【SS】トイレの曜さん
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生徒A「おい、今日は金持ってきたんだろうな?」
善子「……」
生徒B「あ?また持ってこなかったのかよ?」
善子「…あんたたちに渡すお金なんてない」
生徒A「んだとゴラァ!」ゴスッ
善子「うぐっ!?」ドサッ
生徒B「…次はぜってー持ってこいよ」スタスタ…
善子「うぅ…」 梨子「あ、その制服…もしかして浦の星の生徒さん?」
善子「はい、そうですけど」
梨子「わあー、懐かしいなー!私も浦の星の卒業生なの」
善子「そ、そうなんですか?」
梨子「うん。あ、てことは千歌ちゃんとも知り合いだったり?」
善子「千歌先生のこと知ってるんですか?」
梨子「うん、友達なんだ♪」
善子(これは…先生のことを聞くチャンス!)
善子「あ、あの…梨子さん!」 梨子「どうしたの?」
善子「千歌先生のこと、教えてくれませんか?」
梨子「あら、知りたい?」
善子「ぜひお願いします」
梨子「うーん、それはいいけど、タダってのも…ねえ?」
善子「じゃあ、どうすれば…あ、でもお金はあんまり持ってないし…」
梨子「お金なんていらないわ。そうねえ…じゃあ!」 〜〜〜
梨子宅
善子「お邪魔しまーす…」
梨子「どうぞー、楽にしてってね」
善子「はあ…」
善子(なんで私、こんなことになってるのよ…)
梨子「じゃあ早速、やってもらおうかしら」
善子「だから、何をすれば…」
梨子「ほら、こっち来て」グイッ
善子「あっ、ちょっ…って、どうするんですか、壁際に来て」
梨子「今からあなたには、壁ドンをしてもらいます」
善子「…え?」 梨子「だから、壁ドンをしてもらうわ」
善子「いや、聞こえたから…じゃなくて、壁ドンって…私が梨子さんに?」
梨子「そうよ。よっちゃん、なかなか女の子にしてはカッコいい顔してるし」
善子「よっちゃんって…じゃあ、やれば教えてくれるんですか?」
梨子「もちろん♪あ、壁ドンした後のセリフは、『なあ梨子、俺以外を見るなよ』でお願いね」
善子「うわあ…なんかやばい人だ…」
梨子「ほら、やるよ!」カベモタレ
善子「はあ、分かりました…ドン! …なあ梨子…その…俺以外…み、見るなよ…?」
梨子「はあ…」 善子「ど、どうですか?」
梨子「ダメ。ぜんっっっぜんダメね」
善子「えぇー…」
梨子「まずは恥を捨てなさい。そこがスタートラインよ」
善子「うぅ、そんなこと言ったって…」
梨子「あらー?別にいいのよ?教えてあげなくたって」ニヤッ
善子「くっ…もう一回やります」
梨子「どうぞ?」
善子「…ドン! なあ梨子…俺以外を…み…見るなよ…」
梨子「くぅっ、さっきよりは良いじゃない…でもまだね!完全にキャラに入りなさい!」 善子「完全にキャラに入る…なるほどね」
梨子「…?」
善子「それなら私の得意分野よ…ドンッ!!」
梨子「!?」
善子「なあ梨子……俺だけを見ろよな…」アゴクイッ
梨子「☆\8☆%々19○+5×<3$!?!?」
善子「どうよ?」
梨子「あ…ありがとうございましゅ…」プシュ-
善子「うわあ…」 〜〜〜
梨子「で、千歌ちゃんのなにを知りたいのかしら?」
善子「いや、その前に鼻血…」
梨子「大丈夫、すぐ止まるから。それで?」
善子「…ずばり、先生の友達のこと」
梨子「あー、なるほどね」
善子「やっぱり、なにかあったんですか?」
梨子「うん、まあ…ていうか、そんなことどこで知ったの?」
善子「それは…色々とありまして」
梨子「ふーん…まあいいわ、教えてあげる」
善子「!」
梨子「うーん、どこから話そうかしら…」
善子「……」 梨子「…千歌ちゃんにはね、とっても仲良しな幼馴染がいたの。その子とはいつも一緒にいて、ホントに姉妹みたいだったわ」
善子「……」
善子(曜のことだ…)
梨子「2人はずっと喧嘩もしたことなかったらしいんだけど…高校2年のとき、ちょっとしたことで初めて喧嘩になっちゃったの」
善子「…それで?」
梨子「うん…その幼馴染の子は、あんまり人が来ないトイレの個室に入っちゃって…それで…」
梨子「そこで亡くなったの」
善子「…!」
善子(やっぱり…)
梨子「まあ、こんなところかしら。気にはなるだろうけど、あんまりこの話はしないであげてね…千歌ちゃん、まだ気にしてるみたいだから」
善子「はい……あの、もうひとつ聞いてもいいですか?」
梨子「なあに?」 善子「梨子さんは、その子はなんで死んじゃったと思いますか?」
梨子「そうね…普通に考えれば自殺ってことになるんだろうけど、私はそうは思わないかな」
善子「どうして?」
梨子「だってあの子、そんなことするような子じゃなかったから」
善子「…たしかに」
梨子「ん?たしかに?」
善子「あ、いえ、なんでもないです!」
梨子「まあいいわ…そろそろ遅くなるし、送っていくわよ」
善子「あ、ありがとうございます」
梨子「うふふ、意外としっかり者なのね、よっちゃん」
善子「なんですか、意外とって」
梨子「あはは、もう、可愛いんだから♪」
善子「なんなんですか…」 〜〜〜
夜・善子部屋
善子(やっぱり、曜の親友は千歌先生で間違いない…)
善子(でも、どうして千歌先生はあんな風に言うんだろう…?)
善子(先生があんな感じだってこと、曜には言いづらいなあ…)
善子「曜になんて言おうかな…」ボソッ
曜「なにが?」
善子「なにがって……うわぁ!?」
曜「やっほー、よーしこー!」
善子「なんであんたがここにいるのよ!」 曜「いやあ、千歌ちゃんのことが気になったもんで」エヘヘ
善子「まったくもう…ていうか、わりと移動自由なのね」
曜「あのトイレと善子ちゃんの家に限っては私は自由なのであります!」
善子「あっそう…」
曜「それで、千歌ちゃんはなんて?」
善子「あ、えっと、それは…」
曜「…なるほど、だいたい察したよ」ハァ
善子「曜…」
曜「千歌ちゃん、まだ気にしてるんだね…千歌ちゃんのせいじゃないのに」
善子「…どういうこと?」
曜「きっと千歌ちゃん、『自分には親友なんていない』とか言ったんでしょ?」
善子「…そう、よく分かるわね」 曜「そりゃ、親友だからね。多分千歌ちゃん、自分のせいで私が死んだと思ってるんだよ。それで、『私には親友でいる資格はない』なんて考えてるんだ」
善子「そういうこと…」
曜「ねえ善子ちゃん」
善子「…なに?」
曜「私、千歌ちゃんに会いたい。会って、話したいよ」
善子「…そうね、2人で話し合うべきだわ。こんな機会、滅多にないだろうし」
曜「でも千歌ちゃん、死んだはずの私が現れたら、やっぱり驚くかな?」
善子「そりゃあそうでしょうけど…というか、その前に曜と会ってくれるかしら?」
曜「まあ、そこは善子の技量が試されるところだね」
善子「…まあ、頑張って連れてくるわ」
曜「おお、頼りになる〜!」グイグイッ 善子「ちょっと、やめなさいよ!もう!」
曜「えへへ〜…と、それじゃあそろそろドロンするであります!」
善子「本当にドロンしてるじゃない」
曜「やっぱり本物が使うと貫禄あるでしょ?」
善子「べつに貫禄はないけど」
曜「もう、そこはなんでもいいじゃん!」
善子「はいはい…ていうか、泊まっていけばいいのに」
曜「いやあ、そんなに頻繁にお世話になるのも悪いからさ」
善子「そう…じゃあ、またね」
曜「うん、千歌ちゃんのこと、よろしくね」
善子「まあ任せなさい」グ-
曜「ヘヘッ」グ- 〜〜〜
翌日・昼休み
花丸「善子ちゃん!お弁当一緒に食べるずら!」
善子「ええ、食べましょう」
ルビィ「ルビィも一緒に食べる!」
花丸「もちろんずら!」
善子「3人で食べましょ」
ルビィ「うん!」
花丸「わあー、善子ちゃんのお弁当、すごく美味しそうずら!」
善子「えへへ…そうかしら?」
ルビィ「善子ちゃんのお母さんすごい!」
善子「ありがとう…きっとママも喜ぶ――」
ガシャッ!! 生徒A「おおっと、ごめんごめん、手が当たっちゃって弁当ひっくり返しちゃったよ」
グチャッ!!
生徒B「うわっ、気づかずに踏んじまったじゃん」
生徒C「ったく、汚ねえなー」
花丸「ちょっと!なにするずら!?」
生徒A「偶然当たっちゃっただけだって。すまんすまん」クスクス
ルビィ「最低…こんなの最低だよ!」
生徒B「あ?なんだと黒澤?」
ルビィ「うゆっ…負けないもん…」
生徒C「お前も覚えとけよ」
生徒A「じゃあな」スタスタ
生徒B・C「……」スタスタ
善子「……」 花丸「善子ちゃん…大丈夫?」
ルビィ「ほ、ほら、ルビィたちのおかず、一緒に食べよう?」
善子「うん、ありがと…なんであんなことするのかしら」
花丸「ほんとだよね…まる、許せないずら」
善子「……」 〜〜〜
放課後・職員室
善子「あの、千歌先生」
千歌「どうしたの?」
善子「聞いてほしい話があるんです」
千歌「なになに?」
善子「先生の、親友の話です」
千歌「!」
善子「話は、梨子さんから聞きました」
千歌「梨子ちゃん?梨子ちゃんと知り合いなの?」
善子「はい、まあ」
千歌「そっか、聞いちゃったか…」
善子「聞いちゃいました」 千歌「どう?幻滅したでしょ?私、本当は最低の人間なんだ」
善子「そんなことないです」
千歌「…善子ちゃんは優しいね」
善子「…そんなことないです」
千歌「でも、本当に私は最低なんだよ…なんてったって、親友だった子を、殺したんだから」
善子「先生のせいじゃないです」
千歌「ううん、私のせいだよ」
善子「いいえ、違います。きっとそれは――」
千歌「私のせいなの!!」
善子「ビクッ!?」 ザワザワ...
千歌「私が…私が『消えちゃえ』なんて言ったから…曜ちゃんは…」
善子「先生…」ダキッ
千歌「!…もう、善子ちゃんは本当に優しいなあ…」
善子「先生…もしも」
千歌「?」
善子「もしも曜ちゃんに会えるとしたら、会いたいですか?」
千歌「もしも会えるなら…そりゃ、会いたいに決まってるよ」
善子「そうですか…じゃあ、行きましょう」
千歌「行くって、どこへ?」
善子「それは…曜ちゃんのところ、です」 〜〜〜
トイレ
千歌「ここって…」
善子「ここに曜がいます」
千歌「…え?いやいや、なに言ってるの善子ちゃん、だから曜ちゃんは死んだって――」
善子「います」
千歌「!…善子ちゃん…冗談言ってるんじゃないんだね?」
善子「はい」
千歌「分かった、信じるよ」
善子「……」
千歌「…曜ちゃん、いるの?」
ガタッ
千歌「!…曜ちゃん?」 善子「……」
千歌「本当に…曜ちゃんなの?」
ガチャッ…
曜「千歌ちゃん…久しぶりだね」ニコッ
千歌「曜ちゃん…曜ちゃんだ…」
曜「うん、私だよ」
千歌「曜ちゃん!!」ダキッ
曜「おおっと」
千歌「曜ちゃん、曜ちゃん…!」ギュ-
曜「もう、千歌ちゃんってば、甘えん坊だなあ」ヨシヨシ
千歌「寂しかった…寂しかったよお…」グスッ
曜「うん、ごめんね」
千歌「ううう…曜ちゃん、曜ちゃん」 曜「よしよし…でも千歌ちゃん、私がここにいて、驚かないの?」
千歌「だって、曜ちゃんは曜ちゃんだもん…なんで曜ちゃんがいるのかなんて、なんだっていい…ずっとずっと会いたかったんだから!」
曜「そっか…うん、ありがとう千歌ちゃん」
善子(よかった…本当によかった)グスッ
千歌「本当に会いたかった…それで、謝りたかった」
曜「千歌ちゃん…」
千歌「曜ちゃんはきっと、私のことを恨んでるよね…多分、謝ったって許されないと思う…けど、どうしても謝りたい。曜ちゃんにあんな酷いこと言っちゃってごめんなさい」ペコッ
曜「…うん、いいよ。私こそ、千歌ちゃんに色々言っちゃったし、お互い様だよ」
千歌「でも…私があんなこと――消えちゃえ、なんて言わなかったら、曜ちゃんだって…」 曜「ううん、違うんだよ千歌ちゃん」
千歌「違う?」
曜「私は、千歌ちゃんと喧嘩したから自殺したんじゃないの。偶然、心臓麻痺になっちゃっただけなんだ」
千歌「…そうなの?」
曜「うん…私こそ、本当にごめんなさい。千歌ちゃんは今までずっと、そのことで自分を責めたりしてきたんだよね。私が死んじゃったばっかりに」
千歌「ううん、いいの。だって、今こうして再会できたんだから」
曜「そうだね…これも善子ちゃんのおかげだよ。ありがとう」
千歌「善子ちゃん、なにがどうなってるのか私には分からないけど、善子ちゃんが私たちをもう一度会わせてくれたってことはなんとなく分かるよ。ありがとね」
善子「お礼なんていいわよ…私だって、2人には助けられてきたんだから」
曜「もう、可愛いなあ善子ちゃんは」
千歌「ほんとにいい子だよ、善子ちゃんは」
善子「や、やめてよ///…って、曜?」 (*> ᴗ ;*)ゞ 从/*;ヮ;§从 メイ*; _ ;リ¶cリ;ヮ;)|
|c||^.- ^|| 曜「ん?なに?…あっ」
千歌「曜ちゃん、体が…」
善子「透けてる…」
曜「あはは、どうやら私にもお迎えが来たみたい」
千歌「そんな…やっと会えたのに!」
曜「やっと会えたから…もうここに留まってる必要はなくなったってことかな」
千歌「やだ、やだよ!私もっと曜ちゃんといたいよ!これからもずっと、曜ちゃんと一緒がいい!」
曜「こらこら。千歌ちゃんももう大人なんだから、わがまま言っちゃだめだよ?」
千歌「でも、でも…」
曜「もう、困ったなあ…」
千歌「……」グスッ
曜「千歌ちゃん」ギュッ
千歌「曜ちゃん…?」 曜「私はずっと千歌ちゃんの側にいるから」
千歌「!」
曜「千歌ちゃんと私はずっと一緒だよ。今までだって、これからだって」
千歌「曜ちゃん…」
曜「だから…ね?もう泣かないでよ。私、千歌ちゃんの太陽みたいな笑顔が大好きなんだから」
千歌「曜ちゃん…本当に行っちゃうんだね」
曜「…うん」
千歌「…分かったよ」
曜「うむ、よろしい」
千歌「曜ちゃん、私頑張るから。だから見ててね…絶対、見ててね!」
曜「大丈夫だよ。約束する」
千歌「うん、約束だよ」 曜「善子ちゃんも、友達を大事にするんだよ!あと、千歌ちゃんのこともよろしくね!」
善子「うん、任せて」
曜「あ、そういえば善子ちゃん、お弁当のおかず貰ったお礼をしてかったっけ」
善子「いいえ、もうとっくに貰ってるわ」
曜「え?何かあげたっけ?」
善子「ええ、たくさんね」
曜「…そっか、ならいいや」ニコッ
善子「うん」 曜「じゃあ、もう行くね…これで本当にさよならだ」
千歌「曜ちゃん…ばいばい!」
曜「千歌ちゃん、ばいばい!元気でね!」
千歌「曜ちゃんもね!」
サァ-…
善子「…行っちゃったわね」
千歌「…うん」
善子「……」
千歌「ありがとう、善子ちゃん。なんだかスッキリしたよ。私もゆっくりだけど、前を向ける気がする」
善子「…なら、よかったです」
千歌「うん!」 プルルルッ
善子「あ、電話…ずら丸から?」
千歌「どうしたの?」
善子「さあ…はい、もしもし」ピッ
花丸『あ、善子ちゃん!?大変ずら!ルビィちゃんが…ルビィちゃんが!オラ、どうすればいいずら!?』
善子「ちょ、ちょっと、落ち着きなさいよ。なにかあったの?」
花丸『ご、ごめん…スゥ...ハァ...えっとね、さっきルビィちゃんと教室で話してて、ちょっとオラがトイレに行ってきて、帰ってきたらルビィちゃんがいなくなってて、それで…』
善子「…それで?」
花丸『ルビィちゃんのいた席に、「体育倉庫まで来い」ってメッセージがあって…』
善子「…まさか」
花丸『うん…あのいじめっ子たちかも』 善子「とりあえず、そっちに行くわ」
花丸『分かったずら』
善子「……」ピッ
千歌「花丸ちゃん、どうしたの?」
善子「ルビィが危ないかもしれない」
千歌「ルビィちゃんが?」
善子「私、行ってきます」
千歌「なんだかよく分からないけど、私も行くよ!」
善子「先生…はい、お願いします」
千歌「うん!」 〜〜〜
教室
花丸「あ、善子ちゃん!それに千歌先生も!」
千歌「話は善子ちゃんから聞いたよ。早速体育倉庫まで行こう」
善子「ええ、すぐにでも行かないと、ルビィがどうなるか分からないわ」
花丸「でもちょっと待つずら、わざわざこんなことするんだから、向こうもなにか持ってたりするかもしれないし…」
千歌「大丈夫だよ、花丸ちゃん」
花丸「え?」
善子「私たちにも、ちゃんと策があるから」
花丸「そうなんずら?」
千歌「うん、任せてよ!」
花丸「まあ、先生と善子ちゃんがそう言うなら信じるずら!」
善子「よーし、じゃあ行くわよ!」
花丸・千歌「「おー!」」 〜〜〜
体育倉庫
善子「よし…じゃあ開けるわよ」
千歌「うん…」
花丸「ずら…」
ギイィ...
ルビィ「っ!善子ちゃん!花丸ちゃん!」
生徒A「よお、津島」
生徒B「国木田と、それに高海までいるじゃん」
ルビィ「ダメだよ3人とも、早く逃げて!」
生徒C「お前は黙ってろ!」カミヒッパリ
ルビィ「痛いっ!」
花丸「ルビィちゃんになにするずら!」 千歌「あなたたち、こんなことして許されないんだからね!」ズカズカ
生徒A「おっと、それ以上近づいたらこの黒澤の可愛い顔が傷つくことになるぞお?」カチカチ
千歌「うっ、カッターなんてそんな危ないもの、人に向けちゃダメだよ…」
生徒B「さすが先生、ちゃんと注意するんだなあ」
生徒C「津島へのいじめは見て見ぬふりしてたくせに」
千歌「それは…」
津島「違うわ、先生は見て見ぬふりなんてしてない」
生徒A「でも対応してくれなかっただろ?」
津島「先生はいつも私に寄り添ってくれてた、味方でいてくれてたの。それがどれだけ嬉しかったか…だから、あなたたちにとやかく言われる筋合いはないわ!」
千歌「善子ちゃん…」 生徒B「チッ…生意気なこと言いやがって」
生徒C「国木田も黒澤も、長い間お前を無視し続けてきたじゃねえかよ。お前はそれを許せるのか?」
善子「ええ、許すわ。たしかにみんなを恨んでたことはあった…けど、今はこうやって仲良くできてるの。だったらもうそれでいいじゃない」
花丸「善子ちゃん…」
ルビィ「うゆ…」
生徒A「はっ、じゃあ一生仲良しごっこしとけばいいさ」
善子「ええ、そうさせてもらうわ…それで、あなたたちの目的はなんなの?」
生徒B「そんなの決まってるだろ、お前を潰すことだよ」
善子「……」
生徒C「津島、とりあえず脱げよ」
善子「…は?」 生徒A「だから、着てるもの全部脱げって言ってんだよ」
善子「…そしたら、ルビィを解放してくれるの?」
生徒B「さあ、どうだろうな?」
生徒C「でもやらなかったらこいつは傷つくことになるぞ?」
善子「くっ…分かったわよ」
ルビィ「善子ちゃん、ダメだよ!ルビィなんかのために善子ちゃんが嫌な思いする必要ないよ!」
善子「いいえ、これは元はと言えば私のせい…だからいいのよ」プチプチ…
ルビィ「善子ちゃん!やめて!」
千歌「善子ちゃん、待って」
善子「先生、止めないで。これは私が――」 千歌「私がやる」
善子「え?」
千歌「ねえ、私が代わりにやるから、それでもいいかな?」
生徒A「ああ、それでもいいことにしてやるよ」
千歌「……」プチプチ
善子「ちょっと、なにしてるのよ!」
千歌「大丈夫だよ、善子ちゃんにはこんなことさせられないから」
善子「だからって先生が…」
千歌「先生だから」
善子「?」
千歌「先生だから、やるんだよ。先生なら生徒を守らないと、ね?」
花丸「千歌先生…」 善子「でも…」
生徒B「ほら、はやく」
千歌「分かってるよ…」
生徒C「ふふっ、先生が脱ぐなんて、恥ずかしいなあ?」
善子「……」
花丸「今ずら!」サッ
善子「しゃがんで!」サッ
千歌「やっときた!」サッ
ブォン!!
生徒A「え?――ぐはっ!」バコ-ン!!! 生徒B「!?」
生徒C「なんだ!?」
善子「ルビィ、今のうちにはやく!」
ルビィ「う、うん!」タッタッ
生徒A「」ノビ-
生徒B「な、なにが起こって…」
???「お前ら、なにやってるんだ?」
生徒C「あ…松浦」 千歌「果南ちゃん、遅いよー!」
果南「ごめんごめん、ちょっと用事に手間取っちゃって」
生徒B「さっきのは…バスケットボール?」
果南「そう、私が投げてその子に当てたの」
生徒C「投げたって…常人のスピードじゃないって…」
生徒A「」チ-ン
果南「さてと…それで?そこで伸びてるやつの手にあるものは何かなん?」
生徒B「こ、これは…ええい、もうヤケだ!」カッタ-ヒロイ
果南「こらこら、そんなもの人に向けちゃダメだよ?」
生徒B「う…うわあー!!」ブンブン!
果南「……」パシッ
生徒B「うっ、離せ!」
果南「はい、これは没収」 生徒B「うう…くそ…」ガクッ
生徒C「……」ソロ-リ
果南「そこの君、なに逃げようとしてるの?」
生徒C「っ!に、逃げるだなんてそんな…」アハハ
果南「じゃあ、とりあえず3人とも、理事長室に行こっか」
生徒B・C「「はい…」」
生徒A「」チ-ン 〜〜〜
果南「ふぅ、とりあえずあの3人は理事長室に届けたから相応の処分は下るはずだよ」
千歌「いやー、助かったよ果南ちゃん。ありがとう!」
果南「いいっていいってこのくらい。それよりみんなに怪我がなくてよかったよ」
善子「果南先生…本当にありがとうございます」
花丸「果南先生のおかげでルビィちゃんもみんなも助かったずら〜」
ルビィ「あ、ありがとうございます!」
果南「あはは、どういたしまして」
花丸「それにしても、まさか果南先生がまるたちの策だったとは…この作戦を聞いたときはびっくりしたよ」
千歌「まあ、荒事は果南ちゃんに任せればおおよそ大丈夫だから」 果南「千歌は私をなんだと思ってるの」
千歌「うーん…頼れるお姉ちゃん的な?」
果南「いや、絶対違うでしょそれ…」
千歌「あはは!まあいいじゃない。じゃあ、いろいろ片付いたことだし…帰ろっか!」
善子「そうね」
花丸「善子ちゃん、ルビィちゃん、寄り道して帰るずら!」
ルビィ「うゆ!」
果南「こらこら、寄り道なんてしないで、まっすぐ帰りなよー?」
千歌「あはは、果南ちゃんだっていつもしてたくせに」
果南「まあ、それはそうだけどね」
善子「まったくもう…」
アハハハ… 〜〜〜
あれから何ヶ月かが経った。結局、いじめっ子たちは退学となり、もうその姿は見なくなった。少し可哀想ではあるが、彼女たちもこれで懲りたことだろう。
教室の中でも変化はあって、少しずつみんなも喋ってくれるようになった。
花丸「善子ちゃん、ルビィちゃん!お弁当一緒に食べるずら!」
ルビィ「うゆ!」
善子「ええ」
そして私は、親友たちと今も仲良くしている。
千歌「善子ちゃーん!放課後だし、久しぶりに職員室でお話でもしようよー!」
そそっかしい先生も、相変わらずそそっかしいままだ。
善子「はあ…仕方ないですね」
まあ、そんなところも嫌いじゃないけど。 花丸「あ、善子ちゃんだけずるい!まるたちも入れてずら!」
ルビィ「うゆうゆ!」
千歌「もちろん大歓迎だよ!ほら来て来て!」
花丸・ルビィ「「わーい!」」
善子「はぁ、まったく…」
善子(…ねえ曜、見てる?私、今とっても楽しいわよ)
ヨカッタネ ヨ-シコ-!
善子「…!」
善子(…ふふっ)
花丸「ほら善子ちゃん、行くよ!なにニヤニヤしてるずら?」 善子「ううん、なんでもないわ」
花丸「…?変な善子ちゃん。あ、いつも変だったずら」テヘッ
善子「ずら丸ー?」
花丸「あはは、にっげろー!」タッタッタッ
善子「こら、待ちなさーい!」タッタッタッ
ルビィ「あ、2人とも、廊下は走っちゃダメだよぉ〜」タッタッタッ
千歌「って、ルビィちゃんもー!」
千歌「…はあ、まったく」
千歌(…曜ちゃん、見てくれてる?)
千歌(私、頑張るから)
千歌(もう絶対に、大切なものを失ったりはしない)
千歌(だから曜ちゃん…)
千歌(ちゃんと見ててね――!)
ヨ-ソロ-! 後日談で壁ドンで妊娠した梨子ちゃんが曜ちゃんの生まれ変わり生んだとか書いてよ みんなありがとう
いつかまた千歌ちゃんや善子ちゃんが曜ちゃんと会えたらいいな イジメっ子はトイレのメノノリさんがおいしくいただきました 花丸がずらずら言ってたのが気になる
そんないわねーよ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています