かすみ「私、中須かすみの気になる先輩」
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【虹ヶ咲 部室】
かすみ「(私、中須かすみにはちょっとだけ、ほんのちょこーーっとだけ、気になる人が居ます)」
かすみ「(それは、同じ部活の先輩で……所謂私達のマネジメントをしてくれてる人です)」
かすみ「(べ、別に好きとかじゃないです!……でも、気になっているのは確かなのでそこは認めてあげましょう!かすみんは寛大なので!)」
かすみ「(こほん…………そして、その先輩といつも一緒に居るのは……)」
歩夢「かすみちゃん…?あのー、大丈夫?」
かすみ「へあっ…!?」 歩夢「あ……驚かせちゃった?ごめんね、部室に来てみたらなんだか悩んでるみたいだったら…話しかけちゃった」
かすみ「あ……いえ、大丈夫です……ぼーっとしてただなので」
歩夢「そっか、困ったことがあったら言ってね?力になれる事なら何でもするから、ね?」
かすみ「ありがとうございます、優しいですね……歩夢先輩は」
歩夢「えー?普通だよ、かすみちゃん」
かすみ「(そう、先輩といつも一緒なのは先輩の幼馴染で先輩にべったりのこの人──歩夢先輩です)」 かすみ「(ぶっちゃけ、この人が発する先輩への好きオーラは群を抜いてます)」
かすみ「(正直何をどう考えても好感度MAXです、大好きを隠さないにも限度ってものがあります)」
歩夢「そういえばね、さっきあの子に会ったんだけど目に濃いクマ作ってて……理由を聞いたら夜更かししてそのまま学校来たって言っててね〜後、そういえば……」
かすみ「(口を開けば先輩の話、言葉も態度も…バンバンに物語ってます。気付かない方が無理な話です)」 歩夢「……あ、ごめんね、かすみちゃん…私の話あんまり楽しくなかった…?」
かすみ「あっ…いえっ……すみません、まだぼんやりしてたのが抜けて無くて…」
歩夢「そっか……気分が悪くなったりしたら言ってね、保健室まで連れて行ってあげるから」
かすみ「あ、ありがとうございます……」
かすみ「(ただ、ひたすらにいい人なんですよね……だからこそやり辛いと言うかなんというか……)」 かすみ「(ここは一つ、情報を集めて……)」
かすみ「あのー……ひとつ聞いてもいいですか?」
歩夢「ん……?なにかな、かすみちゃん…?」
かすみ「先輩と歩夢先輩は幼馴染なんですよね?どれくらい前から一緒だったんですか?」
歩夢「えーと、そうだなあ……知り合ったのはそれこそ物心付く前とかだけど…いっぱい遊んだのは小学生のころかなあ」
歩夢「そうそう!そういえば小学生のころなんだけどね、あの子が運動会の時に──」 歩夢「──って事があったんだけど……」
かすみ「ふんふん、それで?先輩はどうしたんですか?」
歩夢「………かすみちゃん、あの子のこと気になるの?」
かすみ「へ…!?ど、どうしてです!?」
歩夢「いや、急にあの子の事を聞いてきたから、気になるのかなあって」
歩夢「それに、練習の休憩時間とかかすみちゃんあの子の事よく見てるし」
かすみ「そ、それは……歩夢先輩の気のせいです!かすみんが先輩の子と気になってるなんてナイ!ナイですから!」
歩夢「そっか……結構自信あったんだけどなぁ…」
かすみ「それはホント、歩夢先輩気のせいです!絶対無いですから!」
かすみ「そんなこと……ありえないですから」
歩夢「…………」 歩夢「かすみちゃん、今日の練習終わり時間あるかな?」
かすみ「へ…?」
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【歩夢宅】
かすみ「お、おじゃまします……」
歩夢「ようこそ、気を使わないでくつろいでいってね〜」
かすみ「(つい押しに負けてホイホイ付いてきてしまった……)」 かすみ「しかし、本当に先輩の家と目と鼻の先なんですね」
歩夢「うん、もともと私達が産まれる前からお母さん達もご近所付き合いをしてたみたいでね、産まれた時期も近くてびっくりしたって言ってたよ」
かすみ「それで……歩夢先輩、なんでかすみんここまで連れてこられたのでしょう…?」
歩夢「あー……ごめんね、かすみちゃん、さっきも聞いたけどもう一回質問してもいいかな?」
かすみ「……? 何をですか?」
歩夢「かすみちゃん、あの子の事気になるよね?」
かすみ「はぁ…!?ばっ、べっ、何を言ってるんですか!……私はさっきも別にそんなことは……」
歩夢「……ここは私の家だし、誰にも聞かれないよ…?」
かすみ「………う、ぐっ…」 かすみ「……ちょっと」
歩夢「ちょっと…?」
かすみ「ちょっと、ほんのちょっとですよ!?ほーんのちょっとだけ!気にならない事も無いです」
歩夢「……そっか」ニコニコ
かすみ「………うっ」
歩夢「………」ニコニコ
かすみ「もー!聞いたならもうちょっとリアクションして下さいよ!!まったく!!」
歩夢「ふふっ……ごめんごめん、かすみちゃんかわいいから」 かすみ「まったく、歩夢先輩も人が悪いですよ……」
歩夢「ふふっ……でもね、実はこのお話をする為に私の家に来てもらったの」
かすみ「このお話って……はっ!まさかライバルのかすみんを取って食べる為に!?」
歩夢「……かすみちゃん?」
かすみ「いやー!…いくら完璧アイドルのかすみんでもその抜群のプロポーションのせいで食べるところ少ないですから!お許しをー!」
歩夢「あ、あの……かすみちゃん、大丈夫食べたりしないから、ね…?」
かすみ「……あ、はい」
かすみ「(この人、ボケをナチュラルに潰してくるから……やり辛いです…)」
歩夢「安心して、ね?あ、そうだ…お客さん用のクッキー食べる?」
かすみ「あ、いただきます……」サクサク
歩夢「あ、そうだ……今日来てもらった理由なんだけど……はい、これ!」
かすみ「……エプロン、ですか?」 【キッチン】
歩夢「という訳でね、今日はかすみちゃんに卵焼きの作り方を教えたいな、って思って来てもらいました!」
かすみ「何がという訳で、なんですか!何がどうなって急にそんな事になるんですか…!」
歩夢「……かすみちゃん、実はあの子はね…卵焼き大好きなの、それも、ちょっと固めに焼いたやつ」
かすみ「……そ、それは初耳ですけど…でも、それが何の関係あるんですか!」
歩夢「だから、かすみちゃんがそんな卵焼きが焼けたらいいかな〜と思って、ね?」
かすみ「……わかりました、けど」
歩夢「けど?」
かすみ「か、かすみんだって普通の卵焼きくらい焼けますからね…!そこの所間違えないでください!」
歩夢「ふふっ……はいはい」 かすみ「(歩夢先輩は丁寧に、本当に懇切丁寧に料理を教えてくれた)」
歩夢「フライパンの温度は落としたバターの様子で判別するの、これは他のお料理でも使える技だから覚えておくと便利かも」
かすみ「…バターがどれくらいになったらいいんですか?」
歩夢「だいたい、溶けたバターが透明になったかな……くらいで入れるといいかな?」
歩夢「卵は3回に分けて入れるの、よくやりがちな間違いなんだけど、分けて入れるのを知ったからって5回も6回も分けちゃだめだからね?」
かすみ「え、どうしてですか?」
歩夢「分けすぎるとね、卵焼きがぺちゃんこになっちゃうの、だから三回は絶対厳守!だよ?」 歩夢「あとはうっすら固まってきたら半分に折って卵を流し込むのを繰り返せば……よっと…!」
歩夢「はい、シンプルだけど卵焼きの完成!」
かすみ「おぉ、綺麗……教科書通りの卵焼きです…」
歩夢「どうぞ、ちょっと食べてみて」
かすみ「え、いいんですか?では早速…いただきます」
かすみ「おいしいですね……、硬めに焼かれてるのと、甘くないおかず用っぽい味付けがマッチしてます!」
歩夢「ふふっ……ありがと」 歩夢「じゃあ今度はかすみちゃんも同じの作ってみようか」
かすみ「うえぇ!?……さっきの見たら…途端に自信がなくなってきました」
歩夢「まあまあ、私も手伝うから」
かすみ「でも……」
歩夢「ほら、卵焼きあの子に作ってあげれば、きっと喜んでくれるよ?」
かすみ「え、あー……わかりました」 歩夢「ほらかすみちゃん、そろそろ手前に卵を持ってきた方がいいよ?」
かすみ「は、はい………えっと…手前にそーっと…そーっと…」
かすみ「あ……破れちゃいました」
歩夢「あー……千切れちゃったんだね…ちょっと貸してもらってもいい?」
かすみ「はい……歩夢先輩」
歩夢「破れちゃっても…内側に包んじゃえば……はい、大丈夫!」
かすみ「おぉ……すごいです」 かすみ「……歩夢先輩は、なんでこんな事教えてくれるんですか?」
歩夢「かすみちゃん…?」
かすみ「歩夢先輩も…その…先輩の事…気になるとしたら、かすみんは邪魔じゃないんですか?普通そうじゃないんですか?」
歩夢「……ふふっ」ニコニコ
かすみ「………歩夢先輩?」
歩夢「いや、ただ…かすみちゃんも完全にあの子の事気になるって認めたなぁって…思ったから…」ニコニコ
かすみ「なっ……そ、それはアレです…!話が分かりやすくなる様に仮のアレです!そんな事ないですから!」 歩夢「あの子がね、帰り道で言ってたの。最近、かすみちゃんが構ってくれて面白いって、いつも話しかけてくれて楽しいって………あ、これ、あの子の居ない所で勝手に言ったら怒られちゃうかもだけど…」
かすみ「……先輩がそんな事を?」
歩夢「だからね、きっとそんな気になる後輩が作って来てくれたってなったら、きっとあの子も喜ぶと思うんだ」
歩夢「それに、かすみちゃんもあの子に褒められたら嬉しいでしょ?」
かすみ「そのために…ですか?」
歩夢「うん…!その為!それに、あと、もう一つ一番大切な理由として……私がかすみちゃんと仲良くしたいからって理由かな!」
かすみ「歩夢先輩………」 歩夢「えへへ……ここまでストレートに言うとちょっと恥ずかしいかな……」
歩夢「……ってかすみちゃん!!卵!卵焦げてる!!」
かすみ「へ…?ああ!!ヤバい、やばいです先輩!?どうすればいいんですか!これ!?」
かすみ「(この後、歩夢先輩と少し強めに火が入った卵焼きを、二人で笑いながら半分こにしました)」
かすみ「(結局、終電ギリギリで帰った私の心に残ったのは、真っ黒になった卵焼きのちょっとほろ苦い味と──それと反対に甘く、全てを包み込むような先輩の笑顔でした)」
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─── かすみ「(私、中須かすみにはちょっとだけ、気になる人が居ます)」
かすみ「せ、先輩……今日かすみん、お弁当の卵焼き作り過ぎたんですけど…いります?」
かすみ「……どうですか?……へ、好みの味でおいしい…?…そうですか……」
かすみ「よかった……」ボソ
かすみ「何か言ったかって…?何も言ってないです!何も!さあ!ドンドン食べて下さい!気温が下がってきたとはいえ家まで残すと痛んじゃいますから!さあ早く!」
かすみ「(それは、同じ部活の先輩で……所謂私達のマネジメントをしてくれてる人です)」 かすみ「(それと、もう一人)」
歩夢「あ、かすみちゃんと一緒だったんだね、その卵焼きはかすみちゃんの?」
かすみ「あ、歩夢先輩……ええ、そうです」
歩夢「そっかあ…どう…?かすみちゃんの卵焼きおいしい?……そっか、よかったね」ニコニコ
かすみ「あの……歩夢先輩」
歩夢「…?どうしたのかすみちゃん」
かすみ「歩夢先輩も、どうぞ…卵焼き食べて下さい」
歩夢「え……でも……」
かすみ「…いっぱいあるから、歩夢先輩にも食べて欲しいです」
歩夢「かすみちゃん……」
歩夢「じ、じゃあかすみちゃんがそういうなら……私も一つ貰っちゃおうかな…」
歩夢「いただきます……うん、ふわっとして、味付けもしっかりしてる…おいしいよ、かすみちゃん!」
かすみ「ま、まあ…ナンバーワンスクールアイドルは料理も完璧ですからね、当然ですよ…!」 かすみ「(その先輩は、とっても優しくて、いい人だって事は前から知ってたけど、それともう一つ)」
歩夢「ねえねえ、かすみちゃん…大成功、だね…!」
かすみ「……ありがとうございます、歩夢先輩」
歩夢「わたしは何もしてないよ〜でも、ありがとうね、かすみちゃん…!」ニコニコ
かすみ「(太陽みたいにふんわりとした笑顔が、とっても素敵な先輩でした)」
おわり 面白かったよ
なるほどSSって地の文ないから面白くならないと思って今まであえて触れてこなかったけど、一人称の地の文をセリフに混ぜるのか
試してみよう 喋らないのにあなたちゃんが何言ってるのか想像できるのすごい文章力 素晴らしい
歩夢がヤンデレに振り切ってないのが良い ほっこりした
ぽむは独占したがりだけど結果的にあなたちゃんが喜ぶ顔が見られるならかすみんに協力しそう ぽむがいつかすみんを卵焼きにするのかと思ってたら普通にほっこりする話だったすまん
乙 いつぽむが豹変するかとひやひやし通しだったが何事もなく終わってよかった
かすみんがこのお礼にとっておきのパン作りをぽむに教えてあげる話とか、平和なかすぽむを見てみたい もしぽむかす以外でも書いてくれるなら、かすりな希望 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています