穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。
???「この辺りですか…」
一月十八日。午後二時二十三分 金曜日
???「――成程…強い魄動を感じます…。」
斯くて刃は振り下ろされる。 千歌「いや〜〜〜」
千歌「それにしても長かったな〜」ウキウキ
・内浦。部活終わりのAqours。一二年生6人。
曜「良かったね、千歌ちゃん」
千歌「うん!よかった!」
千歌「これでやっと曜ちゃんに並べたからね!」
曜「アハハハハ」
ルビィ「やっぱりすごいなあ、曜ちゃんも、千歌ちゃんも……」
花丸「スクールアイドルとしてのレベルが、マル達とは一回り違うずら」 曜「いやいや、ルビィちゃんや花丸ちゃんだって…」
曜「まず“解放”ができるだけで、スクールアイドルとして上の上だよ」
善子「ソレ、嫌味……?」ジロリ
曜「えっ!?あっ、イヤ…」
曜「善子ちゃんは、ホラ、特別だから…」アセアセ
善子「特別…………」
曜「堕天使だから!ヨハネちゃんだから!」コショコショ
善子「いかにも!私は堕天使ヨハネ!」ギラン!
花丸「ご満悦ずら」
千歌「単純だなー」
ルビィ「アハハ…」
ガヤガヤ…
梨子「…………」 千歌「梨子ちゃん!!」
梨子「!」ビクッ
梨子「…何?千歌ちゃん。急に大きな声出して」
千歌「急にじゃないよー!三回目だよ!三回目!」
梨子「あ…そうだった?」
梨子「…ごめんね、ちょっと考え事してて…」
曜「なんか、悩みでも…?」
梨子「……ううん…何も……」
シュンッ
六人「!?」 「存外」
善子「えっ…!?」
平穏な日常に、突然混じる聞き慣れぬ声。否、聴き慣れた声。
スクールアイドルに生きる彼女らには。
海未「Aqoursの三年生も無能ですね」
ルビィ「μ’sの…」
千歌「園田海未さんっ!?」
海未「最も危険が高いのは下校の時だということを知らないらしい」
海未「フンッ」トン
梨子「」ガクンッ
五人「!!」
海未「連れて行きますよ」 善子「…は…ハァ!?」
花丸「どういう…」
海未「理解が遅いですね。それでもスクールアイドルですか?」
千歌「皆下がって!」スッ…
千歌がラブライブレードを抜く。
千歌「輝け!」フッ…
千歌「『金毘加(きんぴか)』!!」キラキラッ!
千歌のラブライブレードが光輝く刀剣に変化する。
海未「そう…」
海未「それでこそスクールアイドルです」
千歌「そりゃッ!」ブンッ
ガキィィン! ギリギリ…
千歌の『金毘加』と海未のラブライブレードが鍔ぜり合う。
千歌「“解放”を―――しなくて良いんですか!?海未さん!」
千歌「解放済みの私とこのまま戦おうなんて、いくらなんでも自惚れが…」
ポツン…
千歌「!」
千歌(雨………?)
海未『時々雨が降るけど水がなくちゃたいへん』
千歌「!!」
海未『乾いちゃだめだよ』
海未『みんなの夢の木よ』 海未『育て』ブゥン…
千歌(―まさか―――)
千歌「みんな伏せ――」
海未「破道の五十五、『愛してるばんざーい!』」
ズドォアァッ
突如、海未の足元から「ジャックと豆の木」のごとく木が生え、急速に育って千歌にブチ当たる。
千歌「うぐッ!」
海未「自惚れないでください」
海未「私の“解放”――貴方ごときにタダで見せるほど安くありません」
海未「このまま夢の木で圧し潰して終いです」グッ…
ビキビキ…
千歌「うあ………!」 曜「―――水天逆回れ」ス…
海未「!」
曜「『蒼浪丸』」バ ン
曜「はっ!」ピョンッ
斬ッ
ボトトッ
タンッ
千歌「ケホッ、ケホッ」
千歌「ありがとう……曜ちゃん」
曜「うん、それより千歌ちゃん、みんなを」
千歌「分かった!」 千歌「まずは梨子ちゃんを…」シュンッ
ス…
千歌(大丈夫…気を失ってるだけだね)
千歌(とりあえず梨子ちゃんにはこのまま寝ててもらって…)
梨子「」ゴロン…
千歌「さあさ、みんなも私の後ろに下がって」
花丸「ずらっ」ササッ
善子「堕天!」ササッ
ルビィ「うゆ…」ササッ
海未「…ふむ…“千歌”が“みんな”――動けぬ梨子と木っ端三人のお守りを」
海未「で………“貴方”は“誰”を担当するんです?曜……」 曜「もちろん、海未ちゃんを」
海未「二度目ですよ、Aqours」ズ…
千歌「……」ゴクリ
海未「自惚れるな。」
シュンッ
花丸「!」
ルビィ「消えた!?」
千歌(“瞬歩”!?私よりずっと速い!)
ガキィン!
海未「む!」
曜「見えてるよ!」 曜「今度は私から行くよっ」シュンッ
海未「面白いですね…」シュンッ
シュンッ シュンッ シュンッ
ガキィン! ガキン! ガキィン!
ルビィ「すごい…流石曜ちゃん」
花丸「あのμ’sと互角に斬り結んでるずら」
善子「当たり前でしょ」
善子「…天才よ、あの人は」
ガキィン ガキィン!
海未「………」シュザザザザッ
海未が4歩退いて二人の距離が空く。 海未「素晴らしい」パチパチパチパチ
海未「聞いた以上の非凡ぶりです。曜………合格です」
曜「……」
海未「ご褒美に見せてあげましょう、私の斬魄刀解ほ―――」
海未「!」ざわ…
曜「ゴメンね」
ザアアアアアア……
曜「私は別に興味ないんだ」
曜の斬魄刀――蒼浪丸の切っ先にに大量の水が集まっていく。
曜「『洋葬漏砲』」ドッ 海未「フン!何かと思えば水鉄砲ですか!」
海未「この程度躱せないとでも…」バッ
グニャッ
海未「な!?」
海未(軌道が曲がっ…)
ドッ
海未「うがっ!」ドシャアアア
曜「『蒼浪丸』は流水系最強」
曜「放った水は地べたに落ちるまで、右から左へ、下から上へ、思うがままに操れるんだよ」
海未「くッ…」ズブ… 曜「だからこんなことだってできる―――」
ギャンッ
海未「!?」
曜「『千年水牢』」
水の檻が海未の周囲を包む。
曜「拘束完了――勝負あったね」
海未「…………フ」
曜「?」
海未「…フフフ…残念…惜しかったですね曜……」ポタポタ
海未「筋は悪くなかったですが…今回は私に利がありました」 ズドアアッ
バシャアッ
曜「!!」
大地が裂け、『千年水牢』が崩れ落ちる。その中心にあるものは先刻と同じ。
千歌「夢の木!!」
千歌「まだ…」
海未「夢の木は強い」
海未「水さえあれば何度でもどこまでも成長できるのですよ」
海未「そして曜――貴方は水を与え過ぎた」ヒョイッ
グググググググ…
海未は夢の木に飛び乗り、そのまま夢の木の成長とともに天に昇っていく。
そしてその海未の隣には。
千歌「梨子ちゃん!」
千歌(いつの間に…!) 曜「まずい…!」
曜(…間に合うかな…)シュンッ
海未「『うれしいから君に会いにいこう』」
海未「『悲しいから君に会いにいこう』」
海未「縛道の七十七『どんな時もずっと』」
カッ…
光の柱が海未と梨子を包む。
千歌「梨子ちゃ――」
海未「ご機嫌用」
シュインッ
光とともに二人が消える………。 千歌「梨子ちゃん………」
善子「……リリー…!」
曜(瞬間移動…!やられた!)
千歌「梨子ちゃ―――ん!!」
花丸「た、大変ずらぁ……」
ルビィ「どうしよぅ…」
シュンッ
五人「!」
ダイヤ「遅かった…ですわね………」 ダイヤ「事態は火急ですわ!」
・浦の星女学院。スクールアイドル部部室。三年生3人加えて計8人。
ダイヤ「梨子さんがμ’sに攫われました」
ダイヤ「霊圧、魄動ともに安定はしていますが、予断は許されません」
ダイヤ「ただちに音ノ木坂学院に急行しましょう」
千歌「うん!」
果南「力ずくで奪還する、っていうことでいいんだよね?」
ダイヤ「…嬉しそうですわね」
果南「違うの?」
ダイヤ「…積もる話は後ですわ。今は一秒を争う時」
ダイヤ「鞠莉さん」
鞠莉「OK」ヒラヒラ 鞠莉『決められた未来なんてさ未来じゃない予定表だよ』
鞠莉『目的地も決まってる刺激がないね』
鞠莉『今じゃなくちゃ見えないこと』
鞠莉『今だから見える景色』
鞠莉『追いかけたいよ風の吹くまま』
鞠莉「破道の三十三、『予測不可能Driving!』」
ボン!
鞠莉の詠唱で、八人の前にワンボックスカーが現れる。
鞠莉「みんな乗ったね?」
鞠莉「飛ばすよー!」ブンブーン!
ふわ…
東京・音の木坂学院へ、八人を乗せた車は宙に発進した。 高海千歌―『金毘加』
解号:「輝け」
形状:普通の刀(輝いてる)。
能力:輝く。
渡辺曜―『蒼浪丸』
解号:「水天逆回れ」
形状:トライデント。
能力:大量の水を生み出し、自在に操る。 ダイヤ「…そろそろですわね」
・数十分後。予測不可能の車中。空の上。
ダイヤ「今一度、確認しておきますわよ」
ダイヤ「音の木の校区に入ったら決してはぐれない事」
ダイヤ「μ’sの9人と会ったら迷わず逃げなさい」
果南「……んー…」
ダイヤ「私達の目的は梨子さんの奪還、それのみですわ。つまり梨子さんを確保でき次第速やかに…」
果南「んー?」
ダイヤ「聞いているのですか!?貴方に言っているのですよ!ア・ナ・タ!」
花丸「果南ちゃんにそんなこと言っても聞くわけないずら」
鞠莉「ダイヤは心配性だからね〜」 ダイヤ「皆さんがμ’sを甘く見過ぎなのです!」
ダイヤ「勝てる見込みのない全面対決は絶対にNG!ブッブーですわ!!」
千歌「そんな…今度のラブライブ!でμ’sと闘うことだってあるかもしれないのに……」
鞠莉「そうよ!Aqoursの目標は優勝でしょう!?今から怖気づいてちゃ…」
ダイヤ「死ににいく理由にラブライブ!を使わないでください。」
七人「!!」
ダイヤ「……命あってのスクールアイドルです」
ダイヤ「大会の中でお客さんの前で戦うのと、野戦――ましてや相手のホームグラウンドで戦うのではまるで勝手が違いますわ」
ルビィ「……でも、もし、上手く戦わずに梨子ちゃんを連れ戻せても、」
ルビィ「そうするとまたμ’sが梨子ちゃんをさらいきて、結局戦いになっちゃうんじゃ…………」
果南「…だね。ずるずるいくと面倒だし、ここで一気に…」
ダイヤ「その時は―――私がμ’sを斬りますわ」
七人「……!」
ダイヤ「これで文句ないでしょう?」
バリバリバリバリィ!
全員「!?」 突然の爆音と衝撃。車が何かにぶつかって急停止した。
ダイヤ「鞠莉さん!何事です!?」バッ
ダイヤ「!これは……」
ピキ……
八人の眼前。音ノ木坂学院の校舎を中心に、ドーム状に結界が貼られている。
鞠莉「遮魂膜…!」
鞠莉「しかも相当強いヤツだわ。こんなのに気づかないなんて……」
千歌「シャコンマク…?」
ダイヤ「霊子でできたバリアーのようなものです」
ダイヤ「ヤワな霊子体がこれに触れると……」
ボン!
善子「く、車が!」
ルビィ「消えちゃったぁ!」
花丸「落ちるずら!」
ダイヤ「離れないでください!!」 ダイヤ「今は溶けた車の霊子が一時的に私達に絡みついています――のでこのように私達もまだ宙にいられます―――が、じきに渦を巻いて破裂します!」
ダイヤ「その時に離れていると全員バラバラに…」
ギアアッ
ダイヤ「始まりましたわ!」
ダイヤ「皆さん隣の人を掴んでください!!絶対に一人になってはいけませんわ!!」
善子「そういわれても……」
花丸「いきなりすぎて何がなんだか……」
ルビィ「もう届かないよぉ…」
曜「『蒼浪丸』!!」バン
ダイヤ「流石ですわ曜さん!」
ダイヤ「私達三年は後で良いです!まずはルビィ達を!」
曜「うんっ!」クイッ 曜「卍解ッ──────千歌ノ乳梨子ノ尻鞠莉ノ腰善子ノ脇腋脇」 スルルルルルル
ルビィ「ピギっ」ガシッ
花丸「ずらっ」ガシッ
善子「うわっ」
曜の操る水流に乗せられ、一年生三人がまとまる。
曜「千歌ちゃん!」
スルルルンッ
千歌「ありがとう曜ちゃん!」ガシッ
果南「よっと」ハグゥッ
鞠莉「ダイヤは…」
ダイヤ「あーれー!」ドヒュウウウウウウ
果南「ありゃりゃ」 曜「ダイヤさん!」
ギアアアアアアアア
曜(ダメだ!間に合わない!)
果南「ダイヤ!」
ダイヤ「私は大丈夫ですわ!果南さんは鞠莉さんを…」
果南「パス!」ナゲエッ!
鞠莉「ええええええええ!?」ビュイーン
ダイヤ「っとっとっとォ!」キャッチ!
ダイヤ鞠莉「果南(さん)!」
果南「また、ね」ニコッ カッ
音の木に乗り込んだAqoursは、一年生、曜千歌、ダイヤ鞠莉、果南の四組に空中で分裂した――――。
花陽「!」ピクッ
・音ノ木坂学院、スクールアイドル部部室。
花陽「大変です!」
穂乃果「敵襲だね」
穂乃果「まずは紅茶でも淹れよっか」
to be continued… 金毘加って同じ名前のやつが原作に無かったっけと思ったが蒼浪丸も海燕のが元ネタっぽいし意図的なのか 金毘迦って斬魄刀はオリジナルにあるね
零番隊の麒麟寺の始解
ちなみに金沙羅もローズの始解 穂乃果「希ちゃん、お願い」
希「お任せあれ♪」
希「縛道の六十九『純愛レンズ』」
ピイン
空中にAqours8人、四組の映像が映し出される。
にこ「!」
にこ「こいつら、例の…」
花陽「Aqours!!」
花陽「今最も熱いスクールアイドルグループの一つです!」フッスーン
真姫「なんか……弱そうだけど」クルクル
ことり「かーわいい♡」
絵里「…話にならないわ」
ガタッ
八人「!」 海未「どこへ行くのです、凛」
凛「倒しに行くんだよ!」
凛「あの子たちはみんなμ’sの敵なんだから…倒しちゃっていいんでしょ?」
海未「リーダーである穂乃果の指示がまだですよ。戻りなさい」
凛「μ’sのためにあの子たちを潰しに行くんでしょ!」ムーッ
穂乃果「凛ちゃん」
凛「にゃー?」
穂乃果「μ’sの……私達の為に動いてくれるのは嬉しいけど」
穂乃果「話が途中だから、今は席に戻ってね」
凛「…………」
穂乃果「…どうしたの?」 穂乃果「返事が聞こえないよ」
穂乃果「星空凛ちゃん」ズオオオッ
凛「―――ッ」ガクンッ
にこ「……っ!」ミブルイッ
にこ(相変わらずなんちゅう霊圧…!)ゴクリ
花陽「凛ちゃん…!」
真姫「馬鹿…」
凛「怖いにゃ〜」ヘタ〜
絵里「……」ハア
穂乃果「解ってくれたみたいだね」ニッコリ
希「で、指示は〜?」
穂乃果「うーん、そうだね……」 穂乃果「…………」
八人「…………………」
穂乃果「速いもの勝ち、でいっか」テヘヘ
凛「!」カッ
凛「じゃあ凜が全員もらうにゃー!」シュバビッ
にこ「ちょっ!ちょっと待ちなさい!」
にこ「私の分も…」シュンッ
花陽「二人とも!抜け駆けはずるいよぉ!」シュンッ
六人「…………」
真姫「忙しいわね…」クルクル
絵里「…急ぐ価値がある相手には見えないけれど」シャラン
海未「さあ……どうでしょうか」 果南「う〜ん………」
果南「一人になっちゃったね……」アハハ
果南「まあ、却って都合はいいかもしれないけど」
果南「えっと、音の木の校舎は……」キョロキョロ
果南「………………」
果南「…とりあえず歩くかー」 鞠莉「破道の三十三!『予測不可能Driving!』」
し〜ん…
ダイヤ「……やはり無理ですわね」
鞠莉「あ〜ん、悔しい〜〜〜っ!」ジダンダ
ダイヤ「仕方がありません。アレ程派手に強制解除された“歌道”……」
ダイヤ「五分や十分では霊子の再構築ができませんわ」
鞠莉「面倒だけど、ウォーキングで行くしかなさそうね」
ダイヤ「それを言うならランニングですわ」
ダイヤ「いや、私達スクールアイドルにとっては“ダンシング”でしたか……」
鞠莉「こうなったら全力で飛ばすわよ!」
鞠莉「ついてこれる?」ニヤリ
ダイヤ「こちらのセリフですわ」ス…
シュンッッッ 善子「いたたた…」サスサス
ルビィ「大丈夫?善子ちゃん…」
花丸「あの程度の乱下降で足から着地もできないなんて…どんくさいずら」
善子「うっさいわい!大体アンタらが私を掴んでるから…」
「ほんと、ギャーギャー五月蠅いわねー。」
三人「!!」
ドドドドドドドド
「どこのグループでも、一年生ってのはこんなんなワケ?」
ルビィ「あ……あ……」
善子「い…いきなりかいっ……」
にこ「ま、可愛がってあげるわ。実力相応にね」ドン にこ「まさか私を知らないワケはないと思うけど……」
にこ「スクールアイドル同士の一戦、やっぱり名乗りから始めないとね」オホン…
にこ「―――」スウ…
にこ「にっこにっこに〜!」
にこ「アナタのハートににっこにっこに〜!」
にこ「笑顔届ける矢澤にこにこ」
にこ「青空も―――」
にこ「にこっ♡」
………し〜ん………
にこ「…にこ〜………」パチクリ…
善ルビ丸「――」スタコラサッサ
にこ「ってちょっと待ちなさぁい!」 ルビィ「なんでこうなるのぉ…」タッタッタッ
花丸「善子ちゃんのせいずら」タッタッタッ
善子「そういう事いうなっ!これでも気にしてんだから!」タッタッ
善子「あとヨハネ!」タッタッ
にこ「ちょっと!待ちなさいってば!」ダッ
追いかけっこを始める一人と三人。
にこ「なんで逃げるのよ!?アンタら三対一よ!三対一!」タッタッタッタッ
ルビィ「そんなこと言われたってぇ!」タッタッタッ
花丸「マル達は戦争に来たわけじゃないずら〜!」タッタッタッ
善子「そういう事!」タッタッタッ にこ「骨がないわねぇ…………」
にこ「…ちぇっ」
シュンッ
善子ルビ丸「!!」キキィーッ
にこ「一つ教えといてあげる」
善子(は…速い!)
花丸(回り込まれた…)
にこ「格上相手に逃げを打つなら、囮を立てるのが鉄則よ」
にこ「戦闘力で優るということは、得てしてスピードで―ー”ダンス”で優るということ」
にこ「かけっこで勝てるわけないでしょ」
ス…
にこ「!」
横一列に並んだ三人の、真ん中の一人が一歩前に出て、ラブライブレードを抜いた。 花丸「ご教授感謝するずら、にこ先輩」
花丸「だったら……こうすればいいんだよね」ニギッ
にこ「……」
ルビィ「…花丸ちゃ…」
花丸「ルビィちゃん、善子ちゃん」
花丸「先に行ってほしいずら」
善子「何言って――」
花丸「先に行くずら!!」
善子ルビィ「!!」ビクッ
花丸「梨子ちゃんを助けるため―――だよ」
善子ルビィ「…………」
花丸「さあ、行って」ニッコリ 善子ルビィ「…………………」
善子ルビィ「……」コクリッ
ダッ
善子「絶対!追いつきなさいよ!タッタッタッ
ルビィ「待ってるからねーっ!」タッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ…
にこ「……本当に置いてくなんて、ヒドい仲間ねー」
花丸「マルは嬉しいずら」
花丸「マルを信用してくれたってことだから」
にこ「…そ」
にこ「……」ハア
にこ「名前を……ちゃんと聞いてなかったわね」 花丸「Aqours一年、国木田花丸です」
にこ「μ’s三年、矢澤にこよ」
花丸(マルは見た目で相手の力量を測れるほど戦い慣れしてないけど……それぐらいはわかる)
にこ「悪いわね、花丸」
にこ「こうなった以上――さっさと片付けさせてもらうわよ」
花丸(この人は――強い)
にこ「届けろ」
にこ「『政宗』」ジャキイン…
花丸(マルよりも、ずっと、ずっと)
花丸「眠ろうか」
花丸「『お休南無三(おやすみなさん)』」ズン… にこ「ソレがアンタの斬魄刀…変テコな形の刀ね…」
にこ「ま、私も人のこと言えないけど」ニギッ
にこの『政宗』は両手に二本、右は三日月型のブーメラン状、左は通常の短刀で、その間は地面に蜷局を巻くほどの長い糸で結ばれている。
にこ「珍しいでしょ?」
にこ「スクールアイドル界広しといえど、二つしかない“二刀一対”の斬魄刀よ」
花丸「…………」
にこ「…シカト?ツレないわね…」
にこ「そんならこっちで語り合いましょうか!」ブンッ!
花丸「!」
グルグルグルグルンッ
にこが右の『政宗』を花丸めがけて回し投げる。
花丸(避けら…………れる!これなら!)スッ… にこ「縛道の六」
花丸「!」
にこ「『ラブノベルス』」プッ
ボム!
ねばねばっ
花丸「うわっ!」ネバア
グルグルグルンッ
花丸「!」
ねばねばに足を取られている間に、『政宗』が迫ってくる。
花丸(マルの『お休南無三』で受け止めるしかない!)カチャ にこ「甘い」
スカッ…
花丸「えっ…」
『政宗』は花丸を素通りする。
にこ「フンッ!」バッ
にこが左の『政宗』を引く。
ビィン!
花丸「!」ハッ
ギュルルルンッ
花丸(背中から…!)ネバア
スパアッッ
花丸「ッ!!」ボタタッ
グルングルンッ
にこ「……」パシッ 『政宗』は花丸の右腿を裂いてにこの手元に帰った。
にこ「『政宗』は中距離戦用の斬魄刀」
にこ「派手な能力はないけど、操作性と切れ味は抜群よ」
にこ「シンプルなぶん、”歌道”とも合わせやすいしね」
にこ(まあ、私は”歌道”あんまし得意じゃないのが玉にキズだけど)
花丸「くっ…」ネバア
にこ「次で左足も奪うわ」
ブンッ
花丸(…もうちょっとがんばれると思ったけど……)
スパッ
花丸「うっ!」ガクンッ
グルグルンッ
パシッ
花丸「ハァ……ハァ……」ドサッ
花丸(やっぱりマルの目は節穴ずら) 花丸(にこさんとマルじゃ、スクールアイドルとしての経験値が―――)
花丸(戦闘の経験値が違いすぎる)
にこ「…終わらせてもらうわよ」スッ…
花丸(ゴメンね…みんな…)
花丸(マルはここまでみたいずら)
にこ「仲間を生かそうと自分の身を投げ出したアンタの覚悟は認めるけど」
にこ「…そういう自己犠牲の覚悟だけじゃ、私には…………」
にこ「勝てない!」ブンッ
グルグルグルグルンッ
花丸(これでマルのお話はおしまい) 「がんばれ!『紅降倫(べにぷりん)』!」
花丸「!」
ガキィィン!
クルクルクルクルンッ
ギャリンッ
『政宗』が“盾(シールド)”に弾かれて地べたに落ちた。
花丸「ルビィちゃん……」
善子「なんで来たずら!」
花丸「!」
善子「――とは言わせないわよ」
花丸「………」
花丸「言わないずらよ」フッ
にこ「…何よ…良い仲間じゃないの」フン…
to be continued… 矢澤にこ―『政宗』
解号:「届けろ」
形状:左がブーメラン、右が短刀の二刀一対の斬魄刀。二刀は糸で繋がっている。
能力:特になし。切れ味は鋭い。
黒澤ルビィ―『紅降倫』
解号:「がんばれ」
形状:盾。
能力:特になし。 にこ「にしても……」チラッ
ルビィ「…………」ゴクリ
にこ(『政宗』を弾いて傷一つ無し……か)
にこ「フンッ!」クイッ
ビインッ
パシッ
にこが右の『政宗』を手元に戻す。
にこ「良〜い硬さしてるじゃない」
にこ「名は?」
ルビィ「Aqours一年、黒澤ルビィです」 にこ「ついでに、そこのお団子も」
津島「Aqours一年……堕天使ヨハネよ」ギランッ
にこ「ハァ?堕天使?」キョトン
にこ「さっむいキャラしてるわね〜」
善子「アナタに言われたくないわよ!」
にこ「ぬわんでよっ!」
ギャーギャー…
ルビィ「花丸ちゃん、今治してあげるからね」ブゥン…
花丸「ルビィちゃん、回道できたずら?」※回道…回復術。
ルビィ「うん、最近隠れて練習してたんだぁ」
ルビィ「まだ全然お姉ちゃんみたいにはいかないけどね」エヘヘ… にこ「で…津島」
善子「苗字!?ってか言ってないし!」ガビーン
にこ「アンタも解放しときなさい」
善子「!」
善子「……」
にこ「敵にこんな甘っちょろいこと言うのは我ながら情けないとは思うけど」
にこ「一スクールアイドルファンとして、単純に見てみたいのよ」
善子「…………」
にこ「何よ、もったいぶらなくても良いじゃない」
にこ「アンタだって解放しずに私と闘うのは……」
善子「いいえ!」
にこ「…………は?」 善子「私の解放…あなた程度にタダで見せるほど安くないわ!」
にこ「なっ…」
花丸「聞いたようなセリフずら」
ルビィ「善子ちゃん!」
ルビィ「一分!一人でがんばルビィできる!?」
善子「当然!」ビシッ
にこ「……ナメられたもんね…」
にこ「後悔しても……」スチャ…
善子「…」ゴクリ
にこ「知らないわよっ」ブンッ
グルグルグルンッ
善子「縛道の九十四!」カッ
にこ「!?」 にこ(九十番台詠唱破棄―――!?)
にこ(そんなもん出来るワケ――)
善子「『Daydream Warrior』!!」
ズズズ…
にこと善子の間――空間に黒い扉が現れる。
にこ「!!」ゾクッ
にこ(…ヤ………)
キィ…
黒い扉が開く。
にこ(ヤバイ!!何かわかんないけどとにかくヤバイわ!)
にこ「『政宗』!戻ってきなさい!」グイッッ
すうっ…
善子「!」
ルビィ「あ……」
花丸「失敗ずら」 何らかのその“歌道”の効果を発揮する前に、黒い扉は消えてしまった……。
にこ「…………」パシッ
何はともあれ、『政宗』はにこの手に戻る。
善子「惜しい!」ビシッ
花丸「全然惜しくないずら!」
ルビィ「善子ちゃん!フザけてる場合じゃないよ!」
善子「フザけてなんかないわよ!」
善子「私が出来る“歌道”はこの『Daydream Warrior』ぐらいしか……」
花丸「出来てないし出来たこともないずら!」
にこ「…危なかった………のかしら」アセタラ…
にこ(九十番台の“歌道”は神の領域……コイツにそれがまともに出来るワケないとは思うけど)
にこ(万が一を考えると、下手に自分の斬魄刀を前線に晒すのは得策とは言えないわね…) にこ「得意じゃないってのに……」ス…
花丸「善子ちゃん!」
ルビィ「来るよ!」
善子「わかってる!」カマエッ
にこ「『思い込み』」
にこ「『正しなさい!』」
にこ「『なんて言わないわ』
にこ「『好きなこと 好きなだけ』
にこ「『求めてさまよえば』
にこ「破道の四十二『PSYCHIC FIRE』」
ボッ…
善子「炎かっ!」 ぽん!
善子「!」
シュウウウウウ…
炎はそこそこに消え、桃色の煙が広がる。
善子「失敗…?」
にこ「まさか」
善子「!」
煙の中から声。
にこ「大成功よ」バッ
次いで短刀。 善子「くっ!」バッ
ガキィィン!
善子がラブライブレードで刃を受け止める。
にこ「へえ、思ったよりはやるじゃない」
善子「今のは単なる目くらまし…!」
善子「狙いはこうして間合いを詰めての接近戦ってわけね…」
にこ「ご名答よ」
にこ「分かったところでもう遅いけどね!」グイッ
ギュルルルン……
善子「!!」
善子(ブーメラン…もう投げて……!)
スパアアアッ
善子「……カハッ…」グラ…
ドシャアアアッ パシッ
善子「…………っ」モゾ…
にこ「立ち上がらない方が良いわよ」
にこ「『政宗』は刃が短いぶん……こうやって腹を切っても致命傷にはならない」
善子「…しっ…」ポタポタ
にこ「とはいえ、そこから無理に動けば、勿論その限りではないわ」
善子「失敗……」プルプル…
にこ「……え?」
善子「…『PSYCHIC FIRE』は……やっぱり失敗だったわね……」
にこ「…何を……」
にこ「!」
花丸「はあっ!」ブンッ
にこ「フン!」バッ ガキンッ
にこ「甘いわ!」
花丸の急襲にも動じず、にこは刃を合わせる。
花丸「良いですね反応!」バッ
にこ「何様!」
ガキィン! ガキィィン! ガキイィィン! ガキイィィィィン…
にこ「勢いに任せただけの単調な連撃ね!」
にこ「こんなんじゃ何回振っても…」
花丸「何回受けたずら?マルの剣」
にこ「え?」 ズンッ
にこ「!?」
ガシャアア
にこ「な……」
にこ(『政宗』が……重……!?)
花丸「斬りつけたものの重さを倍にする」
花丸「二度斬れば更に倍、三度斬ればそのまた倍」
花丸「そして」
花丸「斬られた相手は重みに耐えかね必ず」
花丸「地に這いつくばりうたた寝したように頭を差し出す」
花丸「故に『お休南無三(おやすみなさん)』」 にこ「くっ……!」プルプル
花丸「にこさんは今五度、『お休南無三』の斬撃を『政宗』で受けたずら」
花丸「『政宗』の重さを0.5sとして、二の五乗すると16s」
花丸「抱えて走れる重さじゃあない」
ルビィ「やったね!花丸ちゃん!」
善子「ルビィ…こっち来て……私のお腹も……」
ルビィ「あっ、うん!」サササッ
花丸「…マル達を梨子ちゃんの所まで案内してほしいずら」
花丸「そうすれば命は見逃すずら」
にこ「……」プルプル
花丸「断ればこのまま斬るずら」
にこ「はっ…は…はぁっ……」 にこ「図に乗るなよ子娘!!」カッ
花丸「!」
善子ルビィ「ひいっ」
にこ「後輩風情がふざけてくれる…!」
にこ「良いわよ…だったらこっちも相応の力で応えてやるわ…!」
にこ「卍解」
善子ルビィ花丸「!!」
ドドドドドドドドドド
にこの霊圧がハネ上がり、桃色の煙が吹き飛ぶ―――。 凛「!」
凛「この霊圧は……にこちゃんの卍解だにゃー!」
凛「あっちはすごく盛り上がってるみたいだね」
凛「いいないいな〜!」
凛「ねえ」
ドン
曜「くっ……」ハアハア
千歌「……っ」ハアハア
凛「こっちは外れだにゃ〜」エ~ン にこ「卍解―――――」
ドドドドドドド
花丸「ば…」
善子「ば……ば、ばばば」
ルビィ「卍解…………!」
ルビィ「これが……………………!!」ゴクリ
にこの全身は腹や太ももなどの一部を除いて真紅の鎧に覆われ、
頭には三日月型の兜、腰には太刀が一本、
そして右目には眼帯が装着されている……。
にこ「『伊達女子道政宗』」
to be continued… 国木田花丸―『お休南無三』
解号:「眠ろうか」
形状:刃が「コ」の字の形をしている。
能力:斬ったものの重さを倍にする。
備考:つまり『侘助』。 善子「嘘…でしょ…」
花丸「卍解って……」
ルビィ「…スクールアイドルとして……頂点を極めた子にのみ許される」
ルビィ「斬魄刀戦術の最終奥義……!」
にこ「そう」
善子花丸「…………」ダラダラ
にこ「加えて言うなら」
にこ「それを発現できた者は一人の例外もなくラブライブ!の歴史に永遠にその名を刻まれる」
ルビィ「………………」
にこ「で?」 にこ「何をそんなに驚いてんのよ」
にこ「まさか私に卍解ができないとでも思ってたの?」
にこ「この私に」
善子「…ぐっ……」
花丸「嘘ずら」
ルビィ「!」
にこ「…………」
花丸「にこさんのそれは卍解じゃないずら」
花丸「そんな矮小な卍解は存在しないずら」
ルビィ「…!」
善子「確かに……!」 花丸「マル達はできないけど、Aqoursにも卍解ができる子はいるずら」
花丸「だから知ってるずら」
善子「卍解っていうのは、もっと、ド派手で、カッコ良くて、輝いてて」
ルビィ「華やかで存在感がある!」
にこ「………」
ルビィ「それに比べるとにこさんのは……」
シュンッ
ルビィ「!!」
“瞬歩”。にこが刹那でルビィの目の前に移動する。
ルビィ「紅ぷ…」バッ…
にこ「遅い」ブンッ ジャギィィン
ルビィ「な……!」
スパアアァ…
善子(そんな――!)
花丸(ルビィちゃんの鉄壁の『紅降倫』が―――)
ルビィ「……っ………!」ボタボタ
卍解したにこの一太刀は、盾もろともルビィを袈裟掛けに斬り裂いた。
ルビィ「うっ…」グラッ…
善子「ルビィ!」
ドシャアアアッ にこ「あとはアンタだけね」ピシッ
花丸「………っ」
善子「…くっそ…」モゾ…
善子「ああっ…!」ガクンッ
善子が立ち上がろうとするが、斬られたお腹が疼いて叶わない。
花丸(……見えるはず…!)カチャ…
花丸(“卍解”してもマルの『お休南無三』で倍々にした重さが元に戻らないのは曜ちゃんとの練習でわかってるずら)
花丸(いくらにこさんでも、身体に16キロの重りをつけて、マルより速く動けるハズが……)
にこ「――」シュンッッ
花丸(ハズが……)
にこ「フンッ!」ブンッ
斬ッ
花丸(ハズ………が………)
ドシャアア 善子「ずら丸!!」
にこ「卍解としての戦力の全てをこの小さな形に凝縮することで」
にこ「卍解最大戦力での超速戦闘を可能にする」
にこ「それこそが私の卍解の能力よ」
にこ「ま、地味なのは否定しないわ」
スッ…
善子「!!」
にこが地に伏す花丸に再度刃を向ける。
にこ「それに引き換えアンタの『お休南無三』は“始解”でも良い能力してるわ」
にこ「ほんとに…怖いくらいヤバい能力してる」
にこ「だからアンタはここで確実に消す」カチャ…
花丸「………っ…」モゾ… 善子「ま、待って!」
にこ「……」
善子「何でも!何でもするから……」
善子「いの………ち…だけは……!」
にこ「…スクールアイドルが命乞いをするもんじゃあないわよ」
にこ「アンタらもそれぐらいの覚悟は持ってやってきてんでしょ?」
善子「そんな……!」
にこ「………その覚悟もなしにスクールアイドルやってきたってんなら」ギリ…
にこ「ソレはソレで、死に値する傲慢だわ」
善子「……そんなの…………!」ガチガチ にこ「花丸」
にこ「遺言はある?」
待って
花丸「…………」
花丸「無、ずら」
善子(待ってって)
にこ「…そ」ス…
善子(助けて)
花丸「………」ギュッ
にこ「――」ブンッッ
善子「助けてヨハネ!!」 カッ
にこ「!」
漆黒の閃光。
ドドドドドドド
にこ「な………」
花丸の首を断とうとしたにこの手が止まる。
ドドドドドドドドドドドド
にこ「何よ………ソレ…………」
その目線の先には
花丸「…よ……しこ………ちゃん……?」
「ヨハネ」
ドドドドドドドドドドドドドドド
ヨハネ「堕天使…………ヨハネ」 矢澤にこ―『政宗』
卍解:『伊達女子道政宗』
形状:例のアレ。
能力:特殊なものはなし。本人の速度・防御力、刀の切れ味が始解までの時より大幅に上がる。 にこ「堕天使………………」
にこは半分呆然として自称堕天使を見つめる。
ヨハネ「……」バサ…
にこ(何なのよコイツ)
バサ…バサ…
にこ(翼にゴスロリ衣装…………それに)
ヨハネ「…………」ピョコン…
にこ(頭の上には変な輪っか……)
にこ(…一瞬で“変身”した……)
にこ(これもスクールアイドルの“刀剣解放”…?)
にこ(まあ…それしかないわよね……) ヨハネ「……」ス…
にこ(来るか…)カチャ
ヴォン
にこ「!?」バッ
にこ(速―――いや―――それより)
カッ…
にこの背後――ヨハネの胸に白い光が集まる―――。
にこ(瞬歩じゃない――――)
ヨハネ「堕天閃(セロ)」
にこ「!!」
ドォン
堕天使の放った巨大な光線がにこの全身を包み込んだ――――。 花丸「や……やった…ずらか…………」
パラパラ…
花丸「!」
にこ「ペッ」
ベチャ…
にこ「…くっそ…っ……」
ヌグッ…
にこ(どうなってんのよ…)
にこは口元の血を拭って逡巡する。 にこ(“セロ”を撃ってくるなんて……!)
にこ(…卍解してこの鎧を着こんで無ければ塵になってたとこだわ……)
ヨハネ「…………」バサ…バサ…
にこ(……そしてさっきコイツがやった移動法は……)
ヨハネ「……」ユラ…
ヴォン
にこ「―――!」
にこ(間違いない――! “響転(ソニード)”だわ!!)
ヨハネ「堕天閃」
ドォッ
にこ「ナメるな!」ブンッ ザアアアアアアアアアア
花丸「!」
ルビィ「善子ちゃんの堕天閃を斬りさいた!」
ドォン…
二つに分かれた“堕天閃”はにこの遥か背後に着弾した…。
花丸「バケモノずら…」
にこ「良い気になってんじゃないわよ…!」ハアハア
ヨハネ「…………」
にこ「“セロ”に“響転”……アンタがなんで“アイツ”と同じ技を使うのか知らないけど…」
にこ「卍解した私に―――」
シュンッッッ
にこ「勝てるワケがないのよ!!」ブンッ
にこが最高速の”瞬歩”と同時にヨハネの頭上に剣を振り下ろす―ーー。 ぴたっ…
にこ「なん……だと…………」
ドドドドドドドドド
ヨハネ「……」ピキ
にこ(指一本で止められた……!卍解した私の剣が……)
にこ(ありえない…!)
ヴォン
にこ「!」
ヨハネ「堕天閃」カッ…
にこ(ゼロ距離)
ドッカアアアァァァン ルビィ「やった……の……?」
パラパラ…
にこ「ガハッ」
ルビィ「!」
にこ「…こん…の……」
にこ「この程度で……私を……」プルプル
ルビィ「す…スゴい……まだ立ってる……」
ルビィ「ふ…不死身……!?」
花丸「…ほんとにすごいタフさずら……」
花丸(でも……)
にこ「……ハッ…ハァ……」ヨロ…
花丸(善子ちゃんの勝ちずら) 「堕天閃」
ルビィ花丸「!」
ドカアァァァン
にこ「…………くそっ……」グラ…
ドシャッ
ヨハネ「……」バサ…バサ…
ルビィ「よ……善子ちゃん………」
ルビィ「もう……」
ヨハネ「堕天閃」
ルビィ「ひっ…」
ドォォォォォォン にこ「……」グッタリ
ヨハネ「堕天閃」ドオン
ヨハネ「堕天閃」ドオオン
ヨハネ「堕天閃」ドオオオォン…
ルビィ「よ……よし…………」ブルブル
花丸「善子ちゃん!」
ヨハネ「――」ピタ…
花丸「止めるずら」
ヨハネ「…………」 花丸「もう勝負はついたよ」
花丸「にこさんは敵だけど……死体まで切り刻む必要は無いずら」
花丸「そんな事したら善子ちゃんは本当に人間じゃなくなっちゃう」
花丸「もう良いんだよ…………善子ちゃん」
にこ「…………」ピク…
ヨハネ「――!」
花丸「聞こえないの善子ちゃん!!」
花丸「止めるずら」
ヨハネ「…………」ス…
花丸「止めるずら!」
ヨハネ「……」
ルビィ「善子ちゃん!」
花丸「善子ちゃん!」
ヨハネ「……………タ…」
花丸ルビィ「!」 「ちぇっ…」ザッ
花丸「!!」
花丸「にこさん!」
ルビィ「ま……まだ…………」
にこ「イヤ…」
にこ「不本意だけどここまでだわ」
花丸「!」ハッ
ルビィ「…………っ」
ルビィ(にこさんの卍解が消えてる)
にこ「……知ってるようね」
にこ「意思に反する卍解の消滅は持ち主の死期が近いことを意味する」
にこ「アンタらの勝ちよ」
善子「………………………」 にこ「……もっと嬉しそうにしなさいよ……」
にこ「自分で言うモンじゃないけど……浮かばれないでしょ……」
善子「わ……私が………やったの……!?」
花丸ルビィ「……」
にこ「そうよ」
にこ「……うっ…」ガクッ…
善子「………………」
にこ「…はぁ…………」ゴロン…
善子「…こんな……」
にこ「……」
善子「こんな勝ち方があるかァ!」 にこ「…」ハア
にこ「…最後まで………思い通りにならない奴だわ…………」
善子「…………」
にこ「ようやくアンタ達に……少し興味が湧いてきたんだけどね…………」
花丸ルビィ「………」
にこ「…とにかく、この勝負はアンタらの勝ち……」
にこ「ご褒美に……良いこと教えてあげるわ…………」ス…
にこが寝転んだまま自分の制服の襟を引っ張り首元を見せる。
善子「これ…は…?」
にこの首元には“9”の字が記されている……。 にこ「μ’sは殺戮能力の高い順に1から9の番号を割り振られるのよ」
善子花丸ルビィ「――!」
ルビィ「それって……」
にこ「その中で私の番号は9」
にこ「そういうことよ」
善子「……っ!」
花丸(そんな………残りの8人みんな、このにこさんより強いずらか…………)
花丸(一年生も…!)
にこ「………………」
にこ「さあ、行った行った!」
にこ「梨子を連れ戻したいんでしょ。感傷に浸ってる暇は無いはずよ」
善子花丸ルビィ「…………………」
スクッッッ
善子花丸ルビィ「ありがとうございました」ペコリ
タッタッタッタッタ… にこ「…フン………アホらし……」
一人、残されたにこは天を見上げたままため息をつく。
にこ「…にしてもまァ………私もヤキが回ったわね…」
タッ…
にこ(あ〜あ…………目が霞んできた………いよいよお迎えが近いわね………)
タッタッタッ…
にこ(…誰か来る……私に向かってまっすぐ……)
にこ(……ダメージが大きくて……霊圧が探れないわ……)
にこ(μ’sの誰かか……それともAqoursの上級生か………・)
ザッ…
にこ(どっちにしろ、タダじゃすまないわね)フフ… 「にっこにっこに〜!!」
にこ「!」
「にっこにっこに〜!にっこにっこに〜!」
にこ「……アンタは………」
「こんな時こそ笑顔!ですよね!お姉さま!」
「大銀河宇宙ナンバーワンアイドルのお姉さまがこれぐらいで死ぬわけありません!」
「ホラ!お姉さまもご一緒に!」
にこ「………」フッ…
「待っててくださいね!スグにここあと虎太郎がお医者様を呼んできてくれますから!」
「それまでにっこにっこに〜!ですよ!お姉さま!」
にこ(…μ’sでもAqoursでもなかったわ……)
にこ(来てくれたのは………) 津島善子―(斬魄刀解放:未習得)
“堕天”することで内なる別人格が表出し、特殊な能力を使用できるようになる。
なお“堕天”の呼称は善子の命名であり、善子はこれを自身のみの特別な力と認識しているが、
にこは同系統の能力を持つスクールアイドルを知るらしい。 乙です。次回も待ってます
μ’sの他のメンバーの能力やランクも気になるところ 真姫「―――!」
ことり「………!」
・音ノ木坂学院。スクールアイドル部部室。
希「にこっち……やられちゃったね」
海未「…………」ダン!
海未「なんてザマですか…!」
希「…次、誰が行くー?」
絵里「……」ス…
「私が行くわ」
六人「!」 真姫「残り八人…私と凛と花陽で、全員片づける」
穂乃果「真姫ちゃん…」
希「油断は禁物だよ?」
真姫「誰に向かって言ってんのよ」
真姫「この機会にハッキリさせておくわ」
真姫「私がμ’sで最強だって事をね」ス…
シュンッッ
海未「……」ジト…
ことり「アハ♡」
穂乃果「ん〜?」
絵里「認められないわね」
希「…そうやね………」 凛「もぉ〜〜〜!」
凛「いい加減にしてよ!」
千歌「…ハア…ハア…」ヨロッ…
曜「………」ヌグッ…
凛の前に跪く曜千歌。明らかに押されている。
凛「二対一で、凛に“始解”を使わせることもできないのー!?」ピョンピョン
千歌「くっ……」
曜(強い……!)
曜(同じ一年生で……ルビィちゃん達とここまで差があるなんて……!)
凛「あ〜あ」
凛「Aqoursってこんなレベルなんだ」
凛「期待外れにも程があるにゃー」ツーン 千歌「…!」
千歌「この…」
曜「待って千歌ちゃん!」
凛「怒らせちゃった?」
凛「だってホントのことだもん」
曜「……」
千歌「…しか…」
凛「にゃ?」
千歌「始解を…使ってないのは……私達も……同じ……!」ハアハア 凛「…うん」
凛「そうだね」
凛「それで?」
千歌「……」ス…
曜「千歌ちゃん!」
曜「まだ…」
千歌「分かってるよ曜ちゃん」
千歌「でも……」
凛「……」ニ…
千歌「このまま黙ってるわけにもいかないでしょ!」バッ
千歌「輝け!『金毘加』!」キラキラッ 千歌「――」シュンッ
“解放”と同時に千歌が踏み出す。
凛「!速い!」
千歌「たあああっ」ブンッ
凛「さっきよりはねーっ」シュンッッッッ
ヒョイッ
千歌「!」
スカッ…
千歌「な…」
凛「まだまだ凛には遠く及ばないにゃー!」
凛「やっぱり期待外れだ―ー」 ゴゴゴゴゴ
凛「―!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
凛(何の……音……)
曜「上だよ」
凛「!」
ゴゴゴゴゴゴゴ
凛「…水……が……」
凛の頭上で竜巻のごとく水流が渦を巻く。
曜「落ちろっ―ー」クイッ 凛の視界の端で曜がトライデント状の斬魄刀――『蒼浪丸』を振る。
凛(曜ちゃんも“始解”済み――!)
凛(いつの間に――)
千歌「いっけえ!」
凛「―――っ」シュバッッ……
ドオオオオオオオオ
轟音と共に、大量の水が凜の影を押しつぶした。 ドバババババババ……
曜の『蒼浪丸』によって、水は湧き続け、空に滝を作り続ける。
曜「……」
千歌「やった…かな!?」
「誰を―?」
千歌「!!」グルッ
凛「えへへ」
凛「お久しぶりだにゃー!」ニコッ
曜(あのタイミングでもダメか……!)
千歌「嘘でしょ……完全に不意をついたのに……!」
千歌(ま…まだ”始解”すらさせられないの…!?) ピト…
凛「あ…」
凛の髪から一滴、二滴水が滴る。
凛「ちょっと濡れちゃったにゃ〜」エ~ン
千歌(”能力”じゃない……)
千歌(単純な脚力……”踊”だけで……!)
曜「…スゴい“瞬歩”だね…凜ちゃん!」
凛「あったり前だにゃー!」エッヘン
凛「凛の“瞬歩”はμ’sで最速だもん!」
凛「いっちばん速いんだよ!穂乃果ちゃんだって目じゃないにゃー!」
千歌「……っ!」
凛「それより…」ジトー 凛「渡辺曜ちゃん、今斬魄刀の名前を呼ばずに“始解”したね」
千歌「!」
曜「…うん」
凛「ってことは、卍解が出来るってことだよね!?」
曜「…どうかな」
凛「またまたー!隠したってしょうがないにゃー!」
凛「見せて見せて!」
曜「…それは……凜ちゃん次第だよ」
凛「…ふーん……」
曜「……」
凛「だったらすぐに使わせてやるにゃー!」バッ
凛「生まれ変われ!」
曜「!」
凛「『月猫夜』」カラカラ! 乾いた音を立て、凛のラブライブレードが骨こん棒に変わった。
曜(しまったな…対応間違えちゃったか……)
凛「じゃあ早速行っく…」
「凛ちゃん!!」
曜千歌「!」
凛「――!」ピタッ
ドドドドドド
凛「にゃ〜…」クル…
凜が苦笑いを浮かべながら振り返る。
花陽「私を置いてAqoursの皆さんと勝手に戦い始めるなんて……」
花陽「ズ〜ル〜い〜よぉ!」
千歌「小泉花陽……ちゃん」 凛「かよちん遅いから…」アハハ
花陽「凛ちゃんが速すぎるんだよ!」プンプン
凛「でも間に合ったから良いでしょー?」
花陽「そうだけど……」
千歌「…このタイミングで加勢かー……」
曜「参るね…」
花陽「あっ、ゴメンなさい!名乗りが遅れました!」
花陽「μ’sの小泉花陽です!一年生です!」フッスーン
曜千歌「…!」
凛「知ってるに決まってるにゃ〜」ボソ…
千歌「…じゃあ、こっちも…」
花陽「あっ、それは大丈夫です」 千歌「へ?」
花陽「Aqoursの高海千歌さん!」ビシッ
花陽「誕生日は8月1日!好きな食べ物はみかん!嫌いな食べ物はコーヒーとしおから!」
曜「おお〜…」
千歌「有名人になったね〜私も」ムフフ
花陽「3サイズは上からB82cm、W59cm、H83cm」
曜「―!」
千歌「うわ……」
花陽「人前では自分のことを普通怪獣と自虐しつつ心の底ではあの大女優エマ・ワトソンに似ている、いや寧ろ勝っていると錯覚している」
花陽「ネット上での通り名はぱいぱいでかみかんを筆頭に乳に特化したもの多数」
花陽「これを知った当初は強い嫌悪感を示していたが、今では満更でもなく、自己肯定感と背徳感の混じった妙な快感を味わっている」
花陽「その性質上ファン層は年配の男性が圧倒的で通称千歌おじ……」 千歌「ちょちょちょちょっと待っ……」
曜「この子、どこまで……」ゾク…
花陽「そして命日は今日――」ス…
曜千歌「!」
花陽「『踏み出せ』」
花陽「『炊込地蔵(たきこみじぞう)』」チョロチョロパッパ…
花陽のラブライブレードがしゃもじに変わる。
花陽「――もっとも、渡辺曜さんともども、記録上は“行方不明”になりますけど」
凛「かよちんテンション上がってるにゃ〜」ニコニコ
花陽「卍解を使える子と闘うのは初めてだからね、正直言って興奮してます」
花陽「出来るだけ完品に近い状態で死んでください」フッスーン
to be continued… 高海千歌―『金毘加』
解号:「輝け」
形状:普通の刀(輝いてる)。
能力:輝く。
渡辺曜―『蒼浪丸』
解号:「水天逆回れ」
形状:トライデント。
能力:大量の水を生み出し、自在に操る。 花陽「たった今……お二人は1つ目のミスを犯しました」ドドドドドドドドド
千歌(す、スゴい霊圧だ…!)
千歌(これが斬魄刀解放したμ’sの霊圧……!!)
千歌(今の私達とじゃまるで大人と子供、イヤ、それ以上だよ!)
曜(花陽ちゃんの斬魄刀はしゃもじ……)チラッ
凛「だね!かよちん!」
曜(凛ちゃんの斬魄刀は骨……動物の骨みたいだな……)
曜(…どっちも見た目からじゃ能力が分からない…)
花陽「私も凛ちゃんも曜さんの『蒼浪丸』の能力には相性が良いんです」
花陽「私達が斬魄刀を解放する前に一撃で倒す……それがお二人にとっての唯一の“勝ち筋”でしたが――」
曜(考えてるヒマはない!後手に回っちゃだめだ!)
曜「『葬浪砲射』!!」ドッ
花陽「もう潰えました」クイッ ザアアアアアアアアアアアアア
曜千歌「!」
巨大な白い壁が、凛と花陽を鉄砲水から守った。
花陽「“流体”を自在に生みだして操る能力が自分の『蒼浪丸』だけだと思ったら大間違いですよ、曜さん」
曜「米…だと……」
花陽「美味しいお米をたぁくさん生みだして、操作する――」
花陽「それがこの『炊込地蔵』の最も基本的な能力です」ニッコリ
千歌(全然濡れてない……!後出しで完全に防がれちゃった…)
花陽「そしてたった今―――お二人は二つ目のミスを犯しました」
グググググググ
曜千歌「!?」 曜「な…」
千歌「なに………コレぇ……!?」
『蒼浪丸』の水を受け止めた無数のお米の塊が風船のように膨れ上がる。
花陽「相性が良いって言いましたよね?」
花陽『炊込地蔵』が操るのは“お米”……『蒼浪丸』が操るのは“お水”……」
花陽「“お米”と“お水”を合わせて霊圧で加熱すれば――」
曜「ハッ!」
花陽「そうですっ!」
花陽「“ご飯”の出来上がりです!!」
花陽「召し上がれ!!」
ドッカアアアアアアン 千歌「ご飯が爆発したァ――!」
曜「くっ!」バッ
ゴオオオオオオオオオ
花陽「フム…とっさに水の盾を創って爆風を軽減しましたか…結構なことです」
花陽「ですが……」
シュバビッッッ
曜「!」
凛「凜のことも忘れてもらっちゃ困るにゃー!」
凛「『月猫夜・初の舞――』
凛「『豚骨』」
バシャアアア
曜千歌「うわっ!?」 曜千歌を覆っていた水の盾が白茶色に濁って二人に降りかかる。
千歌「ペっ!ぺっ!」ポタポタ
曜(なんで――!?『蒼浪丸』で作った盾が勝手に――)ズブ…
曜「!」
曜「この匂いは――!」
凛「凜の『月猫夜』の能力は具材からラーメンを作ること!」
凛「今のはお水を豚骨スープに変えたんだ!」
花陽「“お水”を生き物のように自由自在に操るのが曜さんの『蒼浪丸』の能力」
曜「………」
花陽「ですが――“豚骨スープ”は“お水”ではないので当然操作の対象外というワケです」 千歌「そんな……!」
千歌(ってことは――曜ちゃんの『蒼浪丸』は凛ちゃんの『月猫夜』にはほとんど無力――!)
曜「くっ……」
千歌(私が戦わなきゃ――)
千歌「―――――え?」
千歌「あれ?なんで……」ジッ…
意思に反して、千歌の体は尻もち状態のままピクリとも動かない。
曜「千歌ちゃ――」ジッ…
曜「え……何……」ジーッ……
花陽「二人とも、さっきの爆発でもう口に入れちゃったみたいですね」
千歌「なんで動かないのぉ!私の手と足!」 花陽「『炊込地蔵』の操るお米はただのお米じゃありません」
花陽「品種改良に品種改良を重ねた特殊なお米なんです」
花陽「このお米を一粒でも口に入れたなら」
花陽「あまりの美味しさに四肢の動きを奪われる――」
曜「麻痺毒か…!」クッ
花陽「“あまりの美味しさに”です!!」カッ
花陽「…真姫ちゃんによると正確には確か……あまりの美味しさに錯乱して、脳が自己防衛のために四肢を動かす信号を切断する……だったっけ」
花陽「とにかく麻痺じゃありません。奪うのは四肢の動きだけ……」スタスタ
花陽「だから」
グシャ
曜「うあッ!」
花陽「痛みはちっとも消しちゃくれません」ニコッ 花陽「よし、ここからが本番ですよ」
花陽「えいっ、そりゃっ」
グシャ グシャ
曜「やっ、うあっ!」
花陽「フムフム」
花陽「曜さんは思ったより艶っぽい悲鳴を上げるんですね」メモメモ
千歌「や…やめ…!」
グシャッ グシャッ グシャッ…
曜「あぐっ、あっ、あああっ…!」
花陽「うん、うん」ニコニコ
花陽「歪んだ顔もカッコ良くて可愛いです!」
千歌「止めてって言ってるでしょ!!」 花陽「なんですか?千歌さん?」クルッ
花陽「嫉妬ですか?」
花陽「Aqours風に言うなら、嫉妬ファイア〜、ですか?」
千歌「…は………?」
花陽「安心してください!千歌さんも後でじっくり“実験”してあげますからね!」フッスーン
千歌「…な………」
凛「あ〜!二人ともいいな〜!」
花陽「凛ちゃんはダメだよ!私の研究のジャマばっかりするんだから!」プイッ
凛「そんなぁ〜」エーン
千歌(は…話が通じる相手じゃない……!)
千歌(力ずくで止めるしか……)
千歌「『金毘加』!」ピッカアアアアアア 花陽「わあ」
花陽「『金毘加』の“輝く”という能力、刀が手から離れていても使えるんですね」
花陽「これは知りませんでした」
ピッカアアアア…
花陽「…でも地べたの刀を光らせるだけじゃあ……」
花陽「能力が割れてなければ目くらましぐらいにはなるかもしれないけど……」
曜「…『蒼浪丸』……」
ゴオオオオオ…
花陽「くどい!」
花陽「凛ちゃん!」
凛「『月猫夜・次の舞――』
凛「『鶏ガラ』」
バシャアアア…
曜「………っ…!」 花陽「心折れずに精いっぱいの反抗をする姿勢は流石です」
花陽「が―――その内容がお粗末すきます!」ビシッ
曜「くっ……」
花陽「時間を稼いで、他のメンバーが助けにくるのを待っているんですか?」
花陽「だとしたら……諦めてください」スッ…
花陽が黒タイツを脱ぎかけて左の太ももを露わにする。
曜千歌「―――!」
“7”
花陽「私の力の序列はμ’sで七番目です」
凛「凜は八番目だよっ!」
花陽「私達と当たったお二人は運が良いです」
花陽「上の六人と戦う方は骨も残らないと思いますよ」 千歌「………………」
曜「…別に、そういうワケじゃ…」
花陽「それじゃあこうですか」
花陽「ムダだとわかっていても、あがいてあがいてあがきまくるのがアナタ達の大好きなAqoursの“輝き”というワケですか?」
曜「――!」
千歌「…なに……?」
花陽「好きなんですよね?」
花陽「だって千歌さんはいっつもこの言葉を言い続けてたじゃないですか」
花陽「『“輝き”たい』『“輝き”ってなんだろう』『学校が救えなかったのに“輝き”を見つけられるなんて思えない』」
花陽「五月蠅いんですよぉ!何度も何度もぉ!!」
花陽「どうせ美味しいご飯を食べれば、そんな拘りも学校も、すぐに忘れちゃうのにね♡」ニッコリ 千歌「…この……!」
花陽「まあ待ってください。ここからは私の苦労話です」
花陽「私は日本水田開発局の局長もやってるんですけど」
花陽「今のご時世田んぼを作れる土地なんてなかなか無くてですね」
花陽「その意味で廃校になった学校の跡地なんていうのは最高の物件なんですよ」
花陽「だけど静岡なんて田舎でも廃校を阻止しようとする勢力ってのはいましてね」
花陽「その子達を諦めさせるのが、また……」
千歌「………な………」
花陽「いやあ、人気スクールアイドルのいる学校のネガティブキャンペーンを張って入学志望者を減らすのがどれほど大変か、皆さんにわかりますか?」
花陽「ま、それだけ努力して廃校にしても、大したヘクタールにもならないんですけどね」
花陽「おかげで皆さんの貴重な泣き顔も撮れましたからまあ良しとします」 花陽「なんて名前でしたっけ…あの廃校…」
花陽「うら…うるち米………」
「浦の星女学院」
花陽「!」
ドドドドドドドドドドド
千歌「私の………私たちの………」
曜「大切な母校だよ…!」
花陽「…ハイ」
花陽「それで?」
曜「ルビィちゃんがいなくてよかった……この戦いは花陽ちゃん推しにはとても見せられそうにない………」
凛「…あれ?なんで立って……」
千歌「Aqoursの――浦の星の“輝き”に懸けて、私達はあなたを殺す」
花陽「………………ほう」
to be continued… 星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。
小泉花陽―『炊込地蔵』
解号:「踏み出せ」
形状:しゃもじ。
能力:大量のお米を生み出し、自在に操る。
お米には特殊な品種改良が重ねられている。 研究者ポジはまきちゃんかと
よりによってかよちんマユリ枠とは ちょっと美味しそうとか思ってしまった
麻痺毒あるけど 凛「あれれ?」
曜「…………」スクッ…
凛「かよちんの『炊込地蔵』のお米を食べちゃったのに、なんで……」
花陽「知っていますよ、それは」
花陽「“乱装天傀(らんそうてんがい)”」
曜と千歌のそれぞれの頭上から操り人形のように霊子の糸が伸びて四肢に結びついている。
花陽「無数の糸状に縒り合わせた霊子の束を、動けない箇所に接続して傀儡のように強制的に動かす」
花陽「スクールアイドルグループにおいて激務の“衣装係”が、疲れた身体を押して衣装を作り続けるために創り出された術」
曜「……」
花陽「腱が切れようが骨が砕けようがこの術の前に意味はありません」 花陽「……もはや失われた術だと思っていましたよ」
花陽「事実私の研究した874人のスクールアイドルの中に、その術の片鱗すら使える子はいませんでした」
花陽「それを曜さん、“飛び込み”と二足のわらじのアナタが……」チラッ
千歌「……」スクッ…
花陽「二人分も…………」
凛「…へ〜え……」
花陽「天才――――というやつですか……」
曜「天才…そんな陳腐な言葉で片づけてもらっちゃ困るよ!」
花陽「?」
曜「この乱装天傀は、浦の星の無念を晴らすため、屍になっても戦い続けるという意志の表れだ!!」カッ 花陽「…天才は撤回します」
花陽「曜さん、アナタはやっぱりちょこちょこチョコレートの甘ちゃんです」
曜「……」キッ
花陽「そんな怖い顔をしてみてもダメです」
花陽「『蒼浪丸』の能力はもはや役に立たない」
花陽「かといって自力でも、二人がかりで凛ちゃんに軽くあしらわれちゃうぐらい力の差があるのに……」
トゥルルルルルルルルル
千歌「!」
着信音。花陽の言葉が遮られる。
千歌「――っ」バッ
千歌「ハイもしもし!むっちゃん!?」
千歌「分かった!ありがとう!」ピッ
通話は数秒で終わった。
千歌「曜ちゃん!」 千歌「“限定解除”下りたよ!」
曜「やっとか…」
曜「待ちくたびれたよ!」
凛「にゃ?」
花陽「限定、解除……」
花陽「まさか!」ハッ
曜「行くよ千歌ちゃん!」
千歌「うん!」
曜千歌「限定解除!!」
ド ン
花陽「!!」
凛「な………」 ドドドドドド
凛「何、コレ……!?」
花陽「お二人の霊圧が、一気に……!」
曜「限定解除」
曜「私達Aqoursの二年生以上は、外界に不要な影響を及ぼさないよう」
千歌「浦の星の校区を出るときには限定霊印を体の一部に打って」
千歌「霊圧を極端に制限されるんだよ」
花陽「…………!」
曜「その限定率は80%!」
千歌「つまり!限定解除した私達の力は!」
曜千歌「今までの5倍だよ!!」ドン 凛「5倍〜!?」アワワワワ
花陽「凛ちゃん!落ち着いて!」
花陽「大丈夫…霊圧が上がっても斬魄刀の能力は変わらな……」
曜「確かに――霊圧が上がっても“水を操る”っていう能力の本質は変わらないね」
シュゴオオオオオオオオオオオオ
凛花陽「――!」
二人の周囲に巨大な水の柱が5本湧き上がる。
曜「でもその速度も精度もスケールも、さっきまでとは別モノだよ」
花陽「何本来ようと水は水!同じことです!」
花陽「だよね!?凛ちゃん!」
凛「う、うん!」
曜「『葬浪星砲陣』」 ドドドドドドオオオオオオオ
五本の水流が中心の凜と花陽に迫って来る。
凛(間に合う―ー!?間に合え―ー!)
凛「『豚骨』!『豚骨』!『豚骨』!『豚骨』!『豚骨』!」
バッシャアアアアアアアアアアア
凛「ハア、ハア…」
花陽「スゴい!流石凛ちゃ――」
シュゴオオオオオオオオオオオオオ
凛花陽「…………!」
数秒前と全く同じように五本の水柱があがる。 凛「…これじゃキリがないよ〜…」ヘタ~
曜「まだ間に合うよ、凛ちゃん」
曜「やめる?」
凛「――」ムッ
凛「やめ―――」
曜「……」
凛「るッ!!」シュバビッッッ
花陽「!」
凛が“瞬歩”で曜の頭上に飛ぶ。
凛「能力合戦はやめだにゃー!」
凛「凛のμ’s最速の“瞬歩”で直接―――」 シュンッッッッ
凛「!?」
凛(消え――――)
斬ッ
凛「…え…」
曜「奇遇だね」タンッ…
曜「私はAqours最速なんだ」
凛「………っ……!」
曜「これからは、スクールアイドル最速を名乗ることにするよ」
凛「こ……の……」ヨロッ…
ドシャアッ
花陽「凛ちゃん!」 曜「安心して、みね打ちだよ」
花陽「!」
凛「……痛いにゃ〜…」ゴロン…
曜「泣いて謝って」
曜「そして凛ちゃんを連れて今すぐ私達の前から消えるんだ」
花陽「…………」
曜「そうすれば、これで見逃してあげるよ」
花陽「…ことごとく予想を出ない物言いですね」
花陽「眩暈がします!」バッ
曜「……」
花陽「アナタは大盛りで殺しちゃいます―ー」 ドドドドドドドド
花陽「!」
曜「そっか」ハア
曜「残念だよ」
花陽「っ!」グルッ
ドドドドドドドドドドドド
千歌「私の『金毘加』が…………」キラキラキラ
花陽(千歌さん―――!この人にはこれがありました―ーー!)
千歌「ただキラキラしてるだけと思ったら大間違いだよ!」キラキラキラキラ
花陽(“輝き”を溜めて飛ばす、殺人的な威力の大技――)
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』!!」ブンッッ
キラアアアアアアア 花陽「っ!眩しくて軌道が見えない!」
凛「かよちん!」
花陽「――けど関係ない!」
花陽(要は自分の前にお米の盾を作れば大丈夫!)
ザアアアアアアアアアアアア
花陽「やった!間に合っ――」
キラ…
花陽「え――」
花陽(横から――なんで―――)
千歌「私が狙ったのは花陽ちゃんじゃない」 千歌「そこの水たまり――」
千歌「曜ちゃんが作った水たまりだよ」
花陽「――!」
千歌「イヤ、今は豚骨スープたまり、か……」
花陽(“輝き”は“光”―――)
キラアアアアアアアアアアア
花陽(水面に反射させて、跳弾を私に――――)
カッ
凛「かよちーん!!」
巨大な輝きが花陽に炸裂した―――。 サアア…
辺り一面を覆いつくした輝きが徐々に晴れていく……。
千歌「…終わった……」
花陽「……ぐっ…………」ガクンッ…
花陽「がっ…はっ…はぁ……」
凛「かよちん!」
花陽「ま、まさか…この、私が…………」ハアハア
花陽「こんな、ところで」
千歌「……」
花陽「命……潰える……なんて…………」グラ…
花陽「誰か……助けて」ドシャッ 凛「かよちん!かよちん!」
花陽「」
凛「かよちんったら〜!」
曜「花陽ちゃん……死んじゃった…かな」
千歌「さあ」
千歌「どっちにしろ、もう会うことはないよ」
曜「…………だね」
千歌「……っ」ガクッ
曜「千歌ちゃん!」
千歌「ハア…ハア……」
曜「大丈夫?」
千歌「うん…なんとか」
千歌「ちょっと“輝き”を溜めすぎちゃったみたい」エヘヘ… 曜(千歌ちゃんの『輝ラ輝ラ天衝』…ものすごい威力だけど、そのぶん千歌ちゃん自身への負担も大きい)
曜「あんまり無理しちゃダメだよ」
千歌「分かってる!」
曜「ヨシ!」
曜「じゃあ少し休んでから、なるべく早く梨子ちゃんのところに……」
曜「!!」
千歌「?」
千歌「どしたの曜ちゃん」
曜「花陽ちゃん……が……」
千歌「え?」クルッ
凛「……」
曜「消えた……!」 千歌「瞬歩―――」クルッ
千歌「とかじゃない、ね……」
曜「霊圧をどこにも感じない…!」
曜「遠くにも、近くにも―――」
ズ…
曜「!」
曜(イヤ――――)
凛「も〜〜〜かよち〜ん」フウ…
凛「何回見てもやっぱりハラハラするにゃ〜」
曜「――!!」ビグンッッ
曜(ウソ―――まさかそんな―――)
千歌「曜ちゃん!?」
曜「うあ…あ…ぁあ……っ」プルプル 曜「あ゛ッ」ボコォ
千歌「―――っ!!!」
瞬間、曜のお腹が妊婦のように膨れ上がる。
「私を……殺したと思いましたか?」
千歌「!!」
声。膨らんだ曜のお腹から。
千歌「この声は…………!」
「教えます。『炊込地蔵』の最も重要な最も誇るべき能力の名は」
「『二毛作』」
曜「う…あえ……っ」プルプル
「敵に私自身を孕ませる能力です」 「品種改良した特別なお米を種子として敵の体内に植え付ける」
「植え付けた種は私の命のストックとして母体内に保存され」
千歌「…そ…………」
「私が瀕死ないし絶命すると直ちに成長――いや再生して」
曜「うえええええ」オエー
花陽「“収穫”の時を迎えちゃうんです」ドロン…!
曜の口から人間一人が飛び出した……。
千歌「そんな………バカな…………!」
花陽「自己紹介からやり直しますね、千歌さん、曜さん」
曜「…うえ……ひっく…」グデーン
花陽「μ’s一年、第七席―――小泉花陽です」フッスーン
to be continued… ここBLEACH読んでてもひえってなったとこやん… 曜ちゃんカッコイイと思ってたら10レス後にゲロ吐きながら失禁してた… 花陽「これがお米の力です」
曜「…うう……」ゴロン…
千歌「こんな……」
花陽「暑いのも、寒いのも、干ばつも、台風も、毒も、虫さんも」
花陽「そしてスクールアイドルのいかなる攻撃も」
花陽「完全な品種改良が為されたお米には、一切通じないんです!」
千歌「こんなことって……!」
花陽「思えばお米は――遥か弥生時代から、主食として日本人のお腹を支えてきました」
花陽「私達の――ひいてはスクールアイドルの進歩も全てはお米から始まったんです」
千歌「……!」 花陽「何千年という時代の流れの中で、お米は一瞬たりとも私達から離れることなく、世界の進歩を支え続けてきたんです」
花陽「それは今も同じです」
花陽「私達はお米のおかげで生かされてきたし、これからもお米のおかげで生かされていくんです」
千歌「あ……あ……」ガクガク
花陽「お米は私達の命そのものです」
花陽「私の命そのものです」
花陽「だからお米は、今みたいに私の命になってくれるんです」
千歌(勝てない……勝てるワケがないよ……こんなの……!)
花陽「最高の主食であり、最高のおかずであり、最高のデザートであり」
花陽「そして命そのものにもなる」
花陽「お米をこそ完璧な生命と言います――」
花陽「そのお米に刀を向けるなんて――おこがましいと思いませんか?」 「思わないね…」
千歌「!」
花陽「……」
曜「全然……思わないよ………花陽ちゃん……」ヨロッ…
千歌「曜ちゃん…」
曜「落ち着いて……千歌ちゃん」
曜「大丈夫……大丈夫だから…」
千歌「…曜ちゃん……でも…」
花陽「曜さんが今考えていることを当ててあげますね」
曜「…!」 花陽「私の『二毛作』はきっと日に何度も使用できる能力じゃない」
花陽「もう一回倒せばそれで終わる―――」
曜「………」
花陽「確かに、スクールアイドルの能力というものは強力であればあるほど使うにあたって制限も強くなりますし」
花陽「自分自身の“命”のストックを作るというこの『二毛作』には――普通に考えて、それぐらいの制限はあって然るべきです」
千歌「…じゃあ……」
花陽「が―――ありません」
千歌「!!」
花陽「“連作”も難なく出来ちゃうのが、お米のスゴい所なんです」
花陽「だから私の『二毛作』にも能力の回数制限は一切ありません」
千歌「そんな…………」 花陽「とはいえ―――最初に言ったように、そもそも“種”がなければ“収穫”できません」
曜「………」
花陽「希望が生まれましたね?」
花陽「となると次に気になるのは」
花陽「今、1粒、種を使って――残り何粒自分の身体の中にあるのか?」
曜「……」
花陽「そもそも私が曜さんの身体に種を仕込んだのはさっきの踏みつけて反応を見ていた時です」
千歌「あの時…!」
凛「……」ニヤ…
花陽「激痛の最中にあるとはいえ、気付かなかったぐらいなんだからそんなに多くはないハズ―――」
花陽「仮にまあ―――多めに10粒“種”を仕込んでいたとしても、あと9回殺せば間に合う計算です」
花陽「イヤ曜さん、あなたほどの才能ならたとえ100粒でも、1000粒でも、とにかく終わりさえあるならそれで十分なのかもしれません」 花陽「残念ですね曜さん」
花陽「終わりはありません」
千歌「なん……だと……」
花陽「正確に言うと無くなった、ですね」
花陽「タイムオーバーです」
曜「………どういう…」
花陽「疑問には思わなかったのですか?」
花陽「どうして私が敵であるお二人に自分の能力を長々とお話しているのか……」
花陽「『二毛作』の種は、時間とともに倍々に増殖するんです!」
千歌「!!」
花陽「最初は5粒仕込んだ“種”も、10、20と膨れ上がって、もう300を超えました!」
花陽「もはやどんなに頑張っても、アナタが私を殺し続けるより“種”の増殖の方が速い!!」 曜「…………」
花陽「どうします曜さん?アナタが生きている限り私の“命”は増え続けちゃいます」
花陽「種を殺したかったら曜さん自身の命を絶つしかないでしょう」
花陽「その時は今度は千歌さんに“種”を植えるだけですけどね♡」ニッコリ
曜「…花陽ちゃん……」
花陽「なんですか?」
曜「長々と喋ってもらって悪いんだけど……」
曜「同じだよ」
花陽「……?」
曜「万でも億でも無限でも……」
曜「体内の種が何粒でも、私にとっては同じこと…」
花陽「……」
曜「…“限定解除”も済んだし、もう出し惜しむ理由もない……」ユラ…
曜「卍解」 花陽「!!」
ドドドドドドドド
凛「こっ」
ドドドドドドドドドドドドドド
凛「この霊圧―――」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
凛「大きすぎる!!これじゃ真姫ちゃん並みだよ!!」
花陽「願ってもないです……」ペロリ ゴオオオオオオオオオオ
凛「水が……」
ブクブクブクブク……
曜の足場に水が集まり、宙に浮きながら巨大な塊を形作っていく。
花陽「あれは…」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオ
花陽「……船………………」
千歌「…相変わらず…」
ド ン
千歌「デッカァ〜〜〜!」
曜「『大紅蓮曜候丸(だいぐれんようそうろうまる)』」 果南「――!」ピクッ
果南「この霊圧は……」
鞠莉「あらあら」
鞠莉「思いっきりやっちゃってるね〜」チラッ
ダイヤ「曜さん…!アレ程闘うなと……!」
・音の木坂の一室。
梨子「…曜ちゃん……」 凛「あわわわわわ」
ドドドドドドドドドドドドドドド
花陽(溢れた霊圧が創り出す巨大な水の戦艦)
花陽(そして)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
突然現れた分厚い入道雲が空を覆い尽くす―――。
花陽(“天相従臨”)
花陽(天候さえも支配する)
花陽(初めて見ます)
花陽(これが渡辺曜さんの持つ流水系最強の卍解―――――…!)
大紅蓮曜候丸!! サアアアアアア
花陽「!」
辺りに広がる白米が塵のように消え失せていく。
花陽(私のお米が――消滅した!?)
ブクブクブクブク…
花陽(違う!吸収されている!曜さんの卍解に―――)
ゴオオオオオオオオ
凛「あっ豚骨スープが……」
ブクブクブクブクブク
花陽(お米だけじゃない――) サアアアアアア
花陽(草も――)
サアアアアアアアア
花陽(木も――)
サアアアアアアアアアア
花陽(建物まで――!?)
ブクブクブクブク…
花陽(全ての構造物を吸収している――!?) 花陽(あらゆる物質に含まれる“水分”を―――)
花陽(物質の分子の結合を破壊し、“水”に変換して取り込んでいる―――!?)
ゴオオオオオオオオオオオオ
花陽(これは言わば水分の隷属!!)
フッ…
花陽「!!」
花陽(曜さんのお腹に植えた“種”が、全部消えた――!)
花陽(吸収された―ーあの卍解に!!)
花陽(身体の中の――あんな小さい種まで――!)
曜「……」
花陽「…人間に許された力の領域を超えていますよ曜さん……!」 凛「『月猫夜』!!」バッ
ゴオオオオオオオオ
凛「にゃ…」
ブクブクブクブク…
花陽(凛ちゃんの『月猫夜』で水がスープになって地面に落下するより)
花陽(豚骨スープを“水”として再吸収する方が圧倒的に速い)
ゴオオオオオオオオ
花陽(もう『月猫夜』なんてしょっぱい能力じゃとても太刀打ちできない…!) 曜「花陽ちゃん……これが本当に最後のチャンスだよ」
曜「よく考えて答えた方が良い」
花陽「……」
曜「やめる?」
花陽「………………」フルフル…
凛「かよちん…」
花陽「スバラシイ!!」カッ
千歌「!?」
花陽「こんなスゴい卍解!こんなスゴいスクールアイドル!!」
花陽「絶対にいただきます!!」
花陽「卍解!!」ゴオッ ド ン
花陽の傍らに、屋根より高い巨大な銀色の赤ん坊が現れる。
花陽「『銀色炊込地蔵(ごんじきたきこみじぞう)』」
曜「……」
花陽「この子のまき散らすお米はあまりの美味しさに」
花陽「身体に触れたらその瞬間、ショック死しちゃいます!」
曜「致死毒か……吸い込むのはちょっと怖いね」
花陽「“あまりの美味しさに”です!!」
花陽「だからもちろん私と凛ちゃんは死にません!」
花陽「死ぬのはアナタ達二人だけ!」 花陽「曜さん――あなたのようなスクールアイドルをナマで捕まえられないのは残念極まりますケドね」
曜「好きなだけ吐き散らせばいいよ」
曜「私の“大砲”一閃で花陽ちゃんごとブチ抜く」
花陽「是非!!やってみてください!!」バッ
銀色炊込地蔵「ウワァアアアァァアアン」カッ…
ブワアアッ
曜「――」ピッ
ドオオン
赤子の怪物が吐き出したお米の束と水の戦艦が打ち出した大砲が正面衝突する――――
カッ… 地を裂くような轟音と爆風の後…………
サア…
立ち昇った砂埃が晴れていく……。卍解は両者とも解かれているらしい……
「………カハッ…」
ドシャアッ
立っているのは一人―――
曜「…ふう」
千歌「流石!」ブイッ
曜「…」ケイレイ!
花陽「ハァ……ハァ……」
凛「かよちん!」 花陽「誰か……」プルプル
花陽「誰か助けて!!」グサアッ
曜「!」
サアアアアアア
花陽が自分にしゃもじを刺す。と、服を残して肉体は散体し、おなじみの流体に変わる。
千歌「斬ったものを米にする能力……!」
千歌(自分が逃げるために手元にそんな能力を残してたのか…!)
千歌「くそっ…」
米「無駄ですよ、千歌さん」ズズ…
お米の集合体が喋る。 米「今の私はどんな攻撃もできない代わりにどんな攻撃も受け付けません」
米「数日はこの姿から戻れませんが、お家で傷を癒します」ズズ…
言いながら、お米は地を這って二人から逃げていく。
米「多少面倒なことにはなりましたが、私は生き、お二人は死ぬ」
米「その結末は変わりません」
シュン…
千歌「!」ハッ
千歌「…“乱装天傀”が…消えかかってる…!」
曜(限界か……もう……!)
米「さようなら、曜さん、千歌さん」ズズズ… 凛「あ〜!かよちん待って待って〜!」ヨロヨロ…
曜千歌「………………」
千歌「…行っちゃったね」
曜「……正直、助かった…」フウ
千歌「……」
千歌「曜ちゃん」
曜「?」
千歌「最後、手加減したでしょ」
曜「……」 千歌「本気で撃ってたら、絶対殺せてたのに!」
千歌「ほんっとーに甘いんだから!」
曜「偶然だよ…私は殺す気で撃った」
千歌「どーだか!」
曜「あ、アハハハハ…」タジタジ
曜「ハ……」ガクンッ!
千歌「曜ちゃん!」
曜「大丈夫……」
曜「ただ……“乱装天傀”がもう……」
千歌「無理もないよ!だって私のぶんまでやって、卍解まで一緒に出して……」
曜「困ったな……もう…ほとんど動けない…」
千歌「ダイヤさん…ダイヤさんさえいれば……!」 ダイヤ「ヘックション!」
鞠莉「こんな時にクシャミって」プッ
鞠莉「緊張感無さすぎでしょ」アハハハ
ダイヤ「…クシャミと緊張感は関係ありませんわ」
鞠莉「どうする?」
鞠莉「さっきので曜と――たぶん千歌っちも――大体の居場所は分かったけど」
鞠莉「助太刀に行ってみる?」
ダイヤ「…イヤ」
ダイヤ「曜さんが卍解したんです。その必要はないでしょう」
鞠莉「…なんかダイヤ言ってること矛盾してない?」
ダイヤ「お黙りなさい」
ダイヤ「今はそれより……」
鞠莉「分かってる」
鞠莉「誰か……スペシャルな霊圧がこっちに来てるわね」 凛「くう…お腹が痛いにゃ〜」
米「ごめんね…ありがとう凛ちゃん…」
・家へと急ぐ凛と花陽(米)。花陽は袋詰めにされて凛に担がれている。
凛「!」
凛「あれは……」
米「?」
凛「真姫ちゃーん!」オーイ!
真姫「……凛」 真姫「貴方、その傷……」
真姫「!」
真姫「そのお米は……花陽ね」
米「うん!そうだよ!」
真姫「…二人して……どう見ても敗走中って感じね」
凛米「負けてないよ!」
真姫「もう、シャキッとしなさいよ」ハアー
真姫「遊び好きの凛はともかく、花陽まで…」
凛「負けてないってば――」グッ
凛「うわっ!!……びっくりした〜!」」
真姫「……」
凛はようやく、真姫の後ろに倒れている少女らに気づいた。 凛「この子たちは……」
米「黒澤ルビィちゃん!国木田花丸ちゃん!津島善子ちゃん!」
米「にこちゃんに勝ったAqoursの一年生の子たちです!」
凛「真姫ちゃん勝ったのー!?」
真姫「当然でしょ。私を誰だと思ってるのよ」
凛「真姫ちゃん」
米「真姫ちゃん」
真姫「そういうことじゃない!」
「まっ…」
米「!」 ルビィ「まだ……」
善子「…負けてない…」
花丸「……ずら」モゾ…
凛「……」
凛「真姫ちゃん、トドメは〜?」
真姫「要らないわよ」
真姫「にこちゃんだって生きてるんだし、弱い子を何人倒しても、誰が私の最強を認めるのよ」
米「…でも、万が一、ここから逆転ってことが…」
真姫「無いわよ、そんなものは」
真姫「覚えておきなさい」
真姫「私が、μ’s最強なんだから」 渡辺曜――『蒼浪丸』
卍解:『大紅蓮曜候丸』
形状:空中戦艦。それに乗る曜にも制服と帽子ができる。全部水。
能力:水分の隷属(人体は対象外)。水を操る攻撃の威力も始解時とはケタが違う。
小泉花陽――『炊込地蔵』
卍解:『銀色炊込地蔵』
形状:炊飯器と融合した巨大な銀色の赤ん坊の怪物。常に泣いている。
能力:致死性の米をばら撒く。 ガチャッ…
海未「失礼します」
梨子「……」
海未「曜がやってくれましたね」
海未「凛はともかく、まさか花陽が負けるとは。正直考えもしていませんでした」
梨子「…曜ちゃんは天才だから」
海未「おかげで穂乃果は飛び出しますし、それを追ってことりも消えてしまいますし」
海未「全くかき回されてしまいましたよ」
梨子「…それで私を見張りに?」 海未「当たらずとも遠からずですね」
海未「色々聞きたいこともできましたし……」
梨子「失言ね」
海未「えっ?」
梨子「真姫ちゃんに加えて―――」
梨子「今は穂乃果ちゃんもことりちゃんもいない」スッ…
海未「……」
梨子「三年生二人はすこぶる厄介だけど…………」
梨子「海未ちゃん一人を倒して脱け出すぐらいなら……なんとかできそうだわ」
海未「…貴方はもっと……」
海未「頭が良いと思っていたんですがね…………梨子……」
to be continued… とんこつスープに変える能力でどう戦えっていうにゃ… 海未「“人質である自分を殺すハズがない”―――とでも?」
海未「浅薄」
海未「私には、生かしたまま翼を折る方法などいくらでも…」
梨子「悪いけど、海未ちゃんとお話してるヒマはないの」
バッ
海未「…」
梨子「叫べ青春――」
スウ…
梨子「『桜内』」 梨子のラブライブレードが桜色の日本刀に変わった。
海未「…持ち主に似て美しい斬魄刀です」
梨子「フフ…どうもありがとう」
海未「もっとも――――」
海未「撃ち抜け」ピイン…
梨子「!」
海未「『神弓』」
海未のブレードは弓矢に変わる。
海未「そのどちらも、私には遠く及びませんがね」 梨子「…制服に弓矢っていうのも、絵になるものね」
梨子「けど、危ないんじゃない?髪留めも胸当てもなくソレを扱うのは」
海未「心配には及びません」
海未「貴方程度を相手するのに、危ないも何もありませんよ」
梨子「その驕りが―――アナタの最大の弱点だわ」
シュンッッ
海未「……」
梨子「はあっ!」ブンッ
海未「鈍い」バッ スカッ…
海未「!」
海未(残像…!)
斬ッ
海未「――ッ」
梨子「見誤っていたようね、私の“踊”の実力を」
海未「…………」…ポタ…
梨子「浦の星の二年生以上が校区を出る時は、霊圧を制御する“限定霊印”が押されるの」
梨子「それがついさっき解除された……だから今の私の力はさっきまでの5倍よ」
海未「…フン……右腕の薄皮一枚掠めた程度で……」 海未「!」
ジッ…
梨子「やっと気づいてくれたのね」
海未(右腕が動きません)
梨子「もうその右腕は私のものになったわ」
海未「……」
梨子「全てのものには“支配権”がある」
梨子「“犬(ノクターン)”は“飼い主(わたし)”の支配下にあり、“グループ”は“リーダー”の支配下にあり」
梨子「“受け”は“攻め”の支配下にあり、“天井”は“壁”の支配下にある」 梨子「私の『桜内』の能力は斬ったものの”支配権”を奪う能力」
梨子「私はこの力を『愛(アモール)』と呼んでいるわ」
海未「…………」
梨子「いまひとつ理解できていないようね」
梨子「こういうことよ」
ボコオッ
海未「がっ!?」
海未が自分で自分のお腹を思い切りぶん殴る。
海未「――っ」ガシッ
梨子「二発目をもう左で抑えこむ反応の速さは流石ね」 梨子「けど今ので分かったでしょう?」
梨子「海未ちゃんの右腕はもう私のもの、私の意のままに動かせる」
海未「………オホン…ッ…」
梨子「そんなイタい中二病みたいに自分の手を抑え込んで、どうやって私と闘うのかしら」クスリ
梨子「自慢の弓も泣いてるわよ」
海未「縛道の三十、『もぎゅっと“love”で接近中!』
梨子「!」
モギュッ…
梨子(自分に縛道をかけて腕を……)
梨子「…考えたね。でも結局両手を封じられたのは同じこと…」
海未「難儀な話です」
梨子「え?」 海未「梨子……貴方と私の間には海よりも広い力の差が隔たっています」
海未「海未は私ですが」
梨子「…………」
海未「こうして両腕を捨ててもなお、対等とはまだ程遠い」
梨子「…どうやらあなたは私が思っている以上に馬鹿だったようね」
梨子「自分の斬魄刀も使えない今の海未ちゃんじゃ……」
海未「全て言わなければ解りませんか」
海未「斬魄刀を使う必要すらないと言っているのですよ」
梨子「……!」
海未「破道の七」
海未「『知らないLove*教えてLove』」
ビュオオオオ 梨子(風!)
ビュオオオオオオオ
梨子(激しい…!身体がさらわれる……!)グググ…
海未「破道の二十三」
海未「『秋のあなたの空遠く』
ジュン…
梨子「――っ!」
梨子(通り風が……染みる!) 海未「破道の四十」
海未「『夏色えがおで1,2,Jump!』」
パチパチパチパチ
梨子「くうっ」
光のシャワーが弾ける。
梨子(“詠唱破棄”の三連発――!)
梨子(上位の番号じゃないとはいえ――顔色一つ変えずにこんな――)
海未「こんなものですか…」
海未「終わらせます」
梨子(まだ…!)
海未「縛道の六十三、『勇気のReason』」 ギュルル…
梨子「ウッ!」
梨子(こ、こんな時に…なんで…)
ギュルルルルル…
梨子(お腹が……!)
海未「苦しいでしょうね」
梨子「!」
梨子「ま、まさか……」
海未「自身の霊圧が大腸に異物として表出し、お尻からどうしようもなく溢れ出す――」
海未「それがこの、ある意味最凶の”歌道”、『勇気のReason』です」
梨子「………っ…」プルプル 海未「どうします梨子?」
海未「“参りました”の一言が言えれば、今すぐ術を解いてあげないでもないですよ」
梨子「………」プルプル
海未「トイレに行きたいですよね?出してスッキリしたいですよね?」
海未「恥ずかしいのは―――一瞬だから大丈夫―――ですか?」ニッコリ
梨子「…………へっ……」
海未「…………」
梨子「……へい…」
海未「『平気、大丈夫よ!』
梨子「!!」
海未「『悲しくてもそう答えなきゃ』」 梨子「な…………」
海未「『みんな気がついて』」
海未「『本当じゃない強がりだと』」
梨子(後述詠唱――!)
梨子(“詠唱破棄”で放った術に詠唱を追加して強化する―――超高等技術!)
海未「『泣いてみようか少し』」
梨子「!!」
梨子(しかもこれは―――)
海未「『違う自分を出せば変われる?』」
梨子(後述完全詠唱――!?)
梨子(話は聞いたことある――でも実際に出来る人がこの世にいるなんて――) 海未『引いたり満ちたり』
ギュルルルルル
海未『心の波が』
梨子「ハア……あっ…」
海未『私をさらうの』
梨子「くう…くううう……」
海未『こんなに何かを求める力が』
梨子(マズい!!本当にマズい!!)
海未『私のなか』
海未『激しくなるReason』 海未「『不思議、熱くなる!』
梨子(にににに2番〜!?)
海未「『踏み出したら』」
梨子(もう!!限界!!)ワナワナ…
海未「『もう走らな――』」
梨子(出ちゃう!!!)
バオオオオオオオオオン
海未「!?」 海未(“お漏らし”―――)
ズズズ…
海未(じゃない!!)
梨子「…………」ズズ…
内側から裏返るようにして。梨子の全身に闇がまとわりついていく……。
海未(なんです!?一体――!?)
梨子「……………フ」
海未「!」
梨子「ウフフ…♡」ズズズ…
海未「…っ!」ゾワア
海未「遊びは終わりです!」 海未「縛道の九十八!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
海未「『乙姫心で恋宮殿』!!」
グオオオオンッッ
部屋が、四方から華やかな宮殿に変わる。
海未「閉じなさいっ!」バッ
梨子「…………………」
グルグルンッ ギュウウウウウウ バタバタバタバタバタン! ギイイイイイイイッ…
梨子をその真ん真ん中に入れて、扉や門が一斉に閉まる……。 しん……
海未「……沈みなさい」
ず…
梨子を閉じ込めたまま、宮殿は床に沈んでいき、部屋は元に戻る。
し〜ん…
完全な沈黙。最上位九十番台の縛道は成功したらしい。
海未「これでとりあえず……鎖は繋がれたまま、ですね……」フウ
海未「…にしてもなんだったんでしょうか………今のは…………」
海未「霊圧の感じは…………――と似ていたような………」
ゾワ…
海未「!」
海未(鳥肌……ですか……)
海未(今のμ’sのメンバー以外では………あの三人と相対した時以来ですね…) 桜内梨子――『桜内』
解号:「叫べ青春」
形状:桜色の日本刀。
能力:斬ったものの“支配権”を奪う。 適用範囲は狭め。
園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。 ・時間はほんの少し巻き戻って――海未梨子の開戦と同刻…。
ダイヤ「今はそれより……」
鞠莉「分かってる」
鞠莉「誰か……スペシャルな霊圧がこっちに来てるわね」
ドドドドドド…
ダイヤ「……」
ドドドドドドドドドドド
鞠莉「…ちょ……!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
ダイヤ「これは……!いくらなんでも…………!」
「見つけたよ!」
ダイヤ鞠莉「!!」 ザッ…
「えっと、小原鞠莉ちゃ……鞠莉さんと」
「黒澤ダイヤさん、ですね!ルビィちゃんのお姉ちゃんの!」
鞠莉「…ワ〜オ……」
ダイヤ「……!…まさか貴方が直々に出張ってくるとは―――」
「初めまして!μ’sのリーダーの―――」
ドドドドドドドドドドド
穂乃果「高坂穂乃果です!」ニッコリ
to be continued… 曜「うわ…」
千歌「すっごい……」
・曜と千歌。『炊込地蔵』の米の効果で手足が動けず、路上に這いつくばっている。
ドドドドドド…
曜「何て大きい霊圧だ……」
千歌「こことは離れてるのに……まるですぐそこにいるみたいに感じるよ…!」
曜「うん…………本当に……すぐそこに…………」
ドドドドドドドドド
曜「!!」
曜「イヤ!」
ドドドドドドドドドドドドドド
曜「違う!二人いる!!」 曜「遠くにも!すごく近くにも!デタラメな霊圧が二人!!」
千歌「えっ……」
「その通り」
曜千歌「!!」
「けどもっと正確に言えばこうね」
「特大の霊圧が遠くに一人…」
ドドドドドドドドドドド…
曜(や…)
千歌(ヤバい!!)
真姫「更にその上を行く“最大”の霊圧が…………ここに一人」 穂乃果「もぉ〜…探しましたよ〜…」
ダイヤ鞠莉「…………」
穂乃果「花陽ちゃんが負けたって聞いて、我慢できずに飛び出してきたはいいけど」
穂乃果「私の霊圧探知はヘタっぴだから…」
シュンッッッ
穂乃果「お!?」
ダイヤ「――」ブンッッ
穂乃果「わわっ」
ヒョイッ
穂乃果「ちょっ、ちょっと!いきなり何す――」
穂乃果「!」 鞠莉「破道の五十八」
ビリンビリンビリン
鞠莉「『Love Pulsar』」ピカッ…
穂乃果「――!」
ズドオオオオオオン
一筋の雷が穂乃果へと落ちる。
パラパラ…
鞠莉「さあて……?」タンッ…
ダイヤ「……」 「あっぶないな〜!」
鞠莉「!」
ダイヤ「――」グルッ
穂乃果「いきなり何するんですか!」
穂乃果「私はまだおしゃべりしてるだけなのに!」プンスカ
鞠莉「いつの間に後ろに……!」
鞠莉「見えなかったわ……」
ダイヤ「流石にμ’sのリーダー」
ダイヤ「“踊”一つとっても並み外れているということですわ」
穂乃果「無視しないでください!」 穂乃果「内浦にはあいさつの文化がないんですか!?」
穂乃果「スクールアイドルの戦いはまず名乗りからって、にこちゃんがいっつも言ってるのにー!」
ダイヤ「……悪いですが…今回に限っては礼儀を重んじる気はありませんわ」
穂乃果「ムムッ!」
鞠莉「こっちは梨子を取られてるんだからね」
鞠莉「先に仕掛けてきたのはそっちでしょう?」
穂乃果「…………」
穂乃果「たしかに!」ポン!
ダイヤ鞠莉「……」
穂乃果「μ’sとAqoursは戦争中ですもんね!つまり敵同士!」
穂乃果「敵同士であいさつなんて変だよね!」 穂乃果「アレ?でも敵同士ってことは、戦うってことで……」
穂乃果「戦うってことはあいさつしろってにこちゃんが……」ウウウ…
鞠莉「……なんか…」
ダイヤ「軽いというか…マイペースというか……」
穂乃果「そうだ!」
穂乃果「だったらこうしましょう!鞠莉さん!ダイヤさん!」
ダイヤ「どうするんですの?」
穂乃果「戦って勝った方が―――」
穂乃果「負けた方にのっぽパンおごる!!」
鞠莉(あいさつの話じゃないのね)
ダイヤ(何故勝った方が…) 穂乃果「よ〜し!」
穂乃果「そうと決まったら負けないぞ〜!」
バッ
穂乃果「始まれ――――」
ボオオオオッ
ダイヤ「――」
鞠莉「――っ」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
穂乃果「『焔饅頭(ほむらまんじゅう)』」 ドドドドドドドドドドドドド
ダイヤ(始解にして既に超然たるこの霊圧)アセタラ…
カッ…
鞠莉「!」
先の曜の卍解で雲に覆われていた空に光が差す。
鞠莉(天候を操れる能力が…曜の『大紅蓮曜候丸』以外にも……!)
ダイヤ(その熱は天を焦がし雲すら消し)
ダイヤ(その刃の通る道は世の一切を灰燼に帰す)
ダイヤ(全斬魄刀中最高の攻撃力を誇り)
ダイヤ(炎熱系最強最大の斬魄刀―――――) 穂乃果「……」ボオオオオオ…
これが―――――『焔饅頭』――――――
ダイヤ「……」
鞠莉「…………っ!」
穂乃果「どうしたの?」
穂乃果「いくら内浦にはあいさつの文化がないからって」
穂乃果「戦いもせずに斬られるのが礼儀―――なんてことはありませんよね?」
鞠莉「…オフコース……」ス…
ダイヤ「鞠莉さん!」
鞠莉「しょ〜がないでしょ、ダイヤ」
鞠莉「ここで背中を向けるのは逆に殺してくださいって言ってるようなものだわ」 鞠莉「ブチ上げろ」
鞠莉「『金属宿(ヘヴィホテル)』」バン
ダイヤ「…………」
ダイヤ「勘違いしないように!」
鞠莉「!」
穂乃果「……」ニコ…
ダイヤ「逃げろというのではありません。ただ――――」
ダイヤ「私の後ろに下がってください」バッ
ダイヤ「誤謬を正せ」
ユラ…
ダイヤ「『舞武天盾』」 ダイヤ「μ’s最強たる穂乃果さんは、Aqours最強の私が斬ります」
ダイヤ「従って鞠莉さん、貴方は後方で私のサポートをお願いしますわ」
鞠莉「笑わせようとしてるのかしら?」
鞠莉「実力から見て、私が前、ダイヤが後ろでしょう?」
穂乃果(…花陽ちゃんから話は聞いてる)
穂乃果(トップスクールアイドルAqoursの最上級生にして―――)
穂乃果(浦の星を――内浦を牛耳る二大貴族の当主)
ダイヤ「百歩譲って曜さんならともかく、貴方や果南さんに後れを取る気はしませんわ」
鞠莉「全文まとめてそのまま返す!」
穂乃果(流石に――――輝いてるね) 穂乃果「…ただ…………」
鞠莉「?」
穂乃果「ちょっと“違い”ますね…」グ…
ダイヤ「…………?」
穂乃果が制服の腕をまくって二人に掲げる……。
鞠莉「………――――――っ」
“4”
ダイヤ「…4………………ですと……!?」
穂乃果「うん、μ’s第四席、高坂穂乃果」
穂乃果「μ’s内での力の序列は―――四番目だよ」 小原鞠莉――『金属宿(ヘヴィホテル)』
解号:「ブチ上げろ」
形状:金色のレイピア。ホテルのマスターキーのようにジャラジャラと鎖と鍵がついてる。
黒澤ダイヤ――『舞武天盾(ぶぶてんしゅん)』
解号:「誤謬を正せ」
形状:赤と黒の鉄扇。
高坂穂乃果――『焔饅頭(ほむらまんじゅう)』
解号:「始まれ」
形状:刀身が爆炎の刀。
能力:万象一切灰燼と為す。 千歌「やったー!」ピョーン
千歌「治った!治ったよ曜ちゃん!」
曜「うん……」
真姫「……」クルクル
曜「ありがとう…真姫ちゃん」
真姫「…別に………礼には及ばないわ」
ドドドドドドドドドドド…
曜(…それにしてもスゴい霊圧だ……)ゴクリ
曜(ただ近くにいるだけなのに圧倒されちゃう…)
真姫「…………………」ドドドドド
曜(心臓を掴まれてるみたいに……!) 千歌「でも真姫ちゃん、なんで敵の私達を治してくれたの?」
曜「……」チラッ
真姫「分からない?」
真姫「敵だからよ」
千歌「え?」
ドドドドドドド…
曜「……!」
真姫「いくらすごい卍解を持ってるからって…」
真姫「身動きもできない半死人に勝ったってしょうがないでしょ?」
ドドドドドドドドドドド
真姫「私は花陽と違って、勝負さえつけば貴女達をどうこうする気も理由もないしね…」 曜「…真姫ちゃん…」
真姫「…必要もなさそうだし、面倒だけど……」
真姫「スクールアイドル同士が戦う以上、一応、名乗りからやらないとね…」ブワッ…
曜千歌「――ッ!」
ドドドドドドドドドドドド
曜(冗談でしょ…?“解放”前でまだ上がるの!?)
真姫「西木野真姫……一年よ」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
千歌(は、反則でしょ…こんなの……!)ガクガク
千歌(霊圧のオバケじゃん……!こんなの…………!!) 曜(逃げる―――?イヤダメだ!)
曜(一瞬でも気を抜いたら――背中を向けたらその瞬間、霊圧でペシャンコにおしつぶされる……!)
千歌「…………っ」ブルッ…
真姫「ホラ、早くしなさいよ」
曜「…Aqours二年…渡辺曜…」
千歌「……高海…………千歌だよ!」ゼーハー
曜「……」ス…
曜「『蒼浪丸』」バン
千歌「……き…」グッ…
千歌「『金毘加』…………!」キラキラ 真姫「…なんだか先が思いやられるけど……まあいいわ」
真姫「開戦……の前にもう一つね」
バッ
曜千歌「!?」
真姫が両手でブレザーの襟を掴んで胸を差し出した。
真姫「ハンデあげる」
ドドドドドドドド…
真姫「先に斬っていいわよ」
ドドドドドドドドドドドドドドド
曜「…なん……っ」
千歌「だと!?」
to be continued… 最強最強言ってたが剣八ならまんざらフいてもないのか? 千歌「何を……言って……」
真姫「聞こえなかった?」
真姫「ハンデとして、先に斬っていいって言ったのよ」
曜「なんで…」
真姫「だからハンデだって!」
真姫「とりあえず四肢は動けるようにしたけど、貴女たちはまだ花陽と戦ったぶんの疲れやダメージが残ってるでしょう?」
曜「…だからって……」
真姫「どこでもいいわよ。首でもお腹でも目玉でも」
真姫「何ならこの一撃で私を殺してもいいわ」
曜「手足を治してもらった上に、無防備な真姫ちゃんに斬りかかるなんて…!」
曜「そんなのできるワケ…」 ザッ…
曜「!」
千歌「言ったかんね…」グッ
曜「ち…千歌ちゃ……」
千歌「やるよ私は」
千歌「梨子ちゃんを助けるためだもん」
曜「……!」
真姫「そう…それに私自身のため、ね」
千歌「おりゃああああっ」ブンッ…
曜「っ!」メソラシッ ブシャッッ
千歌(――嘘でしょ――――)
真姫「……………………」
曜「…っ」パチクリ…
曜「えっ」
千歌(私は本気で斬りかかった)
千歌(なのに)
真姫「……………」
真姫「ハァ」
千歌(なんで傷一つついてないの!?) ポタ…ポタ…
千歌「ッ!」
刀を握りしめる千歌の両手から血が垂れる。
千歌(なんで私の手の方が裂けてるの!?)
真姫「期待外れだわ」
真姫「斬れそうなのは見た目だけ?」
千歌「………………ッ」ガクガク
真姫「『なんで斬れない』―――って顔ね」
真姫「なんのことはないわ」 真姫「霊圧同士ぶつかれば、押し負けた方が怪我をする」
千歌「……!」
真姫「要は貴女が敵を殺すために極限まで霊圧を磨き上げて作ったその刀より」
真姫「私が無意識に垂れ流している霊圧の方が強い」
真姫「それだけの話よ」
曜「………ありえない…!」
真姫「目の前で起こった事実のありえるありえないを論じるのは賢くないわね」
真姫「まぁ…これを見たら少しは納得するかしら?」スッ…
曜千歌「……!」
真姫が前髪を上げておでこを見せる―――。 “6”
千歌「…6………………だと……!?」
真姫「そうよ」
真姫「貴女達が二人がかりでひいひい言って追い返したあの花陽より」
真姫「私の方が数字が上なのよ」
曜「…………ろく……」ゴクリ
真姫「こと霊圧の大きさ―――及びそれによる“鋼皮(イエロ)”の硬さに関しては、私がμ’sでトップよ」
※鋼皮…霊圧をまとったスクールアイドルの制服および表皮の総称。
千歌「くっ……」
真姫「わかる?こっちとしても残念な話だけど」
真姫「貴女の刀で私は斬れない」 千歌「だったら“歌道”の刃ならどうだ!?」バッ
真姫「……」
千歌「『あこがれだきしめて』」
千歌「『次へ進むんだ』」
千歌「『僕たちだけの新世界が』」
千歌「きっとある」ボソ…
千歌「『We say』!」ビシッ
“
曜「『“ヨーソロー!!”』」
千歌「破道の六十一!」
千歌「『MIRAI TICKET』!!」 ド ン
曜千歌二人の霊圧で空中に船が出来る。
千歌「船が往くよー!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
曜「全速前進!」
千歌「いけっ!轢いちゃえ!!轢き潰せ!!」
真姫「…………」クルクル
ドッシャアアアアアアン
空を行く船が高速で真姫に衝突した。 パラパラ…
千歌「どーだ!?やったか!?」
曜「……」
「共同詠唱ね…」
千歌「!!」
真姫「結構高度なこともできるじゃない」
真姫「けど残念……そんな小手先の技術、私の霊圧の前には……」
曜「『千年水牢』!」バッ
真姫「―!」
ギャンッ! 水の牢獄が真姫を閉じ込める。
曜「油断したね真姫ちゃん」
曜「いくら硬くても、こうなっちゃ何も……」
真姫「フンッ!」ドドドドッ
バシャアッ
曜「な……」
曜(わ…私の『千年水牢』が……)
真姫「……続きを話すわよ」
真姫「スクールアイドルの戦いは霊圧の戦い――――」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
真姫「貴女達程度の技なんて、私の霊圧で全て押さえこんであげるわ」 西木野真姫――『???』
解号:???
形状:???
能力:??? 穂乃果「μ’s内での力の序列は……………四番目だよ」
鞠莉「……嘘でしょ…」
穂乃果「リーダーとしては、ちょっぴり恥ずかしいけど……」
穂乃果「でもAqoursも、千歌ちゃんが最強ってワケでもないんだもんね?」
鞠莉「この穂乃果が…四番目……!?」
ダイヤ「…バカな……」
穂乃果「二人もそう思う!?」
穂乃果「二人からもみんなに言ってよ〜!穂乃果が一番強いよーって!」
鞠莉「…そんな…っ」
ドドドドッ
穂乃果「!」
ダイヤ鞠莉「!?」 ドドドドドドドドドドドドドドドドド
鞠莉「なっ…」
ダイヤ「なんですかァ!?この馬鹿げた霊圧は!」
穂乃果「真姫ちゃん!」
ダイヤ「マキ……西木野真姫さんですか!」
穂乃果「うん!」
穂乃果「真姫ちゃんの霊圧の大きさはとびっきりだからね〜」
ドドドドドドドドドドドド
鞠莉「にしてもコレ……クレイジーすぎるでしょ!?」
穂乃果「あっ、でも一応、数字では真姫ちゃんよりは私の方が上だよ!」エッヘン 鞠莉「…………っ」
ダイヤ「…これが伝説の殺戮集団―――μ’sのレベルですか……」
穂乃果「スゴイでしょ?」キラキラ
穂乃果「まだまだAqoursのみんなには負けないよっ!」
ダイヤ(やはり私が全員斬るしか……)
――ブツッ…――
ダイヤ「!!」
穂乃果「?」
ダイヤ「…ぐっ……」プルプル
鞠莉「何、ダイヤ、どうしたの!?」 ダイヤ「梨子さんの霊圧が…………消えましたわ……………」
鞠莉「えっ!?」
穂乃果「…海未ちゃ〜ん……」ジト…
ダイヤ「鞠莉さんッ!」
ダイヤ「この場をお任せできますか!?」
鞠莉「最初からそのつもりだっての!」
ダイヤ「―――」シュンッッ
穂乃果「おっと!行かせないよ!」
ダイヤ「タダで逃げると思いますの?」スッ…
穂乃果「えっ…」 ダイヤ「縛道の八十八」バババッ
ダイヤ「『逃走迷走メビウスループ』」
クルクルッ
穂乃果「な…」
鞠莉「…………」
穂乃果「何コレ!?」
グルグルッ
穂乃果が八の字型の光の通路に閉じ込められる。
ダイヤ「断絶されたこの迷路に閉じ込められた者は発狂して死ぬまで何か―――自らが作り出した妄想上の敵から逃げ続ける」
ダイヤ「それがこの『逃走迷走メビウスループ』ですわ」 穂乃果「……」
ダイヤ「もっとも、もうこの説明も貴方には聞こえていないでしょうがね」
穂乃果「う〜ん、サッパリわかんないけど……まあいいや」
穂乃果「どうせこれで解決するしね…」ス…
ダイヤ「急ぎますわ!」シュンッ
穂乃果「いくよ、『焔饅頭』」
穂乃果「『一ツ目』」スッ…
ダイヤ「!」
穂乃果「『撫斬』」スッ
ボオオオオオオオオオ メラメラメラ…
穂乃果「やっぱりね」ニコッ
ダイヤ(爆炎で迷路を焼き切った――!?)
ダイヤ(想定していなかったわけではありません―――が――破られるのがあまりに早過ぎる!)
穂乃果「逃がさないよダイヤさんっ!」
穂乃果「それぇっ!」ブンッ
ダイヤ「くっ!」
ボオオオオオオオ
爆炎がダイヤに迫る―――。 シュボッ…
穂乃果「!?」
ダイヤ「………………」
ダイヤ「――」キッ
シュンッッ…
不意に爆炎が消え、ダイヤは“瞬歩”を飛ばして梨子の元へ奔って行った……。
穂乃果「なんで……」
鞠莉「あら不思議」
穂乃果「!」
鞠莉「ど〜こ行っちゃったのかしら〜?」ジャラジャラ 高坂穂乃果――『焔饅頭(ほむらまんじゅう)』
解号:「始まれ」
形状:刀身が爆炎の刀。
能力:万象一切灰燼と為す。
小原鞠莉――『金属宿(ヘヴィホテル)』
解号:「ブチ上げろ」
形状:金色のレイピア。ホテルのマスターキーのようにジャラジャラと鎖と鍵がついてる。
能力:??? ダイヤ(死なないでくださいよ鞠莉さん……)シュンッ…
走りながら、ダイヤは霊圧感知を巡らせる。
ダイヤ(梨子さんの霊圧……それに魄動もですか……!)
ダイヤ(全く感じられません……!)
シュンッッ…
ダイヤ(たとえ死んだとしても全く感じられないなどということはありえません……多少の“残り香”が出るハズ……)
ダイヤ(上位の”縛道”等で異次元に隔離された………?
ダイヤ(か……あるいは……)
ダイヤ(梨子さんの霊圧が……全く別の何かに変質した…………?)
ドドドドドドド…
ダイヤ(それにしても鬱陶しいですわね!この真姫さんの霊圧!) ダイヤ(このフザケ倒した霊圧の真姫さん以上の強者が、真姫さん穂乃果さん含めて六人……)
ダイヤ(全く気が遠くなる話ですわ……)
ダイヤ(…やはり曜さんぐらいは頼らざるを……)
ヒョコッ
ダイヤ「!」キキーッ
「Aqoursの黒澤ダイヤちゃんですね?」
ダイヤ「…いかにも」
ことり「初めまして!」
ことり「μ’sの南ことりです」
ダイヤ「存じ上げていますわ」
ことり「ちょっとお話、いいですかぁ?」 ダイヤ「お断わりします!」
ことり「ええ〜っ!?」
ダイヤ「今の私には時間が無いのです」
ダイヤ「ただちに退けば半殺し程度で済まして差し上げますが……これ以上の足止めをお望みなら―ー」
ことり「……」
ダイヤ「命を貰っていきますわよ」ギロリ
ことり「……………………」
ことり「…………」
ことり「アハ♡」
ダイヤ「…………」
ことり「みんな聞いた?ダイヤさん怖いね♡」
ダイヤ「…みんな…?」 ことり「殺されちゃうんだって♡」クイッ
ゾロゾロ…
ダイヤ「!」
ルビィ「お姉ちゃ……」
花丸「ごめんなさいずら……ダイヤさん……」
善子「わ…私達……」ブルブル
ことり「殺されたくないよね?殺されたくなかったら…」
ダイヤ「…………」ジト…
ことり「殺すしか……ないよね♡」
to be continued… ルビィ「ごめんなさい……お姉ちゃん……」グッ
ダイヤ「…………」
後輩三人は震える手でダイヤに刃を向ける。その手足にはことりの指から伸びた霊子の糸が巻き付いている。
ダイヤ(“乱装天傀”……)
ダイヤ(普通自分にかける零子の糸を……他人にかけることで傀儡のように操っている)
ダイヤ(恐ろしく高い霊子の裁縫技術)
ダイヤ(もはや“衣装係”の枠ではありませんね…プロのデザイナーとして成功を約束されるレベル……)
ダイヤ「…しかしずいぶん悪趣味ですわね」
ダイヤ「うちの衣装係には思い付きもしない発想ですわ」 ことり「そう…曜ちゃんはおバカさんなんだね」
ダイヤ「貴方ほどではありませんわ」シュンッッ
ことり「!」
スパパッ
ダイヤ「こんなもの、こうやって糸を斬ってしまえばそれでおしまいです」カチャ…
ことり(速い……)
ダイヤ「曜さんなら、たとえ思いついても実戦では使いませんわ」
ことり「そう…おバカさんなんだね」
ダイヤ「ハァ?」
ことり「ダイヤちゃんは」 ルビィ「――」ブンッ
ダイヤ「なっ!?」バッ
ガキイイン
ルビィ「お姉ちゃん……」ギリギリ
ダイヤ「ルビィ…何を…」ギリギリ
ダイヤ(馬鹿な……糸は確かに斬ったハズ……!)
ダイヤ「!」ハッ
花丸「……」ブンッ
善子「はあっ!」ブンッ
ダイヤ「くっ!」シュンッッ
スカッ…
背後から振り下ろされた後輩二人の刀を、ダイヤはなんとか躱した。 ルビィ「…あ〜…」
善子「何やってんのよ、どんくさいわね」
花丸「こっちのセリフずら」
ダイヤ「……」
ダイヤ「もしや…ルビィ達に化けた偽物……?」
ルビィ「違うよ、お姉ちゃん」
ダイヤ「!」
花丸「マル達は正真正銘マル達ずら」
善子「それが分からないダイヤじゃないでしょ?」
ダイヤ「ならば何故私に斬りかかるのです!」 善子「なぜ?」
花丸「なぜって……」
ことり「……」クスリ
ルビィ「ルビィ達はただ単純に」ズ…
ダイヤ「!」
ルビィの太ももに――花丸の胸に――善子の脇に――――ハートのマークが浮かび上がる。
ルビィ「ことり様の為に…♡」
ダイヤ「これは…!」
ことり「『皆臨好(みなりんすき)』」ス…
ことり「私の斬魄刀だよ」 ことり「私のシュートでハートのマークをつけられちゃった子はみんな、ことりのとりこになっちゃうの」
ダイヤ「…成程……“乱装天傀”はダミー」
ダイヤ「最初からその能力で三人を操っていたのですね」
ことり「操るっていうのははちょっと違うよ?」
ことり「みんなことりのことが大好きだから、なんでもしてくれるだけ」
ことり「お客様にご奉仕するカリスマメイドみたいにね」
善子ルビィ花丸「……」ユラ…
ことり「イヤ……カリスマメイドに貢いでくれるお客様みたいに、かな♡」
ダイヤ「……」チャカ…
ことり「アハ♡」
ことり「後輩を……妹を斬るの〜?」 ダイヤ「まさか」
ダイヤ「斬るのは……“私に刃を向ける妹達”―――」
善子「御免なさい…ダイヤ」ユラ…
花丸「でも…」
ルビィ「ことり様の為だから……」
ダイヤ「この受け入れ難い現実だけですわ」バサアッ
ことり「!」
ことり(名前を呼ばずに“始解”を……!)
三人「死んで!」ダッ
ダイヤ「私は―――『拒絶』します」
ダイヤ「ブッブーですわ!」バッ ブワッ
ダイヤが扇型の斬魄刀――『舞武天盾』を一仰ぎする。
ルビィ「―――……」
ビュオオオオオオ
巻き起こった風は正面からルビィに――――
善子「…………」
花丸「…………」
ヒュオオオオ…
次いで後に控える善子と花丸にも当たって、通り抜けた。
三人「………………」ピタ… ことり「…みんなどうしたの?」
ことり「ダイヤさん、殺して?ことりの為に……」
三人「…………」
こことり「おねがぁい♡」ギュッ…
ルビィ「うるさいっ!」グルッ
ことり「!?」
善子「私達にダイヤを攻撃させるなんて…」
花丸「許さないずら」ギロリ
ことり「えっ?え〜〜〜っ??」
ダイヤ「私の『舞武天盾』の能力は“事象の拒絶”」
ダイヤ「現実に起こった森羅万象全てに対して……私の意思でブッブーできる」 ことり「何……ソレ……」
ダイヤ「自分でいうのもなんですが……神の領域を侵す力ですわ」
ことり「……………………」
ことり「“神”……?」
ダイヤ「ことりさん……私は貴方の戦いを厭悪します」
ダイヤ「自らは手を下さず絆を奪って敵を嬲るとは卑劣の極み」
ダイヤ「死すべき無恥ですわ」バッ…
ことり「軽々しく“神”なんて騙っちゃダメだよ……」キリッ
ことり「卍か―――」
ダイヤ「遅い」シュンッッ
ブスッ
ことり「な………」 ダイヤ「私はこの世で一番嘘をつきません」
ダイヤ「殺るといったら殺りますわ」
ことり「待っ…」
斬ッ
ことり「…………っ」ブシャアアアア
ドシャア
ことり「」
胸を鮮血染め、ことりは地に倒れ伏した……。
ダイヤ「おやまあ」
ダイヤ「やはりハートマークは……ことりさんに一番似合っていますわね」 ルビィ「流石お姉ちゃん!」ダッ
ダイヤ「ルビィ!!」カッ
ルビィ「ピギッ」ビクッ
ダイヤ「それに善子さん―――花丸さんも!」ギロッ
善子「…ごっ…ゴメンなさい!」ペコリ
花丸「マル達……洗脳されて……」
ダイヤ「そんな事ではありません!」
ルビィ「え?」
ダイヤ「私は今から梨子さんの元へ向かいます」
ダイヤ「が――皆さんは今スグこの音の木の校区から逃げなさい!!」
ダイヤ「…μ’sの戦力は思った以上でしたわ」
ダイヤ「連れてくるべきではなかった…」 花丸「そんな……」
善子「私達もリリーを…」
ダイヤ「力不足だというのが分からないのですか!!」
善子「うっ…」
花丸「……」
ダイヤ「…とにかく時間がありません。これ以上の問答は致しませんが……」
ルビィ「…うゆ……」
ダイヤ「逃げてください!!」
ダイヤ「絶対にですよ!!」シュンッッッ
三人を残して、ダイヤは“瞬歩”で立ち去った。 善子「…どうする?」
花丸「悔しいけど、ダイヤさんの言う通りずら」
ルビィ「今のルビィ達じゃ…足手まといにしかならない…」シュン…
善子「…そうね」ハア
「……やっぱり………」
三人「!!」
「おバカさんだね♡」
ルビィ「あ……え……」
ことり「ダイヤちゃん…」ムク… 花丸「な…なんで……」
ことり「傷口を霊子の糸で縫い合わせたんだよ」
ことり「血はいっぱい出たけど……ダイヤさんの刃は命には届かなかった」
ルビィ「お姉ちゃんに気付かれない範囲で…指先一つ動かさずに……!?」
善子「そんなこと出来るワケが……」
ことり「それが出来るから…………こうして生きてるんだけど?」
善子「―っ!」
ことり「…でも…正直ダイヤちゃんにはビックリしたなあ」
ことり「『”神”を侵す』っていうのは許せないけど…」
ことり「あんなにスゴい能力持ちがμ’s(私達)以外にいたなんてね」
三人「――っ!」ダッ
ことり「逃がさないよ♡」 ことり「卍解♡」
コオオオオオオオオ
花丸「何ずら!?」
善子「空間が…!」
ガシャンッ!
ルビィ「…籠のなか……」
善子「閉じ込められた……!」
当のことり含めた四人、一つの巨大な鳥籠に収監される。
ことり「『小夜啼鳥恋詩』」 ことり「これがさっき見せるヒマがなかった私本来の力」
ことり「卍解だよ」
ルビィ「…………」
ことり「もうみんなは逃げられない…………」
ことり「ことりのおやつになるだけです♡」
ルビィ「そっかァ……」
ルビィ「逃げられない、かぁ……」ニコッ…
ことり「ん〜?」
花丸「逃げられないなら……」ニ…
善子「即ち戦い――それしかない!」ギランッ
ルビィ「うゆ!」グッ
to be continued… 南ことり――『皆臨好(みなりんすき)』
解号:「寄り添え」
形状:ラクロスのラケット。
能力:零子のボールをシュートして、当たった相手をメロメロにする。
黒澤ダイヤ――『舞武天盾(ぶぶてんしゅん)』
解号:「誤謬を正せ」
形状:赤と黒の鉄扇
能力:事象のブッブー。 ことり「アハ♡」
ことり「やっぱりお姉ちゃん達に似て……おバカさんなんだね」
ことり「みんな」
三人「…………」
ことり「私と戦って……勝ち目があると思うの?」
花丸「…マル達は真姫ちゃんに負けて……」
善子「倒れてるところにアナタの『皆臨好』で操られた」
ことり「そうだね」
ことり「だから?」
ルビィ「だからルビィ達はことりちゃんには負けてない…………です」 ことり「アハハ♡」
ことり「おバカさんなみんなの為に教えてあげるね……」
ス…
ことりが制服とシャツをめくってお腹を見せる。
“5”
三人「………………」
ことり「私の番号は5」
ことり「6の真姫ちゃんに負けたみんながその上の私に勝てるかな?」
ことり「勝てるわけないよね♡」
花丸「やってみなきゃわかんないずら」
ことり「わかるよぉ♡」 花丸「眠ろうか」
花丸「『お休南無三』」ズン…
ここで初めて、花丸が自分の斬魄刀を解放した。
ことり「怖い……な♡」
ことり「それに斬られると、重くなっちゃうんだよね」
花丸「!」
花丸「なんで知って……」
ことり「“認識同期”」
ことり「にこちゃんの役割の一つだよ」
ルビィ「にこさんの……」
ことり「にこちゃんが認識した情報は、瞬時にメンバーに伝達されるの」
ことり「だからみんなの実力も、斬魄刀の能力も、ぜんぶ筒抜け♡」 ことり「スピードも…」
ことり「ね♡」シュンッッッ
花丸「!」
善子(速い!)
ことり「破道の七十五」
ことり「『輝夜の城で踊りたい』」
ピカッ
ルビィ「花丸ちゃん!」
ズドオオオオン
花丸「ッハア!」
花丸(レーザービーム……!) 花丸(痛い!)
ボタタッ…
ことりの放ったレーザービームは花丸を貫いた。脇腹から血が垂れる。
ことり「私の“瞬歩”はにこちゃんより、真姫ちゃんより上だよ」
ことり「μ’s全体じゃ真ん中ぐらいだけどね」
善子「……」
ことり「で、も〜…」
キュルル…
ルビィ「!」
ことりの頭上から糸が垂れて四肢に巻き付く。 ことり「モチロン霊子の加工技術は、衣装係の私がμ’sで一番♡」
ルビィ(“乱装天傀”で自己強化……)
ルビィ(極めればこんな使い方もできるんだ…!)
善子「…ルビィはまたずら丸をお願い」
ルビィ「!」
善子「ここは私が出るわ」
ルビィ「…うん!」ササッ
善子「……」ザッ…
ことり「懲りないね」
ことり「“瞬歩”もまともにできない善子ちゃんが私の前に立っても……」 善子「浦の星の一年生の夏の制服がなんで……ノースリーブだと思う?」
ことり「…?」
ことり「理事長さんの趣味でしょ…?」
善子「…袖があっても意味を為さないからよ」
ことり「………」
善子「浦の星の生徒は全員一年の時点である技を習得する」
善子「その技の完成形では術者は背と両肩に高濃度に圧縮された霊圧を纏い」
善子「それを炸裂させることで霊圧を己の手足へと叩き込んで戦う…」
善子「つまり」
善子「技の発動と同時に脇から下の袖は弾け飛ぶ!」 ボシュッ
ことり「!」
言った通りに善子の制服――冬服のソレが弾け飛ぶ――――。
善子「瞬閧(しゅんこう)!」
善子「『堕天降臨』!!」カッ
ダアンッッ
ことり(疾い―!)バッ
善子「はあっ!」ボッ
ボゴオッ
ルビィ「やった!入った!」 善子「――…」
善子「まだまだァ!」
ことり「…………」
善子「もう一発!」グンッ
グワシャアッ
ルビィ「決まった!クリーンヒットだ!」
善子「…………」
ことり「……」ピタ…
善子「………………っ」 ルビィ「いいよ善子ちゃん!」
ルビィ「このまま一気に……」
善子「くッ!」ダンッ
ルビィ「!」
ルビィ「あ…あれ……?」
善子「……」ザザッ…
三発目の拳を浴びせることなく、善子は退いて距離をとった。
善子(手ごたえが……)
ことり「へえ」ケロッ…
ルビィ「!」
ルビィ(き…効いてない……!?)
ことり「シュンコウ…………まだそんなの隠してたんだ」 善子「…別に隠してたわけじゃないわ」
善子「私の瞬閧はまだ完全じゃなくて加減が難しいから……にこさん相手じゃ的が小さすぎて使えなかっただけ」
ことり「真姫ちゃんは?」
善子「あの硬さじゃ、殴ったこっちの方が痛いでしょ」
ことり「そっか」
善子(…今のは違う……単純に硬さで耐えられた感じじゃない……)
善子(かといって何かの技を使ったそぶりも……)
ことり「カラクリがワカらない?」
ことり「そっちにはこっちの情報はないもんね」
善子「…教えてくれないのは不公平じゃないの?」 ことり「いいよ。教えてあげる」
ことり「公平な戦いをしたいとも思わないし、教えたところで公平になるとも思わないけどね」
善子「……」
ことり「忘れちゃったわけじゃないよね?」
ことり「みんなは今、私の卍解の中にいるんだよ」
善子「!」
ことり「普通スクールアイドル同士の戦いでは、霊圧の大小で攻防の優劣が決まるよね」
ことり「でも『小夜啼鳥恋詩』の中では話がベツ」
ことり「この鳥籠の中では、相手への愛が強い方が勝つ」
善子「…愛が…強い方が……!?」 ことり「そうだよ」
ことり「善子ちゃんの攻撃にはことりへの愛がないもん」
ことり「そんな攻撃じゃ何回やっても効かないよ」
花丸「…何を…言って……」
花丸(殺し合いの敵への攻撃に愛なんてあるわけが…)
善子「ハッタリよ!」
善子「アンタには愛があるっていうの?」
ことり「うん、あるよ」
善子「笑わせんな!」ダアンッッ
ことり「わからないかなあ…」
ことり「『輝夜』」ピカッ
善子「!」 ズドオオオオオオン
善子「ガハッ」
ルビィ「善子ちゃん!」
善子(くそ…っなんで……)
ことり「私は善子ちゃんのこと好きだよぉ」
善子「どの口が…」
ことり「善子ちゃんって、鼻筋のスッキリ通った美人さんだし……」
善子「なっ…」カアア…
ことり「フフッ、照れた顔もカワイイね♡」 ことり「でも一番は……」
ピカッ
善子「――ッ!」
ズドオオオオオン
善子「あっ……が……」
ベチャッ…
レーザービームに胸を貫かれ、善子の口から血が垂れる。
ことり「その顔だよ!」
ことり「私はその、血と汗にまみれた顔が好き!」 ことり「その顔見せて♡私に見せて♡」
ことり「もっともっと♡」
ピカッ カッ ピカッ
ことりがレーザービームを乱射する。
ドン ドン ドォン
善子「ぐ……がっ!……げっ」
ことり「カワイイ…♡」
ことり「カワイイよぉ善子ちゃん!」ピカッ
ルビィ「がんばれ!『紅降倫』!」ガシャン!
ことり「!」 ルビィ「はぁ…はぁ…」
“盾”を手に、ルビィがやっと二人の間に割り込んだ。
ことり「…『紅降倫』…それも知ってるよ」
ことり「能力はシンプルな形状変化だけ……そのぶん硬いのが売り、だよね」
ルビィ「…………」
ことり「だ・け・ど……」
善子「ガハッ!」ビグンッ
ルビィ「え……」
見ると、ルビィ自慢の盾にはあっさり穴が開いている。 ことり「言ったよね?」
ことり「『小夜啼鳥恋詩』の中では硬さなんて無力」
ことり「愛情たっぷりの私の『輝夜』は万物を貫通しちゃいます♡」
ルビィ「善子ちゃんっ!」グルッ
善子「あ………っ……」ガクガク
ルビィ「急所……は外れてる」ホ…
ことり「外したんだよ」
ルビィ「!」
ことり「なんでって?決まってるでしょ?」
ことり「死んで楽になんてさせない」
ことり「私の善子ちゃんには、もっともっと痛くて苦しくて惨めで悔しい目にあってもらうんだからね♡」 花丸「瞬閧!」
ルビィ「!」
花丸「『刀剣乱舞』!!」ズドアッ
ルビィ「花丸ちゃん!まだ無理しちゃ――」
花丸「たあっ!」ブンッ
花丸がことりの背後に飛んで、『お休南無三』を首筋めがけて振り下ろす。
ブツッ
花丸「!!」 花丸「な……」
花丸(斬りつけたこっちの刃が……欠け……)
ことり「愛情たっぷりの私の体は、敵意ばっかりの花丸ちゃんの刃を貫通する」
ことり「ルール通りだよ」
ルビィ(滅茶苦茶だ…)
花丸(こっちの理屈はまるで通じないずら!)
ことり「こうして戦えば戦うほど、みんなは私が怖くなっちゃう」
ことり「私はそんなみんなを見て、もっともっとイジメたくなっちゃう」
ことり「つまり…戦えば戦うほどみんなの愛は無くなっちゃうし、私の愛はどんどん大きくなっちゃうんだよ♡」
善子(こんな……こんな愛があってたまるか!)ワナワナ 花丸「こうなったら…」ズドアッ
ことり「!」
花丸「この鳥籠をぶっ壊すしかないずら!」ブンッ
ことり「アハ♡」
ガキイイイン…
花丸「……ッ」ジーン…
ルビィ(びくともしない…)
ことり「確かに、卍解自体を壊しちゃえば、全てが愛に左右される世界は終わる」 ことり「でも、もちろんこの卍解自体にもルールは適用される」
ことり「卍解と持ち主は一心同体……」
善子「…………ッ」
ことり「だから結局、みんなが私に愛で勝たなきゃ、鳥籠を壊すこともできないよ♡」
花丸「イカレてるずら……こんな能力…!」
善子(…そうだわ!)ハッ
善子(こんなスゴい卍解…必ず何かの制限があるハズ……)キョロキョロ
善子「!」
善子「あれは……」
てがかりを探す善子の目が、上空――鳥籠の頂点で止まる。 善子(砂時計――!時間制限だ!!)パア…
ことり「……」クスリ
善子「え…………」
一瞬晴れかけた善子の顔が、すぐにまた絶望に変わる。
善子(なんで…まだあんなに…)
善子(あれじゃ……あと……何時間…………)
ことり「にわか知識だね♡善子ちゃん♡」
ことり「こういう、持ち主自身にも能力が適用される場合は、それ自体が最大のリスクなんだから」
ことり「制限なんてないか、あってもゆるゆるだよ♡」 善子「そんな……」グスン
ことり「泣いちゃったぁ♡」ジーン
善子「だっ…誰か!!」
善子「誰か…………助けてー!!」
ことり「アハハハハハ♡」
ことり「カワイイ♡カワイイよぉ♡」
ことり「でも……それは花陽ちゃんの特権だよね」
花丸「助けてずらー!!」
ことり「残念♡無念♡ムダムダムダ♡」
ことり「この鳥籠は音も光も通さないんだから」 ルビィ「じゃ、じゃあ…どうやっても、外から助けが来ることはないの……?」
ことり「アハ♡」
ことり「ないよ」
ルビィ「誰も…………絶対に気づいてくれないの……?」
ことり「気づいてくれないよ」
ルビィ「絶対に……?」
ことり「しつこいなあ」
ことり「な・い・よ♡」
ルビィ「…そっか…」 ルビィ「ありがとう」
ことり「うん?」
ルビィ「――――がんばり狂え」
パアアアアアアアア
ことり「!?」
聞きなれぬ解号で、ルビィの『紅降倫』が紅く発光しながら孔雀のように広がる――。
ルビィ「『紅玉色降倫(ルビーいろぷりん)』」 南ことり――『皆臨好(みなりんすき)』
卍解:『小夜啼鳥恋詩』
形状:巨大な鳥籠。頂点に砂時計がついている。
能力:敵と自分を籠の中に閉じ込める。籠の中では、霊圧の大小・硬度にかかわらず、愛(相手をカワイイと思う気持ち)の強い方が弱い方を貫通する。 ことり「何……コレ……」
グルッ グルッ
ことり「!」
ギュウウウウウウ
ことり「――ッ!」
ルビィの斬魄刀――元は盾だったソレが、触手になってことりの体に絡みつく。
ことり「こんなもの……」グッ…
ルビィ「ムダですよ」 ことり「んっ…!」
キュウウウウウ
ことり(力が……吸われる……!?)
ことり「!」
ポタ…ポタ…
触手の根本――斬魄刀の持ち手の下から、何か黄色い液体が垂れる。
チュルルル…
ことり(プリン……!?)
ルビィ「そのプリンは……ことりさんの霊圧を絞って作ってます」 ルビィ「今からことりさんの霊圧を全部……プリンにして頂いちゃいます」
ことり「そんなことさせると…」グッ
ギュウウウウウウ
ことり(動けない…!)
ことり「…どうして今になってこんな技を……」
ルビィ「ルビィは……この『紅玉色降倫』を人に見せたくないんです」
ルビィ「いや……見せちゃいけないんです」
ことり「なんで――」 ルビィ「怒られるから」
ことり「…え………?」
ルビィ「前にお姉ちゃんのプリンを食べちゃった時から……」
ルビィ「お姉ちゃん……『紅玉色降倫』を見ると……すっごく怒るから……」
―
――
―――
ルビィ「がんばり狂え!『紅玉色降倫』!」キャッキャ
ダイヤ「片付けて」
ルビィ「え……」
ダイヤ「それ……見たくない」 ことり「…くっ……」
ことり「『輝夜』!」ピカッ
ボスッ…
ことり「!」
レーザービームは、『紅玉色降倫』を貫かない。
ルビィ「ムダですよ」
ルビィ「もうことりさん、ルビィのことを怖がってる」
キュウウウウウウウ
ルビィ「カワイイなんて思えなくなってる」
ことり「…………!」
ルビィ「…年季が違うんだよ」 ルビィ「ルビィはずっと!μ’sのことが大好きだった!」
ルビィ「ことりちゃんのことも、ずっとカワイイって思い続けてきた!」
ルビィ「今さらちょっぴり怖いところ見せられたって――――」
キュウウウウウウ
ことり「ぐっ……」
ルビィ「ことりさんは!カワイイ!」
キュウウウウウウウウ…
ことり「……はっ…」
ルビィ「……」
ことり「はっ……はぁ……」 ことり「こ…こんな……はぁ…」
ことり「こんな…ッ」ダラダラ
ルビィ「………………」
ルビィ「アハ♡」
ことり「――ッ」
ルビィ「苦しそうなことりさん…」
ルビィ「ルビィに負けて死んじゃうことりさん……とってもカワイイですよ♡」
パリィィィン
ことり「」ガクンッ
鳥籠が割れて消え、ことりは遂に力尽た……。 ルビィ「ふう…」
善子「やったわね…ルビィ」ヨロッ…
花丸「ルビィちゃん、すごいずら…」ヨロヨロ
花丸「でも知らなかったな…『紅降倫』が本当の始解じゃなかったなんて……」
ルビィ「うん…『紅降倫』はお姉ちゃんのために作った仮の名前なんだ」
ルビィ「この名前だと、途中までしか解放できなくて…」
ルビィ「それでも形が盾にはなるから、使いようはあるしね」
善子「…でもよく使わずに我慢してたわね」
善子「あのままだったら私たち……」
ルビィ「お姉ちゃんの嫌がる顔は、もう絶対に見たくないもん」
ルビィ「敵に負けて、死ぬことになってもね」
善子「…大した奴だわ…ホント……」 ルビィ「あっ、でも、ゴメンね!」
ルビィ「善子ちゃんや花丸ちゃんには、そんなの関係ないのに…」シュン…
善子「バカ」
善子「今更そんな遠慮のいる仲じゃないでしょ。好きにすりゃいいわ」
善子「私だって好きにやるしね」
花丸「完全に同上ずら」
ルビィ「…二人とも…ありがとう……」ニコッ…
花丸「それより……」ペロリ
ルビィ「?」
花丸「そのことりさんの霊圧で作ったプリン、食べられるずら〜?」
ルビィ「…!うんっ! 」 ルビィ「これを食べれば、傷も霊圧も一気に回復……」
プルプル…
ルビィ「ん?」
プルプルプル…
花丸「プリンが……震えて……」
善子「――ッ!」ゾクッ…
善子「違う!!」
花丸「え?」
ドドドドドドドドドドド
善子「震えてるのは……空気よ…………!」 ルビィ(まさか――)グルッ
ルビィ「!」
ことり「……」ムク…
ルビィ(まだ息があったの――!?)
ことり「…………」
ルビィ(でも…『紅玉色降倫』で搾り取ったからもう霊圧は空っぽのハズ……)
ことり「…」グニャアアアア…
ルビィ「!」 花丸「な…なんずら……!?ことりさんが…………」
ことり(?)「…ちゅんちゅん………」グニャアアアアア
花丸「変身………」
ドドドドドドドドドドドドド
ルビィ(さっきまでのことりさんじゃない……新しい霊圧が……!)
ルビィ(…この感じ………)
善子「…………ッ」ガクガク
ルビィ(まるで善子ちゃんと…“ヨハネ”ちゃんと同じ……)
???「ルビィちゃんの“始解”ごときで……“神”の遣いが殺せると思うなちゅん!!」
to be continued… 黒澤ルビィ――『紅玉色降倫(ルビーいろぷりん)』
解号:「がんばり狂え」
形状:触手。
効果:からめとった相手の霊圧を搾りつくしてプリンにする。
備考:『紅降倫』はコレに変化する途中の状態。ルビィがダイヤに怒られないように半ば無理やり抑えつけているだけ。 カッ
花丸「――ッ」ギュッ!
ルビィ「うわっ」バッ
善子「眩しッ!」
変わりゆくことりを白色の光が包む―――。
「いや〜〜〜」
「まさかこの姿まで追い詰められるとは…………」
…サア…
三人「!!」
(・8・)「思わなかったちゅんなぁ!」 善子「な………」
バサ…バサ…
(・8・)「ちゅん、ちゅん」
善子「何よ…………アレ………」
ルビィ「ことりさんが……鳥になっちゃったぁ……!」
花丸「鳥……ずらか…………アレ……」
(・8・)「知らないちゅん?」
(・8・)「この変身状態の名前は“帰刃(レズレクシオン)”」
善子「レズ……レク……」
(・8・)「失礼、“変身”は不適切だったちゅんね」 (・8・)「“戻った”…って言った方が良いちゅんかな?」
(・8・)「これこそ欲望を剥き出しにしたトッリ原初の姿ちゅん」
ルビィ「―ッ」キッ
ルビィ「『紅玉色降倫』!」バッ
パリイイイイン
ルビィ「なっ…」
伸ばした触手は、トッリの身体に触れた瞬間、割れて消えうせた。
(・8・)「残念ちゅねん」
(・8・)「もうトッリを殺せる武器はこの世にないちゅんよ」 (・8・)「トッリの身体はハノケちゅん以外の全てを拒み、貫通する」
(・8・)「そこに“ことほの”以外の入り込む余地はないちゅん」
花丸「そんな…!」
(・8・)「トッリは最初にハノケちゅんに付き従った、最初のμ’sのメンバー」
(・8・)「ハノケチュンの最高の伴侶」
(・8・)「そのトッリがAqours如きに遅れをとるなんて」カッ…
ルビィ「!!」
ルビィ(あの光は――!)
(・8・)「あってはならない事だちゅん!!」
(・8・)「鳥閃(セロ)!!」
ドォン
トッリの放った白色光線が辺りを埋め尽くした―――。 希「あ〜あ」
希「黒澤ルビィちゃん、エラいことしてくれたね」
海未「パンドラの箱を開けてくれましたね」
・音の木の海未と希。海未は窓から遠くを、希は手元の水晶を見ている。
海未「この戦争ももう終わりです」
海未「“ことほの”以外を皆殺しにするまでトッリは止まりません」
希「Aqoursちゃんの細胞1つたりともこの世に残らんやろうね」
希「花陽ちゃんが悲しむなあ」
海未「…それで済めばまだいいですが……」
海未「あの化け物…もしかするとこの町全てを更地に変えてしまいますよ」 (・8・)「………………」バサ…バサ…
し〜ん…
空から地上を見下ろすトッリ。
地面は巨大なクレーターで道路ごと抉れ、その断面は入刀されたチーズケーキのように滑らかである。
言うまでもなく、動くものは跡形もない。
(・8・)「ま、ざっとこんなもんちゅんね」
(・8・)「ハノケちゅんのところに戻るちゅん!」
バサバサバサ
(^8^)「ハノケちゅん褒めてくれるちゅんかな?」
(^8^)「いい子いい子してくれるちゅんかな!?」
ピュー… 花丸「はぁ…はぁ……」
花丸「ギリギリ…間に合ったずら……」
ルビィ「ありがとう、花丸ちゃん…」
善子「…ここは…」キョロキョロ
花丸「縛道の四十八『GALAXY HidE and SeeK』」
花丸「空のことりさんの影の中にかくれんぼしたずら」
善子「影の中に…!」
花丸「あんまり長い時間は、居られないけど…」ハァハァ
花丸「限界までここで息を潜めて、やり過ごすしかないずら」
ルビィ「うん…」 花丸「あのトッリさんは……次元が違いすぎるずら」
花丸「天地がひっくり返ってもマル達に勝てる相手じゃないずら」
ルビィ「…うん…」
ルビィ「勝ち目があるとすれば…お姉ちゃんか……曜ちゃんか……」
ルビィ「…それか…」チラッ
善子「……」
ニュルルルルルル
三人「!!」
(・8・)「困るちゅんなぁ〜〜」
花丸「な………」 (・8・)「キミたちを殺し損ねると……ハノケちゅんにいい子いい子してもらえないちゅんなぁ〜〜〜〜」ニュルルルルルル
善子「あ……あ……」ガクガク
(・8・)「“ことほの”の――“神”の遣いを欺こうとするなんて……」ニュルルルルル
(・8・)「罪深いちゅん」
花丸「な…なんで……」
(・8・)「言ったはずちゅん」
(・8・)「トッリは“ことほの”以外の万物を貫通する」
(・8・)「影の中だって―――」カッ…
善子(終わった…)
(・8・)「例外じゃないちゅん!」ブワッ… (・8・)「キミたちを殺し損ねると……ハノケちゅんにいい子いい子してもらえないちゅんなぁ〜〜〜〜」ニュルルルルルル
善子「あ……あ……」ガクガク
(・8・)「“ことほの”の――“神”の遣いを欺こうとするなんて……」ニュルルルルル
(・8・)「罪深いちゅん」
花丸「な…なんで……」
(・8・)「言ったはずちゅん」
(・8・)「トッリは“ことほの”以外の万物を貫通する」
(・8・)「影の中だって―――」カッ…
善子(終わった…)
(・8・)「例外じゃないちゅん!」ブワッ… ルビィ「瞬閧!『椎羅姦酢』!」バヒュッ!
(・8・)「!」
ガシィッ
善子「――」
ルビィが善子と花丸の手を引いて爆速で駆け出す。
(・8・)「ムダなことを…」
(・8・)「トッリから逃げられるとでも思って……」
ルビィ「花丸ちゃん!」
花丸「うん!」バッ 花丸「『GALAXY HidE and SeeK』!」
花丸「閉じろっ!」
グニンッ
(・8・)「!」
ググググ
(・8・)「“影”を閉じて……外界との境界線にトッリを挟み込んで切断する気ちゅんか!?」
ググググググググググググ
善子「……ッ」アゼン
花丸「善子ちゃん!一緒に閉めるずら!」 善子「…でも……」
善子(こんなんで倒せるの――この鳥を――)
花丸「一緒に閉めるずら!!」カッ
善子「…分かったわよ!」バッ
(・8・)「こんなので倒せるとでも……」
善子「とりゃっ!」グッ
(・8・)「ムッ!」
ルビィ「フンヌヌヌヌ」
ググググググググ
(・8・)「あれ?およ?およよのよ?」 (・8・)(動けないちゅんねえ…)
(・8・)「ちょっとタンマ……」
花丸「ちぎれろー!」
グググッ!
(・8・)「いたっ、痛い、いたた」
グググググ
(・8・)「いたたたたたたたたた」
善子「…イケ……」
(・8・)「痛いって言ってるちゅんなぁ!」カッ ブワンッ
花丸「うわっ!」ズコッ
ルビィ「ピギッ!」ズテンッ
バサ…バサ…
(・8・)「ルッビ、ズッラ…そしてヨッハ……」バサバサ
善子「だ…ダメだぁ…」ワナワナ
(・8・)「冷えてるちゅんか〜?」
(・8・)「武器では死なず、次元の出入り口で挟み込んでも首を落とせない」
ルビィ「……ッ」
(・8・)「“ことほの”は絶対」
(・8・)「“ことほの”は正義」
(・8・)「“ことほの”は永遠」
(・8・)「“ことほの”は勝利」 (・8・)「“ことほの”だけが唯一絶対の“神”なんだちゅん!」
(・8・)「全ての罪深い異物共は“ことほの”の前に死あるのみ!」
ルビィ「逃げよっ!!」
ルビィ「『椎羅姦酢』!!」バヒュッ
花丸「『刀剣乱舞』!!」ズドアッ
善子「『堕天降臨』!!」
善子「くっそおお!」ダアンッ
(・8・)「シュンコウ飛ばして“逃げ”に全力ちゅんか」ス…
ヴォン
ルビィ「――!」
(・8・)「罪深いちゅんね」 花丸(響転――)
善子(逃げられない――)
ルビィ「あっ!」ズテッ
善子「ルビィ!」
ルビィ「いたた…」
ルビィ「ハッ!」
(・8・)「ルッビ……」
花丸「ルビィちゃん!」
(・8・)「最初に消えるのは貴様ちゅん!」 善子「くっ!」ダッ
花丸「善子ちゃん!」
ルビィ「逃げて!ルビィの事は――」
善子「バカ!バカバカ!」
善子「アンタが死んじゃったら私は…」ウルウル
ルビィ「…善子ちゃん…っ」
(・8・)「ア〜ッ…“よしルビ”ちゅんなぁ〜〜〜ッ」
(・8・)「罪深い………」
(・8・)「罪深いものを見せられると…眼が乾くちゅんなあ〜〜〜」シュコシュコ
善子「来るなら来いッ!くそバード!!」 (・8・)「ん〜〜〜」シュコシュコシュコ
(・8・)「丸腰で威勢だけはいいちゅんねえ…」シュコシュコシュコ
善子「……」プルプル
(・8・)「それじゃあまあお望み通り……」ブワッ
花丸「ルビィちゃん!善子ちゃん!」
(・8・)「さようちゅんなら!」
カッ
花丸「――――ッ」
キラッ…
(・8・)「ん?」 カッ
(・8・)「うわーッ!」
(・8・)「あぶなっ」ヴォンッ
ドォン…
(・8・)「…鳥閃を……ハネ返した……!?」
「“津島善子”は……私のことを怖れていた……」
(・8・)「!」
「故に日頃から国木田花丸等に“私”の降臨を妨げるよう頼んでいた」
「愚かなことです」 「“彼女”は理解するべきだったのです」
「“私”の力は敵を血に染める為のものではなく」
「仲間を血に染めないための防御の力だったという事を」
花丸「よ…」
ルビィ「よし…イヤ、よは…」
(・8・)「おでましちゅんなぁ!」
ヨハネ「教えましょう。神の力さえ跳ね返すこの呪われた左手の名は」
ドドドドドドドドド
ヨハネ「『悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)』」
to be continued… 南ことり――『皆臨好(みなりんすき)』
帰刃:『トッリ』
形状:(・8・)
能力:”ことほの”以外万物貫通。 毎度遅くて済まぬ
多分明日…遅くとも土曜には更新します 鞠莉「ど〜こ行っちゃったんだろうね〜?」ジャラジャラ
穂乃果「…………」
・穂乃果と鞠莉。先に行くダイヤを止めるべく穂乃果の『焔饅頭』が放った爆炎は、鞠莉の介入で不意に消えたのだった。
鞠莉「ホノカの…ホノオ?」テヘペロ
穂乃果「鞠莉さんの仕業、ですね…」
穂乃果「どうやったんですか?」
鞠莉「素直に言うと思う?」
鞠莉「もう一回打ち込めば、分かるか〜も、よ♪」 穂乃果「…」
穂乃果「それもそっか……」ス…
メラメラ
穂乃果「じゃあ遠慮なくいきますっ!」
穂乃果「『焔饅頭』…」ブンッ…
鞠鞠「――って…素直にやらせると思う?」クルクルクル
穂乃果「!」
鞠鞠「『金属宿』」ピシッ
ボオオッ
穂乃果「!?」
穂乃果「鞠莉さんの剣先から炎が――」 鞠鞠「返しマ〜ス!」
穂乃果「くっ!」ブンッ
ボワアッ…
両者から放たれた爆炎は相殺して消えた……。
穂乃果「…ナルホド…」
穂乃果「刃に一旦敵の技を吸い込んで返す能力…」
鞠莉「イェス…」
穂乃果「でもそれだけじゃない」
穂乃果「そのジャラジャラついてる五つの鍵で、返す技の速さや力を狂わせてる」
穂乃果「相手が躱すタイミングを逃すようにほんの少しだけ――」 鞠鞠「オ〜!ワンダフォー!」
鞠鞠「一回でそこまでバレるとは思わなかったわ」
穂乃果「明るいキャラの割に……すごく性格の悪い能力ですね」
鞠莉「お泊り頂いたお客様に、来た時よりプラスの状態で帰って頂く」
鞠莉「一流のホテルとはそういうものよ」
穂乃果「屁理屈ばっかり…」
穂乃果「…まあでも…鞠莉さんの能力が、理屈もなんにもなくただ反射する能力じゃなくてよかった…」
穂乃果「一度吸収するからには、吸収限界があるはずだもんね」ス…
ボオオオオオオオ
穂乃果「同じ場所に、一振りで千発も炎を撃ち込めば返せませんよね?」
鞠鞠「……!」
穂乃果「『焔饅頭・二ツ目……』」 小原鞠莉――『金属宿(ヘヴィホテル)』
解号:「ブチ上げろ」
形状:金色のレイピア。ホテルのマスターキーのようにジャラジャラと鎖と鍵がついてる。
能力:相手の技を一度吸収し、任意のタイミングで返す。 (・8・)「…待ってたちゅんよ……」
・トッリと堕天使とルビィと花丸。
(・8・)「ヨッハも帰刃ができることは既に知っていたちゅん」
(・8・)「ただ…」
ヨハネ「…………」ギラギラ
ヨハネの左腕――『悪魔の左腕』は黒色の輝きを放っている。
(・8・)「ソイツは知らないちゅんなぁ〜?」
(・8・)「“神”の力をハネ返すだってぇ〜〜〜?」
ヨハネ「ハイ」 (・8・)「自惚れるなちゅん!」
(・8・)「一介の堕天使風情が“ことほの”の……“神”の力をハネ返すなんて…」
ヨハネ「貴方達でしょう?この力を私に与えたのは……」
ヨハネ「貴方達神々の罪でしょう?」
(・8・)「…ンン〜…言ってる意味はまるで解らないけど…」
(・8・)「“神”と呼ばれるのは悪い気がしないちゅんねえ…」
ヨハネ「私の美しさに嫉妬して天上から追放したその醜い罪を…」
ヴォンッ
(・8・)「!」
(・8・)「響転!」
ヨハネ「今ここで償うのです」ボッ… (・8・)「その腕でトッリをブン殴るちゅんか!?」
(・8・)「いいちゅんよ!殴ってみろちゅん!」
(・8・)「トッリを殴れるのはハノケちゅんだけ……」
ヨハネ「殴る…?神というものは随分と平和ボケしているのですね」
ヨハネ「この腕で貴方を殺すのですよ」
カッ…
(・8・)「!」
ヨハネ「堕天閃(セロ)」
ドォン
ルビィ「やった!」
花丸「どうずら!?」 (・8・)「フンッ!」バサアッ
ルビィ「!」
白色光線の余韻――砂煙の中からトッリが上に飛び出す。
花丸「きっ…効いてないずら!」
(・8・)「何度も言わせるなっちゅんなぁ!」
(・8・)「トッリの身体が受け付けるのはハノケちゅんだけ!」
(・8・)「それ以外の攻撃は――イヤ攻撃でなくとも!」
(・8・)「万物を貫通するんだちゅん!!」
ヨハネ「……」タンッ… (・8・)「その身に浴びて思い知れ!」バサバサ
(・8・)「これが天上天下唯一至高の“ことほの”―――」
ブワッ
ルビィ「おっ…大きすぎる!」
花丸「この町ごと消す気ずらか!?」
(・8・)「鳥閃!!」
カッ…
ヨハネ「何度も言わせないで下さい――」ギラン
(・8・)「!」 ヨハネ「私の『悪魔の左腕』は……“神”の力をハネ返す」
カアアッ
(・8・)「うわああああああ」
ドォン……
ヨハネ「威力や種類の問題ではないのです…」
ヨハネ「“神”の力に則る限り……全ての技はこの“悪魔”の力の前に問題にならない」
ヨハネ「ちょうど“人間”が“神”に勝てないのと同じように――」
(・8・)「…グフッ…」パラパラ…
(・8・)「解った……解ったちゅんよぉ〜…」
ニュルルルルル…
ルビィ「なっ…」
花丸「なんずらぁ!?」 (・8・)「“ことほの”の覇権の為――貴様はどんな“手”を使っても殺すちゅん!!」バン
ルビィ「う…腕が生えた……」
ルビィ「鳥なのに…!」
花丸「鳥……ずらか……??」
(・8・)「“神”の遣いに二度目の油断はないちゅん!」
ヴォン
ヨハネ「!」
グルグルンッ
花丸「あれは!」
ルビィ「“乱装天傀”!」 ギュウウウウウ
ヨハネ「――!」
トッリの紡ぐ霊子の糸でヨハネが縛られる。
(・8・)「思った通り――」
(・8・)「“神”の……“ことほの”の力はハネ返せても、一スクールアイドル南ことりの力は防げないみたいちゅんなぁ!」
ギュウウウウウウ
ルビィ「マズい!アレじゃ『悪魔の左腕』が使えないよ!」
(・8・)「このままジワジワ首を絞めて殺してもいいちゅんけど……」
(・8・)「トッリはことりちゃんと違って優しいちゅんからねぇ…」
ブワッ (・8・)「頭から“ことほの”の力を浴びせて一瞬で消してやるちゅん」
ルビィ「ヨハ…」
花丸「善子ちゃん!!」
ヨハネ「…『気配が消えた…?』」
(・8・)「…ハァ〜?」
ヨハネ「『私の呼吸が』」
ルビィ花丸「!」
ヨハネ「『荒く激しく辿る手がかり』」
ズズズズ
(・8・)「!」 ヨハネ「縛道の九十四」
ヨハネ「『Daydream Warrior』」
ズズズズズズズズズ
(・8・)「黒い扉が…」
(・8・)「…ああ〜!」
(・8・)「思い出したちゅん!たしか、にこちゃんとの戦いの時、一瞬使ってたちゅんねえ」
(・8・)「結局効果はワカらずじまいちゅんけど……」
ギイ…
(・8・)「今更こんなものに怯えると思うちゅんか?」
(・8・)「九十番台だろうと所詮は人間の“歌道”!」
(・8・)「鬼が出ようと蛇が出ようと、このトッリを殺せるものは存在しないちゅん!」 ヨハネ「…そうでしょうか」
ドドドドドド
(・8・)「!」
ヨハネ「この世に一人だけ…いるのでしょう?」
ヨハネ「貴方を倒せる人間が…」
ドドドドドドドドドドドドドド
(・8・)「こっ、この霊圧は……!」
ギイイイイイ…
(・8・)「扉の向こうにいるのは――まさかッ!」 (・8・)「ほっ」
バタンッ
穂乃果「……」ズ…
(^8^)「ハノケちゅん!!」
ピューッ!
穂乃果「…………」
(^8^)「トッリの為に来てくれたちゅん!」
(^8^)「今トッリはあの悪いヨッハたちにいじめられて…とっても怖かったちゅん!」
(^8^)「良い子良い子してほしいちゅん!してくれればまた戦えるちゅん!」スリスリ 穂乃果「え、ちょっとやだ、何さわってるのっ?!」
(・8・)「!?」
穂乃果「っていうかアナタ誰ですか!?」
(・8・)「!!?」
(・8・)「じょっ…冗談キツイちゅんハノケちゅん!」
(・8・)「トッリはハノケちゅんの恋人の南ことり……」
穂乃果「ことりちゃんはそんな変な顔してません!」
(・8・)「!!!???」
穂乃果「…っていうか恋人でもないし……」 (・8・)「なっ何を言ってるちゅん!?」
(・8・)「ウッミでもエッリでもツッバでもユッキでもない!!」
(・8・)「ハノケちゅんはトッリのことが世界で一番好きで……」
穂乃果「始まれ」ボオオオッ
(・8・)「!!」ビクッ
穂乃果「『焔饅頭』……」メラメラ
(・8・)「ひえ〜〜〜〜っ」
ヨハネ「…どうしてあなたが敵なのか?」
ヨハネ「現実なのか?悪い夢なのか?」 穂乃果「たああっ」ブンッ
ボオオオオオオオオ
(・8・)「あづー!!」
(・8・)「熱いちゅん!熱いちゅんハノケちゅん!死ぬちゅん!」
穂乃果「『二ツ目』…」
穂乃果「『炎熱地獄』」」ボメラアアアアアアアアア
(・8・)「ハノケちゅんったら〜!」ボオオオオ
ヨハネ「きっと誰にもわからない……私にも…扉をくぐる者にも……」
ヨハネ「それが縛道の九十四、『Daydream Warrior』」
(・8・)「ヨッハ!キサマァー!!」ボオオオ
(・8・)「このトッリを、ハノケちゅんに倒させようなんて――」
穂乃果「トドメっ!」ブンッ 斬ッ
(・8・)「――――」
ボオオオオオオオオオ…
(・8・)「…………………………」
(・8・)「…あア〜ッ…………」
穂乃果「……」メラメラ…
(^8^)「罪深いちゅん」
パリィィィィン (^8^)「やっぱり、“ことほの”なんだよちゅんなあ…」パラパラ…
良いながら、トッリは粉々に散体して地上に降り注ぐ。
ス…
ことり「」
入れ替わるように、どこからともなく、気を失っている人間――南ことりが現れた。
ヨハネ「……」クラッ…
花丸「善子ちゃん!」
ドサッ
同じくヨハネも、力尽きたようにその場に倒れこんだ。 善子「ハッ!」ガバッ
善子「アレ、私、また……」
ルビィ「うん…」
善子「…迷惑かけたわね」シュン…
花丸「何言ってるずら!」
花丸「マルもルビィちゃんも、善子ちゃんのおかげで助けられたずら!」
ルビィ「うん!」
ルビィ「ありがとう!善子ちゃん!」ニコッ
善子「……」
善子「ヨハネ、だってば…」 津島善子――(斬魄刀解放:未習得)
帰刃:『堕天使ヨハネ』
形状:漆黒のゴスロリ、漆黒の翼、漆黒の輪っか。
能力:『悪魔の左腕』…“神”の力をハネ返す。 鞠莉「…ええと…」パチクリ
ポツーン…
鞠莉「ホ・ノ・カ、ちゃ〜ん……」
し〜ん…
鞠莉「…………………………」
鞠莉「what?」
to be continued… ドドドドド…
善子「…遠くの方のこの霊圧は……」
花丸「真姫さんずら」
ルビィ「うぅ…今は誰と戦ってるんだろう……」
善子「…大丈夫よ」
善子「曜も千歌も三年生も、私たちよりずっと強いんだから!」
ルビィ「…うん!」
花丸「みんななら、必ず…」
穂乃果「疲れた〜!」ズチャ…
三人「!!?」ビクッ 穂乃果「…あれ?私今まで何してたんだっけ……?」
穂乃果「…思い出せないけど…とにかく疲れた〜〜〜!」ノビーッ
花丸「よ、善子ちゃん!」ヒソヒソ
ルビィ「あの穂乃果さん、なんでまだいるの!?」ヒソヒソ
善子「知らないわよ!私に聞かれても!」ヒソヒソ
花丸「“歌道”はとっくに終わってるのに!」ヒソヒソ
ルビィ「まさか、本物を呼んじゃったの!?」ヒソヒソ
善子「知らないってば!」ヒソヒソ 「穂乃果!!!」
穂乃果「わっ!?」
三人「!!」
海未「何やっているんですかッ!!」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「貴方という人は……」ズカズカ
海未「あの程度の“歌道”にまんまとハマって敵にいいように使われるなど言語道断です!」
海未「そもそも貴方は乗せられやすいんですから、その手の対策は怠らないようにいつも言っているでしょう!?」
穂乃果「う…海未ちゃん…なんの話して…」
海未「貴方が大馬鹿だという話です!」 海未「大体貴方はいつもいつも…」
希「まあまあ海未ちゃん」シュンッッッ
海未「!」
希「その辺にしとき?」
穂乃果「希ちゃん!」
海未「希…!なぜ貴方までここに……!」
海未「あとのことは私一人で十分だと、さっき貴方も…」
希「それがね…ちょっと緊急事態なんよ」
海未「緊急…」
穂乃果「じたい?」
希「二人とも、ウチと一緒に来て」
希「戻るよ、音の木まで」 高坂穂乃果――『焔饅頭(ほむらまんじゅう)』
解号:「始まれ」
形状:刀身が爆炎の刀。
能力:万象一切灰燼と為す。 千歌「ハァ…ハァ……」
真姫「…常々花陽から聞いてはいたけど」
真姫「諦めの悪さは筋金入りね」
千歌「くっ…」
真姫「まだわからないの?」
真姫「貴女の剣じゃ私の身体は…」
曜「『葬波砲射』!」
ドオッ
水鉄砲が横から真姫に直撃する。
曜「…………」 曜「!」
真姫「貴女も」ズブ…
全身濡れてこそいるが、真姫は当然のようにその場に立っている。
真姫「今の貴女の能力じゃ…私にダメージは与えられない」
真姫「もう一度言うわ。今の能力じゃね」
曜「…………」
真姫「連発は少々身体に堪えるでしょうけど…四の五の言ってられないでしょ」
真姫「出しなさいよ。さっきのあの、花陽を倒してみせた」
千歌「くっ…」ヌグッ…
真姫「卍解を……!」 曜「……」
曜「それしかないか……」ス…
千歌「待った!」
曜「!」
真姫「……」クルクル
千歌「待って曜ちゃん…曜ちゃんが卍解を使うような相手じゃないよ…」
千歌「真姫ちゃんごとき…」
真姫「ごとき!?」イラッ
真姫「貴女に言われたくな…」
千歌「待ってたんだよ!」 真姫「…ハァ?」
真姫「何を」
千歌「……」スッ…
千歌がまっすぐ手を挙げて空を指差す。
千歌「太陽」
真姫(…いつの間にか雲が……)
真姫(穂乃果の『焔饅頭』ね)
千歌「この天気!この時間!この角度!」
千歌「“輝き”が一番集まる…………」
ドドドドドドドドドド
真姫「!」 千歌「くらって驚け!私の最大・最速・最強の技―――」
キラキラキラキラ
真姫「!」
真姫「大きい…」
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』!!」ブンッ
真姫「くうっ!」バッ
キラアアアアアアアアアアア
放たれた輝きが、この日初めて身構えた真姫にブチ当たった―――。 高海千歌―『金毘加』
解号:「輝け」
形状:普通の刀(輝いてる)。
能力:輝く。 千歌「ハァ……ハァ……」
曜「……」
曜「……………ッ」
千歌「ハァ…ハァ………ハァ…」
サアア…
千歌「……………ハア…ッ」ギリ…
真姫「ふぅ…」パッパ
真姫「何よ…ただのこけおどしね」
千歌「効いてるパターンだろこれぇ!!」
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』でもダメなのか!!」 曜(万事休すだね……!)
曜(やるしかない!)
真姫「……」クルクル
曜「卍か――」
「うっわあ…ほんとスゴいな、この霊圧」
曜「!」ピタッ
真姫「!」
千歌「!」
「やっぱり来てよかった…」ザッ…
真姫「…貴女は……」
果南「Aqours三年、松浦果南」
果南「ここは私が相手になるよ、真姫ちゃん」ニコッ 千歌「果南ちゃん……」
曜「なんで…」
果南「いくら私が不器用でも、こんな霊圧を感知できないワケないでしょ」
果南「うわっ、ほんと、どうなってんのコレ。クラクラするよ」
真姫「…いつか花陽から聞いたことがあるわ…」
真姫「松浦果南……戦闘力でいえば貴女と曜がAqoursの中でもツートップって言ってたけど」
曜「……」
真姫「その曜がこの程度じゃね……」
真姫「程度が知れるわ」
果南「どうだろうね。曜は甘すぎるから……」
果南「でも、確かに私の方が、あなたとの相性はよさそう…かなん?」 果南「だから…真姫ちゃんも気を抜かないで…」
果南「ちゃんと私を楽しませてよね…」ニイ…
真姫「…上からもの言ってくれるわね」
真姫「気に入らないわ」
果南「いくよ」
ス…
果南が無造作にラブライブレードを抜いてその動作のまま振りかぶる。
真姫「…ちょっと…“解放”ぐらいしてから…」
果南「えいっ」ブンッ… 斬ッッッ
ブッシャアアアアアアアアアア
真姫「……………………え…?」
果南「あーあ」
果南「だから気を抜くなって言ったのに」
シャアアアアアアアア…
真姫「…………ッ…」グラ…
ドシャアッ
果南「つまんない幕引きだね」 果南「μ’sっていってもこんなもんか」
果南「はあ」ガックシ
千歌「…流石……」
果南「曜が悪いよ!」グルッ
曜「ええっ!?」
果南「曜を苦戦させるなんて、どんなに強いのかと思って期待したのに!」
曜「そう言われても…」
果南「一振りでおしまいって!ねえ!一振りでおしまいって!」ユッサユッサ
曜「私に当たらないでよ〜!」 「誰が…」
三人「!」
真姫「誰が……終わ…」ムズ…
果南「オ〜…」
千歌「スゴい…生きてたんだ……」
曜「…よかった…」ホッ
千歌「ムッ!」ギロッ
曜「あっ、いやいや!今のは…」ブンブン 果南「よかったね。誰かさんと違って、私は手加減なんてしてない」
果南「生き残ったのはあなたの運だよ」
真姫「…………」
果南「せっかく拾った命…死に急ぐことはないと思うけど?」
真姫「…ことごとく…………」
真姫「癇に障るわ!!」ドッ
果南「!」
真姫「繰り返せ」バッ
ドッ
真姫「『勝三時計(かつさんどけい)』」チャリン… ドドドドドドドドドドドドドドド
弱弱しかった真姫の霊圧が復活し、さらにまた一段とハネ上がる――。
千歌「ぐっ!」ガクンッ
曜「千歌ちゃん!」
千歌(もう……立ってられない…………!)
果南「青天井…霊圧はほんとにスゴいね」キョロキョロ
果南「でも問題は……」チラッ
果南「!」
真姫「問題は…………何?」スクッ… 曜(傷が…きれいサッパリ……!)
千歌(嘘でしょ…!?果南ちゃんが斬った傷だよ!?)
真姫「私の始解…『勝三時計』の能力は、“時間の操作”」
曜千歌「!!」
真姫「今のはわかりやすく、私の身体に対して、“まき戻し”させてもらったわ……」
千歌「何……ソレ……」
果南「…………」
真姫「終わらないパーティー………始めましょ」 西木野真姫――『勝三時計(かつさんどけい)』
解号:「繰り返せ」
形状:懐中時計。
能力:指定した対象の、時間の流れを自由に変える。 曜ちゃん周りの評価の割に苦戦しまくりだなぁと思ってたけど相当手加減?してたのね 絵里「説明してもらえるかしら?」
海未「…馬鹿な……」
穂乃果「…これって…」
ドドドドドドド
海未「『恋宮殿』が…ブチ破られています……」
絵里「それで?」
ドドドドドドドドドドドドド
海未「逃げられました……!梨子に…………!!」
to be continued… 絵里「………………」
絵里「海未」
海未「…はい?」
絵里「私は分かるように説明してと言ったのよ」
海未「…ですから…」
絵里「見れば分かることをわざわざ言葉に変える不必要な作業を“説明”とは言わないでしょう?」
絵里「それはかしこくないことよ」
海未「…………」
絵里「桜内梨子の担当はあなたに一任していたわよね?」
絵里「私の最も信用する―――いや」
絵里「信用していたあなたに」
海未「……………………」 希「まあまあまあまあ」
希「海未ちゃん、『恋宮殿』は確かに成功したん?」
海未「…ハイ、間違いありません」
海未「詠唱破棄で撃ちましたが、術自体は確実に…」
希「九十番台詠唱破棄!」
希「怖いなァ、いつの間にそんなことできるようになったん?」
絵里「できてないからこうなったのよ」
海未「………」ジト…
絵里「九十番台が完全に成功したなら、梨子程度に脱出できる術はないわ」
絵里「それはあなた自身が一番よくわかっているハズでしょう?」
海未「…それはどうでしょうか……」
穂乃果「え?」 海未「恐らく…梨子は帰刃(レズレクシオン)を習得しています」
海未「それも恐らくトッリ級の…」
絵里「笑わせないで」
絵里「帰刃なんて邪道な技、できようができまいがなんでもいいのよ」
絵里「トッリ級だったらなんだっていうの?」
絵里「海未…あなたは仮にもそのトッリ込みのことりより上の数字を与えられているのよ」
絵里「これ以上私を失望させないでほしいわね」
海未「………」ギリ…
穂乃果「そういえば、ことりちゃんは?」
穂乃果「真姫ちゃんは今、霊圧バリバリで戦ってるみたいだけど…」キョロキョロ
海未「…」ハア
希「“説明”……してあげて、海未ちゃん」 園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。 ドドドドドドドド…
真姫「…………」スクッ…
千歌「時を……まき戻した……だって!?」
千歌「そんな…そんなの……」
果南「イイね〜!」
千歌「!」
果南「よくわからないけど、要は何度でも戦いが楽しめるってことでしょ?」
真姫「……」
果南「いや、イイ!イイよ真姫ちゃん!」 真姫「悪いけど…全然違うわね」
果南「え?違うの?」
真姫「私のこの霊圧で何も感じないの?」
ドドドドドドドドドド
曜「――!」
ゴゴゴゴゴ…
曜「地震!?」
千歌「あわわわわわ」ガクガク
真姫「……」ドドドドドドドト
曜「まっ、まさか…」 ドドドドドドドドド
曜「真姫ちゃんの霊圧が!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
曜「世界を揺らしているのかッ!!」
果南「う〜ん、痺れる〜♪」
真姫「こんな霊圧で固めた私の鋼皮に、貴女のちっぽけな刃が通ると思う?」
真姫「戦いはもう終わっているのよ」
果南「それはやってみなきゃ…」ス…
果南「わかんないでしょ!」ブンッ ガキイイン!
果南「オッ!」
ギリギリ…
千歌「うわ…」
曜「ウッソでしょ…」
果南「おおぉ〜…」
果南「ほんとに斬れない」ギリギリ…
バキイイイイン
果南「あ」 ギャリンッ…
千歌「なっ…」
曜「―ッ」
果南「折れちゃった」
真姫「次」
果南「!」
真姫「こっちの番よ」ブンッ…
曜(素手!)
ボゴオッ 果南「……ッ」グ…
果南「ぺっ!」
ベチャッ…
千歌「か…か…ッ」
曜「果南ちゃんが……出血した……ッ!」
真姫「やってみて、分かった?」
真姫「貴女は刀を以ってしても、もう私に傷1つつけられない」
真姫「その刀も二度と使えないけど」
果南「……」
真姫「一方の私は拳1つで…」 果南「ソレ」
真姫「え?」
果南「ふつーに殴るって…アリなんだ……」
真姫「当然でしょ!」
真姫「スクールアイドルの基本は“斬拳踊歌” !そのうちの“拳”を使って何が――」
果南「よし!」
果南「じゃあ、私もそのスタイルでいこう」グッ
真姫「…ハァ?」
果南「いや〜私も本当は斬り合いより殴り合いのほうが好きなんだけどね?」
果南「ダイヤとか鞠莉のお母さんがさ、はしたないってうるさいんだよ…」 真姫「…別にいいけど」クルクル
真姫「それが私に効くとでも…」
果南「だ〜か〜ら〜」スッ…
果南「やってみないとわからないでしょ!」ブンッ
ゴッ
真姫「ぐふっ!」
真姫(お…重い!)
真姫「くっ…」ヨロッ…
千歌「効いた!」
真姫「―ッ!」グッ 真姫「誰が!」ブンッ
ボガッ
果南「うッ!」
真姫「ハァ…ハァ…」
果南「効…くなぁ〜」ヌグッ…
曜「果南ちゃんのパンチを受けて即反撃って…」
千歌「ありえないでしょ…」 果南「…この…」グッ…
果南「やったな!」ブンッ
メギョッ
真姫「ッハアッ!」
真姫「…しつこいっ!」ブンッ
ガキイッ
果南「ぐッ!」
果南「…まだまだっ!」ブンッ
グワシイッ
真姫「ウホッ!」
曜「に…人間の戦いじゃない…!」
千歌「うん…まるでゴリラ同士の喧嘩だ……!」 真姫「誰がゴリラよッ」バッ
果南「!」
真姫「そっちはどうだか知らないけど、私は違う」
真姫「こんな風に、道具だって使えるのよ!」チャリンッ
千歌「かしこーい!」
真姫「『勝三時計』!」
カッ
千歌「な…何だ〜!?」
ググググッ
曜「真姫ちゃんの身体が大きくなってる!?」 真姫「どう!私の『勝三時計』はこんな事もできるのよ!!」ゴリゴリ
真姫「私がハードトレーニングを続けた10年後の肉体を前借りした!!」
真姫「霊圧だってこの通り!!」
ドドドドドドドドドドドッ
千歌「わー!」
曜「まずい!」
曜「『千年水牢・守護胎』!」ブワアアンッ
水の壁が曜千歌を包む。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
千歌「ひいっ」
バキバキバキバキ バラバラバラ ガガガガガ ドオオオン 曜「木も家も道路も…霊圧だけで押し潰されていく……!」
千歌「……ッ」
千歌(この水の中で護られていなかったら…私も……!)
果南「…スゴいな…」
真姫「流石の貴女も、あまりの霊圧に圧倒されてるって感じね」
真姫「無理もないわ。寧ろまだ貴女の身体が原型を保っていることを……」
果南「これなら全力で戦っても良さそうだね!」ビリビリイッ
真姫「ヴェエッ!?」
曜「制服を!」
千歌「破り捨てた!?」 真姫「―って!」
果南「ふう…」
真姫「ビックリさせないでよ!」
真姫「ちゃんと下に着てるじゃない。ダイビングスーツ…」
千歌「な〜んだ」ホッ…
曜「せ、制服……」ウルウル
果南「ごめんごめん、別におどかす気はなかったんだけど……」
果南「じゃあ、今度は最初に言っとくね」
果南「この下…まだ水着、あるから」バッ
ボインッ
曜千歌「こぼれたッッ!」 果南「うるさいなあ…」ヌギヌギ
果南がダイビングスーツを脱いでその水着になる……。
真姫「………………」
真姫「……!」
ドドドドドッ…
真姫「…なっ…」
果南「いつ以来かな…これを外すのは……」ヌギヌギ
ドドドドドドドドドド
真姫「なに…」 果南「よし、と…」ドドドドドドドドドドドドドドド
真姫「何よこれは!?」
千歌「果南ちゃんの霊圧が…何倍…何十倍にも……」
曜「イヤ…何百倍だね」
果南「このスーツは小原家に作らせたシロモノでね」スッ…
ニュルニュル
千歌「うわっ、気持ち悪…」
曜「スーツの内側に…触手みたいなものが……」
果南「私の霊圧を無限に吸収する化け物だよ」ポイッ
果南「こうでもしなきゃ、私とまともに戦える子なんて普通いないからね…」 真姫「…それが……ッ」
真姫「どうしたっていうのよ!」ブンッ
果南「あ、それと――」
パシッ
真姫「!」
真姫の拳を、果南は初めて掌で受け止めた。
果南「殴り合いも良いけど、私が一番得意なのは組み技(グラップル)なんだよね……」グググ…
真姫「………ッ」 果南「さあ!ここからが…」
もげっ
果南「あっ」
真姫「――ッ!」
ブッシャアアアアアアアアア
曜「ま…真姫ちゃんの……ッ」
千歌「腕が…」
果南「取れちゃった」テヘペロ
真姫「とらないで!」
to be continued… 真姫「…『勝三時計』…」チャリン…
スウウウ…
時がまき戻り、もげた真姫の腕は無事くっついた。
曜「よかった…」
千歌「……」ジト…
果南「いや〜、よかったよかった」
果南「おかしな話だけど、な〜んか悪いことしたな〜って気になっちゃったもん」
真姫「……」ムス… 果南「…でも、10年後の肉体?だっけ?」
果南「終わっちゃったね」
真姫「…………」
果南「大丈夫?真姫ちゃん」
果南「まだやれる?」
真姫「――ッ」
真姫「当然でしょ!」
果南「そうこなくっちゃ」ニヤリ
真姫「…………」
真姫(気にいらない…)
真姫(…揃いも揃って…) 真姫(この私を上から見下ろすその感じ……)
曜「……」
果南「再開…」ザッザッ…
真姫(全く……気に入らないわ…………!)グッ…
―
――
―――
凛「真姫ちゃん、またにこちゃんと喧嘩してたねー」
真姫「別に、喧嘩っていう程じゃないわよ」
・まきりんぱな。在りし日の帰り道。
真姫「ただ意見の相違があったから、ぶつかってみただけ」 真姫「グループの成長の為には絶対必要なことよ」
花陽「そうだね」
花陽「でも、私は真姫ちゃんほどハッキリは自分の意見を言えないから…真姫ちゃんは本当にスゴイと思う」
凛「凛もそういうの苦手だなー」
花陽「どうしたら真姫ちゃんみたいになれるのかな…?」
真姫「……別に」
真姫「なる必要があるとは思わないけど」
真姫「私は…………」
凛「……」
真姫「………………」
花陽「…私、は……?」 真姫「気に入らないのよ」
凛花陽「え?」
真姫「学校で、上級生が下級生の上に立つのが」
凛花陽「…………」
真姫「それだけよ」プイッ
―――
――
―
真姫「ハァ……ハァ…ハァ…」
果南「粘るね…」
果南「とうっ!」ブンッ
ボゴオッ
真姫「ぐうッ!」 真姫「………ッ」ヨロロ…
千歌「よし!もう完全に果南ちゃんのペースだ!」
千歌「勝てる!」
曜「……真姫ちゃん…」
真姫(気に入らない…………)
果南「次で終わりかな…」
真姫「気に入らないのよ!!」ドオッ
曜千歌「!!」
果南「おっ」 真姫「卍解!!」バッ
ドオオオオッ
曜千歌「!」
ゴゴゴゴゴ…
真姫の背後―――大地を割って、人間大のメトロノームが出現する。
果南「そっか、まだそれがあったね」
果南「卍解…」
真姫「『勝三時計2式巻巻(かつさんどけいにしきのまきまき)』」 果南「スクールアイドルの最終奥義、卍解…………」
果南「曜はともかく、鞠莉やダイヤでも出来るんだもん」
果南「そりゃ真姫ちゃんもできるよね」
真姫「…………」
果南「どんな能力なのかな?」
真姫「…能力は……使わない」
果南「え?」
真姫「私の卍解は始解と同じで、直接、戦闘の武器にはならない…」
真姫「そのぶんとびっきりの能力を持っているけど…」
真姫「とにかく、その能力は使わない!」
真姫「私が頼みにするのはこの―――膨れ上がった霊圧だけ!!」ドオオオオッ 曜「ッ!!」
ドドドドドドドドドドドドドド
千歌「あ…あ……っ」ガクガク
バリイイイイン
曜「!!」
千歌「なっ…」
バリイイン バリイイイン
千歌「空が…ガラスみたいに割れてく……」 曜「“空”じゃない」
曜「“空間”が……」
バリイイイン バリィィン バリィィィン…
曜「余りの霊圧に、次元そのものが崩壊してるんだ……!」
千歌「…そんな……ッ」
バシャッ…
曜「…………ッ」ブルッ…
バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャッ
曜(限界か……この『守護胎』も……ッ)ブルブル
曜「果南ちゃん!」 果南「…オッケー…」ザッ…
真姫「……………」
果南「終わらせるよ」
真姫「こっちのセリフよ…!」
果南「来なよ」
果南「真姫ちゃんの全力、受け止めてあげる」
真姫「…この霊圧を見て、まだ……」
ドドドドドドドドドドドドドド
果南「ほら、早く」
真姫「そういうところが気に入らないのよ!」ブンッ グワキインッ
真姫「―!」
果南「……」グ…
真姫「…………ッ」
果南「……知ってる?」
ハグウッ
真姫「ッ!」
真姫(捕まっ――)
果南「ハグっていうのは、片手で抱くより両手で抱くほうが強いんだって」 真姫「ハァ!?」
真姫「そんなの当たり前――」
果南「知らないでしょ?」
果南「どれぐらいスゴいのか…」グ…
ミシ…
真姫「……!」
果南「お休み」
めぎょッッ
真姫「――――」ユラ…
ドシャアッ 真姫「」
果南「楽しかったよ、真姫ちゃん」ニカッ
穂乃果「…真姫ちゃん……」
海未「全く…ッ」グッ…
海未「その狂いに狂った霊圧は飾りですか……!」
絵里「…あなたは人を責められる立場じゃないでしょう?」
希「…いよいよ…残りはこの四人だけやね……」
希「どうする?梨子ちゃんの逃走でちょっと状況が変わったけど…」
絵里「…勢いに乗る敵さんを甘んじて待つのもつまらないわね」
海未「だったらどうします?」
絵里「がら空きの“城”を落としましょう」 絵里「希」
絵里「『純愛レンズ』でAqoursとつなげて。向こうにもわかるように」
希「八人みんなとでいい?」
絵里「面倒だからそれでいいわ」
希「りょーかい」
絵里「穂乃果は結界を」
穂乃果「『ORION』だね!」
海未「歌道なら私が……」ス…
絵里「遠慮しておくわ」
絵里「また破られたら敵わないもの」
海未「…………」 穂乃果「いくよ…」ブウン…
穂乃果「『冬の星座よ私に』」
穂乃果「『ちからをください』」
シュインシュインシュインシュイン…
果南「!」
千歌「なに!?」
曜「星……が……町の周りを……」
穂乃果「『出口のないオリオン座へあなたを誘って』」
穂乃果「『ふたりきりの夜空で恋を確かめたい』」
穂乃果「『ほかに誰が必要なの?』」 穂乃果「『私以外は』――」
シュインシュインシュインシュイン…
ルビィ「これって…」
善子「ラグナロク!」ギランッ
花丸「違うずら」
穂乃果「縛道の九十七――――」
ギャイイイイイン
Aqours「!!」
穂乃果「『NO EXIT ORION』」 穂乃果「また疲れた〜!」ヘター
絵里「ご苦労様」
海未「ふむ…成功ですね」
鞠莉「ちょっと、コレ、どういう…」
ギャイイイイン…
鞠莉「出られない!?」
鞠莉「もしかして、閉じ込められた!?」
ダイヤ「縛道をかけられましたわ…」
ダイヤ「この町全体に………!!」
鞠莉「ハァ!?」
「少し違うわね」ブウン…
ダイヤ鞠莉「!」 絵里「始めましてね、Aqours」
絵里「絵里です」
鞠莉「これは…映像通信!?」
ダイヤ「…エリーチカ…」
絵里「おかしいとは思わなかったの?」
絵里「通行人1人いない――」
絵里「私達が大暴れしているのに、騒ぎも起きないこの“町”に」
ダイヤ「…………」
絵里「この町はあなた達を迎えるために予め音の木の座標に設置した作り物の町」
絵里「端的に言えばレプリカよ」
鞠莉「な……」
絵里「そして今、このレプリカはあなた達を閉じ込めることで役割を完遂する……」 絵里「わかるかしら?」
絵里「あなたたちのこれまでの戦い全てが、この為の隙となったのよ」
ダイヤ「エリーチカ!!」
ダイヤ「梨子さんはどこです!?私たちの大切な仲間を――」
絵里「こちらが聞きたいわ」
絵里「それが分からないから、あなた達にお願いしようと思って」
ダイヤ「…は……?」
絵里「梨子にも伝えてもらえる?」
絵里「私たち四人は今から、内浦に侵攻する」
Aqours「!!」 曜「な……」
千歌「何を………」
絵里「学校も護れなかったあなた達に、果たして内浦が護れるのか……」
絵里「見物だわ…」プツ…
千歌「待っ――」
シィン…
千歌「……………ッ」
果南「切った、ね」 鞠莉「これ…」グヌヌ
ギャイイイイン…
鞠莉「どうにかできないのダイヤ!?」
鞠莉「自慢の“舞武天盾”で――」
ダイヤ「無理ですわ。流石に規模が違いすぎます」
ダイヤ「加えて言うなら、貴方の卍解でも、果南さんでも、そして曜さんでも無理でしょう」
ダイヤ「九十番台の縛道は八十番台以下とは次元が違いますからね」
ダイヤ「解除する方法があるとすれば一つだけですわ…」
鞠莉「何を落ち着き払って…」
ダイヤ「急いても事は好転しないでしょう」
ダイヤ「鞠莉さん」 ダイヤ「私はこれからある方と交渉してみます」
鞠莉「…交渉……?」
ダイヤ「話がつくまでに、貴方は他の六人を集めて――」
鞠莉「そんなヨユーこいてていいの!?」
ダイヤ「一定の猶予はあります」
ダイヤ「こういう展開もあり得ると――という程想定通りではありませんが――」
ダイヤ「とにかく、予め内浦にも結界を張ってきました」
ダイヤ「ですからそれが破られるまでは……」
鞠莉「そんなの、あの穂乃果たちにかかればソッコー破られちゃうでしょう!?」
鞠莉「このままじゃ私たちまた――」 ダイヤ「大丈夫です!!」
ダイヤ「暫くは――――」
鞠莉「え…………」
ダイヤ「戦争にあたって、本拠地は最大の要点であり急所ですわ」
ダイヤ「そんな大事な場所に、誰も配備していない訳があると思いますか――?」
・内浦。
ベリベリベリベリ…
穂乃果「うわぁ〜、綺麗な海!」
海未「なっ、なんです急に…」カアア
穂乃果「いや海未ちゃんじゃなくて、海!」 希「“お送り”ありがとね、海未ちゃん」
希「やっぱり、海未ちゃんの『どんとき』が一番快適やん」
海未「当然です」ドヤ
絵里「三人共、気を引き締めなさい」
絵里「観光に来たわけじゃないのよ」
「μ’sの皆さん、ですね――――」ザッ…
四人「!」
「お待ちしてました!」
ダイヤ「ちゃんと――腕利き共を用意していますわ」 月「初めまして!曜ちゃんの従妹の、渡辺月です!」
月「よーろしくー!」ケイレイ
理亞「遊びじゃない…!」グッ
聖良「ラブライブ!ですからね―――」
絵里「…………」
聖良「こういう事もあります」
to be continued… 希「…えっと……あなた達は…」
聖良「Saint Snow、鹿角聖良」
理亞「Saint Snow、鹿角理亞…」
穂乃果「せいんとすのー…」
海未「思い出しました。花陽に聞いたことがあります」
海未「確か北海道ナンバー1スクールアイドルで…」
聖良「ハイ」
海未「Aqoursとはライバル、でしたっけ?」
理亞「…ライバル……」
聖良「まあ、良いですよ。ソレで」フッ… 海未「で、その貴方たちがどういう了見で私たちの前に立つのです?」
月「それは、君たちがどういう了見で僕達の前に立つのか、によるかな」
絵里「…………」
月「平和的に解決できると、嬉しいんだけど」ニコニコ
希「…平和的、かァ〜…」
海未「ご安心を」ザッ…
穂乃果「!」
海未「戦いと言うほどのものにはなりません」
海未「身の程知らずの首三つ……秒で転がして終わりです」 真姫「ん……」パチクリ…
千歌「あ」
真姫「ハッ!」ガバッ
ルビィ「ピギイッ!」ビクッ
鞠莉「グッモーニ〜ン♪」ヒラヒラ
真姫「…これは……」スクッ…
曜「気分はどう?」
真姫「!」
曜「私の“回道”は半端だから…ダイヤさんみたいに、何もかも全快!ってワケにはいかないけど…」ニコニコ 真姫「……………」
真姫「…そういう…」
善子「本当に大丈夫なんでしょうね…」ヒソヒソ
花丸「いざとなれば曜ちゃんがとめてくれるずら…たぶん」ヒソヒソ
真姫「呆れた」ハアーッ
曜「え?」
真姫「どういうつもり?」
曜「だって真姫ちゃんにはホラ、私たちも助けてもらったから…」
真姫「そういう問題じゃないでしょ!」 真姫「さっきの私のとは明確に状況が違うわ!」
真姫「私は自分が戦いたいから貴女たちを治したんであって…」
真姫「貴女は私を甦らせて、また戦いたいワケ!?違うでしょ!」ビシッ
曜「それはモチロン、戦いたくないけど…」
真姫「だったら――」
「あれー!?真姫ちゃーん!」
真姫「!」
七人「!」
花丸「この声は…」 凛「なんで真姫ちゃんがAqoursのみんなといるのー!?」
曜「星空…」
千歌「凛ちゃん!?」
「千歌さん!!スゴい!生きてたんですか!?」
千歌「!!」
千歌「チョットチョットチョットチョット…」
ルビィ「凛ちゃんとくれば、モチロン――」
花陽「曜さんも!花丸ちゃんも!善子ちゃんも!ルビィちゃんも!!」
花陽「三年生の小原鞠莉ちゃんに松浦果南ちゃんまで!」
花陽「最初の梨子ちゃん以外1人として欠けてない!スゴすぎる!スゴすぎますよコレは!!」 曜「花陽ちゃん…なんで…」
曜「数日はお米の状態から戻れないんじゃ……」
千歌「どーでもいいよそんなことは!」
千歌「ここで会ったが百年目――」
ダイヤ「私が“戻した”のです」ザッ…
千歌「!」
鞠莉「ダイヤ!」
ダイヤ「お待たせしましたわ」
ルビィ「お姉ちゃんが戻したって…」
千歌「どういう…」 ダイヤ「花陽さんと協定を結びました」
千歌「…なん……だと…!?」
ダイヤ「花陽さんに、この『NO EXIT ORION』を“詠唱”で正面から解除して頂く」
ダイヤ「代わりに、私が花陽さんと凛さんの傷を戻して、内浦に――最終決戦の場に連れて行く――そういう交換条件ですわ」
果南「解除?できるの?」
花陽「完全には無理ですけど、一時的に解除して皆さんを抜けさせるぐらいなら…」
凛「『ORION』は、かよちんと穂乃果ちゃんとことりちゃんの、三人の持ち“歌道”だもんね!」
千歌「ちょ、ちょっと待ってよ!」 千歌「手を組む!?花陽ちゃんと!?」
ダイヤ「そう言っているでしょう」
千歌「ダメだよそんなの!ダメ!ぜ〜ったいダメ!」
千歌「だって花陽ちゃんは私たちの浦の星を、輝きを――」
ダイヤ「千歌さん」
ダイヤ「詳しい話は存じませんが…敵の花陽さんと組むことに抵抗があるのはわかります」
千歌「敵っていうか、仇…」
ダイヤ「が、今は手段を選べる状況ではない――ソレもわかりますよね?」
ダイヤ「内浦と、そして梨子さんが懸かっているのです」
千歌「……!」
ダイヤ「悪を倒すのに悪を利用することを、私は悪だとは思いませんわ」 花陽「悪って…」アハハ…
善子「それより!条件の二つめ!」
善子「内浦に連れてくって…それって結局……」
花陽「いいえ!」キッパリ
花陽「信じてもらえないかもしれませんが…私は穂乃果ちゃん達と皆さんの戦いには手出ししません」
花丸「でも、じゃあなんの為に?」
ルビィ「スクールアイドルの戦いを、目の前で見たいから」
花陽「!」
ルビィ「ですよね?」
花陽「ドンピシャリです!」ニッコリ 果南「まあ土壇場で裏切られたとしても、ここから出られない今の状況よりはマシだしね」
ダイヤ「そういうことですわ」
真姫「…知らないわよ…勝手なことして」クルクル
凛「で、真姫ちゃんは何してたのー?」
凛「…もしかして負け…」
真姫「ムウッ!」ベシッ
凛「いたっ…なにするのー!?」
真姫「私が負けるワケないでしょ!」
果南「負けたよね」
凛「シャー!」 鞠莉「じゃあ、花陽!早速だけど…」
花陽「ワカりました」ス…
凛「真姫ちゃんはどうする?凛たちと一緒に来る?」
真姫「…私は別に……」
凛「へ〜真姫ちゃん逃げるんだ〜」ジトー
真姫「なっ!?行くわよ!行けばいいんでしょ行けば!」
ダイヤ「騒がしいですわね…」
千歌「ロクなことにならないよ…絶対……」ブツブツ
花陽「『夜明けの陽が登れば恋は消えてしまう?』――……」 星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。
小泉花陽―『炊込地蔵』
解号:「踏み出せ」
形状:しゃもじ。
能力:大量のお米を生み出し、自在に操る。
お米には特殊な品種改良が重ねられている。 穂乃果「…海未ちゃん、やる気満々だね…」
希「色々、溜まってるみたいやね」チラッ
絵里「……」
聖良「私達3人を1人で相手するつもりですか?」
海未「貴方達程度の相手に、2人目が要るように見えますか?」
理亞「…ッ」
月「アッハッハ、ナメられてるね〜」
海未「貴方が一番場違いですよ、月」
月「厳しいね」
月「その心は?」 海未「決まっているでしょう」
海未「セイ…………北海道の二人はともかく」
海未「月、貴方はスクールアイドルですらない」
月「……」
聖良「Saint Snowですよ、海未さん」
海未「すなわち“瞬歩”も“歌道”も斬魄刀も使えぬということ」
海未「そんな素人が仮にもスクールアイドルの最高峰といえる私を相手に……」
月「素人、ね…」ブウン…
海未「!」
希「へえ…」
月の足が地面を離れ、そのまま身体は宙に浮かびあがった。 穂乃果「あれは…」
海未「ホウ…飛廉脚ですか」
月「よーくご存知で」
穂乃果「ひれんきゃく?」
絵里「“生徒会長”が集会で速やかに壇上に上がる為に用いる、霊子を足場に固めて移動する歩行法よ」
穂乃果「生徒会長の?私使えないよ?」
絵里「ハナから“瞬歩”が使えるんだもの。いらないでしょ」
月「霊子を扱うのはスクールアイドルの特権じゃないよ」
月「例えばホラ」スウ… 月「これだって…」キュッ…
月の指先から“糸”が伸びる。
海未「“乱装天傀”…」
月「静真の部活動は優秀でね」
月「“手芸部”だって全国レベルなんだよ」
海未「貴方、手芸部なんですか?」
月「全ての部活動の頂点にあるのが僕ら生徒会…」
月「会長ともなれば、下にある全部活の技術を一通りは使えないとね」
海未「なるほど、愚問でした」
シュンッッ
海未「!」 聖良「――」ブンッ
海未「フン!」バッ
スカッ
聖良「躱しますねえ!」
海未「不躾ですね、話をしている最中に……」
聖良「すみません、我慢できなくて」
聖良「聞いているだけじゃヒマなんですよ…」
「『DROPOUT!?』」
海未「!」
ブワアアアッ
頭上から、海未が闇に飲み込まれる。 聖良「貴方もですか、理亞」ニヤリ
理亞「…これで園田海未は終わり…」タンッ…
月「僕まだ何にもしてないんだけど」アハハ…
海未「破道の四十六、『No brand girls』」
カッ
三人「!」
海未「他愛ない…」ザッ…
理亞「なっ…」
月「闇を吹き飛ばしたね…」 「とうっ!」シュンッッ
聖良「!」バッ
ガキイイン!
理亞「姉様!」
聖良「…案外余裕がないんですね」ギリギリ…
聖良「μ’sたるもの、もっと堂々と構えてくれるものだと思ってましたけど」
希「ごめんね、我慢できなくて」
希「見てるだけじゃヒマなんよ」ニシシ
聖良「…食えない人です…」 理亞「待って姉様、今…」
穂乃果「あなたの相手は私だよ!」
理亞「!」
穂乃果「高坂穂乃果です!よろしく!」ブイッ
絵里「…サービスが過ぎるわ…」
海未「結局一人一殺ですか…まあ良いでしょう」
海未「撃ちぬけ、『神弓』」ピィン…
月「!」
海未「そのぶん、貴方にはがんばってもらいますよ、月」
月「いや〜!お手柔らかに頼むよ!」アッハッハ
to be continued… 園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。 善子「…みんな…行っちゃったわね」
ルビィ「うん…」
花丸「寂しがってる場合じゃないよ!二人とも!」
花丸「マル達にはマル達の仕事があるずら」
―
――
―――
ダイヤ「善子さん、花丸さん、そしてルビィ…」
ダイヤ「三人はここでお留守番ですわ」
善子「……」ムス…
花丸「ことりさんを倒したのは、マル達なのに…」ボソ…
ルビィ「…聞いてお姉ちゃん!ルビィ達…」
ダイヤ「――と言っても、まだ重要な仕事が残っています」
ルビィ「え?」 ダイヤ「エリーチカの通信を聞いたでしょう?」
ダイヤ「あの時、気になることを言っていました…」
ダイヤ『エリーチカ!!梨子さんはどこです!?私達の大切な仲間を――』
絵里『こちらが聞きたいわ』
絵里『それが分からないから、あなた達にお願いしようと思って』
ルビィ「ハッ!」
ダイヤ「敵の言葉を妄信するわけにはいきませんが」
ダイヤ「アレが本当なら、梨子さんは今、あの四人の管理下にはいないということになります」
ダイヤ「…貴方達に頼みたい事…もう解りましたね?」
ルビィ「梨子ちゃんを見つけて、護る…!」 善子「でも、いいの?」
善子「絵里さんの言葉が本当なら、あっちは私たちを利用してリリーを探そうとしてる」
花丸「マル達が見つけちゃったら、逆に危ないんじゃ…」
ダイヤ「その為に、私たちが行くのですわ」
三人「!」
ダイヤ「エリーチカは、みゅーずは……内浦で、私たちが必ず倒します」
ダイヤ「ですから皆さんは安心して、梨子さんを探し出してください」
―――
――
―
善子「でも…見つけるったってどこ探せば…」
ルビィ「とりあえず、音の木坂かな…?」 シュインシュインシュイン…
三人「!?」
シュインシュインシュインシュイン…
花丸「なんずら!?」
善子「『ORION』が…!」
スウッ…
ルビィ「解除…された…!?」
善子「これって、さっきと…」
花丸「うん。花陽さんが“詠唱”で一時解除したときと同じ…」 ルビィ「まさかッ!」ハッ
…シュイン…
ルビィ「『ORION』を解除できる人は……この世にもう1人だけいる!」
善子花丸「!!」
ルビィ「穂乃果さんと!花陽ちゃんと!」
ルビィ「持ち“歌道”にしている人がもう1人だけ……!」
シュインシュインシュインシュイン…
善子「…な……ッ」
善子「でもあの人はもう完全に死にかけで、今サラ何も……」
ギャイイイイン 善子「あっ…」
ルビィ「閉じちゃった…また…」
ルビィ「…弱弱しくて正確にはわからなかったけど、今の間に霊圧が一つ?二つ?」
ルビィ「外に出たような……」
花丸「……信じるしかないずら、みんなを」
花丸「マル達のやることは、やらなきゃいけない事は変わらないずら」
善子「…そうね」
ルビィ「…お姉ちゃん……!」グッ…
ダイヤ「ヘックション!!」
鞠莉「ダイヤったら、また〜?」 ダイヤ「仕方がないでしょう。生理現象なのですから…」ムズ…
ダイヤ「それより鞠莉さん!この車、もっとスピード出ないんですの!?」
・内浦に向かう5+3人。『予測不可能Driving!』で空を往く。
鞠莉「無理言わないで!何人乗せてると思ってるの!」
花陽「うぅ…スミません……」
凛「真姫ちゃん、用無いなら下りれば〜?」
真姫「アンタが連れてきたの!」
果南「助っ人の三人は、もうドンパチ始めてるかな?」
千歌「聖良さん……理亞ちゃん……」
曜「…月ちゃん……」
ダイヤ「どうか私たちが到着するまで持ちこたえていてください…!」 南ことり――『皆臨好(みなりんすき)』
解号:「寄り添え」
形状:ラクロスのラケット。
能力:霊子のボールをシュートして、当たった相手をメロメロにする。 海未「おっと、すみません、私としたことがつい」
海未「素人相手に “解放”など…」
月「…戻してくれるの?」
海未「フフ…まあソレは」
海未「格好がつかないですからね…」
月「じゃあ、使わないでくれる?」
海未「貴方次第ですね」
海未「ぜひ使わせて欲しいものです」
ポツッ…
月「!」 月「雨…?」
海未「破道の五十五、『愛してるばんざーい!』」
ズドアアアアッ
月「うわっ!?」バッ
グググググググ
月「地面から木が伸びて…触手みたいに!」
グググンッ
月「くっ!」ブウンッ 海未「よく逃げますね」
海未「“夢の木”…少々水気が足りませんか」バッ
月「!」
海未「破道の四十八、『嵐の中の恋だから』」
ザアアアア
月(雨の勢いが強く!)
ザアアアアアアアアアアア
月(嵐だ!) グググーッ!
月「!」
グルルンッ
月(水の量に比例して、木の伸びるスピードも――)
ギュッ!
月「あッ!」ビタッ
海未「おや、鬼ごっこはもう終わりですか」
月「…アハハ…捕まっちゃったか……」
海未「つまらないですね…」フン… 月「ってことは――」スッ…
海未「?」
月「今度は僕が鬼の番だね」バッ
ピインッ
海未「!」
キュキュキュッ…
海未(これは…“乱装天傀”!)
海未(蜘蛛の巣のように張り巡らせて、私を……)
ギチイイッッ
海未「くッ!」ビタンッ 月「僕が夢の木から逃げながら、周囲に糸を張っていたことに気づかなかったの?」
海未「………」
月「ホラ、こっちも…」グイッ
スパアッ
海未「!」
ドササッ…
海未(夢の木が…!)
月「これでまた海未ちゃんが鬼……って言いたいけど」
月「お望み通り、鬼ごっこは終わらせよっか…」 ジュン…
海未「ッ!」
海未(熱……)
月「知ってるよね?霊圧による加熱は――霊圧の炎は――水で消えない」
月「どんな嵐の中でもね」
ザアアアアアア…
月「だから野外での調理も多い全国レベルの “料理部”は、コンロじゃなくて霊圧で燃やす」
海未「…………」
月「こんな風に…」チッ… ボオオオオオオオオオ
海未「――――」
蜘蛛の巣状の“乱装天傀”を伝って、海未の全身が紅く燃えあがる――。
プスプス…
月「いい匂いだね〜!」クンクン
月「骨付きのお肉を豪快に焼く……これぞまさしく」
ボオオオオオオオオオオオオオオオ
月「『ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ』」
海未「………………」
月「好きなんだよねえ、僕」ペロリ ボオオオオ…
聖良「…あっちは文字通り、白熱しているみたいですね」
聖良「どうです?こちらもそろそろ――」
シュンッッ
聖良「“解放”をっ!」ブンッ
希「こわいこわい」ヒョイッ
聖良「………」タンッ…
希「今のは危なかったやん♪」
希「あと数センチ踏み込まれてたら…」
聖良「そのときは、私の首が飛んでたでしょうね」 希「ツレないなあ」
聖良「こちらのセリフです」
聖良「未解放でのチャンバラで仕留められるほど、私も、あなたも、甘くありません」
希「そーう?」
聖良「だから、どうです?そろそろ」カチャ…
希「いや〜、ウチはまだいいかなあ」
希「こういうのは先に晒した方が不利やからね」
聖良「…だからツレないと言」シュンッッ
希「おっと!」シュンッッ
聖良「ツレないと言うんですよ!」シュンッ
希「仕留める気満々やん!恐いな〜!」シュンッ 聖良「私を見くびらないほうが良いですよ?」ブンッ
希「っと」
ガキイイイン!
聖良「ハッキリ言って、私はサシでやるならAqoursの誰よりも強い」
希「ほんとに〜!?」
希「それじゃあウチ、すごい外れクジ引いたってことになるね」
聖良「…目が笑ってますよ」
希「ハハハ、いやいやそんなそんな」
聖良「…本当にあなたは…やり辛いですね!」シュンッッ 理亞「うおおおおおおおっ!!」
穂乃果「よしこいっ!」
理亞「はっ!!」シュンッ
穂乃果「…………」シュンッッッ
理亞「えっ」
パシッ
理亞「……ッ」
理亞「離……」
デコピンッ
理亞「痛っ」 穂乃果「不合格!!」ビシッ
理亞「…………は?」
穂乃果「理亞ちゃんの“瞬歩”はまだ未熟だね」
理亞「なっ…」
穂乃果「いや、“瞬歩”だけじゃない」
穂乃果「霊圧も!白打も!剣術も!」※白打…肉弾格闘。殴る蹴る。
穂乃果「まだ私たちと戦えるレベルじゃ〜〜〜」
穂乃果「ないっ!」バーン!
理亞「そんなの…」
穂乃果「わかるよ」シュンッッッ 理亞「!!」
穂乃果「う〜ん、やわらか〜い…」ホッペムニー
理亞「〜〜〜〜」ホッペムニラレ
穂乃果「ほら、ね?」
理亞「くうッ!」ブンッ
パッ
理亞「なっ!?」
穂乃果「もーらいっ!」ニコッ
理亞「返して!私のラブライブレード!」 穂乃果「…私も妹がいるから、聖良さんの気持ちはよくわかる…」クルクル
穂乃果「ねえ理亞ちゃん」
理亞「返し――」
穂乃果「北海道のお家に帰ろう?」
理亞「――――――ッ」
穂乃果「これ以上理亞ちゃんを相手に戦うのは、私には耐えられない……」シュン…
理亞「…………………ッッ」ワナワナ…
ボオオオオオオオオ
穂乃果「ん?」
月「どうやら、上手く行ったみたいだね…」ホッ…
穂乃果「うわ〜!海未ちゃん、すっごい燃えてる!!」 月「よかった…正直これでダメだったらもう……」
「…そうですか……」
月「!!」
ボオオオオオオオオ
海未「待っていても、これ以上のものは出ないということですね」ザッ…
月「なっ…」
ボオオオオオオオ
海未「残念です」スタスタ 月「も…燃えながら……なんで生きて………」
海未「この炎が自分の炎だと思っていたのですか?」
海未「滑稽ですね」
海未「フンッ!」
フッ…
月「!」
海未「破道の五十一、『僕らは今のなかで』」
海未「今まで燃えていたのは、熱すぎてとまらない僕の―失礼、私の温度によるものです」
月「そんな……」
海未「あなたの霊圧は私の温度で焼き消しました」
海未「もちろん、チャチな乱装天傀もこの通り」パラパラ… 月「くっ!」ブウンッ
海未「遅い」シュンッッ
海未「縛道の三十、『もぎゅっと“love”で接近中!』」
モギュッ…
月「……っ」
海未「“歌道”は言霊の力…すなわち詞の力」
海未「私はμ’sで最も“歌道”に長けます」
月(身動きがとれない……!)
海未「また失礼。スクールアイドルで、ですね」
海未「まあ言わなくても解りますか…」 海未「さて」スッ…
月「!」
海未「それこそ“歌道”でいくらでもトドメは刺せるのですが…」
海未「存外楽しませてもらったので…これは礼です」キリ…
月(弓……ッ)
海未「安心してください」
海未「一発で確実に心臓(ハート)を撃ちぬきますから、瞬きする間に終わりますよ」キリキリ…
月「…………」ゴクリ
海未「さようなら」パッ
ビュインッ 「『守護胎』!!」
ブワアアアアア
海未「!」
チャプンンン…
月「……よ…」
曜「ごめん月ちゃん、遅くなった」
月「曜ちゃん!」
海未「ほう…水如きで私の『神弓』を……」 ダイヤ「曜さん!1人で飛び出さないでください!」
ダイヤ「ブッブーですわ!」
果実「どうやら、間に合ったみたいだね」
千歌「うん!三人とも……」
鞠莉「オウケー!内浦も無事だね!」
絵里「………………………」
絵里「あれは…」 ジト…
凛「わ〜…絵里ちゃんこっちよりにらんでるよ〜っ…」
真姫「…当然でしょ」クルクル
花陽「うう…ごめんなさい……どうしても見たかったのぉ…」 海未「花陽」
花陽「ハイイッ!?」ビクッ
海未「貴方ですね」
花陽「あっ…は…ハイ!わたし…」
花陽「私です!私!私が!皆さんを逃がしました!ハイ!」
海未「…………」
花陽「だから、凛ちゃんと真姫ちゃんは……」
海未「お手柄です」
花陽「…………えっ?」 海未「よく連れてきてくれました」
海未「こんなご馳走……」ペロリ
絵里「……………」
曜「タダで食べられると思ってるの?」
曜「ご馳走はお金がかかるもの…海未ちゃんにもそれなりの対価を払ってもらわなくちゃね」
海未「何を払えばいいのですか?」
曜「そうだね……」
曜「やっぱり、命、しかないかな」
海未「フフ…できないことを吼えるものではないですよ……曜…」
to be continued… 乙
�「ちゃんがはしゃいでるのを見るエリチカの目つきがツラい 氷雪系最強の噛ませポジションになりそうなのは誰なんだ?
氷…寒い…ロシア… 理亞「うわあああああん!!」
理亞「ぶっころしてやる!!!」
穂乃果「その意気だよ!!」
理亞「私のブレード返せ〜〜〜〜!!」ジダンダ
穂乃果「それはダメ!」ブーッ
千歌「楽しそうですね」ザッ…
穂乃果「!」
千歌「天下の高坂穂乃果さんが弱い者いじめが好きなんて知りませんでした」
理亞「弱い者…」グスン
穂乃果「…嫌いだよ、弱い者いじめは…」 穂乃果「だから千歌ちゃんとも、戦いたくないんだけどな……」
千歌「ほざけーっ!」バッ
千歌「『金毘加』!!」ピッカアアアアア!
穂乃果「うわまぶしっ!」
シュンッッ
千歌「ほら!」グイッ
穂乃果「あっ…」
千歌「お姉さんが妹からもの取り上げちゃダメでしょーが!」ビシッ
千歌「はい理亞ちゃん!」ポイッ 理亞「って!」シュンッ
パシッ
理亞「投げないでっ!」
千歌「どういたしまして!」
理亞「お礼言ってない!」
穂乃果「…いいね、千歌ちゃん」パチクリ
穂乃果「よーしそれならっ!」バッ
千歌「!」
ボオオオオオオオオオオオ 理亞「千歌、さ――」
ボオオオオオオオオオオオ
穂乃果が『焔饅頭』を解放して振ると、千歌と二人、爆炎の中に包まれる。
穂乃果「これで二人きり、ジャマは入らないよ」ニコッ
千歌「望むところです!」グッ
ボオオオオオ…
海未「やれやれ、『城郭炎上』ですか」
海未「暑苦しくて参りますね……」 海未「にしても」
曜「………」
海未「思ったより冷静ですね」
海未「穂乃果と一対一…」
海未「死にますよ、千歌」
曜「……千歌ちゃんのスゴさは、私が一番よく知ってる……」
海未「はあ」
海未「で?」
曜「負けるよ、穂乃果ちゃん」
海未「…………」
曜「海未ちゃんとどっちが早いかな…」 海未「フフ…抜かしてくれます」
海未「その減らず口を叩けなくしてあげましょう」クルッ
ス…
海未が背中を向けて髪をかき上げる。うなじに刻印。
“3”
曜「……海未ちゃんほどの力で、まだ三番目なの…!?」
海未「私ほどの力?」
海未「私の力の底など、まだ貴方に見せた覚えはありませんよ…?」ドオッ
曜「!!」
曜「月ちゃん下がって!」
月「う、うん!」ブウンッ 海未「『さかさまのさかさまを見てごらん』」
海未「『スキは常にキライの裏』」
曜「…………」
海未「『かわいくて憎らしいそうよそうよ』」
海未「『それがいわゆる恋なんです』」
海未「縛道の九十六――『るてしキスキしてる』」
カッ
曜「!?」
海未「ようこそ――さかさまの世界へ」 曜「何…コレ……」
海未「言いましたよ曜」
海未「縛道の九十六『るてしキスキしてる』」
海未「数多くの“歌道”とその詠唱を開発した私ですが…これは中々の自信作です」
曜(上下――――…)
曜(いや、左右も逆か)
海未「ご覧の通り、見えてるものの上下左右を逆にします」
海未「曜、いくら貴方が天才といえども、この状態で私の『神弓』を――」キリキリ…
逆さまの世界で海未が矢をつがえる。
海未「躱せますかねっ!」ヒュッ 曜「すごい…上下左右がまるで反対だ」
ビュインッ
曜「前後もね」クルッ
海未「!」
曜「気づかないとでも思った!?」ブンッ
スカッ
曜「え!?」
ブスウウッッ
曜「――――ッ」 曜「なっ……」
背中から、海未の『神弓』は曜の身体を深々と貫いた。
海未「気づかなかったようですね。上下左右前後逆……」
海未「ついでに、見えてる方向と射られる方向も逆です」
曜「……つ…っ」ガクンッ
海未「…これがAqoursの飛車角の一角を謳われる渡辺曜の最期ですか」
海未「呆気ないにも程があります、興ざめですね」
曜「」
海未「はてさて、次に私の『神弓』が射抜くのは……果南か、それとも…」 バシャアッ
海未「!?」
海未(曜の身体が溶け――)
ピチャピチャ…
海未(これは…水人形!?)
サアッ…
海未「!」
海未(月に切り落とされた“夢の木”の残骸が消え…)
ゴオオオオオオオオオ ブクブク…
海未(…空中に水が集まっていきます……)
海未(しかももの凄い量…)
ブクブクブクブク…
海未(これは)
「念を入れておいてよかった…」
海未「!!」
曜「こんな子供だまし、一回しか通じないだろうけど…それで十分」スクッ…
曜「もう“詰み”だからね」 曜「卍解――――」
ド ン
曜「『大紅蓮曜候丸』」
海未「なるほど」
ゴオオオオオオオオオオ ブクブク ブクブク…
海未「花陽じゃ勝てぬわけです」
曜「海未ちゃんもだよ」 渡辺曜――『蒼浪丸』
卍解:『大紅蓮曜候丸』
形状:空中戦艦。それに乗る曜にも制服と帽子ができる。全部水。
能力:水分の隷属(人体は対象外)。水を操る攻撃の威力も始解時とはケタが違う。 希「穂乃果ちゃんと〜千歌ちゃん」
希「フムフム」
希「で」
希「海未ちゃんと〜曜ちゃん」
希「フムフムフム」
希「でで」
希「ウチと〜…」ツー…
鞠莉「ハロー♪」
ダイヤ「よろしくお願いいたします」
希「う〜ん、なんで?」 聖良「同感ですね」
聖良「余計なお世話ですよ…というか邪魔です」
ダイヤ「そう言わないでください」
鞠莉「千歌っちはAqoursのリーダー」
鞠莉「リーダーが敵のリーダーとタイマン張るって言うなら、私たちは黙って見守るしかできない」
ダイヤ「曜さんは天才です」
ダイヤ「その戦いに私達が手を貸す理由はありませんわ」
聖良「私もないと思うんですけど」
ダイヤ「相手が違うでしょう」 ダイヤ「要は希さん…貴方を買っているのですわ」
希「ありがた迷惑やね」
聖良「はあ………まあ良いですけど、足は引っ張らないでくださいよ」
ダイヤ「誰にものを言っているんですの?」
ダイヤ「『舞武天盾』」バサアッ
鞠莉「『金属宿』!」ジャラジャラン
聖良「…潮時ですかね」
聖良「理亞!」
理亞「!」
理亞「……」シュンッ… 希「?」
希「なんで理亞ちゃんを?」
理亞「…………」ムス…
聖良「私達は二人で二本です」
希「???」
聖良「行きますよ、理亞」
理亞「うん」
聖良理亞「今踊れ」
ジャギイイイイン…
聖良「『雪天狂骨』」 花陽「あれは!!」
花陽「スクールアイドル界広しといえども二つしかない“二刀一対”の斬魄刀、『雪天狂骨』!!」
花陽「まさかこの戦いで拝めるとは…!」
凛「かよちん楽しそうだにゃ〜」
花陽「ちなみにもう一つはにこちゃんの『政宗』です!」ビシッ
真姫「聞いてないわよ」
花陽「そしてこっちは…何度見てもスゴい!」
花陽「曜さんの『大紅蓮曜候丸』!!デカい!デカすぎます!」
真姫「…あれが…………」
真姫「フンッ」プイッ 花陽「こんな戦いが見られるなんて…」ウットリ
花陽「やっぱり皆さんを『ORION』から出してあげて良かったぁ〜」
凛「よかったね!かよちん!」
果南「へえ…曜ったらもう卍解出すんだ」
果南「ずいぶん買ってるんだね、海未ちゃんのこと」
真姫「……」ジトー…
真姫「果南、貴女…」
果南「ん?なに?」
真姫「なにって…私達と一緒に呑気してていいわけ?」
真姫「貴女以外のAqoursはみんな戦ってるけど」 果南「う〜ん…そう言われても」ポリポリ
果南「他対一は趣味じゃないんだよね〜…」
真姫「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」ハア…
真姫「どこまでおめでたい頭してるのよ…」
「全くね」ザッ…
真姫凛花陽「!!」
絵里「揃いも揃って…本当におめでたい……」
凛「あ……あ……」ガチガチ
真姫「…絵里………ッ」プルプル 絵里「敵をのこのこ戦場まで運んだ裏切り者が……高見の見物でスクールアイドルの戦いを楽しむ」
絵里「認められないわ」
凛「絵里ちゃん…」オロオロ
真姫「…………」ドッドッドッ…
花陽「…………せん」
絵里「え?」
花陽「誰であろうと!絵里ちゃんであろうと!!」
花陽「私の“研究”とご飯の時間を邪魔するのだけは許しません!!」
絵里「…許さないと…どうなるのかしら」
花陽「踏み出せ!!」バッ 花陽「『炊込地蔵』!!」
凛「かよちん!落ち着――」
絵里「だからおめでたいというのよ」
ス…
絵里「露(さら)け出せ」
凛「ひっ…」
真姫「………………」ドドドドドドド
コオオオオオオオ…
絵里「『永零智禍(えれちか)』」
to be continued… 何気に歌道の発想がすごい。ちょっと感心してしまった のぞえりは格が違う感じなのかな
明らかに値下がりしてるうみみはちょっと応援してる 破道の九十『黒乳首』を期待してスレ内検索したのに無かったので残念 >>641
エアプどころか確信アンチなみの頭の悪さ 絵里「…………」コオオオオオオオ
“解放”された絵里のラブライブレードは露のように消えうせた……。
花陽「『永零智禍』」
花陽「世にも珍しい、刃のない――実体のない斬魄刀」
凛「〜〜〜〜〜」ガチガチガチガチ
真姫「…………」ドドドドドドド
花陽「なのに美しい」
花陽「おかしな話だけど、見えない刀を美しいと感じてしまう」
花陽「不思議です…」
絵里「…流石に肝が据わっているわね」
絵里「この状況で落ち着いている。中々できることじゃないわ」 花陽「いいえ!」
花陽「落ち着いてなんかないよ、絵里ちゃん」
絵里「……」
花陽「さっきから、ホラ…」
花陽「震えが…」プルプル
絵里「…正直ね」
花陽「震えが……!」ブルブル
絵里「そういうところはあなたの良いところ…」
花陽「絵里ちゃんみたいな最高のスクールアイドルを好き放題できるって考えたら!!」
花陽「震えが止まってくれないのぉ!!」 花陽「いただきます!!」バッ
ザアアアアアアア
凛(お米の波状攻撃!速い!)
真姫(また腕を上げたわね…)
ピタアアアアッ
花陽「!」
真姫(でも)
絵里「興奮するとどうにも抑えが効かなくなる」
絵里「そういうところはあなたの……悪いところよ、花陽」コオオオオオ パリイイイイイン
花陽「白米が…」
絵里「で、もう終わり?」
花陽「…………」プルプル
絵里「無駄な抵抗は」
「待ちなよ」
四人「!」
果南「よそのグループやり方に口出しするのは野暮だけどさ」
果南「3年生、それも生徒会長が1年生をイジめるなんて……感心しないな〜ん」 絵里「…下手な嘘はやめなさい」
絵里「あなたが突っかかってきたのはそんな理由じゃないでしょう」
果南「アハハ、バレた?」
果南「噂通り賢そうだね…」
真姫「……果南…ッ」
絵里「それと私は元会長よ」
果南「どうでもいいよ。さっきのはタテマエだからね」
絵里「……」
果南「始めようか」ニカッ 絵里「…………」
絵里「救えないわね」
果南「?」
絵里「そんな全身水分の身体で私の前に立つなんて……」
コオオオオオオオオ
真姫「!!」
絵里「自殺行為もいいところだわ」
真姫「果南下がって!!」
真姫「既に『永零智禍』の射程距離に入って――」 果南「」カッチコーーーン
凛「あ……ああ〜!」ガクガク
絵里「伝えるのが遅すぎたわね、真姫」
真姫「馬鹿!何しに出てきたのよ!!」
絵里「私の『永零智禍』は氷雪系最強」
絵里「その“冷気”の刃に触れるものはみな全て、一瞬のうちに凍りつく」
花陽「………………」ブルブル
絵里「果南ならいざ知らず…残ったあなたに言っても」
絵里「釈迦に説法ではあるけどね…………花陽」
花陽「…いただきます……いただきますよ絶対……」ブルブルブル 絢瀬絵里――『永零智禍』
解号:「露(さら)け出せ」
形状:気体。不可視。
能力:瞬間冷凍。 希「贅沢な眺めやね」
希「強い強いスクールアイドルの斬魄刀解放を、同時に三つも拝めるなんて」
ダイヤ鞠莉「…………」
希「鞠莉ちゃんの『金属宿』」
希「ダイヤちゃんの『舞武天盾』」
希「それに…」
シュンッッ
希「ん」
聖良「『雪天狂骨』」バッ
聖良「『雪合戦』」ブンッ ボボボッ
希「好きやねえ不意打ち!」ヒョイッ
希「説明ぐらいしてくれても…」
聖良「――」シュンッッ
希「!」
聖良が希の頭上に飛ぶ。
聖良「『滑雪』」ビュインッッ
希「お〜こわっ」シュンッッ
聖良「…………」キキィーッ 希「はいはい、一旦落ちつこっか」
聖良「…………」
ダイヤ(恐ろしく速い反応)
ダイヤ(付け入るスキがありませんわね)
鞠莉(三…四対一とはいえ、簡単には勝たせてもらえそうにないわね)
希「で、結局教えてくれないの?」
希「その『雪天狂骨』の能力…」
理亞「馬鹿じゃないの!?そんなの言うわけ――」
聖良「“遊び”ですよ」
理亞「姉様!?」 聖良「私達の『雪天狂骨』の能力は子供の“遊び”を現実化することです」
希「へえ、遊びを」
理亞「………」
聖良「理亞!」
理亞「!」
聖良「『狂骨』を私に」
聖良「あなたは後衛から“歌道”中心にサポートお願いします」
理亞「………」コクリ
ポイッ
聖良「どうも」パシッ 希「晴れて二刀流…ここからが本領ってワケやね」
希「恐いな〜…」
聖良「そう思うなら、“解放”したらどうですか?」
希「…それもそうやね……」
ゴゴゴ…
全員「!」
ゴゴゴゴゴゴ
希「…何、これ……」
希「雲が……っ」
ダイヤ「…やはりこちらに来て正解でしたわね」チラッ… 鹿角聖良・理亞――『雪天狂骨』
解号:「今踊れ」
形状:二刀一対の青竜刀。
能力:子供の遊びを具現化する。 ゴオオオオオオオオ ブクブクブクブク…
海未「大層な卍解ですね……」
海未「数多くのスクールアイドルの卍解を目にしてきた私ですが」
ゴオオオオオオオオオオオオオオ
海未「これほどの巨大さは……はて」
海未「今まであったかどうか…」
曜「だろうね」
曜「この船より巨きいのは、私も見たことがない」
海未「とはいえ」
曜「……」
海未「とはいえです、曜」 海未「ウドの大木という言葉もあります」
海未「大きさだけでは卍解の性能は測れません」
海未「そして、忘れたわけではありませんよね?」
海未「曜、貴方は既に私の…『るてしキスキしてる』の術中にあります」
曜「…………」
海未「どんな大砲もどんな強弓も、当たらなければ無用の長物」
海未「立派な“大木”ですよ」クスリ
曜「…本当はね」
曜「私の『大紅蓮曜候丸』のデザインに…“大砲”は要らないんだよ」
海未「…?」
曜「まあ、かっこいいから要るんだけど…」 ゴゴ…
海未「!」
曜「『大紅蓮曜候丸』の“砲身”は“空”」
ゴゴゴゴゴゴ…
海未(穂乃果が『焔饅頭』で掻き消した雲がまた…)
曜「“砲弾”は……その下の全ての水だよ」
パラ…
海未(雨…)
曜「『水天百海葬』」 ポツンッ…
海未「――!」
ブワアアンッ
海未「なっ…」
海未の肩――落ちた雨粒を始点に、水が広がる。
ザバザバザバザバ…
水は油を注いだ炎のように、みるみる増え広がっていく。
海未「なんですこれは………!!」
曜「『水天百海葬』」
曜「こうやって空は雨をつくり、雨は海をつくってきた…」 ザバザバ…
海未(空間が…水で満たされていきます…!)
ザバザバザバザバ…
海未(溺れる……!)
海未「くッ!」バシャッ
曜「……」
海未「こんなもの、私の“歌道”で吹き飛ばし――」
ポツン…
海未「……――――」ゾク…
ザアアアアアアアアアアアアア 降り注ぐ雨。水の塊は海未を飲み込み、尚際限なく拡がっていく……。
海未「こっ――」ゴボ…
ザブンッ
海未「ぷはぁっ」
海未「ッこんな――」ゴボゴボ…
曜「人間は海には勝てないよ」
曜「海未はあなただけどね」
海未「――……」ブクブク…
曜「ごめんね」
曜「穂乃果ちゃんには………会わせてあげられない」 渡辺曜――『蒼浪丸』
卍解:『大紅蓮曜候丸』
形状:空中戦艦。それに乗る曜にも制服と帽子ができる。全部水。
能力:水分の隷属(人体は対象外)。水を操る攻撃の威力も始解時とはケタが違う。 穂乃果「よしこいっ!」
千歌「たああっ!」シュンッッ
穂乃果「!」ヒョイッ
カスッ…
穂乃果「速いね!」
穂乃果「流石に理亞ちゃんとは“瞬歩”のレベルが違う…」
千歌「そりゃどうも!」シュンッッ
穂乃果「“瞬歩”では互角かな――」
千歌「はあっ!」ブンッ 穂乃果「いや!」シュンッッッ
スカッ
千歌「――!」
穂乃果「私の方がちょっとだけ速いね!」
穂乃果「もらった!」ブンッ…
千歌「ふんっ!」ピッカアアアアア!
穂乃果「わっ!」ガバッ
千歌「ていっ!」ブンッ
穂乃果「っ!」シュンッッ
千歌「ちぇっ、惜しい…」
穂乃果「目が!目が〜!」 穂乃果「“輝き”で目潰しって!」ゴシゴシ
穂乃果「やることがセコいというか、主人公の戦い方じゃない…」パチクリ…
穂乃果「!」
千歌「だったら……これならどうです!?」
ドドドドドドドドドド
千歌「主人公らしいでしょ〜〜〜!」
穂乃果(これは…花陽ちゃんが言ってたやつ!)
千歌「『輝ラ輝ラ天衝!!』」ブンッ
キラアアアアアアアアアア 穂乃果「あぶないっ!」シュンッッ
千歌「…!」
ボッ…
“輝き”は穂乃果の影をとらえらえず、二人を囲う爆炎の中に消えた……。
穂乃果「うっわぁ〜…あんなの当たったらひとたまりもないよ……」
穂乃果「当たらないけどねっ!」ビシッ
千歌「…………」
穂乃果「さ〜て、そろそろこっちからも…」
千歌「当たらないなら…」
穂乃果「え?」 千歌「当たらないなら、捕まえちゃえばいい!」
千歌「縛道の十二!」
千歌「『サンシャインぴっかぴか音頭』!」ピッカピカ!
穂乃果「!」
千歌「さあさあ!」
千歌「よっといでよっといで〜!」クイックイッ
穂乃果「光が……」
シュウウウウ…
穂乃果「あっちからこっちから……身体にまとわりついて…!」モゾモゾ
穂乃果「動きづらい!!」
千歌「あそ〜れそれ!」 穂乃果「…馬鹿にしないでよね…!」モゾモゾ
穂乃果「こんなの私の『焔饅頭』で一思いに…」
千歌「無理だね!」バッ
千歌「縛道の四十一!『想いよひとつになれ』!」
穂乃果「!」
ギュウウウウウ
穂乃果「光が…重…!」
千歌「想いがいっぱい詰まってるからね!」
穂乃果「………完全に動けない……」ギュウウウ… 千歌「あ、今のは“想い”と“重い”をかけた……」
穂乃果「…『だいじな』」
千歌「!」
穂乃果「『ことは』」
千歌(…ヤバい……!)
穂乃果「『あしたを信じる』」
千歌「もっと重く…」グッ…
穂乃果「『アリアケエガオ』――――」 千歌「くうっ――」
穂乃果「破道の九十一」
穂乃果「『愛は太陽じゃない?』」
バアアアアアアンッ
千歌「うわーっ!」バッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
千歌「た…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
千歌「太陽を……創った……!」
千歌「熱――」 カッ…
千歌「!」
穂乃果「強い光は弱い光をかき消す…」パラパラ
穂乃果「こんな風にね」ニコッ
千歌「くっ…」
穂乃果「さあ千歌ちゃん!」バッ
穂乃果「攻守交替だよ!私の太陽!」
穂乃果が千歌に向けて直接太陽をぶっ放す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
穂の果「さばいてごらん!」 千歌「…得意の“歌道”でも全然歯が立たないなんて…」
千歌「やっぱりスゴいな……穂乃果さんは……」
穂乃果「…ありがとう」ニコッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
言っている間にも、太陽はゆっくりと千歌に迫っていく……。
千歌「しかたない!」
穂乃果「…?」
千歌「昨日の今日どころか今日の今日…実戦で使うのは初めてだけど」ス…
千歌「ここで使わずいつ使う!」
バッ
千歌「卍解!!」 ピッカアアアアアアアアア
穂乃果「わっ!!」ギュッ
輝き一閃。爆炎の中が光で満ちる――。
穂乃果「…っ」パチクリ…
キラキラキラキラキラキラ…
穂乃果「……」
穂乃果「キレイ……」
穂乃果の瞳に、光輝く黄金の建造物が映る……。
千歌「『金毘加蜜柑甘々照(きんぴかみかんかんかんでり)』」 カッ
穂乃果「うわっ!」バッ
ピッカアアアアアアアア
穂乃果「“輝き”が、また一段と……」クウ…
シュン…
穂乃果「あっ!!」
穂乃果「私の『愛太陽』が!」
千歌「…………」
ピッカアアア…
穂乃果「消えちゃっ、た…!?」 千歌「何を驚いてるんです?」
千歌「自分で言ったばっかじゃないですか」
穂乃果「……!」
千歌「強い光は、弱い光をかき消す!」
キラキラキラキラキラキラキラキラキラ
千歌「つまり!」
カッ
穂乃果「ぐッ!?」バッ
千歌「いちばーん強い私の“輝き”は!!」
ピッカアアアアアアアアア
千歌「全てをかき消すのだ――!!」 穂乃果「……っ」ギュッ…
ピッカアアアアアアア
穂乃果(全身がヒリヒリする…!)
穂乃果(服の上からでも関係ない…これじゃ日焼けしちゃうよ〜!)
千歌「フンッ!」グッ
カアアアアアアアアアアア
穂乃果(ま、まだ“輝き”が上がるの!?)
穂乃果(これじゃとても目を開けられない…)
千歌「さあて…」ス…
ドドド…
穂乃果「!」 千歌「今度は当てますよ…」
千歌「いくら私でも…目も見えない穂乃果さんにコイツを当てられないほどドジじゃない……」
ドドドドドドドド
穂乃果「……っ」
千歌「“輝き”は100倍!だから威力は10000倍!!」
千歌「喰らって爆発四散しろーっ!!」キラキラキラキラ
穂乃果(マズい……!)
千歌「卍解版!!」
千歌「『輝ラ輝ラ天衝オオオオオオ』!!」ブワンッ
キラアアアアアアアアアア カッ
千歌「!」
パラパラ…
穂乃果「ふう…間に合ったね」
千歌「な……」
穂乃果「卍解」
千歌「なん…だと…」
プスプスプスプス…
穂乃果「『あんこの太刀』」
to be continued… カアッッ
曜「!?」
ジ…
鞠莉「な――」
ダイヤ「なんですかこれは!?」
聖良「…熱い……」
希「…『あんこの太刀』……」チラッ
ボオオオオオオオオオ…
希「…終わりやね、千歌ちゃん」 フツフツ…
曜「!!」
シュウウウウ…
曜「海が……『水天百海葬』が…………」
シュウウウウウウウウ
曜「蒸発していく……!」
海未「ぷっはぁ!」バシャアッ
曜「…………」
海未「全く……ッ……馬鹿にしてくれましたね…曜……」ハアハア
海未「この借りは高くつきますよ……」 千歌「な……」
千歌「何……ソレ……」
穂乃果「『あんこの太刀』」プスプス…
穂乃果の手に持つ刀は『焔饅頭』のときより小さく、黒く煤焦げている。
穂乃果「私の卍解だよ」
千歌「…私の…」
千歌「私の…『輝ラ輝ラ天衝』は……?」
穂乃果「消し飛ばした」
千歌「!!」
穂乃果「この子でね…」プスプス… 千歌「…そんな……!」
千歌「そんなちっぽけな刀で……私の1万倍『輝ラ輝ラ天衝』を……!」
穂乃果「見た目で判断しちゃダメだよ」
穂乃果「『あんこの太刀』の熱量は、『焔饅頭』の1000倍」
穂乃果「だから威力は100万倍だよ」
千歌「ひゃく……ま…」
ジッ…
千歌「ううッ!」
千歌「…熱い……ッ」ダラダラ
穂乃果「さあ千歌ちゃん!もう一回!」ス…
千歌「……!」 穂乃果「千歌ちゃんの“輝き”と私の“熱”……」
穂乃果「どっちが強いか勝負だよ!」ビシッ
千歌「…………」
千歌「…アハ」
穂乃果「……」
千歌「流石……流石穂乃果さん……」
千歌「最高ですよ……そういうの……」
穂乃果「ありがとう」
千歌「でも」 千歌「後悔しますよーっ!!」バッ
ピッカアアアアアアアアアア
穂乃果「!」
キラキラキラキラキラキラ…
穂乃果「これは…!」
千歌「私の卍解の…『金毘加蜜柑甘々照』の全ての輝きをこの一撃に込める!!」キラキラキラキラ
ドドドドドドドドドドドドド
千歌「最後の『輝ラ輝ラ天衝』だーーー!!」 千歌「今更ヤメなんて言わないでくださいよー!」
千歌「穂乃果さん!!」
穂乃果「もちろん!!」
穂乃果「私も、私の“熱さ”を全部次の一刀にこめる……」ス…
シュウウウウウウウウ…
二人を取り囲む『城郭炎上』の爆炎が、『あんこの太刀』に戻っていく…。
曜「!」
曜「アレは…」
海未「ほう…まだ息がありましたか、千歌」
穂乃果「燃やし切ってあげるよ!千歌ちゃんの輝き全部!!」 千歌「やれるもんなら――」
千歌「やってみろーーーー!!」ブワアンッ
千歌「『輝ラ輝ラ天衝オオオオオオオオアアアアア』!!」
キラアアアアアアアアアアアアアアア
穂乃果「………」スッ…
Dear 千歌ちゃん
穂乃果(千歌ちゃんは――Aqoursは、本当にすごいスクールアイドルになったね)
ブンッ…
穂乃果(確かに――輝いてたよ)
斬ッッッ カッ
千歌「!!」
パラパラ…
千歌「…ッ」
千歌「そんな……」
穂乃果の一振りで、放たれた“輝き”は空しく霧散した。
千歌「私の…最後の『輝ラ輝ラ天衝』が…………」
穂乃果「………」
千歌「…くっそ………」
穂乃果「千歌ちゃん……」
千歌「くっそおおおおおお!!」 シュンッッ
千歌「!」
穂乃果「惜しかったね」ブンッ
グサアアッ
千歌「――――ッ」
穂乃果「あと、もう一欠けら……」
穂乃果「もう一粒でも“輝き”が多かったら、私が負けてたよ」
千歌「……ゲホッ」
穂乃果「本当に…がんばったね……」
千歌「く……そ………っ」
ガクンッ 千歌「」
穂乃果「……ふぅ」
穂乃果のブレードに貫かれ、千歌は力尽きた……。
穂乃果「危なかった…千歌ちゃんがここまでやるなんてね…」
穂乃果「Aqoursは、私達が最初思ってたより、もっと強いスクールアイドルになってたんだね……」
穂乃果「海未ちゃんは大丈夫かな……?」
海未「穂乃果!!」
穂乃果「!」
穂乃果「良かった、海未ちゃ――」
海未「貴方一体何やっているんですかッッ!!?」 穂乃果「え――――」
「ほ……」
ぐにゃあ…
穂乃果「!!?」
ことり「ほ……穂乃果…ちゃん……」ゲフッ…
穂乃果「えっ」
穂乃果「こっ…………ことりちゃ…!?」
見ると、穂乃果が串刺しにしているのは千歌ではなくことりだった。
穂乃果「えっ!?なんで!?」
穂乃果「どっどっどっどういうこと!?!?」 千歌「ごめんなさい千歌さん」ザッ…
穂乃果「!!」
穂乃果「千歌ちゃ…」
千歌「さっき貴方に見せた卍解……『金毘加蜜柑甘々照』」
千歌「アレは嘘です」
穂乃果「なっ…」
千歌「私の本当の卍解の名前は『金毘加水月』」
千歌「有する能力は――完全催眠です」
穂乃果「かんぜん……さいみん!?」
千歌「もう少し優しく言うなら」
千歌「一度でも私の『金毘加』の解放時の輝きを見た人に対して、五感全てを支配する」 穂乃果「そんな……っ!」
穂乃果「じゃあさっきまでのは全部……」
千歌「幻です」
千歌「夢って言ったほうが、もしかしたら分かりやすいかもしれませんね」
穂乃果「……いつから…?」
千歌「はい?」
穂乃果「一体いつから、『金毘加水月』を使ってたの!!?」
千歌「いつから……?それならこちらも聞きます」
千歌「一体いつから…『金毘加水月』を使っていないと錯覚してたんですか?」 穂乃果「…くっ……」
ことり「…ゲフッ」ビクンッ
穂乃果「!!」
ことり「…な……」
穂乃果「ことりちゃん!しゃべらないで!」
穂乃果「待っててね!今“回道”で…」
ことり「何度も…言おうとしたよ……」
穂乃果「……………………」
穂乃果「えっ……?」 ことり「でも穂乃果ちゃん……千歌ちゃんと闘うのに夢中で……」
穂乃果「……………」
ことり「気づいて欲しかったよ……穂乃果ちゃんには…」
ことり「一番に気づいて欲しかった…」
ことり「だって穂乃果ちゃんは初めてできた友達だよ…ずっとそばにいた友達だよ……」
穂乃果「…あ…」
ことり「そんなの…」
海未「穂乃果!!」
海未「耳を貸してはいけません!!けして――」
穂乃果「うわあああああああああ!!!」
千歌「……」
穂乃果「千歌――」バッ… 千歌「遅い」シュンッッ
斬ッ
穂乃果「…………っ…」ブシャアア…
千歌「天下の穂乃果さんも、こうなっちゃうとモロいもんですね」
千歌「スキだらけでしたよ」
穂乃果「…う……うう…ッ」ユラ…
穂乃果「ことりちゃん……ごめん」
ドシャアアッ
海未「穂乃果!!」 千歌「次はあなたですよ、海未さん」
海未「…!!」フルフル
海未「この……」
千歌「忘れちゃったかもしれないから親切で言ってあげますけど、海未さんも内浦で私の“解放”を見てるんですからね」
千歌「間違ってことりさんを刺さないようにしてくださいね」
海未「……千歌…………………」
海未「貴方は最も残酷な方法で殺します!!」
バッ
海未「卍解―――」ドオッ…
シュンッッ
千歌海未「!」 絵里「調子に乗りすぎよ千歌…」ス…
千歌「やばっ」
絵里「『永零智禍』…」
コオオオオオオオ
曜「千歌ちゃん!」
カチコーーーン
千歌「」
絵里「ド素人ね…」 シュバビッッ
絵里「―!」
海未「!!」
曜「よくも千歌ちゃんを――」
絵里(速い―!)
曜「たあああっ!!」ブンッ
海未「……」フン…
スカッ
曜「えっ――」 絵里「……どこを斬ってるのかしら」
曜「あ――」
コオオオオオオオオ
海未「失念しましたね…」
曜(逆だ―――)
カチコーーーーン
曜「」ピタアアア…
絵里「…あなたは少しばかり才能に恵まれたようだけど」
絵里「素人の域は出ちゃいないわ」 海未「…人の獲物を横取りですか…」ザッ…
絵里「…………」
海未「それも二人も……」
絵里「……」ス…
海未「!!」シュンッッ
コオオオオオオ…
海未「…絵里…あなた何を――」
絵里「想像もしていなかったわ」 ピキ…
海未「!」
絵里「苦労して仲間にしたあなた達が……」
海未(足の先が既に氷に――)
ピキピキ…
海未「くッ…!この……」
ピキピキピキピキ
海未(氷が登ってくる――!)
絵里「私達二人に劣るなんてね」 ピキピキ
海未「絵里!!」
海未「私はずっと、あの時から、貴方を――」
ピキピキピキピキ…
絵里「…私を……何?」
海未「」カッチーン…
絵里「最後まで言い切りなさい……そういうところがダメなのよ」
to be continued… 高坂穂乃果――『焔饅頭』
卍解:『あんこの太刀』
形状:あんこのように黒く煤焦げた刀。
能力:圧倒的な熱で触れるもの全て消しとばす。
高海千歌――『金毘加』
卍解:『金毘加水月』
形状:なし。
能力:解放時の輝きを見た相手を完全催眠にかける。 全員凍結コースかと思ったが希は認めてるんだな
にしても海未ちゃんに厳しすぎない? 希「ありゃりゃ」
希「えりち…相当お冠みたいやなあ」
鞠莉「…味方の海未まで……!」
希「これで結果的には、あっちの二組、二年生の四人は全滅」
希「痛み分けやね」
ダイヤ「リーダーとエースを失って………依然そちらには“大将首”二つ」
ダイヤ「割に合いませんわ」
希「…言っている意味がわからないんやけど」
ダイヤ「とぼけないでください」
ダイヤ「穂乃果さんの“数字”が四番であることは既に聞いています」
ダイヤ「あとの3人……私の見立てでは、あの海未さんが三番手でしょう」 鞠莉「で、残ったのはアナタと絵里……」
希「…………」
ダイヤ「どうです?私どもとしてはエリーチカが1番」
ダイヤ「貴方が2番だと嬉しいのですが」
希「…そっか」
ス…
ダイヤ鞠莉「!」
希「ゴメンね」
“1”
希「ウチが“1”や」 鞠莉「…っ…!」
ダイヤ「…やはりですか……」
シュンッッ
希「おっ」
聖良「『雪合戦』」ブンッ
ボボボッ
希「聖良ちゃんは相変わらずやね!」ヒョイッ
聖良「絢瀬絵里と東條希――お二人の序列に興味はありません」
聖良「私と比べたなら、どっちにしろ二番手以下ですから」
希「面白いこと言うね…」 絵里「希!」
希「!」
絵里「三下にいつまでも大きい顔させてないで」
絵里「さっさと片して」
希「…せっかちやねえりちは…」
聖良「三下はどちらですかねっ!」ブンッッ
シュンッッッ
聖良「――!」クルッ
希「……」タンッ…
聖良(…今の“瞬歩”は…今までで一番速い…) 希「流石…」
聖良「当然です」フン
聖良「“瞬歩”でも私は曜さん以外のAqoursの誰よりも優れていますから」
聖良「多少アナタが本気を出しても、目で追うぐらいわけも無い…」
希「……の…」クスリ
聖良「…ハイ?」
希「流石の聖良ちゃんでも……見切れなかったみたいやね」
…クゥ~ン…
聖良「……………え?」
ドッカアアアアアン ダイヤ「なっ…」
理亞「姉様!!」
聖良「…………っ」ガクッ…
鞠莉「今、何を……」
希「『九音狸(くのんたぬき)』」
スウ…
ダイヤ鞠莉理亞「!!」
希の周りに数匹の狸が現れる。
希「ウチの斬魄刀……今“解放”したの」 ダイヤ「斬魄刀…?この狸が…」
希「ウチの“解放”はちょっと特別なんよ……」
鞠莉「どういう…」
たぬ「クゥ〜〜ン」スリスリ
ダイヤ「!!」
たぬ「クウゥ…」スリスリ
ダイヤ「鞠莉さん!!いつの間にか私達の足元にもいますわ!!」
鞠莉「えっ…」
理亞「なっ」 ドッカアァァァァァァン
希「ダイヤちゃんなら知っとるやろ?」
希「μ’sを始めたのは穂乃果ちゃん」
希「でも、μ’sを作ったのはウチ」
希「“ウチら”が“μ’s”に進化するとき」
希「ウチは魂を九つに分けた」
モクモクモク…
希「自分自身の魂そのものを分かち引き裂き」
希「同胞のように連れ従えそれそのものを武器とする」
希「その狸の弾頭はウチでありμ’s」
希「それがウチ、第一μ’s東條希の能力や」 東條希――『九音狸(くのんたぬき)』
解号:「ウチも入れて」
形状:九匹の狸。
能力:弾頭として追尾し爆発する。
狸は希の魂でありすなわちμ’sの魂でもある。 絵里「もう…それぐらい最初からやってよ…」ハア…
「腹立たしいわね」
絵里「……」クル…
真姫「目の前の私達をほっぽって曜と千歌に飛びつくなんて」ドドドドドドド
真姫「あの二人にそんなに可能性を感じたわけ?」
絵里「…まさか」
絵里「別に誰を先に消してもいいけど、調子づいて勘違いされてもイラつくでしょ?」
絵里「私や希までアナタ達と同じレベルだなんて…」
真姫「…………」ドドドドドドドド
凛「…海未ちゃんまで氷漬けにしちゃうなんて…」
花陽「もう、なんの遠慮もいらないみたいだね」
花陽「全力で絵里ちゃんを糠漬けに出来ます」フッスーン 絵里「一応、敵討ちになるわね…フフ…大義名分ができてよかっ」
花陽「違います!!」
絵里「え?」
花陽「海未ちゃんは私が、私のコレクションにするはずだったのに!!」
花陽「勝手に氷像にしちゃってぇ!!」
パラパラ…
絵里「!」
絵里(なに…?…周りに…砂埃のような…)キョロキョロ
花陽「抜け駆けされたのがムカムカするんです!!」 花陽「これは“米粉”です!!」
パラパラ…
花陽「絵里ちゃんが浮気しているうちに、私の『炊込地蔵』で、米粉をこの空間全体にバラまきました!!」
花陽「霧雨のように!粉雪のように!!」
コオオオオ…
花陽「『永零智禍』は触れたものを即座に凍らせる――ということは!」
コチコチコチ…
絵里「!」
絵里「米粉が凍って……」
花陽「よーく見えます!無敵の『永零智禍』の軌道がクッキリと!」 花陽「そして軌道さえ見えれば、所詮はすっとろい気体!」
花陽「“瞬歩”の苦手な私でも―――」
コチコチコチコチコチコチ
花陽「えっ」
絵里「…………」
凛「そんなっ…」
コチコチコチコチコチコチコチコチコチコチ
花陽(は…速い!)
絵里「終わりよ。“瞬歩”の苦手なあなたはね」
花陽(避けられな――) 真姫「フンッ」ドオオオッ
絵里「―!」
コチ…
花陽「…!」
花陽「ありがとう真姫ちゃん!」シュンッッ
コチコチコチコチ…
絵里「…今のは……」
絵里(霊圧の束をぶつけて、一瞬冷気を押し戻した……)
花陽「ハァ……ハァ……」タンッ… 絵里「流石…と一応褒めておくわ」
絵里「こんなことが出来るのは、ゴリラ級の霊圧を持つアナタだけでしょうね……真姫」
真姫「…ゴリラは言わなくていいのよ…」
コオオオオオオオ
凛「絵里ちゃんの『永零智禍』…思ってたよりずっと速いね……」
花陽「うん…でも」
花陽「一番の問題は“速さ”じゃない」
凛「え?」
コチコチコチコチ… 真姫「見なさい。絵里の周りを『永零智禍』がすっぽり覆ってる」
真姫「上下左右前後、360度、一分の隙もなく…」
凛「それって…」
絵里「完全無敵ということよ」
コオオオオオオ…
絵里「チャンバラなんてもっての他、花陽のお米も、凛のラーメンも…もっともあなたのラーメンは元々武器にはならないけれど」
絵里「とにかくあらゆる攻撃は私に届かない」
凛「そ…そんなぁ〜!」
花陽真姫「……」 凛「ふ、二人とも!どうしたの!?黙っちゃって…」
花陽真姫「……………」
凛「ホラかよちん!何か言い返さなくちゃ!真姫ちゃんも!」
凛「あるもんね!?絵里ちゃんを倒す、とびっきりの作戦が…」
絵里「無理を言っちゃ二人がかわいそうよ、凛…」フフ…
絵里「この世のどこにもないわ。私を倒す方法なんてね」
花陽「…縛道の六十六……!」グッ…
凛「かよちん!」パア…
花陽「『なわとび』!!」バッ
ビュイイーーン ピキイイイイイイン
凛「なっ…」
花陽「……っ」
絵里「“歌道”なら……凍らないとでも思った?」
真姫「『思い付き試しなさい!』」バババッ
真姫「『それで回りだす』」
凛「真姫ちゃん!」
真姫「『したいこと』」
真姫「『したいだけ』」
真姫「『叶えるシステムは』」 真姫「破道の四十二!!」
真姫「『PSYCHIC FIRE』!」
ボオオオオッ
凛「やった!炎だ!!これなら――」
カキイイイイイイン
凛「え〜〜〜っ!?」
絵里「…曜の作った海を蒸発させる『あんこの太刀』の余波ですら、『永零智禍』で凍った果南は溶けなかった」
絵里「それを見落とすあなたじゃないとは思うけど……真姫」
真姫「くっ…!」
絵里「他に策もないものね……敵ながら同情するわ」 真姫「こうなったら、私の霊圧で……」ドオオオオッ
凛「真姫ちゃんがんばれ!!」
真姫「ゴリ押す!!」ドドドドドドドドドドドド
絵里「見ちゃいられないわね…」ス…
フッ
真姫「――」
シイン…
凛「…え…?」
真姫「…ウソ」 真姫「フンッ!フンッ!」
シィン…
凛「そんな…真姫ちゃんのゴリラ霊圧が……まさか……」ガチガチ
絵里「霊圧は……凍らないとでも思った?」
真姫「…………っ」プル…
凛「あ……あ……」ガタガタガタガタ
絵里「まだ理解できていないようね」ハア…
絵里「私の『永零智禍』に凍らせられないものはない」
絵里「例外はない…抜け穴は存在しないのよ」 凛「ま……真姫ちゃん……」ガクガクブルブル
真姫「……りだわ」
凛「えっ…?」
真姫「私達では……どうやっても……絵里には勝てない…」
真姫「無理だわ…無理…無謀すぎたのよ……」プルプル
凛「ま…真姫ちゃん…そんな……」
凛「今更そんなこと言わないでよ……」ウルウル
真姫「だってそうでしょ!」
真姫「私達じゃ!私達の力じゃ!こんなのどうしようもないじゃない!!」
凛「…………」
凛「…真姫ちゃん……」
絵里「そういう事…気づくのが遅すぎたわね」 花陽「抜け穴がないなら……」
絵里「!」
真姫「……」
花陽「力づくでこじ空けるしかない!!」
花陽「卍解!!」
ド ン
花陽「『銀色炊込地蔵』!!いくよ!!」
地蔵「ピャアアアアアアアア…」
絵里「フフ…」
花陽「単純な話です!!」 花陽「凍るスピードより速く!強くお米を叩き込めば!!」
花陽「きっとぶち抜ける!きっと届く!絵里ちゃんの喉笛に!!」
絵里「もうヤケクソね…」
花陽「一点集中だよ…絞って……もっと絞って……」
絵里「まあ…無い穴探すよりは建設的だけど」
花陽「発射!!」
地蔵「ピャアアアアアアアアアアアアア!!」ブワアオッ
絵里「無理よ。あなた達には」コオオオオオ
カッ 十刃の序列とかいう厨二心をくすぐりまくる設定ほんとすき ピッタアアアアアアアア…
地蔵「」カチコーーーン
花陽「………………!」
絵里「ね?」
花陽「…………」
絵里「万事休すね」
絵里「さようなら花陽…最後の最後までへこたれなかったあなたの根性は尊敬するわ」
コオオオオオ… 花陽「……頼んだよ…凛ちゃん…」カチコチ…
絵里「…凛?」
花陽「」カチコーーーーン
絵里「………………」
絵里「なんで今更…凛なんかに……」クルッ…
真姫「……」
絵里「…………?」キョロキョロ
絵里「いない…」
真姫「絵里……今日あなたが負けるとすれば」
真姫「ここは一つ敗因になるわね……あなたは凛を見くびりすぎた……」 絵里「…何をわけのわからないことを…」
真姫「無理もないけどね…『月猫夜』は正真正銘のへったくれ能力」
真姫「それでも貴女は凛から目を離すべきじゃなかった」
絵里「いいわ…どうやら気が狂ったようね」ス…
真姫「そしてさっきの…私の霊圧を凍らせたの……あれはもっと失策だった」
真姫「凍らせたりしなければ、溢れる霊圧量の変化で、私の変化に気づけたかも…」
絵里「!」
絵里「真姫、あなた…」
真姫「イヤ!絶対に気づけたでしょうね!」
真姫「なんてったって私の霊圧はゴリラ中のゴリラ!!“解放”に気づかないなんてありえない!」
絵里「いつの間に“解放”して…!?」
絵里「でも肝心の斬魄刀はどこに…」 真姫「スクールアイドルの斬魄刀には……持ち主の手を離れても能力を発揮できるものがあるのよ」
真姫「千歌のもそうだったって花陽ははしゃいでたわ…」
凛「――」シュンッッッッ
絵里「まさか凛に――」
絵里「っ!」シュンッッッ…
真姫「ムダよ、もう間に合わない」フッ…
真姫「なんてったって凛の瞬歩はμ’s最速だもの…」
凛「『勝三時計』!!」チャリンッ
凛「巻き戻れ―!」 スウウウウ…
凛「やった!氷が溶けた!」
「…絵里……」
絵里「……!」タンッ…
「私はずっと、貴方を……」
絵里「……誰を甦らせるのかと思えば…」
海未「殺したいと思っていましたよ……」
to be continued… 海未ちゃんって穂乃果ちゃんいなかったら溺れ死んてただろうし弱そうw 絵里vs海未楽しみだな
今のところ海未は良いとこなしだし 絵里「全くお笑いね…」
絵里「奇跡のような段取りでこの私を出し抜いて、何をやってくれるのかと思えば」
海未「……」
絵里「この役立たずを復活させるとはね…」
凛「ムーッ!」
絵里「まあ…人選ミスというわけではないわ…誰を復活させても同じこと……」
凛「海未ちゃん!絵里ちゃんのいう事なんか気にしないでね!」
海未「……凛…」
凛「海未ちゃんなら勝てるよ!だって海未ちゃんは凛達よりずっと…」 ピシャンッ
凛「えっ…」ヒリヒリ
海未「私を助けるよりもっとやることがあるでしょう」
海未「絵里を相手に“解放”すらせずに…」
凛「ご…ゴメンなさい……」ウルウル
海未「教えたハズです」
海未「仲間がやられたら好機だと思え」
海未「間に入るな」
海未「後ろから刺せ」
海未「それすらできぬ程敵との力量が隔たっているなら」
海未「その場で仲間は見殺しにしろ」 海未「それがスクールアイドルです」
凛「……………」
海未「分かったら解放ぐらいしなさい!!」
凛「にゃっ!?」ビクッ
凛「げっ、『月猫夜』…」カラカラ
絵里「自分の無能を棚に上げて凛に説教?」
絵里「嫌な先輩ね…」
海未「…μ’sは先輩禁止ですよ…」
絵里「揚げ足をとることばかり上手いのね」
絵里「本当に嫌な後輩だわ…」 海未「嫌なのはお互い様です」
海未「絵里……私はずっと…貴方への殺意を忘れたことはありませんよ…」
―
――
―――
絵里「でも、私は認めない」
海未「……」
・μ’sが七人の時代。公園のベンチに座る海未と絵里。傍らには亜里沙もいるが、二人の会話は聞いてはいない。
絵里「人に見せられるものになっているとは思えない」
絵里「そんな状態で、学校の名前を背負って戦って欲しくない」
絵里「話はそれだけ」スッ…
海未「待ってください!」 海未「じゃあ、もし私達がもっと強くなったら…」
海未「貴方を倒せるようになったら…認めてくれますか?」
絵里「無理よ」
絵里「私にとっては、スクールアイドル全部が素人にしか見えない」
絵里「一番強いというA-RISEも――――」
海未「…………っ」
絵里「素人にしか見えない」
海未「…貴方に……」
絵里「……」ザッ…
海未「貴方に私達のこと、そんな風に言われたくありません!」 あれから……
海未「なっ」
海未「なんですかこれは…!?」
海未(生徒会長の幼少期…バレエの型に基づいた戦闘の様子…!)ゴクリ
海未(次元が違いすぎます……!)フルフル
あれからずっと……
海未「悔しいですけど、生徒会長がああ言いたくなる気持ちもわかりました」
希「だから謝ろう思ったん?」
海未「いえ」
海未「闘法を教わろうと思いました!!」 ―――
――
―
海未「貴方に言われたあの時から、私のスクールアイドルを続ける目的は、ラブライブ!優勝でも、スクールアイドル最強を謳われるA-RISEの打倒でもありません…」
絵里「……」
海未「絵里!」
海未「貴方を地獄へ葬り去って、この私を認めさせることです!」
凛「海未ちゃん…」
海未「『い・く・よ』」
絵里「!」
海未「『負けないでね先の先は』」
海未「『雨上がりの青空だよ』」
海未「『雫がきらりはじけて』」 海未「縛道の七十三――『あ・の・ね・が・ん・ば・れ!』」
シュウウウウウウウウウウ
絵里(濃霧…目くらましね)
絵里「案外頭は冷えてるじゃない」
海未「伊達に凍ってたわけじゃありませんよ…」
凛「海未ちゃん流石!」
海未「凛!」
海未「2分……時間を稼いでください」
凛「…え……?」 海未「任せましたよ」
シュンッッ
凛「えっ、ちょっと……」
し〜ん…
凛「え〜〜〜っ!?」
カキィィィィン
凛「!」
凛(霧が凍って…)
パリイイイイイン 凛「あ…」
絵里「あら、お久しぶりね……凛…」
凛「あ…あはは……」
絵里「そして…そろそろお別れの時間よ」シュンッッッ
凛「ちょっと待って〜〜〜っ!!」シュンッッッッ
真姫「…………」
コチコチコチコチコチ…
真姫(大丈夫…凛の瞬歩はμ’s最速…絵里でも追いつけやしない)
真姫(不安があるのはスタミナ面だけど、2分ぐらいならなんとかなるハズ…) 絵里(海未が何を企んでるのか知らないけど…構わないわ)
絵里(今面倒なのは『勝三時計』持ちの凛…こっちを確実に仕留める!)
凛「ひぃ〜〜〜っ」シュンッッッッ…
絵里「…と言っても、流石に鬼ごっこでは分が悪いわね…」フッ…
絵里「久しぶりに…」
ブウン…
真姫「!」
真姫「あれは…!」
絵里「やっぱり、こっちの方が随分楽ね…」スイーッ
真姫(“飛廉脚”……!)
真姫(スクールアイドルになる前に生徒会長だった絵里は、当然“飛廉脚”も使える……!) 絵里「フフフ…」ブウンッ…
凛「!!」
凛「速い……!」シュンッッッ…
真姫(いや…スピードではあくまで凛が勝ってる)
真姫(でも宙の足場ごと移動する“飛廉脚”は、瞬歩より断然無駄がない)
真姫(平らなステージの上ならともかく、障害物だらけの市街地でこの差は大きい…!)
凛「くっ…」シュンッッ
真姫「凛!逃げてるだけじゃダメ!追いつかれるわ!」
凛「そんなこと言ったって…」
真姫「戦いなさい!何も倒せとは言ってないわ!」
真姫「ある程度牽制を入れて……このままじゃ追いつかれる!!」 凛「凛の弱っちい『月猫夜』なんかじゃ、何にもできないよ…」
真姫「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ!花陽の犠牲を無駄にしたいの!!」
凛「―!」
花陽「」カチコーーーン…
凛「…かよちん……!」
絵里「とらえたっ!」ブウンッッ
凛「―ッ」グルンッ
絵里「!」
凛「『月猫夜』!!」バッ カランカランッ
絵里「…………」
凛「冷やし中華……の氷」
絵里「……」ジト…
凛「ま…まいどありだにゃ〜……」アハハ…
絵里「――」ブウンッ
凛「ひい〜〜〜っ!」シュンッッッッ
真姫(す…救いようが無い…!)
凛「こんなの不本意だにゃ〜〜〜っ!」 凛「もぉ〜〜〜っ!海未ちゃ〜〜〜んっ!!」
海未「…凛…全く…」ギュッ…
物陰から絵里と凛の様子をうかがう海未。
海未「また泣き喚いて…見苦しい…」ギュッ
海未「…帰ったら山頂アタック百連発です……」ギュウッ…
海未「……これでよし」
ギュウウウウウウウ…
海未「卍解―――……」ドオオッ… 星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。 凛「うわあ〜〜〜ん!」シュバババッッ…
絵里「いよいよ万策つきたわね…」
絵里「フンッ!」ブウンッ
凛「ひいっ!」
コチコチコチコチコチ
真姫(追いつかれる…!)
凛「もうダメだにゃ〜〜〜!」
海未「絵里!!」ザッ
絵里「!」ピタッ
凛「海未ちゃん!!」パアッ…
凛「!?」 絵里「何……それは」
海未「卍解」
海未「『園田流雷公鞭』」ガシャアン…
凛「ばんかい…」
凛(海未ちゃんの卍解……初めて見る…)
絵里(右腕に巨大な……何?アレは?)
絵里(…ずいぶん重そうね……)
海未「凛も…よくこらえてくれました」ギュウウウウ…
絵里(それに『愛ばん』の夢の木と…『もぎゅ』で自分を縛ってる…)
絵里(足元のアレは『未来の花』で根を張ってる…?)
絵里(なんのためにあんなに自分に縛道を…) 海未「――――できれば」
海未「この卍解は使いたくありませんでした」
絵里「………何?」
海未「この卍解は私の弓道家としての矜持に反するのです」
海未「威力は絶大…紛うことなき一撃必殺です」
絵里「…………」
海未「しかしその様は」
ガシャアン
海未「“弓道”と呼ぶには派手すぎます」チュイイイイイン… 絵里「!!」
絵里(まさか、あれを直で飛ばす気!?)
絵里(弓っていうか、ミサイル――)
海未「はあっ!!」ドオォォン
絵里「くっ!」バッ
絵里「『永零智禍』!!」コオオオオ
海未「無駄ですよ!」ドヒュウウウウウウウ
カッ…
絵里「――――!」
チュッドオオオオオオオオオオオオオオン 希「!!?」グルッ
凛「爆発した!!」
凛「ってことは――」
真姫「凍ってない!絵里に届いたんだわ!」
モクモクモクモク…
海未「当然です…『園田流雷公鞭』の貫通力は花陽のお米の比ではありません…」
ハア…ハア…
海未「反動も大きすぎて…縛道を何重にもかけなければ撃った私が遥か彼方に吹っ飛ばされてしまう程ですからね…」
海未「…体力の消耗も……」フラッ…
凛「海未ちゃん!」シュンッッ
ガシッ 海未「ハァ…凛に介護されるとは…」
海未「私もまだまだ…鍛錬不足ですね……ハァ…」
凛「もぉ〜、海未ちゃんったら、また凛のこと子供扱いして…」
真姫「やった…やったわ……」
真姫「倒した……あの絵里を…!海未と凛がやったわ……!」
モクモクモクモク…
希「…えりち……」
凛「2分も時間稼ぐの、すっごく大変だったんだよ!」
凛「ラーメンの一杯ぐらい奢ってほしいにゃ〜」
海未「…その前に…山頂アタックですよ……」フフ… 園田海未――『神弓』
卍解:『園田流雷公鞭』
形状:ミサイル。
能力:特になし。 希「…………」
「殺し合いの最中によそ見ですか……」
希「!」
聖良「ずいぶん…余裕ですね……」ヨロッ…
希「…殺し合いしてるつもりはなかったんやけど」
聖良「ハァ…!?」
鞠莉「それはいくらなんでも…」ヨロッ…
ダイヤ「ナメすぎですわ……」ヨロッ… 希「…流石に、みんな強いなあ…」
希「普通なら一発KOなんやけどね」
希「そこの理亞ちゃんみたいに」
理亞「」
聖良「…理亞…」
ダイヤ(無理もありませんわ…かわいらしい見た目からは想像もできないこの威力)
ダイヤ(喰らったのがルビィでも同じことになっていたでしょう…)
希「まあでも、あと二三発って感じやね」
希「どうする?逃げれば見逃すよ」
ダイヤ「……っ!」
鞠莉「誰が…!」 聖良「余裕ぶってもダメです…」
聖良「絵里さんも陥落して…残るはアナタ一人」
聖良「もはやアナタ達の敗北は…」
希「…う〜ん…」ポリポリ
希「それはちょっと違うなあ」
三人「え?」
カッキイイイイイン
海未凛「!!」
真姫「なっ…」
真姫(爆発で巻き上がった煙が――凍っ――) パリィィィィィィン…
希「えりちは負けないよ」
希「なんたってえりちは……」
コオオオオオオオオ…
絵里「…………」
コチコチコチコチコチコチ…
凛「あっ…ああ…ああああ……」ガチガチガチ
海未「そんなっ…」
海未「そんな馬鹿な……!!」
希「無敵……やからね」 凛「なっ…なんっ…なんで…っ」
絵里「……理解できない?」
真姫(傷一つついてない……)
真姫(ありえない!!)ガタガタガタガタ
絵里「死とはそういうものよ」
海未(馬鹿な!!『園田流雷公鞭』が爆発したということは凍らされる前に着弾したということ!!)
海未(着弾した上で無傷!?いやそれはない!!)
海未(絵里の“鋼皮”の硬度は真姫ほどではないハズですし、たとえ真姫でも『園田流雷公鞭』を受けたら粉微塵に消し飛ぶに決まっています!!)
絵里「そう…これからあなた達が死ぬまで」
絵里「あなた達の頭で理解できることなんて何一つ起こることはないわ」 絵里「卍解」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
凛「ひいいっ」
真姫「―ッ」
海未「…馬鹿な…ッ」
コオオオオオオオオオオオ…
絵里「『賢可愛氷女王(エリーチカ)』」
to be continued… >>835
最後の台詞、エリーチカが言うとかっけーな 海未ちゃん卍解があの卍解だったから負けが見えてしまった… 月猫夜でラーメン屋してた方が身のためだった にゃ… 真姫「あれが……絵里の…卍解……」
海未(…忘れもしません……!)
絵里「………」シャラン…
海未(あの純白のバレエの衣装……)
海未(絵里の幼少期……エリーチカの戦闘の装束……!)
絵里「そう身構えなくていいわ」
絵里「私の『永零智禍』は……たぶんμ’sで最も始解と卍解の能力の差が小さい斬魄刀」
絵里「卍解しても気の利いた能力が増えるわけじゃない…」
凛「……っ」ブルブル
絵里「ただほんの少し――」 コオオオオオオオ
海未「!!」
絵里「冷気の速度と範囲が伸びるだけ」
コオオオオオオオオオオ
凛「にゃっ」シュンッッッッ
海未「くっ…」シュンッッッ
コチコチコチコチコチコチコチ
カスッ…
海未「!!」ピキ… 海未「う…」
ピキピキピキ…
海未「うああああああああ!!」ピキピキ
真姫「なっ――」
真姫(あの間合いから海未の指先に掠るなんて――)
凛「あっ…」ピキ…
凛(真姫ちゃんの『勝三時計』が……)ピキピキ
真姫「いいわ凛!!捨てて!!手まで上ってくる!!」
凛「くうっ!」ポイッ 海未「凛!!りーんっ!!!」
凛「――っ」グルッ
ピキピキピキピキ
海未「私の腕を斬り落としてください!!」
凛「海未ちゃん…!」
ピキピキピキ
海未「早くしなさい!!私を殺したいんですか!!!」
凛「っ!」
シュンッッッ
凛「うわああんっ!凛はこんなこと全然したくないのにー!」ブンッ 斬ッッ
海未「…………っ」
間一髪、凍りゆく海未の左腕は身体から斬りおとされた…。
凛「うう…心が痛いにゃ……」
ピッキイイイイイン
凛「!」
凛(海未ちゃんの左腕が…)
パリイイイイイイイイイイン
凛「〜〜〜ッ」ゾワア… 絵里「滑稽だわ」
海未「!」
コオオオオオオオオ…
絵里「海の名を持つあなたが、凍らされることに怯えるなんてね」
海未「…絵里…………!」ギロリ
真姫(ヤバいなんてもんじゃないわね……)
真姫(海未でさえ……凛でさえ完全には逃げ切れなかった)
真姫(誰もかわせない…誰も逃げられない……!)
真姫(それにさっきの海未の『雷公鞭』…あれを止めるなんて)
真姫(力ずくで冷気のバリアを突破して倒すのは絶対不可能だわ!!) 絵里「フフ…一息つく暇もないわよ」
絵里「ほら第二波…」ス…
海未「!!」ビクッ
コオオオオオオオオ
凛「まっ、また来たーっ!!」
海未「この私に二度同じ手が通じるとでも!?」バッ
海未「破道の七!『知らないLove*教えてLove』!」
絵里「…なな……?」
ヒュオオオオオオオ 凛「風だ!やった!冷気はこの激しい風にさらわれ…」
カッキイイイイイン
凛「な〜い!やっぱり風なんか一瞬で凍らされるだけだよ!」
海未「だから良いんですよ、凛」
海未「身体を包む風を一瞬で凍らせてくれるから良いんです!」バッ
真姫「あれは!」
海未「行きますよ絵里!!」
海未「私は逃げも隠れもしません!!」カッキイイイイン
真姫「凍った風をまとって冷気に突っ込んだッ!」
真姫「防火服を着て炎に突っ込む消防隊のように!!」 海未「触れれば凍る冷気ならば触れなければいいのです!」
海未「そして既に凍った“風の鎧”なら、凍ることはありません!もう凍っているのですから!!」
真姫(上手い!鎧と身体の間にわずかに空気の隙間を作ってる!)
真姫(あれなら身体が凍って身動きがとれなくなることはないわ!)
ヒュオオオオオ
真姫(それに海未自身が盾になって防いでるから、背中に吹く風は凍らない!)
真姫(その風を推進力にしている!)
凛「いっけー!」
絵里「…くだらない発想ね」
絵里「神風特攻……二つ欠陥があるわ」
コオオオオオオオ 絵里「一つ…“凍ったものは凍らない”……氷が氷以上にならないという意味ではその通り」
絵里「だけど……」
カチコチ…
海未「……!」
ズシイ…
凛「氷の鎧がどんどん大きくなってる…!」
絵里「氷の鎧は凍らなくても、その周りの空気は凍っていく」
絵里「つまり鎧は際限なく大きく、重くなっていく」
海未「……ッ」ズン…
真姫(海未のスピードが段々遅くなってる…)
絵里「しまいに動けなくなれば、中のあなたは凍らされてるのとなんら変わりないわ」 凛「海未ちゃん!」
海未「問題ありません!」
海未「このペースなら、動けなくなる前に射程距離内に到達できます!」
絵里「そして二つ目…」
カチコチカチコチコチ
海未「っ!」
海未(なっ…凍るペースが一気に……!)
真姫(加速度的に速くなっている…!)
絵里「私の冷気の“冷やす力”は等しくないということよ」
絵里「私の身体に近づけば近づくほど“冷やす力”は強くなる」 絵里「太陽に突っ込むようなものよ」
絵里「中心まで……私まで届くことは決してない」
ミシ…
海未「あと少し…っ」
海未「あと少しで私の射程距離なのに……!」
真姫「…ダメだわ……もう…ッ」
ピタ…
凛「と…止まっちゃった……!完全に…!」
絵里「だから『永零智禍』は無敵だと言うのよ」 絵里「ミサイルだって止められるのに、あなたのやけっぱちな突進ごとき止められないわけがないでしょう?」
海未「…私の方は、別にあなたの身体に触れるまで届かなくて良いのです…」ピタ…
海未「ただ…“射程距離”内に入れれば…」
絵里「あらそう。なんでもいいわ。とにかくもう終わり」
絵里「あなたはもう1ミリたりとも前に進めない」
海未「もう少しなのに…っ何故…」プルプル
絵里「そういうものよ…何をする気だったか知らないけど」
絵里「決定的な“もう少し”は得てしてどうしようもなく遠い」
絵里「これが私とあなたの実力の距離――」
絵里「というには余りに近すぎるわね……フフ…」
ズ…
海未「―!」
絵里「え?」 ズズ…
絵里(海未が前進――なんで――)
「よくわからないけど…」ズズ…
海未「貴方―!」
真姫「あとちょっと近づけば本当に絵里を倒せるんでしょうね!?」グググ
絵里「真姫!背中から押している!」
絵里(背中は冷気の死角になる!凍る速度はこの距離でもやっぱりまだ遅い!)
絵里(とはいえ――)
真姫「この私が捨て身でサポートしてあげたんだから…」ピキ…
海未「真姫…!」
真姫「負けたら承知しないわよ――」ピキピキピキ 真姫「」カチコーーーーン
凛「真姫ちゃーん!」
絵里(プライドの高い真姫が身を呈して――)
海未「貴方の覚悟を無駄にはしません!」バッ
絵里「くっ――」シュ…
海未「遅い!!」
海未「縛道の九十八!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
絵里「……!」
海未「『乙姫心で恋宮殿』!!」 絵里(九十番台詠唱破棄―!)
絵里(本当に……)
ギイイイイイイイイ…
絵里「…………」
バッタアアアン!
巨大な宮殿が何重にもなって絵里を一人包み込んだ……。
絵里「…フン」
シィン…
絵里「こんなもので私を閉じ込められるとでも思っているの?」
絵里「まだ私の力が分かっていないようね…」ス…
「この『恋宮殿』は……貴方を閉じ込めるためのものではありません」
絵里「!」 海未「さっき貴方は…冷気を縦に伸ばして、ミサイルの勢いを極限まで減衰させ――」
海未「最後は分厚い氷の盾にでも着弾させたんでしょう…だからミサイルは爆発もしたし貴方は爆風からも身を守れた」
絵里(壁の外側…隣の部屋?から…)
海未「だったら」
ギイイイイイイ…
絵里「!」
絵里(扉が開いて…)
海未「その一撃を、この至近距離から、爆風を全く逃がさない場所で浴びせられたらどうでしょう?」チュイイイイイン
絵里「…この素人風情が…ッ!」
海未「『園田流雷公鞭』」ガシャアン
海未「やりなさい」
カッ… ズッドオオオオオオオオオアアアアアアアアン
凛「!!」
パラパラパラ…
凛「スゴイ音…」
凛「海未ちゃんの『雷公鞭』が成功したんだ……!」
バラバラ…
凛「一発で『恋宮殿』がボロボロに……ほんとにスゴい威力だにゃ…」
凛「やった…よね?今度の今度こそ…!」
ピキピキッ
凛「えっ」
「調子に……」
凛「ちょ……ちょっと…冗談でしょ…っ」ブル… 絵里「調子に乗るんじゃないわよ……」
カッキイイイイイイイン
凛「こんなの反則だにゃ〜〜!!」
絵里「ド素人が…ッ!」ハアハア
凛「あの距離からミサイルを完全に凍らせて止めたっていうの!?」
凛「ありえない…!!」ガタガタ
絵里「詰めが甘い…甘すぎるのよ!」
絵里「一発目の『雷公鞭』を受けたときの私は始解!今は卍解!!」
絵里「卍解した私が全身360度に纏って伸ばす冷気の…ほぼ全てをこうやって前に持ってくれば!!」
絵里「至近距離からのミサイルだって受け止めることはできるのよおお!!」
海未「……なるほど…」 海未「ならば今の貴方の背中はガラ空きということ」
海未「いくらでも…」シュンッッ
絵里「人の話ぐらいちゃんと聞いてなさいよ!」
絵里「だから素人なのよあなたは!!」
コオオ…
絵里「私は“ほぼ”全てって言ったの!」
絵里「薄っぺらだけど背中にもあなたのケチな攻撃を受け止められるぐらいの冷気は残してあるわ!」
海未「……」
絵里「ここにもう一発『雷公鞭』を打てるっていうんならそりゃ止められないけど!」
絵里「無理無理無理よね…二発でも相当無理してる…それは分かってるのよ!」 海未「だから貴方はポンコツなんですよ」
絵里「…はあ?」
海未「人の話ぐらいちゃんと最後まで聞きなさい」
海未「私はこう言いかけたんです」
海未「今の貴方の背中からいくらでも――」
ス…
海未「近づける…ってね」
絵里「ポンコツはどっちよ!?近づいてどうするっていうの!?」
絵里「いくら近づいても私の身体に届くことは決して――」
海未「射程距離ですよ」 海未「“この技”は発動さえすれば必殺ですが射程距離がごくごく狭い…こうやってすごく近づかないと発動できないのです」
海未「待っていましたよ………この時を!ずっと!」
絵里「なんでも一緒よ!どんな技もどんな攻撃も私には届かないんだから!」
絵里「一から十まで百まで千まで!凍ってくだけるだけなのよ!!」
海未「…本当にそうでしょうか?」
ギュル…
絵里「!!!」
海未「確かに外から放つ攻撃なら貴方を纏う冷気に凍らされるだけでしょう」
海未「でも“内側”からなら…?」
ギュルルルルルル
絵里「これは…まさか……ッ」
海未「縛道の六十三―――『勇気のReason』」 不思議、熱くなる!
踏み出したらもう走らなきゃ
絵里「ああッ!」
みんなこうなっちゃうの?
高まってく
ギュルルルルル
ああ止まらない
絵里「あああ〜ッ!」
やってみたいと思う事を数えながら進むよ
絵里「ああああああ〜〜〜〜ッ!!」バタバタ ギュルルルルルル…
絵里「許さない許さないわ!ド素人が!!」
絵里「この期に及んでこんなふざけた技――」
海未「ふざける?馬鹿言わないでください」
海未「この『勇気のReason』は、私の“持ち歌道”です」
絵里「…………」ギュルルルル
寄せては返して輝く波を私は見ていた
海未「貴方を倒すことを願い続けた私の――そして“歌道”のプロフェッショナルである私の」
知らない世界へ飛び込む勢い
海未「れっきとした最後の切り札…………無敵の貴方を殺す、必殺の一手です!」
絵里「………ッ」フルフル 絵里「………も…もう…」ブルブル
海未「ふざけてるのは貴方の肛門だけですよ」
私のなか
海未「――『生まれたReason why now?』」
絵里「認めないいイイイイ!!認められないわああアアアアアア!!」
ブッチブリブリブリブリイイイイ!!!
凛「うっわあ…」
海未「決着です」 カキイイイイン
海未「!」
パリイイイイン
絵里「」ガクッ…
海未「……」
海未「最後の力で、自分のウ…排泄物だけはこの世から消し去りましたか…」
サラサラ…
海未「ポンコツは撤回します」
海未「絵里…確かに貴方は、私がずっと目標とした、誇り高い戦士でした」
凛「さすがにフォローに無理があるにゃ〜」 絢瀬絵里――『永零智禍』
卍解:『賢可愛氷女王』
形状:なし。(本体はバレエの衣装に変わる)
能力:瞬間冷凍。 ルビィ「梨子ちゃん、どこにもいないね…」
花丸「もう残ってるのは…」
・音の木坂学院にて、梨子を探すAqoursの一年三人。
善子「ここだけね」
ドドドドドドドドドドド
『図書室』
ルビィ(何か感じる……この部屋の中…)
花丸(“誰か”が……いる?)
善子「開けるわよッ!」
ガララッ! 善子「!」
花丸「!」
ルビィ「!」
梨子「あ……」クルッ…
花丸「り…」
梨子「花丸ちゃん…ルビィちゃん…それに……」
善子「リリー!」ダッ
ハグウッ
梨子「…善子ちゃん…」ナデ… 善子「バカバカバカ!どこ行ってたのよ!」
善子「心配………したんだから」ギュッ…
梨子「…ごめんね……」
梨子「絵里さんが健在のうちに居場所がバレちゃうと危ないから…」
花丸「絵里さん…」
花丸「!」ハッ
ルビィ(絵里さんの霊圧が消えてる…!)
ルビィ「お姉ちゃん達、勝ったんだぁ!」パアッ…
梨子「…ダイヤさん達にも……後でちゃんとお礼言わなきゃな」
善子「………」ギュウウウ…
梨子「みんなも…私のために本当にありがとう」 梨子「そして」
ズンッ
善子「――っ」
花丸ルビィ「えっ」
ブッシャアアアアアアアア…
梨子「さよなら」
善子「………………」
善子「………………………?」ズキン…
シャアアアアアア…
善子「嘘」 ドシャアアッ
花丸「善子ちゃん!!」
梨子「………」チラ…
ルビィ「え、あ…え、……なんで」
花丸「善子ちゃん!善子ちゃんっ!!」ユサユサ
善子「」
ルビィ「梨……子…ちゃん」
梨子「………」チラ… シュンッッ
ルビィ「!」
斬ッ 斬ッッ
ルビィ「――っ」
花丸「…………っ!」ユラ…
ドシャシャア!
梨子「…………」
し〜ん…
梨子「フン」
スタスタ… 桜内梨子――『桜内』
解号:「叫べ青春」
形状:桜色の日本刀。
能力:斬ったものの“支配権”を奪う。 適用範囲は狭め。 希「………………」
絵里「」
希「…えりち……」
聖良「感傷に浸っているヒマはないですよ」
聖良「アナタもすぐああなります」
希「……………」
聖良「それとも降参ですか?って」
聖良「させると思いますか?私が――」チャカ…
希「…ごめんね聖良ちゃん」 ギアアアアアッ
聖良「!!?」バッ
希「時間や」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
突如空間が裂ける。その狭間に巨大な霊圧が1人――――。
鞠莉「…あれは――」
シュンッッッッ
斬ッッッ 鞠莉「なっ…」ブシャアアッ
ダイヤ「鞠莉さ――」
グサアアアッ
ダイヤ「――っ!」ブシャアアアア
シュンッッッッ…
ダイヤ「…馬鹿な……」ガク…
聖良「…っ!」
聖良「『雪天狂骨』!!」ジャギイインッ
のんたぬ「クゥ〜ン…」スリスリ
聖良「!!」 ドッカアアアアアアアアアン
希「“梨子ちゃん”がね……」
モクモクモクモク…
希「もう、待てなくなっちゃったみたいなんよ」
「何よ、絵里のやつ、負けたワケ?」タンッ…
海未「…………」
凛「え?え?え?」
にこ「ざまあないわね…」 凛「にこちゃん……なんで…」
海未「…どういう事です?」
にこ「Aqoursは敵、だから斬った」
にこ「なんか疑問の入る余地ある?」
海未「大アリです」
海未「にこ、貴方は『スクールアイドルの戦いは挨拶から始める』が信条のはず…」
海未「らしくないですよ」
希「……」
海未「そして…こっちはもっと大問題です」
海未「貴方の“瞬歩”…………そんなに速かったですか?」
にこ「…………」
海未「何か……不純な力を……何者かから与えられたかのような……」 にこ「ちいッ」
にこ「面倒だわ…」
シュンッッッッ
海未「―!」バッ
ガキイイン!
凛「にこちゃん!?何を――」
にこ「ま…当然受け止めるわよね?」
海未「…大手を振って訊けますね」
ギリギリギリ…
海未「どういう事です?」 にこ「知る必要のないことよ」
にこ「これから死ぬアンタ達にはね」
海未「…あらゆる意味で……正気の沙汰ではありませんね」
にこ「…………」
海未「自分の“序列”を忘れたんですか?」
海未「私は“3”、貴方はドンケツの“9”」
海未「下駄の一つ二つ履かせてもらったところで格が違います」
海未「“3”が“2”を倒すのとはワケが違いますよ……」
にこ「μ’sの力の数字が1から9だって誰か言った?」
海未「は?」
ス…
にこが首元を見せる。そこには確かに“9”の刻印……。 スウウ…
海未凛「!!」
ドドドドドドドドドドドド
“9”の字の下半分が消え、にこの首元には上半分だけが残る……。
凛「あれは……」
海未「丸…?いや、まさか……」
にこ「ミューズの力の序列は0から8よ」
海未「ゼロ………!?」 にこ「私は“あるもの”の大きさが変わることで数字の変わる唯一のミューズ」
海未「大きさ…?」
海未「…何も…特に変化があるようには見えませんが」
にこ「せっかちね、これから変わるのよ」
にこ「そしてその力でアンタ達は死ぬことになる…」スチャ…
海未「…卍解ですか……望むところ…」
にこ「卍解?ハッ、笑わせんじゃないわよ」
にこ「梨子様は卍解なんかよりもっと素晴らしい力を私にくれたのよ…」
海未「…梨子様…?」
にこ「帰刃(レズレクシオン)」
にこ「『伊達女子道…………増胸(まさむね)』」 ズオオオオオオオッ
海未「!!?」
凛「えっ――――」
ドドドドドドドドドドドドドドド
にこ「……………………ハ」
希「…………」
にこ「ハハハ…」
ぼいんっ
にこ「ハハハハハハハハハハハハ!!」ボインボイン
凛「にこちゃんのおっぱいが大きくなってるゥ〜〜〜ッ!!」 にこ「見える見える見える見えるわ!!」
ボイン!ボイン!
にこ「これが巨乳ね!!」
にこ「これがおっぱいね!!」
にこ「これが世界ね!!」
凛「…………!」ガクガクブルブル
にこ「そして…」チラッ
にこ「……それがアンタね」
にこ「海未」
海未「…………」ペッタン…
にこ「思っていたより…」
にこ「哀れだわ」
海未「……………………」ジト…
to be continued… 遅くなりまして済まぬ
このスレ内での更新は次回がラストです 乙
愛染様枠は梨子ちゃんだったか
Aqoursは相変わらず空気だがどうなるか 凛「にこちゃんが…レズレクシオン……!?」
海未「そこまで堕ちましたか………にこ!」
にこ「随分な言い草ね」
にこ「ことりも使うレズレクシオンを、私が使ったら堕落になるわけ?」
海未「そうではありません!」
にこ「…………」ボインボイン
海未「己の信条も……仲間も捨てて!梨子に魂を売ってまで!」
海未「過ぎた胸を手にしようというのが、堕落だというのです!」
にこ「うるさいわね…」ギリ…
にこ「アンタの説教なんて………」ス… ヴォンッッッッ
凛「響転(ソニード)!」
にこ「聞きたくはないのよ!!」ブンッ
海未「……」バッ
ガキイイイイン
にこ「エラっそーに上からもの言うんじゃないわよ」
海未「…………」
ギリギリ…
にこ「今やあんたは“数字”でも、おっぱいでも私の下なんだからね……!」 海未「…ぬるい」
にこ「あ?」
海未「あまりにぬるいですよ…にこ……」
ギリギリ
海未「貴方、いつからこんな単純な攻撃しかできなくなったんです?」
海未「貴方の『政宗』は……間合いも軌道も変幻自在」
海未「私でも、こんなに容易く刀を合わせられる代物ではなかったはずです…」
ギリギリ…
海未「思い出してください!にこ!」
海未「私は貴方を斬りたくはありません……」
にこ「………………」
海未「貴方は何のためにスクールアイドルになったのですか!?」 にこ「やかましいッ!」ズオオッ
海未「――!」
グググググ…
海未(なんです…!?剣圧が……!)ギリギリ
にこ「上から物言うなっつってんでしょーがッ!」
にこ「攻撃が単純!?単純で結構!!」
海未「くっ…」ギリギリ
にこ「ちょこまか小細工弄するのは弱者の戦法よ!」
にこ「私には必要ない!もう!!」
ガバアッ 海未「――っ…」
海未(しまっ…!)
にこ「ハイ!お腹ががら空き!」
にこ「もらったあっ!」ブンッッ
シュンッッッ
にこ「ん?」
スカッ…
海未「……!」
「ごめんね、海未ちゃん…」タンッ…
にこ「…へえ…」
凛「この戦い……凛にも立ち合わせて欲しいにゃ!」グッ 園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。
星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。 「な……」
梨子「……」ピタ…
ルビィ「な…んで……こんな………」ピクピク
梨子「ルビィちゃん……フフ……」
梨子「腐ってもダイヤさんの妹…でも今はその半端な地力の高さが逆に辛いね」
善子花丸「」
梨子「二人みたいに気絶できた方がどんなに楽なことか…フフフ…」
ルビィ「………てたのに」
梨子「え?なに?…聞こえないよ」 ルビィ「ルビィはずっと!梨子ちゃんに憧れてたのに!!」
ルビィ「ルビィだけじゃない!善子ちゃんも!花丸ちゃんも!」
ルビィ「それに千歌ちゃんも!曜ちゃんでさえ!」
梨子「……」
ルビィ「みんな、梨子ちゃんには憧れ――」
梨子「いい機会だわルビィちゃん、一つ覚えておくといい」
梨子「憧れは理解から最も遠い感情だよ」
ルビィ「―――――ッ」
梨子「みんなが理解してなかっただけなんだよ」
ルビィ「……そん……な…」ガクッ
梨子「私の本当の姿をね――」クルッ
ルビィ「」
梨子「フフフ…」スタスタ… にこ「へえ…」
・内浦。
にこ「あっこから海未を担いで私の剣を躱せるのね〜」
にこ「えらいえらい」
凛「…………」グッ…
にこ「ちゃんと鍛錬してるみたいね……凛」
凛「……にこちゃん」
にこ「それでいいのよ……アンタの強みはその“瞬歩”」
にこ「『月猫夜』の能力はハッキリ言ってカスだけど……スクールアイドの強さは“斬拳踊歌”の総合力なんだから」
にこ「斬魄刀がてんでダメだからって、そう落ち込むことはないわ」
海未「…………」
にこ「ただ…」 にこ「その“瞬歩”一つで私の前に立つってのは、自信過剰が過ぎるんじゃないの?」
凛「…にこちゃん…」
にこ「もう私はアンタの下の9番じゃないのよ」
にこ「アンタから最も遠い存在……第0μ’s、矢澤にこなんだから」
凛「なんで……」
にこ「……なんで?」ピクッ…
凛「なんで凛達を裏切って、梨子ちゃんの下に……」
凛「そこまでして、巨乳なんかに――」
にこ「――」ヴォンッッッッ
凛「――!」
斬ッッッ ドシャアアッ
海未「凛っ!!」
にこ「…さっき言ったわよ」
にこ「これから死ぬアンタ達に、説明してやる義理はないって」
凛「…だったら……」ムクッ…
にこ「!」
凛「力づくで吐かせてあげる……」グッ
にこ「…踏み込みが浅かったみたいね……」
にこ「甘いわ、私も…」フン…
凛「違う」 凛「凛が反射的に半歩下がったの」
にこ「…………」
凛「剣を抜いて立つときは……常に半歩躱せるように構える」
凛「そうすれば…胸がうすっぺらな凛なら……どんな攻撃でも、心臓に届く前に避けきれる」
凛「にこちゃんの教えだよ」
にこ「………………」
凛「にこちゃん……にこちゃんがいたから、凛は……」
カッ…
凛「!!」
にこの胸元――膨れあがった双丘の両の先端が白く光る――。
にこ「乳閃(セロ)」
ドッカアアアアアアン パラパラ…
凛「…う……」ユラ…
にこ「……」
凛「にこ…ちゃ……」ガクッ…
にこ「…ノーモーションからの高速破壊光線」
にこ「流石のアンタも避けられるわけないわよね…」
海未「……卍解…」
にこ「!」クルッ
ドドドドドドドドドドドド… 海未「『園田流雷公鞭』!!」ガシャアアン
にこ「はあん…」
にこ「ずいぶん消耗してるみたいだけど、まだ出来たのね、ソレ」
海未「…出来ませんよ…」
にこ「はあ?」
海未「体力は半分…霊圧は残り二割前後……」ハア…ハア…
海未「この卍解の一撃は……下手したら失敗して、力尽きて死にます」
にこ「……それをなんで撃とうとするわけ?自殺志願?」
海未「私は怒っています!!」 海未「にこ……貴方が梨子なんぞの下に甘んじるのはこの際どうでもいいです」
海未「不愉快ですが……ガッカリですがどうでもいいです!」
にこ「…ハッキリしなさいよ……」
海未「許せないのは……貴方が平気で後輩に刃を向けることです」
海未「私にではありません!貴方を慕う凛に………!」
海未「貴方を尊敬する凛を、貴方は……!」ハアハア
凛「……海未…ちゃん………」
海未「刺し違えてでも殺します!!」
海未「今の貴方は、花陽にはとても見せられません……!」
にこ「…質問の答えになってないんだけど……まあ良いわ」
にこ「ここからはハッキリと殺し合いってことね…」チャカ…
ヴォンッッッッ 斬ッ!
海未「うッ!」
海未「…この……」
にこ「遅い!」ヴォンッッ
海未「っ」
にこ「フンッ」ブンッ
ブシャアアアッ
海未「痛ッ…」
にこ「卍解したのが大失敗ね!」
にこ「そんな重いもんぶら下げてたんじゃ瞬歩もろくに出来ないでしょ!」
海未「……っ」タラ… にこ「そして刀を受け止めることも!」ブンッッ
海未「縛道の三十」
にこ「!」
海未「『もぎゅっと“love”で接近中!』」
モギュッッ!
にこ「……!」
海未「受け止めることが……なんですって?」
ギュウウウウウウ…
にこ「…参るわ」 にこ「わかりきったセリフを、最後まで言わせないでよね…」
にこ「受け止めることは………」
ズオオオオオッ
海未「!」
にこ「できないっつってんの!!」
バァァーンッ!
海未「力ずくで『もぎゅ』をふりほどいた!」
海未「どういう馬鹿力ですか!」
にこ「スクールアイドルの力の大きさと霊圧の大きさ」
にこ「そして霊圧の大きさと胸の大きさは…………ほぼ比例する」
海未「…!」
にこ「絵里や希を見れば明らかでしょ?」 海未「…真姫は……」
にこ「胸は人並みね、でも代わりにケツがゴリラ並みでしょ」
海未「なるほど」
真姫「」カチコーーーーン…
海未「で…貴方のその作り物の胸にも………霊圧がいっぱい詰まっているというワケですか………」
にこ「そういうことよ」
海未「にこ……そんなものが…貴方の欲しかったものなんですか…?」ハア…ハア…
にこ「……」
にこ「この状況でそのセリフは、負け惜しみに聞こえるわよ…」
海未「そんなものの為に貴方は、私達を――」 にこ「そんなもの!?」クワッ
海未「…!」
にこ「なんで!?どうして!?そんなものの為に!?」
にこ「うるさいうるさいうるさーい!!」
海未「…にこ……」
にこ「アンタらに何が分かるっていうのよ…!」
にこ「バスト74cmで、壁だ無乳だまな板だの煽られて」
にこ「その数字さえも3cmも盛ってるっていう私のこの惨めな気持ちが、アンタらに分かる!?」
海未「………………」
にこ「なんでもへったくれもない!!」
にこ「巨乳は私の憧れなのよ!」
にこ「一度でいいから私もこうやって、本物のおっぱいをぶら下げてみたかった……!」 にこ「その為になら、梨子の足の裏だって喜んで嘗めてやるわ…!」
海未「……………」
にこ「その為なら、アンタに凛……真姫や…花陽…だって」
にこ「平気で殺せるんだから…!」グッ…
海未「……………………」
海未「…………」
海未「わかりました」ス…
にこ「…?」
海未「貴方の本心が聞けてよかった」
にこ「あ…?」
海未「私の心は…………既に貴方を許しています」
にこ「許す…?」 にこ「神のような口を聞くんじゃないわよ!!」カッ
にこ「誰が許せなんて言った!?」
ヴォンッッッ
海未「!」
ガシイッ
凛「海未ちゃん!」
海未「うッ…」
にこ「さっきの威勢はどうしたのよ!!」
ギュウウウウ… 海未「く………が……っ…」
にこ「私を殺すんでしょ!殺しなさいよ!!」
ギュウウウウウウ
にこ「こんな私を花陽に見せていいって言うの!?」
ギュウウウウウウウウウ
海未「……………っ…」
にこ「なんとか言いなさいよ!!」
海未(…にこ……) 海未(私は理解しました)
海未(貴方は本当は世界が憎いのだと)
海未(自分を貧乳にした世界が憎いのだと)
海未(しょうがないことです)
海未(実数値71cmなどという殺人的なバストサイズに生まれれば、誰でもそうなるハズなのです)
海未(貴方がそれでも世界を愛そうなどと、聖者のような口を聞く人でなくて良かった)
海未(そういう貴方の飾らない心を、私は――)
海未(私達は尊敬していたのですから)
ギュウウウウウウウ…
にこ「…なんとか………言いなさいよ…………!」
海未「……………………」ダラリ… 海未(御免なさい凛)
海未(御免なさい花陽)
海未(御免なさい…………にこ)
ギュウウウウウウ…
海未(やっぱり私に………)
にこ「………っ」ギュウウウウ
海未(にこは……殺せな……)
シュンッッッッッ
海未「!」
グサアアッ
にこ「―――ッ!」 超速の“瞬歩”と同時に、一本の刀がにこの背中から胸を貫いた……。
「やっぱりにこちゃんは……前までのにこちゃんじゃない」
にこ「……アンタ…」
凛「胸が無いときのにこちゃんなら……この程度の一撃は躱してた…!」
海未「…………凛…」
凛「『月猫夜――参の舞』」
凛「『チャーシュー』」
ボタボタッ
にこ「は?」 ジュワアアアア
にこ「私のおっぱいがチャーシューになったァー!!」エエエエエ
海未「…よかったじゃないですか」ケホ…
にこ「!」
海未「これで何もかも元通りです」
海未「花陽にも会わせられますよ」モグモグ
にこ「いや、なんで食べてんのよ」
凛「まず〜い!」ペッ
にこ「残さず食べなさいッ!!」 矢澤にこ――『政宗』
帰刃:『増胸』
形状:巨乳化。
能力:乳内の霊圧が爆増したことで力が上がる。
備考:これは梨子に開発されたものでにこ本来の力ではない。 希「…………」ジト…
凛「不味くってもう食べられないよ〜〜〜!」エーン
にこ「気合で押し込みなさい!私の血と汗と涙が詰まってるんだから!」
海未「そう言われると余計に不味く感じます…」モグモグ
にこ「ぬわんでよッ」
ギャーギャー…
希「ふふふ」
希「やっぱりにこっちは、“そっち”の方が似合ってるやん」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
海未にこ凛「!」 にこが出てきたときと同じように空間が裂ける。
希「…遅かったね」
ドドドドドドドドドドドドド
海未「……!」
にこ「あいつは…!」
梨子「可愛い後輩との今生の別れだもの」
梨子「ちょっとぐらい大目に見てよ」
凛「桜内…梨子ちゃん…」
梨子「それよりこっちはどうなってるの?」
梨子「にこさんは…」 希「あの通り」
梨子「……」チラッ…
にこ「……………」ペッターン…
希「やっぱり自分は梨子ちゃんの下につくタマじゃないって」
梨子「…そ、残念だけど仕方ないわね」
梨子「私も好みのタイプではないし」
海未「希!!」
希「おっと」
希「なあに海未ちゃん、急に大きい声出さんどいてよ、ビックリするやん」 海未「いつから梨子と組んでたんですか」
梨子「最初からよ」
梨子「この一年、いやその前からずうっと……希ちゃん以外を仲間だと思ったことはないわ」
にこ「ハァ…?」
「どういう……ことですの?」ムクッ…
梨子「!」
ダイヤ「梨子さん……」ギロリ
梨子「どうも、ダイヤさん」ニコッ 梨子「流石ですね……今お話ができるAqoursのメンバーはダイヤさんだけみたい」
千歌「」カチコーーーン
曜「」カチコーーーン
果南「」カチコーーーン
鞠莉「」グッタリ
梨子「フフ…大層な暴れっぷりだったみたいだね、絵里さんは」
梨子「でも、曜ちゃんはちょっとダラしないなあ」
梨子「曜ちゃんの実力なら、絵里さんとも十分にやり合えるハズなのに……」
ダイヤ「どういうことですかと訊いているのですわ!!」
聖良「言っても無駄です、ダイヤさん」ムク…
梨子「わあ、聖良さん」
聖良「言葉が通じる顔じゃありません」
聖良「何があったのかは知りませんけど……梨子さんはここでバラしておいたほうがよさそうですよ」ス… 聖良「『雪天狂骨』!」シュンッッッッ
ダイヤ「お待ちください!聖良さん!」
聖良「アナタの指図を受ける義理はありませんね!」ブンッッ
カッ
聖良「!?」
パアアアンッ
希「おお、恐い恐い」
突如、希と梨子を光が包み――光は聖良の剣を弾いた。
希「間に合ったね」 ダイヤ「あれは――」
海未「縛道の七十七――『どんなときもずっと』」
ダイヤ「!」
海未「一手遅かったですね、聖良」
海未「どんな攻撃も、あの光の中には通りません。逆も然りですが」
聖良「…残念です」
海未「もうあとはいずこかに“瞬間移動”するのみです」
梨子「賢いダイヤさんはもう気づいているかもしれないけど…親切で教えますね」
梨子「一年生の三人は音の木で斬っておきました」
ダイヤ「…………っ」
梨子「急いだ方がいいですよ……いくらダイヤさんの『舞武天盾』でも」
梨子「死んでしまったものだけはブッブーできないんですからね…」 ドドドドドドド…
ダイヤ「地に堕ちましたわね……梨子さん」
梨子「おごるな黒澤」
梨子「最初から誰も天になど立っていない」
梨子「あなたも……善子ちゃんも……μ’sすらも」
にこ「…………」
梨子「だけどその耐え難い天の座の空白も終わる」
梨子「これからは――」
ぐにゃあ…
ダイヤ「…………!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
メノ^ノ。^リ「私が天に立つ」 にこ「なっ…」
海未「なんですかあの化け物は!?」
「…希………?」
希「!」
絵里「…どういう……」パチクリ…
希「…………えりち…」
絵里「…………」
希「ごめんな」
メノ^ノ。^リ「さようならμ’s、そしてAqours」
メノ^ノ。^リ「アナタ達の逝かせ合いは実に楽しい見世物だったわ」
シュインッ… 希と梨子は“瞬間移動”して、一同の前から消え去った………。
にこ「…で、どうする?」
にこ「一応、まだ戦争中なんだっけ?私ら」
ダイヤ「場合じゃないでしょう」
ダイヤ「状況が変わりました。変わりすぎましたわ…」
にこ「まあ?」
海未「ですね」
ダイヤ「取り急ぎ、私が皆さんの傷を治します。まずはルビィ達ですが…」
聖良「その後は?」
ダイヤ「その後は…………また戦争でしょうね」 梨子「…希ちゃんから見て、Aqoursのみんなはどうだった?」
希「いや〜〜〜」
希「みんな思ったより全然強いやん!」
梨子「そうでしょう……曜ちゃんとか」
希「逆も聞いていい?」
希「どうだった?ウチのμ’sは……」
梨子「…上位の四人の戦闘力は圧巻の一言ね」
梨子「帰刃を完全に使いこなしてることりさんにも驚いたわ」
梨子「花陽ちゃんも曲者だし、真姫ちゃんの霊圧は人間の領域を遥かに凌駕してる…」
希「ベタ褒めやね」ニシシ
梨子「ただ」
希「…………」
梨子「やっぱりいなかったわ………私に… “見合う”人は……」 にこ「わからない〜!?」
ルビィ「ピギッ!?」
にこ「二人がどこにいるのか、全くわからないって言うの!?」
ダイヤ「……ハイ」
曜「う〜ん、おかしいなあ…」ポリポリ
真姫「…絵里は?」
絵里「………ダメね」
絵里「霊圧を感じ取れない」
ことり「ことりのアンテナにもひっかからないなあ…」 絵里「どうしようもないわ」
絵里「結論として、二人の居場所は全く分からない」
穂乃果「え〜〜〜ッ!?」
果南「どうすんの?」
ダイヤ「どうしようもないと今言ったでしょう」
善子「そんな…」
ダイヤ「ただ希望的観測にはなりますが……時がくれば二人の方から接触してくると思います」
ダイヤ「その為に今回我々を衝突させたんでしょうし、そしてその為に今回我々にトドメを刺さなかったのですから」
千歌「いつ来るんです?」
千歌「その時は」
ダイヤ「……」
千歌「聞いてるんですけど」
曜「……」
ダイヤ「…それはわかりませんわ…」 かすみ「ちょっとちょっとちょっとォ!」
かすみ「なんなんですかアナタぁ!?」
・虹ヶ咲学園。
梨子「フフ……ここが噂の」キョロキョロ
梨子「よりどりみどりだわ……」
璃奈「敵襲…?」
彼方「道場破りだ〜…」
果林「面白いじゃない」
梨子「私の目的は戦いじゃないけど」
梨子「そっちの方が話が早いっていうなら、それも満更でもないわね」 エマ「あれ!」
エマ「この子ってもしかして――」
せつ菜「桜内梨子さん!Aqoursの桜内梨子さんです!!」
愛「Aqoursって…あのトップスクールアイドルのぉ!?」
しずく「そんな方がどういう理由で私たちのところに…」
梨子「単刀直入に言うわ」
梨子「私のレズ奴隷になりなさい」
果林「ハァ!?」
栞子「…言っている意味がわからないのですが」
かすみ「しお子おバカ!レズ奴隷っていうのはね…」コショコショ
栞子「…そうではありません」
しずく「かすみさん、メッ!」
梨子「もう一度だけ言うわ」
梨子「私のレズ奴隷になりなさい」 歩夢「嫌だ」
梨子「…………」
歩夢「―――って言ったら?」
梨子「……」ニヤリ
ズオオオオオッ
彼方「おぉ〜すご」
果林「ちょっ、何よこの霊圧〜〜」
せつ菜「みんな下がってください!!」バッ
せつ菜「会いたかったよー!『大鋤(だいすき)』!!」バン
梨子「…やっぱり満更ではないわね…」 「荒れそうだな…」
某所某学園。霊圧を読む数人の女。
「μ’sにAqours……それに虹ヶ咲まで加わりそうだ」
「大戦が起こるぞ……スクールアイドルの」
「結構なことじゃない」
「戦ってこそのスクールアイドルだものねえ」
「ただ……」
「……」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
「最高で最強の戦争(ライブ)にするには……役者が一組足りないわよね?」 千歌「―!」グルッ
・浦の星女学院。
曜「千歌ちゃん?」
千歌「…今……遠くで、梨子ちゃんの霊圧がしたような……」
曜「…千歌ちゃん……」
ハグウウッ
千歌「…曜ちゃん……」
曜「大丈夫…大丈夫だよ!」
曜「絶対戻ってくるからね!」
曜「梨子ちゃん……」グッ… 千歌「……ありがと」
曜「…練習、行こっか!」
千歌「……うん」
ザッ…
千歌(私は ついてゆけるだろうか)
梨子ちゃんのいない世界のスピードに
to be continued… 切りがいいので一旦ここまで
書きながらが思ったよりしんどかったので次スレはそれなりに書き溜めてから立てます
だいぶ間は空いちゃうと思いますが…
ここまで長々と付き合っていただきありがとうございました。 乙
後半Aqoursはあんまり活躍しなかったな
曜ちゃんはまだまだ力出しきれてなさそう
続きも楽しみに待ってます なんで海未が聖良の邪魔したんだ?瞬間移動したのも希梨だけだし意味わからん レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。