穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
???「この辺りですか…」
一月十八日。午後二時二十三分 金曜日
???「――成程…強い魄動を感じます…。」
斯くて刃は振り下ろされる。 千歌「いや〜〜〜」
千歌「それにしても長かったな〜」ウキウキ
・内浦。部活終わりのAqours。一二年生6人。
曜「良かったね、千歌ちゃん」
千歌「うん!よかった!」
千歌「これでやっと曜ちゃんに並べたからね!」
曜「アハハハハ」
ルビィ「やっぱりすごいなあ、曜ちゃんも、千歌ちゃんも……」
花丸「スクールアイドルとしてのレベルが、マル達とは一回り違うずら」 曜「いやいや、ルビィちゃんや花丸ちゃんだって…」
曜「まず“解放”ができるだけで、スクールアイドルとして上の上だよ」
善子「ソレ、嫌味……?」ジロリ
曜「えっ!?あっ、イヤ…」
曜「善子ちゃんは、ホラ、特別だから…」アセアセ
善子「特別…………」
曜「堕天使だから!ヨハネちゃんだから!」コショコショ
善子「いかにも!私は堕天使ヨハネ!」ギラン!
花丸「ご満悦ずら」
千歌「単純だなー」
ルビィ「アハハ…」
ガヤガヤ…
梨子「…………」 千歌「梨子ちゃん!!」
梨子「!」ビクッ
梨子「…何?千歌ちゃん。急に大きな声出して」
千歌「急にじゃないよー!三回目だよ!三回目!」
梨子「あ…そうだった?」
梨子「…ごめんね、ちょっと考え事してて…」
曜「なんか、悩みでも…?」
梨子「……ううん…何も……」
シュンッ
六人「!?」 「存外」
善子「えっ…!?」
平穏な日常に、突然混じる聞き慣れぬ声。否、聴き慣れた声。
スクールアイドルに生きる彼女らには。
海未「Aqoursの三年生も無能ですね」
ルビィ「μ’sの…」
千歌「園田海未さんっ!?」
海未「最も危険が高いのは下校の時だということを知らないらしい」
海未「フンッ」トン
梨子「」ガクンッ
五人「!!」
海未「連れて行きますよ」 善子「…は…ハァ!?」
花丸「どういう…」
海未「理解が遅いですね。それでもスクールアイドルですか?」
千歌「皆下がって!」スッ…
千歌がラブライブレードを抜く。
千歌「輝け!」フッ…
千歌「『金毘加(きんぴか)』!!」キラキラッ!
千歌のラブライブレードが光輝く刀剣に変化する。
海未「そう…」
海未「それでこそスクールアイドルです」
千歌「そりゃッ!」ブンッ
ガキィィン! ギリギリ…
千歌の『金毘加』と海未のラブライブレードが鍔ぜり合う。
千歌「“解放”を―――しなくて良いんですか!?海未さん!」
千歌「解放済みの私とこのまま戦おうなんて、いくらなんでも自惚れが…」
ポツン…
千歌「!」
千歌(雨………?)
海未『時々雨が降るけど水がなくちゃたいへん』
千歌「!!」
海未『乾いちゃだめだよ』
海未『みんなの夢の木よ』 海未『育て』ブゥン…
千歌(―まさか―――)
千歌「みんな伏せ――」
海未「破道の五十五、『愛してるばんざーい!』」
ズドォアァッ
突如、海未の足元から「ジャックと豆の木」のごとく木が生え、急速に育って千歌にブチ当たる。
千歌「うぐッ!」
海未「自惚れないでください」
海未「私の“解放”――貴方ごときにタダで見せるほど安くありません」
海未「このまま夢の木で圧し潰して終いです」グッ…
ビキビキ…
千歌「うあ………!」 曜「―――水天逆回れ」ス…
海未「!」
曜「『蒼浪丸』」バ ン
曜「はっ!」ピョンッ
斬ッ
ボトトッ
タンッ
千歌「ケホッ、ケホッ」
千歌「ありがとう……曜ちゃん」
曜「うん、それより千歌ちゃん、みんなを」
千歌「分かった!」 千歌「まずは梨子ちゃんを…」シュンッ
ス…
千歌(大丈夫…気を失ってるだけだね)
千歌(とりあえず梨子ちゃんにはこのまま寝ててもらって…)
梨子「」ゴロン…
千歌「さあさ、みんなも私の後ろに下がって」
花丸「ずらっ」ササッ
善子「堕天!」ササッ
ルビィ「うゆ…」ササッ
海未「…ふむ…“千歌”が“みんな”――動けぬ梨子と木っ端三人のお守りを」
海未「で………“貴方”は“誰”を担当するんです?曜……」 曜「もちろん、海未ちゃんを」
海未「二度目ですよ、Aqours」ズ…
千歌「……」ゴクリ
海未「自惚れるな。」
シュンッ
花丸「!」
ルビィ「消えた!?」
千歌(“瞬歩”!?私よりずっと速い!)
ガキィン!
海未「む!」
曜「見えてるよ!」 曜「今度は私から行くよっ」シュンッ
海未「面白いですね…」シュンッ
シュンッ シュンッ シュンッ
ガキィン! ガキン! ガキィン!
ルビィ「すごい…流石曜ちゃん」
花丸「あのμ’sと互角に斬り結んでるずら」
善子「当たり前でしょ」
善子「…天才よ、あの人は」
ガキィン ガキィン!
海未「………」シュザザザザッ
海未が4歩退いて二人の距離が空く。 海未「素晴らしい」パチパチパチパチ
海未「聞いた以上の非凡ぶりです。曜………合格です」
曜「……」
海未「ご褒美に見せてあげましょう、私の斬魄刀解ほ―――」
海未「!」ざわ…
曜「ゴメンね」
ザアアアアアア……
曜「私は別に興味ないんだ」
曜の斬魄刀――蒼浪丸の切っ先にに大量の水が集まっていく。
曜「『洋葬漏砲』」ドッ 海未「フン!何かと思えば水鉄砲ですか!」
海未「この程度躱せないとでも…」バッ
グニャッ
海未「な!?」
海未(軌道が曲がっ…)
ドッ
海未「うがっ!」ドシャアアア
曜「『蒼浪丸』は流水系最強」
曜「放った水は地べたに落ちるまで、右から左へ、下から上へ、思うがままに操れるんだよ」
海未「くッ…」ズブ… 曜「だからこんなことだってできる―――」
ギャンッ
海未「!?」
曜「『千年水牢』」
水の檻が海未の周囲を包む。
曜「拘束完了――勝負あったね」
海未「…………フ」
曜「?」
海未「…フフフ…残念…惜しかったですね曜……」ポタポタ
海未「筋は悪くなかったですが…今回は私に利がありました」 ズドアアッ
バシャアッ
曜「!!」
大地が裂け、『千年水牢』が崩れ落ちる。その中心にあるものは先刻と同じ。
千歌「夢の木!!」
千歌「まだ…」
海未「夢の木は強い」
海未「水さえあれば何度でもどこまでも成長できるのですよ」
海未「そして曜――貴方は水を与え過ぎた」ヒョイッ
グググググググ…
海未は夢の木に飛び乗り、そのまま夢の木の成長とともに天に昇っていく。
そしてその海未の隣には。
千歌「梨子ちゃん!」
千歌(いつの間に…!) 曜「まずい…!」
曜(…間に合うかな…)シュンッ
海未「『うれしいから君に会いにいこう』」
海未「『悲しいから君に会いにいこう』」
海未「縛道の七十七『どんな時もずっと』」
カッ…
光の柱が海未と梨子を包む。
千歌「梨子ちゃ――」
海未「ご機嫌用」
シュインッ
光とともに二人が消える………。 千歌「梨子ちゃん………」
善子「……リリー…!」
曜(瞬間移動…!やられた!)
千歌「梨子ちゃ―――ん!!」
花丸「た、大変ずらぁ……」
ルビィ「どうしよぅ…」
シュンッ
五人「!」
ダイヤ「遅かった…ですわね………」 ダイヤ「事態は火急ですわ!」
・浦の星女学院。スクールアイドル部部室。三年生3人加えて計8人。
ダイヤ「梨子さんがμ’sに攫われました」
ダイヤ「霊圧、魄動ともに安定はしていますが、予断は許されません」
ダイヤ「ただちに音ノ木坂学院に急行しましょう」
千歌「うん!」
果南「力ずくで奪還する、っていうことでいいんだよね?」
ダイヤ「…嬉しそうですわね」
果南「違うの?」
ダイヤ「…積もる話は後ですわ。今は一秒を争う時」
ダイヤ「鞠莉さん」
鞠莉「OK」ヒラヒラ 鞠莉『決められた未来なんてさ未来じゃない予定表だよ』
鞠莉『目的地も決まってる刺激がないね』
鞠莉『今じゃなくちゃ見えないこと』
鞠莉『今だから見える景色』
鞠莉『追いかけたいよ風の吹くまま』
鞠莉「破道の三十三、『予測不可能Driving!』」
ボン!
鞠莉の詠唱で、八人の前にワンボックスカーが現れる。
鞠莉「みんな乗ったね?」
鞠莉「飛ばすよー!」ブンブーン!
ふわ…
東京・音の木坂学院へ、八人を乗せた車は宙に発進した。 高海千歌―『金毘加』
解号:「輝け」
形状:普通の刀(輝いてる)。
能力:輝く。
渡辺曜―『蒼浪丸』
解号:「水天逆回れ」
形状:トライデント。
能力:大量の水を生み出し、自在に操る。 ダイヤ「…そろそろですわね」
・数十分後。予測不可能の車中。空の上。
ダイヤ「今一度、確認しておきますわよ」
ダイヤ「音の木の校区に入ったら決してはぐれない事」
ダイヤ「μ’sの9人と会ったら迷わず逃げなさい」
果南「……んー…」
ダイヤ「私達の目的は梨子さんの奪還、それのみですわ。つまり梨子さんを確保でき次第速やかに…」
果南「んー?」
ダイヤ「聞いているのですか!?貴方に言っているのですよ!ア・ナ・タ!」
花丸「果南ちゃんにそんなこと言っても聞くわけないずら」
鞠莉「ダイヤは心配性だからね〜」 ダイヤ「皆さんがμ’sを甘く見過ぎなのです!」
ダイヤ「勝てる見込みのない全面対決は絶対にNG!ブッブーですわ!!」
千歌「そんな…今度のラブライブ!でμ’sと闘うことだってあるかもしれないのに……」
鞠莉「そうよ!Aqoursの目標は優勝でしょう!?今から怖気づいてちゃ…」
ダイヤ「死ににいく理由にラブライブ!を使わないでください。」
七人「!!」
ダイヤ「……命あってのスクールアイドルです」
ダイヤ「大会の中でお客さんの前で戦うのと、野戦――ましてや相手のホームグラウンドで戦うのではまるで勝手が違いますわ」
ルビィ「……でも、もし、上手く戦わずに梨子ちゃんを連れ戻せても、」
ルビィ「そうするとまたμ’sが梨子ちゃんをさらいきて、結局戦いになっちゃうんじゃ…………」
果南「…だね。ずるずるいくと面倒だし、ここで一気に…」
ダイヤ「その時は―――私がμ’sを斬りますわ」
七人「……!」
ダイヤ「これで文句ないでしょう?」
バリバリバリバリィ!
全員「!?」 突然の爆音と衝撃。車が何かにぶつかって急停止した。
ダイヤ「鞠莉さん!何事です!?」バッ
ダイヤ「!これは……」
ピキ……
八人の眼前。音ノ木坂学院の校舎を中心に、ドーム状に結界が貼られている。
鞠莉「遮魂膜…!」
鞠莉「しかも相当強いヤツだわ。こんなのに気づかないなんて……」
千歌「シャコンマク…?」
ダイヤ「霊子でできたバリアーのようなものです」
ダイヤ「ヤワな霊子体がこれに触れると……」
ボン!
善子「く、車が!」
ルビィ「消えちゃったぁ!」
花丸「落ちるずら!」
ダイヤ「離れないでください!!」 ダイヤ「今は溶けた車の霊子が一時的に私達に絡みついています――のでこのように私達もまだ宙にいられます―――が、じきに渦を巻いて破裂します!」
ダイヤ「その時に離れていると全員バラバラに…」
ギアアッ
ダイヤ「始まりましたわ!」
ダイヤ「皆さん隣の人を掴んでください!!絶対に一人になってはいけませんわ!!」
善子「そういわれても……」
花丸「いきなりすぎて何がなんだか……」
ルビィ「もう届かないよぉ…」
曜「『蒼浪丸』!!」バン
ダイヤ「流石ですわ曜さん!」
ダイヤ「私達三年は後で良いです!まずはルビィ達を!」
曜「うんっ!」クイッ 曜「卍解ッ──────千歌ノ乳梨子ノ尻鞠莉ノ腰善子ノ脇腋脇」 スルルルルルル
ルビィ「ピギっ」ガシッ
花丸「ずらっ」ガシッ
善子「うわっ」
曜の操る水流に乗せられ、一年生三人がまとまる。
曜「千歌ちゃん!」
スルルルンッ
千歌「ありがとう曜ちゃん!」ガシッ
果南「よっと」ハグゥッ
鞠莉「ダイヤは…」
ダイヤ「あーれー!」ドヒュウウウウウウ
果南「ありゃりゃ」 曜「ダイヤさん!」
ギアアアアアアアア
曜(ダメだ!間に合わない!)
果南「ダイヤ!」
ダイヤ「私は大丈夫ですわ!果南さんは鞠莉さんを…」
果南「パス!」ナゲエッ!
鞠莉「ええええええええ!?」ビュイーン
ダイヤ「っとっとっとォ!」キャッチ!
ダイヤ鞠莉「果南(さん)!」
果南「また、ね」ニコッ カッ
音の木に乗り込んだAqoursは、一年生、曜千歌、ダイヤ鞠莉、果南の四組に空中で分裂した――――。
花陽「!」ピクッ
・音ノ木坂学院、スクールアイドル部部室。
花陽「大変です!」
穂乃果「敵襲だね」
穂乃果「まずは紅茶でも淹れよっか」
to be continued… 金毘加って同じ名前のやつが原作に無かったっけと思ったが蒼浪丸も海燕のが元ネタっぽいし意図的なのか 金毘迦って斬魄刀はオリジナルにあるね
零番隊の麒麟寺の始解
ちなみに金沙羅もローズの始解 穂乃果「希ちゃん、お願い」
希「お任せあれ♪」
希「縛道の六十九『純愛レンズ』」
ピイン
空中にAqours8人、四組の映像が映し出される。
にこ「!」
にこ「こいつら、例の…」
花陽「Aqours!!」
花陽「今最も熱いスクールアイドルグループの一つです!」フッスーン
真姫「なんか……弱そうだけど」クルクル
ことり「かーわいい♡」
絵里「…話にならないわ」
ガタッ
八人「!」 海未「どこへ行くのです、凛」
凛「倒しに行くんだよ!」
凛「あの子たちはみんなμ’sの敵なんだから…倒しちゃっていいんでしょ?」
海未「リーダーである穂乃果の指示がまだですよ。戻りなさい」
凛「μ’sのためにあの子たちを潰しに行くんでしょ!」ムーッ
穂乃果「凛ちゃん」
凛「にゃー?」
穂乃果「μ’sの……私達の為に動いてくれるのは嬉しいけど」
穂乃果「話が途中だから、今は席に戻ってね」
凛「…………」
穂乃果「…どうしたの?」 穂乃果「返事が聞こえないよ」
穂乃果「星空凛ちゃん」ズオオオッ
凛「―――ッ」ガクンッ
にこ「……っ!」ミブルイッ
にこ(相変わらずなんちゅう霊圧…!)ゴクリ
花陽「凛ちゃん…!」
