理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
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理亞が花丸の肩を担いだ時..2人の足もとに銀色のアンテナのようなモノが突き刺さった
花丸「わあ!!」
理亞「クッ!!」
上を見上げると..理亞達がいた教室の一つ隣の教室の手すりから黒衣の襲撃者が身を乗り出して、ボウガンを構えていた
理亞「急ぐわよ!!おぶさりなさい!!」
花丸「う、うん!!」
理亞は花丸を背中におぶるとコンクリートの上を急いで駆け出した ??「!!」
襲撃者は次の矢をボウガンに構えると、走り去る理亞めがけて狙いを定めるが..
??「.......」
結局矢を放つことはなく、暗闇の中に走り去ってゆく理亞の背中を見送った
理亞「はぁ..はぁ..はぁ..はぁ!!」
花丸を背中におぶった理亞は体育館の前へとやってきた 花丸「理亞ちゃん大丈夫?少し休んだ方が..」
疲労困憊の理亞に花丸は労りの声を掛けるが、理亞は無言で首を横に振った
理亞「私は大丈夫..それより..早く体育館の中に入るわよ..」
花丸「でも..あの胸像にレリーフをハメたらなにが起こるって言うの?あんなの只の装飾品ずら」
理亞「わからない..でも..私はこの体育館に何か大きな秘密が隠されていると思うの..きっとそれがルビィの手がかりを探すカギになるはず..」
花丸「......」
理亞「さあ、行くわよ..」
理亞は体育館の正面玄関を大きく開け放った..
ギィィィ..という扉の軋む音が古びた体育館の中に響き渡る 花丸「体育館はさっきと変わりないみたいだね..」
理亞「いいから入って..扉に鍵をかければあのボウガンの奴もすぐには追ってこないわ」
花丸「あ!うん..そうだね!」
理亞に促された花丸は慌てて玄関の鍵を閉め..ガチャリと言う重厚な音が鳴り響く
カギが掛かったことを確認すると、2人は真っ暗なバスケットコートの中を突っ切り、舞台の上へと足を運んだ
理亞「ここね..」
胸像の前までやってくると理亞は、あらためて胸像のことを注意深く観察した 理亞(この胸像..よく見たら..さっき音が違うと感じた床を見つめてる..ひょっとしたら..)
理亞「花丸..レリーフを..」
花丸「はい..これだよ」
花丸から浦の星女学院の校章を象ったレリーフを受け取ると..理亞は蝶ネクタイの結び目に位置するくぼみにレリーフをハメこんだ
カチッ..という金属音がし..ガコン..というなにか大きな仕掛けが作動するような重厚な音聞こえてきた
花丸「な、なに?」
理亞「見て!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ...という地響きを伴った重い音が体育館の中に響き渡る..
バスケットコートの真ん中に位置する床板が動きだし..
地下へと続く階段が姿を現した 花丸「な..なにこれ!!」
理亞「こんな仕掛けがあるなんて..」
花丸と理亞の2人は目を丸くして、階段の出現に驚いた
理亞「ずいぶん..放置されていたみたいね..人が出入りした形跡が感じられないわ」
階段を指でツッ..となぞると理亞の指にホコリがたっぷりと付着した
理亞「降りてみるわよ」
フッと息でホコリを吹き飛ばすと、理亞は決意を込めた硬い表情でそう言った 花丸「え!?なにがあるかわからないし..危ないからやめておこうよ!!」
理亞「私は行くわ..こんな壮大な仕掛けを施してまで隠しておきたいモノなんだもの..重大な何かがあるに違いないわ」
花丸「で..でも..」
理亞「花丸..私たちの目的を思い出して..私たちはルビィの手がかりを探しに来たのよね?その手がかりが今目の前に存在しているのよ?」
花丸「う..うん..それは..そうだけど..」
理亞「虎穴に入らずんば孤児を得ずよ..私は行くわ..あなたは残るのなら..そうね..舞台の下にパイプイスが収納できるスペースがあるでしょ?そこに隠れてて..できるだけすぐに戻るわ」
理亞はそう言うと懐中電灯で階段を照らしながら、一段..一段と注意深く降りて行った..
花丸「あ、待ってよ理亞ちゃん!マルも行くよ!!こんなところで一人でいるのはイヤだよ!!」
理亞に続くように花丸も階段を下り地下へと降りて始める。2人が去った体育館には暗闇と静寂だけが残された 少しの時間が流れた頃..
カラララ..という滑るような音が小さく鳴り響く..
??「........」
トイレの窓から体育館に侵入した襲撃者は、口を開けるように..バスケットコートに現れた地下への階段の前で立ち止まり..
カツン..カツン..カツン..カツン..
地下へ逃げ込んだ獲物を始末するために石段を降り始めた 理亞「真っ暗で何も見えないわね..」
花丸「ううう..真っ暗闇ずら..怖いずら〜!!」
体育館の隠し階段を降りて地下通路へと降りた2人..懐中電灯を手に持ち慎重に通路を進む二人の行く手には、細長い通路が生えるように存在してい
る..灯りは手に持つ懐中電灯の頼りない光だけで..光が当たらない場所は何も見えない闇が立ち込めていた 理亞「ちょっと!しがみつかないでよ!歩きずらいじゃない!!」
花丸「マルは暗い所が嫌いずら〜〜!!」
理亞「パイプイスを収納するスペースに隠れてろって言ったでしょ!?」
花丸「あんな狭い所はイヤだし..一人であんなところに隠れているのは怖すぎるずら!!それに..もし、ボウガンの人に見つかったらと思うと..」
花丸は小刻みに震えだし、理亞の体に花丸の震えが伝わってきた
理亞「わかったわよ..安全なところに着くまでアンタの側から離れないから!だからしがみつくのはやめなさい!」
花丸「本当?」
花丸は潤んだ瞳で理亞の目を覗き込む.. 理亞(う..こうして改めて見ると..花丸ってやっぱりかわいい..ってそんなこと考えてる場合じゃなくて..)
理亞「本当だから..だから離れなさい!」
花丸「うん..」
理亞「まったく..こんなわけのわからないところに紛れ込んで..ボウガンを持った頭のおかしい奴に命を狙われてるってのに..アンタは能天気ね..」
花丸「マル一人だったら..怖くて..震えて泣いていることしかできないよ..でも、理亞ちゃんがいるから..マルはこうしていつものマルでいられるんだよ..」
理亞「花丸...」
花丸「....//」
花丸は顔を僅かに紅潮させて、恥ずかしさから逃れるように話題を反らした 花丸「それにしても..なんなんだろうね..ここ..どうして体育館の下にこんな地下通路が..」
理亞「それはきっと..奥まで行ってみればわかるわ..でも、あんな大がかりな仕掛けを施してまで隠したいモノなんだから..よっぽど重大な何かがあるんでしょうね..」
一歩..一歩と真っ暗な通路を歩くごとに、カツン..カツン..という冷たい石の上を歩く足音が反響する..
真っ暗な通路にはひんやりとした冷たい空気が漂っており、理亞は寒さで体をわずかに震わせた
花丸「あ、通路が終わるずら..広いところに出たみたいだけど..真っ暗でよく見えないずら..」
理亞と花丸は通路の奥までたどり着いた..通路を抜けると開けた広場があり、鉄サビの匂いが2人の鼻をツンと突いた
理亞「う..なにここ..なんか臭い」
花丸「さっきまでの狭い廊下と打って変わってずいぶん広い所に出たね..ここは一体なんなんだろう..?」 懐中電灯で周りを照らしてみると..ソコは石で造られた壁がグルリと四方を囲んでいる広い部屋だった..
壁の隅にいくつかのベッドが放置されるように置かれており、ベッドの上は黒い染みのようなもので汚れていた
理亞「ずいぶん広い部屋ね..なんでこんな部屋があるのよ..」
花丸「わからない..マルにはさっぱりわからないよ..」
理亞「この黒い染み..一体なんなのかしら?」
理亞は一刺し指でベッドの上をツ..となぞった
指に鼻を近づけて匂いを嗅いでみると..つんと鉄さびのようなにおいが鼻を突く..理亞はその染みの正体がわかると、ベッドからのけ反るように
飛び退き、冷たい地面の上に尻餅をついた 花丸「理..理亞ちゃん!?どうしたずら!?」
理亞「こ..これ..血よ!!血が渇いて固まったモノだわ!!」
花丸「えええ!!?」
花丸は仰天すると懐中電灯の光をベッドの上に充てた
花丸「ホ..ホントだ..これ..よく見ると血だよ!!」
理亞「ッ!!」
理亞は手のひらの食感に異変を感じ、懐中電灯の光を手のひらに充てる..
すると..床に手を着いた部分に..乾いた赤黒い血液が付着していた.. 驚いた理亞は慌てて懐中電灯の光を床や壁..天井にも向けてみると..
理亞「ヒッ!」
花丸「こ、こんどはどうしたの!?」
理亞「ベッドの上だけじゃない..なによ..なんなのよこの部屋!!床も..壁も..天井まで血まみれじゃないの!!」
花丸「へ?...い..イヤアアーーーッツ!!!」
花丸の絶叫が広場に響き渡る..悲鳴は壁や天井に跳ね返り、暗闇の広場にガンガンと反響した
理亞「どうして学校の体育館の地下にこんなものがあるのよ..まるでこれじゃ..処刑場の跡地みたいじゃない!!」
花丸「なにこれ..なんなの..どうしてこんなものが!?」 理亞「とにかく..まだ奥があるみたいだから..進みましょう..この地下空間の正体がわかるかもしれないわ」
花丸「そ..そうだね..でも..うう..怖いずら」
2人は暗闇に包まれる空間に懐中電灯のか細い光を当てて歩き出した
理亞「ねえ..ルビィは..こんなところに迷い込んだと思う?」
花丸「それはないと思うけど..ルビィちゃんが体育館の地下にこんな施設があったことを知っていたとは思えないし..」
理亞「私は小原鞠莉がルビィの失踪に関わっていると思うんだけど..」
花丸「鞠..鞠莉ちゃんが?そんな..」 理亞「だって..この浦の星女学院は小原鞠莉のお爺ちゃんが創設したものなんでしょ?その創設者が作った建物の地下にこんなヤバそうな施設が眠っていたのよ?直接的にせよ、間接的にせよ私は小原鞠莉が怪しいと思う」
花丸「マルは鞠莉ちゃんを信じたいよ..仲間を疑いたくないけど..」
花丸「もし..ルビィちゃんの失踪の原因が..鞠莉ちゃんにあるのなら..マルは許さないずら」
花丸は決然とした表情でそう言い放った
理亞「私..この施設の正体を突き止めて、動画を撮ってインターネットの世界に挙げるわ..世界中の人たちが興味を持ってくれてればきっと大問題になるはずよ..それでルビィの失踪の真相が明るみに出るかも」
花丸「そうなったら浦の星女学院もおしまいずら..」
理亞「こんなヤバい施設がある学校なんておしまいになった方がいいと思うけどね..そろそろ次の部屋に着くわよ」
花丸「うん..」 そして、2人は血にまみれたベッドが散乱する広間を抜けて..一番奥の部屋へとやってきた..
理亞「ここは..さっきの部屋に比べると大分狭いわね..」
花丸「なんの部屋だったんだろう..ずいぶん分厚い扉ずら..」
鉄の扉は分厚く..ドアの至る所にチェーンが厳重に巻かれていたような跡が残っていた
理亞「とにかく..中に入ってみるわよ..」
理亞は鉄の扉のドアノブを回すとギィィィ..という不気味な音を立てて扉は開かれた
理亞「う..ここもホコリ臭い..」
花丸「真っ暗で何も見えないずら..ここは一体..ヒッ!」
花丸は短い悲鳴を上げると横に立っていた理亞にしがみついた 理亞「ち、ちょっと..!!急にどうしたのよ!?」
花丸「あ..ああああ...あそこに..何かあるずら..」
花丸が震える指で..小部屋の中の..隅を指差した..
理亞「ナニかって..ナニ..よ...う..うわああああああ!!!!」
理亞は悲鳴を上げると後ずさりをし、部屋の外へと飛び出した..
理亞と花丸が見たモノ..それは..部屋の中に無造作に..ごみのように捨てられている人骨の山だった
部屋の壁には赤黒い文字で..
タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..タスケテ..と..埋め尽くすようにびっしりと..ここで犠牲になった者たちの哀れな叫びが刻まれていた.. 理亞「なんなの..ここは一体なんなのよ!?」
恐怖が限界に来て、理亞は金切り声をあげた
花丸「小さい骨ばかり..ここに積みあがっているのは..ほとんどが子供の骨ずら..」
理亞「なんですって!?それじゃあ..あの怪談は真実だったってことなの!?」
花丸「それはまだわからないけど..浦の星女学院が..子供を殺して何かをしていた..のかもしれないずら」
花丸はそう言うとがっくりとうなだれてしまった
理亞「地面の下から聞こえてきたうめき声っていうのは..ここで殺された人たちの苦悶の叫び声だったわけね..まさか!!」
理亞は人骨の山の中に手を突っ込むと、何かを探すように人骨をかき分けだした 花丸「理亞ちゃん!?ど..どどどうしたの!?どうして人骨の中に手を突っ込んでいるの!?」
理亞「ルビィ..ルビィ!!もしかしたら..この中にルビィがいるのかもしれない!!」
半狂乱になった理亞は人骨の山をかき分けて、ルビィを探す..
人骨の山が崩れると、犠牲になった子供たちの白骨がガチャガチャという音を立てて、乱雑に床の上に散らばった
花丸「ルビィちゃん..そんな..まさか..!」
理亞「ルビィ..どうか..お願い..お願いだから..」
出てきてほしいのか..出てきてほしくないのか..理亞には恐ろしすぎてその先の言葉を口にすることはできなかった どのくらいの時間を理亞は白骨の山を漁ったのだろう..
出てくる骨はどれも子供の人骨ばかりで、ルビィの年ごろと思われる人骨が発見されることはなかった
理亞「ルビィ..ここにはいないのね..」
理亞はほっと胸を撫で下ろし、人骨から手を引っ込めた
花丸「よかった..ルビィちゃんがこんなところにいなくて..」
理亞「とにかく..これでこの学院が恐ろしい何かをしていたことが明らかになった..悪事の尻尾を掴んだわね..」
理亞はスカートのポケットからスマートフォンを取り出した 花丸「動画を撮って..インターネットにアップロードするの?」
理亞「ええ..この人骨の山を動画にとって世間に晒せば、たちまち大問題になるわ..マスコミや世間の目を集めることができれば..」
理亞は白骨の山を撮影しようとスマートフォンを向けるが..
理亞「ダメだ..こんな小さい懐中電灯の光だけじゃ、暗すぎて動画に何が写っているかわからない..もっと大きい明かりが必要だわ」
花丸「もっと大きい明かり..体育館の倉庫に行けばもっと明るく照らせる道具が見つかると思う」
理亞「戻る必要があるわけね..花丸..私が取ってくるからアンタはここで待ってなさい」
花丸「へ!?い、イヤだよ!こんな骨だらけの怖い所にマルを一人にしないで!!」 理亞「さっきのボウガンの奴と出くわしたらどうするの?ケガしたアンタを連れて行くのは危険なのよ..照明器具を見つけてすぐ帰ってくるから..」
花丸「イヤッたらイヤずら!!マルも理亞ちゃんに付いていく!」
理亞「だから..それは危ないってさっきから..」
コツ..コツ..コツ..コツ..
理亞・花丸「!!」
理亞と花丸が言い争っていると..誰かが階段を降りてくる足音が遠くから聞こえてきた 花丸「い..今..遠くから足音が..」
理亞「ボウガンの奴が追って来たのよ!!隠れるわよ花丸!こっちへ!!」
理亞と花丸は懐中電灯の光を消すと、ベッドのある部屋に戻り..血まみれのベッドの下に身を潜めた
息を殺しベッドの下に身を潜めていると..
カツン..カツン..という足音は次第に近づいてきて..
理亞と花丸が身を潜める広場へと入ってきた
襲撃者はランタンを手にぶら下げており、慎重な足取りで少しずつ歩を進めて広場の中に入ってきた 理亞(ランタン..?どうしてあんなもの持ってるのよ..さっきはボウガンしかもっていなかったハズよね?)
花丸(...ッ)
恐怖で目に涙をいっぱいに浮かべながら震える花丸..
理亞(お願い..どうか私たちに気づかないで..!神様..どうか助けて!)
理亞は目をキュッと閉じると普段信じてもいない、神に祈りを捧げた
カツン..カツン..カツン..カツン..
その祈りが通じたのか..足音とランタンの光は徐々に遠ざかってゆき、襲撃者は理亞達に気づくことなく奥の部屋へと行ってしまった 理亞「た..助かった..」
理亞は安堵するとベッドの下からはい出した
理亞「花丸..もう大丈夫よ..出てきなさい」
花丸「イヤずら..怖いからここから出たくないずら」
理亞「アイツはもう行っちゃったわ..今なら逃げられるわ..行きましょう?」
花丸「理亞ちゃん一人で逃げてずら..マルは足手まといになっちゃうから..ここに置いて行っていいずら」
理亞「何言ってるのよ..グズグズしてるとアイツが戻ってきちゃうじゃない..いいから出てきてよ」 花丸「この地下通路..もうそんなに先はないずら..あのボウガンの人もすぐに戻ってくる..ケガをしたマルを連れていたらすぐに追いつかれちゃうし..あんな狭い通路の中じゃ、あっという間に2人とも殺されてしまうずら」
理亞「花丸!!いい加減に!!」
花丸「たぶん..ルビィちゃんもここで殺されちゃったんだよ..」
理亞「なにを言ってんのよ..ルビィは..」
花丸「体育館の下にこんな怖い所があったんだよ?きっとルビィちゃんはこの部屋でさっきのボウガンの人に..」
理亞「ルビィは死んでない!!絶対に探し出して抱きしめてやるんだから!!」
花丸「ルビィちゃんがここで死んだのなら..マルもここで..だから..理亞ちゃんだけでもにげ..わ!?」
理亞は花丸をベッドの下から引きずりだすと力強く胸倉を掴みあげた 花丸「理亞ちゃ..苦し..離して..」
理亞「ルビィが死んだなんて..二度と言うな!!」
理亞は目から涙をポロポロと零し、投げやりな言葉を吐く花丸を叱りつけた
花丸「理亞ちゃん..」
理亞「ルビィは私の親友だし..花丸..あんたも私にとっては大切な人よ!!」
花丸「マルが..理亞ちゃんの大切な人?」
理亞「ルビィを見つけ出したときにアンタがいなかったら..ルビィは絶対に悲しむし..私も絶対にイヤ..だから..死ぬなんて言わないで..」
理亞「また..セイントスノーとAquorsで対決したり..一緒に踊ったりして..う”..う"..」
理亞はそう言うと泣き出してしまった.. 花丸「ごめん..理亞ちゃん..」
花丸は理亞の顔に手を添えると微笑みを浮かべた
理亞「花..丸..」
花丸「ごめん..理亞ちゃんが一生懸命頑張ってくれているのに..マルがこんなこと言ってちゃだめだよね..ごめんね」
花丸「もう死ぬなんて言わない..ルビィちゃんを探すのも諦めない..だから..泣かないで?」
理亞「うん..うん!!」
花丸が優しく微笑みかけると、理亞は迷子になった子供が母親を見つけ出して、安堵するような泣き笑いの表情を浮かべた 花丸「さあ..さっきのボウガンの人が戻ってこない内に..今のうちに学校から逃げ..」
花丸が言葉を言い終えようとした時..暗闇の中を銀色の光が流れ星のごとく横切った..
理亞「危ない!!」
花丸「わ!!」
理亞は花丸の体を掴むと、そのまま地面に押し倒す..その刹那..2人の体が今まさに立っていた場所に銀色の弓矢が飛来し、石壁に深々と突き刺さった
理亞「チッ..モタモタしすぎたみたいね..」
ランタンの明かりを持ち、手にボウガンを携えた黒衣の襲撃者がランタンの薄明りに照らされて、暗闇の中に立っていた 花丸「あ..ああ..」
花丸は恐怖で凍り付いたようにその場から動けなくなってしまう
理亞「花丸!逃げるわよ!立って..」
花丸「腰が..抜けて..ごめん..理亞ちゃん逃げて..」
理亞「花丸!!」
襲撃者はもたつく二人に構うこともなく、ボウガンの矢を継げ変える作業を行い、真っ暗な広場に矢とボウガンの擦れあう金属音が響き渡る 理亞(ク..!このままじゃ花丸が危ない..こうなったら..)
理亞は覚悟を決めたように目を瞑ると静かに立ち上がった
花丸「理亞ちゃん..なにをするつもりなの?」
理亞「私が死んでもアイツを食い止めるから..アンタは地べたを這ってでも逃げなさい..」
花丸「そ..そんな..無茶だよ!!相手はボウガンを持っているんだよ!?殺されちゃうよ!!」
理亞の身を重んじる花丸の悲痛な叫び声が地下室に響き渡る..
理亞「アンタを..死なせはしない..絶対に守ってみせるわ!!さあ、行くぞ!!」
花丸「理亞ちゃん!!」
花丸の叫びを背に理亞はボウガンを構える襲撃者に真正面から立ち向かっていった 襲撃者は慌てたようにボウガンの銃口を理亞に向けると、引き金を弾いた
ドシュッ!という音が暗闇の中に響き渡り、銀色の矢が理亞の心臓目がけて飛来してゆく..
理亞「クッ!!」
理亞は横に飛び退き矢を回避するも..ボウガンの矢は理亞の肩を掠め、暗闇を奥まで進み、石壁に深々と突き刺さり停止した
理亞の肩から血がボタボタと流れ落ち、血痕まみれの床に新たな血痕を刻み込む
理亞「クソッ..!」
理亞肩を抑え痛みでその場に立ち止まってしまう
??「.....ッ!」
襲撃者は仕留め損ねたことを確認すると、新たな矢を取り出し、ボウガンに矢を装填する作業に取り掛かった 理亞(今奴のボウガンに弓は入ってない..あと数秒は奴はボウガンを撃つことができない..今が絶好のチャンスだ!!)
理亞「ハアッ!!」
肩の激痛を無視して、理亞は襲撃者目がけて突進し、思い切り顔面を殴りつけるべく腕を後ろに大きく振りかぶった
??「ッ!!」
まだ矢の装填作業を終えていない襲撃者は慌てたように手に持ったランタンを理亞目がけて投げつける
暗闇の中をオレンジ色の光を放ったランタンが火球のごとく理亞目がけて飛来した
理亞「クッ!!」
飛来するランタンを回避すると、地面に叩きつけられたランタンは電源がオフになって灯りが消えてしまった
ランタンの灯りが消えた影響で鉄さびの匂いが充満する地下室に完全な暗闇が訪れる.. 理亞(真っ暗になって何も見えない..シメタ!それは敵も同じこと..奴はもうボウガンで私を狙うことは困難になったはず..)
??「........!!」
襲撃者は己の愚行を悔い、暗闇に包まれ理亞がどこにいるかわからなくなってしまったことに焦りを隠すことができなかった
灯りが一つもない暗闇の世界で理亞と襲撃者は対峙した..
静寂を破ったのはボウガンに弓を装填する作業が完了したことを示す、ガチャ..という金属音だった..
襲撃者は装填の途中だった矢をボウガンにきちんと装填すると、暗闇の中に向けてボウガンの銃口を構えた 理亞(ヤツのボウガンには矢が一発だけ装填されている..でも、こんな暗闇の中では新しい矢を取り出してボウガンに装填するのは困難なハズ..今装填された矢が最後の矢だと思っていい..なんとか奴に一発食らわせることができれば..)
??「.......」
襲撃者は思案する..暗闇のせいで獲物がどこに隠れているのかわからないこの状況..
今装填されている矢を外せば、灯りのないこの状況で再度矢を装填するのは困難..つまりは残りの一発で確実に理亞を仕留めなければならない..
どうすれば..確実に獲物を仕留めることができるか..
地下の見取り図を頭の中に思い描き、どうすれば理亞を殺すことができるか..を考えていた 闇の中を凝視して、お互いの気配を探る2人..
ジリ..ジリ..という音を殺した微かな足音が真っ暗な空間のなかに微かに響く..
理亞(どうする..思い切って花丸を連れてここから逃げるか..イヤ..ダメだ..2人で移動すれば奴に居場所がバレルし..あの狭い通路の中で襲われたら袋のネズミだ..ん?袋のネズミ?)
僅かな物音と..相手の気配のみでお互いを探り合う時間がしばらく続き..
無音と暗闇の世界は対峙する両者の精神を少しずつ蝕んでいった..
??「....!」
ジリジリと焦がれるような時間が続き、業を煮やした襲撃者は、自分の頭に閃きが走るのを感じた.. 花丸(一体..どうなってるずら..足音も..物音も聞こえないから..なにがどうなっているのか全然わからないよ..)
ベッドの下に身を隠した花丸は闇に怯える小動物のように震えながら、様子を伺っていた..
その時..ベッドのそばを何者かが音を殺して歩き..通路へと去ってゆく気配を感じ取った
花丸(え?誰?..今外に出て行ったのはどっちずら?) ??「........」
襲撃者は地下への出口へと続く、真っ暗な通路を音を殺して静かに歩いていた..
相手がどこにいるのかわからないのなら、出口で待ち伏せをしていればいい..
地下から出る通用口はたった一つしかないのだから、待っていれば必ず奴は出てくる..
自分の気配が消えれば相手は自分が諦めていなくなったのだと思うだろう..
油断してきって体育館の光あふれる世界に顔を出したその瞬間..ボウガンでその顔面を貫いてやればいいのだ..
さあ、待っていろ..狩りの醍醐味は獲物の油断しきったその瞬間に矢を打ちこんで命を奪う事..お前の亡骸をバラバラに切り刻んでその身を.. そんなことを考えながら暗闇を移動していた襲撃者の顔面に..強烈な一撃が突き刺さった
??「ガッ!!」
理亞「ヤアッ!!」
暗闇の中から助走をつけた理亞が、聖良直伝の飛び蹴りを襲撃者の顔面にお見舞いしたのだ
突如の事に受け身を取ることもできなかった襲撃者は勢いよく仰向けに倒れ、石の床に後頭部を強打した
暗闇と静寂の中にドシャリ..という大きな物音が響き渡る 理亞「はあ..はあ..や..やった..」
理亞は肩で息をし、目の前で大の字になって横たわる敵を見て歓喜の声を上げた
後頭部を強打したことで襲撃者は失神し、意識を失った体を力なく地面に横たえていた
理亞「ヤッタッ!!花丸!!やったわよ!!ボウガンの奴を仕留めたわ!!」
理亞の勝利の雄叫びが真っ暗な地下空間の中に響き渡る..
花丸「理亞ちゃん!!」
通路の奥から懐中電灯を手にした花丸が、ケガした足を引きずりながらやってきた 理亞「花丸!!やったわよ..敵を倒したわ!!」
理亞の足もとに横たわる襲撃者の体を花丸は呆然とした面持ちで見下ろした..
花丸「し..死んでるの?」
理亞「いや..どうやら息をしているみたいね..気絶しているだけよ」
花丸「理亞ちゃん!!無茶しないでよ!!」
花丸は理亞に近づくとその体を優しく抱きしめた
理亞「ごめん..」
花丸「理亞ちゃんが殺されちゃうんじゃないかって..怖くて心臓が張り裂けそうだったずら!!」 理亞「心配かけてごめん..でも..もう大丈夫よ..私たちの命を狙ってくる小原家の刺客は私が倒しちゃったから!」
花丸「その人..誰なの?」
理亞「さあ..仮面を引っ剥がして正体を明らかにしてやるわ!どうせこんなことをするような奴なんて..すごく人相の悪い凶悪な男に決まってるわ!」
理亞は手を伸ばして床に倒れている襲撃者の仮面を掴み..そのまま勢いよく仮面を剥ぎ取り、襲撃者の正体を明らかにした.. 理亞「え....?なんで...?ど、どういうこと?」
理亞を執拗に狙ってきた謎の人物の正体..それはもう一人の親友..津島善子だった 理亞「え...え...?」
状況が飲み込めずに呆けたようにその場に凍り付く理亞..そんな理亞の首筋に...焼け付くような激痛が走った
理亞「ギャッ!」
バチチチチチッ!!という音と青白い光が暗闇を照らし出す..
理亞は体の筋肉が急速に弛緩するのを感じ、地面にバタリという音を立てて倒れ伏した..
硬い地面の感触が理亞の前身に伝わり、気絶しそうになる意識を痛みが繋ぎ止める..
理亞「な...ん...で..」
理亞は自分の首筋にスタンガンを押し付けた調本人..国木田花丸の顔を地面から見上げた 花丸は慈愛の籠った眼差しで、地面に倒れ伏す理亞を見下ろしていた
花丸「理亞ちゃん..おめでとう..試験は合格だよ..」
理亞「ど..どういう..ことよ」
花丸「フフッ..♡」
花丸は慈愛の籠った顔を変えることなく地面にひざまずくと..愛情が籠った口づけを理亞の額に施した
理亞「なに..す..」 花丸「理亞ちゃん..これから2人だけの儀式を始めるよ..」
花丸は両腕を理亞の体の下に差し込むと、お姫様だっこの要領で理亞を持ち上げる..
スタンガンを首筋に食らい、体に力が入らない理亞は花丸にされるがままとなった
花丸「クッ..人を持ち上げたことなんて今までなかったから..マルには応えるずら..でも..理亞ちゃんと一つになるための試練だと思えば..全然へっちゃらずら!」
理亞「これはいったい..なんの..マネ..よ」
花丸「ちゃんと説明するから..少し待っててね..」
花丸は足もとに転がる善子には目もくれずに、理亞を血まみれのベッドが並ぶ部屋へと運び入れた 花丸「どっこいしょ〜!!」
理亞「うッ..」
理亞を血まみれのベッドの上に横たえると、花丸は一息入れるように手の甲で額の汗を拭った
花丸「ごめんね理亞ちゃん..スタンガン..痛かったでしょ?」
理亞「これは一体どういうつもりなのよ!?」
体の自由は相変わらず効かないが..花丸に怖がっていることを悟られないために、理亞は精いっぱいの虚勢を張って花丸を怒鳴りつけた
花丸「マルが正面から理亞ちゃんと勝負したら..到底勝ち目がないからさ..ちょっと回りくどかったけど..うまくいったみたいだね」 理亞「さっきから何を言っているのか全然わからないわ!!私にわかるように説明して!!」
花丸「マルは理亞ちゃんの命を狙っていた、ボウガンの人と仲間だったってことだよ」
理亞「え....?」
理亞の声が恐怖で裏返り..体が小刻みに震えだした
恐怖を隠すことのできない自分を恥じる余裕すら理亞にはなかった..それほど花丸の今の一言は理亞にとって衝撃的だったのだ 花丸「ふふ..理亞ちゃんはね?これから頭から爪先まで..全部マルに食べられるんだよ..マルと理亞ちゃんは一つになるの..」
理亞「な..何を言っているのか全然わからないわ!!」
理亞の背筋が恐怖で凍り付く..声が裏返るのも気にせずに、理亞は表面だけの強気を保ち続ける
花丸「わからない..本当に?」
花丸はクスクスと妖気な微笑みを浮かべるとベッドの上に腰を下ろし、体を横たえると、我が子に添い寝をする母親のごとく理亞に寄り添った
理亞「わ..私をからかうのはやめて!!冗談が過ぎるわよ!」
花丸「理亞ちゃん..薄々わかってたんじゃないの?自分は食べられるために命を狙われてるのかもしれないって..」
理亞「....!!」 花丸「理亞ちゃん図書室で内浦の民俗学の本を読んでいたでしょ?内浦の風習について書かれた..理亞ちゃん顔をナスみたいに真っ青にしながら読んでいるんだもん..あんまり真剣に読んでいるから少しだけ笑っちゃったずら」
クスクス笑いを浮かべて花丸は理亞の顔を見つめた
理亞「あ...あんなのデタラメよ!虚構と現実の区別がついていない奴が書いた妄言に決まって..」
花丸「この地下室に眠る大量の人骨の正体は何か?それは小原家の創始者が孤児院の生徒たちを内浦の風習の生贄に提供していたから..
花丸「なぜ小原家は栄えることができたのか?それは戦後の食糧難の時代に孤児になった子供たちの肉を缶詰にして闇市で売りさばいていたから」
花丸「そして..なぜルビィちゃんは突然手がかりも残さずに失踪してしまったのか?それは...」
花丸は一瞬だけ戸惑いの表情を浮かべるが..何事もなかったかのように先を続けた 花丸「それは..ルビィちゃんは生贄になってみんなに食べられるために存在していた子だったから..ルビィちゃんは..すでにこの世にいないずら..」
理亞「そ..そんな..ル..ルビィ..イヤよ..イヤ..イヤ〜〜〜〜〜!!!!!」
花丸はテストの答えあわせをするかのように次々と残酷な現実を理亞に突きつけてゆく..
ルビィは生きている..そう信じていた理亞の心は粉々に砕かれてしまい..駄々をこね、泣きじゃくる幼児のごとく絶叫を上げて泣き叫んだ
地下室の中に理亞の泣き叫ぶ絶叫が響き渡る..
花丸「理亞ちゃん..ルビィちゃんのために泣いてくれてありがとう..きっとルビィちゃんだったらお礼を言うハズ..だからマルがルビィちゃんに変わってお礼をいうずら..」
花丸「理亞ちゃん..北海道からわざわざルビィを探しに来てくれて..ありがとうね?ルビィ..理亞ちゃんのことがダイスキだよ..」
せいいっぱいルビィに声を似せた花丸はルビィの代わりに、理亞にお礼の言葉を述べる.. そんな花丸に理亞は激昂し、口から唾を吐きながら言葉をまくしたてた
理亞「ふざけるな!!信じてたのに..私..花丸のこと親友だと思ってたのに!!」
花丸「ふざけてなんかいないよ..マルは本気だよ..マルは本気でルビィちゃんのことが好きなんだよ..ルビィちゃんが大好きだからこそ..ルビィちゃんの気持ちを理亞ちゃんに伝えたんだよ」
理亞「どうして..どうしてルビィの親友のアンタがルビィを殺すのよ!どうしてそんなにヒドイことができるの!?」
花丸「ルビィちゃんは生きてるよ..マルの中に..ね..」
花丸は理亞の手を取ると、自分の左胸に理亞の手を置いた..トクン..トクン..という心臓の鼓動が手を通して理亞に伝わってくるのを感じた。 理亞「なにすんのよ..」
花丸「理亞ちゃん感じる?マルの心臓の鼓動が..マルの中にルビィちゃんの存在を感じるでしょ..」
理亞「ヒッ!」
花丸「ルビィちゃんはね?マルと同化したの..ルビィちゃんはマルの血や肉となって..マルの体を巡っているの..」
理亞「狂ってる..アンタは狂ってるわ!」
理亞は精いっぱいの力で花丸の手を跳ね除けた 花丸「理亞ちゃん..マル..今夜の事で理亞ちゃんのことが好きになっちゃった..」
花丸は顔を紅潮させて..恋する乙女のような潤んだ眼差しで、恐怖に引きつる理亞の顔を覗き込む..
理亞「な..何よ..こっちに来ないでよ!」
花丸「理亞ちゃん..//」
花丸は理亞の顎を親指と人差し指..中指の3本の指で軽く持ち上げると..体を動かすことのできない理亞の唇に自分の唇を重ねた
理亞「んむ!?」
花丸「ん....//」
顔を紅潮させ、目を閉じて幸せそうにキスをする花丸..
ファーストキスを同性の女性に奪い取られた理亞は混乱し、花丸のされるがままとなっていた 時間に直すと10秒程度だろうか..唇を重ねただけのキス..
花丸は理亞から唇を離すと陶酔したようにポーとした視線を宙に彷徨わせていた
理亞「な...なな..なにすんのよ!?」
花丸「理亞ちゃん..」
花丸は理亞の体の上に覆いかぶさると..二本の腕を理亞の体に蛇のごとく巻きつけ..恋人のごとく..理亞の唇を再び奪い取った
理亞「んむ...!?」
今度は花丸の舌が理亞の口内に侵入してきて..理亞の舌に絡め、唾液を啜り取り始めた
花丸「ん..」
理亞は舌の中に爬虫類が入ってきたような錯覚を覚え、生理的嫌悪感を感じた理亞は花丸を自分から押しのけた 花丸「理亞ちゃんは..マルのこと嫌い?」
理亞「嫌いも何も..私もアンタも女で..あんた..そういう人だったの!?」
花丸「マルは理亞ちゃんのことが好きなだけだよ..好きだからこそ..理亞ちゃんとそういうことをして..お互いがお互いのことを好きっていう気持ちに包まれながら..スキな人の肉を食べたいんだ」
理亞「ヒッ..」
理亞の本能が花丸に対して恐怖を抱くも..体に力が入らない状況では逃げることは叶わず、小さな悲鳴を上げることが精いっぱいだった
恐怖で歯がガチガチと震えだすが、不思議と頭は冷静でこれから自分がやるべきことが筋道立てて浮かんできた
理亞(とにかく..私が今やるべき行動は時間を稼ぐこと..花丸にひたすら喋らせて、体の力が戻ってくるまでなんとか持ちこたえないと..) 理亞「どうして私を食べたいのよ!?」
花丸「順を追って説明するね?どうしてマルが理亞ちゃんをわざわざ北海道から呼んだのかというと..マル..理亞ちゃんに嫉妬していたんだ」
花丸「マルはルビィちゃんと小さいころからずっと一緒に過ごしてきた..マルはルビィちゃんのことが大好きだったし..ルビィちゃんもマルのことを好きでいてくれた..と思う」
花丸「マルたちはずっと一緒だったんだ..理亞ちゃんが現れるまではね..」
理亞「何言ってんのよ..私は北海道..ルビィは内浦に住んでいるのよ?会う機会なんてほとんどなかったわよ..私よりアンタのほうがルビィと接していた時間は遙かに長いはずでしょ?」
花丸「確かに..物理的な距離感はマルの方が圧倒的に近かったずら..でもね?精神的距離感で言えば..理亞ちゃんの方がマルよりもよっぽど近かったんだよ..」 理亞「そんなにルビィのことが好きなら..どうして殺したのよ!?アンタもルビィの殺害に関わったの!?」
花丸「確かに..マルもルビィちゃんの殺害に携わったよ..でも、それはマルの本位じゃなかったずら..ルビィちゃんは内浦の生贄の儀によって..地元住民に苛烈な拷問を受けて、その後に首を切り落とされて殺されちゃったずら」
理亞「そんな...そんな..!!ウソ..ウソよ!!ルビィが死んだなんて嘘よ!!」
ルビィが死んだという事実を頭ではわかっても心では到底受け止めることのできない理亞は、必死になってルビィが死んだという事実を否定する
花丸「ルビィちゃんは生贄の儀で殺されて、内浦のみんなに食べられてしまった..それはれっきとした事実ずら」
理亞「ウソ..ウソよ..花丸は私を騙そうとしてるんだわ..善子も..他のみんなも..ねえ、ドッキリなんでしょ!?お願いだからドッキリって言ってよ!」 花丸「ドッキリなんかじゃないよ..そんなに言うなら証拠を見せるずら..」
花丸はそう言うと..ベッドの脇に置かれていたスポーツバッグを取り出し、チャックを開けると中をゴソゴソと漁りだした
そして..スポーツバッグの中から..人間の頭蓋骨を取り出し..理亞の目の前に突き付けた
花丸「理亞ちゃん..理亞ちゃんが探し求めていたルビィちゃんはここにいたんだよ..」
頭蓋骨の二つの眼窩が理亞の目を覗き込む..
理亞「い..イヤ..いやよ..こんなの..こんなのって..イヤア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"〜〜〜!!!」
地下室の中に理亞の狂おしい絶叫が響き渡る..ついに再開を果たした親友ルビィは..無残な頭蓋骨と成り果ててしまった.. 花丸「処刑された生贄の頭蓋骨は、神様としてウチのお寺で保管し、祀ることになっているずら..ほんとはいけないことなんだけど..」
花丸「マルはルビィちゃんの側を片時も離れたくないから..ルビィちゃんの頭蓋骨をいつも持ち歩いているんだ」
花丸は理亞に向ける目と同じように..愛おしい恋人を見るような目で頭蓋骨を愛でると..ルビィの前頭骨にキスをした
花丸「ルビィちゃん..」
口から舌を出した花丸は頭蓋骨を丹念に舐め上げる.. あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”
理亞の耳に誰かの叫び声が聞こえてくる..ガンガンと反響する叫び声は誰が上げているのだろうと不思議に思うが..
すぐに、恐怖と不快感に耐えきれなくなった理亞自身が叫んでいるのだという事に気が付いた
花丸「マルはルビィちゃんのことが好きだった..好きだからこそ..ルビィちゃんはマルの手で殺してあげて..ルビィちゃんのすべてを食べてあげたかった..」
花丸はルビィの両手で頭蓋骨を持ち上げると、今は亡きルビィに静かに語りかける
花丸「ねえ..ルビィちゃん..どうしてあの時逃げたの?マルはルビィちゃんのことをこんなに愛しているのに..ルビィちゃんを誰にも渡したくなかったんだよ..?」 >>182 ルビィの毛髪を毟り取って、カツラみたいに頭蓋骨にかぶしておいたと思っといて 理亞「バカ言ってんじゃないわよ!!自分を食べようとしている奴をルビィが受け入れるわけがないでしょう!?」
花丸「ルビィちゃんがいなくなってから..マルは寂しいよ..ダイヤさんも口にはしないけど..とっても寂しがってる」
花丸「北海道から理亞ちゃんがルビィちゃんを助けに来てくれたんだよ?ルビィちゃんが理亞ちゃんと仲良くなって行くのを見てマルは..おもしろくなかったけど、今ならルビィちゃんが理亞ちゃんのことを好きになった理由がわかるよ」
花丸「理亞ちゃんは友達思いで..とっても優しい子ずら..今ではマルも理亞ちゃんのことが大好き..」
花丸「だから..マルはこれから理亞ちゃんを食べるずら..ルビィちゃん..マルたちの儀式をここで見ていてね..」
花丸はルビィの頭蓋骨をベッドの上に置き、頭蓋骨の眼窩が理亞のことをジッと見つめていた 花丸「理亞ちゃんの頭蓋骨はルビィちゃんの隣に祭ってあげるずら..フフッ..ルビィちゃん..理亞ちゃんと仲良くお寺のお堂で神様としてマルや内浦を見守ってね..」
理亞「よくもルビィを..許さない!!絶対に許さないわ!!」
憤怒の叫びを上げて花丸を睨みつける理亞..今すぐ花丸に跳びかかってその首をへし折って殺してやりたい衝動に駆られるも..力が入らず満足に動くことができない自分の体を恨めしく感じた..」
花丸「凛々しい顔ずら..その怒れる瞳で、今日マルを危険から守ってくれたんだよね..」
花丸はうっとりとした表情で怒り狂う理亞の瞳を覗き込んだ 理亞「私を殺すだけなら、ご飯に毒でも混ぜて殺すことができたハズでしょ!?どうしてこんな回りくどい事をしたの!?」
花丸「理亞ちゃんがルビィちゃんの親友にふさわしいかという事と..マルが理亞ちゃんの事を独り占めして食べたいと思うくらいスキになれるか..という試験をしていたんだよ」
理亞「何よそれ!?」
花丸「幼いころからルビィちゃんを見てきたマルとしては、間違った人をルビィちゃんの親友にするわけには行かないから..」
花丸「この浦の星女学院をルビィちゃんを想う理亞ちゃんの気持ちを試すための試験会場にしたんだ」 花丸「目の前にルビィちゃんの手がかりがあるのに、臆して逃げようとすればその時点で失格..ルビィちゃんの親友たる資格はないとして、学院の外に待機していたマルの仲間が理亞ちゃんを殺していたずら」
花丸「マルを見捨てて逃げてもやはり失格..友達を見捨てて逃げるような卑怯者は生贄にふさわしくない..同じく学院の外に待機していた仲間が理亞ちゃんを殺していたずら」
理亞「イ..イカレテル..」
花丸「これを見て..理亞ちゃん..」
理亞「それは..」
花丸は襲撃者の善子が持っていたボウガンを取り出した..ボウガンには矢が装填されており、理亞の恐怖を掻きたてる 理亞(私は..あのボウガンの矢に貫かれて殺されるんだ..)
ダンッ!という矢を発射する金属音が地下室に反響する..
理亞「ヒッ!」
理亞は覚悟を決めてギュッ..と目を瞑ったが..いつまで経っても理亞を貫く矢の感触を感じることはなかった..
理亞「...ッ」
理亞が恐る恐る目を開けると..ボウガンの矢はベッドに突き刺さっていた 花丸「これを見ればわかるでしょ?ボウガンってこんなに威力があるんだよ?もし、これが人間の足に刺さったら貫通しているずら..ホントにボウガンで撃たれたのだったら..マルは痛みできっと死んでしまったずらよ」
理亞「まさか..アンタのケガは自演だったの!?」
花丸「そうだよ..廊下に刺さったボウガンの矢をマルの手で太ももに突き刺したんだ..理亞ちゃんに守ってもらうお姫様役になるためにね..」
理亞「なんでそんなことを..」 花丸「理亞ちゃんの事を好きになるためだよ..マルはスキな人以外の肉は食べたくないんだ..理亞ちゃんがマルの事を守ってくれる王子様..マルは王子様に守ってもらうお姫様..そして、そして悪者を倒して2人は幸せに結ばれたのでしたってね..」
花丸「もしも、途中で理亞ちゃんが殺されるようなことがあったら..そこでゲームオーバー..」
花丸「ゲームオーバーの時は、理亞ちゃんの死体を善子ちゃんに譲るという条件で手伝ってもらったずら」
理亞「いい趣味してるわね..アンタ..」
花丸「なかなかスリリングで楽しめたんじゃない?謎の敵から女の子を守り抜き、学校の謎を解いて脱出を目指すってね..」
花丸「マルが所々ヒントを理亞ちゃんに渡していたのも気が付いた?」 理亞「私はアンタの掌の上でダンスを踊らされていたってわけね..」
思い返せば、おかしなことばかりだった..図書室の鍵は花丸しか持っていないハズなのに..敵が図書室の中で待ち伏せしていたり..胸像の仕掛けを作動させるためのレリーフがあんな本の後ろに挟まっていたり..あれもきっと花丸が仕組んだモノに違いない..
理亞「最初からアンタは..私をここに誘い込むつもりだったのね..」
花丸「理亞ちゃんはマルの出した試験を全部突破したずら..ケガをしたマルを見捨てずに守り抜き..親友のルビィちゃんの探索も諦めず..マルの思惑通りに学校の謎を解き..ついには悪役の善子ちゃんまで倒してしまうなんて..」
花丸はうっとりとした羨望の眼差しを理亞に向けた 理亞「どうして..図書館で私をあの狂った風習が書いてある本棚に案内したの?私があの本を読んだらアンタたちのことを疑いだすと思わなかったの?」
花丸「それも、理亞ちゃんを試すための仕掛けの一つだよ♪」
理亞「どういうことよ?」
花丸「マルに疑念を抱いても..それでも理亞ちゃんはマルのことを信じてくれるか..というテストだったんだよ♪」
花丸「理亞ちゃんはマルの思惑通りの反応を示してくれたずら..真っ青になってワンちゃんみたいに震える理亞ちゃん..いつものキリッとした理亞ちゃんとのギャップがとってもかわいかったずら〜」
花丸「理亞ちゃんは自分の中で葛藤して..それでもマルを信じてくれる道を選んだずら..マルの理亞ちゃんへの好意はもう..爆発しそうなくらいだよ!!」
理亞「反吐が出るわ..」 花丸「これで物語はおしまい..王子様とお姫様は幸せに暮らしましたとさ..ってなるんだよ..」
理亞「くたばれ」
理亞は話を一蹴するように、悪態を吐き捨てた
花丸「さあ、お話はそろそろおしまいずら..理亞ちゃん..マルと一つになろう..マルがいっぱい愛してあげるずら♡」
花丸はそう言うと..動けない理亞の服に手をかけると丁寧に脱がし始める..
理亞「な..なにすんのよ!?」
花丸「理亞ちゃん..大好きだよ..」
理亞「や..やめろ!!」
花丸は理亞の叫びを無視し..血や汗にまみれたシャツを優しくはぎ取った 花丸「理亞ちゃん..」
花丸は理亞のスポーツブラをはぎ取ると、地下の外気に理亞の小ぶりな乳房が露わになった
花丸「理亞ちゃん..これが..マルを守ってくれた時にできた傷ずらね..」
理亞の肩に残るボウガンの傷跡を花丸は優しく舌で舐めた
理亞「イタッ!!」
ピチャピチャという水音が響き、理亞の肩に激痛が走る.. 花丸「理亞ちゃん!」
花丸は口を大きく開けると..理亞の傷口に思い切り噛みついた
理亞「グゥ!!や..やめ...!!」
理亞の肩から血が滴り落ちる..
花丸「ン〜〜」
花丸は理亞の肩から流れ出る血液を、樹液にたかる昆虫のごとく..丹念に吸い取ってゆく.. 花丸(理亞ちゃんの血液..おいしいずら..理亞ちゃんの..セイントスノーの力強いエネルギーがマルの体に入ってきて..もう我慢できないずら)
ブチブチッ!という肉が裂ける音が響き..理亞の肩にこれまでとは比にならないくらいの激痛が走った
理亞「アアアアアアアッ!!!」
理亞の絶叫が地下の広場に響き渡る..花丸に噛みつかれた肩に、灼熱の焼きゴテを当てられたような痛みが走った
花丸「理亞ちゃん..とっても..おいしいずら..♡」
花丸は理亞から食いちぎった肩の肉を口で咥え、そのまま口の中へと押し込み、歯で丹念に肉を咀嚼する..
地下室の中にクチャクチャという、理亞の肩の肉と花丸の唾液が絡み合う音が響く.. 理亞(肩が..痛い..肉を噛み千切られた..)
理亞の肩に形容のしがたい傷みが走る..
理亞は自分を見つめるルビィの頭蓋骨を眺めた
理亞(ルビィ..あんたも殺される前にこんなに痛い思いをしたの..こんなに怖い思いをしたの..?)
頭蓋骨に問いかけても当然ルビィは応えてくれない..なぜならルビィはすでに死んでいるからだ 理亞「ルビィ..」
この頭蓋骨が死ぬ前にどれほどの苦痛を味わったのだろうと..想像するだけで、理亞の目からとめどなく涙が溢れ出た
花丸「もう我慢できないずら..」
シュル..ファサッ..という布が擦れる音が地下室に響き..花丸は着ていた服を全て脱ぎ去ると生まれたときの姿になった..
ベッドの脇に置かれた善子のランタンが、花丸の豊満な乳房を照らしだし..健やかな瑞々しい裸体が姿を現した
理亞「なにやってんのよ..なんで裸になってんのアンタ..」
花丸「マルだけじゃないずら..理亞ちゃんも裸になるずら♡」
理亞「やめ..て..」
必死になって抵抗しようとするが..体に力が入らない状態では抵抗一つすることができず、理亞は花丸にスカートとパンツを脱がされ..裸になった ランタンの灯りに理亞の洗練され鍛え抜かれた肉体が映し出される..
花丸「キレイ..」
理亞「やめろ..バカ..」
花丸「しなやかで..シュッとしてて..マルとは大違い..でも..とっても..おいしそうだよ..」
花丸は再び理亞の上に覆いかぶさり..両腕を理亞の体に回し、両足で理亞の足を挟み、理亞の身動きを完璧に封じ抵抗できないようにした
そして..花丸は自分の秘所を理亞の秘所にあてがった 理亞「なにやってんのよ..アンタ..レズビアンだったの?」
花丸「違うずら..マルは理亞ちゃんだからこういうことがしたいんだよ..理亞ちゃんと愛し合う中で、理亞ちゃんを食べたいんだ..動くよ」
花丸は体を動かすと露わになった二人の秘所が擦れあい、性的快感を与え始める..
花丸「ハァ..ハァ..♡」
しばらく衝動に身を任せていると..快楽が花丸の体を突き上げてきて..息使いが獣のように荒々しくなってゆく..
花丸は性的興奮を覚え快楽に身を委ねるが..理亞はまったく気持ち良いとは思わず、生理的嫌悪感で吐き気がした
花丸「理亞ちゃん..理亞ちゃん..!!」
理亞「グッ!」
性的興奮を覚えた花丸は理亞の肩に再度噛みつき、流れ出た血液を啜り始めた 花丸「おいしい..理亞ちゃんの血液..すごくおいしいよ..!」
犬歯を鎖骨の付近に突き立てると、花丸は吸血鬼のごとく理亞の血を啜り取った
理亞「グウウウッ!!」
激痛が肩に走り、理亞は苦悶の悲鳴を上げるも..花丸は理亞の苦しむ顔をみるとさらに興奮し、さらに深く理亞の肩に噛みついた 理亞「痛いわね..このっ!」
花丸「グウッ!」
理亞は自分の上に圧し掛かる花丸の肩に思い切り噛みついた
理亞の歯が肩に食い込み、花丸は激痛にうめき声を上げるが..
花丸「マルも理亞ちゃんの肉をもらうよ!!」
負けじと花丸も理亞の首筋にかじりつく..
理亞「グアッ!」
首筋から血が流れだし、理亞は体から体温が抜け出て行くような錯覚に陥った
理亞と花丸は互いの体を噛む力を強め、ベッドの上は2人から流れ出る血液で赤に染め上げられてゆく.. 理亞「このッ!」
花丸「ウッ!」
理亞は花丸を両腕で強く押すと花丸は後ろに仰向けに倒れ込んだ
理亞「この..よくも..よくもルビィを!」
理亞は花丸の上に圧し掛かり、両手で花丸の首を握りしめ..両手の力を込めると、花丸の首を絞めた 花丸「ギュッ..!?」
理亞「このまま絞め殺してやる!!」
花丸「フーッ!フーッ!」
花丸は痛みと苦しさで目に涙を浮かべながら、必死になって抵抗をする..
爪で理亞の手を思いっきり引っ掻き、理亞の手からは血が流れ始めた
理亞「ッ!!」
手の痛みに顔をしかめつつも理亞は、首を絞める力を弱めることはなかった.. 花丸「理亞..ちゃ..ん..苦..し..い..」
理亞「黙れ!!ルビィが味わった苦しみはこんなもんじゃなかったハズだ!!お前たちは一体ルビィに何をしたんだ!!」
理亞は平手で花丸の頬を何度も何度も張り続けた
花丸「アウッ!!」
パン パン という乾いた音が鳴り響き、花丸は右に左へと顔を大きく
理亞「この!!よくも..よくもルビィを!!」
花丸「痛い..痛いよ!!理亞ちゃんやめてよ!」
何度も頬を張られ続ける花丸の頬は紅くはれ上がり..
目に涙を浮かべた花丸の泣き叫ぶ声が地下室に響き渡る
理亞「ルビィを返せ!!ルビィを元通りにしろ!!」
理亞は握り拳を作ると..渾身の力で花丸の頬を殴りつけた
花丸「あうっ!!」 スタンガンのしびれも取れてきて..理亞の体には元の力が戻りつつあった
力が元に戻った理亞と花丸ではフィジカルに差がありすぎて..マウントを取られてからは戦いというよりは一方的ななぶりものとなっていた
理亞「よくも..よくも!!」
理亞はいつの間にか泣いていた..なぜ?どうして..こんなことになってしまったのか?
どうして自分は泣きながら花丸の顔を拳で殴っているのだろう..
何度も..何度も..花丸の顔を殴り続け..どれほど殴ったかわからなくなるくらい殴った時..
花丸「お願いします..もう..やめて..許して..ください..」
花丸のか細い泣き声が聞こえてきて..理亞は殴る手を止めた 花丸「う..う..」
顔を真っ赤にはらし、血と涙で顔をグシャグシャに汚していた
理亞「なんでよ..どうして..アンタがルビィにそんなひどいことをしたのよ..アンタはルビィの親友だったじゃない..」
理亞の目から流れる涙が花丸の顔に雨粒のようにポタ..ポタ..と零れ落ちてゆく
花丸「だって..ルビィちゃんって..見ているだけで食べたくなるんだもん..」
理亞「ふざけるな!!」
理亞は花丸の胸に拳をドンと叩きつけた 花丸「マルだって..ルビィちゃんを殺したくなかったよ?親友だもん..殺さずに食べることができたのなら..そうしたかったよ..」
理亞「なんでルビィを食べた?」
花丸「それは..ルビィちゃんを食べたかったから..」
理亞「なんでルビィを食べた?」
花丸「だから..それは..」
理亞「なんでルビィを...食べたの!?」
理亞の怒鳴り声が地下室に響き渡った.. 花丸「なんでって..それはもちろんルビィちゃんを食べたかったからだって..さっきから何度も..でも、どうしてマルはルビィちゃんを食べたかったんだろう」
花丸「大好きだったのに..大切な親友だったのに..ずっと一緒にいたいと思っていたのに..どうしてマルは..ルビィちゃんを..」
理亞「え?」
花丸「ひっぐ..ひっぐ..わからない..わからないよ..どうしてマルは..ルビィちゃんを食べたんだろう?」
花丸が嗚咽をもらすように泣きだすのを見て理亞は戸惑いを浮かべた
花丸「あんなに大好きな友達だったのに..どうして?ねえどうしてマルは..」
(うるさいな..食べたいから食べた..それだけだって言っているでしょ?それより..隙だらけだね♡ 理亞ちゃん..おいしそう..)
花丸「理亞ちゃああああああああんんんん♡♡ 隙だらけずらああああああ♡♡」
花丸は情緒不安定を装い..理亞の油断を誘い、隙を突いて理亞に襲い掛かった 理亞「な!!」
完全に油断していた理亞は不意を突かれ、花丸に首筋に噛みつかれてしまった
理亞「ガアアアアアアアッ!!」
花丸「理亞ちゃん..油断しちゃだめずら..う〜ん..理亞ちゃんのお肉..やっぱりおいしいずら♡」
首筋から出血した理亞はベッドの上に倒れ込み、意識が遠のいてゆくのを感じた
花丸「理亞ちゃん..ん〜..おいしい..理亞ちゃんの血液..とっても..おいしいずら〜♡」
花丸は理亞の首筋から出る血液を母に授乳をせがむ、赤子のごとく啜り上げた 理亞(すごい出血..私..死ぬのかな..)
薄れゆく意識の中、走馬灯のようにこれまでの人生の様々な出来事が頭をよぎって行った
聖良と遊んだ幼き日のこと.. 子供の頃友達ができなくて一人で泣いていたこと.. 学校に行ってもやっぱり友達はできず、自分の味方は聖良以外誰もいなかったこと..
理亞(姉さま..ごめんなさい..私..ずっと一人ぼっちだったから..姉さまに心配かけちゃってたよね..)
友達ができない理亞を気遣った聖良は、時間の許す限り常に理亞の側にいてくれた..
聖良はいつも理亞を守ってくれていたのだ
理亞(私..いっつも姉さまに迷惑掛けちゃってたよね..セイントスノーの活動だって..姉さまに任せっきりで..最後の大会では..私のドジのせいで..)
理亞は無意識のウチに涙を流していた.. 花丸「泣かないで理亞ちゃん..これから理亞ちゃんはマルと一つになるの..マルの中のルビィちゃんと一緒に..3人で仲良く過ごそうね..」
理亞(ルビィ..)
ルビィ『じゃあ..最後にしなければいいんじゃないかな?』
ルビィ『一緒に歌いませんか..お姉ちゃんに送る曲を作って..この光の中で..もう一度!』
ルビィ..初めてできた私の友達.. 無愛想で誰にも好かれない私にできた、なんでも打ち明けることができる親友..
そんな友達は..頭蓋骨に変わり果ててしまった..
理亞(姉さま..ルビィ..助けて..)
花丸は理亞とルビィに助けを求めるが..聖良は沼津で別れたきり連絡が取れず、ルビィは生贄にされて頭蓋骨になってしまった 理亞(私を助けてくれる姉さまはいない..ルビィも殺されて骨になってしまった..私もここで花丸に食い殺されて骨にされてしまうの...?)
理亞の脳裏にお寺のお堂がイメージされる..神を祀る祭壇の上にキレイに並べられた二つの頭蓋骨..
ルビィと自分の頭蓋骨が並べられ..内浦の住民たちに祈りを捧げられている光景を..
理亞(イヤだ..そんなの..絶対にイヤだ..)
理亞の目から絶望の涙がポロリ..と零れ落ちたとき.. 諦めないで..
理亞(え?)
聞き違いだろうか..?生贄の儀で頭蓋骨に成り果ててしまった親友..ルビィの励ます声が確かに..聞こえたような気がした
理亞「ルビィ..?」
花丸「まだ気が早いよ!でも、もうすぐ理亞ちゃんをルビィちゃんの元に送ってあげるからね!」
理亞(花丸には聞こえていない..私の幻聴なのかも..でも、幻聴でもかまわない..私にはルビィが..ルビィがついている!)
理亞(私は諦めない..最後の最後まで絶対に..!命が尽きる最後の瞬間まで闘ってやる!!) 花丸「!!! グウウッ!!」
花丸の肩に激痛が走る..理亞は顔の前にあった花丸の肩に力いっぱい噛みついたのだ
花丸は悲鳴を上げ、理亞から離れようとするも..理亞は四肢を使って花丸を拘束し、逃れられないようにした
花丸「理亞ちゃん..まだそんな力が残ってたんだね..さすはマルの王子様ずら」
理亞「誰があんたの王子様になんてなるか..」
(私は..絶対にあきらめない..こんなところで死んでたまるか!!) 花丸「グウウウッ!!アアウ”」
理亞は顎の力を強めて、花丸の肩の肉をそのまま食いちぎってしまった
肉を食いちぎられた箇所から血液が滴り落ち、ベッドの上を新たな血で汚してゆく
花丸「理亞ちゃんが..マルを食べた..うれしいよ..理亞ちゃん..理亞ちゃんの..噛んだ跡がまたマルの体に刻まれたずら」
花丸は肩に新たに刻み込まれた理亞の咬傷を愛おしげな眼差しで見つめた
花丸「もう..お互いに余力がないよね..マルももうふらふらずら..次に相手に一撃を与えたほうが..生きてここを出ることができるずら」
理亞「絶対に..私は生きてここを出るわ..そして姉さまにもう一度会うんだ!!」
花丸「勝負..というわけだね..マルと理亞ちゃんでお互いを食べあって..どっちが生き残れるか..生き残ったほうが相手の命を取り込むことができるんだね..」 理亞・花丸「......」
理亞と花丸は見つめあい、お互いの出方を伺った..
2人の裸体を咬傷から流れ出す血液が滴り落ち、肌を紅く染め上げてゆく..
花丸「理亞ちゃん!!」
先に動いたのは花丸だった..理亞をベッドの上に再び押し倒し、理亞の首筋に思い切り噛みつこうと口を大きく開いた..
理亞「ソコだッ!!」
カウンターを狙っていた理亞は口を大きく開いた花丸の唇に自分の唇を重ねると、花丸の口内に舌を挿入した ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています