果南「卒業ですね」
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果南「あ」
果南「無くした」
────3月9日─11:15分─松浦家 ────────数日後─新生Aqours・新歓パフォーマンス当日─ライブ終了後
千歌「あぁー!ステージから見えてたよー、来てくれたんだぁー!」
鞠莉「そりゃあねぇ〜可愛い後輩だもの」
梨子「ダイヤさんも遠くまでわざわざ…」
ダイヤ「良かったですわよ。皆さん…ルビィもね」
ルビィ「もう、なんでも出来るもん」
善子「こいつ…ずっと自信満々なのよ、まったく…」
果南「まぁまぁ、自信があるって良いことだって」
花丸「善子ちゃんも大概ずら」
善子「ヨーハーネ!」 曜「この後どうするの?私たち、さわやかでちょっとした打ち上げみたいなものやるけど…」
鞠莉「もちろん行くわよー?じゃ、マリーが車を出してあげまーす!」 ────────さわやか─長泉店
「良かったよー」
「あの振り付けさぁ」
「あれは……」
「へー!やっぱり東京は…」
「大変だよー!忙しいよー!」
「あ、新入生はねぇ…」
「準備大変でさぁ…」
「これだよ予定」
「うわぁ…ベリーハード…」 果南「(私今日…ダイヤと話せてないな)」
果南「(話すことも…ないけど。席も遠いし)」
花丸「…ダイヤさん、メニュー取ってくれるずら?」
ダイヤ「………!あ、はい」ヒョイ ちょうど中間地点にいた私に、ダイヤはメニューを渡した。いつぶりだろう、目が合った。
いつかの季節が、私の周りに浮かんで消える。
「スクールアイドル?」「そうですわ!学校を廃校の危機から救うにはそれしかありませんの!」
「東京?」「そうですの!私たちが呼ばれたんですのよ!」
「見つかったら怒られますわ!」「平気だよー」
「なんかいいね、体動かしたくなるっていうか」「まぁ確かに、今までやってこなかったジャンルではありますわね」
「やっぱりダイヤ、なにか隠してるでしょー」「違いますわ!私は別に」「ダイヤはごまかすとき、必ずほくろのところを掻くんだよ?」 「ほら、私たちと一緒にいても距離は縮まらないよ」「まずは、話しやすい話題を振って…」
「まぁそうなるとは思ったけどね……」「どうしてですの…」「だいたいダイヤは、自分から近づこうとしないからね」「自分から行かないと始まらないよ」「そう言われましても…….どうすれば」
「真面目でちゃんとしてて、頭が良くてお嬢様で…本当は、すごい寂しがり屋なのにね」
「ハグゥゥ…」「ちょ!ちょっとぉ!ったくもう果南さん大丈夫かぁ!?」
「ルビィ…」「何か気に入らないことでもしたんじゃないのー?」「そんなこと!」「どうするんですの!?」「諦める……?」
「実は私も、東京の大学に推薦が決まりましたの」
「私は海外でダイビングのインストラクターの資格、ちゃんと取りたいんだ」
「ここには誰も残らず、簡単には会えない事になりますわね」
「雨…ですわ」「またぁ?全くダイヤはぁ」「待って私!?雨女は鞠莉さんでしょ?」
「ダイヤもしばらくの間にずいぶん身体がなまったんじゃないの〜?」「私を本気にさせましたわね!!」「そう来なくっちゃ!」
「絵馬になんて書いてきたの?」
「それは内緒ですわ」
「でも、私が書いたことは、現実になるんですわよ────」
思い出に溺れそうになって、息が詰まって。
慌てて現実に帰る。 果南「…あ、うん」スッ
ダイヤ「……ありがとうございます」
その後も、皆で楽しく話した。何も…覚えてはいないけど。
ダイヤ「あの…私そろそろ」ガタッ
千歌「えっ!もう帰っちゃうの?」
鞠莉「ダイヤ〜?も・し・か・し・て、TOKYOから一緒に来た、素敵な王子様かな〜?」
梨子「えっウソ…!」 善子「リア充!?許すまじ!」
曜「さすが大学生だね…」
ルビィ「ル…ルビィの…お兄さん!?」
ダイヤ「な、何を言ってるんですのルビィ///」
鞠莉「でもー、一緒に住んでるんでしょ?進んでるわよね〜流石TOKYO♡」
ダイヤ「もう…鞠莉さん…///」
千歌「はぁ〜、すごいね。じゃあ寂しいけど、またね」 「楽しんできてね〜」「お幸せに!」
「またねー」「次のライブも絶対来てね!」
ダイヤ「じゃ、行ってまいりますわ…もう少しこちらにはおりますので、また…」
私はそっちを見なかった。
私はそっちを見なかったんだ。
ほんとは、耳も塞ぎたかった。 果南「ねぇ、花丸。あのさぁ…」
他の皆はもうちょっとダイヤを引き留めてみたり、囃したりしていた。
私は花丸に向かって何ともない話をしだした。聞こえてくる後ろの声をかき消すように、私は話し続けた。
花丸はただ黙って聞いてくれた。何故か少し泣いていた。私はそれに気づかないふりをして、構わず話し続けた。 花丸「ねぇ、果南ちゃん」
突然遮られた。
果南「………なに?」
花丸「今日、同じクラスの子がね。『今日って卒業したAqoursの三人来るよね?私、多分果南さんの手紙……かな。拾ったんだよね。渡しといて欲しいんだ』って。ダイヤさんからの…だよね」
見覚えのある封筒だ。
果南さんへ、とある。あぁ、今更。
全部遅いよ。全部もう、何もかも遅いよ。
……だけど、私は夢中で開いた。 果南さんへ
ずっと一緒にいたのに、全く別の道をゆくなんて。
行き着く未来が違うなんて。もう会えなくなるなんて。
いつかの私たちは、想像もしなかったでしょうね。同じ場所で、同じたくさんの夢に向かってきたというのに。早いものです、季節が過ぎるのは。
10回目の春を迎えたら、お別れが来る。それを知っていたら、初めの春を拒んだでしょうか。
こんなに寂しく、辛いのならば。
いえ。昔の事なんて、気にしても仕方ありませんわね。 あれから私たちは、色んなものを手放していった。
自分の変なプライドや、見栄や、自意識や……それが成長というものなのでしょうね。
そして今は、お互い大切な幼馴染を、そして、その幼馴染が一緒じゃないと何も出来なかった自分自身から、手を放しかけているのですわね。
せめて沢山の思い出を。海一杯程の、尽きない思い出を今は懐かしみましょう。この思い出だけは永遠に。……だけどきっと、少しずつ薄れてて、遠ざかっていくのでしょうね。それをわかっていながらも、抱きしめて、ずっと引き留めていたい。 携帯のロック画面や、アイコンの右端なんかからも、笑顔で写っていた貴女はいなくなって。
貴女の知らない人が、そこに陣取り始める。
貴女の笑顔は、アルバムにしまい込まれる。
言葉ではそう書けるけど、まだ実感はありませんわ。二度と無い思い出がそうとわかるのは、もっとずっと先なのでしょうね。
今はただ遠ざかるだけ。心はまだ、すぐ傍にいる。 明日から別々の道を歩くというのに。本当に時が経つのは早いものですわね。
少しだけ大人になったような…けれど、そんな気がするだけのような気もします。
その前に何かする事が、伝えないといけないことがあるような気がするのです。
果南さんにはありませんか。大人のふりをして、伝え残したことが。もしあるのなら、教えてください。 そしたら……私も、心に残っている想いを貴女に伝えたい。
ちょっぴり大人になったつもりでも、まだ心に何かがある。きっと、それって誰もが通る道なのでしょうね。
それをやりきって初めて、本当に卒業できるような気がします。きっと、そうですわね。
卒業ですね、果南さん。
黒澤ダイヤ サンシャイン2期全巻購入特典CD『卒業ですね』の勝手な解釈をしてしまいました。 読んでくれた人、ありがとう。 おつ
切ねえなぁ…ここで終わるのが綺麗なんだと思うけどやりきれない
2人で幸せになってほしかった このもどかしくてじれったい距離感とやりきれない切なさめっちゃ好き
かなダイは悲恋が似合いますなぁ…… 正直この板じゃ俺嫁ってダイヤが1番しっくりくるよね
不思議と寝取られ感は無い >>119
わかる
ダイヤさんSSは百合ものより男絡む方が好きだわ 素晴らしかった
手紙に込めた想いが最初から届いていれば、また違う未来があったんだろうか ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています