ半分以上、オムライスは残っている
朝に与えられたオムライスはもうだいぶ常温解凍されており、
味はともかく、それなりに食べやすくなっている
オムライスをわしづかみにして、口の中に突っ込んで齧る

ダイヤ「んぐっ……っ、んっ」

全く美味しくはない。けれどお腹が満たされていく
もぬけの殻だった胃袋にずっしりとご飯が溜まっていくのが――心地よくて
咀嚼する傍からもう一口を齧って、咀嚼し……また齧る
ボロボロと零れるカスを拾って、また食べる

ダイヤ「ん……げぅ……」

食べにくくて残っていたオムライスは、すっかりダイヤの胃袋に収まった
急いで食べ多分、どこからともなく湧き上がった空気が口から出ていく
はしたなくて、品がなくて、卑しくて、汚らしい……
頬を伝うものがあったけれど、ダイヤはもうそんなことを気にしてはいられなかった
0219名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 22:15:48.18ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……これでどうにかできるかしら……」

ぼりぼりと頭を掻き、二の腕の辺りを掻きむしる
すっかり全身にまで回ってきた痒みは、もはや我慢しようなどという気を起こさせないほどに不快だった
腕、足、頭……背中
全身をくまなく掻き毟って、ピリピリと跳ねるような体の痛みに眉を顰める
学習机の上にある刃先の欠けた包丁を手に取って確認する

刃先は欠けているが、それ以外の部分についてはもう少し頑張れそうに見える
少なくとも、枕を引き裂くくらいは可能だろう
ベッドの上にある枕を手に取り、カバーを外す

触った感触的に中には何もなさそうに思えるが
内側のどこかで紛れている可能性も考えて、包丁の刃元で引き裂く
中に詰まっていた綿が噴き出すように足元に散らばる
まだ残っている綿を掴んで引っ張り出し、床にばらまく

ダイヤ「……とくには」

枕の中身が完全になくなるまで掻き出してみたものの、
鍵らしいものは見当たらなかった

ダイヤ「はずれ……」

散らばった綿を、もう戻せない枕に詰め込んで……カバーで誤魔化した
0220名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 22:41:39.83ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……ふぅ」

ベッドのすぐ横に寝転がって、隙間に自分の体が入るかどうかを確認する
自由は効かないが、何とか通れそうだと……頭を差し込む
明るい部屋から一転して暗い世界は埃っぽい

裏側を触ってみると、金属系のひんやりとした感触が手に伝わる
網目状に張り巡らされており、
特に暗号などが記されているとは思えないような作りだ

それからしばらく触っていくと、頭の方に棒状の感触があった
金属ではなく、木製のような肌触り
全体的に細くはないが太くはなく、先端ないし後端に緩やかな曲線が描かれている作りのもの
中央部分のテープのようなものを剥がすと、簡単に引っ張り出すことが出来た

ダイヤ「……これは?」

ベッドの裏から掘り出したのは、靴ベラだった
新品かどうかは分からないが、これにも【D.KUROSAWA】という文字が刻まれている

ダイヤ「………」

正直に思えば、脱出用のアイテムというよりは
脱出用のアイテムに見せかけた余分なもののように思える
というのも、靴ベラを使う用途がないからだ
テコの原理で用いればまず間違いなく折れる

ダイヤ「……もしかして、これを便器に突っ込むはずだった……?」

便器に突っ込んで三目並べの紙を穿り出すための道具は、これだったかもしれない
0221名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 23:13:27.24ID:EY/fqOW2
枕とベッドの結果を書き込むと、また別の書き込みが追加されているのに気付く
身体にヒントが書かれていないか見てくれるそうだ
下着に関しては、ずらしてくれればいいとのことで、それでどうにかなるなら……と、頷く

ダイヤ「肌着も脱がないと……」

自分の体が今どんな状況に陥っているのか分からないが
絶対に綺麗ではないと、確信を持てる
けれど、事前に汚い体だと言っているし問題はないだろう

宜しくお願いします。と、返事を入力し、
もう一度念のため体が汚いことを書き込んでおく
流石に、不快な思いをさせてしまうはずだ

ダイヤ「……」

まずはタイを外して、ベッドに放る
正面のボタンを外し、袖から腕を抜く
上半身が肌着になったら、今度はスカートのファスナーを下げる
下げきったらホックを外し……そのまま手を離す

ダイヤ「っ……」

つむじ風程度の空気の揺れが足元を駆け抜けていく
ツンとする刺激臭があちこちに漂い始めて、ダイヤは思わず息を飲む
スカートを拾い上げ、タイと上着の上に重ねる
0222名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 23:28:14.65ID:EY/fqOW2
左側の袖口を掴んで引っ張り、左ひじを通して内側に入れる
裾の方から左手を出して、右の袖口を引っ張り、右ひじも内側に通す
両腕を袖口から抜いたら、裾から両腕を出し、裾を肘に引っ掛ける

ダイヤ「ん……」

親指と人差し指の間に裾を挟み込み、ゆっくりと上に引き上げる
擦れる布の不衛生なにおいが強まって、鼻が痛み、
肌着が鼻先を通ると、何とも言えない臭いが流れていく

ダイヤ「っは……は……こほっ」

あまりの臭いに咳き込む
最初こそオフホワイト傾倒だったであろうブラジャーは黄ばんでいて、
さらに汗を吸ったのか変な色合いになり果てている
ショーツも同様で、オフホワイトから黄ばんだ色へと変色し
股の辺りはシミが出来ていて……色濃くなっている

ダイヤ「……どう、でしょうか……」

ダイヤの背中は、真っ赤だった
掻き毟った爪の後があちらこちらに赤く刻み込まれていて、
削られた汚れが黒っぽい塊となって、ダイヤの肌に張り付いている
天井からの明かりが、ダイヤの体に纏わりつくぬめぬめとしたテカリを露わにしてしまう
そんな傷痕と汚れに隠れるようにして……ダイヤの身体には【L】のような文字が背中から臀部にかけて書き込まれていた
0223名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/06(水) 23:40:00.37ID:EY/fqOW2
ダイヤ「……」

身に纏う衣服が減った分、体の臭いは強く感じる
けれど、擦れることがない分、少しだけ気が楽になったように感じたが……気のせいだ
空気に触れる肌がピリピリとした刺激を生み、それが堪らなくむず痒くて、手が伸びる

ダイヤ「痛っ……」

掻き過ぎて傷が出来た部分がまた痒くなって、掻き毟ってしまい痛みが走る
ショーツがぴったりと張り付き、臀部の形が強調される
引っ張って食い込みを調整すると、流れ込んできた空気に痒みを感じて……揉みしだく

痒くて臭くて……気が狂いそうになる
パソコンの前で下着姿で突っ立っている今の状況が理解できなくなってくる
頭を掻くと、白い粉のようなものが落ちる

自然乾燥した油っぽい汗の臭いがあたりにちりばめられて、それが鼻を通って体に満ちていく
表面だけではなく、体の中まで汚れていく気がした

ダイヤ「見て……る?」

当たりを見渡し、カメラが見当たらないことを確認してから下着姿になっていることを掲示板に書き込む
ダイヤ自身は、汚いだろうという覚悟はあるが、実際に自分の体がどうなっているのか、背中までは把握できない

少しだけ待ってみてから掲示板を更新してみると、【L】と書かれている。という書き込みが増えた
0224名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 00:03:21.94ID:uNIgasvr
ダイヤ「っ……」

べたべたとしていて、異臭のする肌着と制服
持ち上げただけで悪臭が立ち込めるそれを、ダイヤはもう一度我慢して着込む
身に纏っている服が腐り始めているということは、その中身である体はもっと酷いことになっていると思ったからだ

ダイヤ「おぉぇ……うぇ゛」

肌着を着たところで、便器に駆け込み嘔吐する
自覚していた体の酷さに、体自身が耐えきれなかったのだ

ダイヤ「ごほっ……ぁ゛っ……ぁ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」

咳き込んで、吐しゃ物と混じった体臭を吸い込んでまた吐く
この臭いにも慣れなければいけないのに……慣れた次の日にはさらにその上に行くから耐えられない

ダイヤ「げほっ……ひゅー……ひゅ……」

数回の嘔吐を繰り返しながら制服を着直したダイヤは、ふらつきながら洗面台にまで辿り着いて突っ伏す
掠れる呼吸、口の中の濁った感覚……水を流して、もはや顔を突っ込んで口をゆすぐ

十数回、嘔吐の倍以上の数うがいと濯いで何とか取り繕う
繰り返す嘔吐の上、数日歯磨きが出来ていない今の口臭は知りたくもない

ダイヤ「っ……」

パソコンの時間を確認し、そろそろかと。書き込む

ダイヤ「みなさん、今日もありがとうございました……おやすみなさい」

部屋の電気を消して……ベッドへと向かう
眠れる気は――まるでしなかった
0225名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/07(木) 00:07:23.43ID:uNIgasvr
とりあえず今日はここまで
0227名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 06:29:29.68ID:uNIgasvr
ダイヤ「っぁ……」

意識が覚醒に向かっていくにつ入れて、頭を鈍い痛みが断続的に襲う
言葉にならないうめき声のようなものを漏らしたダイヤは、しばらく呆然と天井を見上げた

ダイヤ「……?」

部屋の中は暗く、まだ寝ぼけ眼には良く見えない
だが、黒の中にある横長の白色電灯の存在感だけはおぼろげながらに見える

ダイヤ「えっと……」

体を起こすと、ずきずきとしたひときわ強い鈍痛に頭を抱える
べったりとした髪が額に張り付く。
酷い刺激臭がむわっとあたりに広がっていき、ダイヤの肺を汚染して咳き込ませる

ダイヤ「けほっ……ぁ……」

ベッドの端に腰かけたままボリボリと頭を掻く
胸のあたりの痒みに応えて右手で掻き毟る
そうして、次はこっちと言わんばかりに全身の痒みが目を覚ます

掻いて、掻いて、掻いて、掻いて……掻いて、掻いて、掻いて
暫く体を掻きむしり続けて、はたと気付く
ここはどこだったか
少なくとも自室ではなさそうだ……などと考えていた頭の現実が摺りこまれていく
いや、昨日までの記憶がねじ込まれていく

ダイヤ「……あぁ……」

ぐぅぅぅぅぅ……と、高らかにお腹が食欲を響かせる
お腹を擦ってやるが、それだけだ
この部屋には食べ物なんてないのだから

まずは電気を点けよう。
そう思い立って床を踏み込んだ瞬間、ダイヤは受け身も取れずにその場に倒れこんだ
0228名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 06:42:39.08ID:uNIgasvr
ダイヤ「ぁぇ……?」

一瞬何が起きたのか理解できなかった
体中に点在する体の痛み、顔や足の真新しい鈍痛に自分が倒れたのだと教えられる

それでも、ダイヤはなぜ倒れたのかと不思議だった
立とうという意思はあったし、その力も入れたはずだった
激しいダンスの特訓などをしたわけでもないのだから、立てるはずだった

けれど――立てるほどの力がなかった

ダイヤ「……っ」

癒されることのない空腹、自身が放つ悪臭へのストレス、体中に迸る不快感
そんな状況に置いてたまる一方の疲労感が、ついにダイヤの力を奪ってしまったのだ
思えば、もう5日目の朝だ

まともな食事は与えられず、清潔さも保つことは出来ず、尊厳も何もかもを捨てるしかなくて
それでも、助けてくれる人がいるからと……頑張った

そう、頑張った

ダイヤ「……もうやだ……」

5日間も頑張ったじゃないか
頑張って、頑張って、頑張って……それでも無駄だったじゃないか

ダイヤ「やだっやだっやだよぉぉぉ……うぇぇぇぇ……」

黒澤家の長女、もうじき大学生になるはずだった高校3年生
凛としてあるべき彼女らしくない、声だった

もう頑張りたくない
頑張って無駄なのだから、もういいじゃないか
頑張っているのにまともな食事も貰えない、体を綺麗にすることが出来ない
少しずつ体が腐っていくのが分かる。解っているのに止める手立てがない

だから、泣いた
子供のように、年端もいかない少女のように
この場において圧倒的に無力だと心身に叩き込まれてしまったからーーダイヤは少女になりたかったのだ
0229名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 06:56:47.76ID:uNIgasvr
起きてからどれほどの時間、泣いていただろうか
ぐずぐずと、暗い部屋の中に奏でるダイヤはようやく体を起こして、その場にへたり込む
緩み切った涙腺を絞めて、鼻水をすすり、働かない頭で精いっぱいに考える

ダイヤ「……ぐすっ」

ふらふらと立ち上がって、電気を点けに向かう
カチリという音と共に部屋全体が急激に明るくなる

皺だらけでぐちゃぐちゃなベッド、歪な形の枕、ベッドの端からずる落ちている掛布団
ベッドの端に散らばる綿、包丁やドライバー、シャーペンなどが散乱している汚い学習机
蓋のない洋式便器、鏡の割れた洗面台

ダイヤ「……」

これが今の、ダイヤの居場所
黒澤家の長女として邁進し、浦の星女学院では生徒会長を務めた女の末路
なんて見事な退廃だろうか

ダイヤ「ぁ……袋……」

もはや日課にまでなっているパソコンの前に向かうと、
昨日はあったオムライスの空袋が無くなっていることに気付く
もしかしたら中にご飯粒でも残っていたのかもしれないと思うと、空腹感にいら立ちが募る

ダイヤ「あっ」

机の周りを手で探って、食べ零していたカチカチに水分の抜けたご飯一粒を口に運ぶ
カリカリとした味気ない塊はすぐに飲み込まれて消えていく
また、お腹が空いたと大きな音が騒ぎ出した
0230名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 07:07:58.23ID:uNIgasvr
痛みと栄養失調、空腹感とストレス
疲弊していく一方のダイヤの頭は、半分ほど考えることを放棄し始める
というよりも、考えるほどの余力が失われつつあった
自分の体を動かそう。という方向に全力を投じなければもう動けなくなりそうだった

掲示板を更新してみると、いつものように犯人からの書き込みが増える
ぼりぼりと品のない音をたてながら頭を掻き、ぬめぬめと汚れた手で文字を打ち込んでいく

ダイヤ「……っ」

ダイヤから奪うもの。という安価は、オムライスの空き袋という結果になったようだ
犯人はゴミ捨てですか……という不満げな書き込みをしている

ダイヤ「だったら、ゴミ箱ぐらい……」

不満が零れる
ほとんど無意識な発言に、はっとして……頭を掻く
犯人の不満を感じる書き込みの後に、ゴミ捨てさせているのは自分達だぞ。という勇士の書き込みがあって、
そこに、呟いたのと同じ書き込みが見えた
無意識にそれを口に出しただけだろうと、ダイヤは考え直す

Lと言えばラブライブ……そうだろうか
そうなのかもしれない、良く分からない

謎が増えたという書き込みが続き、ダイヤにLを付けたら【DIAL】でしょ。という書き込みもある
最新の書き込みについては、つい数十分前のものだ

ダイヤ「ダイヤル……ダイヤル……?」

ダイヤルとは何だったか……思い出せなかった
0231名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 07:28:35.61ID:uNIgasvr
いつものように書き込みをして、ダイヤルについて疑問を書き込む
暫くしてから更新してみるが、まだ書き込みはないようだ
朝起きた後少しして犯人が今日の餌をどうするかの安価を出す

ダイヤ「はやく……」

更新を押す。まだ何も来ない
更新を押す。まだ来ない
更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……
更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……更新……

ダイヤ「あぁ……もう……」

数分間に十数回更新を繰り返したが、当然というべきだろうか書き込みは増えない
ぼりぼりと頭を掻いて、背中側……首の付け根辺りを掻いて、胸の谷間の辺りに親指を押し込んで掻く

ダイヤ「もう、いい……」

昨日は正したタイを引き抜いてベッドへと放る
通学しているわけでもないのに、タイなんてしめている意味がないと思ったのだ
胸元を摘まんで引っ張ると、空気を吹き込む
酷い悪臭が隙間から抜けていき、ほんの少しだけ清潔な空気が充満し……瞬く間に腐敗する

ダイヤ「臭い……はぁ……臭い……」

ダイヤの胸に限らない話だが、いたるところに赤い発疹……汗疹が出来始めていた
それの痒みに耐え兼ねて掻き毟ると、肌が酷く傷ついていく
でも、掻かないと不快で、掻けば一瞬でも心地いい。
体から発せられる臭いは耐え難いほどに腐っていて、けれど……それを当たり前だと思えば馴染むような気がした

頭を掻くと、髪がぶちぶちと切れたり抜けたりする
爪の間に溜まったフケや垢を、シャーペンの芯で穿り出す
すーっと走らせると汚れが抉れていき、爪に映る黒い影が消えていくのが心地よかった
0232名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 07:49:30.13ID:uNIgasvr
ダイヤ「ん……っふ……」

昨日飲んだ水分が回ってきたのだろう
当たり前のように便器に向かって、ショーツを下げて便座に座る

ショーツを下げただけで蒸れた臭いが立ち込める
新鮮とは言えないかもしれない空気にさらされた下腹部がむず痒さを増すが
そのまま、余分な水分を出す

ぽたぽたっと滴り始め、次第に噴き出るように飛び出すようになって
便器の内側にぶつかって音を立て始める
十数秒出し続けて、下腹部を揉んで最後の一手期まで出し切る
ぽたりぽたりと勢いもなく尿が滴る中、拭きものとなった雑巾で弄る

ダイヤ「んっ……っは……」

靴下の湿り気はそこまでない
渇いたごわごわとした感触がかゆいところも気持ちの良い所も平等に掠めていく
手を入れた靴下で、割れ目の周囲を拭きとってから、押し開き中に指を通す
くにくにと、ぐにぐにと、拭いつつも体に刺激を与える

ダイヤ「はっ……ぁっ……」

びくんっと体が震える。
拭くために開いていた足が内また気味に閉じて膝がぶつかる
もう一度、靴下で弄る
割れ目の中ではなく、内側をなぞるように指を走らせると……靴下の生地感が上手く快感を削ってくれる

ダイヤ「っ……ぁ……はっ……んんっ」

これは奇麗に拭いているだけだから。と
何度か残っていた水分を便器の中に滴らせながら、ダイヤは認識を誤魔化す
もちろん……それがただの自慰行為であることは、わかり切っていた
0233名無しで叶える物語(関東地方)
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2020/05/07(木) 08:00:53.51ID:nBHVZ1FJ
部屋に落ちてるもの探せっつったのは初日なのになんで今更アイテムが見つかるんだ
発狂する前にやることあっただろ
0234名無しで叶える物語(茸)
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2020/05/07(木) 08:33:38.48ID:RxSNWAmX
ただの胸糞ssになってきたな
食事1日1回とか犯人が自分で勝手に決めたことくらい守れや
思い通りにならずにそれすら守ろうとしないなら安価なんてせずに普通にssとして出せよ
てか連休終わったしもう深夜1時まで付き合ってられんわ
0235名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 08:40:12.43ID:uNIgasvr
新しく見つかったのは、ダイヤの背中に書かれている【L】の文字と
ベッド頭の方、その裏に張り付けてあった靴ベラのようなものだ
靴ベラに関しては、正直、今更な発見だったかもしれない

包丁を見つけた段階で、そっちに気が向かってしまったせいもあるが、
机の裏もそうだが、裏側を探すという点を、ダイヤが怠っていたからだ

とはいえ、机の裏側に関しては引き出しを抜き出した後での発見だし
ベッドの裏は潜り込んでようやくと言ったところのものだ
普通に手を入れて届く範囲になかった時点で、こういったものに疎いダイヤが見つけるのは難しかっただろう

ダイヤ「……」

靴ベラを手に取ったダイヤは、それをまじまじと見つめる
木製のそれは、【D.KUROSAWA】という彫刻を除き
これと言って違和感を覚えるようなものではない
では、何のためにこれがあるのか
叩き折れば、竹取物語の姫が出てきたように鍵が出てくるだろうか
きっとそんなことはない

靴ベラの本来の用途と言えば、そのまま靴を履く際の補助道具だが
今のダイヤには、履く靴などない
つまり、これ自体は本来の用途で使うものではない

ダイヤ「っ……」

ぼりぼりと頭を掻いて、考える
頑張っても無駄かもしれないが、まだ助けようとしてくれる人がいるなら……頑張るしかない
0236名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 08:56:03.32ID:uNIgasvr
ダイヤ「……っ」

今まで、【D.KUROSAWA】というのが施されていたのは何だったか
包丁、トンカチ、靴ベラの三点だ
包丁は刃の部分、トンカチは持ち手、靴ベラも……これは持ち手と言っていいだろう
特に共通点は見当たらない

ならどうして、この三点のみに【D.KUROSAWA】なのか
シャーペンやドライバー、鏡、机、枕や掛布団など
他のものには【D.KUROSAWA】というのがないのはなぜなのか

ダイヤ「……」

トンカチは持っていかれてしまったせいで、調べられないが
まだ手元にある包丁は見ることが出来る

口金の壊れた包丁は代用としてルビィのゴムが巻かれており、
差し込んでいる部分にはちょっと余分なお米がこびりついている
刃の先端が欠けているが、これはダイヤがしたものなのだから、関係はないと見て良い

ダイヤ「……ん」

掲示板の書き込み欄に、メモとして打ち込んでいく

とんかち、金槌、トンカチ、ハンマー
ほうちょう、包丁、ホウチョウ、刃物
くつべら、靴箆、クツベラ、靴箆
もちて、持手、つか、柄

ダイヤ「……」

流石に、文字数は関係ないだろうか
いくつかの言い換えも可能だし、そうした場合には文字数では齟齬が生じることになる
ただ……それをすべて漢字で書いた場合、金槌、包丁、靴箆となる
包丁は刃物とも言えるかもしれないが、包丁は包丁と考える
0237名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 09:02:08.84ID:uNIgasvr
そして、包丁、金槌、靴箆……とした場合、
包丁は5文字(小文字を1として)
金槌、靴箆は4文字となる

ダイヤ「……」

一旦メモを消し、漢字のみを打ち込んだ後に、かっこをつけてひらがなを書く

包丁(ほうちょう)
金槌(かなづち)
靴箆(くつべら)

ダイヤ「……仲間外れ」

酷い話ではあるが、共通点を探すのではなく
共通ではない部分を探すことは、非常に容易だった
こじつけることが楽で、容易いからだ

この三点、あるいは黒澤三兄弟の中で、包丁だけが五文字で、包丁だけが【濁点】がないのだ

ダイヤ「………」

これ以上は、少し難しい
考えがあまりにも幼稚で……敵を見つけ出そうとしているかのような流れにも思える
もしかしたら、落ち着け。と言われるかもしれないが、まぁ書かないよりはましでは? と、大雑把な気持ちで書き込んだ
0238名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/07(木) 09:02:27.11ID:13+qeuWa
玄能、な
0239名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 09:35:27.78ID:uNIgasvr
書き込むと、犯人から食事についての安価が来ていた
昨日から始まったコンマ判定というものでの、食事制限
運悪く食事が抜かれる可能性もあるそれは、今日も犯人の思惑に反して与えられる結果となった
昨日は嫌がらせで冷凍だったが、今日は出来立て。と書かれている以上そんな嫌がらせは来ないはずだ

ダイヤ「……」

せいぜい、いつものように手で食べさせられるくらいだろう
手で食べるくらいは、もはやどうでもいいことだが。

少し考えて、おもむろに立ち上がったダイヤは、
ベッドの上の布団を跳ね除け、マットレスを外して、ベッド本体を見る
木製ではないベッドはマイナスドライバーでは外せない金具で固定されており、びくともしない
マットレスを引っぺがした時にも見ているが、靴箆の件もあって二度の確認
ただ、ベッドはこれ以上得られるものがあるようには思えない

洗面台の裏や、便器の裏
それらにも目を通してみたが、これ以上に得られる情報は見当たらない
鏡の件を考えると、便器を叩き壊せばカギの一つでも出てきそうではあるが、それは不可能な話だ

ダイヤ「……」

掲示板を更新してみると、ちょっとわからないね。という書き込みが増える
ダイヤにも、これ以上は考える余裕がない
今ある情報の中で、どれかが答えの鍵であるはずなのだ
机の裏の鍵を開き、扉を開けることのできる情報なのだ
そうでなければ――もう助かることは難しい
0240名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 09:49:16.06ID:uNIgasvr
ダイヤ「……爆破予告」

もういっそしてしまうのも手だ。という書き込みが依然あったような気がする。と
うろ覚えながら、掲示板に爆破予告っぽく書いてみる

こんな感じで良いのだろうか。と考える
まず、氏名を書く、場所と日時を書いて爆破予告と書く

ダイヤ「……」

やれることはやりつくそう
その一心で、掲示板に爆破予告を書き込んでみる
警察は来てくれるだろうか
IPとやらを探り出して、ここに来てくれるだろうか

ダイヤ「……お願いします……」

書き込むと、また一つ応援してくれる書き込みが見えた
トイレのタンクは……という書き込み
ただ残念ながら、近くにある洋式便器の背後は壁だ
足元のくぼんでいる部分やその裏は見てみたが、そこには何もなかった
タンクがあるとしても、壁の向こうだ

ダイヤ「……だいじょうぶ……」

呟くように言って、もう疲れた、少し寝たい。と、目を閉じる
けれど――ぱちぱちとした肌の刺激に阻まれる

ダイヤ「……だいじょうぶ……まだ、がんばれる……」

膝を抱えて、掲示板の書き込みが増えるのをただただ……待った
0241名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 10:39:26.99ID:uNIgasvr
体の不快感が酷く、まるで休めそうになくて……ため息をつきながら後ろに倒れる
フローリングの床はほんのりと冷ややかで
けれど、すぐに体を預けている部分が温かくなってしまう

べったりと張り付く脂ぎった髪
洗濯しても臭いが取れなさそうな衣服
だんだんと慣れつつある今の環境を、天井を仰いで想起する

ここから出られなかったらどうしよう
このまま餓死するか、腐るまではこの部屋の中で過ごすことになる
刻一刻と朽ち果てていく自分の体を感じさせられながら、死ぬまで弄ばれるのだ
そうなるくらいなら、当然首を切って死んでやるつもりだ
もちろん、助けようとしてくれる人がいる間は、頑張るつもりだが……

ここから出られたら、どうしよう
まずはお風呂に入りたい、一日中でもいい
半日かけて体を洗って、半日かけて入浴して、もう一度体を洗って浴室を出る
清潔な下着を身に着けて、これまた優しいふんわりとした匂いのする寝間着に包まれながら布団に倒れ伏す
そのままぐっすりと、眠りあかすのだ

ダイヤ「……帰りたい……」

掲示板を更新すると、犯人の書き込みと、
体を気遣ってくれる書き込みと、DIALについての書き込みが増えている

犯人については、もう良く分からない
というより、考えるだけ無駄な気がした
焦っているようにも見えるし、何の問題もないから嘲笑っているようにも見えるし、
そう見えて、実は気丈に振舞っているようにも思えてくる

ダイヤ「せめて、お湯で体が拭けたら……」

最悪水でも構わないから体が拭きたい
水はあるけれど、清潔なタオルがないというのが、その自由さえ奪う
0242名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 12:48:47.10ID:uNIgasvr
ダイヤ「ぅ……」

ぐぅぅぅ……と、唸るようになるお腹を押さえながら、ダイヤは差し出口のところで待っていた
今日は朝食抜きで、お昼の一食だけ
けれど、今日は出来立てのしっかりとした中華丼が食べられる。という話なのだ
空腹に悩まされ続けているダイヤにとって、それはまさしく餌だった
率直に言ってしまえば……餌付けだ

ダイヤはそわそわと、差し出口を見つめる
与えられる食べ物が、今のダイヤが得られる生きるための糧だ

カタンッ……と、音が鳴って差し出口が開く
その瞬間には、湧き上がる匂いに、ダイヤのお腹は期待に満ちて、口元からは涎が滴る

ダイヤ「あぁ……あぁっ……っ」

今日は、本当にちゃんとした食べ物だった
出来合いのものなのだろう……
プラスチックのような容器の中には色とりどりの野菜や、お肉がドロッとした艶やかさで鎮座し、
沸き立つ香ばしさと、餡のほろ苦さを纏った甘い香りが漂っていて
手をかざすと、暖房器具のようにむんむんとした温かさを感じさせてくれる

ダイヤは零れ落ちる涙を拭うことも忘れてその容器に触れる
意地悪なのか、余分に温められている容器はひりひりと痛いが、それを差し引いても満ちる温かみに心が癒される

ダイヤ「い、いただきます……っ」

案の定、スプーンも箸もフォークも何もないのだが……それはもう頭にはなかった
0243名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 13:02:56.14ID:uNIgasvr
ダイヤ「……っ」

容器を傾けると、てろっとした餡が野菜の隙間から顔を覗かせる
引かれるように滑る野菜の動きは緩やかで、次第に隠れていたご飯が見えてくる

ダイヤ「あたたかい……」

容器のふちに薄く塗られた餡をぺろりと舐める
甘さの中に、ほんのりとしょっぱい刺激
溶けるように消えていく刺激を上塗りするようにして、甘さが突き抜けていく

ダイヤ「ほふ……」

今度は、もうちょっとだけじゅるりと啜る
ピリッとした熱が唇と舌を焼く
べたつくような餡のとろみが、粘ついた口腔の汚れを包み込む
醤油がメインの甘じょっぱい風味が、口いっぱいに広がって――喉を下る

ダイヤ「んっ」

とろとろと、鈍足な足取りは、ダイヤの体の中に入っていくのを強調する
胸の内側から……お腹の方へ。暖かい幸せが、下っていく
0244名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 13:21:10.30ID:uNIgasvr
ダイヤ「ぁっ……」

そしてふと、自分が扉の前に居座ったままであることに気付く
絶対に転ばないように気を付けながら、パソコンの前に向かう

学習机の上で動かせないパソコンのみを残して払い除け、
何があっても落ちない場所に中華丼の容器を置く
あつあつに熱された両手のひらを自分の頬に当てる

ダイヤ「んー……っ」

人肌以上の温かみ
真冬のスープのような心地よさ
感嘆の声を漏らしたダイヤは、おもむろに掲示板へと書き込む

頂きますと口にはしたが、書き込んでいない
与えてくれたみんなへの感謝をしなければ……と、ダイヤは打ち込んでいく

ダイヤ「大切に、いただきます」

書き込むと、掲示板が更新される
だいぶ前にも書き込みをしてくれている人がいるようで、念のためにそこにも目を通す
ダイヤの背中に書かれていたLつまりは【DIAL】をキーとした推論だ

テン → 電
789 → 123
456 → 456
123 → 789

当初はテンキーを基準に考え、右上は9である。という思いだったが、
実はそうではなく、電話の押しボタン……だったとしたら? という話だ
ダイヤが選択したのは9ではなく、3で、犯人の9は、犯人が9を選択したのではないか。と……
0245名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 13:38:34.31ID:uNIgasvr
ダイヤ「……」

中華丼に、少しだけ指を突っ込む
水分を含んだ白米は餡と絡み合ってぐちゅりと音をたてながら、ダイヤの指に吸い付く
人差し指で救いあげたご飯を、指ごと咥える

白米の控えめなうま味が、餡の絶妙な甘さ加減に引き立てられている
咀嚼するたびにそのうま味が混じり合い、溶け合って味覚を翻弄していく
てろんっとした白菜を摘まみ上げると、餡が滴る
ぴらぴらと薄く見える白菜を下側からぱくりと捉えると――シャキッと、はじける

ダイヤ「んっ……んんっ」

噛んでも噛んでも、その新鮮さを感じさせる歯ごたえが続く
それなのに、貯えられていた味の染み込んだ水分があふれ出して喉まで潤してくれる

ダイヤ「はふ……んっ」

ちゅぽんっ……と、指先が唇から離れる
もう一度、中華丼のご飯をほじって、指ごとぱくりと一口
鮮やかなオレンジ色の人参を一つまみして……餡にディップする
つぅ……と、伝う餡の下に舌を伸ばす。
舌の上に落ちていく餡の甘さが染み込んでから、ゆっくりと、餌付けするように舌先に人参を乗せる

口の中に誘われたそれは、ひと噛みでほろっと崩れてしまう
それは溶けるような柔らかさで、本来の微かな甘みがしんみりと伝わってくる
0246名無しで叶える物語(茸)
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2020/05/07(木) 14:11:54.16ID:suPrfi0U
いつの間にかグルメSSになっていた
0247名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 14:14:35.94ID:uNIgasvr
ダイヤ「はふぅ……」

器に舌を這わせてしまうほどに……美味しかった
自分が人の目にどう見えるかなど忘れてしまうほどに、多幸感に包まれた
一時間近くかけて味わい、口周りを餡でべたつかせながら、ダイヤは満足気な息を吐く

ダイヤ「はぁ……」

胃に落ちた満腹感が体中に染み渡っていく
この時ばかりは、体の汚れも気にならないほどに、意識が軽くなっていた
冷えていく一方だった体が温まって、震えが止まる
ペンを握ることも出来なくなりそうだった手が、しっかりと握り拳を作れるようになる

ダイヤ「あぁ……」

こんな、最低最悪の状況であっても、まだ、幸せに思えることがあるのだと、
ダイヤは天井を仰ぎながら、嗚咽を零す
泣きながら、笑ってしまう

とても、幸せだった
器は空っぽになってしまったけれど、指先を滑らせて咥えるとまだほんのり甘い味がする……ような気がする

ダイヤ「は……ぁ……んっ」

じんじんと体に満ちていくその心地よさは……幸せ過ぎた
0248名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 14:32:01.80ID:uNIgasvr
至福の時間から戻って……先ほどの書き込みにもう一度目を通す
頑張ればもっとおいしい物を貰えるかもしれない
頑張ったら頑張っただけ、幸せな時間を味わうことが出来るかもしれない

だから、掲示板の人々に認めて貰えるよう頑張らないといけない
彼らがもう駄目だとさって言ったらまたひもじい思いをすることになる
それは嫌だ、それは耐えられない
この狭い部屋の中で、唯一幸せを感じられるのが食事なのだから……それだけは幸せになりたい

幸せになれるかどうかは、犯人ではなく匿名の人々の裁量だ
犯人は嫌がらせを仕掛けてくるが、それでも内容を決めるのは彼らまたは彼女たちなのだ
だから、媚び過ぎないように気をつけながら、全身全霊で頑張る
自分が出来ることはすべて、なんでもやっていく

頑張っていると認めて貰えれば、きっと見捨てられることはないはずだ

ダイヤ「……んっ」

先ほどの書き込みに対し返事を書き込んで、一息
ただ、先ほどの発想の転換だけは妙技だったように思う。と、ダイヤは感じる

元々はテンキーというものを知らなかったダイヤは電話番号のものか。という考えだったが
テンキーというものを知ってからは、電話番号なんて関係ないと払拭していた

そこで、黒澤ダイヤ本人の体に【L】という文字だ
黒澤ダイヤのダイヤつまり、DIAに、Lで【DIAL】とし、電話のダイヤルとして考える

ダイヤ「ダイヤルって何でしょう……なんて、私はなんて意味不明なことを……」

そんなことは、小学生でも分かっているはずではないか
0249名無しで叶える物語(光)
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2020/05/07(木) 15:00:33.30ID:5Q3fTaWD
グルメと陵辱と脱出ゲーム
0250名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 15:04:39.22ID:uNIgasvr
ダイヤ「……」

しかし、しかしだ。
ダイヤにLで【DIAL】とし、件の三目並べを照らし合わせるのならば、
何も、電話のダイヤルとは限らないのではないだろうか?
DIALであれば、時計などの盤面も同様に言えたような気がするのだ

つまり、真ん中は5でも何でもなく、ただ中心であるだけ

7 8 9 → 11 12 1
4 5 6 → 9   ■  3
1 2 3 → 7  6  5

少し考えて、ダイヤは首を振る
これはあまりにも関連性がなさすぎるのではないだろうか
これ自体が犯人による罠で、無駄に考えさせて時間を奪い疲労させようとしているのではないだろうか?

そう考えてしまうと、色々なことが無駄に見えてきてしまうが。
それこそが罠の可能性もある

ダイヤ「っ……」

考えては見ても、なかなかに答えが導き出せない
0251名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/07(木) 15:41:58.28ID:uNIgasvr
考えに煮詰まって掲示板を更新すると、またいくつかの書き込みが増えていた
ダイヤの最新の書き込みの直下では、
鞠莉が狙われた説明がつかないのでは。という言葉に対しての回答が来ている

ダイヤ「そんなのひどすぎますッ!」

内容を見て……思わずいきり立つ
学習机を力強く叩いた反動で、骨が痛む

三目並べを電話のボタンの並びにして、次の標的として9
つまりは鞠莉が選ばれたという表明なのではないか。という話だ

それなら確かに、ダイヤの〇とは別に鞠莉が選ばれた理由になる
しかし、それはあってはいけない
あまりにも惨い
絶対に避けられない最悪のゲームではないか
それがあり得たとしたら……犯人は人でなしではなく、化け物だ
クズですらない、人間の皮を被った悪魔だ

ダイヤ「……私が、勝つまで続く。と?」

この三目並べは、互いに分かり切っていれば引き分けになるゲームだ
相手が無知でなければ、まず勝敗は決まらないと言ってもいい
ダイヤが正常な状態ではなく、今のようにパソコンがなければ、犯人は容易に圧勝できる
だが、ダイヤが疲弊しきっていても、勇士の協力があればどうにかなるのが今だ

つまり……引き分けは免れない
だとしたら、
勝敗の決まらないこの三目並べで犯人が選んだ数字に値する人物が被害に遭うというのは……地獄ではないだろうか?
0252名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 16:03:04.04ID:uNIgasvr
ありえない、そんなことがあっていいはずがない
全力で、拒絶する
全力で、否定する

ダイヤ「だって……だとしたら……」

だとしたら、いったいダイヤは何を選ばされているのか。
あえて書き込んだその疑問は、答えなど分かっていた
ダイヤが選ばされたのは救いたい相手
ダイヤが犯人が選べたのは、見捨てた相手

ダイヤ「違うっ!」

それは違う。それはあってはならないことだ
叫ぶように否定して、頭を掻きむしる
脂でまとまっていた髪が散り散りになって、臭気とフケが散乱する
ノートパソコンがぽつぽつと……斑に染まる

次のパソコンを壊すことが解決の糸口では……という書き込みには迷いなく否定を書き込む
犯人のことは分からないし理解したくもない
けれど、パソコンを壊す程度で脱出できるほど優しいわけがないとは、思う

パソコンを壊したら、何も分からなくなる
明日の食事は与えて貰えるのか、温かいものが頂けるのか
まだ、自分を助けようとしてくれる人がいるのか……まだ、自分は頑張れるのか

ダイヤ「……無理です」

パソコンを失ったら、確実におしまいということだけは確かだった
0253名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/07(木) 17:20:47.45ID:uNIgasvr
ダイヤ「……っ」

書き込まれているみんなの考えは、基本的には三目並べについてだ
鞠莉が新たな被害者として選ばれる切っ掛けになったであろう三目並べについて考えるのは当然なのかもしれない
それを再開することで、もしかしたら何かがあるかもしれないし、無いかも知れない

ダイヤ「っ」

みんなの考えが流れていく
頭が回り切らないから、追いつけない
けれど、なんとか追いつこうと書き込みを目で追っていく

ダイヤ「……これ、くらいなら」

考えることが難しいなら、行動する
勇士たちが考え、これは? と指示してくれたことを実行する
書き込みの一つに見えた、靴箆で天井を押してみれば……という言葉

以前は届くはずもないのであきらめの一手だったが、
靴箆が手に入った今なら届くのではないだろうか

ダイヤ「……」

ベッドを見て、天井を見る
距離は2m以上ないだろうか?

ベッドの高さ+ダイヤの身長+靴箆
これでどうにか届く高さだろうかと目算する

ダイヤ「ん……」

弱った体に鞭を打って、靴箆を手にベッドの上に上がる
そこまで柔らかくないのが幸いしてか、高さは意外に稼げていた
0254名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 17:35:02.92ID:uNIgasvr
ダイヤ「ん……っ!」

ダイヤの身長は162cm、床上50cm程度のベッドに上がり、30cmに満たないほどの靴箆
伸ばしてみると、意外に届いてくれるもので、軽く叩いてみる
もう少しだけ、強く……返ってきたのは固い音だ

ダイヤ「……全部同じ……?」

当たり前ではあるのだが、少なくともベッドの上にある天井は全く同じ強度の素材に感じる手ごたえだ
鏡の時のような奥に響くような感じではなく、受け止められているような音

ダイヤ「……」

もしかしたら、学習机の上に乗ってもいけるかもしれない
そう考えて、パソコンを踏まないように足をかける
昨日の時点で机の強度は確認済みだ

ダイヤ「せ……のっ」

グッと体を持ち上げ、学習机の上に上る
天井を突いてみるが、やっぱり音は変わらない
突き破るより先に靴箆が真っ二つに砕ける音だ

ダイヤ「はぁ……ふぅ……」

大きく息を吐いて、首を振る
疲労は感じるが、まだ大丈夫だ
そう言い聞かせて、道具をマイナスドライバーに持ち変える

今度は、壁紙を剥がしてみよう。という態案に乗っかるのだ
0255名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 17:49:04.39ID:uNIgasvr
ダイヤ「……?」

まずは壁に耳をつけて、ドライバーの持ち手の部分で叩いてみる
天井同様に固い音が返ってくる
四方の壁全てが同じ音なのを確認してから、壁際に何もない方の壁を擦る

壁紙はその性質上、柔らかめの作りになっている
奥が固くても、表面は柔らかい

ダイヤ「っ!」

斜めに抉るようにマイナスドライバーを滑らせる
金槌があれば……とは思うが、今更だ
ガリガリッと、音はするが上手く削れていない

同じ場所をもう一度削る
削って、削って……右手で突き立て、左手を添える

ようやく壁紙が剥がれると、内側の硬いコンクリートが露出する
試しに叩いてみるが、びくともしない

ダイヤ「はぁ……はぁ……」

一部剥がしたところで、全体的に確認できなければ意味がないかもしれない
ただでさえ力の弱いダイヤが疲弊している現状、
全部剥がしきるのに、最悪一日はかかりそうだ
0256名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 18:57:56.68ID:uNIgasvr
ダイヤ「っ……」

とりあえず行動しよう
その行動の結果を書き込み、さらに次の書き込みを……というところで、手が止まる
少し厳しいことを――という前置きに続いている言葉は、確かに厳しかった

鞠莉やほかのみんなが心配なら弱音を吐いている場合ではないと、快楽に耽っている場合ではないと
他の国の子供たちは、もっと苦しい世界で生きているのだと
それなのに、たった5日程度で弱気になったりして……想いはその程度なのか。と

ダイヤ「……」

ああそう、図星だ
自分なんかより苦しんでいる子供達なんて世界にはいくらでもいることだろう
みんなを想うのなら泣いている場合ではないし弱音を吐いている場合でもない
そうだ、それはそうだ

ダイヤ「簡単に……言わないでください……」

そんなことはわかり切っていることなのだ
分かっていることと、耐えられることとではまるで違う
擦り切れた心は救いを求めるし、支えに縋りついてしまう
涙を流してしまうし、苦しさに喘いでしまう

産まれながらにして絶望の淵に立たされていた子供達と、
産まれながらにして恵まれ、唐突にすべてを奪われたダイヤは違う

ダイヤは恵みを知っている。その幸福を知っている
知っているからこそ、叩き落とされた世界の苦しさに耐えられない

ダイヤ「貴方は……私達の心なんて、知らないではないですか……」

自分の胃液で胃が焼かれる痛み、掻いても掻いても無くならない痒み
腐りつつあるような自分の体臭を嗅ぎ、汚泥のような自分の体を抱きしめて
数杯の水を飲んでベッドに入り、一日中鳴り続けるお腹の音を聞き続ける

満ち足りていた世界から、抗うすべもなくそこに叩き落とされたのだ

ダイヤ「それでも……それでも頑張るために……っ」

発狂してしまうことはある
それでも顔も名前も知らないような人々に縋りつき、時には媚びて助力を願い、
ほんのひと時で消えうせる悦楽に興じてなんとか心を繋いで生きている

ダイヤ「……私だって……必死です……」

みんなを想う気持ちは確かにある。またみんなに逢いたいと。
けれど、それだけで生きていけるのかと言われれば、ダイヤは簡単に首を振ることなどできはしない
0258名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 19:17:48.58ID:uNIgasvr
件の書き込みには、返事を書き込めなかった
彼の言葉はあまりにも強い正論で、反論してしまえば……いろいろなものが砕けてしまいそうで。

その先の書き込みに目を通し、キーボードを見る
マイナスドライバーで【iキー】を外せないか。という話だが……申し訳ないが出来ない
パソコンの分解というものになるのだろうけれど、ダイヤはその技量がないし、
唯一の生命線を断つようなことは極力したくない

もう一つの書き込みについても……首を振る
ベッドからはまず届かない
学習机も同様で、唯一届くと言えば洗面台のふちに上ることだが
それでも背伸びをすることでようやく外せるかもしれない。というところだ

それでもやるべきと言われればやるけれど、腹を切ることのように
そこに何かがある。という僅かでも可能性がない限りはやりたくはない

ダイヤ「………」

また手詰まりだ
だからと言って、今日はもうお休みします。なんていうのは頭がイかれている
頭を掻きむしって、考える

謎の数式らしきものが書かれていた底板を掲げてみる。【1■■■■=9】という暗号のようなもの
足し算か、引き算か、掛け算か、割り算か
もしくは、この間になど何の意味もなく【1=9】なのか
0260名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 20:11:11.92ID:uNIgasvr
ダイヤ「……」

仮に、1が1とする
その場合、9になるのは【+8】、【×9】
仮に、1が10とする
その場合、9になるのは【-1】
仮に、1が11とする
その場合、9になるのは【-2】

11~19、あるいは、100桁台
ここから先はどこまで行ってもマイナス計算が必要とされてくる
もちろん、途中で割り算も含まれてくる
そのため、あまり大きい数字がヒントとして機能するとは思えない

ダイヤ「……」

これを見つける意味はあったのだろうか
ただの落書きでしかないという可能性はないのだろうか
犯人のイヤらしい引っ掛けという線はないだろうか

……十分にあり得る

ダイヤ「……1=9」

しっかりと跳ねて書かれている以上、1は1だ
10かもしれないしそれ以上かもしれないが、1は1だ
そして、答えは9

これを考える意味は、果たしてあるのだろうか
0262名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 20:44:00.40ID:uNIgasvr
ダイヤ「……え?」

掲示板を更新すると、先ほどの書き込みを行っていた人が新しく書き込みをしたようで
それに対しての書き込みがちらほらと見えた

1日1食は固形物を食べられているのだし、
5日間風呂に入ってない程度で甘えすぎだと、縋りすぎだと
高すぎるプライドをへし折られて狂っているとしか思えないと。
みんなが優しいから、ダイヤが考えることを放棄しているのではないか。と

ダイヤ「皆さんが優しいのは、悪くありません……」

入浴もシャワーも、タオルで体を拭うことも、清潔な衣服に着替えることも出来ないけれど
初日にプリン、2日目に幕の内弁当、3日目に麦茶、4日目に凍ったオムライス、5日目に中華丼
そうやって、餌を与えられてきた

ただ……贅沢を言わせて貰えるのなら、ダイヤは清潔な方が好ましかった
今は空腹で不潔
黒澤家の長女としてのプライドがあるのかもしれないが、女として不衛生なのはストレスが多大なのだ

とはいえ、甘えすぎ縋りすぎは事実なのかもしれない
優しい言葉をかけてくれるから、温かい言葉をかけてくれるから
まだまだ頑張れる……初めからそういう考えだったのではないだろうか

けれど、唐突にすべてを奪われた先で触れられる温もりに縋ることを良しとされなかったら
それこそ、最初につきつけた首の包丁はスッパリと命を断っていたはずだ

ダイヤ「私が弱いから……でも、何を書き込めば……」

自分のせいだ
自分のせいでこんな悪い空気になろうとしている
だから、何かを書き込まなければと……ダイヤはキーボードに手を置いたまま硬直した
0263名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 21:15:59.97ID:uNIgasvr
自分に非があることを認めて、みんなは悪くはないと、否定して
もしかしたらこうだったのかもしれない
だから、こうなってしまったのかもしれない

それを考えて書き込む

ダイヤ「……」

件の書き込みの後には犯人の書き込みまで追加されていて
自分は甘すぎたのか……などと書き込んでいる
そんなことはない、ダイヤには今でも十分辛い
けれど、その辛いと思って言こと自体がまだ甘いのかもしれない

辛い、苦しい
そう感じる余裕があるのではないか。と
きっとみんなは否定してくれる。優しい言葉をかけてくれる
けれど、ダイヤはそれに縋ってはいけないのかもしれない
みんなの否定と優しさを振り払って、自分は弱者だと認めて……

ダイヤ「……卑しい女」

ダイヤは最後に、自分を侮辱する言葉を追加した
きっとみんなは優しい、きっとみんなは甘えさせてくれる
それを理解したうえでの考えをしている時点でーー卑しい

ダイヤ「……なるほど」

犯人の書き込みを読み進めていく
そうして、それならば――と、書き込む
0264名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 22:29:53.12ID:uNIgasvr
ダイヤ「えっ……あ……」

犯人の書き込みが邪魔で、掲示板の空気がさらに淀んでいく
中には犯人のやり口に同調する人もいて、めちゃくちゃだ
飴を与えようという安価も、それで流れている

ダイヤ「……」

書き込みをしたいが、今書き込みをしてどうなるのだろうか
ヒントが欲しいと書き込んでもダメと言われてしまったし、
今の流れに介入できる言葉が思い浮かばない

暫く見送っていると、犯人の脱出させてもいい。という意思表示がされて
すでに鍵は手元にある。というヒントが与えられたうえでーー二日後の処刑が決まった

ダイヤ「えっ?」

二日後……つまり明後日だ
明後日もまだ脱出できていないのなら、殺す。とのことだ
なぜ急にそんなことになったのかは分からない

ヒントを与えた代償……だろうか
今の手元にある道具に鍵らしいものはなく
鍵は鍵の形をしていないのか。という質問には、【そうとも言えるし言えない】というあいまいな答えが返ってきた

ダイヤ「っ……」

靴箆、ドライバー、包丁、DVD、ベビードール、鏡の破片、底板、引き出し
洗面台、便器、ベッド、枕、マットレス、掛布団、パソコン、学習机

トンカチ……金槌は奪われたから例外だろう
犯人が嘘を言っていないのならば、この中のどれかだ
0268名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/07(木) 23:19:10.75ID:uNIgasvr
ダイヤ「……お願いします」

あと二日という制約が課された以上、もう躊躇っている余裕はない
助力を要請する書き込みをして、自分の考えを書きこむ
それからすぐに掲示板に新しい書き込みが追加され、確認する

まずは考えを煮詰める
そうして、何か気になる点があったら確認をしてみて、結果を書き込む
そうやって候補を削っていくしかない

ダイヤ「マウスですか……」

マウスは有線タイプのもので、
ここに来た当初からずっとパソコンとつなげられている
分解できないかとマウス自体は見たし、それは壊さない限り不可能だと分かったがコードは見ていない

ダイヤ「……」

長方形、中は約半分が白くなっておりその上には電気を通すためか、凹凸が見える
見て思う。正直、USBとやらの端子が特殊かどうかなど……ダイヤにはわからない

ダイヤ「これ……」

書き込み欄の下にあるお絵かきLOADというものをクリックしてみると、
どうやら、絵が描けるらしい
これでどうにかできないだろうかと四苦八苦してみたが
まるでうまくいかなくて……結局、文章のみで書き込むことにした
0269名無しで叶える物語(関東地方)
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2020/05/07(木) 23:44:41.39ID:nBHVZ1FJ
>>267
DIAL以外は事実をメモしただけだから、向こうに貼って何か進展するわけじゃないし、むしろss本文で1つ無駄なレスポンスが増えるだけかなあ、と思う

ところでダイヤさんの背中にLがあるからDIALというのはまだ納得いくけどこれを3目並べやテンキーなどと結びつけるのはやっぱり無理があるのでは
"ダイヤル"や"DIAL"でイメージ検索しても時計盤ばかりでテンキーや井は出てこない
0270名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 00:07:52.02ID:6Vk4OqaK
キーボードの【キー】はどうか。という書き込みも見られるが、
これに関しては、中々に手を出しにくい
というのも、キーを取るならドライバーで抉るという話だ
それをして割れたりなんだりしたら取り返しがつかない

ダイヤ「……っ」

そのあとのマウスについての書き込みもあるが、
マウスは言った通り、叩きつけるかトンカチで勝ち割るかしなければ分解は出来ない
もっとも、マウスならなくても何とかなるにはなるが。

ダイヤ「それは……」

D.KUROSAWAという刻印
金槌が関係ない以上、関係ない可能性もあるけれど
金槌が鍵ではないというだけであって、D.KUROSAWA自体には意味があるかもしれない

かく乱させるという目的でこうしている可能性もあるけれど
そうではない場合、必ず意味があるはずだ
かく乱されていたら……取り返しはつかない

ダイヤ「っ」

頭を掻き、腕を掻きむしって……考える
時間がない。ちらりと目を向けたPC上の時間はもう、眠るべき時間だ
0271名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 00:22:47.13ID:6Vk4OqaK
髪留めはどうか。という書き込みを見て、自分の頭に触れる
残念ながら、髪留めはない
鏡の破片は鍵の形をしていないだろうか?

ダイヤ「………」

隅にまとめられたガラス片
これを確認しようかと考えて……まずは書き込みをする

もう時間も時間だ
それに、日付を見てみれば、明日はもう平日になっている
命がかかっていると言ってもこんな時間まで協力はさせられない

ダイヤ「ありがとうございます……おやすみなさい」

もし、頑張って頑張って、それでもだめだったとしても
みんなは何一つ悪くはないと、心に思う

ダイヤ「「もうひと、頑張り……っ」

眩暈がする
眠気のせいか、疲労のせいか
閉じそうになる瞼を無理矢理に開いて、ガラス片を一つ一つ避けていく
0274名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 00:39:27.97ID:6Vk4OqaK
鍵はマイナスドライバーが差し込めるような形で
どちらかと言えば横長のタイプのはずだ
マイナスドライバーを横に並べて、
それ以上の横幅があるもの、細すぎるものを取り除いていく

ダイヤ「………」

一枚、一枚丁寧に
もしも鍵があったら、割れてしまう可能性もあると、身構えて
少しずつ枚数が減っていく中ーー指先が熱くなるのを感じた

ダイヤ「ぁ……」

どうやら指を切ってしまったようで、じわじわと溢れ出てくる血が鏡を伝って床に滴る
赤い滴が鏡の破片に囲まれて、どこか危うい色合いへと変貌する

ダイヤ「まだ……」

左手を切ったのなら、右手で
細かい破片を含めれば数十枚もある破片をより分ける
反射する自分の顔は酷くやつれている
けれど、それがどうしたと……手を動かす

その顔は甘える卑しい女の顔だ
だからまだ、どうとでもなるだろう

ダイヤ「……っ」

両手に切り傷をいくつも作りながら、すべてをより分けてーーけれど
鍵穴に巧く嵌まるような破片は一枚も見当たらなかった
0275名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 00:56:15.84ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……鏡の破片もダメ」

提案をくれた人も、さすがにこれは……という様子だった
枕はびりびりに破いて中身を確認したし、
便器は最初に手を突っ込んだ

というより、もうすでに握っている。という話なのだから
何らかの方法で手に入れたものと考えるのが妥当ではないだろうか
こういうことに詳しくはないが、鏡の破片はその入手したものには含まれないような気がした

となると、便器を壊しても意味はないし、電灯を外したり破壊しても意味はない
現状入手済みのいずれかの道具が、鍵だ

ダイヤ「……金槌は、例外」

ただ【D.KUROSAWA】はやはり気にはなってしまう
ミスリードだとしたら最悪だが。
包丁、靴箆、シャーペン、底板や引き出しは……含まれるだろうか?
あとは、マウスやキーボード
まだまだ候補は沢山ある
0276名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 01:09:11.40ID:6Vk4OqaK
もうみんな眠っていることだろうが、
ひとまずの考えを書きこむことにする
この考えが足を引っ張ってしまうかもしれないという懸念はある
だが、行動しないのは……ダメだろう

あと二日間、たったそれだけだ
今の辛さに蓋をして、その間だけ全力で頑張ってしまえば
どちらにせよ、救われる
生か、死か。それは分からないけれど。

ダイヤ「鏡は……」

鏡の破片は違う。便器や電灯ももう関係ないだろう
現状手に入れている持ち物総ざらいがいいのでは……という書き込みを引用して、書き込む

しっかりと書き込んだことが確認できてから、一息つく
今日も色々と考えはしたけれど、あまりまともに考えられていたようには思えない
一応、考えは掲示板に書き込んだりもしていたのだが。
お昼付近は本当に、何にもできていなかったように思う

ダイヤ「……あと、二日」

いや、今日がその一日の一つであればあと一日だ
全力で、頑張ろう
昨日までの体たらくではいられないと……ダイヤは固く思って、電気を消した
0277名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 01:11:05.02ID:6Vk4OqaK
とりあえず今日はここまで
0278名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/05/08(金) 08:44:58.49ID:tg5I5wXg
ダイヤ「っ……」

朝……なのだろうか
目を覚ますと、ずっしりとした体の重さを感じる
だんだんと慣れつつある悪臭に眩暈を覚えながら、ぼりぼりと頭を掻く
体も頭も、掻き毟るのには慣れて、ここは傷があるから。と、手加減もできるようになってきた

何度か瞬きをし、体を横向きに起こして力いっぱいに上半身を引き起こす
ベッドの端に座るだけで言いようのない倦怠感に包まれるが、ダイヤはしばらく目を閉じる

ダイヤ「……あと、1日」

今日を含めればあと2日だが、含めなければ1日
まだ時間はあると考えてしまうと、怠けようという悪い心が出てきてしまうかもしれない
甘えすぎと言われた。縋りすぎと言われた
こんな状況なのだから仕方がないだろう……というダイヤの反論はそれに一蹴される

ダイヤ「どう……?」

昨日は見事に転倒してついぞ泣き叫んでしまったが、
慎重に足を下ろしてみれば、下半身に地が巡るような力の入れ具合は微弱ではあるが、歩けなくはなかった
摺り足気味に前へと進み、壁に手をつく
ゆっくりと辿り着いた先で、もうすっかり場所の覚えた電気のスイッチを切り替える

ダイヤ「ほ……」

電気がつかないようにされていたりはしないことにまず一安心
次にパソコンに向かって、掲示板を更新する

ダイヤ「?」

掲示板を更新しても、結果は変わらない
ダイヤの最後の書き込みで終わってしまう
犯人のいつもの安価はなかったのだろうかと目を細めると――差し出口が音を立てた
0279名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 08:59:18.80ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……?」

朝の時間なのだろうか
いや、それでは安価が来ていないのはおかしい
右手に包丁、左手に靴箆を握って身構える
以前は為すすべなかったが、今は心構えが違う

ダイヤ「あれは……」

だが、ダイヤの警戒をよそに、差し出口からは何かが差し込まれただけで
犯人が姿を見せたり、危害を加えられるようなことはなかった
恐る恐る近づいてみると、底の深めな円形の器に、白い液体がなみなみと注がれているのが見えた

ダイヤ「牛乳?」

器を持ち上げて、匂いを嗅いでみる
ほんのりと甘みのある匂いは……牛乳だろうか
冷凍オムライスほど強くはないが、しっかりと冷やされていたもののようで冷気を感じる

ダイヤ「なぜ……」

差し出口を見る
安価は来ていないのに、差し出された牛乳
犯人が差し入れをするとは思えないので、これは確実に何かがある
そう思って警戒していると、傾いたせいか、おかげか、牛乳の中に一枚の紙が浸されているのが分かった

ダイヤ「なんてことを」

厭らしい悪戯に顔を顰め、紙を摘まみ上げる
ポタポタと滴らせている紙は、ダイヤが渡した三目並べの紙とは違うようだ

【部屋の中央で、這いつくばってこれを最後まで舐めること】

ダイヤ「……なるほど」

これはいわゆる命令だ
牛乳を犬のように舐めている姿をさらして見せろ……つまりはそう言うこと
そうなると、掲示板は更新されていないように見えるだけで、
例の就寝後に行われる罰則的な安価は実施されたと考えるべきだろうか
0280名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 09:21:29.98ID:6Vk4OqaK
牛乳の入った器を部屋の中央に持っていき、配置する
パソコンの前に戻って、更新
これでは何も起こらない
では書き込んでの更新はどうか……と、試す

ダイヤ「……」

書き込み規制
以前にも起きた現象が、また発生する
これは犯人によるものだろう
以前は安価の時だったか……何だったかで書き込みを行えなくされていた

その一件が終了してからすぐに規制解除されたことを思えば、
この牛乳を舐めとること。という命令を果たすまでは掲示板の更新も書き込みもできない
逆に言えば、それを達成することで元通りになるということ

ダイヤ「なんて露骨な……っ」

これは時間稼ぎだ
しかも、犬のように這いつくばってなめさせるなんて言う醜態を晒させたうえで、外部との連携を奪う最低の嫌がらせ
直径は大体15センチほどで、側面から察するに、深さは5センチ程度だろう
溢れるほどではない牛乳は、深さで言えば4センチほどになるだろうか
これはまず間違いなく……時間がかかる

ダイヤ「そんなに、殺したいのですか?」

2日という期限を与えた翌日にこの所業
控えめに言って、犯人はクズだ
今までは何かを奪うという安価だったはずなのだから、手法を変えてまで邪魔をし絶対に殺してやろうという強い殺意を感じる

ダイヤ「……承知しました」

なんにせよ、これをやらなければ彼らとの連絡手段は奪われたままだ
ダイヤは中央に置いた犬用と思われる器の前に這いつくばると、舌を伸ばして牛乳を舐めた
0281名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 10:13:55.76ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「んっ……っふ……」

ぺろっ……ぺろっ……と、牛乳を舐める
舐めるたびにぴちゃりぴちゃりち白い滴が飛び散って、時折、ダイヤの鼻先を濡らす
約5日分の汚れが残る薄紅色の舌が白色に染まっていく

ただでさえ、犬のように厚く長いわけでもない人間の舌は液体を舐めてすくうということが不得手なのだが
ダイヤの小さな舌はより、多くをすくうことは出来ない
口元や鼻が汚れていく一方で、水面が僅かにも下がるような気配がない

ダイヤ「ふ……んっ……はふっ……はっ……」

惨めに這い蹲り、下品に舌を伸ばして、与えられた施しに口をつける
それはとても、卑しい女らしいのではないだろうか
必死に舌を伸ばしながら、牛乳にぴちゃりと差し入れる
ひんやりとした甘みのある水分が染み込んでいくのを感じながら、ぺろっと引き上げて口に含む
殆ど、その舌に染みた分の牛乳しか減らせない
舌ですくえるのは数滴ほどの量しかなく、なみなみと注がれた牛乳にはまるで意味がない

ダイヤ「はぁ……はぁ……」

舌をつけてから30分ほどが経過しただろうか
牛乳は一向に減らないが、ダイヤは疲れを滲ませながら自分の口元を手の甲で拭い軽く揉む
不慣れな舌芸は、ダイヤの舌には非常に辛い
じわじわと痛みが生まれ、痺れたような感覚を覚える

ダイヤ「……っ」

すぐに終わるとは思っていなかったが、
思っていたよりも、体には堪える苦痛だった
0282名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 11:49:29.48ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「っは……はっ……はっ……はふっ……」

お尻を突き出して、一心不乱に舌を出してぺちゃぺちゃとやっている様は
はたから見たらどんなものなのだろうかと、ダイヤは床につけた手に力を籠める

鼻ではなく、口での呼吸
汚れが分かる不気味な臭素が味覚を通って全身に流れ込んでいく
十数回舌をつけては、こくりと喉を鳴らしてまた舌をつける

ダイヤ「はっ……はぁ……っ」

無尽蔵に供給されるわけではないため、賽の河原ではないが
いっこうに底が見えないのは聊かにいら立ちが募る
これならばむしろ、桶にたっぷりの牛乳に顔を突っ込まされて飲まされた方がまだマシかもしれない

ダイヤ「はぁ……はぁっ」

唇をつけてはダメだろうか
そんなことを考えるが、どうせこの瞬間も犯人は見ているのだろう
唇をつけた瞬間喜んで罰則だとでも言い出しかねない以上、指示に従っていくしかない
今は余計なことを考えず……ただ、犬になるしかない

ダイヤ「……っ」

高海千歌の家にいる、大きな犬を思い出す
あの子はどんな姿勢でご飯に食いつき、どんな姿勢で水を口にしていたか

ダイヤ「はふっはぅ……んっ……っふ……はっ……」

這い蹲りながらも腰を浮かし、お尻を突き出して、可能な限りに斜めに舌を入れて短い分の不足を補う
舌だけでなく、全身を上下に揺すって勢いと動きをつけて牛乳に突っ込む
時々鼻や髪の毛が浸ったりしたが……関係ない

ダイヤ「はふ……はっ……はっ……」

極力休まず体と舌を動かし、ダイヤは犬になりきって、牛乳を舐め続けた
0284名無しで叶える物語(茸)
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2020/05/08(金) 12:16:04.26ID:DDjp60Xv
やってみると全然減らないんだよね
よくあれで給水出来てるなと思うよ犬も猫も
0285名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 12:17:06.31ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「けほっ……けほっ……」

何とか器を空にして、どこかにあるカメラに向かって掲げる
牛乳臭くなった髪と顔を拭って、すぐにパソコンへと向かう
更新をクリックしてみると……しっかりと表示された

ダイヤ「はぁ……」

とりあえず書き込みを確認し、
昨夜書かれていた書き込みを引用して、確認内容を書き込む

まずはマウスだ
有線タイプのマウスは、裏面に電池を入れるところはなく、
どこかを外すような仕組みにもなっていない
パソコンとの接続部分であるUSBを外して、全体を見てみる

ダイヤ「……」

見る限り解体は出来なさそうに見えるが、性質上、クリック部分は浮きが出来ている
この部分なら、どうにかなるのではないだろうか
0286名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 12:33:22.23ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……ここでしょうか」

隙間にマイナスドライバーを差し込み、真上に向けて蛍光灯の光で中を見る
それでも暗くて十分には確認できないが、指で押しつつ、中のつくりを思い描く

マウスの上の部分はお尻の方は触っても何もないが
中央の前部分にあるくるくると回せるところに近づくにつれてカチカチと音が鳴るようになる
その際、沈み込んでから音が鳴ることを考えれば内部はボタンのような作りになっており
上部前面を押すことで、何かがボタンのような部分を押していると考えられる

それならば。と、ダイヤは差し込んだマイナスドライバーをゆっくりと傾けながらスライドしていく
どの部分が嵌まっているのか
どの部分を浮かせれば外せるのか
少しずつ動かしながら調節して、マイナスドライバーを縦にする

パキパキ……と音が鳴って、ひと際大きくパキンッとはじける
マウスの右クリックに値する部分が外れて、浮き上がった

ダイヤ「なるほど」

そこからまた中身を確認し、全面部分ははめ込み式で、前面と横の部分ではめられているのを確認する
左右の駆動が同じであれば、ほぼ間違いなく同じ動きで外せるだろう
やってみると、同じように浮き上がった
0287名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 12:43:26.02ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……でしょうね」

全面部分を外したからと言って、ふたが外れるわけではないようだ
だが、要領はもう掴んだ

まずは右側の側面にドライバーの先端を差し込み、横にスライドしていく
耳を澄ませ、指先の感触に集中し、
はめ込みが行われているであろう位置を確認する

ドライバーの先端が動かなくなり、蓋が動かなくなる位置
その付近だろうと考え、少しだけ前の道に戻して
反時計回り、時計回りと交互に動かして揺らし、ずらし、ドライバーを立てる
ピキピキと危うげな音を立てていたふたは、パキンッと、また一つ外れる

ダイヤ「難しい……」

右側と同じように左側も外してみるがまだ外れない
今度はまた右側の引っ掛かりがあった付近に差し込んでみる

ダイヤ「?」

差し込んでみたが、あまり浮かせられず引っかかる
それなら……

ダイヤ「っ」

手前の引っ掛かり部分に差し込み、ドライバーをシーソーのように動かしていく
そうして少し力を入れると、パキンッと、また一つ外れた
そのまま左側にも同じように試しーー蓋が飛んだ
0288名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 12:55:18.78ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「あ……」

後ろの最後の部分が欠けた可能性があるが、それ以外には問題はなさそうだった
ネジ穴や、外せそうな箇所は見当たらず、
くるくると回す部分の周囲からさらに細部を覗いてみても、特にこれと言った不思議な点は見当たらない

ダイヤ「これも違う」

振っても見ても特に異音などは感じない
マウスは鍵ではないのだろう
外した蓋の裏と、マウス本体を観察し、そう判断する

ダイヤ「ぇぃっ」

ふたを被せて、ぐっと押し込む
まずは後ろの方を両手の親指で
強く、強く押し込んでやると、パキンッっと音が鳴って嵌まる
同じように前の方にも力を加えると、一見何事もなかったような状態には戻った

左クリック、右クリック
どちらも外す前と同じように音が鳴ることを確認し、パソコンに接続する
一応、問題なく動くようだ
0289名無しで叶える物語(光)
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2020/05/08(金) 13:27:27.62ID:pb+CFXmz
>>281-282
描写丁寧すぎて草
0290名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 13:43:46.37ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……さて」

マウスがダメだったから終わりなのか。というわけではない
とにかく結果を書き込んで、掲示板を更新する

ダイヤ「……ですね」

1時間ほど前の自分の書き込み以降、誰の書き込みもないようだ
それはそうだろう、世間一般的には平日の昼間だ
本当に監禁されているかもわからないような女になど、あまり付き合ってはいられない

思えば、例の三目並べの紙には本当に意味はなかったのだろうか?
そもそも、あそこに当て嵌まるのは数字だったのだろうか?
ダイヤの背中に【L】だから、【DIAL】これは本当に気づかない
ダイヤがパソコンを利用し、みんなに下着姿を見せてようやく発覚するヒント

ただ、書き込みにもあったが、これが思考ロックの可能性もある
たとえば……

ダイヤ「D.KUROSAWA……DL.KUROSAWA……」

DLについて、ダイヤが良く聞くのはダウンロードだ
高海千歌達と関わるようになって、さらに多く耳にするようになった
他には、デシリットル。
ただ、デシリットル・黒澤では意味が分からない
0291名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 13:59:54.53ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……」

発想の転換は可能だろうか
たとえば、【L】をつけるのはダイヤではなく黒澤の方だとか
そうなると、【KUROSAWAL】直訳というかそのまま読めばくろさわる
つまり、黒さわ……

ダイヤ「いえ、待って……」

黒、触る
それならいい
ちょっとだけ飛躍した考えではあるが、あと二文字追加することでダイヤの妹の名前に出来る
そう……【黒澤ルビィ】だ
しかし、黒澤ルまで行けたとしても、ビィはない

ダイヤ「……確か」

掲示板をスクロールしていく
先ほども参考にしたあたりの書き込みを読み込む
そこにある、背中だから、バックでは? というのを参考にしたらどうだろうか
バックは【Back】ビィに値する【B】がある

ダイヤ「まさか……」

三目並べについて、場所としては絶対不変の5番
鞠莉が9だというのなら、声かけの順……つまりはルビィが5となる
そうして、ダイヤの背中に書かれた【L】背中の【B】
合わせてみれば【黒澤ルビィ】に出来る

ダイヤ「……待って、でもRではなくLだから……」

ローマ字状では、LUは【ル】ではなく【ゥ】だ
そう、だからこれは違う。心では、否定した
0292名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 15:29:33.39ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「………」

掲示板の方に書き込んでみた結果
L一文字では【ル】と読むかな。という意見が返ってきた
だとするならば、ダイヤの推測に関してはないとは言い切れない可能性がある

しかし、ここで問題なのはなぜ【R】ではなく【L】なのか
どのような大きさで書かれていたのかダイヤにはわからないが、
画面越しに確認できるようそれなりの大きさだったはずだ

ダイヤ「……大きく書くため?」

Rの場合、下手をすればPにも見える
だが、Lなら隠されていなければしっかりとLだと認識できる
とはいえ、犯人がそのような配慮をするだろうか
考えられるとしたら、あえて【L】にすることで【R】であるはずのルビィとは思えなくしたかったか。だ

その方が、この犯人らしいと言えばらしい
陰湿な感じがそれっぽい

ダイヤ「念のため聞いておいた方が良いかしら」

掲示板に【KUROSAWALB】なら何と読むかという疑問を投げかけて、一息つく
手に握る道具、包丁、金槌、靴箆、そこに書かれている【D.KUROSAWA】
Lはダイヤではなく、黒澤の方につける。という意味での刻印だったかもしれない

だから、鍵は握られている。と

しかし、それではシャーペンに刻印がないのはなぜなのか
あれだって、手に握る道具だし、ドライバーも同様だ。
もし手に握る道具ということであれば、その二つだって例外ではなかったはず

ダイヤ「……」

やはり、【D.KUROSAWA】はただのブラフなのだろうか
0293名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 16:12:13.59ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「やはりそうですね……」

ルビィはLではなくRだ
それを指摘する書き込みもあって、ダイヤは考えすぎだった。と書き込む
ダイヤ自身、それは考えすぎであって欲しかったことだ

ただ、それは姉であるダイヤだからこそ否定したい。というだけで
他の人であればもしかしたら……と、底から何か導くことが出来るかもしれない

ヒントは【黒澤ダイヤさんはしっかりと鍵を握っています】だ
そしてこうも書いていた【誰もそれに気が付いていないだけです。非常に残念でなりません】と。
ダイヤの鍵は鍵の形をしていないのか。という質問には【そうとも言えますがそうとも言えません】だった

誰も気づかないような場所にある。あるいは誰も気づかないような状態である

頭を掻きむしって、迸る悪臭に顔を顰める
今日を含めればあと二日で、これ以上に汚い体にされたうえで処分……殺される
どのような殺され方をするのかは分からないが、
犯人の推測できる限りの性格上、普通には殺されないだろう
こんな汚い体だ……少なくとも、強姦はされないという安心感だけはある

ダイヤ「鍵の形をしていない……」

つまり、それは本来鍵としての機能を持っていない。ということだろうか
0294名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 16:31:04.77ID:6Vk4OqaK
鍵としての機能を持っていないのは、包丁、靴箆、シャーペン、ベビードール
その他、部屋にそもそもあった家具や備品
つまるところ、すべてである

握っているという点に着目するなら、
その時に握っていたのはパソコンに接続されているマウスだ
しかし、分解しては見たものの
鍵らしい鍵はなく、そのようになるような状態でもなかった
端子についても、一応鍵穴らしきところに向けてみたが一ミリたりとも入らなかった

ダイヤ「鍵を握っている。しかし、誰も鍵と気付かない」

声に出してみる
特に、今まで以外に気付くような点はない
鍵を握っている。その鍵は、この鍵穴らしき場所に合致するもの……という認識で良いのだろうか?

鍵……キー……キーボード
そう読めば、パソコンのキーボードが鍵と読めなくもないし、
キーとボードを分離させて考えれば、キーのボード。つまり鍵になるのは板。という可能性も出てくる

ともすれば、底板の【1■■■=9】だろうか?
これを解明することで、鍵のありかが分かる。とか

ダイヤ「あぁ……お腹が痛い……」

軽くお腹を擦る
冷凍のオムライスを食べて、中華丼を食べて、
犬用の水皿一杯……大体500ml程度を舐めさせられたのだ
色々と大変な事になっているのは想像に難くない
0296名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 17:27:56.61ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……なる、ほど……」

掲示板へと書き込んでいると、
実は背中の【L】は【7】なのではないか。という考えが出てきて、なるほどと思う
無理矢理ではあるが、逆立ちして見せれば7にも見える
そうなることで、ダイヤは7となる

ダイヤ「まさか……」

例の三目並べ
あれで自分が7の位置を選んでいれば救われたのではないか。と考える
それに対して、番号は一位に定まらないのではという書き込みが続くが、ダイヤはすぐに書き込む

今までの考えを取りまとめれば、
ダイヤの背中に【L】で【DIAL】とし、【7】とする
こうすることで、電話のボタンの並びであり、ダイヤは7と定められていた可能性がある

ダイヤ「っ……」

ぐぎゅるるぅぅ……と、空腹にも似た音が鳴る
だが、それはダメな方の音だ
もう少しだけ……と、擦る
臍の辺りから下腹部の方にまで伸びる熱を持った感覚
座る足で、臀部を圧迫する
0297名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 18:59:55.47ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……あぁ」

掲示板を更新すると、今日は夜となっていた食事が選ばれた
どこかの定食屋さんの定食のようで、結構な量になりそうなもの
せっかく、食べやすさまで言及してくれているが……犯人はとても楽しそうに鬼畜と言う

実際、今まで素手で食べてきたダイヤにとって、
食べるためのスプーンなどが提供されることは非常にありがたいことだった
しかし、今の体の状態では少々辛い。食べること自体……が、だ。
普段なら朝に来るはずの食事が、今日に限って夜と言うのは何たる不幸か

ダイヤ「大丈夫」

お腹を擦る
嫌な音が聞こえるけれど……がんばればなんとかなる。かもしれない
犯人は嫌がらせで悪い方に捉えて鬼畜と言うが
考えてくれた人はそんなつもりなんてなかったはずだ

残したら、罰則
以前みたいに3食から1食に……という感じのものならまだいいが、きっとそうではない
そんなことよりも今は脱出の方法を考えるのが先ではないだろうか
0299名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 19:43:36.10ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「はぁ……っ」

腰を落とさず背筋を張るようにして座りなおし、犯人の書き込み前に来ていた考察へと返答を返す
匿名の彼の考察は、確かに考えられることではあるが、
だとしたら、5番に値するであろうルビィの安否は? と、なってしまう
こんな場所に監禁される前夜、ルビィは確かに居た

明日は花丸ちゃん達とお出かけするんだぁ〜と、とても浮かれていた

ダイヤ「……逃げているだけ。でしょうか」

5番のルビィがまだ犠牲にはなっていないと、
そういう思考の逃げが、鍵を見つけ出せていないのだろうか
否定はできない
卑劣な犯人のことだ、すでにルビィは捕まっているかもしれない
だとしたら、遊ぶと言っていた国木田花丸もだろうか

ダイヤ「……そう、ですね……」

ダイヤの最新の書き込みに続いた、言葉に頷く
脱出が限りなく近い今、変に不安に思うよりは脱出して安否の確認をしたほうが良い。
犯人が一人、または複数犯なら、ダイヤの脱出が監禁されている全員を救うことに繋がるかもしれないのだから。

ーーカタンッ

ダイヤ「なるほど、お早いご到着で……」

そうして、ダイヤのもとに餌が届けられた
0300名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 20:19:28.15ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……」

小さめに感じるちゃんの中には水分をしっかりと含みきらきらとした白米
見ているだけで肉汁が溢れそうなとり天と添えられた少量の緑黄野菜
味噌の香ばしくも甘い温もりを感じる味噌汁
鮮度を感じるきらきらとしたおくらやとろろ、納豆とわかめ類そして……まぐろとたくあん
それに合わせるぷっくりとしていてまろやかそうな卵黄
海藻類のほのかな潮気に、だしの甘みが絡んだ醤油

それはとても、豪勢で彩り豊かな食事だった

ダイヤ「っ……」

お腹が唸る
空腹感と不快感が殴り合っているような響く痛みが流れ込んでくる
臀部がひくひくと痙攣するように動いて気を緩めばとてつもないことになりそうな感覚に冷汗が出てくる
せっかくの美味しい食事なのに、ダイヤは素直には喜べなかった

ダイヤ「ひぅ……っ!」

差し出口の前に置かれている定食を持ち上げただけで、お尻の下部に熱が動く
思わず間抜けな声を漏らしてきゅっとする
ドキドキと、胸が大きく高鳴る
忍び足でゆっくりと……足を引き摺るかのような丁重さで歩き、学習机のパソコンの横に落ちないようにお盆ごとおく
お盆があるのは優しさではなく、単純に一個一個細々と差し出口から入れるのが面倒だったからだろう

ダイヤ「これは……」

ぎゅるるるる……と、悲鳴が上がる
ただ、学習机は洗面台を挟んで隣に便器がある。
しかも壁がなければ、小さな換気口があるだけなのでかなり長い時間下品な空気が部屋に残留する。

ダイヤは、どうするべきかと……お腹を撫でた
0301名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 20:41:56.79ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「っ……」

まずは考察への返事を書き込んでから、
味噌の沈殿した味噌汁のお椀を持ち上げて、お箸でかき混ぜる
味噌の甘く広がる匂いが、体に染み込む
ぐぎゅるるる……と、腹部の痛みに、お椀が揺れる
久しぶりの端の感触に少し違和感を覚えながら、わかめを摘まんで一口

ダイヤ「ん……」

ぴたぴたと舌した柔らかなわかめは、くにゅりとした食感で
身に纏っていた味噌の衣が口の中で脱ぎ散らかされていく、じんわりと広がる味噌の甘み
お椀を傾けて、唇を薄く構えて、温もりを流し込む
わかめが身に纏っていたものが、まるで偽物だったかのような色濃い風味が口腔を満たし、鼻を抜ける
ごくりと飲み下すと、厳戒態勢だった胃の中にちゃぽん……と、落ちて体が震えた

ダイヤ「ぅ……」

これはまずいと体が自覚する
食べ終えるが先か、後か
耐えきれなくなって噴き出してしまうかもしれない
座り込み、尻をきゅっと締めて足で押さえてはいるものの
限界が近いのは火を見るよりも明らかだ

ダイヤ「……ぅぅ」

それでも我慢して食事を終えて、そのあとにトイレに行くか
我慢せずトイレに行って、下劣な臭素に満たされた部屋で食事をするか
前者で間に合うのならばいいが、間に合わなければ最悪だ
とはいえ……せっかくの豪勢な食事をそんな部屋で食べたくもない
0302名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 20:55:48.72ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「ぁ……ぅ……」

お椀を置き、箸を置く
ぐるぐると低い唸り声を上げるお腹に手をあてがいながら、静かに体を起こす
足から臀部が離れると、駆け降りる熱を感じて動きが止まる
お腹を擦りながら、中腰で硬直している様はとても滑稽だろう

ダイヤ「は……はぁ……はぁ……」

ぎゅぅぅぅぅぅ……と、何かが収束するような突き抜ける感覚が腹部に乗っかる
お腹に当てていた手でわしづかみにするようにして抑えようとするがままならない
半歩だけ前に進む
お腹の痛みが駆け抜ける
閉め切っているお尻が痙攣するように動いて、慌てて手で押さえると、少しだけ和らぐ

ダイヤ「うぅ……」

お尻とお腹を手で押さえ、また少し先に進む
食べ物の匂いが空腹を刺激し、その活性化がまた重いのだ
歯を食いしばって進む
少しずつ、少しずつ
慎重に前へと進んで、便器へと辿り着く
お腹を押さえたまま、お尻を押さえていた手でショーツのふちを掴む
そうして下げようとした瞬間ーープギャッっと、変な音がした
0303名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 21:10:52.42ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「ぇ……ぁ……」

肛門の辺りに感じる痛みと熱
後ろから前へと液体が流れるような不快感
頭が真っ白になりながらもゆっくり、ゆっくりと慎重にショーツを下げて
一先ず座っても問題のない位置にまで下げてすぐに便座に座る

ダイヤ「だめ……だめ……っ」

これは絶対にダメだと、絶望する
ひくひくと痙攣する肛門は、手加減をさせてはくれない
ただ流れ来る激流にされるがままになるだろうことは明白だった
脱いだショーツはただでさえ汗臭く黄ばんでいたが、飛び散った新しい滴によって茶色が目立つ
後ろから前にかけて一筋の流れが生まれており、そのおおもとには小さな塊がいくつか点在している

ダイヤ「みなさんに……っ」

みんなに耳をふさいでもらうとか、見ないで貰うとか
そういう対策をすぐにでもするべきだった
いや、そんな余裕は殆どなかった
まだ余裕がある。そこからたった一口での崩壊だ

ダイヤ「っ……」

ぐぎゅるるるぅ……と、唸り声を上げた腹部
そして、ぶっ……ぶぎゅ……ぶばっ……と、酷い音を弾かせながら、
耐えに耐えたお尻を突き破って、白い便器の中を瞬く間に腐らせていく
0304名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 21:26:37.26ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「最低……」

酷い音と臭いを部屋中に満たしたダイヤは、
便座に座ったまま頭を抱え、そう呻いた
びちゃびちゃしていた中身はダイヤのデリケートな部分にまで飛び散り、
靴下片方では拭いきれず、たった一度で両方使うことになってしまった上に
汚れたショーツは、さすがにもう履くことは出来ない

ダイヤ「痛い……」

下痢に至った肛門は酷くひりつき、ピリピリとした痛みを発生させている
衛生さも後処理も満足にできていないせいだろう
ショーツを失い、スカートだけの頼りない下半身は少し動くだけで風を感じる
ひらひらとスカートが揺れると、ドキリとする
この状態で今朝のようなことになっていたら……そう思うと、罰則は絶対に避けたかった

ダイヤ「っ」

明らかに食事をするような空気と気分ではない
美味しいはずの食事も、今は少しばかり吐き気がする
けれど、それはわがままだ

ダイヤ「……納豆……」

歯磨きが出来ないまま6日目に納豆……口臭がもうそれは最悪だろうが
どうせ、今日明日に脱出できなければ死ぬのだから。と、無造作にかき混ぜて……ご飯と共に胃の中へと下した
0305名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 21:41:18.85ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「ぅぷ……」

無理矢理にかき込んだせいか、吐き気がする
そして、鬱屈とした気分になりそうな酷い空気に息が詰まる
靴下でショーツを包み、それをまた靴下で包んだものの、臀部を拭った靴下が綺麗なわけもなく、匂いは発生する
その分、早く脱出したいという欲求は強まるわけだが。

ダイヤ「……よかった」

掲示板を更新してみると、
ダイヤの最後の書き込みからは増えていないため、確認できる限りでは無人だったようだ
リアルタイムで見られてさえいなければ、どうとでもなる

ダイヤ「ベビードール……」

最後の書き込みに見えた、ベビードールはまだ触れていないという書き込み
先日、ご褒美として貰った清潔な衣装としてのベビードールは
ダイヤの記憶が正しければ、鞠莉がダイヤに着せようと目論んでいたものだ

ダイヤ「……」

ベッドから持ち出して、軽く顔に押し当てる
まだほんのりと、鞠莉のフローラルさが感じられるようで……少しだけ元気になる
可能なら開けたくない
けれど、ここに可能性があるならと、ダイヤはビニールからベビードールを取り出した
0306名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 21:53:35.30ID:6Vk4OqaK
光沢感のあるワインレッドのベビードール
胸の辺りにある刺繍のみがワンポイントとして添えられており
全体的には色合いに反してやや落ち着いた高貴さを感じさせるデザインだ

ダイヤが着ると、股の付け根辺りが露出するかしないかと言った絶妙な丈で
座っていたりすると見えてしまうが、立っていれば大丈夫。という攻めたものに思える

ダイヤ「鞠莉さん……」

これがそのまま鞠莉が着せようとしていたものであれば、
脱出した暁には叱りつける必要があるかもしれないと、眉を顰める
鞠莉と果南のものに比べて、明らかに丈が短いのだ

しかし問題は、このベビードールのデザインではなく
どこに鍵があるのか。だ
ベビードールに触れていた書き込みには、
ご褒美で貰ったものだから関係ないかもしれない。と言うようなことも書いており、
ダイヤとしては、それに同意見だった

ご褒美で、しかもピンポイントに衣類を要求しなければもらえなかったものだ
それが脱出の糸口になるとは思えない
なにより、これはDVDの映像において鞠莉が襲われた可能性があるからこそ
それをにおわせる目的として渡されたものだろう

ダイヤがもしも別のものを選択したり、そもそも三目並べに応じていなければ
ベビードールは得られなかっただろう

ダイヤ「……変わったところは、ない」

ベビードールには、特に変わったところは見られなかった
0307名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 22:36:49.40ID:6Vk4OqaK
ダイヤ「……」

本当に鍵は手元にあるのかと不安になる
鍵が手元にあるなんて言うのは犯人の嘘で、
必死になって探しているダイヤ達を嘲笑しているのではないかと……恐ろしくなる

頑張ろうと思う
頑張らないといけないと分かっている
けれど、時間が過ぎ去っていくたびに、その心の家の不安は増幅して、泣き出したくなる

ダイヤ「どこに……一体……」

気が逸る
考えが上手くまとまらなくなっていく
自分の導き出した答えが、間違っているんじゃないかと表に出せなくなる
あれも違う、これも違う
では、どれが正しいのか

枕やマットレスを引き裂き、鏡をたたき割り、便器に手を突っ込んで
引き出しを叩き壊し、指を切りながら破片を集めた
それでも結局、脱出のための鍵はその手に握られている。ときた

ダイヤ「っ」

馬鹿にしているのか。と、叫びたくなる
0308名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 22:58:54.51ID:6Vk4OqaK
手にあるのは包丁と靴箆、シャーペン、ノートパソコン、引き出し、底板
今手元にあって、手に取れるもので、あれ以降調べていないのはこれくらいだ
ノートパソコンに関しては、生命線だ

書き込みの一つにもあったが、だからこそ鍵である可能性も捨てきれない
しかし、そうではなかった場合、それ以降は死に一直線だ
刻一刻と死が近づいている中で、
縋れる存在を失った後の自分がどれだけまともな思考を保てるのかは分からない

考えて、考えて、いろいろと試して
それでもだめだった時、にこやかな明るさで、処分する。と言われたらどうなってしまうか

ダイヤ「っ」

首を振る。
まだパソコンはあるのだから、なくなったときのことを考えても仕方がない
手元にない三目並べは、今はもう関係ないのだろうか
手元にある、底板の【1■■■=9】は関係があるのか

もうすでに握っている……そこで指紋認証も考えられたが、何度も触っている
鍵の形をしているのかいないのか。
そうとも言えるし、そうではないとも言えるという返答
つまり、鍵の形をしているが、していない。と考えて良いのだろうか
0309名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/08(金) 23:20:42.14ID:6Vk4OqaK
鍵っぽい見た目ではないが、鍵としての役割は持っている
鍵っぽい見た目だが、鍵としての役割はもっていない
このどちらかだろう
そして、このどちらかが、手元にある……わけなのだが

ダイヤ「普通に考えたら、靴箆は違う……」

見た目からして、靴箆は机の裏の鍵穴には入らない
つまり、靴箆自体はそれを開くための鍵ではない……だろうか
実は、真っ二つに追ったら中から鍵が出てくるなんてことは……と、考えてため息をつく
それは一度考えた妄想だ

D.KUROSAWAという刻印がある
つまり、中の作りに手を加えられている……と言うことも考えられるのではないだろうか

ダイヤ「……」

考えて、掲示板を更新する
犯人の書き込みはあるが、それ以外の書き込みはない
ダイヤを殺すことを楽しもうとしている内容に、時間はある。とだけ返して目を伏せる
もう1日しかない
時間はあると言ったが、時間はないに等しい

ダイヤ「っ……」

靴箆を手に取る。
木製の靴箆は、鉄よりも折れやすいだろうが、ダイヤの非力さではそう簡単には折れない
折れたとして、中の鍵が壊れてしまったりしないだろうか
そう考えて、マイナスドライバーを手に取った
0310名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/08(金) 23:41:38.31ID:6Vk4OqaK
膝を立てて、そこに靴箆を立てかける
右手で押さえ、左手に持ったドライバーで叩く
カンカンカンッ……と、小さな渇いた音
カンカン、コンコンと、全体的に、裏も表も叩いてみる

ダイヤ「……」

しかし、大して違いは感じられない
強く叩いてみると、表面が少しだけ削れる
ずっと叩き続けるか、どこかを延々と叩き続ければいずれ折ることが出来るかもしれない
靴箆を振るうと、ヒュンッと風を切る

試しにと、固い学習机に振り落としてみたが、
ガンッっという強い衝撃が加わった瞬間に手は力を失って、靴箆がすっぽ抜けていく
たった一回。それだけで、手が尋常ではない程に震える

すっぽ抜けた靴箆を回収する
ぶつけたところには、削れたへこみが出来ているものの
真っ二つにへし折るには程遠い
同じ場所を何度もぶつけなければならないという姓格差も必要だ

ダイヤ「……無理……」

これを折るのはさすがに無理だ
もしもこの中に鍵があるのだとしたら……酷い話だと泣きたいほどに
0311名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 00:03:24.45ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……」

鍵穴の大きさ的に関係ないのは明白だが
その中にあるのではないか……と考えたが、それもなさそうだ
靴箆のどこかが実は空洞で、
そこに隠れているのかもしれないとつついてみたが結果は何もなし

靴箆は鍵ではないと考えていいだろう

ダイヤ「なら……」

掲示板を更新してみると、またいくつかの書き込みが増えている
鍵の形をしていない鍵とは何か
それはダイヤも考えているが、わからない
そもそも、その発言の信憑性さえ疑われるほどだ
犯人がくれたヒントとはいえ、本当に全面的に信じて良いのだろうか

ダイヤ「ドライバー……?」

ドライバーは分離させられないかと言う書き込みを見て、
一応、持ち手を握って左右に引っ張ってみたが、抜けそうにはない
ネジ巻式かと試してみたが、それも違うようだ

そして残るはーー刻印だ
0312名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 00:29:59.83ID:9prZ9RIp
D.KUROSAWAという刻印があったのは、金槌、包丁、靴箆の3点
金槌は持ち手に、包丁は刃の部分に、靴箆は、どちらかと言えば持ち手の部分に
それぞれ、同じようにD.KUROSAWAと刻印が施されていた

ダイヤ「……そうですね」

新しい書き込みには、それらの共通点は手に持つ物であり、握り手のある物。と書いてある
ただ、以前にも気になったことだが
その場合、シャーペンも同類なのにD.KUROSAWAがないのはなぜなのかという疑問が生まれる
あえてそれを無視したとして、
その共通点は何を意味しているというのか

ダイヤ「……」

D.KUROSAWAでのアナグラム……と言う書き込みを見つめる
包丁、金槌、、靴箆
包丁と靴箆に関しては、一般的にそれらだと思われるが、
金槌だけは別の呼び方がたくさんある
英語にするのか、ローマ字にするのか
それでも変わってくる

ダイヤ「金槌と靴箆は……一応、Kですが……」

ローマ字で呼んで、K
D.KUROSAWAのKに当たる……だから何だというのか
0313名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 00:50:07.70ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……あぁ、もう時間が」

気付けば日を跨いでいる
今朝は罰則に酷く時間を取られてしまったし、昼夕夜と色々頑張っては見たが、
考えが煮詰まった上に、平日と言うこともあってそこまで考えは巧くまとめられなかった

あと2日だったのが、あと1日
もう1日しかないと考えていたら、もう0日

ダイヤ「……」

大丈夫……本当に、大丈夫なのだろうか?
そう、不安が湧いて出てくる
どこからともなく、もう諦めてしまえばいいのに。と、声が聞こえる

ダイヤ「……っ」

いいや、まだだ
まだ、やれることは残っている
考えることが出来るのなら、まだ万事休すではない
投了にはまだ早いのではないだろうか

掲示板を更新する
運命の日に、もう至っている

ダイヤ「私はまだ、大丈夫」

きっと何とかなるはずだと、信じる
0314名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 01:14:15.46ID:9prZ9RIp
みんなは休んで欲しいと書き込む前に、書き込まれていた考えに返事をする
それから、お休みください。と書き込んで一息つく
ここに来てから6日……もう7日目か。1週間になる

発狂しそうになったり、変な気分になったり、持ち直したり
手で食事をし、公開でトイレをし、犬のように牛乳を飲み……下着の背中を晒したり
ずいぶんと、黒澤ダイヤの概念が破壊されてしまったように思う

自尊心なんてどこにもない、黒澤家、女、人間そういったものの尊厳がない
そうしてすべてのものを砕かれたうえで……殺処分
人間以下にまで落ちたらもう殺害ではなく処分になるのか

ダイヤ「……命とは」

最後の書き込みでは、D.KUROSAWAのDは【DELETE】ではないかという話だ
それに対して書き込んだが、犯人の目的は黒澤家を消すこと
だとしたら、三目並べに置いて、【5:黒澤ルビィ】がすでに×だった理由にもなる
あとか先かは分からない……いや

ダイヤ「壊し過ぎると……次……」

うろ覚えではあるが、
犯人は物を壊し過ぎると次の子が可哀想だ……と言うようなことを言っていたような気がする
と言うことは、ダイヤが無事に出て犯人を捕まえる結末を迎えなければ
誰かがまた監禁され、後を追わされることになる
その対象がルビィである可能性は大いにあると言ってもいい

ーーそれは、駄目だ
0315名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 01:47:33.77ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……?」

今日に限っては、犯人の書き込みが異様に早い
ダイヤがまだ寝ないとみてなのか、褒美か罰則かを神様……判定に任せたらしい
その結果はご褒美で、
みんなは総じてヒントを求めた

それで得られるヒントが本当に有用なのかどうかはともかくとして
犯人は【仲間外れかな】と、言った

ダイヤ「仲間外れ……?」

仲間外れ……仲間外れ?
鍵のようだが、鍵ではないかもしれない鍵
鍵のようではないが、鍵かもしれない鍵
それはすでに手に握っているもので、仲間外れである。

ダイヤ「……はぁ?」

何を言っているんだこの人は。と、頭が痛む
これまでの疲労と、夜更かしによるものだろう
まだ寝るわけにはいかないと思っていても、眩暈が瞼を閉ざそうとする
0316名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 01:57:37.09ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……仲間外れ?」

とりあえず口に出してみる
そういえば……と思い浮かぶものが一瞬あったが、よく思い出せない
この中で仲間外れと言うなら、監禁されているダイヤ本人だろうか
もちろん、指紋認証では通らなかったので違うが。

ダイヤ「……」

D.KUROSAWAの刻印がない、握るもの……シャーペン?
机の裏の鍵穴は、長方形のものだ
芯を突っ込むことは出来るだろうけれど、折れたら一巻の終わり
かといってキャップ側は円形なので、入らない

新しく書き込まれたものを見てみると、唯一持ち手に刻印がない包丁の可能性も示唆される
確かに、包丁だけが持ち手ではない
刻印されるのが基本的に刃の方なのはそれは当たり前なのだが
だからと言って、仲間外れではないとは言い難い

ただ、包丁やドライバーなどにボタンがある。と言うのはさすがないないのではないだろうか
一応、手元にあるので調べてみてはいるものの、ボタンを押すようなものには思えない
0317名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 02:09:26.50ID:9prZ9RIp
包丁は先がステンレスだし、金槌は頭が金属……おそらくは鉄だ
その一方で、靴箆だけが全体的に木製
これもまた仲間外れと言えるのではないだろうか

ダイヤ「金槌は……」

金槌は仲間外れにはならないのではと考えた段階で、はたと気付く
むしろ、鍵だからこそ奪われたのではないだろうか
握っている。と言うのが今も握っているわけではない……と言うのは下種だが
この犯人ならばそれもあり得てしまう

なにより、この場に存在しないという時点で最も仲間外れと言えるだろう

ダイヤ「仲間外れなんて……」

何がヒントなのか
どれもこれも可能性があるではないかと、
いきり立ったところで、ふらりと倒れる

ダイヤ「あぁ……待って……」

まだ眠るわけにはいかない
そう思いつつも、意識は刈り取られてしまいそうで……慌てて電気を消しに動く
まだ考えたい、もう時間がないからもっと考えたい
けれど、体も頭も拒絶する
ダイヤの精神が、もう限界だった
0318名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 02:09:48.45ID:9prZ9RIp
とりあえず今日はここまで
0319名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/09(土) 10:43:46.05ID:iTbaIEqD
>>298
キモ豚がいじ
0320名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 10:55:00.05ID:9prZ9RIp
ダイヤ「ぅ……」

目を覚ますと、ずっしりとした頭の重さを感じる
ぼんやりとした思考回路は自分の状況把握さえ、時間がかかって、
次第に、胃と口腔の何とも言えない不快感に吐き気が湧き上がる

ダイヤ「おき……」

体を起こすこともままならなくて、ベッドから這い出ていく
スカートが捲れて、臀部が露出する
不衛生な糞尿の臭いが感じられるが、もはやそれすらも気にする余裕はない
ズルズルとパソコンの方へと向かい、掲示板へとあいさつを書き込む

真っ暗なへの中の唯一の光源が目の前にあると、
寝ぼけ眼にはとても痛いが……電気を点けに行くほどの余裕がまだなかった

ダイヤ「……ぇぁ?」

カタカタと打ち込んで、書き込む
すると、何の前触れもなく電気が点く……恐らくは犯人の仕業だろう
泣いても笑っても今日が最後の日だ
何とかして鍵を見つけなければ、ダイヤは処分される。殺害ではなく、処分だ

挨拶を書き込み、その更新で追加された書き込みに目を通す
0321名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 11:13:55.60ID:9prZ9RIp
ダイヤ「コップ……?」

ふらふらと、風が吹けば崩れ落ちそうな足取りでダイヤは洗面台へと向かう
洗面台の脇に置いてあるコップを手に取り、観察する
陶器などではなく、プラスチック製のごく普通のコップだ
色は無色透明で、底面に値段のシールが残ったままだ

ダイヤ「……」

水を出して、コップを洗う
天井からの光に掲げてみるが、特にこれと言った変化はない
そのまま、水で顔を洗って、袖で拭う
制服の汚れ切った雑菌の臭いが顔に移るが、もう今更だった

ダイヤ「っ」

他の書き込みは何と書いてあったか
思い出させないと言わんばかりにずきずきと頭が痛んで呻く
とりあえず、コップを持ってパソコンの前に戻る

コップの裏にある値段は【\100】となっているだけ
それ以外には特に何も書いてはおらず、とりあえず値段の方を上にして鍵穴に近づけてみるが
やはりこれと言って、意味はなさそうだった
0322名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 12:11:27.56ID:9prZ9RIp
ダイヤ「デウスエクスマキナ……?」

何かで聞いたことなる言葉だ
それが何だったのか、どんな意味を持っているのか
思い出せそうで思い出せなくて、頭を振る
ずんっと重い頭では、考える余裕などなかった

安価3は、例のあの紙に書いてあったものだ
それを使って、ダイヤが安価を行い、みんなが脱出成功。としてくれたら出られるのではないか。という話だ
あまりにも突拍子がないのだが、少なくともやっておいて無駄ではないだろう

ダイヤ「安価……?」

安価を書き込んでみようとすると、規制に引っかかる
どうやら犯人が餌の安価をしているようだ
少し待ってみると、餌が決まる……朝に野菜炒めと熱い緑茶
どうせ犯人は食べるための道具をくれないだろうが、昨日の定食の分がある
使っていて汚いが、まぁ水で洗えばいいだろうと切り捨てる
ダイヤの体以上に、汚いものはない

かたんっと差し出口が揺れる
安価通りの食べ物がしっかりと運ばれてくる
犯人は頭がおかしいのだろう
そう、思わざるを得ない

ダイヤ「最期……ですか……」

少なくとも、ここでの最後にしたい
いや、なにがどうあれここでの最後に変わりはないだろう
0323名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 12:31:51.01ID:9prZ9RIp
ダイヤ「これは……意外ね……」

差し出口に置かれていた野菜炒め定食の傍には、お箸が置かれている
ただ、熱い緑茶は本当に熱い
ブクブクとまだに立っているように感じるのは、
大方、鍋か何かで沸騰させに沸騰させて注いだのだろう

ダイヤ「……最期」

最期くらいは。という、犯人の粋な計らいか
それとも、犯人の挑発か
お前は脱出することは出来ない。と、示されているのかもしれない
だから、これは【最後の晩餐】としての意味があるのだろうか

いずれにしても、犯人の頭の中なんて考えるべきではないだろう
彼あるいは彼女の頭は狂っている。これは間違いない
それゆえに、犯人の思考に同期するのはいけない
別の方向性で狂い始めているダイヤなら、もしかしたら同期もできるかもしれないが。

ダイヤ「……さて」

パソコンの横に定食を置き、書き込みを行う
0324名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 13:15:10.74ID:9prZ9RIp
安価3をやってみたいと思う。
それを書き込んで、犯人の書き込みを遡る
犯人の安価は、ほとんどが安価は下3つとなっており、
コンマ判定というものにだけ安価は下1つとしている

今回行うのは安価3の為、参考にするのなら下3つだろうか
だが、必ずついて回るコンマは云々と言う話は必要なのだろうか
あれでは安価の中でいずれか一つになる。という無作為な選ばれ方をする
昨夜の褒美のように、100%内容が同じでもない限り
本当に欲しい結果を得ることは出来ない

しかしながら、コンマ判定と言うものを採用せずとも
他者に委ね、そのある一点に書き込まれたものが採用されるという時点で、
ダイヤからしてみれば無作為だ

ダイヤ「……やって、みますか」

以前にも安価3と書き込んで、犯人は判定が白と言った
であれば、今回も安価3と書き込めばいい
ただし、一応はしっかりと形を取るべきだろうか

ダイヤ「……はしたない」

気付けば、平気で食べながら書き込みを行っている自分に、失笑する
黒澤ダイヤも、酷く地に落ちたものだ
0325名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 14:16:14.15ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……」

安価を取ってみる
上手くできたかどうかわからないが、指定した安価先自体は脱出成功となっている
しかし、犯人からの判定の書き込みはない
安価3……それで脱出成功できる。などと思ってはいなかったが

ダイヤ「……空しいですね」

十数分待ってみたが、鍵が開くような音さえもない
餡人からのレスポンスもないということは、まぁそう言うことなのだろう
時間は刻一刻と削られていく
少しずつ、死が近づいてくる

ダイヤ「はぁ……っ」

息を吐く、熱を帯びた頭に手を添える
陽の光を奪われ、自由を奪われ、尊厳を奪われ……
何もかもを奪われたこの場所に来て、早くも7日
健康状態はあまりにも良くない
空腹は免れた、だが、疲労感は拭えない

ダイヤ「犯人が出したヒントをまとめてみないと」

迷いも悩みも、抱いている余裕はないのだ
一つがダメならまた一つ。
それを、繰り返さなければならない
0326名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 15:17:40.05ID:9prZ9RIp
ダイヤは犯人がよこしたヒントを取りまとめて、掲示板に書き込む
あとから見れば無意味な書き込みにも思える
だが、ダイヤにはもう、思考を深めるほどの力はない
固く目を閉じる、体を抱きしめる
ショーツを失った下半身の頼りなさを感じる

ダイヤ「シャーペン……」

ドライバーはすでに鍵穴に突っ込んでいる
金槌は手元にないので、どうしようもない
靴箆に関しても、鍵穴に入れることは不可能だ
であれば……シャーペンの芯

あるいはーー

ダイヤ「包丁の破片!」

ダイヤの頬に切り傷を残した一振り
あれはどこかへと飛んで行ってしまったが、
ダイヤのいるこの部屋の中にまだ残っている
不衛生だからこそ――それは確実なのだ

ダイヤ「っ……」

眩暈もしそうな歪んだ視界の中で、床を手探りする
机に叩きつけて欠けた破片は、その後ろへと飛んだ
少なくとも、包丁を持っているダイヤの顔を傷つけたのだから、そのはずだ
0327名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 15:40:29.31ID:9prZ9RIp
擦り傷、切り傷
ボロボロになった手は、床を擦るだけでも、皮膚が伸びる痛みを感じる
それでも、天井からの煌々とした明かりを頼りに、探し出す
指に突き刺さる痛み
光を反射する鋭利な何か

ダイヤ「……っ」

カッターの刃よりも、歪な破片
ただ、鏡よりは細く薄いこれなら、鍵穴に差し込むことは出来る
鍵の形をしていない鍵
包丁本体は鍵穴に通らないが、その破片ならどうだろうか

ダイヤ「これは……」

机の裏に潜って、破片を挿入してみる
ステンレスの欠片は一応、鍵穴を通る
左右に動かしてみるが――しかし、これでは動かない

ダイヤ「違う……」

破片を投げ捨てる
シャーペンの芯は確実に折れる
そもそも、回すほどの強度がない

いやーーそうだろうか
0328名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 16:12:49.36ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……そう」

差し込めないものもあるが、差し込めたものもある
そのどれもが途中で阻まれて押しきれず、回すことも出来なかった
もし、もしもの話だが
この鍵穴が、別の誰かが言っていたようにボタンだったらどうだろうか

その書き込みは、ドライバーなどがそうだったら。と言うことを書き込んでいたが、
ダイヤの考えはそうではない
この鍵穴自体がボタンの可能性。それを考える

ボタンにたどり着くまでは、そのサイズに合ったものなら何でも通る
だが、ボタンを押すのは、そのボタンに適したものしかできない
その可能性も考えてみる

ダイヤ「……ん」

その可能性を書き込もうとしたところで、
書き込みがいくつも増えているのが分かった
自分の書き込みから二時間近くも経過している
半ば、諦めのようん感情が芽生え始める中、書き込みに目を通したダイヤは、
一番新しい書き込みに目を止める

ダイヤ「……中子」
0329名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 16:24:53.60ID:9prZ9RIp
包丁の中に納められている中子は、一度確認したことがある
その時はまだ鍵穴を知らなかったし、
その影響で口金が壊れご飯粒を詰めるという暴挙も行っているということもあって
そう易々と、壊していいものではなくなっていた

とはいえ、欠けるような危険な使い方もしてしまったし、
自分のお腹を着る必要もなくなっているから、もういいのではないだろうか

ダイヤ「……」

その書き込みに対して、書き込む
それをして良いのだろうかという不安の吐露
そのくらい、普段の黒澤ダイヤであれば決断で来ていただろう
だが、今のダイヤには、それを決断する勇気も思考力も何もかもが欠如している
あぁ本当に……甘くみっともなく、はしたなく卑しい女にまで落ちてしまったと、感じるほどに。

昨日の犬の真似事。あれこそが自分の本来あるべき姿なのではないかとさえ錯覚する
餌が欲しいと鳴き、与えられれば興奮して尻尾を振り、皿を舐め尽くす
惨めな雌犬の姿こそが、自分なのではないかと

ダイヤ「いえ……違います」

否定する声はとても小さい
卑しい女なのは否定できない。だが、まだ犬ではない
飼いならされる気はないし、最後の一分一秒前抵抗する気はある

ダイヤ「ルビィ……」

包丁を手に取る
持ち手の付近にある、ルビィのヘアゴムを撫でる
無事だろうか、探しているだろうか
姉はここにいる。ここから出て帰ろうとしている
この変わり果てた姿を見て、姉だと分かってくれるだろうか

ダイヤ「……大丈夫」

はみ出しているご飯粒の塊をマイナスドライバーで砕く
包丁を壊すか否か、その判断を委ねた彼らの書き込みを待った
0330名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 16:36:33.87ID:9prZ9RIp
以外にも早く、その返答は返ってきた
時間はないから試すべきだと
少しでも選択肢を狭めるために、試すべきだと

ダイヤ「……ありがとうございます」

決断する勇気を委ねてしまった
甘いと、縋りすぎだと罵倒されるとも身構えた
けれど、彼らはそんなことはなく答えてくれた
もしも出ることが叶わなくても、どうか自身を無力だと呪わないで欲しい
ダイヤはそれを願う

ダイヤ「承知いたしました」

書き込みを返して、包丁を手に取る
ルビィのヘアゴムを外し、抜き取ったタイを刃先に巻き付けて保護する
包丁を足で押さえ、マイナスドライバーを左手に持ち、右手で靴箆を持つ

ダイヤ「ふっ!」

力一杯に、突き立てたマイナスドライバーを叩く
ガンッガンッガンッ……と、繰り返し叩き続ける
最初は、マイナスドライバーから逃れるような動きを見せていた包丁が、鈍くなる
押さえる程度の刺さり具合だったドライバーがだんだんと沈んでいく

ダイヤ「っ!」

詰め込まれたご飯粒が粉々に砕けて侵入を許し、やがて、その包丁の持ち手はぱっくりと裂けた
0331名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 17:05:40.57ID:9prZ9RIp
中子はご飯粒でパリパリになっていたが、
ドライバーで削ぐようにしてあげると、容易に剥がれていく
汚れはまだ残るものの、十分に差し込めるだろうという状態にまで戻す

ダイヤ「……いきます」

机の下に潜り、包丁の刃先が目に刺さらないように気を付けながら鍵穴へと差し込む
ドライバーのように阻まれることもなく、
すんなりと奥へと進んでいくそれは、まるで、元々そこに刺さっていたかのように進んでいく

包丁の中子部分が一部埋まったところでーーカチリッと、音がした

ダイヤ「!」

鍵穴付近が浮き上がり、四角い何かがダイヤの顔を直撃する
それを拾い、机の下から這い出て天井にかざす
四角い何かは、0〜9までの数字と、入力と書かれたボタンが付けられている
暗証番号を打ち込む機械だと、すぐに分かった

ダイヤ「え……」

入力した暗証番号を表示する欄はそこまで大きくなく
見た感じ、4桁のボタンを押して、入力を押すことで動作するものだろう
鍵は開いた
手に入れたのは暗証番号の機械
脱出するためには、この暗証番号を見つけ出さなければいけないということだ
0332名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 18:18:23.25ID:9prZ9RIp
鍵穴と包丁の結果を書き込む
中子を差し込んだことで、鍵が開いたこと
扉は開かなかったが、暗証番号を入力する機械が入手できたこと
それを報告すると、少ししていくつかの書き込みが増える

その4桁の暗証番号は

・9630:くろさわ
・9638:くろさわ

このどちらかではないか。と、みんなは推測している
それは、ダイヤの背中の【L】つまり、DIAL.KUROSAWAと繋がっている

ダイヤ「……っ」

取り消しボタンがないため、入力は取り消せない
ボタンを押し間違えてしまわないように、丁寧にボタンを押していく
まずは、9……それから6、3、0
4桁入力すると、案の定入力した数字が表示される小さな枠の中が一杯になる

手が震える
もし、駄目だったら?
もし、これが最初で最後にチャンスで、失敗がイコールで死に直結していたら?

ダイヤ「……」

途端に冷静になって、一息つく
これで死ぬことがあっても、自分を責めないで欲しい

そう書き込んでから――入力ボタンを押し込んだ
0333名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/09(土) 18:36:10.72ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……」

爆発は起こらなかった
そうして、ピピ……と音が鳴ると、続いてガシャンッと扉が音を立てた
扉はその重厚さに見合わず、大した音もたてずに開いていく
ゆっくりと、静かに
犯人の姿も見せないまま、部屋の唯一の扉が、開いたのだ

ダイヤ「!」

犯人はいない
つまり、犯人が開けたわけではない
手元の暗証番号の装置には、【OPEN】という4文字が表示されている

ダイヤ「ぁ……」

開いたのだ……
ついに、開いてくれたのだ
呆然とする頭で、けれどすぐに足は動かなかった
すぐ横にある、動きの掲示板……そこに、文字を打ち込んでいく

ダイヤ「……ありがとう、ございました」

感謝を書き込み、鞠莉のベビードールをひっつかんで部屋を出た
0334名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 18:52:48.11ID:9prZ9RIp
ダイヤ「……」

部屋を出ると、細い廊下があって……玄関らしき出口はすぐ目の前にあった
犯人の追跡があるのかと振り返ると、しかしそこには誰もいない
玄関の扉の鍵はかかっていたものの、
一般的な鍵のようで、手で簡単に開けることが出来た

ダイヤ「……っ!」

扉を開けると、風が吹いた
木々と、土と、水と、排気ガスと、人々のにおいが入り混じった不自然の空気
脂ぎった髪、腐りかけの肌を避けていく
靴も靴下もない足で、一歩踏み出す。
土のジャリッとした感触が伝わってくる
それは間違いなく――外だった

ダイヤ「っーー誰かッ!」

走り出す
全力で、もう限界な体の最後まで引き絞るように、力一杯に
走って、走って、走り抜けて……

ダイヤ「すみません!」

見かけた人に、声をかける
警察と、救急車
それを呼んでもらうお願いをして――ダイヤは気を失ってしまった
0335名無しで叶える物語(四国地方)
垢版 |
2020/05/09(土) 18:55:21.06ID:RZyVPQqy
どこだったんだ…
0336名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/05/09(土) 19:17:14.59ID:9prZ9RIp
病院に運ばれたダイヤは目を覚ますと、すぐに警察事情を話した
自分はどこにいたのか、何があったのか
なぜ、そこにいたのか
そこに連れて来られてしまった経緯は分からないが、
分かる範囲のすべてのことを警察に話した

その結果、警察はその住所に向かったが、
あったのはダイヤがいた痕跡だけだったという
犯人は、そこには居なかった

あの映像で襲われていたと思われていた鞠莉は、
実際に、部屋の前で頭から血を流している状態で見つかったという
すぐに発見されたことで、一命はとりとめており順調に回復に向かっているという

ルビィに関しても、別に狙われるようなことはなかったそうだ
鞠莉が襲われたくらいで、
ルビィ、花丸、善子、千歌、梨子、曜、果南はみんな無事だったらしい

傷だらけで、やつれ、酷く不衛生だったダイヤは
病院の入浴設備を借りて、ゆっくりと入浴をさせて貰った

警察は、例の掲示板を見つけたが
そこに書き込んでいた犯人のIpアドレスは追いきることは出来ず……結局、犯人は分からないままだ
0337名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/09(土) 19:19:14.18ID:9prZ9RIp
黒澤ダイヤ監禁事件・・・END
0338名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/09(土) 19:34:42.22ID:9prZ9RIp
長くお付き合いいただき、ありがとうございました
0339名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2020/05/09(土) 20:15:12.55ID:y+u5ZvUI
お疲れさんです
新しい試みで新鮮だった
0341名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/05/09(土) 21:36:33.46ID:xvqK4QCO
本当にお疲れ様でした。
面白かったです!
0342名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/09(土) 21:51:41.06ID:9prZ9RIp
こちらにも一応
作中の掲示板が意味不明だったと思いますが、その掲示板は下記になります。
実際にラブライブ板に立てたうえで、多くの方にご協力いただいております。

改めて、ご協力ありがとうございました。

〜黒澤ダイヤを監禁したらしたいこと〜
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1588423864/
0344名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2020/05/09(土) 22:52:12.46ID:BqUFZQjU
斬新で面白かった!
0350名無しで叶える物語(関西地方)
垢版 |
2020/05/13(水) 02:45:07.83ID:7uio6xPD
読み終わったけどほんとすごいなこれ
これほどリアルタイムで追えなかったことを後悔したSSもない

一発限りの仕掛けなのかもしれないけど、もしこの趣向のスレがまた立ったら絶対読みにいくよ
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