梨子「甘さと春と」曜「修学旅行!?」
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———
梨子「あのね、曜ちゃん、私ね……」
梨子(ふいに、一陣の風が舞って)
梨子(私たちは、甘い季節に包まれて)
梨子「ずっと、曜ちゃんのことが—
——— 二月中旬 浦の星女学院
千歌「班決め?」
曜「そう、来月にある修学旅行に向けて、行動班決めておいてって、先生が。はいこれ」プリント
千歌「うえっ!?もうそんな季節?ってか聞いてないよそんな話!」
梨子「千歌ちゃん今日の朝学活ずっと寝てたもんね……」
千歌「うぐっ!いやだって今日の朝練はいつもに増してハードだったし……」
千歌「…ってそんなことより一大事だよ!修学旅行だよ!」 曜「そうだね!高校生活最後のイベントだもんね!思い出たくさん作らないと!」
梨子「曜ちゃんは何かやってみたいこととかあるの?」
曜「私は特には……千歌ちゃんは?」
千歌「私は……」
千歌「…私はこの3人で、いろいろな場所に行ってみたい!いろんな景色みて、いっぱいおいしいもの食べて…思い出をたくさん作りたい!」
千歌「だめ……かな?」
曜「千歌ちゃん……うん!私も千歌ちゃんと梨子ちゃんと、一緒に見て回りたいな!梨子ちゃんもそれでいい?」
梨子「うん、私もそれでいいかな」
千歌「じゃあ決まり!さっそくこのプリント先生に提出してくるね!」
曜「あっ待って千歌ちゃん!…って行っちゃったか……」
梨子「うふふ、千歌ちゃんは今日も元気いっぱいみたいね」 曜「修学旅行かー、梨子ちゃんはどこか行ってみたい場所とかある?」
梨子「私?たしか浦の星は京都よね…、私、中学の時も京都に行ってるから……」
曜「えっ!?いいなぁ、私たちなんて、長野の山の中に泊まって、自然を満喫するーって感じの修学旅行で……華やかさなんてかけらもなくて……」トオイメ
曜「あっでも、二回も同じ場所に修学旅行なんて」
梨子「ううん、いいの。みんなと旅行ができるだけで、私は楽しいから」
曜「梨子ちゃん……」ウルウル
曜「ありがとっ!梨子ちゃん!」ハグッ
梨子「よ、曜ちゃん!?///」
梨子(ふ、ふええ……曜ちゃんからの突然のハグ……、だ、大丈夫かな……心臓の音、曜ちゃんには聞こえてない、よね?///)ドキドキ 梨子「…っていうかちょっと、長くない、曜ちゃん?///」
曜「ふえっ!?ご、ごめん!梨子ちゃんのにおい、すごくふわふわしてて、そばにいると、安心、できるから、つい……//」カオマッカ
梨子「に、におい!?」
梨子(だ、大丈夫よね!?……練習後にちゃんと制汗剤使ったから、汗臭くなかったよね//)
梨子「もうっ!そういうことは、思っても、口に出さなくていいっ!///」カアアッ
曜「ご、ごめん!」オロオロ ガラガラッ
梨子「あっ千歌ちゃん」
千歌「このプリント、当日のおおまかなスケジュールも決めてから提出しろって言われたのだ…曜ちゃん!なんで教えてくれなかったの!」
曜「いやだって、千歌ちゃんが一目散にかけてったし……」
千歌「もう曜ちゃんなんて知らない!おかげで先生にまでお小言を言われちゃったのだ!」
曜「ええっ!?……ごめんね、おわびにみかん一個あげるからさ〜」ガサゴソ
千歌「みかん…、よろしい、ここは寛大なみかん大使に免じて許してあげましょう」
梨子「ふふっ、千歌ちゃんよく寛大なんて難しい言葉知ってたわね」
千歌「ひどい!梨子ちゃんまでチカのことバカにする!やぱりチカはいつまでたってもバカチカなのだ……」
梨子「ふふっ、ごめんねー千歌ちゃん」ナデナデ
梨子(修学旅行、二年生最後の行事、だよね……) 千歌「というわけで!京都のガイドブックを図書室で借りてきたのだ!」
曜「さっすが花丸ちゃんだよね!京都のガイドブックって伝えただけで、すぐに本の場所がわかるとは!」
梨子「それにしても花丸ちゃん、とてもうらやましそうにしてたわね……」
曜「花丸ちゃん、お寺の娘だもんね、京都に対する想いも、きっと人一倍強いんだよ」 千歌「あっこれ!さっき花丸ちゃんがいってた、清水寺だよ!」
曜「修学旅行の定番だね!梨子ちゃんは行ったことあるの?」
梨子「うん、紅葉がすっごく綺麗だったよ」
千歌「いいなぁ〜千歌も紅葉みたいなー、あっこれなんてどう?とってもキレイだよっ!」
曜「伏見稲荷神社…あっこれテレビで見たことある!鳥居がぶわーって一列に並んでて、なんか別世界みたいなんだって!」
千歌「へー、インスタ映えってやつだね!」ドヤッ 千歌「『幻想的な風景で、デートにもお勧めです。☆5つ』って書いてあるよ」
梨子「幻想的……デート……」
曜「ここいいんじゃない?私は行ってみたいかな」
千歌「私も私も!梨子ちゃんもそれでいい?」
梨子「デート…デート……///」
千歌(だめだ梨子ちゃんふわふわ乙女モードに入ってるよ…)
千歌「じゃあ決まり!ええっとあとは…
…… ガラガラッ
梨子「花丸ちゃんいる?」
花丸「あっ梨子ちゃん、どうしたずら?」
梨子「この前借りた本返そうと思って」
花丸「わざわざありがとうずら……はいっこれで返却は完了です!」
梨子「ありがとう」
梨子「……そ、そうだ花丸ちゃん」
花丸「なんずら!まさか修学旅行にマルを連れていてくれる気になったずら!?」
梨子「まだ諦めてなかったのね…違うそうじゃなくて……」クイクイ
花丸「」ミミヨセ
梨子「」コショコショ
花丸「……」 花丸「ええっ!?告白スポット!!//」
梨子「花丸ちゃん!声大きいよ!//」
花丸「ご、ごめんずら」
花丸「で、でも、梨子ちゃんが告白を考えてるなんて!誰ずら!相手は誰ずら!」
梨子「わっ私のことじゃないの!実は友達が修学旅行で告白しようと考えてるみたいで、私はその相談をしているだけだから!私のことじゃないのよ!」
花丸(あっ、これ絶対梨子ちゃんのことずら)
梨子「それで、京都のことが詳しくて本とかでたくさん告白シーンを読んでそうな花丸ちゃんに、意見を貰いたくて……」
花丸「わかったずら、で、告白相手はどういった人ずら?」
梨子「告白相手……//」
花丸「愛の告白は、相手に対する想いの深さを示すものずら。相手のタイプに合わせて、攻略していくのがポイントだよ」
花丸(って善子ちゃんがぎゃるげの解説で言ってたずら) 梨子「な、なるほど……」
梨子「そ、その人は、いつも私のヒーローで、困っている私をいつもひっぱっていってくれて、でも時々みせる女の子らしさがとってもかわいくて、ちょっと鈍感なところがあって……そ、そんな、人です///」
花丸(これは絶対曜ちゃんのことずら)
花丸「なるほど……」
花丸「…確かにマルは清水寺とか竹林の道とか、雰囲気のいい場所を知ってはいるけど」
花丸「でも本当にいいの?マルがアドバイスすることもできるけど、そうすると、梨子ちゃんの告白じゃなくなっちゃうかもだよ」
梨子「私の、告白?」
花丸「マルは、どんなに幼稚な場面設定でも、どんなに不器用な言葉であっても、ありのままの想いを打ち明けてくれることが、一番うれしいずら」
花丸「きっと、その人も梨子ちゃんが精一杯考えた告白が、一番うれしいんじゃないかな?」
梨子「私の、ありのままの想い……」 梨子「花丸ちゃん、さっきの本もう一回借りてもいい?」
花丸「もちろんずら」
花丸「はいこれ、貸出期限延長しておいたよ」
梨子「ありがとっ!花丸ちゃん!じゃあまた練習でね!」タタタッ
花丸「ばいばいずら〜」
花丸(梨子ちゃん、頑張るずらよ!)
梨子(私のありのままの想い、か……)
梨子(私は曜ちゃんと、どうなりたいんだろ……) 梨子(なんて考えている間にとうとう前日の夜になっちゃって……)
梨子「はぁ…もうこんな時間……」
パソコンタチアゲ
カタカタカタカタ
Yohaa!知恵袋
ID:Hawawa@Seishunさん
理想の告白はなんですか?
今度の機会に気になる人に告白しようと思うのですが
セリフが浮かばず困っています
言われてうれしい告白のセリフとシチュを教えて下さい
梨子「これでよし、と」 ピロリン!
梨子「嘘!?もうアンサーが帰ってきてる!」
ID:AnataLove!さん
ふふっ、もちろん長い間一緒に過ごした思いの丈を打ち明けるのが一番だよ
幼稚園のころの思い出話に花を咲かせて、あなたは私のちょっと恥ずかしい思い出だって覚えていてくれて…
これからもずっとよろしくねって言ってくれるだけで、私はとっても嬉しいんだよ
梨子「曜ちゃんとずっと一緒、か…」 ———
曜「うわぁ!綺麗な景色!」
梨子「そうね、でも内浦の景色だって負けないくらい綺麗よ」
曜「えーそうかなー、小さいころから千歌ちゃんと果南ちゃんと内浦の海で遊んできたから、見飽きちゃってるのかもねー」
梨子「ふふっ、でも、私にとっては毎日が新鮮で、とても輝いていたから…、毎日が、とっても楽しくて……」
曜「毎日が新鮮だったのは、私もおんなじだよ!内浦に転校生が来るなんて、めったにないことだから!」
曜「私、転校生が梨子ちゃんでほんと良かったよ!」
梨子「曜ちゃん……」
曜「梨子ちゃんと一緒にスクールアイドル始めてから、ほんと毎日キラキラしてて!できればこんな日々がずっと続いてほしくて……」
曜「だ、だから……///」
梨子「よ、曜ちゃん……///」
曜「これからもずっと私のそばにいて欲しい、な……///」 ———
梨子「……///」キュン
ピロリン!
梨子「あっまた別のアンサーが来てる!」
ID:Cute☆Kasuminさん
そんなの当然私のことをほめてもらうのが一番に決まってます!
私はいつだって先輩のいちばんかわいい人でいたいんです!
私のこといちばん近くでみているよって言ってくれるだけで、かすみんとっても嬉しいです!
梨子「私のことを、ずっと近くで、曜ちゃんがみていてくれる……」 ———
曜「梨子ちゃん!はやくはやく!」
梨子「ま、待ってよ曜ちゃん!そんなに急ぐと転んじゃうよ!」
曜「だいじょーぶだよ!私にかかればどんなことだって、全速前進!ヨーソロー…って、わぁ!」
梨子「よ、曜ちゃん!?」カケヨリ
曜「イテテテテ…転んじゃったよ……」ニガワライ
梨子「もうっ、言ったそばから……ほら、立って?」
梨子「だいたい曜ちゃんは、いっつもそそっかしいんです!この前だって千歌ちゃんと……」
曜「うーん、でも、梨子ちゃんがこうしてそばで見守ってくれるから、私は無茶が出来るんだよっ!いつもありがとっ!」
曜「だから私、ずっと梨子ちゃんに私のこと、見ていてほしいなっ!」
梨子「よ、曜ちゃん……///」 ———
梨子「……///」
梨子「…ないない!!曜ちゃんに限ってそんなのあり得ないから!///」カオマッカ
梨子「っていうか途中から私が告白されるシチュになってるし……はぁ…上手くいかないなぁ……」
梨子「…ってだめよ私!弱音は乙女に似合わないわ!いったん気持ちを切り替えて、舞台選びから考えましょ!」スマホスッスッ
梨子「うわぁ、この神社とっても雰囲気いい!あっこっちのお寺もいいかも……」
梨子「ううっ、候補が多すぎて絞り切れないよ……」スッスッ
梨子「…!!」 ———
恋する乙女必見!巫女が教える!
告白スポットの選び方!
告白が絶対に成功するスポット
ずばりそれは、神社のことや!!!
神様パワー溢れる神社で告白をすれば、絶対成功間違いなし!!
特に縁結びの神様がいらっしゃる神社なんて、最高やんね!
———
梨子「縁結びの神社……じゃあ、学校で借りたガイドブックに載っていた、あの神社なんてどうかしら?曜ちゃんも行きたいって言ってくれてたし……」
梨子「うん!きっとそれがいい!曜ちゃんの好きな場所のほうが、きっと曜ちゃんもうれしいよね!」
梨子(それに、神様が見守ってくれてるなら、きっとこんな私でも、大丈夫だよね……)
梨子「…ってもうこんな時間!早く寝なくちゃ!明日ちゃんと起きられるかな……」 ———
梨子(もうすぐ春が来て、季節はまた一つ進んでいく)
梨子(いつの日かこの冬も、ただの思い出の1ページになって)
梨子(後悔することも、なくなるのかな)
——— 当日朝 三島駅
千歌「あっいたいた!おーい!曜ちゃーん!」
曜「おはよう、千歌ちゃん!梨子ちゃん!」
梨子「おはよう曜ちゃん。ごめんなさい、遅くなっちゃって…」
曜「大丈夫!私も今来たところであります!」
千歌「曜ちゃん朝からテンション高いねー。私なんて遅刻するぞーって美渡姉に起こされて家でてきたんだよー」
曜「千歌ちゃん昔から遠足の前日はワクワクで眠れないタイプだったもんね!」
千歌「そうなんだよー。昨日も修学旅行でみんなとどんなことをしようかって考えてたら眠れなくて……」
梨子「新幹線は長いから中でゆっくりできるわよ。さあ、集合場所に向かいましょ」
曜「了解であります!それでは!京都に向かって!レッツ、ヨーソロー!」 千歌「ついたー!京都!」
曜「うわー!東京とはちょっと違うけど、大きな駅だね!」
千歌「曜ちゃん!見て!八つ橋だよ!本物の八つ橋だよ!」
曜「うわっ!本当だ!抹茶味にチョコ味……バナナ味なんてのもある!」
千歌「みかん味!チカ絶対にみかん味がいい!」
梨子「二人とも!早く来ないとバスにおいてかれるわよ!」
千歌「あっ!待ってよ梨子ちゃーん!」 千歌「ついたー!京都!」
曜「うわー!東京とはちょっと違うけど、大きな駅だね!」
千歌「曜ちゃん!見て!八つ橋だよ!本物の八つ橋だよ!」
曜「うわっ!本当だ!抹茶味にチョコ味……バナナ味なんてのもある!」
千歌「みかん味!チカ絶対にみかん味がいい!」
梨子「二人とも!早く来ないとバスにおいてかれるわよ!」
千歌「あっ!待ってよ梨子ちゃーん!」 千歌「そういえば梨子ちゃん!……今日は、なにをするんだっけ?」
梨子「確か一日目と三日目がクラス行動で、二日目は自由行動だったはず……詳しいことは修学旅行のしおりに書いてあったはずよ?」
千歌「あっ!しおりね!しおりしおりっとー…」ガサゴソガサゴソ
梨子「…千歌ちゃん、もしかしてしおり、持ってきてないの?行動予定は全部そこに書いてあるはずだけど」
千歌「それが…昨日の夜に読むのに夢中になって……そのまま家に忘れてきちゃったみたい……」
梨子「んもう。せっかく曜ちゃんが苦労して作ってくれたしおりだから、大切にして欲しかったのに……」
曜「いやでも、去年のひな型にちょこっと手を加えただけだから、そこまで時間かからなかったよ?」
梨子「曜ちゃんも千歌ちゃんのこと甘やかさないの!」
梨子(それに、曜ちゃんがみんなに内緒で一生懸命に工夫してくれていたこと、私は知ってるんだからね!)
曜「ごめんごめん……」タハハ 千歌「しおりの最後の方に書いてあった京都スイーツ特集がとっても面白くて、つい見入ってしまったのだ……」
曜「あっ!それ読んでくれたの!?調べたらどんどんおいしそうなスイーツが出てくるから、ついつい筆がのっちゃってさ!みんなで食べに行きたいよね!」
梨子「仕方ないから千歌ちゃんには私のしおりを貸してあげる」
千歌「ありがと梨子ちゃん!……でもいいの?それじゃ梨子ちゃんが予定わかんなくなちゃうよ?」
千歌(それに、このしおり、すみずみまで読み込んであるのがわかって……)
梨子「えっ!?わ、私は大丈夫だから!」
曜「もしかして予定全部頭に入っているの!?さっすが梨子ちゃん!」
梨子「あ、当たり前でしょ!修学旅行の基本よ!」
鞠莉「三人ともー!早くしないとおいていくわよー!」
曜「あっ!すみません!今向かいます!」ダッシュ プシュー
梨子「ふぅ、なんとか間に合ったわね……」
鞠莉「そうね。これで到着早々沼津にリターン!なんてことが起こらなくてよかったデース!」
千歌「せっかくの修学旅行が台無しになるところだったのだ……って鞠莉ちゃん!?」
鞠莉「ハーイ!セカンドグレイドスチューデンツ!シャイニー!」
曜「鞠莉ちゃん!?どうしてここに!?」
千歌「まさか鞠莉ちゃん留年しちゃって来年からチカたちと同じ学年になっちゃうとか!?」
鞠莉「そうそう、スコアが足りなっくってね……って違いマース!理事長としての仕事なのデース!」 梨子「理事長としての仕事?」
鞠莉「そ。生徒の学習の場を見守ってあげることが、今回のマリーの仕事よ。」
鞠莉「毎年学校関係者のうち誰かが修学旅行に同行するみたいなんだけど、学校としての最後のイベントなんだから、理事長が行くのが相応しいって、ダイヤが聞かなくて…本当は三年生としても大事な時期だったから、果南やダイヤと過ごしていたかったんだけど…」
千歌「鞠莉ちゃん……」
鞠莉「ま、去年私が来られなかったから、その穴埋めとして私が行けるようにダイヤが調整してくれたんだと思うわ。プライベートだと思って、思いっきり羽を伸ばしマース!」
鞠莉「だからチカッチたちも私のことなんか気にしないで、思いっきりエンジョイするのよ!」シャイニー!
曜「うん!ありがと!鞠莉ちゃん!」
鞠莉「あっ!そうだリコ!」
鞠莉「リコにとっても三人きりで過ごせるラストイベントになるかもだから、後悔しないようにしたほうがいいかもよ?」コショコショ
梨子「もうっ!鞠莉ちゃん!からかわないでよっ!//」 北野天満宮 参道
千歌「ついたっ!北野天満宮!」
梨子「確か、学問の神様が祀られているのよね」
千歌「うん!志満姉が、せっかく京都に行くなら勉強の神様にご挨拶してきなさいって言われて」
曜「あっそれで千歌ちゃんここに来たがってたんだね」
千歌「うん、それもあるけど……」 千歌「私ね、曜ちゃんや梨子ちゃんとずっと一緒にいられたらって思ってるんだ。ほら、私って二人に比べて、勉強苦手だから……この先二人についていけるかとても不安で…神様にお願いして、少しでも変われたらなって思ってて……」
梨子「千歌ちゃん…そんなこと考えてたのね……」
千歌「で、でもっ!修学旅行中は勉強のことなんか忘れて、思いっきり楽しむのだ!」ピュー!
梨子「ちょっと千歌ちゃん!?どこ行くの!?」
梨子「相変わらず千歌ちゃんはそそっかしいわね。ねっ曜ちゃん?」
曜「…梨子ちゃんは、さ、進路とか、将来とか、考えて、るの?」
梨子「えっ!?わ、私!?」 梨子(……)
梨子(…私は、これまで、考えようとしなかった。考えることから逃げようとしてきた。)
梨子(もちろん、ピアノの道を諦めたわけじゃない。でも、曜ちゃんや千歌ちゃんと過ごすこの時間が、すごく楽しくって、こんな時間が、ずっと続けばいいなって……)
梨子(だからもしかしたら、普通の大学で勉強しながら、ピアノを弾くのもいいかもなって、思って……)
曜「…私ね、周りから、飛び込みの専門的な設備がある大学に進まないかって、誘われてるんだ」
梨子「!?」
曜「本当は梨子ちゃんや千歌ちゃんと一緒に普通の大学進みたいなーって考えてたんだけど、コーチとかは私の才能には世界で戦える力があるぞって応援してくれてるから、それも悪くないのかなーって」 曜「あっ!でも!梨子ちゃんや千歌ちゃんと一緒にいるのが嫌ってわけじゃなくて!むしろずっとそばにいて欲しいって思ってて!」
梨子「ず、ずっと一緒に!?//」
曜「ふ、深い意味はないから!ほんとに!//」
梨子(ふふっ、わかってるよ、曜ちゃん)
曜「ご、ごめんね!せっかくの修学旅行でこんな話しちゃって!さっ千歌ちゃんを追いかけなくっちゃ!」
梨子「…曜ちゃん」
曜「ん?」
梨子「ありがと」
……… 千歌「あっ!二人とも!遅いよー!」
曜「ごめんごめん」
千歌「さっきね、そこに石の牛がいてね!触った場所が良くなるって書いてあったから!チカ、たくさん頭をなでなでしてきたのだ!これでチカの頭も良くなること間違いなしなのだ!」フッフーン
梨子「いや、その良くなるってのは病気が治るって意味で、お参りだけで一気に勉強ができるようになるわけじゃ……」
千歌「ふえっ!?じゃ、じゃあチカの頭は、もうずっと良くならないの!?…このままだと、一生美渡姉にバカにされ続けるのだ……」
曜「大丈夫だよ千歌ちゃん!私と一緒に勉強していれば、きっといつかは大丈夫!」
千歌「ふえええ!曜ちゃーん!ありがとーっ!大好き!」ハグッ
曜「ち、千歌ちゃん!?///は、はずかしい、よ……///」
梨子「……」
梨子「さっ、二人とも、この後の予定も詰まってるし、はやく本殿に行きましょ」ヒキハガシ
千歌「うん!神様のところへご挨拶に、しゅっぱーつ!」 夜、旅館にて
梨子「お風呂気持ちよかったわね」
千歌「うん!私は家のお風呂で慣れてるけど……やっぱり旅先の温泉は最高だよ!日頃の疲れが全部抜けていくみたいだよ〜」グデー
梨子「もう、千歌ちゃんたら、おじさんみたい」
千歌「そういえば梨子ちゃん!ずっと気になってたんだけど、梨子ちゃんの髪って、すっごくキレイだよね!」
梨子「え!?そ、そんなことないと思うけど……」
千歌「そんなことあるよ!髪すっごいサラサラだし!ね、曜ちゃんもそう思うでしょ?おーい、曜ちゃーん!」 曜「ん、どしたの千歌ちゃん?」
千歌「曜ちゃんもさ、千歌ちゃんの髪って、すっごくキレイだと思わない?」
曜「うん。私なんかもともとくせっ毛だし、プールで少し傷んでるしで大変だから、さらさらな髪はいいなーって思うなー」
梨子「曜ちゃんはもうすこし自分の髪の毛大切にした方がいいと思うよ。ほら、ちょっと来て?」
曜「え、いいよいいよ別に」
梨子「いいからいいからっ♪」 曜「…ちょっとこそばゆいけど、気持ちいいや」
曜「きっと、毛を梳いてもらえる猫ちゃんって、こんな気持ちなのかな?」
梨子「ふふっ、ありがとっ」
梨子(曜ちゃんは自分の髪がイヤみたいだけど、私は曜ちゃんの髪、好きだなぁ)
梨子(確かに少し傷んでるけど、すごい爽やかだし……まるで、水の中にいるみたい)
曜「…やっぱり私、梨子ちゃんの雰囲気、とっても好きだな」
梨子(な!?なに!?急に!?どうしちゃったの!?///) 曜「梨子ちゃんに髪を梳いてもらってると、安心した気持ちになれて、心がスーッて溶けていくみたいだよ」
梨子「そ、そういう言葉は!軽々しく使っちゃだめなんだからね!//」
梨子(特に私以外の人には絶対禁止なんだから!)
曜「ん?どうして?」
梨子「どうしてもです!」
曜「?」
曜「…変な梨子ちゃん」 オーイモウスグショウトウダゾー
ヨフカシスルナヨー
曜「あっもう消灯だって!急がないと!」
梨子「そ、そうね」
曜「じゃあ梨子ちゃんまた明日!おやすみなさい!」
梨子「う、うんおやすみ、曜ちゃん」
パチッ
梨子「……」
曜「……」
千歌「…そうは問屋はおろさないのだ」
曜「わっ!ち、千歌ちゃん!?」 梨子「さっきから静かだから、てっきりもう寝っちゃったのかと……」
千歌「ふっふっふっ。梨子さん。修学旅行の夜を甘くみちゃだめなのだ」
千歌「修学旅行といえば!枕投げに!夜のおしゃべり!」
千歌「ラッキーなことにこの部屋は私たち三人だけだから、思いっきり女子トークに花を咲かせられるっ!」
曜「女子、トーク……」ゴクリ
梨子「…はぁ、それで、何のおしゃべりをしたいの?千歌ちゃんは?」
千歌「それはずばり!恋バナです!というわけで曜ちゃん!どうぞ!」
梨子(曜ちゃんの恋バナ!?) 曜「わ、私!?でも私、話せることなんて……」
千歌「またまた〜この前のバレンタインにチョコたっくさんもらってたくせに〜」コノコノー
千歌「ねえねえ聞いてよ梨子ちゃん〜曜ちゃんってばまたラブレターもらっちゃってね〜……そうだ曜ちゃん、ラブレターのあの娘!あの娘とはあのあとどうなったの?なにか起こったの?」
梨子(ふえっ!?曜ちゃんにいつの間にそんなことが起こってたの!?それに千歌ちゃんはそのこと知ってたんだ……)
曜「特になにもないよー…今はそういうことをする余裕がない、Aqoursの活動で精一杯だって言ったら、向こうもわかってくれて……だから、千歌ちゃんが望むようなことは、何も起こってないよ」
梨子(…ほっ) 千歌「なんだぁ……でもいいなー、曜ちゃんばっかりモテモテで、私も曜ちゃんみたいに可愛かったらなー、チョコ机いっぱいにもらえたのになー」
梨子「千歌ちゃんは自分の魅力に気づいてないだけで、そのままでもすごく素敵な女の子だよ」
千歌「ありがと梨子ちゃん!可愛い梨子ちゃんに褒められちゃったら、もう有頂天だよ〜大好き!」ハグッ
梨子「ふふっ、千歌ちゃんったら」 千歌「もう曜ちゃんなんて放っておいて、これからは二人で生きていこうね〜」
曜「え!?千歌ちゃん!?……ひどいよ…それはあんまりだよ……」ウルウル
千歌「知ーらない!曜ちゃんはモテモテだもんねー!私たちがいなくても大丈夫だもんねー!」
曜「で、でも!私、千歌ちゃんのいない生活なんて考えられないよ…」
千歌「…本当にそう思ってる?」
曜「も、もちろん!」
千歌「じゃ、仲直りのハグー!」ダキシメ
曜「ち、千歌ちゃーん!!!」
イチャイチャイチャ
ワイワイワイ
…
梨子(今はそういうつもりはない、か…) 千歌「……すぅすぅ」
曜「…千歌ちゃん、寝ちゃったね」
梨子「そうね。昼間からはしゃいでたもんね」
曜「梨子ちゃんは大丈夫?疲れてない?」
梨子「ええ、私は大丈夫。そういう曜ちゃんは?」
曜「体力には自信があるのであります!」
曜「でももう遅いし、そろそろ寝ようかな…おやすみ梨子ちゃん……」
梨子「よ、曜ちゃん!」
曜「ん?どしたの梨子ちゃん?」
梨子(さっきのこと、すごく、気になる、けど……)
梨子「…お、おやすみ!曜ちゃん」
曜「うん!また明日!おやすみ、梨子ちゃん!」ケイレイ 二日目 四条通り
千歌「美味しかったね!抹茶パフェ!」
曜「口の中で抹茶の香りが広がって、やっぱり本場の抹茶は最高だよ!」
千歌「さあっ!次はどこに行くの?曜ちゃん?」
曜「え、えっと……予定では、もう宿に戻ることになってるけど……」
千歌「ええっ!?まだ四時だよ!?もう少し遊べるよ〜!」
曜「そ、そうだね。えっと……」ペラッ
梨子「あ、あのっ!」
千歌「?」
梨子「私、行ってみたい場所があって—
——— 下鴨神社
千歌「ここが、下鴨神社?」
梨子「うん。世界遺産にも登録されている、歴史ある神社なんですって」
千歌「へぇ〜…」
梨子(そう、ここが、私がずっと来たいと思っていた場所)
梨子(あの日、恋愛上手な巫女さんに神社をすすめられた後、私は縁結びの神様のいる神社を探しました)
梨子(そうしたら、この下鴨神社がパワースポットだって書いてあって……ここなら臆病な私にほんの少しだけ勇気をもらえるかなって思って……) 曜「あ、もしかして梨子ちゃん!私がここにいってみたいって言ったこと、覚えててくれたの?」
梨子「え、あ、うん……」
曜「わぁ梨子ちゃん嬉しい!ありがと!」
千歌「ふぇ?なんで曜ちゃんここが気になってたの?」
曜「実はこの神社には、水守りっていうお守りがあって、それが欲しいなって思ってたんだ!ほら、私って飛び込みやってるから」
千歌「みず、まもり……」
梨子「じゃあ、日が暮れないうちに、お参り済ませちゃいましょう?」 カランカラン
パンパン
曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんは、何をお願いしてたの?」
千歌「…ないしょ!だめだよ曜ちゃん、願い事は口にすると叶わなくなるんだよ!」
千歌「あっ、私あっちの方気になるから、ちょっと見てくるね!」
梨子「あっ、ち、千歌ちゃん!?」
曜「じゃあ私たちは私たちで、ちょっと見て回ろうか?」
梨子(も、もしかしてこれが、神様がくれたチャンスなの!?)
梨子「そ、そうね……でもその前に、お守りを買いに行きましょ」 曜「あ、あった!水守り!すみません!これ一つください!」
梨子「へぇー、色々なお守りがあるのね」
梨子(子宝守に獅狛守り……あら、これは?)
曜「わっ!そのお守りかわいい!ハート形になってる!」
曜「ね、そのお守り、絶対梨子ちゃんに似合うよ!」
梨子「え!?そ、そうかな……」
曜「絶対そうだって!しかも綺麗な桜色だし!すみませーん!この葵のお守り、ひとつ下さい!」 曜「はい、これ!私から梨子ちゃんに、プレゼントだよ!」
梨子「え!?いいよ悪いよ……」
曜「大丈夫!それに、私があげたいんだから、ね?もらってよ!」
梨子「じゃ、じゃあ……ありがと……」
梨子(曜ちゃんがくれたお守り……)
曜「ふふっ!ずっと大切にしてね!」
梨子「ええ、もちろん!」 曜「あっ、おみくじあるよ!梨子ちゃん、一緒に引いてみようよ!」
曜「じゃあ私から、いっくよー!えいっ!」
曜「どれどれ……『小吉』だって!これってまあまあってことじゃない?梨子ちゃんは?」
梨子「私は……中吉、みたい」
曜「えっ、すごい!じゃあおみくじ勝負は梨子ちゃんの勝ちってことだね!」
梨子「別に勝負をしていたつもりはないけど…曜ちゃん、こういうのは、結果よりも書いてある内容のほうが大切なのよ」
曜「それもそうだね!えっと、どれどれ……」
梨子(私のは……恋愛運、好機を逃さず勇気を振り絞るべし、って書いてある…頑張ってみろってことなのかな……) 曜「梨子ちゃん梨子ちゃん!みてみて!私のおみくじ、身近な人を大切にするべし!って書いてあるよ!これって、梨子ちゃんやAqoursのみんなってことじゃないかな?」
曜「うん!きっとそうだよ!私、梨子ちゃんのこともっともっと大切にするね!」
梨子「……」キョロキョロ
曜「ん?どしたの梨子ちゃん?」
梨子(気づけば少し日も落ちてきて、周りの人も少なくなってきて……)
曜「梨子ちゃん?」 まぁ、そろそろようりこもこんな形式から外れたssが見たい
33 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/02/29(土) 20:57:57.79 ID:9NhyGdJT
ようりこスレ&SSに必ずあること
千歌だけはノンケ
千歌の不幸からはじまるようりこ(失踪とか)
千歌、たまには善子の悪女化
千歌の結婚とようりこ
善子はようりこの赤ちゃん設定
曜は男役、梨子は女役設定
男体化が一番多い 梨子(きっと、これが好機ってことなのよね……)
梨子(ええい!勇気を出すのよ私!女の子には、大胆にならなきゃいけない時があるんだから!)
梨子「あ、あのね私!曜ちゃんにずっと言おうと思っていたことがあって!」
曜「?」
梨子「じ、実は私—
千歌「どわぁっ!!!」 曜「ち、千歌ちゃん!?大丈夫!?」
千歌「いてて…転んじゃった……二人を見つけてつい嬉しくなっちゃって……」
千歌「もう二人ともひどいよ!ずーっと探してたんだよ!チカひとりぼっちで怖くて怖くて、迷子になるところだったのだ……」
曜「あはは、ごめんね千歌ちゃん」ナデナデ
曜「それで梨子ちゃん、私に話って?」
梨子「…ううん、なんでもないの」ニッコリ
曜「そう、ならいいけど」
梨子(…こうして、私の恋は、冷たい風とともに、流れて去って行きました。) 夜、旅館にて
千歌「さあっ!今日も思う存分遊び通すよ!!」
千歌「…って思ってたんだけど、チカもう眠くて眠くて……今日は一足先におやすみさせてもらうのだ……」フトンモゾモゾ
千歌「梨子ちゃん、曜ちゃん、おやすみ……」
梨子「うん、千歌ちゃん。おやすみなさい」 梨子「…今日はずいぶん早く寝ちゃったわね」
曜「きっと、昼間はしゃぎすぎて疲れてたんじゃない?」
梨子「ならいいんだけど……」
曜「さっ!私たちも寝よっか!」
梨子「ええ、そうね。おやすみなさい、曜ちゃん」
曜「うん!おやすみ!梨子ちゃん!」
……… ………
梨子「……」パチッ
梨子(…起きちゃった)
曜「…すぅ、すぅ……」
梨子(曜ちゃんはまだ寝てるみたい……)
梨子「スマホスマホ…まだ3時……」
梨子(起きるまではまだだいぶ時間あるし……)
梨子「…喉乾いたわね」
テクテク ピンポンパーン
ガラガラッ
テクテクテク
梨子「…あっ、自動販売機……って千歌ちゃん!?」
千歌「うえっ!?梨子ちゃん!?な、なんで!?」
梨子「ちょ、ちょっと、目が覚めちゃって、飲み物でも飲もうかなって……」
梨子「千歌ちゃんは?」
千歌「わ、私も、眠れなくって、それで、飲み物飲みながらこのソファで休憩してたとこで……」
梨子「そうなんだ……」
千歌「……」
梨子「……」 千歌「…ねえ梨子ちゃん。私ね、実は梨子ちゃんに話さなきゃいけないことがあるんだ」
梨子「え?なあに、千歌ちゃん?」
千歌「…実は私ね、梨子ちゃんの気持ち、ずっと知ってたんだ。初めから」 梨子「え!?そ、それは、どういう……」
千歌「あ、言わなくっていいよ、別に」
千歌「梨子ちゃんと曜ちゃんを一番近くで見てきたんだもん。わからないわけ、ないよ」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「…私ね、ずっと怖かったんだ」
千歌「ほら、私、梨子ちゃんや曜ちゃんと違って、得意なことも特技も、何もないでしょ?」
千歌「だから、このままじゃ、曜ちゃんと梨子ちゃんが特別な関係になったら、私二人においていかれちゃうって、とても、不安で……」
梨子「そんなことない!千歌ちゃんのこと見捨てたりなんて絶対しないわ!」
千歌「ありがとう、梨子ちゃん。わかってはいるけど……」 千歌「…それに、この春で浦の星はなくなっちゃって、私たち新しい学校に進むことになったら、きっと、今みたいに三人だけでわいわいやる機会も、少なくなっちゃうから」
千歌「果南ちゃんたち三年生もいなくなっちゃったら、Aqoursの活動だって、どうなるかわからないし……」
千歌「たはは…私まだまだダメダメだね……」
梨子(ち、違うよ、千歌ちゃん…千歌ちゃんはダメダメなんかじゃ……)
千歌「でもね、私、言われたんだ!神様に!」
梨子「神様?」
千歌「うん!最後にいった神社、下鴨神社で、私もね、引いてたんだ、おみくじ」
梨子「え!?そうだったの……」
梨子(じゃああの時千歌ちゃん、私たちのこと見ていて……) 千歌「曜ちゃんが水守りのこと言ってたから、もしかしたら私自身のことと、Aqoursのことを占ってくれるかもって思って」
千歌「そしたらね、己の道を突き進むべし!って書いてあったんだ。これって、自分だけの道を走りなさいってことだよね」
千歌「…私、わかったの。いつまでも三人でいられるわけじゃないってことを」
梨子「千歌ちゃん……」
梨子(そう、私もきっと気づいていたのです。三人でいる時間が永遠ではないことに) 千歌「私、このまま梨子ちゃんと曜ちゃんに甘えてちゃ、だめなんだと思う。誰かを追いかけるんじゃなくて、私だけの輝きを見つけるために、走っていかなきゃいけなくって」
千歌「そのためには、勉強も、Aqoursの活動も、もっともーっと頑張らなきゃいけないなって、思ったんだ」
千歌「だから、ずっと三人でいたいって私のワガママが、梨子ちゃんや曜ちゃんを気づつけていい理由になんかならなくて…とにかく、ごめん!梨子ちゃん!」
梨子「ち、違うよ!みんなでいたいって思ってるのは、千歌ちゃんだけじゃないんだから!」
千歌「うん、ありがと。梨子ちゃん」 千歌「梨子ちゃんや曜ちゃんがどうなろうと、私のこの気持ちは変わらない。もう、大丈夫だから」
千歌「だから梨子ちゃんも、自分の気持ちにまっすぐになってみて」
千歌「心の中のその想いに、答えを出してあげて」
梨子「千歌ちゃん……」
梨子「…ありが、とう」
千歌「うん!それと梨子ちゃん!」
千歌「この先何が起ころうと、私たち一番の親友だよ!」 三日目 清水寺
梨子(私の真っ直ぐな気持ち、か……)
千歌「なにこれすごい!お寺の中に滝が出来てる!」
梨子(私はいったい、何がしたいんだろう?)
曜「このお水、飲んだら長生きできるんだって!千歌ちゃん梨子ちゃん!一緒に飲んでみようよ!」
梨子(…私はこの修学旅行を、終わってしまったこの気持ちを、一生消えない思い出にしたい)
千歌「うわっ!?みてみて梨子ちゃん、曜ちゃん!すごい景色!たっかーい!」
梨子(もし私たちが離れ離れになったとしても、それぞれ違う道に進むことになっても)
曜「千歌ちゃん千歌ちゃん!すっごい遠くまで見渡せるよ!ヨーソロー!」
梨子(いつかまた会えた時に、笑顔で話ができる自分でいたい、かな……) 曜「わあっ!見て見て梨子ちゃん!もう梅の花が咲き始めてるよ!」
梨子「そうね、もう春、なんだね……」
梨子(…この春が終わって、また次の季節がきて、そうして私たちは大きくなって)
梨子(いつか、この季節のことも、懐かしいねって笑える日が、くるのかな?)
曜「…ねえ、梨子ちゃん?」
梨子「なあに?曜ちゃん……ってええ!?」
曜「ちょっとついてきてよ!見せたいものがあるんだ!」
梨子「よ、曜ちゃん!?ちょ、ちょっとどこ行くの〜!?」 円山公園
曜「ついたっ!」
梨子「はぁっ…はぁっ……ここが、曜ちゃんが来たかった場所……」
曜「そうっ!円山公園!ほら、見て見て梨子ちゃん!」
梨子「えっ…あっ…桜……もう咲いてるんだ……」
曜「そっ!しだれ桜って言うんだ!普通の桜より少し開花が早いんだって!」
梨子「そうなのね、すごいキレイで……」
曜「ほら、梨子ちゃんのメンバーカラーって、サクラピンクでしょ?だから、この景色を見せてあげたくて」
梨子「えっ!?」
梨子(私のため、だったんだ……)
梨子「曜ちゃん、ありがとう……」
曜「うん!どういたしまして!」
曜「ねえ、もう少し奥の方まで行ってみない?」 梨子「曜ちゃーん!もう、どこまでいくの?」
曜「…ふぅ、ここなら大丈夫かな?人も少なくなってきたし」
梨子「もうっ、どうしたの曜ちゃん、急に」
曜「…ねえ梨子ちゃん、私梨子ちゃんに伝えなきゃいけないこと、あるんだ」
曜「私の勘違いだったらごめん、梨子ちゃん、もしかして、悩んでること、あるんじゃない?」
梨子(!?)
曜「それも、修学旅行の間、ずっと」 梨子「…いいの別に。昨日も行ったけど、もう終わったことだから」
梨子「ほんとはね、私も進路のこと、ちょっとだけ悩んでたんだ」
梨子「でもこれは、私自身の問題だから、私自身が答えをみつけなきゃいけないことだから」
梨子「だから、いいの。ありがとう、曜ちゃん」
曜「梨子ちゃん……」
梨子(これで、いいんだよね。私が曜ちゃんの重荷になんてならなくて、曜ちゃんが笑って夢を追いかれられるようになれば、私は、それで……)
梨子(だからこの話は、私の恋は、ここでおしまいに… 曜「…あのね梨子ちゃん、実は私、こうみえて梨子ちゃんのこと、すっごく感謝しているんだ!」
梨子「え?」
曜「梨子ちゃんと出会えてなかったら、きっと今の私はない」
梨子「曜ちゃん……?」
曜「…実は私、小さいころから千歌ちゃんと一緒にいるけど、Aqoursを始めるまで一緒に何かをやってきたことって、あんまりなくて」
曜「ほら、飛び込みって一人で黙々と打ち込む競技でしょ?だからもしかしたら私、協調性とかないのかなって、千歌ちゃんも、私と一緒にいるの、本当は嫌なんじゃないかって、思ってたんだ」
曜「でもそんな時、梨子ちゃんが内浦に引っ越してきて、Aqoursが作られて、」
曜「梨子ちゃんと千歌ちゃんが言い合いしながらすっごい曲を完成させてるのを見て、ああ、これが青春なんだなぁって、」
曜「私も、自由に、全力でぶつかってみてもいいのかなって、思えた」
梨子(…曜ちゃんにも、そんな悩みがあったのね) 曜「Aqoursの活動がもうほんっとに楽しくて!みんなであーでもない、こーでもないって言いながら一つのものを作るのが、何よりも楽しくて……」
曜「だからこれは全部、梨子ちゃんのおかげなの」
梨子「そんなこと、ないよ。私が曜ちゃんにしてあげられたことなんて、なにも……」
曜「ううん、そんなことある!梨子ちゃんは、私の中のヒーローだよ!」
曜「だから、こんどは私が、梨子ちゃんを助けてあげる番」
曜「私ね、梨子ちゃんの悩みも、梨子ちゃんの夢も、全部を受け止めてあげたい!」
曜「一緒に迷って、一緒に泣いて、一緒に笑って、一緒に二人で歩いていきたい!」
曜「これが、今の私の全力の気持ち!」
梨子「曜ちゃん……」 梨子(ああ、私、やっぱり曜ちゃんのことが、大好きです)
梨子「…うん、ありがとう」
梨子(弱気な私を明るい笑顔で引っ張ってくれるそのまぶしさが、臆病な私の隣に寄り添ってくれるその優しさが、とってもとっても、大好きです) 梨子「あのね、曜ちゃん、私ね……」
梨子(ふいに、一陣の風が舞って)
曜「うん!」
梨子(私たちは、甘い季節に包まれて)
梨子「ずっと、曜ちゃんのことが—
——— 終わりです。お粗末様でした
実は初投稿、どころかラ板初カキコだったりします…
本当は少女以上の恋がしたいとサクラバイバイをかけ合わせたような甘々な感じにしたかったのですが
力及ばずMarine Border Parasol的な形に落ち着いてしまいました…
ここまでコメント&お読み下さった皆様、本当にありがとうございました! 乙乙
修学旅行がテーマで青春を感じられるお話でとても良かった
この後の続きも気になる 久しぶりにこんなピュアピュアなSSが読めて嬉しい
最高でした
また書いてくださいな おつ
千歌とバトル展開になるかと思ったけど平和に終わって良かった おつです
こんな毒のない甘いストーリーを延々と読んでいたい 乙!
甘酸っぱくてとてもよかった
この後も気になる……! 未来に向けての悩みを描きながらも、爽やかな話になっててとても良かった
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