真姫「馬鹿…」
凛「怖いにゃ〜」ヘタ〜
絵里「……」ハア
穂乃果「解ってくれたみたいだね」ニッコリ
希「で、指示は〜?」
穂乃果「うーん、そうだね……」 穂乃果「…………」
八人「…………………」
穂乃果「速いもの勝ち、でいっか」テヘヘ
凛「!」カッ
凛「じゃあ凜が全員もらうにゃー!」シュバビッ
にこ「ちょっ!ちょっと待ちなさい!」
にこ「私の分も…」シュンッ
花陽「二人とも!抜け駆けはずるいよぉ!」シュンッ
六人「…………」
真姫「忙しいわね…」クルクル
絵里「…急ぐ価値がある相手には見えないけれど」シャラン
海未「さあ……どうでしょうか」 果南「う〜ん………」
果南「一人になっちゃったね……」アハハ
果南「まあ、却って都合はいいかもしれないけど」
果南「えっと、音の木の校舎は……」キョロキョロ
果南「………………」
果南「…とりあえず歩くかー」 鞠莉「破道の三十三!『予測不可能Driving!』」
し〜ん…
ダイヤ「……やはり無理ですわね」
鞠莉「あ〜ん、悔しい〜〜〜っ!」ジダンダ
ダイヤ「仕方がありません。アレ程派手に強制解除された“歌道”……」
ダイヤ「五分や十分では霊子の再構築ができませんわ」
鞠莉「面倒だけど、ウォーキングで行くしかなさそうね」
ダイヤ「それを言うならランニングですわ」
ダイヤ「いや、私達スクールアイドルにとっては“ダンシング”でしたか……」
鞠莉「こうなったら全力で飛ばすわよ!」
鞠莉「ついてこれる?」ニヤリ
ダイヤ「こちらのセリフですわ」ス…
シュンッッッ 善子「いたたた…」サスサス
ルビィ「大丈夫?善子ちゃん…」
花丸「あの程度の乱下降で足から着地もできないなんて…どんくさいずら」
善子「うっさいわい!大体アンタらが私を掴んでるから…」
「ほんと、ギャーギャー五月蠅いわねー。」
三人「!!」
ドドドドドドドド
「どこのグループでも、一年生ってのはこんなんなワケ?」
ルビィ「あ……あ……」
善子「い…いきなりかいっ……」
にこ「ま、可愛がってあげるわ。実力相応にね」ドン にこ「まさか私を知らないワケはないと思うけど……」
にこ「スクールアイドル同士の一戦、やっぱり名乗りから始めないとね」オホン…
にこ「―――」スウ…
にこ「にっこにっこに〜!」
にこ「アナタのハートににっこにっこに〜!」
にこ「笑顔届ける矢澤にこにこ」
にこ「青空も―――」
にこ「にこっ♡」
………し〜ん………
にこ「…にこ〜………」パチクリ…
善ルビ丸「――」スタコラサッサ
にこ「ってちょっと待ちなさぁい!」 ルビィ「なんでこうなるのぉ…」タッタッタッ
花丸「善子ちゃんのせいずら」タッタッタッ
善子「そういう事いうなっ!これでも気にしてんだから!」タッタッ
善子「あとヨハネ!」タッタッ
にこ「ちょっと!待ちなさいってば!」ダッ
追いかけっこを始める一人と三人。
にこ「なんで逃げるのよ!?アンタら三対一よ!三対一!」タッタッタッタッ
ルビィ「そんなこと言われたってぇ!」タッタッタッ
花丸「マル達は戦争に来たわけじゃないずら〜!」タッタッタッ
善子「そういう事!」タッタッタッ にこ「骨がないわねぇ…………」
にこ「…ちぇっ」
シュンッ
善子ルビ丸「!!」キキィーッ
にこ「一つ教えといてあげる」
善子(は…速い!)
花丸(回り込まれた…)
にこ「格上相手に逃げを打つなら、囮を立てるのが鉄則よ」
にこ「戦闘力で優るということは、得てしてスピードで―ー”ダンス”で優るということ」
にこ「かけっこで勝てるわけないでしょ」
ス…
にこ「!」
横一列に並んだ三人の、真ん中の一人が一歩前に出て、ラブライブレードを抜いた。 花丸「ご教授感謝するずら、にこ先輩」
花丸「だったら……こうすればいいんだよね」ニギッ
にこ「……」
ルビィ「…花丸ちゃ…」
花丸「ルビィちゃん、善子ちゃん」
花丸「先に行ってほしいずら」
善子「何言って――」
花丸「先に行くずら!!」
善子ルビィ「!!」ビクッ
花丸「梨子ちゃんを助けるため―――だよ」
善子ルビィ「…………」
花丸「さあ、行って」ニッコリ 善子ルビィ「…………………」
善子ルビィ「……」コクリッ
ダッ
善子「絶対!追いつきなさいよ!タッタッタッ
ルビィ「待ってるからねーっ!」タッタッタッ
タッタッタッタッタッタッ…
にこ「……本当に置いてくなんて、ヒドい仲間ねー」
花丸「マルは嬉しいずら」
花丸「マルを信用してくれたってことだから」
にこ「…そ」
にこ「……」ハア
にこ「名前を……ちゃんと聞いてなかったわね」 花丸「Aqours一年、国木田花丸です」
にこ「μ’s三年、矢澤にこよ」
花丸(マルは見た目で相手の力量を測れるほど戦い慣れしてないけど……それぐらいはわかる)
にこ「悪いわね、花丸」
にこ「こうなった以上――さっさと片付けさせてもらうわよ」
花丸(この人は――強い)
にこ「届けろ」
にこ「『政宗』」ジャキイン…
花丸(マルよりも、ずっと、ずっと)
花丸「眠ろうか」
花丸「『お休南無三(おやすみなさん)』」ズン… にこ「ソレがアンタの斬魄刀…変テコな形の刀ね…」
にこ「ま、私も人のこと言えないけど」ニギッ
にこの『政宗』は両手に二本、右は三日月型のブーメラン状、左は通常の短刀で、その間は地面に蜷局を巻くほどの長い糸で結ばれている。
にこ「珍しいでしょ?」
にこ「スクールアイドル界広しといえど、二つしかない“二刀一対”の斬魄刀よ」
花丸「…………」
にこ「…シカト?ツレないわね…」
にこ「そんならこっちで語り合いましょうか!」ブンッ!
花丸「!」
グルグルグルグルンッ
にこが右の『政宗』を花丸めがけて回し投げる。
花丸(避けら…………れる!これなら!)スッ… にこ「縛道の六」
花丸「!」
にこ「『ラブノベルス』」プッ
ボム!
ねばねばっ
花丸「うわっ!」ネバア
グルグルグルンッ
花丸「!」
ねばねばに足を取られている間に、『政宗』が迫ってくる。
花丸(マルの『お休南無三』で受け止めるしかない!)カチャ にこ「甘い」
スカッ…
花丸「えっ…」
『政宗』は花丸を素通りする。
にこ「フンッ!」バッ
にこが左の『政宗』を引く。
ビィン!
花丸「!」ハッ
ギュルルルンッ
花丸(背中から…!)ネバア
スパアッッ
花丸「ッ!!」ボタタッ
グルングルンッ
にこ「……」パシッ 『政宗』は花丸の右腿を裂いてにこの手元に帰った。
にこ「『政宗』は中距離戦用の斬魄刀」
にこ「派手な能力はないけど、操作性と切れ味は抜群よ」
にこ「シンプルなぶん、”歌道”とも合わせやすいしね」
にこ(まあ、私は”歌道”あんまし得意じゃないのが玉にキズだけど)
花丸「くっ…」ネバア
にこ「次で左足も奪うわ」
ブンッ
花丸(…もうちょっとがんばれると思ったけど……)
スパッ
花丸「うっ!」ガクンッ
グルグルンッ
パシッ
花丸「ハァ……ハァ……」ドサッ
花丸(やっぱりマルの目は節穴ずら) 花丸(にこさんとマルじゃ、スクールアイドルとしての経験値が―――)
花丸(戦闘の経験値が違いすぎる)
にこ「…終わらせてもらうわよ」スッ…
花丸(ゴメンね…みんな…)
花丸(マルはここまでみたいずら)
にこ「仲間を生かそうと自分の身を投げ出したアンタの覚悟は認めるけど」
にこ「…そういう自己犠牲の覚悟だけじゃ、私には…………」
にこ「勝てない!」ブンッ
グルグルグルグルンッ
花丸(これでマルのお話はおしまい) 「がんばれ!『紅降倫(べにぷりん)』!」
花丸「!」
ガキィィン!
クルクルクルクルンッ
ギャリンッ
『政宗』が“盾(シールド)”に弾かれて地べたに落ちた。
花丸「ルビィちゃん……」
善子「なんで来たずら!」
花丸「!」
善子「――とは言わせないわよ」
花丸「………」
花丸「言わないずらよ」フッ
にこ「…何よ…良い仲間じゃないの」フン…
to be continued… 矢澤にこ―『政宗』
解号:「届けろ」
形状:左がブーメラン、右が短刀の二刀一対の斬魄刀。二刀は糸で繋がっている。
能力:特になし。切れ味は鋭い。
黒澤ルビィ―『紅降倫』
解号:「がんばれ」
形状:盾。
能力:特になし。 にこ「にしても……」チラッ
ルビィ「…………」ゴクリ
にこ(『政宗』を弾いて傷一つ無し……か)
にこ「フンッ!」クイッ
ビインッ
パシッ
にこが右の『政宗』を手元に戻す。
にこ「良〜い硬さしてるじゃない」
にこ「名は?」
ルビィ「Aqours一年、黒澤ルビィです」 にこ「ついでに、そこのお団子も」
津島「Aqours一年……堕天使ヨハネよ」ギランッ
にこ「ハァ?堕天使?」キョトン
にこ「さっむいキャラしてるわね〜」
善子「アナタに言われたくないわよ!」
にこ「ぬわんでよっ!」
ギャーギャー…
ルビィ「花丸ちゃん、今治してあげるからね」ブゥン…
花丸「ルビィちゃん、回道できたずら?」※回道…回復術。
ルビィ「うん、最近隠れて練習してたんだぁ」
ルビィ「まだ全然お姉ちゃんみたいにはいかないけどね」エヘヘ… にこ「で…津島」
善子「苗字!?ってか言ってないし!」ガビーン
にこ「アンタも解放しときなさい」
善子「!」
善子「……」
にこ「敵にこんな甘っちょろいこと言うのは我ながら情けないとは思うけど」
にこ「一スクールアイドルファンとして、単純に見てみたいのよ」
善子「…………」
にこ「何よ、もったいぶらなくても良いじゃない」
にこ「アンタだって解放しずに私と闘うのは……」
善子「いいえ!」
にこ「…………は?」 善子「私の解放…あなた程度にタダで見せるほど安くないわ!」
にこ「なっ…」
花丸「聞いたようなセリフずら」
ルビィ「善子ちゃん!」
ルビィ「一分!一人でがんばルビィできる!?」
善子「当然!」ビシッ
にこ「……ナメられたもんね…」
にこ「後悔しても……」スチャ…
善子「…」ゴクリ
にこ「知らないわよっ」ブンッ
グルグルグルンッ
善子「縛道の九十四!」カッ
にこ「!?」 にこ(九十番台詠唱破棄―――!?)
にこ(そんなもん出来るワケ――)
善子「『Daydream Warrior』!!」
ズズズ…
にこと善子の間――空間に黒い扉が現れる。
にこ「!!」ゾクッ
にこ(…ヤ………)
キィ…
黒い扉が開く。
にこ(ヤバイ!!何かわかんないけどとにかくヤバイわ!)
にこ「『政宗』!戻ってきなさい!」グイッッ
すうっ…
善子「!」
ルビィ「あ……」
花丸「失敗ずら」 何らかのその“歌道”の効果を発揮する前に、黒い扉は消えてしまった……。
にこ「…………」パシッ
何はともあれ、『政宗』はにこの手に戻る。
善子「惜しい!」ビシッ
花丸「全然惜しくないずら!」
ルビィ「善子ちゃん!フザけてる場合じゃないよ!」
善子「フザけてなんかないわよ!」
善子「私が出来る“歌道”はこの『Daydream Warrior』ぐらいしか……」
花丸「出来てないし出来たこともないずら!」
にこ「…危なかった………のかしら」アセタラ…
にこ(九十番台の“歌道”は神の領域……コイツにそれがまともに出来るワケないとは思うけど)
にこ(万が一を考えると、下手に自分の斬魄刀を前線に晒すのは得策とは言えないわね…) にこ「得意じゃないってのに……」ス…
花丸「善子ちゃん!」
ルビィ「来るよ!」
善子「わかってる!」カマエッ
にこ「『思い込み』」
にこ「『正しなさい!』」
にこ「『なんて言わないわ』
にこ「『好きなこと 好きなだけ』
にこ「『求めてさまよえば』
にこ「破道の四十二『PSYCHIC FIRE』」
ボッ…
善子「炎かっ!」 ぽん!
善子「!」
シュウウウウウ…
炎はそこそこに消え、桃色の煙が広がる。
善子「失敗…?」
にこ「まさか」
善子「!」
煙の中から声。
にこ「大成功よ」バッ
次いで短刀。 善子「くっ!」バッ
ガキィィン!
善子がラブライブレードで刃を受け止める。
にこ「へえ、思ったよりはやるじゃない」
善子「今のは単なる目くらまし…!」
善子「狙いはこうして間合いを詰めての接近戦ってわけね…」
にこ「ご名答よ」
にこ「分かったところでもう遅いけどね!」グイッ
ギュルルルン……
善子「!!」
善子(ブーメラン…もう投げて……!)
スパアアアッ
善子「……カハッ…」グラ…
ドシャアアアッ パシッ
善子「…………っ」モゾ…
にこ「立ち上がらない方が良いわよ」
にこ「『政宗』は刃が短いぶん……こうやって腹を切っても致命傷にはならない」
善子「…しっ…」ポタポタ
にこ「とはいえ、そこから無理に動けば、勿論その限りではないわ」
善子「失敗……」プルプル…
にこ「……え?」
善子「…『PSYCHIC FIRE』は……やっぱり失敗だったわね……」
にこ「…何を……」
にこ「!」
花丸「はあっ!」ブンッ
にこ「フン!」バッ ガキンッ
にこ「甘いわ!」
花丸の急襲にも動じず、にこは刃を合わせる。
花丸「良いですね反応!」バッ
にこ「何様!」
ガキィン! ガキィィン! ガキイィィン! ガキイィィィィン…
にこ「勢いに任せただけの単調な連撃ね!」
にこ「こんなんじゃ何回振っても…」
花丸「何回受けたずら?マルの剣」
にこ「え?」 ズンッ
にこ「!?」
ガシャアア
にこ「な……」
にこ(『政宗』が……重……!?)
花丸「斬りつけたものの重さを倍にする」
花丸「二度斬れば更に倍、三度斬ればそのまた倍」
花丸「そして」
花丸「斬られた相手は重みに耐えかね必ず」
花丸「地に這いつくばりうたた寝したように頭を差し出す」
花丸「故に『お休南無三(おやすみなさん)』」 にこ「くっ……!」プルプル
花丸「にこさんは今五度、『お休南無三』の斬撃を『政宗』で受けたずら」
花丸「『政宗』の重さを0.5sとして、二の五乗すると16s」
花丸「抱えて走れる重さじゃあない」
ルビィ「やったね!花丸ちゃん!」
善子「ルビィ…こっち来て……私のお腹も……」
ルビィ「あっ、うん!」サササッ
花丸「…マル達を梨子ちゃんの所まで案内してほしいずら」
花丸「そうすれば命は見逃すずら」
にこ「……」プルプル
花丸「断ればこのまま斬るずら」
にこ「はっ…は…はぁっ……」 にこ「図に乗るなよ子娘!!」カッ
花丸「!」
善子ルビィ「ひいっ」
にこ「後輩風情がふざけてくれる…!」
にこ「良いわよ…だったらこっちも相応の力で応えてやるわ…!」
にこ「卍解」
善子ルビィ花丸「!!」
ドドドドドドドドドド
にこの霊圧がハネ上がり、桃色の煙が吹き飛ぶ―――。 凛「!」
凛「この霊圧は……にこちゃんの卍解だにゃー!」
凛「あっちはすごく盛り上がってるみたいだね」
凛「いいないいな〜!」
凛「ねえ」
ドン
曜「くっ……」ハアハア
千歌「……っ」ハアハア
凛「こっちは外れだにゃ〜」エ~ン にこ「卍解―――――」
ドドドドドドド
花丸「ば…」
善子「ば……ば、ばばば」
ルビィ「卍解…………!」
ルビィ「これが……………………!!」ゴクリ
にこの全身は腹や太ももなどの一部を除いて真紅の鎧に覆われ、
頭には三日月型の兜、腰には太刀が一本、
そして右目には眼帯が装着されている……。
にこ「『伊達女子道政宗』」
to be continued… 国木田花丸―『お休南無三』
解号:「眠ろうか」
形状:刃が「コ」の字の形をしている。
能力:斬ったものの重さを倍にする。
備考:つまり『侘助』。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています