【星のルビィ】花丸「みかん大食い競争」
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―マルちゃんのおうち―
花丸「はぁ、今日も疲れた……」
花丸「まさか原材料費の高騰で、エリーチカ像作成に試算の倍の金額が必要なんて」
花丸「それをダシに計画中止へ持って行こうとしても、ダダダ大王は首を縦に振ってくれないし……」
花丸「困った、もうやってられないよ……」 花丸(こういうときは、早く我が家の癒しちゃんの元へ――)
ガチャ
花丸「ただいま〜」
ルビィ「――うゅ!」
花丸「ルビィちゃ〜ん」
ルビィ「うゅ〜」
花丸「ごめんね。今日は荷物が来るからってお留守番頼んじゃって」ナデナデ
ルビィ「ピギィ♪」 花丸「うぅ、癒される」
花丸「城ではダダダ大王のブッブーハンマーで叩かれそうになって、騒がしいマリー大臣のせいで耳の調子がおかしくなって」
花丸「マルの味方はルビィちゃんだけずら」ギュー
ルビィ「うゅうゅ」ナデナデ
花丸「はぁ、やっぱりルビィちゃんは最高ずら」
花丸「抱きしめているだけで心が洗われていくよぉ」
ルビィ「うゅ?」
花丸「ご飯食べたらお風呂に入って、一緒に寝ようね」
ルビィ「うゅ♪」 花丸「あっ、でもその前に注文しておいた荷物――みかんずら!」
花丸「ちょうど今はみかんの旬。リコルドゥちゃんにお願いしておいたんだよね」
ルビィ「うゅゅ〜」
花丸「よし早速むきむきと――うん、美味しい!」
ルビィ「うゅ、うゅ」
花丸「ルビィちゃんもみかん好きだよね。一緒に食べる?」
ルビィ「うゅ!」
花丸「じゃあはい、あーん」
ルビィ「うゅ――ピギィ♪」 善子「……コホン」
花丸「!」
花丸「よ、善子ちゃん!?」
善子「……お邪魔してるわよ」
花丸「どうしてここに」
善子「リコに頼まれてみかんを持ってきたの、私だから」
花丸「……暇なの?」
善子「うっさい。こんな平和な国の兵士なんだから仕方ないでしょ」 善子「しっかし、あんたはいつもこんな感じのノリなの」
花丸「こんな感じ?」
善子「なんかこう――恥ずかしい感じの」
花丸「恥ずかしい?」
ルビィ「うゅ?」
善子「ああ、自覚はないのね……」
花丸「よく分からないけど、恥ずかしいのは善子ちゃんの言動だよね」
善子「恥ずかしくないわよ! あとヨハナイト!」 花丸「いやいや、それだよそれ」
ルビィ「うゅ!」
善子「ルビィまで……まあいいわ」
善子「あとみかんと一緒に、これも渡されたから」
花丸「こ、これは――」
『第○○回 アクアランドみかん大食い競争』
花丸「ついに、ついにこのときが来たずら!」
ルビィ「うゅ?」 善子「それ、騒ぐようなイベント?」
善子「毎年参加者も少ないし――まあ盛り上がりはするけど」
花丸「大事だよ! アクアランドで一番重要な催し物だよ!」
善子「まー、あんたには重要なイベントか」
花丸「そう。食はある意味マルのアイデンティティ」
花丸「これ以外、自尊心を満たせるイベントなんて一度もない」
花丸「それなのにここ最近は毎回毎回、チカルディちゃん相手に負け続き」
花丸「大食い、しかもみかん好き、本来マルの為にあるような大会なのに……」
ルビィ「うゅ」ナデナデ 善子「仕方ないじゃない」
善子「貴女が食の申し子なら、あの子はみかんの申し子なんだから」
花丸「分かってる、分かっているけど」
花丸「チカルディちゃんは普段は普通の子なのに、みかんになるといつもいつも……」
花丸「むー、そんなんだから身体がみかん色になっちゃんだよ!」
ルビィ「ピッ!?」
善子「はいはい、八つ当たりね」 花丸「しかも、今年はルビィちゃんもいる」
花丸「格好悪いところはみせられないずら……」
花丸「今から特訓しないと」
善子「特訓、ねぇ」
花丸「というわけで善子ちゃん」
善子「なによ」
花丸「みかんをもう2箱、追加注文ずら!」 善子「なんで私に頼むのよ……」
花丸「だって宅急便屋さんでしょ」
善子「違うわよ!」
ルビィ「うゅ?」
善子「ルビィまで不思議そうな顔しないで!」
善子「まったく、みかん嫌いだからあんまり触りたくないのに……」
花丸「文句言いながらも引き受けてくれるあたり、いい子ずら〜」ナデナデ
ルビィ「うゅぃ♪」ナデナデ
善子「にゃー、撫でるな!」 ※
花丸(その日から、マルの特訓は始まった)
花丸(毎食みかんは当たり前)
花丸(ダダダ大王の気まぐれでご馳走が振る舞われたときも、我慢してみかんだけを食べてた)
花丸(お風呂は水を一切入れない、みかんだけが入った浴槽に)
花丸(さらにみかん化粧品、みかん石鹸、みかんシャンプー、みかんコンディショナー)
花丸(できる限り、みかんと身体を一体化させるために)
花丸(ご飯はみかん、おやつもみかん、隙あらばみかん)
花丸(常日頃からみかんを徹底しているチカちゃんに勝つには、それしかない) ルビィ「うゅぃ♪」
花丸(そしてルビィちゃんも、なぜか付き合ってくれている)
花丸(毎日一緒にみかんみかん、みかん尽くし)
花丸(きっと1人だったら挫けていた)
花丸(前回もそう、大会前日に耐え切れず、みかん以外の物を食べてしまって)
花丸(そのせいで、負けた)
花丸(僅か1個差――もしあの時、我慢できていれば逆転できたはずの差) 花丸(でも今年は違う)
花丸(今日は既に大会前日)
花丸(みかん以外の物を食べたいと思うどころか、食べたいとも思わない)
花丸(もはやみかん以外の物をみただけで、蕁麻疹が出てくるレベル!)
花丸「今のマルは限りなく、みかんと一体化できている!」
ルビィ「うゅ!」
花丸「今年は勝てる! 準備はばっちりずら!」
ルビィ「うゅ! うゅ!」 ?「へぇ、凄いじゃん」
花丸「その声――曜ちゃん!?」
曜「うん」
花丸「なにをしにきたの」
曜「まあ、敵情視察かな」
曜「チカちゃんの年に一度の晴れ舞台、万全を尽くさないといけないからね」
花丸「ふ、ふん、見られたところで問題ないよ」
花丸「ここまでして、負ける要素なんてあるわけないずら」 曜「そうかな」
花丸「なっ」
ルビィ「ピギッ」
曜「2人は甘いよ」
曜「チカちゃんは、既により先を行ってる」
花丸「そ、そんな馬鹿な」
ルビィ「うゅ!」 花丸「はったりだよ!」
花丸「マルたち以上にみかんと一体化する方法なんて――」
曜「これの映像を観ても、まだ同じことが言えるかな」
カチッ
『チカルディ(みかん、みかん!)モグモグモグ』
ルビィ「ピギィ!?」
花丸「こ、これは」
花丸「みかんを、皮ごと食べてる!?」 曜「そうだよ、幸いアクアランドのみかんは健康にいい無農薬みかん!」
曜「皮を食べても問題ないんだ!」
花丸「な、なんだって!」
曜「今の千歌ちゃんは、皆が捨ててしまう皮さえ愛するみかん戦士!」
曜「これによって、大食い競争でも皮をむく時間のロスを短縮!」
曜「皮を平然と捨てている花丸ちゃん如きが勝てるわけないんだよ!」
花丸「そ、そんな……」
ルビィ「うゅ……」 曜「あっ、ちなみにヘタは食べられないの」
曜「だからこう、プッと吐き出すところが可愛くてさ〜」
曜「ホント、チカちゃんは最高だよね!」
曜「可愛いよチカちゃん、チカちゃん、チカちゃん――」
花丸「ぐ、ぐぐっ」
ルビィ「ぴ、ピギィ……」
善子「……騒がしいと思ったら」 花丸「善子ちゃん」
善子「ヨハナイトよ――曜、あんたは少し落ち着きなさい」
善子「ルビィが怯えてるわ」
ルビィ「うゅ……」
曜「あっ、ごめんね」
曜「私、チカちゃんのことになるとつい暴走しちゃって」
曜「お詫びにみかんをあげるね」ナデナデ
ルビィ「うゅ♪」 善子「落ち着いたなら帰るわよ、チカが心配していたわ」
曜「はーい――じゃあね、花丸ちゃん、ルビィちゃん」
花丸「う、うん」
ルビィ「うゅ」
曜「明日、楽しみしてるよ」
バタン
花丸「……嵐のような襲来だったね」
ルビィ「うゅ」 花丸「でも、このままだと勝てないことは分かった」
花丸「今からみかんを早くむく特訓だよ!」
ルビィ「うゅ!」スゥ――
花丸「いやいや、吸い込みじゃなくて――」
ルビィ「うゅぃ!」ポンッ
花丸「おー、皮だけ出てきた」
ルビィ「うゅ! うゅ!」クイクイ
花丸「こうすればいい、ってこと?」
ルビィ「うゅ!」コクコク
花丸「ルビィちゃん、マルにそれは無理ずら……」
ルビィ「う、うゅ……」 ―大食い大会当日―
マリー「さあさあ、今年もこの日がやってきたわ!」
マリー「みんな大好き大食い大会!」
マリー「実況はこのマリー大臣とダダダ大王、コックカナンの3人でお送りするわ!」
ダダダ「愚民どもが必死にみかんを腹に詰める様子は最高の娯楽ですから、楽しみですわね」
カナン「相変わらずひねくれてるなぁ」
マリー「とにかく盛り上がっていきましょー!」 ワァ―――
マリー「早速選手を紹介するわ!」
マリー「エントリーナンバー1! 元気いっぱい、みかんとチカルディ大好き、曜!」
曜「チカちゃんの付き添いだけどね〜」
マリー「エントリーナンバー2! 今大会の大本命、キングオブみかん! みかんの為に生きていると言っても過言ではないみかん少女、チカルディ!」
チカルディ(♪)ブンブン
マリー「エントリーナンバー3! 食べるのとみかん大好き! 花丸!」
花丸「雑ずら!」
マリー「エントリーナンバー4! 突如アクアランドに現れたまんまるピンクの女の子、ルビィ!」
ルビィ「ピギィ♪」 マリー「以上の4名で争われる勝負!」
マリー「ルールは簡単、15分の制限時間内で、一番のみかんを食べた者の勝利!」
マリー「それでは始めるわよ」
マリー「レッツ――シャイニー!」
ルビィ「うゅ♪」スゥ―――
マリー「おーっと、開始早々、ルビィがどんどんみかんを吸い込む!」
ダダダ「幸せそうな笑顔、ルビィは可愛いでちゅわね〜」
カナン「ある意味愚かな国民になってるよ、ダダダ」 花丸(ルビィちゃんの吸い込む音)
花丸(きっとそれはそれは可愛い姿に違いない)
花丸(だけど、今はそれどころじゃない)
花丸(今日のマルは、勝つために鬼になる!)
チカルディ(みかん! みかん!)モグモグ
花丸(チカちゃんは相変わらず早い!)
花丸(でもマルも負けない!)
花丸(昨日、必死に考えた勝つための方法――)
マリー「みんなが夢中になって食べるなら、マルだけはずっとみかんの皮むきをしてるわね」
ダダダ「競技を勘違いでもしているでしょうか」
ダダダ「あれでは見ていて面白くありませんわ」 ざわざわ
花丸(ざわつく会場)
花丸(無理もない、大食い競争で食べないなんて前代未聞)
花丸(でもいいんだ、これで計算通り)
花丸(ルビィちゃんは――)チラッ
ルビィ「ピギィ♪」ププププ
マリー「おー、ルビィが食べたみかんの皮を可愛く吐き出してるわね!」
カナン「器用だね〜」
花丸(あー、可愛い――じゃなくて)
花丸(少し時間をロスしちゃった、集中しなきゃ!) ―10分経過―
マリー「ここで10分経過よ!」
花丸(しまった、もうそんな時間)
花丸(ちょこちょこルビィちゃんを眺めていたせいで、計算が狂ったずら)
曜「あー、もう限界」
マリー「ここで曜が早くもリタイアか!?」
ダダダ「情けないですわねぇ」 マリー「しかし横のチカルディは止まらないわ〜」
チカルディ(みかん! みかん! みかん!)モグモグモグ
花丸(チカルディちゃんは相変わらず凄い)
花丸(あと、ルビィちゃんは――)
ルビィ「うゅぅ……」ケプッ
花丸(あらら、もうお腹いっぱいかな)
花丸(最初、凄い勢いで吸い込んでいたもんね) 花丸「さて」
花丸(予定よりむけた量は少し少ないけど、時間がない)
花丸(そろそろマルも――動くずら!)
カナン「おっ」
マリー「ここでついに、マルがみかんに手を付けた!」
花丸(あの皮ごと食べるテクニックは厄介だけど、欠点が2つある)
花丸(1つ目は、皮の分食べなければならない量が増えること)
花丸(そしてもう1つは、チカルディちゃんの小さいお口だと、1個しか詰め込めないこと!) 花丸(その点マルは皮をむくことによって、一気に二つのみかんを口に詰め込める!)ムグッ
花丸(みかんは飲み物! 口に入れたらすぐに飲み込める)
花丸(大量にむいておいたみかんを、一気に食べるずら!)ゴクン
マリー「早いはやい! 大量に積まれていたみかんがどんどんなくなっていく!」
曜「ま、マジか」
チカルディ(!?)
ルビィ「うゅ! うゅ!」
花丸(完全に分業制にしたおかげで、むくとき、食べるとき、それぞれ集中して動作を早められる)
花丸(今年のマルの作戦は完璧ずら!) マリー「でも、汁をまき散らしながら口にみかんを詰め込む美少女」
カナン「なんというか、ちょっと……」
ダダダ「作戦としては正しいのかもしれませんが、城の者にふさわしくない醜い姿ですわね……」
曜「ち、チカちゃんも頑張れ!」
チカルディ(みかん!)パクパク
花丸「負けないずら!」パクパクパク
ルビィ「ピギィ!」 マリー「残り時間、5、4、3,2、1――0!」
マリー「ここで終了よ!」
花丸「はぁはぁ」
チカルディ(おなかいっぱい)ケプッ
マリー「では数えるわね」
マリー「リコルドゥ、お願い」
リコルドゥ「はいはい」 花丸(元々、勝つために想定していたラインは100個)
花丸(たぶん、そこにはギリギリ届いていない)
花丸(だけど予想はかなり多めに見積もってる数字)
花丸(十分に勝機はあるはず!)
チカルディ(ドキドキ)
マリー「集計結果が出たわよ!」
花丸「!」
チカルディ(!) マリー「まずはエントリーナンバー1番の曜――20個!」
曜「あはは、ずいぶん場違いかも」
マリー「エントリーナンバー2番、チカルディ――95個!」
おぉ―――――――
ダダダ「15分で、95個」
カナン「普段の可愛らしいチカとは思えない、化け物じみた数字だね」
花丸「95!?」
花丸(流石千歌ちゃん、強敵ずら)
花丸(かなりギリギリのライン、届いてるかな――) マリー「そしてチカルディのライバル、エントリーナンバー3番の花丸は――」
花丸(神様……)
マリー「96個! チカルディを上回ったわ!」
カナン「おぉ、ついにリベンジ達成」
ダダダ「……流石、花丸さんですわね」
花丸「や、やった!」
曜「ありゃあ」
チカ(そんなぁ)ガックリ
花丸「ルビィちゃん、マルは勝ったず――」 マリー「そしてエントリーナンバー4番、ルビィ――100個!」
ルビィ「うゅ♪」
花丸「ず、ずら?」
チカ(!?)
曜「うぇ」
マリー「優勝はルビィね、おめでとう!」
カナン「いやぁ、これは予想外」
ダダダ「流石ルビィですわ〜」
花丸「えっと、集計ミスじゃなくて?」
リコルドゥ「ルビィちゃんは確かに食べてたわよ」
マリー「最初に一気に吸い込んでお休みしてたけど、大量の貯金が生きたわね」
ルビィ「ピギィ♪」 花丸「ま、まさかルビィちゃんに負けるなんて……」
チカルディ(凄いね!)ナデナデ
ルビィ「うゅ〜」
花丸(でも嬉しそうな顔を見れたし、まあ――)
ルビィ「うゅゅ?」スゥ
花丸「あらら、ルビィちゃんの身体がみかん色に」
曜「あはは、みかんをたくさん食べたからかな」
チカルディ(仲間!)ぽふぽふ 花丸「でもルビィちゃんとみかん、好きな物の組み合わせを見ると――」じゅるり
善子「ちょ、なんかヤバ気な顔をしてるんだけど」
ルビィ「う、うゅ?」
花丸「――ルビィちゃん」
ルビィ「う、うゅ」
花丸「マル、もう我慢できない」
ルビィ「うゅ、うゅゅ」アセアセ
曜「マズいよ花丸ちゃん、正気に――」 花丸「いただきますずら〜」
ルビィ「ピギッ!?」
善子「る、ルビィ、逃げなさい!」
チカルディ(ま、まもる!)タチフサガリ
花丸「あれ、こっちにも美味しそうな子が」ヒョイパク
曜「うわっ、チカちゃん!?」
チカルディ(!?!?)ジタバタ マリー「あはは、やっぱり祭りは最高ね!」
ダダダ「やれやれ、我が国はどうしてこう落ち着きがないのか」
善子「も、もう滅茶苦茶……」
ルビィ「う、うゅゅ……」
花丸「るーびーぃーちゃーん」
善子「こ、こっち来た――チカは」
チカルディ(……)ベトベト
曜「あぁ、無残な姿に……」
花丸「逃がさないよ〜」
ルビィ「ピッ」
花丸「ルビィちゃんも同じように、しっかり味わってあげるずら〜」
ルビィ「ピィ―――――――――――」
おしまい 以上です
次回の詳細は未定ですが、たぶんクリスマスネタです このシリーズめっちゃ好き
なにより雰囲気が良い
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