【星のルビィ】マリー「アクアランドのサンタさん」
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―クリスマスイブ・ダダダ城―
ダダダ「ふぅ、ようやく会議が終わりましたね」
マリー「花丸、帰ったわよ」
ダダダ「そうですか」
マリー「エリーチカ像の件で粘っていたけど」
マリー「ケーキを渡して、ルビィと楽しみなさいと言ったら喜んで帰っていったわね」
ダダダ「ふふっ、単純ですね」 ダダダ「これでようやく、準備に取り掛かれますわ」
マリー「ええ」
ダダダ「毎年恒例、ダダダサンタの国民へのプレゼント」
マリー「子どもたちの夢を壊さない為、秘密裏おこなわれている一大プロジェクトね」
ダダダ「ええ。私とマリーさんの二人で一夜の間に全国民の家へプレゼントを配る」
ダダダ「一年で最も忙しい日と言っても過言ではありませんわ」
マリー「暴君面している割に、案外甘いわよね、ダダダも」
ダダダ「べ、別に、これも国民の支持率を上げる為の工作に過ぎませんわ」
ダダダ「低コストで心を掴める、あくまで実利的なことを考えての行動です」 マリー(ダダダの名前を出さずにやってるんだから、その意味はないような……)
マリー(素直じゃないところも、ダダダらしくて好きだけどね、私は)
ダダダ「それで、各自の欲しているものの調査は済んでいるのですか」
イツキ「はっ」
ムツ「それについてはこちらのリストにまとめてあります」
ダダダ「どれどれ……相変わらず慎ましやかな要求が多いですわね」
マリー「のんびりしたいい子ちゃんしかいない国だからね、ここは」 ダダダ「では皆が寝静まったころに行きましょうか」
ダダダ「準備はできていますか?」
ヨシミ「はっ、例年のように黒塗りの自動運転ソリを用意してあります」
ダダダ「ご苦労様――そうそう、三人にはこれを」スッ
イツキ「これは?」
ダダダ「三人へのプレゼントですわ」
ムツ「大王様……」
ダダダ「いつも私の為に尽くしてくださる三人には、とても感謝していますわ」
ヨシミ「……ありがとうございます、大王様」 ―深夜―
リンリンリン
マリー「人の気配がしないわねぇ」
ダダダ「日ごろから、『夜起きている愚かな国民の元にはサンタは訪れない』と洗脳している成果ですわね」
マリー「……ホント、恐ろしい大王様よね」 ダダダ「まずは曜さんの家ですね」
マリー「ええ」
ダダダ「曜さんとチカルディさん……」
マリー「どうせチカの方はみかんでしょう」
ダダダ「ですわね」
マリー「曜はなにがお望みなのかしら」
ダダダ「リストによると――」
『等身大チカルディぬいぐるみ』 ダダダ「…………」
マリー「…………」
ダダダ「……曜さんは、本当にチカルディさんが好きなのですね」
マリー「本物と一緒に住んでいるのに。最早恐怖すら感じるんだけど」
ダダダ「まあ、趣味は人それぞれですので――さて、着きましたね」
ガチャ
マリー「相変わらず、鍵も開けっ放しなのね」
ダダダ「これも洗脳教育の成果ですわ」
マリー「馬鹿みたいに平和よね、この国」 曜「……」スヤスヤ
ダダダ「よしよし、寝てますわね」
マリー「あら、でもチカの姿が――」
曜「……」ギュー
チカルディ(……)スヤスヤ
マリー「あら、抱っこされてるわ」
ダダダ「幸せそうですが、潰されそうで心配ですわね」 マリー「それならほら、いったんチカとこのぬいぐるみを交換して」
ダダダ「ああ、名案ですわ――あら」
チカルディ(イヤイヤ)スヤスヤ
ダダダ「駄目ですわね、離れてくれませんわ」
マリー「やれやれ、放っておきましょうか」
ダダダ「仲良しでいいですわね、本当に」
マリー「大人しく、みかんとぬいぐるみを置いて次へ行きましょう」
ダダダ「ええ」 ―リコルドゥちゃんのおうち―
マリー「リコの家ね」
ダダダ「リコルドゥさんは我が国の産業を支える重要人物」
ダダダ「多少高額な要求でも聞き入れなくては」
マリー「それで、希望のプレゼントは何なの?」
ダダダ「それはですね――」
『人手』 ダダダ「…………」
マリー「…………」
ダダダ「善子さんを城から無償で派遣する権利書を差し上げましょう」
マリー「そうね、どうせ暇してるだけだし……」
ダダダ「そういえば、善子さんも今日はリコルドゥさんの家に泊まっているのでしたね」
マリー「ああ、そうだったわね」
ダダダ「善子さんの希望は――」
『戦士としての尊厳』 ダダダ「…………」
マリー「……爵位でも、あげたらいいんじゃないかしら」
ダダダ「……そうですわね」
ダダダ「プレゼント、二人の分は用意されていませんでしたね」
マリー「ヨイムツトリオも困ったんでしょう、実際」
ダダダ「では爵位授与式の案内状と、派遣契約書を即興で作ってポストに入れておきましょう」
マリー「そうね」 ―キッチンカナン―
ダダダ「だいぶ回れましたわね」
マリー「そうね、もう半分以上は来たかしら」
ダダダ「国民が少ないのは問題ですが、この時ばかりは楽で助かりますわね」
ダダダ「お次はカナンさん」
マリー「どうせ『平穏』とか『客』とかでしょ」
ダダダ「後者はともかく、前者は私たちには耳の痛い話ですわ」 マリー「さて、では内容の確認を――」
『ダダダやマリーと昔みたいに遊びたい』
マリー「カナン……」
ダダダ「……今度、一緒に旅行にでも行きましょうか」
マリー「そうね、休みを作って」
ダダダ「花丸さんには怒られてしまいそうですが」
マリー「いいのよ、大王なんだから自由で」 ダダダ「しかし、プレゼントはどうしましょうか」
マリー「トリオが入れておいてくれたのは――新品の調理器具?」
ダダダ「ああ、それはカナンさんにピッタリですわね」
ダダダ「ついでに、『ダダダ城専属料理人』とサインを入れておきましょうか」
マリー「それは怒られるわよ、確実に」
ダダダ「……残念ですわね」
マリー「まあその件は、気長に行きましょう」
ダダダ「ですね」 ―マルちゃんのおうち―
ダダダ「ふぅ、疲れましたわね」
マリー「ようやく最後ね」
ダダダ「夜が明ける前に辿りつけてよかったですわ」
マリー「そうね」
ガチャ ルビィ「ぅゅ、ぅゅ」スヤスヤ
花丸「りゅびぃちゃーん」スヤスヤ
マリー「あらあら、仲良く寄り添って寝てるわ」
ダダダ「可愛らしいですねぇ」パシャリ
マリー「ちょっと、写真はマズいわ」
マリー「二人が起きちゃうわよ」
ダダダ「はっ、つい反射で」 マリー「まったく、仕方ないわね」
マリー「マルたちのお望みはなにかしら」
ダダダ「花丸さんは、曜さんと同じようにルビィぬいぐるみなどでしょうか」
マリー「いや、マルの場合はみかんとかあんこじゃないかしら」
ダダダ「確かに食べ物説はありそうですわね」
マリー「あとは、エリーチカ像の建造を止める権利とか」
ダダダ「その場合はぶっぶーですわ」
マリー「それで、正体は――」 『たくさんのお芋』
マリー「お芋?」
ダダダ「あぁ、ルビィの好物ですわね」
マリー「あらあら、マルはいい子ね」
ダダダ「ですわね」
ダダダ「流石は我が城で最も信頼できる配下ですわ」
マリー「私より?」
ダダダ「……同じぐらい、ということで」 ダダダ「それで、ルビィの方は――」
『たくさんのみかん』
ダダダ「まあ」
マリー「仲良しね〜」
ダダダ「……いい子たちですわね」
マリー「でも、どうやってルビィの希望を知ったのかしら」
ダダダ「おそらく、ルビィ→チカルディさん→曜さんの伝言ゲームだったのでは」
マリー「ああ、その手があったのね」 ダダダ「ではプレゼントを置いて――行きましょうか」
マリー「ええ」
ガチャ
ダダダ「無事に配り終えましたわね」
マリー「あら、でもソリにプレゼントが一つ残っているわよ」
ダダダ「そうですわね」
マリー「誰か渡し忘れた子がいたかしら」 ダダダ「ええ、一人だけ」
マリー「オゥ、それなら早く渡しに行かない」
マリー「急がないと、夜が明けてしまうわ」
ダダダ「平気ですわよ」
マリー「なぜ?」
ダダダ「だって、相手は私の目の前にいますから」
マリー「あっ……」 ダダダ「マリーさん、私からのプレゼント、受け取っていただけますか?」
スッ
マリー「ダダダ……」
ダダダ「お気に召すかは分かりませんが」
マリー「ううん、ダダダからもらえるなら何でも嬉しいわ」
マリー「ありがとう、ダダダ」
ダダダ「べ、別に。この程度で配下がしっかり働くようになればと思ってのことですので」
マリー(分かりやすい照れ隠し、可愛い大王様ね) ダダダ「さて、今度こそ帰りましょうか」
ダダダ「私、眠たくて仕方ないですわ」
マリー「そうね、早く休みましょう」
マリー「お昼には素知らぬ顔で会議をしないといけないんだから」
ダダダ「ええ」
マリー(まさか、ダダダからプレゼントを貰えるなんて)
マリー(ビックリしたわ、だって私と同じことを考えていたんだもの)クスッ
ダダダ「マリーさん?」
マリー「いえ、何でもないわ」
マリー(さて、ダダダは寝る前に気づいてくれるかしら)
マリー(枕元に置いてある、もう一人のサンタから大切な人への贈り物に)
おしまい いつもより短めですが以上です
ギリギリクリスマスに間に合って一安心
次のお話の内容は未定ですが、大晦日辺りの時事ネタを書ければと思っています ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています