花丸「ねぇ、運命ってあると思う?」
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〜あらすじ〜
善子の態度の変化に違和感を覚えた花丸は
ダイヤの協力で善子が花丸を殺さないために一週間を繰り返していることを聞き出すことに成功する
しかし、運命から逃れるための情報も手立ても用意できないまま時間だけが過ぎていく
そんな中、切っ掛けを作るべきだと考えたダイヤは
その命を代償として花丸を生存させることに成功する
ダイヤの賭けにより生き残ることに成功した花丸は
ダイヤを死なせない正しい終わり方を迎えるために善子と協力し
人形呪術が怪しいと考え【人形蔵】で【人形による世界】が形成されている可能性を見つける
そしてその情報と、果南との合言葉を胸に二人は次の世界(一週間前)に向かう
戻った花丸たちは人形蔵のことを確認し、
花丸自身も知らない【誰か】と幼少期に一緒に人形蔵にいたという情報を入手する
調査による遅刻の通学路でルビィと出会ったことをきっかけに
果南達三年生そしてルビィの協力を得て、
一緒に居た誰かがルビィであること、今生きている世界が【ルビィの世界】であることを知る
そして、【ルビィの世界】は花丸を救うために作られ、
戻るには人形を依り代としたルビィを殺す必要があるとルビィ自身から言われた善子は
葛藤の末に【ルビィの世界】を破壊したのだった ダイヤ「……善子さんは歪な関係になってしまうかもしれないというけれど」
ダイヤ「それはあくまで、わたくしたちが儀式の記憶がない場合であって」
ダイヤ「互いにそうなることへの心構えをしておけば、たとえ恋愛感情を抱いてしまっても修正は可能なはず」
ダイヤ「来世に向けての契り、その強制力がいかほどかは分かりかねますが」
ダイヤ「同性の情であることを考えれば、辛くとも自然――いえ、少なくとも黒澤の長女として別たれるのが道理」
ダイヤ「失恋の一つや二つ、わたくしは問題ありません」
善子(ダイヤは淡々とそう語った)
善子(別に間違ってはいない)
善子(尊敬して入るもの、恋心かと言われればNOで返す私としてもそれが道理だと思える)
善子(ただ、花丸が死ぬ運命の強制力が恋愛に働いたとして)
善子(はたして、私は平然としていられるだろうか)
ダイヤ「大丈夫?」
善子「ん……大丈夫」
善子「悪魔の力がマジものだったとしたら、私……失恋の余波で自殺か事故死する可能性もあるかもって思っただけ」
善子「もちろん、死ぬ運命っていうのを重ね合わせたうえでだけど」
善子「もっとも、付き合えたら付き合えたで浮かれた挙句事故死するんだろうけどね。みっともないったらないわ」 善子(努めて笑う)
善子(死ぬか生きるかの話だから、笑い話ではないのだろうけど)
善子(でも、失恋と……何だったか。花丸が言うには得恋だったっけ?)
善子(失恋か得恋どっちにせよそれで自分が死ぬとか正直想像がつかない)
善子(恋も何もしてこなかった人生だしね……それもそうか)
善子(だからこそ、みっともないと思うのね……)
ダイヤ「その場合、付き合う方が良いかしら?」
善子「へ?」
ダイヤ「どちらにせよ、善子さんの隙が大きくなって事故に遭うのなら」
ダイヤ「傍に居て守ることのできる恋人になる方が良いと思うのだけど、どう?」
善子「どうって……えっ、いや、正気!?」
果南「今は同性とかそういうの気にしてる場合じゃないよ」
果南「ヨハネちゃんがダイヤのこと好きになっちゃってた場合のこと考えないと」
善子「……それはそうだけど、躊躇なさすぎでしょ」
花丸「それだけ、善子ちゃんのことを大事に思ってるってことだよ」
善子「十分知ってるわよ」 善子(花丸を庇って死ぬくらいにやばい奴だってことくらい良く分かってる)
善子(だから、恋人になるくらいもどうってことないのも分かってる)
善子(けどいくらなんでも軽すぎるわよ……助かるけど)
善子「ダイヤがそれでいいのなら付き合いましょ」
善子「私の性格的に、失恋相手が追いかけてきたら全力疾走で逃げるし多分それで死ぬから」
善子(交差点のバイクかトラックか乗用車かの交通事故)
善子(あるいはたまたまあいてたマンホールからの垂直落下)
善子(あとは落下物とか飛来物とか……碌な死に方しなそう)
善子(不登校も再発しかねないし)
善子(まぁ、そこは私の記憶があれば避けられるか……)
花丸「ほかに決めておくことはない? 」
善子「合言葉」
善子「今の私とダイヤだけが知ってる、それを言われたら、言えたらちゃんと記憶があるって証明になるなにか」
ダイヤ「この後行う黒魔術の悪魔の名前はどうでしょう?」
善子「ダイヤはそれでいいけど、私は駄目。確実に分かるから合言葉にはならない」
果南「じゃぁいっそA世界の黒澤ダイヤとA世界の津島善子って合言葉はだめ?」
果南「知らずに急に言われたらはぁ? って絶対なるだろうし」 ダイヤ「……そうね。確かに」
善子「A世界の津島善子じゃなくて、Aの善子。Aのダイヤでどう?」
善子「私がAの善子って言ったらダイヤはAのダイヤって返す。逆も同じ」
善子「Aのダイヤなんてトランプっぽいから知らなければそっちが先に出ることになるでしょ?」
花丸「ヨハネじゃなくていいの?」
善子「別にいいわよ」
善子(今はヨハネだの善子だのなんてどうだって良い)
善子(このふざけた運命とやらを突っ撥ねて生き残る)
善子(そのために……ルビィだってこの手で殺したんだから)
花丸「善子ちゃん、儀式はすぐにできる?」
善子「家に帰れば道具があるはず」
善子「今日ほど、自分で堕天使だのなんだの騙っててよかったと思う日はないと思うわ」
花丸「解った」
花丸「じゃぁ、とりあえず善子ちゃんとダイヤちゃんの二人は善子ちゃんの家に行って儀式を執り行う」
花丸「私――マルは、果南ちゃんと一緒に家に帰って二人が後で来るってことにしておけばいいかな?」
果南「花丸ちゃんが事故に遭わないようについて行けばいいんだね? 任せといて」
善子「油断しないで。ほんと……いろんな要素が殺しに来るから」
善子(真剣な顔で分かった。と果南は言う)
善子(それでも不安は拭えないまま昼休みが終わり、気付けば放課後になって――私達はそれぞれ別れることになった) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています