えみつん「東京ドームでライブをしたければ……」あんちゃん「野球で勝負!?」 ★2
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>>86
わかんないよー?これから逆転劇で大活躍するかもよー?
ここまでうまいこと一人一人に見せ場作ってるし あんじゅとあいにゃが活躍してる感じ、本当に精神的に支える2人って感じする あんじゅ リーダー
ありさ サブリーダー
あいにゃ 皆の心の支え
って感じがする 間に合わなかったか…
しかし最後まで追い続けるし、作者ももし今日のライブ見てたらモチベ失わずに頑張ってほしい ひなひな『9回表、ワンナウト満塁のピンチを迎えたAqoursでしたが――』
ひなひな『ここで再び登板したエース・伊波が、3番・三森、4番・新田を連続三振に切って取る、素晴らしいピッチングを魅せました!!』
ひなひな『最後は、低い位置から天に伸びるかのような、浮き上がるストレート!!』
ひなひな『ピンチを脱し、9回裏、最後の攻撃に望みを託します!!』
ワアアアアッ!!
えみつん(あんちゃん……)
フッ…
えみつん(……流石だね)
えみつん(まだ、火は……消えてない、ってことか)
りきゃこ(やった……!)
りきゃこ(すごい、あんちゃん……!)
あんちゃん「はぁ……ぜぇ」フラッ…
ガクッ
ひなひな『伊波、膝をついた!! 大丈夫でしょうか!?』
ザワザワ…! りきゃこ「あんちゃん!!」
ダダッ!
しゅか「大丈夫!?」
あんちゃん「あ、ご、ごめん……ちょっと、力、抜けちゃっただけ……」
ひなひな『逢田、斉藤が駆け寄り……なんとか、立ち上がりましたが……』
あさみん『………』
あさみん『……伊波投手の球数は、140球を超えています』
あさみん『体力も、もうほとんど残っていなかったのでしょう。気力、気迫だけで、その体を支えていた』
あさみん『その状態で、新たなフォームから、限界を越えた渾身の球を投げ――』
あさみん『結果、打ち取った瞬間に、力が抜けてしまったのでしょう』
ひなひな『正に、魂のピッチングだった訳ですね……』
あさみん(しかし、その結果……) ふりりん「あんちゃん、すごいよ!」
ありしゃ「ありがと……あんちゃん」
あいにゃ「あんちゃん……うぅ……」
すわわ「もー、あいな、泣かないの」
あんちゃん「大丈夫……さ、行こ……」
あんちゃん「最後の……攻撃……」
ザッ…ザッ…
ひなひな『ナインと共に、ベンチへと戻っていく伊波に、スタンドからは拍手が起こっています!』
ワアアアアッ!!
ガンバッタゾォォォ!!
パチパチパチッ
あさみん(……今の、あんちゃんのピッチングで、μ's一色だったスタンドの空気が、僅かに傾いた)
あさみん(これが……大きな“うねり”の、きっかけになってくれれば……)
ひなひな『規定により、今試合は9回までで、延長はありません!!』
ひなひな『9回裏――Aqours、正真正銘、最後の攻撃を迎えます!!』 〜ここまでのおさらい〜
┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳
┃ ┃1 ┃2 ┃3 ┃4 ┃5 ┃6 ┃7 ┃8 ┃9 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃μ┃3 ┃0 ┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃9 ┃0 ┃
┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋
┃A ┃0 ┃0 ┃0 ┃1 ┃0 ┃3 ┃0 ┃0 ┃ ┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻
μ'sバッテリー:内田、新田 ― 新田、三森
Aqoursバッテリー:伊波、小宮、伊波 ― 逢田 【μ's】
1左 久保
2二 徳井
3捕 三森
4投 新田
5右 内田
6中 飯田
7遊 Pile
8一 南條
9三 楠田
【Aqours】
1遊 斉藤
2二 降幡
3投 伊波
4中 小宮
5三 高槻
6捕 逢田
7右 諏訪
8左 小林
9一 鈴木 【9回裏】
えみつん「………」
みもりん「……えみつん」
えみつん「ん?」
うっちー「……大丈夫?」
みもりん「その……さっきも、フルスイングしてたし……」
えみつん「………」
ニコッ
えみつん「大丈夫大丈夫! ありがと、心配しないで!」
えみつん「それに、まだ……あんちゃんは、諦めてない」
えみつん「だったら、私も――ちょっとはさ、先輩らしく」
えみつん「最後まで、全力でやろう――って、思うんだ!」
シカコ「……!」
そらまる「えみつん……」
ジョルノ「………」 ジョルノ「えみつん。ま、一応、年長者として言うけど……お前が言うな、って感じだけどさ……」
ジョルノ「無茶はしても……無理は、しないでよ」
えみつん「………」
ニコッ
えみつん「ありがとうございます」
えみつん「でも、南條さんこそ、ですよ」
ジョルノ「………」
りっぴー「……よーし、それじゃあ最後の守備、行こっ!」
ぱいちゃん「うん、えみつんも大丈夫そうだし!」
くっすん「ビシッと勝つぞー!」
えみつん「おー!! 頑張ろ、みんな!」
うっちー「………」
みもりん(えみつん……)
ひなひな『さあ、最後の守備につくμ's!!』
ひなひな『勝利に向けて! ナインが、グラウンドに散っていきます!!』
ワアアアアッ!!
ミューズゥゥゥ!! あんちゃん「………」
ハァ…フゥ
きんぐ「最後の……攻撃、か……」
きゃん「だけど……9点差……」
りきゃこ「……みんな、暗い顔しないで! 顔上げて!」
りきゃこ「せめて最後、少しでも反撃して、一糸報いて……!」
ふりりん「う……うん……」
あいにゃ「……ぐすっ……」
あんちゃん「………」
あんちゃん「みんな……覚えてる?」
ありしゃ「……え?」
あんちゃん「この試合の、最初に……円陣組んで、言ったこと」 あんちゃん「……いつも通り。困ったらお互いの目を見て」
あんちゃん「お互い助け合って……最高の試合をしよう」
すわわ「………」
あいにゃ「最高の……」
あんちゃん「相手が、μ'sでも……全力で、勝ちに行く、って」
しゅか「……!」
あんちゃん「私たち……まだ、途中だから」
あんちゃん「まだ、こんな所で……立ち止まって、られないよ」
りきゃこ「あんちゃん……」
あんちゃん「だけど……やることは、いつもと同じなんじゃないかな」
ありしゃ「同じ?」
あんちゃん「だって、私たち。ずっと、この9人で」
あんちゃん「困った時は、お互いの目を見て。何があっても、助け合って、ここまで来たじゃん!」
ニコッ…
あんちゃん「だから、きっと……今日も……」
あんちゃん「この9人でなら、大丈夫だって……思うから……!」
8人「………」
あんちゃん「行こう。最後の、攻撃……!」 『9回の裏――Aqoursの攻撃は』
『1番、ショート、斉藤』
シュカシュゥゥゥッ!!
ガンバレェェェッ!!
しゅか「よーし……!!」
ザッ
しゅか(なんとか。なんとか、塁に……!)
ひなひな『さあ9回裏、Aqours最後の攻撃は、打順よく1番の斉藤から!!』
ひなひな『なんとか出塁して、μ'sに一糸報いたいところ!!』 えみつん「………」
ザッ…
ひなひな『しかしこの回も、Aqoursの前に立ちふさがるのは、μ'sの絶対的リーダー、新田!!』
ひなひな『球種はストレートだけにもかかわらず、ここまでAqoursに、1本のヒットも許しておりません!!』
ひなひな『Aqours、この最強投手を相手に、活路を開くことは出来るのか!?』
ワアアアアッ!!
エミツゥゥゥン!!
しゅか(あんじゅが、頑張ってるんだ。私だって……!!)
しゅか(とにかく、当てなきゃ。当てなきゃ……!!) ザッ…!
ひなひな『新田、大きく振りかぶる!!』
グワッ…
シュバッ!!
しゅか「っ!!」
ブンッ!
ズバンッ!!
\ストライク!!/
ひなひな『初球空振り!! 球速は136キロを計測!!』
ひなひな『最終回に至っても、球威が衰える様子はありません、新田!!』
オオオオオッ!!
あさみん『……ただ速いだけの球ではありません。回転数が多い、いわゆる“ノビる球”です』
あさみん『バッターからは、まるでホップするかのような感覚に囚われていると思いますね』
ひなひな『正に、火の玉ストレート……おや?』
あんちゃん「………」 きゃん「え……あんちゃん?」
あいにゃ「しゅかの応援、しないの……?」
ひなひな『前の回に続き、この9回も――ひとりベンチを出て、バットを振ります、伊波』
ひなひな『打順的には、この後、回ってきますが……』
あさみん『………』
しゅか(くっそ。まっすぐだけなのに。まるで、浮き上がってくるみたいな……)
しゅか(よく見るんだ。しっかり……よく見て……!!)
ザッ
ひなひな『新田、第2球!!』
シュバッ!!
しゅか「ああああっ!!」
ガキィッ!! えみつん「!」
ひなひな『ファ……ファール!!』
ひなひな『しかし、初めてバットに新田の球を当てました、斉藤!!』
オオオオオッ!!
あいにゃ「しゅかー!!」
ふりりん「がんばれー!!」
しゅか「ぐっ……!」
ビリビリ…
しゅか(なんて、重い球……!)
しゅか(だけど……当てられた。当てられるんだ……!)
しゅか(もう、後が無い。後が無いんだ。私が出なきゃ、私が……!!)
みもりん(……当ててきたね)
みもりん(だけど……)
えみつん「………」
ザッ! シュバッ!!
しゅか「っ!!」
ブンッ!
ズバァンッ!!
\ストライッ!! バッターアウッ!!/
ひなひな『最後は138キロの直球!! 斉藤のバット、あえなく空(くう)を切りました!!』
ひなひな『新田、これで10連続三振!! 後が無いAqours、9回裏、ワンナウト!!』
アアアアァ…
しゅか「く……う、う……!!」
しゅか(もう、後が無いのに……もう、おしまいなのに……!!)
しゅか「ちっ……くしょおおおおっ!!!」
ガッ!
あいにゃ「しゅか……」ウルッ
きゃん「しゅかでも……無理、なんて……」
りきゃこ「……もう……」
あんちゃん「………」 『2番、セカンド、降幡』
フリリィィン!!
ガンバッテェェェ!!
しゅか「あいあい……!!」
あいにゃ「頑張れぇー!!」
ふりりん「………」
カタ…カタ…
ふりりん(もう、後が無い……ワンナウト……!)
ふりりん(あたしが出なきゃ、ツーアウト……なんとかしなきゃ、なんとか……!)
ひなひな『ワンナウト、ランナー無しで、2番の降幡! しかし……』
あさみん『表情が……硬いですね。追い詰められている、プレッシャーか……』 ザッ…
シュバッ!!
ふりりん「ひぅっ……!!」
ズバンッ!!
\ストライク!!/
ひなひな『あっさり初球決まって、ワンストライク!!』
あさみん『諦めずに、しっかりボールを見て欲しいところですが……!』
えみつん「………」
パシッ
ふりりん(えみつんさん……)
ふりりん(アニメで、共演した時……ライブに、行かせてもらった時……)
ふりりん(あんなに、優しかったのに。大好きなのに……)
ガタ…ガタ…
ふりりん(なんで……? 今は、怖い……!!) あいにゃ「ああ……あいあい……」
すわわ「………」
ギリッ…
すわわ(本当に、もうおしまいなの……!?)
すわわ(何か無いの、何か……!? 攻略の、糸口……!!)
ザッ…
シュバッ!!
ふりりん「……っ!!」
ブンッ!
ズバンッ!!
\ストライク!!/
ひなひな『ああー、今度はとんでもないボール球を振ってしまった!!』
しゅか「あいあいー!! ちゃんと見ろー!!」 ふりりん「はぁっ、はぁ……!!」
ふりりん(駄目だ……当てられる、気がしない……!!)
えみつん「………」
パシッ
ふりりん(もう……終わり、なの……? 東京ドームに立つ、っていう夢を、叶えられずに……)
ふりりん(ルビィも……ドームに、立たせてあげられないまま……)
ギリ…
ふりりん(やだ……そんなの、やだ……!)
ふりりん(なんとかしなきゃ。なんとか……!)
ひなひな『ツーストライクと追い込んだ、3球目!!』
シュバッ!!
ふりりん「――!!」
スッ!
えみつん「!」
みもりん(バントの構え――!)
ガキッ!! ひなひな『降幡、バントで当てにいった!!』
ひなひな『しかしこれは、ふらふらと、マウンド寄りに上がってしまった!!』
みもりん「――!」
ダッ!
パシッ!
\アウトォ!!/
ひなひな『咄嗟に飛び出した三森、捕りました!! アウトォ!!』
アアアアァァ…
あさみん『……?』
あさみん(……今の……)
すわわ「――?」
ピクッ
ありしゃ「すわわ……?」
すわわ(今の……キャッチャーフライになったけど……)
すわわ(位置的には、ちょっと微妙……ピッチャーが、向かっても良かった……)
すわわ(だけど……今)
すわわ(新田さんは……全く、動く気配が、無かったような……?) ひなひな『降幡、決死のバントで当てにいき、新田の連続奪三振は阻止したものの……』
ひなひな『球威に押され、打球はフライとなり、あえなくアウトとなりました……』
ふりりん「うっ……ぐすっ」
ふりりん「ううっ……! ふえぇぇぇ……!!」
ポロポロ
ふりりん(駄目だ……役に、立てなかった……!)
ふりりん(もう……もう……!!)
しゅか「あいあい……」
あいにゃ「うっ……ううう……!」グスッ
きんぐ「やっぱり……もう、無理だ……」
りきゃこ「……っ!」ググッ…
ありしゃ「………」
ひなひな『9回裏、ツーアウト、ランナー無し!! 点差は9点!!』
ひなひな『Aqours……ついにっ……ついに、追い詰められました!!』 あんちゃん「………」
ザッ…
ひなひな『……っと。ここで、斉藤・降幡の打席中も、ずっとバットを振っていた伊波が……』
ひなひな『ベンチを横切り……バッターボックスに向かって……』
あんちゃん「………」
あんちゃん「……わかった……上……」
ボソ…ボソ…
あんちゃん「たぶん……“ボール、2個分”……」
ブツ…ブツ…
りきゃこ「………!?」
しゅか「あ……あんじゅ……?」
ありしゃ「………」 みもりん「えみつん、ナイスボール!!」
みもりん「あとひとり!!」
えみつん「………」
くっすん「えみつん、いいぞー!!」
そらまる「最後まで落ち着いてけー!!」
りっぴー「ラストも三振狙ってこー!!」
うっちー「えみつん……」
ワアアアアッ!!
ミューズッ!! ミューズッ!!
ひなひな『勝利を目前にし、盛り上がる一塁側、μ'sの応援席!!』
ひなひな『それとは対照的に――Aqoursの応援席。すっかり、静まり返り……』
あさみん『………』 ありしゃ「ツーアウト……」
あいにゃ「ランナー……なし……」
きんぐ「駄目だ……やっぱり……無理だったんだよ……」
りきゃこ「もう……叶わないの……?」
しゅか「ドームに、立つっていう夢も……その先も……!!」
すわわ「もう……」
ふりりん「ぐすっ……ふえぇぇ……!!」
きゃん「うっ……ひぐっ」
ポロポロ…
きゃん「ああ……もう……終わっちゃうよぉ……!」
あんちゃん「………」
あんちゃん「――終わんないよ」
ザッ
あんちゃん「――始まりだよ!」
『3番、ピッチャー、伊波』 ワアアアアッ!!
アンチャァァン!!
ガンバレェェェッ!!
ひなひな『さあ、ツーアウトランナー無しとなって――』
ひなひな『この場面で打席に入るのは、Aqoursのエースにしてリーダー、伊波!!』
えみつん「………」
ひなひな『ここまで幾度となく相まみえてきた、新田と伊波、リーダーとしての対決!!』
ひなひな『ここでまた、この両者の対決となるのは、運命的なものを感じずにはいられません!!』
ひなひな『果たして伊波、最後の打者となるのか!? はたまた、最後まで足掻くのか!?』
あんちゃん「………」
きゃん「………!」
りきゃこ「あんちゃん……」 えみつん(あんちゃん……)
えみつん(残酷な先輩だと、思うかもしれない)
ザッ…
えみつん(だけど――あんちゃんが、全力で向かってきて、くれるなら)
グワッ…!
えみつん(私も、先輩として。最後まで――)
えみつん(全力で――臨む!!)
シュバッ!!
あんちゃん「――!!」
ブンッ!!
ズバァンッ!!
\ストライク!!/ ひなひな『伊波、初球、空振り!! ワンストライク!!』
アアアアァ…
きゃん「ああああ……」
あいにゃ「あんちゃんでも……駄目、なの……?」
すわわ「………」
すわわ「……でも」
すわわ(今の……タイミング、合ってた……?)
あんちゃん「ふぅー……」
キッ…
あんちゃん(もっと……上……)
あんちゃん(ボール……2個分……もっと……?)
ブツブツ… みもりん(タイミングは……合ってる)
みもりん(ちょっと、やな感じ……ここは、間を置かずに。早めにカウント、取りにいこう)
えみつん(おっけー、すず……!)
ザッ
グワッ…!
ひなひな『新田、体を大きくひねり、第2球!!』
シュバッ!!
あんちゃん「!!」
ブンッ!!
ズバンッ!!
\ストライク!!/ ひなひな『伊波、これも空振り!! ツーストライク!!』
ひなひな『いよいよ、後がありません!!』
あさみん(だけど……)
あさみん(タイミングは、合ってる……!)
あんちゃん「ふぅ……はぁ……!」
ブツ…ブツ…
あんちゃん(ボール2個半でも……駄目だった)
あんちゃん(だったら……)
グッ…
あんちゃん(――“3個分”) ワアアアアッ!!
アットヒットリッ!! アットヒットリッ!!
ひなひな『μ's側応援席からは、盛大な“あとひとり”コールの大合唱!!』
ひなひな『ツーストライクと追い詰められた伊波!! 次が最後の一球となるのか!?』
しゅか「もう……」
りきゃこ「駄目なの……!?」
あいにゃ「あんちゃん……!!」
ギュッ
あんちゃん「………」
あさみん『……!!』ハッ
あさみん(さっきまで、ずっと素振りをしていた、あんちゃん)
あさみん(あれは、単なる素振りじゃなくて……)
あさみん(新田さんの投球に合わせて、バットを振って)
あさみん(ヒッティングの、タイミングを……合わせていたんだとしたら……!?) あんちゃん(私は……千歌から。そして、現実の、Aqoursのみんなから)
あんちゃん(教えてもらった。“奇跡”は、勝手に起こるものじゃない)
あんちゃん(みんなで――起こす、ものなんだって)
ザッ!
グワッ…!
ひなひな『新田、運命の、第3球!!』
あんちゃん(私が――諦めたら。きっと千歌に、もう――向き合えない)
あんちゃん(だから――)
シュバッ!! あんちゃん(起こそう、奇跡を)
あんちゃん(足掻こう、精一杯――!)
グッ!
あんちゃん(全身全霊――)
ブンッ
あんちゃん(最後の、最後まで!!)
カキィッ!!
続く
ドーム公演までに完結できず申し訳ありません
4thの後しばらく抜け殻になってましたが完結できるよう最後まで頑張ります 乙乙
ご自分のペースで
無茶はしても無理はなさらず、で 終わんないよ…。始まりだよ!ってメルパルクで初お披露目の最後の時のあんちゃんの台詞だよな。
熱いな! えみつん「!」
みもりん「!!」
あさみん『!!』
ひなひな『弾き返した!! 新田の足許、抜ける!!』
オオオオオッ!
ぱいちゃん「くっ!!」
ダッ!
ひなひな『ショートPile、飛びついて――』
あんちゃん(抜けろっ……!!)
ダダダダッ
あんちゃん(抜けろ!!) ぱいちゃん「くあっ!!」
バッ!
ビシッ
ひなひな『Pile、弾いた!! 抜けたぁ!!』
ワアアッ!!
あんちゃん「――!!」
ダダッ!
ひなひな『伊波の執念の一打ぁー!!』
ひなひな『弾き返した打球! 好手Pileが懸命に飛びついてグラブを伸ばしたものの、あと一歩届きませんでした!!』
ひなひな『Aqours、剛腕・新田から、ついに初ヒット!! 最後の最後で、一糸報いました!! ツーアウト一塁!!』
オオオオオッ!!
しゅか「やったー!! あんじゅー!!」
あいにゃ「あんちゃん……!!」
あんちゃん「………」
ハァハァ
あんちゃん「……っ」
グッ! あさみん『――伊波選手は先程まで、味方の攻撃の際に、ひたすら素振りをしていました』
あさみん『ですが、ただがむしゃらにバットを振っていた訳ではありません』
あさみん『おそらく、マウンド上の新田投手が投げるのと同時に素振りをし、あらかじめタイミングを測っていたのではないでしょうか』
ひなひな『味方が攻撃している間も、ずっとバットを振っていたのは、そのため……!』
あさみん『結果、バットはボールをとらえることが出来た』
あさみん『当たりは決して良くなかったものの、前に弾き返す意識で、センターに抜けていきました』
あさみん『正に、気持ちで持って行った一打――あんちゃんの執念、とも言えるかもしれません……!』 ぱいちゃん「あーん、捕れなかった……えみつん、ごめーん!」
シュッ!
えみつん「へーきへーき! 大丈夫だよ、ぱいちゃん!」
パシッ
くっすん「たまたまだぞ、たまたまー!」
そらまる「次でビシっと抑えりゃOKよ!」
みもりん(当ててきた……)
みもりん(前の回までは、バットに当てることすら出来なかった。だけど、この回……)
みもりん(最初の子は、ファールで当てた。次の子は、バントフライ。そして、微妙な打球だったけど――ヒット)
みもりん(少しずつ……えみつんの球が、見えてきた……?) りきゃこ「あんちゃん、塁に出た……!」
きゃん「だけど、今さらひとり、ランナーが出たところで……」
しゅか「ちょっと、なに弱気なこと言ってんの!」
あいにゃ「次は……!!」
ありしゃ「………」
ムシャムシャ…
モグモグ…
あいにゃ「って、ありさ! なんでまだ、お菓子食べて……!」
すわわ「――待って、あいな」
グッ
すわわ(……ありさなりに、緊張してるのかもしれない)ボソッ
あいにゃ(……え?)
ありしゃ「………」
モグモグ…
ゴクン
ありしゃ「……よし……」
ザッ
『4番、センター、小宮』 ワアアアアッ!
ひなひな『さあ、続くバッターは四番の小宮!!』
ひなひな『Aqoursの中でも指折りの好打者!! 6回には、反撃の狼煙となる2点タイムリーツーベースを放っています!!』
ひなひな『9回裏、後が無いこの状況の中で、伊波に続くことが出来るか!?』
ありしゃ「………」
ザッザッ…
あいにゃ「ありさー、頑張ってー!!」
すわわ「だけど……」
すわわ(あんな、余裕の無さそうなありさの表情……初めて、見たかも……)
ありしゃ「……!」
フルフル…
ありしゃ(バットを持つ手が……震えてる……?)
ありしゃ(プレッシャー……怖い、の……? 私は……) \プレイ!/
ありしゃ「………っ」
ありしゃ(打たなきゃ……終わる……)
ありしゃ(ドームの夢も、何もかも……)
ドクンドクン…
えみつん「………」
ありしゃ(えみつん、さん……)
ザッ…
シュバッ!
ありしゃ「!!」
ブンッ!!
ズバンッ!!
\ストライク!!/ ありしゃ「くっ……!!」
ひなひな『小宮、初球は空振り!! バットはボールの下を泳ぎました!!』
ひなひな『いかに小宮といえど、新田の剛球の前では通用しないのか!?』
あいにゃ「あああ……!」
りきゃこ「ありさ……」
きんぐ(やっぱり……)
グッ…
きんぐ(頑張ったところで……もう……)
ありしゃ「ふぅ、はぁ……」
チラッ…
えみつん「………」
パシッ
ありしゃ(えみつんさん……そして、μ's……)
ありしゃ(なんて、大きい……) ありしゃ(………)
ありしゃ(……あの日。μ'sのライブを、東京ドームで、目にした時)
ありしゃ(足が震えるほどの、衝撃だった)
ありしゃ(私たちが、あの人たちと同じように、この場所に立てるのか)
ありしゃ(あの人たちのように、大きくなれるのか――怖ささえ、感じた)
ありしゃ(今――あの時と、同じ気持ちになるなんて――)
グッ…
ありしゃ(やっぱり……無理だったの? 私たちには……)
あんちゃん「………」
えみつん「」
ザッ…
ひなひな『新田、小宮に対し、第2球!!』 あんちゃん「っ!!」
ダッ!!
えみつん「!!」
みもりん(走った!?)
ひなひな『伊波、走ったぁ!!』
ウオオオオッ!?
ありしゃ「!!」
バシィッ!!
\ボール!!/
みもりん「このっ!!」
シュッ! あんちゃん「ぜっ、はっ!!」
ダダダダッ
あんちゃん「うああああっ!!」
ズザザザッ!!
バシィ!!
\セーフ!!/
ウオオオオッ!!
ひなひな『セェェーフ!! 盗塁成功!!』
ひなひな『外れた球、すかさず三森が二塁手の徳井に送りましたが、伊波の足が一瞬勝った!!』
ひなひな『伊波、決死の爆走で、二塁を陥れました!! これでツーアウト二塁!!』
あさみん『これはバッテリーも予想していなかったでしょう。一瞬の隙を突いた、あんちゃんの好判断です!!』 みもりん(まさか、この状況で走ってくるなんて……)
えみつん(しかも……ピッチャーで、もう体力もほとんど無いはずの、あんちゃんが)
えみつん(まだ……信じてるんだね。Aqoursを……みんなを)
あんちゃん「ぜぇっ、はぁ……!!」
しゅか「うおー、あんじゅー!!」
ふりりん「あんちゃん……!」
きんぐ「……!!」
ググッ…
きんぐ(なんでよ……なんで、そんなになってまで……!)
きんぐ(まだ……勝てると、思ってるの……!?)
ギリ…
きんぐ(馬鹿じゃん……そんなの……!)
ありしゃ「………」
ありしゃ(あんちゃん……) あんちゃん「………」
ゼェハァ…
あんちゃん「――ありさちゃん!!」
ありしゃ「――!?」
あんちゃん「“みっつ”、だよっ!!」
バッ!
あんちゃん「……へへっ」
ニッ…
ひなひな『これは……? 二塁塁上、伊波が、小宮に向けて、ピースサイン……?』
あさみん『いえ――ピースではないですね。指を3本、立てています』
あさみん『これは……!』
ありしゃ「……!!」
すわわ「――そうか」
ハッ
すわわ「“ボール3個分、上”……!!」 あいにゃ「ボール3個分?」
すわわ「うん。あんちゃん、打席に入る前、何かブツブツ言ってたでしょ?」
きゃん「“上”とか、“ボール2個分”とかってやつ?」
すわわ「あれは、バットの上――“ボール何個分か上の位置を打つイメージで振る”、って意味だったんだよ」
すわわ「そして、あんちゃんが打席の中で、見つけた本当のイメージの位置は――」
すわわ「バットより――“ボール3個分、上”」
あさみん『新田さんの直球が、いわゆる“ノビるストレート”であることは、前述の通りです』
あさみん『よく、“打者の手元で浮き上がる”“ホップする”と言いますが、実際はオーバースローで投げたボールが浮き上がることはありません』
ひなひな『そうなんですか? なら、どうして……』
あさみん『“ノビるストレート”は、通常の直球に比べて、強烈なバックスピンがかかっています』
あさみん『そうすると、ボールに揚力が働き、通常の直球よりも、投げられてからホームベースに届くまでの、落ちる幅が小さくなる』
あさみん『普通の直球の軌道に慣れている打者から見ると、バックスピンがかかった直球は、想定の軌道よりも上の位置を通るため……』
あさみん『まるで浮き上がっているように見え、バットはボールの下を振ってしまう、という訳です』 すわわ「これを攻略するためには、バットをスイングする位置を、通常の直球よりも上でイメージして振ること――」
きゃん「そっか! それが、ボール3個分上、ってことなんだ!」
あいにゃ「おーい、ありさー!! ボール3個分、上振ってー!!」
あんちゃん(ありさちゃんは、私たちの中の誰よりも、スイングスピードが速い)
あんちゃん(だから、しっかり引きつけて。しっかりボール見て、狙いを定めて!)
あんちゃん(ありさちゃんなら――きっと、大丈夫!)
ありしゃ(あんちゃん……)
フッ みもりん(つかんできた――みたいだね)
みもりん(だけど――!)
えみつん「」
ザッ…
シュバッ!
ありしゃ「……!」
ピクッ
ズバン!
\ボール!!/
ひなひな『小宮、冷静に見極めて、ボール!!』
あさみん『小宮選手は、スイングスピードに自信がある分、ギリギリまで待ってボールを見極められるんです』
あさみん『伊波選手の一言で、落ち着きました。見えてますよ、小宮選手は……!!』 ありしゃ(あんちゃんは――自分のことを、頼りないリーダーだ、ってよく言ってるけど)
ありしゃ(それでもね。やっぱり、私たちのリーダーは、あんちゃんだよ)
ありしゃ(だって――)
ありしゃ(こうして、他の誰かを、自然と勇気づけてくれるもの)
ありしゃ(そして――)
えみつん「………」
パシッ
ありしゃ(――えみつんさん)
ありしゃ(覚えてますか? 初めて、会った時のこと) ありしゃ(一緒の舞台に立って、楽屋で色々お話して)
ありしゃ(その時に、ラブライブっていう、私の知らない世界があることを知った)
ありしゃ(挑戦したくなった。未知のステージの中で、自分がどこまで行けるのか)
ありしゃ(貴方のお陰で――私は、こんなにも素晴らしい世界を、知ることが出来たんです)
グッ…
ありしゃ(だから――その、お礼に)
ありしゃ(貴方に―― 一糸、報いたい)
えみつん(ありちゃん……)
ニッ… ありしゃ(そうだ。ドームで、μ'sのライブを見た時も――そう)
ありしゃ(衝撃を受けて、怖さすら感じた。だけど――それだけじゃなかった)
ありしゃ(いつか、私たちも、こんな舞台に立ってみたい。諦めたくない。挑みたい!!)
ありしゃ(そうだった。挑戦する心――それこそが、私。それこそが――Aqours)
えみつん「」
ザッ…
シュバッ!! ありしゃ(それに――)
グッ
ありしゃ(私は――ダイヤなんだから)
ありしゃ(誰よりも、スクールアイドルを愛する女の子)
ありしゃ(そんな、私が。ダイヤが。諦めるのは――)
ブンッ
カッ!!
ありしゃ(――ぶっぶー、ですわ!!) キィンッ!!
みもりん「!!」
ひなひな『打っ、』
ガッ!!
ひなひな『ああっ、三塁ベースに当たった!!』
ひなひな『鋭い打球、ベースに当たり、高くバウンドする!!』
オオオオオッ!?
シカコ「なろっ!!」
ダダダッ!
パシッ!!
ひなひな『ああっと、素早くバックアップに飛び出していたレフトの久保!!』
ひなひな『転々と転がろうとするボールを止め、長打は阻止!!』
ひなひな『二塁ランナーの伊波は、三塁ストップ!!』
あんちゃん「……!!」
タタッ ひなひな『しかし小宮、新田の直球をとらえました!! 伊波に続き、ツーアウトからの連打!!』
あさみん『しっかり引きつけて、ボールをとらえ――非常に速い打球でしたね!』
あさみん『小宮選手らしさを発揮したバッティングと言えますよ!!』
ワアアアアッ!!
あんちゃん(やったね、ありさちゃん……!)
ハァ…フゥ
ありしゃ(えみつんさん……)
グッ…!
ありしゃ(貴方から教わった、この世界)
ありしゃ(私たちは、まだ――止まりたくない!) きんぐ「……!」
きんぐ(あんちゃんだけじゃなく……ありさまで……!)
きんぐ(本気……なの……!?)
しゅか「ありさー!! ナイスー!!」
あいにゃ「そうよ、まだまだ……!!」
りきゃこ「次は……!!」
ひなひな『崖っぷちから、執念の連打で、粘るAqours!!』
ひなひな『ツーアウト、ランナーは一・三塁!! 全ては、このバッターにかかっています!!』
ひなひな『続く、バッターは――』
『5番、サード、高槻』
ワアアアアッ!!
きんぐ「………!!」
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