穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
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???「この辺りですか…」
一月十八日。午後二時二十三分 金曜日
???「――成程…強い魄動を感じます…。」
斯くて刃は振り下ろされる。 凛「…これじゃキリがないよ〜…」ヘタ~
曜「まだ間に合うよ、凛ちゃん」
曜「やめる?」
凛「――」ムッ
凛「やめ―――」
曜「……」
凛「るッ!!」シュバビッッッ
花陽「!」
凛が“瞬歩”で曜の頭上に飛ぶ。
凛「能力合戦はやめだにゃー!」
凛「凛のμ’s最速の“瞬歩”で直接―――」 シュンッッッッ
凛「!?」
凛(消え――――)
斬ッ
凛「…え…」
曜「奇遇だね」タンッ…
曜「私はAqours最速なんだ」
凛「………っ……!」
曜「これからは、スクールアイドル最速を名乗ることにするよ」
凛「こ……の……」ヨロッ…
ドシャアッ
花陽「凛ちゃん!」 曜「安心して、みね打ちだよ」
花陽「!」
凛「……痛いにゃ〜…」ゴロン…
曜「泣いて謝って」
曜「そして凛ちゃんを連れて今すぐ私達の前から消えるんだ」
花陽「…………」
曜「そうすれば、これで見逃してあげるよ」
花陽「…ことごとく予想を出ない物言いですね」
花陽「眩暈がします!」バッ
曜「……」
花陽「アナタは大盛りで殺しちゃいます―ー」 ドドドドドドドド
花陽「!」
曜「そっか」ハア
曜「残念だよ」
花陽「っ!」グルッ
ドドドドドドドドドドドド
千歌「私の『金毘加』が…………」キラキラキラ
花陽(千歌さん―――!この人にはこれがありました―ーー!)
千歌「ただキラキラしてるだけと思ったら大間違いだよ!」キラキラキラキラ
花陽(“輝き”を溜めて飛ばす、殺人的な威力の大技――)
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』!!」ブンッッ
キラアアアアアアア 花陽「っ!眩しくて軌道が見えない!」
凛「かよちん!」
花陽「――けど関係ない!」
花陽(要は自分の前にお米の盾を作れば大丈夫!)
ザアアアアアアアアアアアア
花陽「やった!間に合っ――」
キラ…
花陽「え――」
花陽(横から――なんで―――)
千歌「私が狙ったのは花陽ちゃんじゃない」 千歌「そこの水たまり――」
千歌「曜ちゃんが作った水たまりだよ」
花陽「――!」
千歌「イヤ、今は豚骨スープたまり、か……」
花陽(“輝き”は“光”―――)
キラアアアアアアアアアアア
花陽(水面に反射させて、跳弾を私に――――)
カッ
凛「かよちーん!!」
巨大な輝きが花陽に炸裂した―――。 サアア…
辺り一面を覆いつくした輝きが徐々に晴れていく……。
千歌「…終わった……」
花陽「……ぐっ…………」ガクンッ…
花陽「がっ…はっ…はぁ……」
凛「かよちん!」
花陽「ま、まさか…この、私が…………」ハアハア
花陽「こんな、ところで」
千歌「……」
花陽「命……潰える……なんて…………」グラ…
花陽「誰か……助けて」ドシャッ 凛「かよちん!かよちん!」
花陽「」
凛「かよちんったら〜!」
曜「花陽ちゃん……死んじゃった…かな」
千歌「さあ」
千歌「どっちにしろ、もう会うことはないよ」
曜「…………だね」
千歌「……っ」ガクッ
曜「千歌ちゃん!」
千歌「ハア…ハア……」
曜「大丈夫?」
千歌「うん…なんとか」
千歌「ちょっと“輝き”を溜めすぎちゃったみたい」エヘヘ… 曜(千歌ちゃんの『輝ラ輝ラ天衝』…ものすごい威力だけど、そのぶん千歌ちゃん自身への負担も大きい)
曜「あんまり無理しちゃダメだよ」
千歌「分かってる!」
曜「ヨシ!」
曜「じゃあ少し休んでから、なるべく早く梨子ちゃんのところに……」
曜「!!」
千歌「?」
千歌「どしたの曜ちゃん」
曜「花陽ちゃん……が……」
千歌「え?」クルッ
凛「……」
曜「消えた……!」 千歌「瞬歩―――」クルッ
千歌「とかじゃない、ね……」
曜「霊圧をどこにも感じない…!」
曜「遠くにも、近くにも―――」
ズ…
曜「!」
曜(イヤ――――)
凛「も〜〜〜かよち〜ん」フウ…
凛「何回見てもやっぱりハラハラするにゃ〜」
曜「――!!」ビグンッッ
曜(ウソ―――まさかそんな―――)
千歌「曜ちゃん!?」
曜「うあ…あ…ぁあ……っ」プルプル 曜「あ゛ッ」ボコォ
千歌「―――っ!!!」
瞬間、曜のお腹が妊婦のように膨れ上がる。
「私を……殺したと思いましたか?」
千歌「!!」
声。膨らんだ曜のお腹から。
千歌「この声は…………!」
「教えます。『炊込地蔵』の最も重要な最も誇るべき能力の名は」
「『二毛作』」
曜「う…あえ……っ」プルプル
「敵に私自身を孕ませる能力です」 「品種改良した特別なお米を種子として敵の体内に植え付ける」
「植え付けた種は私の命のストックとして母体内に保存され」
千歌「…そ…………」
「私が瀕死ないし絶命すると直ちに成長――いや再生して」
曜「うえええええ」オエー
花陽「“収穫”の時を迎えちゃうんです」ドロン…!
曜の口から人間一人が飛び出した……。
千歌「そんな………バカな…………!」
花陽「自己紹介からやり直しますね、千歌さん、曜さん」
曜「…うえ……ひっく…」グデーン
花陽「μ’s一年、第七席―――小泉花陽です」フッスーン
to be continued… ここBLEACH読んでてもひえってなったとこやん… 曜ちゃんカッコイイと思ってたら10レス後にゲロ吐きながら失禁してた… 花陽「これがお米の力です」
曜「…うう……」ゴロン…
千歌「こんな……」
花陽「暑いのも、寒いのも、干ばつも、台風も、毒も、虫さんも」
花陽「そしてスクールアイドルのいかなる攻撃も」
花陽「完全な品種改良が為されたお米には、一切通じないんです!」
千歌「こんなことって……!」
花陽「思えばお米は――遥か弥生時代から、主食として日本人のお腹を支えてきました」
花陽「私達の――ひいてはスクールアイドルの進歩も全てはお米から始まったんです」
千歌「……!」 花陽「何千年という時代の流れの中で、お米は一瞬たりとも私達から離れることなく、世界の進歩を支え続けてきたんです」
花陽「それは今も同じです」
花陽「私達はお米のおかげで生かされてきたし、これからもお米のおかげで生かされていくんです」
千歌「あ……あ……」ガクガク
花陽「お米は私達の命そのものです」
花陽「私の命そのものです」
花陽「だからお米は、今みたいに私の命になってくれるんです」
千歌(勝てない……勝てるワケがないよ……こんなの……!)
花陽「最高の主食であり、最高のおかずであり、最高のデザートであり」
花陽「そして命そのものにもなる」
花陽「お米をこそ完璧な生命と言います――」
花陽「そのお米に刀を向けるなんて――おこがましいと思いませんか?」 「思わないね…」
千歌「!」
花陽「……」
曜「全然……思わないよ………花陽ちゃん……」ヨロッ…
千歌「曜ちゃん…」
曜「落ち着いて……千歌ちゃん」
曜「大丈夫……大丈夫だから…」
千歌「…曜ちゃん……でも…」
花陽「曜さんが今考えていることを当ててあげますね」
曜「…!」 花陽「私の『二毛作』はきっと日に何度も使用できる能力じゃない」
花陽「もう一回倒せばそれで終わる―――」
曜「………」
花陽「確かに、スクールアイドルの能力というものは強力であればあるほど使うにあたって制限も強くなりますし」
花陽「自分自身の“命”のストックを作るというこの『二毛作』には――普通に考えて、それぐらいの制限はあって然るべきです」
千歌「…じゃあ……」
花陽「が―――ありません」
千歌「!!」
花陽「“連作”も難なく出来ちゃうのが、お米のスゴい所なんです」
花陽「だから私の『二毛作』にも能力の回数制限は一切ありません」
千歌「そんな…………」 花陽「とはいえ―――最初に言ったように、そもそも“種”がなければ“収穫”できません」
曜「………」
花陽「希望が生まれましたね?」
花陽「となると次に気になるのは」
花陽「今、1粒、種を使って――残り何粒自分の身体の中にあるのか?」
曜「……」
花陽「そもそも私が曜さんの身体に種を仕込んだのはさっきの踏みつけて反応を見ていた時です」
千歌「あの時…!」
凛「……」ニヤ…
花陽「激痛の最中にあるとはいえ、気付かなかったぐらいなんだからそんなに多くはないハズ―――」
花陽「仮にまあ―――多めに10粒“種”を仕込んでいたとしても、あと9回殺せば間に合う計算です」
花陽「イヤ曜さん、あなたほどの才能ならたとえ100粒でも、1000粒でも、とにかく終わりさえあるならそれで十分なのかもしれません」 花陽「残念ですね曜さん」
花陽「終わりはありません」
千歌「なん……だと……」
花陽「正確に言うと無くなった、ですね」
花陽「タイムオーバーです」
曜「………どういう…」
花陽「疑問には思わなかったのですか?」
花陽「どうして私が敵であるお二人に自分の能力を長々とお話しているのか……」
花陽「『二毛作』の種は、時間とともに倍々に増殖するんです!」
千歌「!!」
花陽「最初は5粒仕込んだ“種”も、10、20と膨れ上がって、もう300を超えました!」
花陽「もはやどんなに頑張っても、アナタが私を殺し続けるより“種”の増殖の方が速い!!」 曜「…………」
花陽「どうします曜さん?アナタが生きている限り私の“命”は増え続けちゃいます」
花陽「種を殺したかったら曜さん自身の命を絶つしかないでしょう」
花陽「その時は今度は千歌さんに“種”を植えるだけですけどね♡」ニッコリ
曜「…花陽ちゃん……」
花陽「なんですか?」
曜「長々と喋ってもらって悪いんだけど……」
曜「同じだよ」
花陽「……?」
曜「万でも億でも無限でも……」
曜「体内の種が何粒でも、私にとっては同じこと…」
花陽「……」
曜「…“限定解除”も済んだし、もう出し惜しむ理由もない……」ユラ…
曜「卍解」 花陽「!!」
ドドドドドドドド
凛「こっ」
ドドドドドドドドドドドドドド
凛「この霊圧―――」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
凛「大きすぎる!!これじゃ真姫ちゃん並みだよ!!」
花陽「願ってもないです……」ペロリ ゴオオオオオオオオオオ
凛「水が……」
ブクブクブクブク……
曜の足場に水が集まり、宙に浮きながら巨大な塊を形作っていく。
花陽「あれは…」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオ
花陽「……船………………」
千歌「…相変わらず…」
ド ン
千歌「デッカァ〜〜〜!」
曜「『大紅蓮曜候丸(だいぐれんようそうろうまる)』」 果南「――!」ピクッ
果南「この霊圧は……」
鞠莉「あらあら」
鞠莉「思いっきりやっちゃってるね〜」チラッ
ダイヤ「曜さん…!アレ程闘うなと……!」
・音の木坂の一室。
梨子「…曜ちゃん……」 凛「あわわわわわ」
ドドドドドドドドドドドドドドド
花陽(溢れた霊圧が創り出す巨大な水の戦艦)
花陽(そして)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
突然現れた分厚い入道雲が空を覆い尽くす―――。
花陽(“天相従臨”)
花陽(天候さえも支配する)
花陽(初めて見ます)
花陽(これが渡辺曜さんの持つ流水系最強の卍解―――――…!)
大紅蓮曜候丸!! サアアアアアア
花陽「!」
辺りに広がる白米が塵のように消え失せていく。
花陽(私のお米が――消滅した!?)
ブクブクブクブク…
花陽(違う!吸収されている!曜さんの卍解に―――)
ゴオオオオオオオオ
凛「あっ豚骨スープが……」
ブクブクブクブクブク
花陽(お米だけじゃない――) サアアアアアア
花陽(草も――)
サアアアアアアアア
花陽(木も――)
サアアアアアアアアアア
花陽(建物まで――!?)
ブクブクブクブク…
花陽(全ての構造物を吸収している――!?) 花陽(あらゆる物質に含まれる“水分”を―――)
花陽(物質の分子の結合を破壊し、“水”に変換して取り込んでいる―――!?)
ゴオオオオオオオオオオオオ
花陽(これは言わば水分の隷属!!)
フッ…
花陽「!!」
花陽(曜さんのお腹に植えた“種”が、全部消えた――!)
花陽(吸収された―ーあの卍解に!!)
花陽(身体の中の――あんな小さい種まで――!)
曜「……」
花陽「…人間に許された力の領域を超えていますよ曜さん……!」 凛「『月猫夜』!!」バッ
ゴオオオオオオオオ
凛「にゃ…」
ブクブクブクブク…
花陽(凛ちゃんの『月猫夜』で水がスープになって地面に落下するより)
花陽(豚骨スープを“水”として再吸収する方が圧倒的に速い)
ゴオオオオオオオオ
花陽(もう『月猫夜』なんてしょっぱい能力じゃとても太刀打ちできない…!) 曜「花陽ちゃん……これが本当に最後のチャンスだよ」
曜「よく考えて答えた方が良い」
花陽「……」
曜「やめる?」
花陽「………………」フルフル…
凛「かよちん…」
花陽「スバラシイ!!」カッ
千歌「!?」
花陽「こんなスゴい卍解!こんなスゴいスクールアイドル!!」
花陽「絶対にいただきます!!」
花陽「卍解!!」ゴオッ ド ン
花陽の傍らに、屋根より高い巨大な銀色の赤ん坊が現れる。
花陽「『銀色炊込地蔵(ごんじきたきこみじぞう)』」
曜「……」
花陽「この子のまき散らすお米はあまりの美味しさに」
花陽「身体に触れたらその瞬間、ショック死しちゃいます!」
曜「致死毒か……吸い込むのはちょっと怖いね」
花陽「“あまりの美味しさに”です!!」
花陽「だからもちろん私と凛ちゃんは死にません!」
花陽「死ぬのはアナタ達二人だけ!」 花陽「曜さん――あなたのようなスクールアイドルをナマで捕まえられないのは残念極まりますケドね」
曜「好きなだけ吐き散らせばいいよ」
曜「私の“大砲”一閃で花陽ちゃんごとブチ抜く」
花陽「是非!!やってみてください!!」バッ
銀色炊込地蔵「ウワァアアアァァアアン」カッ…
ブワアアッ
曜「――」ピッ
ドオオン
赤子の怪物が吐き出したお米の束と水の戦艦が打ち出した大砲が正面衝突する――――
カッ… 地を裂くような轟音と爆風の後…………
サア…
立ち昇った砂埃が晴れていく……。卍解は両者とも解かれているらしい……
「………カハッ…」
ドシャアッ
立っているのは一人―――
曜「…ふう」
千歌「流石!」ブイッ
曜「…」ケイレイ!
花陽「ハァ……ハァ……」
凛「かよちん!」 花陽「誰か……」プルプル
花陽「誰か助けて!!」グサアッ
曜「!」
サアアアアアア
花陽が自分にしゃもじを刺す。と、服を残して肉体は散体し、おなじみの流体に変わる。
千歌「斬ったものを米にする能力……!」
千歌(自分が逃げるために手元にそんな能力を残してたのか…!)
千歌「くそっ…」
米「無駄ですよ、千歌さん」ズズ…
お米の集合体が喋る。 米「今の私はどんな攻撃もできない代わりにどんな攻撃も受け付けません」
米「数日はこの姿から戻れませんが、お家で傷を癒します」ズズ…
言いながら、お米は地を這って二人から逃げていく。
米「多少面倒なことにはなりましたが、私は生き、お二人は死ぬ」
米「その結末は変わりません」
シュン…
千歌「!」ハッ
千歌「…“乱装天傀”が…消えかかってる…!」
曜(限界か……もう……!)
米「さようなら、曜さん、千歌さん」ズズズ… 凛「あ〜!かよちん待って待って〜!」ヨロヨロ…
曜千歌「………………」
千歌「…行っちゃったね」
曜「……正直、助かった…」フウ
千歌「……」
千歌「曜ちゃん」
曜「?」
千歌「最後、手加減したでしょ」
曜「……」 千歌「本気で撃ってたら、絶対殺せてたのに!」
千歌「ほんっとーに甘いんだから!」
曜「偶然だよ…私は殺す気で撃った」
千歌「どーだか!」
曜「あ、アハハハハ…」タジタジ
曜「ハ……」ガクンッ!
千歌「曜ちゃん!」
曜「大丈夫……」
曜「ただ……“乱装天傀”がもう……」
千歌「無理もないよ!だって私のぶんまでやって、卍解まで一緒に出して……」
曜「困ったな……もう…ほとんど動けない…」
千歌「ダイヤさん…ダイヤさんさえいれば……!」 ダイヤ「ヘックション!」
鞠莉「こんな時にクシャミって」プッ
鞠莉「緊張感無さすぎでしょ」アハハハ
ダイヤ「…クシャミと緊張感は関係ありませんわ」
鞠莉「どうする?」
鞠莉「さっきので曜と――たぶん千歌っちも――大体の居場所は分かったけど」
鞠莉「助太刀に行ってみる?」
ダイヤ「…イヤ」
ダイヤ「曜さんが卍解したんです。その必要はないでしょう」
鞠莉「…なんかダイヤ言ってること矛盾してない?」
ダイヤ「お黙りなさい」
ダイヤ「今はそれより……」
鞠莉「分かってる」
鞠莉「誰か……スペシャルな霊圧がこっちに来てるわね」 凛「くう…お腹が痛いにゃ〜」
米「ごめんね…ありがとう凛ちゃん…」
・家へと急ぐ凛と花陽(米)。花陽は袋詰めにされて凛に担がれている。
凛「!」
凛「あれは……」
米「?」
凛「真姫ちゃーん!」オーイ!
真姫「……凛」 真姫「貴方、その傷……」
真姫「!」
真姫「そのお米は……花陽ね」
米「うん!そうだよ!」
真姫「…二人して……どう見ても敗走中って感じね」
凛米「負けてないよ!」
真姫「もう、シャキッとしなさいよ」ハアー
真姫「遊び好きの凛はともかく、花陽まで…」
凛「負けてないってば――」グッ
凛「うわっ!!……びっくりした〜!」」
真姫「……」
凛はようやく、真姫の後ろに倒れている少女らに気づいた。 凛「この子たちは……」
米「黒澤ルビィちゃん!国木田花丸ちゃん!津島善子ちゃん!」
米「にこちゃんに勝ったAqoursの一年生の子たちです!」
凛「真姫ちゃん勝ったのー!?」
真姫「当然でしょ。私を誰だと思ってるのよ」
凛「真姫ちゃん」
米「真姫ちゃん」
真姫「そういうことじゃない!」
「まっ…」
米「!」 ルビィ「まだ……」
善子「…負けてない…」
花丸「……ずら」モゾ…
凛「……」
凛「真姫ちゃん、トドメは〜?」
真姫「要らないわよ」
真姫「にこちゃんだって生きてるんだし、弱い子を何人倒しても、誰が私の最強を認めるのよ」
米「…でも、万が一、ここから逆転ってことが…」
真姫「無いわよ、そんなものは」
真姫「覚えておきなさい」
真姫「私が、μ’s最強なんだから」 渡辺曜――『蒼浪丸』
卍解:『大紅蓮曜候丸』
形状:空中戦艦。それに乗る曜にも制服と帽子ができる。全部水。
能力:水分の隷属(人体は対象外)。水を操る攻撃の威力も始解時とはケタが違う。
小泉花陽――『炊込地蔵』
卍解:『銀色炊込地蔵』
形状:炊飯器と融合した巨大な銀色の赤ん坊の怪物。常に泣いている。
能力:致死性の米をばら撒く。 ガチャッ…
海未「失礼します」
梨子「……」
海未「曜がやってくれましたね」
海未「凛はともかく、まさか花陽が負けるとは。正直考えもしていませんでした」
梨子「…曜ちゃんは天才だから」
海未「おかげで穂乃果は飛び出しますし、それを追ってことりも消えてしまいますし」
海未「全くかき回されてしまいましたよ」
梨子「…それで私を見張りに?」 海未「当たらずとも遠からずですね」
海未「色々聞きたいこともできましたし……」
梨子「失言ね」
海未「えっ?」
梨子「真姫ちゃんに加えて―――」
梨子「今は穂乃果ちゃんもことりちゃんもいない」スッ…
海未「……」
梨子「三年生二人はすこぶる厄介だけど…………」
梨子「海未ちゃん一人を倒して脱け出すぐらいなら……なんとかできそうだわ」
海未「…貴方はもっと……」
海未「頭が良いと思っていたんですがね…………梨子……」
to be continued… とんこつスープに変える能力でどう戦えっていうにゃ… 海未「“人質である自分を殺すハズがない”―――とでも?」
海未「浅薄」
海未「私には、生かしたまま翼を折る方法などいくらでも…」
梨子「悪いけど、海未ちゃんとお話してるヒマはないの」
バッ
海未「…」
梨子「叫べ青春――」
スウ…
梨子「『桜内』」 梨子のラブライブレードが桜色の日本刀に変わった。
海未「…持ち主に似て美しい斬魄刀です」
梨子「フフ…どうもありがとう」
海未「もっとも――――」
海未「撃ち抜け」ピイン…
梨子「!」
海未「『神弓』」
海未のブレードは弓矢に変わる。
海未「そのどちらも、私には遠く及びませんがね」 梨子「…制服に弓矢っていうのも、絵になるものね」
梨子「けど、危ないんじゃない?髪留めも胸当てもなくソレを扱うのは」
海未「心配には及びません」
海未「貴方程度を相手するのに、危ないも何もありませんよ」
梨子「その驕りが―――アナタの最大の弱点だわ」
シュンッッ
海未「……」
梨子「はあっ!」ブンッ
海未「鈍い」バッ スカッ…
海未「!」
海未(残像…!)
斬ッ
海未「――ッ」
梨子「見誤っていたようね、私の“踊”の実力を」
海未「…………」…ポタ…
梨子「浦の星の二年生以上が校区を出る時は、霊圧を制御する“限定霊印”が押されるの」
梨子「それがついさっき解除された……だから今の私の力はさっきまでの5倍よ」
海未「…フン……右腕の薄皮一枚掠めた程度で……」 海未「!」
ジッ…
梨子「やっと気づいてくれたのね」
海未(右腕が動きません)
梨子「もうその右腕は私のものになったわ」
海未「……」
梨子「全てのものには“支配権”がある」
梨子「“犬(ノクターン)”は“飼い主(わたし)”の支配下にあり、“グループ”は“リーダー”の支配下にあり」
梨子「“受け”は“攻め”の支配下にあり、“天井”は“壁”の支配下にある」 梨子「私の『桜内』の能力は斬ったものの”支配権”を奪う能力」
梨子「私はこの力を『愛(アモール)』と呼んでいるわ」
海未「…………」
梨子「いまひとつ理解できていないようね」
梨子「こういうことよ」
ボコオッ
海未「がっ!?」
海未が自分で自分のお腹を思い切りぶん殴る。
海未「――っ」ガシッ
梨子「二発目をもう左で抑えこむ反応の速さは流石ね」 梨子「けど今ので分かったでしょう?」
梨子「海未ちゃんの右腕はもう私のもの、私の意のままに動かせる」
海未「………オホン…ッ…」
梨子「そんなイタい中二病みたいに自分の手を抑え込んで、どうやって私と闘うのかしら」クスリ
梨子「自慢の弓も泣いてるわよ」
海未「縛道の三十、『もぎゅっと“love”で接近中!』
梨子「!」
モギュッ…
梨子(自分に縛道をかけて腕を……)
梨子「…考えたね。でも結局両手を封じられたのは同じこと…」
海未「難儀な話です」
梨子「え?」 海未「梨子……貴方と私の間には海よりも広い力の差が隔たっています」
海未「海未は私ですが」
梨子「…………」
海未「こうして両腕を捨ててもなお、対等とはまだ程遠い」
梨子「…どうやらあなたは私が思っている以上に馬鹿だったようね」
梨子「自分の斬魄刀も使えない今の海未ちゃんじゃ……」
海未「全て言わなければ解りませんか」
海未「斬魄刀を使う必要すらないと言っているのですよ」
梨子「……!」
海未「破道の七」
海未「『知らないLove*教えてLove』」
ビュオオオオ 梨子(風!)
ビュオオオオオオオ
梨子(激しい…!身体がさらわれる……!)グググ…
海未「破道の二十三」
海未「『秋のあなたの空遠く』
ジュン…
梨子「――っ!」
梨子(通り風が……染みる!) 海未「破道の四十」
海未「『夏色えがおで1,2,Jump!』」
パチパチパチパチ
梨子「くうっ」
光のシャワーが弾ける。
梨子(“詠唱破棄”の三連発――!)
梨子(上位の番号じゃないとはいえ――顔色一つ変えずにこんな――)
海未「こんなものですか…」
海未「終わらせます」
梨子(まだ…!)
海未「縛道の六十三、『勇気のReason』」 ギュルル…
梨子「ウッ!」
梨子(こ、こんな時に…なんで…)
ギュルルルルル…
梨子(お腹が……!)
海未「苦しいでしょうね」
梨子「!」
梨子「ま、まさか……」
海未「自身の霊圧が大腸に異物として表出し、お尻からどうしようもなく溢れ出す――」
海未「それがこの、ある意味最凶の”歌道”、『勇気のReason』です」
梨子「………っ…」プルプル 海未「どうします梨子?」
海未「“参りました”の一言が言えれば、今すぐ術を解いてあげないでもないですよ」
梨子「………」プルプル
海未「トイレに行きたいですよね?出してスッキリしたいですよね?」
海未「恥ずかしいのは―――一瞬だから大丈夫―――ですか?」ニッコリ
梨子「…………へっ……」
海未「…………」
梨子「……へい…」
海未「『平気、大丈夫よ!』
梨子「!!」
海未「『悲しくてもそう答えなきゃ』」 梨子「な…………」
海未「『みんな気がついて』」
海未「『本当じゃない強がりだと』」
梨子(後述詠唱――!)
梨子(“詠唱破棄”で放った術に詠唱を追加して強化する―――超高等技術!)
海未「『泣いてみようか少し』」
梨子「!!」
梨子(しかもこれは―――)
海未「『違う自分を出せば変われる?』」
梨子(後述完全詠唱――!?)
梨子(話は聞いたことある――でも実際に出来る人がこの世にいるなんて――) 海未『引いたり満ちたり』
ギュルルルルル
海未『心の波が』
梨子「ハア……あっ…」
海未『私をさらうの』
梨子「くう…くううう……」
海未『こんなに何かを求める力が』
梨子(マズい!!本当にマズい!!)
海未『私のなか』
海未『激しくなるReason』 海未「『不思議、熱くなる!』
梨子(にににに2番〜!?)
海未「『踏み出したら』」
梨子(もう!!限界!!)ワナワナ…
海未「『もう走らな――』」
梨子(出ちゃう!!!)
バオオオオオオオオオン
海未「!?」 海未(“お漏らし”―――)
ズズズ…
海未(じゃない!!)
梨子「…………」ズズ…
内側から裏返るようにして。梨子の全身に闇がまとわりついていく……。
海未(なんです!?一体――!?)
梨子「……………フ」
海未「!」
梨子「ウフフ…♡」ズズズ…
海未「…っ!」ゾワア
海未「遊びは終わりです!」 海未「縛道の九十八!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
海未「『乙姫心で恋宮殿』!!」
グオオオオンッッ
部屋が、四方から華やかな宮殿に変わる。
海未「閉じなさいっ!」バッ
梨子「…………………」
グルグルンッ ギュウウウウウウ バタバタバタバタバタン! ギイイイイイイイッ…
梨子をその真ん真ん中に入れて、扉や門が一斉に閉まる……。 しん……
海未「……沈みなさい」
ず…
梨子を閉じ込めたまま、宮殿は床に沈んでいき、部屋は元に戻る。
し〜ん…
完全な沈黙。最上位九十番台の縛道は成功したらしい。
海未「これでとりあえず……鎖は繋がれたまま、ですね……」フウ
海未「…にしてもなんだったんでしょうか………今のは…………」
海未「霊圧の感じは…………――と似ていたような………」
ゾワ…
海未「!」
海未(鳥肌……ですか……)
海未(今のμ’sのメンバー以外では………あの三人と相対した時以来ですね…) 桜内梨子――『桜内』
解号:「叫べ青春」
形状:桜色の日本刀。
能力:斬ったものの“支配権”を奪う。 適用範囲は狭め。
園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。 ・時間はほんの少し巻き戻って――海未梨子の開戦と同刻…。
ダイヤ「今はそれより……」
鞠莉「分かってる」
鞠莉「誰か……スペシャルな霊圧がこっちに来てるわね」
ドドドドドド…
ダイヤ「……」
ドドドドドドドドドドド
鞠莉「…ちょ……!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
ダイヤ「これは……!いくらなんでも…………!」
「見つけたよ!」
ダイヤ鞠莉「!!」 ザッ…
「えっと、小原鞠莉ちゃ……鞠莉さんと」
「黒澤ダイヤさん、ですね!ルビィちゃんのお姉ちゃんの!」
鞠莉「…ワ〜オ……」
ダイヤ「……!…まさか貴方が直々に出張ってくるとは―――」
「初めまして!μ’sのリーダーの―――」
ドドドドドドドドドドド
穂乃果「高坂穂乃果です!」ニッコリ
to be continued… 曜「うわ…」
千歌「すっごい……」
・曜と千歌。『炊込地蔵』の米の効果で手足が動けず、路上に這いつくばっている。
ドドドドドド…
曜「何て大きい霊圧だ……」
千歌「こことは離れてるのに……まるですぐそこにいるみたいに感じるよ…!」
曜「うん…………本当に……すぐそこに…………」
ドドドドドドドドド
曜「!!」
曜「イヤ!」
ドドドドドドドドドドドドドド
曜「違う!二人いる!!」 曜「遠くにも!すごく近くにも!デタラメな霊圧が二人!!」
千歌「えっ……」
「その通り」
曜千歌「!!」
「けどもっと正確に言えばこうね」
「特大の霊圧が遠くに一人…」
ドドドドドドドドドドド…
曜(や…)
千歌(ヤバい!!)
真姫「更にその上を行く“最大”の霊圧が…………ここに一人」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています