えみつん「東京ドームでライブをしたければ……」あんちゃん「野球で勝負!?」 ★2
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今度はシンクロ打法か
引き出しの多さもすごいけどそれをキャストのエピソードに上手く絡ませてるのもすごい 野球についてよく知ってるなあと感心するけど
物語的には消化試合感が半端ないな
どっちが勝つかわからない感じがよかったのに 終盤まで熱い展開でいいな
キャストエピソードはあんまり知らないけど、違和感なく読めてる えみつん前に腰やっちゃってるからなぁ
諏訪さん件は元ネタあるのかな? きんちゃんやすわわのモノローグはG'sのインタビューが元ネタっぽい? 乙、ホント野球とラブライブ両方にめちゃ詳しいな
草野球で良くある死球よけてバットに当ってるパターンなら良いが… りきゃこがドームで9人版想ひと歌いたいって所やきんちゃんが夢は口に出せば実現できるって言う所とか
何気に4thのネタも入ってるのは流石と思う 右翼「(レーザービームしたとこで来年の査定上がるわけないし」 りきゃこ「っ!!」
りきゃこ(思わず――息を呑んだ)
りきゃこ(新田さんの投げた球が――)
りきゃこ(すわわの、頭に直撃して)
りきゃこ(ヘルメットが、弾き飛んで)
りきゃこ(そのまま、すわわの体が、前のめりに倒れて――)
すわわ「――…」
バタンッ
りきゃこ「すわわ!!!」
あさみん『……!!』
ひなひな『に、新田の投げた球が、諏訪の頭に直撃!!』
ひなひな『倒れこんだ諏訪、大丈夫でしょうか!?』
ワアアアアッ!!
あいにゃ「すわわぁ!!!」
ズキッ!
あいにゃ「いっ!!」
きんぐ「ちょ、あいな! 足痛めてるんだから、飛び出したら……!!」
あいにゃ「でも、すわわが、すわわが!!」 えみつん「しまっ……!!」
ダッ!
えみつん「っ!!」
ガクッ!
くっすん「えみつん!」
みもりん(まずっ……!! えみつん、力みすぎて、球がすっぽ抜けた……!!)
みもりん「だ、大丈夫!?」
あんちゃん「すわわぁぁぁぁ!!」
ダダダッ!
すわわ「………」
すわわ「……っ……」
ムクッ…
あんちゃん「ああぁーー……あ?」 すわわ「……つぅ……」
あんちゃん「すわわ!!」
ありしゃ「大丈夫なの!?」
すわわ「……ぁぁ……あんちゃん……ありさ……」
すわわ「……ん……だいじょう、ぶ……」
フラッ
ありしゃ「って、大丈夫じゃないでしょ!」
あんちゃん「無理しないで! つかまって……!」
すわわ「……ん……ごめん……」
ありしゃ「とりあえず、一旦ベンチに……!」
えみつん「――ななかちゃん!」
すわわ「……!」
あんちゃん「えみつんさん……」
えみつん「――ごめん!! ごめんなさい!!」
バッ あんちゃん(えみつんさんは、すわわの目の前で――深々と、頭を下げた)
えみつん「ほんとにごめんなさい! 謝って済む問題じゃないけれど――」
えみつん「だけど――!」
すわわ「………」ハァハァ
すわわ「……頭を上げてください。新田さん」
すわわ「試合……勝負……なんですから。こういうこともあります」
すわわ「誰のせいでも、ないですし……全然、大丈夫です……」
ありしゃ「すわわ……」
すわわ「最後まで……」
すわわ「……やりましょう」
えみつん「……!!」
あんちゃん「……ほら、すわわ、つかまって……」
ザッ…ザッ…
ひなひな『諏訪、伊波と小宮に抱えられ、一旦ベンチに退きます!』
あさみん『大事に至らなければいいですが……』
ザワザワ…
えみつん「………」
みもりん(強い……子、だね)
みもりん(見た目に、よらず……) しゅか「はい、すわわ、冷たいタオル!」
ふりりん「頭に当てて! とりあえず、横になって!」
すわわ「……ん……ありがと……ちびーず」
あいにゃ「すわわぁ……!」オロオロ
すわわ「……あいな……大丈夫、だよ」
すわわ「……それよりも」
キッ…
すわわ「みんなに……伝えときたいことが、あるの」
きんぐ「……え?」
きゃん「伝えときたい……こと?」
すわわ「ずっと……考えてた。新田さんを、どうやって、攻略したらいいか……」
すわわ「それで……気づいたことが、2つ……ある」
あんちゃん「……!!」 すわわ「まず……ひとつ目」
すわわ「9回に入って、新田さんは……ストライクの球とボールの球が、はっきり分かれてきた」
すわわ「前から、コントロールにばらつきはあったけど……疲れが出てきたのか……」
ありしゃ「……確かに。前までは、逆にばらつきがあったからこそ、球を絞りにくかったけど……」
すわわ「この回、ボールのコースは、ボールとして、はっきりしてる」
すわわ「スピードに惑わされずに……しっかり、球を見て、ストライクゾーンに甘く入ってきた球を叩けば……」
しゅか「そういうの、なんていうんだっけ? えーと、こーきゅー……」
ふりりん「……好球必打?」
しゅか「そう、それ!」
すわわ「……ん。その通り」
すわわ「そして、もうひとつ……」
スッ…
すわわ「新田さんは――」
すわわ「ベストコンディションじゃない」
あんちゃん「え……!?」 きんぐ「新田さんが、ベストコンディションじゃない……!?」
しゅか「いやいや!! この回、球が甘くなってきたのは、流石に疲れが出てきただけでしょ!?」
きゃん「バッティングでも、ホームランや長打をかっとばしてて……何より、世界一の速さのストレートまで投げてくるのに……!!」
すわわ「いや……たぶん、間違いないと思う」
すわわ「おかしいと思ってた。あれだけ、圧巻のピッチングが出来るのに、なぜμ'sは新田さんを先発にしなかったのか」
すわわ「内田さんから新田さんへ繋ぐリレーを想定していたとしても、おかしいことがある」
すわわ「内田さんは……腕が限界に達して、打ち込まれても……」
すわわ「1イニングでも長く、投げようとしていたように見えた……」
すわわ「まるで……新田さんを、なるべく投げさせたくない、みたいに……」
ありしゃ「……!」 すわわ「そして――新田さんの、フィールディング」
すわわ「あいあいが、ピッチャー寄りにバントフライを上げた時――飛び出してきたのは、キャッチャーの三森さんで、新田さんは動かなかった」
すわわ「かなこが、ゴロを転がした時も――ショートが出てきたけど、やっぱり新田さんは動かなかった」
すわわ「そして、この打席……バントの構えをした時に、動いたのは……セカンドと、サードで」
すわわ「新田さんは、動かなかった……」
ふりりん「確かに……そういう時は、普通ピッチャーも動くよね」
すわわ「結論。新田さんは、“動かなかった”んじゃない」
すわわ「体の、どこかに不調をきたしているために……」
すわわ「……“動けなかった”」
あんちゃん「――!!」ハッ ひなひな『さて、ベンチに退いた諏訪を待つ間、μ's内野陣、マウンド上に集まります』
えみつん「………」
ぱいちゃん「気にしないで……って言う方が、無理かもしれないけど。えみつんだし」
みもりん「そうだね。だけど、あの子の言ってた通り。これは試合、真剣勝負なんだし」
みもりん「次からは注意しつつも、切り替えていこう」
えみつん「うん……みんな、ごめん。ありがとう」
そらまる「だけど……さ。さっきえみつん、飛び出そうとして……転びかけたよね」
くっすん「……痛いの? えみつん……」
えみつん「………」
ジョルノ「………」
ジョルノ「勘付かれた……かもね」
えみつん「……!」 あんちゃん「そういえば……えみつんさん……」
あんちゃん「前に……腰を痛めたことが、あったって……」
ありしゃ「……!」
すわわ「そう。たぶん、それだと思う」
すわわ「完全に、完治はしていなかった。そして徐々に、その腰の故障の影響が、出てきているんだとしたら……」
きゃん「フィールディングが、出来なかったのも……!」
すわわ「本当は、ピッチングをするので精一杯だった。だから、周りの守備陣が、カバーしていた」
ふりりん「そんな……!」
すわわ「まず、キャッチャーというポジション自体が、腰に大きな負担を強いる」
すわわ「そして、ピッチャーとしてのトルネード投法も、体に大きなひねりを加える分、腰にかかる負担は大きいはず……」
すわわ「もしかしたら、もう……体が、悲鳴を上げてる中……新田さんは、投げてるのかもしれない」
あいにゃ「……!」
しゅか「嘘でしょ……」 きゃん「なんで……」
きゃん「なんで、そこまでして……投げ続けてるの……?」
すわわ「………」
きんぐ「………」
きんぐ「……だけどさ。これって、チャンスじゃん」
あいにゃ「……え?」
きんぐ「新田さんの腰は、万全じゃない。だから球も甘くなってきてるし、きっと球威も落ちてくる」
きんぐ「だったら、まだ打ち崩せるチャンスはあるってことじゃん」
ふりりん「ちょ……!」
ふりりん「ちょっと待てよ!! ボロボロのえみつんさんに対して、チャンスとか、打ち崩すとか……!!」
きんぐ「……だって!!」
きんぐ「新田さんは……そこまでして!! 私たちに、全力で、向かってきてくれてるんだよ!!」
ふりりん「!!」
きんぐ「だったら……私たちだって、全力で挑むのが……!!」
きんぐ「礼儀って、もんでしょ!!」
あんちゃん「――!!」
ふりりん「かなこ……」 ありしゃ「……そうだね」
ありしゃ「えみつんさんなら……いつも、全力だから」
ありしゃ「私たちが、たとえ手を抜いたところで……喜ばないと思う」
あんちゃん(………)
あんちゃん(えみつんさん……)
すわわ「……そう。かなこや、ありさの言う通り」
すわわ「これは……チャンスだから」
ムクッ…
きゃん「ちょっと、おすわ!?」
あいにゃ「大丈夫なの!? 動いて……!!」
すわわ「……ん。大丈夫。新田さんだって、頑張ってるんだし……」
すわわ「それに……私。運動苦手で、全然、役に立ててないけど……」
すわわ「……勝ちたい、から」
あいにゃ「!!」
あいにゃ「すわわ……」
すわわ「……じゃ」
ザッ…
すわわ「一塁……行って、くるね……」
ザッ…ザッ… ありしゃ「………」
ありしゃ「……私たちの中で、一番選球眼のいい、すわわなら」
ありしゃ「さっきの球も……本当は、避けられたんじゃないの?」
すわわ「………」
ピタッ
あんちゃん「!!」
あいにゃ「それって……!!」
ありしゃ「すわわ……出塁、するために……次に、つなぐために……」
ありしゃ「まさか……わざと……」
すわわ「………」
すわわ「……別に。避けるのが、下手なだけだよ」
ザッ…ザッ…
しゅか「……無茶するなあ……」
あんちゃん「すわわ……!」
グッ ひなひな『今、諏訪がベンチから出て、一塁に向かいます!!』
あさみん『大事には至らなかったようですが……無茶は、しないでほしいですね』
ワアアアアアッ!!
パチパチパチッ!!
ぱいちゃん「出てきた……!」
ジョルノ「たぶん、避けられたのに。あの子もなかなか、根性あるね」
みもりん「……えみつん」
みもりん「腰のことは、たぶん相手にもバレた。えみつんの球威も、少しずつ、落ちてきてる」
みもりん「ここでもう一度、うっちーに代わってもらうことも……」
えみつん「………」
フゥ…ハァ
えみつん「ううん……彩は、私の代わりに、もうかなり無理しちゃったし……」
えみつん「これ以上投げたら……本当に、腕を壊しちゃう」
うっちー「………」
うっちー(えみつん……) えみつん「それに……あと、アウトひとつ」
えみつん「あんちゃんたちは……Aqoursのみんなは。あれだけ、劣勢に立たされても、諦めずに……全力で、向かってきてくれてる」
えみつん「だったら……私も、最後まで……全力で、臨みたい」
そらまる「えみつん……」
えみつん「でも……これは、私の、わがままだから」
えみつん「もし、みんなのうち、ひとりでも……駄目だって、思ったら」
えみつん「遠慮なく言って。そうしたら私、大人しく、マウンドを降りるから」
えみつん「だから……」
くっすん「――なに言ってんの!? えみつんが頑張りたいなら、応援するに決まってるじゃん!!」
えみつん「……え? くっすん……」
ぱいちゃん「そうだね。えみつんがいたからこそ、ここまで来れたんだし」
そらまる「最後は、リーダーにビシッと締めてもらわないと!」
ジョルノ「……全く。無理はすんなよー。おまいう、だけど」
みもりん「……えみつん。やっぱりえみつんは、ウチらのリーダーだから」
みもりん「みんな、えみつんのこと……最後まで、信じるし。支えるよ」
えみつん「……みんな……」 えみつん「みんな……ありがとう……」
そらまる「さあ、そうと決まれば! アウトひとつくらい、ちゃちゃっと取っちゃえよー!!」
ぱいちゃん「内野に来たボールは任せて!」
ジョルノ「さっさと終わらせて休もうぜー、おい」
くっすん「あとちょっとだよ、えみつん!」
みもりん「……行こう。最後まで、思いっきり!」
えみつん「……!」
えみつん「――うん!!」
ひなひな『集まっていた内野陣も、元のポジションに戻りました!』
ひなひな『勝利は目前!! 切り替えて、最後のアウトを取りに行きます、μ's!!』
ワアアアアッ
あさみん(おそらく、新田さんは、腰の故障が癒えていない……)
あさみん(それでもここまで、耐えてきたのは……流石と言うほか無い……!)
シカコ(ここまで来たら……最後まで、ついてくに決まってるじゃん。えみつん)
りっぴー(全く――ほんとに、馬鹿がつくほど、真面目で、一本気なんだから)
うっちー(でも、だからこそ……貴方は、μ'sの、リーダーなんだよね)
うっちー(……えみつん) ひなひな『ともあれ、7番諏訪はデッドボールで出塁!! まだ繋ぎます、まだ終わりません、Aqours!!』
ひなひな『ツーアウト、一塁・二塁で、試合が再開されます!!』
ワアアアアッ!
ザワ…ザワ…!!
ライバー「おい……ツーアウトから3点返して、まだ一・二塁って……」
ライバー「すげえじゃん、Aqours……!」
ライバー「もしかすると……もしかするんじゃ……!?」
ひなひな『μ'sへの声援一色だった場内、Aqoursの信じられない粘りに、徐々にざわめきが大きくなって参りました……!!』
ひなひな『何やら、異様な雰囲気に……!!』
あさみん(来た……! “流れ”が、来た!!)
あさみん(スタンドのファンの空気も、変わってきてる……!)
あさみん(“これ”を味方につける、その度量が、今のAqoursに備わっていれば……あるいは……!) あんちゃん「……すわわが、望みをつないでくれた」
あんちゃん「何がなんでも出よう、つなごうっていう、すわわの強い意志が……Aqoursを、救ってくれた……!」
あいにゃ「すわわ……!」
すわわ「………」
ハァハァ
りきゃこ(そうだ――すわわだって、想いは、ひとつ。勝つために)
りきゃこ(すわわが繋いでくれた“流れ”は、まだ途切れてない! それに――)
ワアアアアッ!!
スワワワァァァッ!!
イイゾォォォォッ!!
アクアァァァァッ!!
ガンバレェェェッ!! きんぐ「な、なんか……スタンドの、雰囲気が……」
ふりりん「ウチらへの、応援が……大きく、なってるような……?」
しゅか「……みんな、見てくれてるんだよ! まだ、終われないじゃん!!」
きゃん「………」
きゃん(まだ……終われない……)
きゃん(だけど……次は……)
『8番、レフト、小林』
きゃん「……っ!」
ビクッ ひなひな『会場のボルテージは、徐々に徐々に、高まっているように見えます!』
ひなひな『土壇場でのAqoursの粘りが、ファンの心に再び火を灯したのか――Aqoursへの歓声は、大きくなる一方!!』
ひなひな『どこか、異様とも言える雰囲気になってきましたが……』
あさみん『………』
あさみん『……野球の有名な格言のひとつに、こんなものがあります』
あさみん『球場――とりわけ、甲子園には、“魔物が棲む”と』
ひなひな『あ、聞いたことあります!』
ひなひな『野球――特に、高校野球での、逆転劇や信じられないプレーを指した、一種の例えみたいなもんですよね?』
あさみん『ところがね。この言葉は、比喩でも誇張でも、なんでもない』
あさみん『“魔物”は――』
あさみん『――実在する』
ひなひな『え……!?』 きんぐ「きゃん! ほら、次だよ! 早く!」
しゅか「ぜってー終われないぞ! 頼んだからね!!」
きゃん「う……うん……」
きゃん(みんな……本気で……)
ザッ…
きゃん(だけど……私、ここまで、全く打ててないし……)
きゃん(すわわみたいに、選球眼も良くない……力も無い……)
きゃん(そんな、私が……)
ドワワアアアッ!!
アイキャァァァン!!
きゃん「!?」
ビクッ! あさみん(そう。“魔物”――“悪魔”と、言い換えてもいい)
あさみん(味方につけることが出来れば、この上なく頼もしくもあるけれど)
あさみん(もし、その“悪魔”に、心が負けて)
あさみん(耐えられず――押し潰されてしまった、その時は――)
ワアアアアッ!!
アイキャァァァン!!
ガンバレェェェッ!!
ウテェェェェッ!!
きゃん(な……なんか……)
きゃん(歓声が……今までよりも、大きくて……雰囲気も……)
ガタ…ガタ…
きゃん「なんなの……これ……!?」
あさみん(今度こそ――)
あさみん(Aqoursは、負ける) ひなひな『さあ、スタンドの声に後押しされて、打席に入るのは8番の小林!!』
ひなひな『しかし、心なしか硬い表情。観客の期待に応え、攻撃をつなぐことが出来るか!?』
ひなひな『はたまた、Aqoursの奇跡も、ここで途切れてしまうのか!?』
ワアアアアッ!!
キャアアァァァッ!!
きゃん「………っ」
ドクンドクン…!
あさみん(雰囲気に……呑まれてしまってる)
あさみん(“悪魔”に、魅入られてしまったら……もう……!) ワアアアアッ!!
アイキャァァァン!!
きゃん(みんなが……応援してる……)
きゃん(それに……応えなきゃ……)
きゃん(みんなが、必死にここまでつないで……)
きゃん(私も……つながなきゃ……!)
ドクンドクン…!
えみつん「………」
ザッ…
ひなひな『さあ、再びマウンドに立ちます、守護神・新田』
ひなひな『先程、諏訪にデッドボールを与えてしまいましたが、ピッチングに影響は――』
グワッ
シュッ!!
きゃん「!!」
ズバンッ!!
\ストライク!/ ひなひな『っ……ストライク!!』
ひなひな『デッドボールの影響など微塵も感じさせない、力強い球!!』
オオオオオッ!!
きゃん「……っ!!」
きゃん(な、なんか……また、力強さを取り戻したような……!?)
きゃん(なんでよ……!! 腰を痛めてて、ベストコンディションじゃないんじゃなかったの……!?)
すわわ「………!」
すわわ(確実に、腰の負傷で、体は悲鳴を上げてるはず……!!)
すわわ(なのに、またこの局面で、渾身の一球を放れる強さ)
すわわ(やっぱり、この人は――)
あさみん(伝説のμ'sを束ねる、リーダー……)
あさみん(新田恵海――!!) えみつん「………」
えみつん(……つらいなんて、言ってられない)
えみつん(みんなが、まだ私のことを、信じてくれてるなら――)
えみつん(私は、最後まで、全力で頑張るだけ)
えみつん(穂乃果も――きっと、そうする、はずだから)
オオオオオッ…!!
ライバー「……やっぱり、えみつん、すげーよ!!」
ライバー「ああ、やっぱりμ'sだな!!」
ライバー「Aqoursに負けんなー!!」
ワアアアアッ!!
ミューズ!! ミューズ!!
アクア!! アクア!!
ひなひな『新田のピッチングに、μ's側応援席も再びヒートアップ!!』
ひなひな『メットライフドームは、μ'sとAqours、双方への声援が渦巻き、大変な状況となって参りました!!』
ウオオオオオッ!!
ワアアアアアアッ!! ひなひな『ところで、姉様……先程、“魔物”は実在する、とおっしゃっていましたが……』
ひなひな『あれは一体、どういう……』
あさみん『……日向も、感じてるんじゃない?』
あさみん『“魔物”の、正体――』
あさみん『それは――スタジアムを埋める、“観客”です』
ひなひな『観客……!?』
ウオオオオオッ!!
ビリビリッ…
きゃん「……!!」
きゃん(歓声が……一層、大きくなって……)
きゃん(まるで、空気が……震えてるみたい……!) あさみん『……プロ・アマ問わず、スタンドからの大きな声援というのは、大きな味方であり、大きな脅威でもあります』
あさみん『特に、甲子園のような大舞台では、それが顕著です』
あさみん『観客は、スター選手がいたり、話題性のあるようなチームに肩入れして、応援したくなる』
あさみん『そして、名勝負やスーパープレーを期待し、「こんな風に盛り上がったらいいな」という願望のもと、声援を送る』
あさみん『その、絶大な声援に後押しされた選手は、時として本当に、観客の“期待通り”のプレー、試合運びを見せてしまうことすらあるんです』
ひなひな『そんな……観客の歓声が、試合まで変えてしまうなんて……』
あさみん『例はいくらでもありますよ。例えば、夏の甲子園を例にとってみても……』
あさみん『2007年の決勝、広陵高校を破った、佐賀北高校の逆転満塁ホームラン』
あさみん『2009年の決勝、優勝校・中京大中京を相手に見せた、日本文理高校の9回の驚異的な追い上げ』
あさみん『記憶に新しい所では、今年の夏の、吉田輝星投手擁する金足農業高校の快進撃もそうでしょう』
ひなひな『……!!』
あさみん『いずれも、甲子園の観客たちの声援が生み出した、一種異様な雰囲気が、試合の展開にすら大きな影響を及ぼした例でしょうね』 あさみん『これこそが――“魔物”の正体』
ひなひな『“魔物”の正体は、スタンドの観客たち……!!』
あさみん『勿論、スーパープレーや快進撃にしても、選手たちが培ってきた努力が実を結んだものであることは疑いありません』
あさみん『しかし、観客の大きな声援と期待が生み出す異様な空間が、選手たちの普段以上の力を引き出すことも、また事実』
あさみん『そして――裏を返せば、観客の歓声を受けていない“相手”のチームにとってみると、とてつもないプレッシャーになります』
ひなひな『言ってみれば、完全アウェーの空気の中でプレーしないといけない訳ですもんね』
あさみん『これが、“魔物”が大きな味方であると同時に、大きな脅威にもなりうる所以です』
あさみん『今――ここ、メットライフドームの中は、Aqoursの粘りに対し、逆転を期待するファンの熱気が高まっています』
あさみん『しかし、新田さんのピッチングで、μ'sへの声援も盛り返しつつある』
あさみん『果たして、観客の熱気は、どちらに傾くのか』
あさみん『そして――それを受け止め、味方につける度量が、今のAqoursにあるのか――』
きゃん「………っ」
ダラダラ…
あさみん(正念場だよ――きゃん) しゅか「おーい、あいきゃん!!」
ありしゃ「一旦、打席外して!!」
ワアアアアアッ!!
ウオオオオオッ!!
ウテェェェェッ!!
きゃん「………」
ハァハァ…
きんぐ「駄目だ、周りの歓声にかき消されて、聞こえてない……!」
ふりりん「きゃん……!!」
きゃん(つながなきゃ……やらなきゃ……)
きゃん(打たなきゃ、とにかく……振らなきゃ……!!)
ドッドッドッ
えみつん「………」
ザッ
シュッ!! きゃん「――っ!!」
ブンッ!!
ズバンッ!!
\ストライク!!/
ワアアアアアッ!!
ひなひな『小林、高め、振らされた!! ツーストライク!!』
ひなひな『追い込まれました、小林!! 大歓声が逆にプレッシャーとなっているのか!?』
ひなひな『粘ってきたAqoursの反撃も、ここで終わってしまうのか!?』
ふりりん「あああ……!!」
あんちゃん「あいきゃん……!!」 きゃん「――っは!! はぁっ!!」
ドッドッドッ
きゃん(駄目だ――打てる、気がしない!!)
きゃん(周りの――スタンドの、声で――体が、潰されそう――!)
ギュッ…
きゃん(助けて……誰か……!)
きゃん(助けて……)
きゃん(ヨハネ……!!)
……………
………
「何やってんのよ。愛香」
きゃん「――っ!?」
ハッ!!
ワアアアアアッ
すわわ「……?」
りきゃこ「あいきゃん……?」
きゃん(今――頭の中に――)
きゃん(……声が……?)
きゃん(今のは……)
「自信持ちなさい。リトルデーモン」
「あんたと、Aqoursの3年間は――無駄じゃない」
「あんたは――」
「いつも通りで、いいんだから」
きゃん「……ヨハネ……?」 ふりりん「な、なに……?」
しゅか「わかんない。こわ……」
あんちゃん「だけど……」
あんちゃん(あいきゃんの、表情が……変わった、ような……)
きゃん「………」
きゃん(もう――聞こえない)
きゃん(今のは――気のせい?)
きゃん(それとも――…)
ワアアアアアッ…
きゃん(なんだか……)
きゃん(視界が、広くなった、気がする)
きゃん(一塁に、すわわ。二塁に、りかこ。ふたりとも――私を、見てくれてる)
きゃん(ベンチには――)
きゃん(あんちゃん。かなこ、あいあい――Aqoursのみんな)
きゃん(そして――) ワアアアアアッ!!
アイキャァァァン!!
ガンバレェェェッ!!
きゃん(そして――)
きゃん(応援してくれてる、ファンのみんな)
きゃん(……最初は、怖かった)
きゃん(受け入れてもらえるか、怖くて、怖くて)
きゃん(メルパルクホールで、初めてお客さんの前に、出た時は。びっくりして、泣いちゃったっけ……)
グッ…
きゃん(そうだ。もう、怖がる必要なんてない)
きゃん(私は。Aqoursと。ヨハネと、一緒に――)
きゃん(これから――もっと、大きいステージに、立つんだから!)
キッ! えみつん「……!」
ピクッ
えみつん(表情が――変わった)
きんぐ「きゃん、ちゃんと球見て!! ボール球に手ぇ出さないで!!」
あんちゃん「ボール3個分、上を叩くつもりで!!」
しゅか「いいから、思い切って叩けー!!」
きゃん(みんなの声も――聞こえる)
きゃん(大丈夫。しっかり、ボールを見て)
グッ
きゃん(恐れるな――!)
えみつん「」
バッ!!
きゃん「ああああっ!!」
ガギンッ! ワアアアアアッ!!
えみつん「!」
あんちゃん「あっ……」
あいにゃ「ああっ!!」
ひなひな『ああっ……打ち上げてしまったぁぁー!!』
ひなひな『ふらふらと、打球は三塁側ファールグラウンドに上がる!!』
アアアアアッ!!
キャアアアアアッ!!
きゃん「っ……!!」 みもりん(やたっ……!!)
みもりん「――くっすん!!」
くっすん「おっけー!!」
ひなひな『サード楠田が、ファールグラウンドでグラブを構えた!!』
ひなひな『Aqours、万事休すか!!』
あさみん(もう……ここまでか……)
りっぴー「はぁー……」
シカコ「やっと終わったか……」
うっちー(ここまで、ずいぶん粘ったけれど……)
ふりりん「あああああー!!」
しゅか「嘘でしょ!?」
きんぐ「もぉー駄目だぁー!!」
あんちゃん「……あきらめちゃ駄目っ!!」
あんちゃん「まだっ……!!」 きゃん(そうだよ……私だって……あきらめたくない……!!)
きゃん(みんなで、ここまで来たんだもの……!!)
きゃん(ここで終わりなんて嫌だ!! だから――)
きゃん「まだ、終わりじゃない……!!」
くっすん「オーライ!」
きゃん「終わりじゃない!!!」
ウオオオオオッ!!
ワアアアアアッ!!
キャアアアアアッ!!
くっすん(うっ……歓声、すご……)
キラッ
くっすん「!?」
ハッ
くっすん(天井の、ライトが――視界に、入って――) バシッ
ポロッ…
みもりん「――!?」
くっすん「あっ……!?」
ポトッ
ひなひな『おっ……落としたぁぁぁぁっ!!!』
ワアアアアアッ!!
ウオオオオオオッ!!
ひなひな『なんだどうした!? 最後のアウトひとつが捕れない、μ's!!』
ひなひな『サード楠田、グラブに当てたものの、落としてしまいましたぁぁぁっ!!!』
きゃん「……あ……」
きゃん「う、嘘……!?」 ふりりん「お……おおお……!!」
あいにゃ「た、たす……」
しゅか「助かった……!!」
きんぐ「し、心臓、止める気か……!」
あんちゃん「そうだよ……!!」
グッ…
あんちゃん「まだ……大丈夫……!!」
ジョルノ「く、くっすん……!?」
ジョルノ(なんだかんだ言って、運動神経良くて、守備は割と安定してる、くっすんが……!?)
くっすん「な、なんで……」
くっすん「なんでー!? くっそー!!」
ガッ!
くっすん(歓声に気をとられたとか、ライトが目に入ったとか、言い訳にならない……!!)
くっすん(えみつんを、助けないといけないのに……ここで、終わりのはずだったのに……!!)
えみつん「くっすん……」 あさみん『一瞬、眩しそうな表情を浮かべましたから、天井の照明と重なって、ボールを見失ってしまったのか……』
あさみん『はたまた、三塁側、Aqoursの応援席からの悲鳴のような歓声に、気をとられたのか……』
あさみん(それでも――“流れ”がある時には、実際に起こる。こういう、信じられないプレーが)
あさみん(そしてそれは、Aqoursの流れが、まだ途切れていないということ……!)
ひなひな『とにかく、首の皮一枚つながりました、Aqours!!』
きゃん「………」
グッ…
きゃん(大丈夫……大丈夫……!!)
きゃん(今のは――きっと、ヨハネが、救ってくれた)
きゃん(それに――初めて、バットに当てられた!!)
きゃん(大丈夫……打てるんだ……!!)
ウオオオオオオッ!!
アイキャァァァンッ!!
ガンバレェェェェッ!!
ビリビリッ…
きゃん「……っ!!」
ゾクゾクッ きゃん(もう、怖くない……!! わかった。ヨハネが、言ってた意味……!!)
きゃん(私は――いつも通り)
きゃん(この、歓声で、空気が震える――この感覚)
きゃん(そうだ。ライブと、一緒なんだ)
きゃん(スタジアムは、ステージ。選手は、キャスト)
きゃん(ブラスバンドや鳴り物の音楽に乗せて、私たちは、全力のパフォーマンスを魅せて)
きゃん(そして、地面を揺らすような、大歓声……!!)
ニッ…!
きゃん(そうだ。いつだって、この歓声に、助けられてきたんだ)
きゃん(この歓声と、Aqoursのみんながいれば――)
きゃん(どこへだって、行ける!!)
きゃん「さぁ――」
ギランッ!
きゃん「行くわよ!! リトルデーモンたち!!」
キャアアアアアッ!!
ウオオオオオオッ!! ひなひな『小林の……表情が、変わった!? 笑っている……!?』
あさみん『……!!』
あさみん(打ち勝った……! 味方に、つけた……!!)
あさみん(“魔物”を……!!)
あんちゃん「あいきゃん……!!」
グッ
あんちゃん「大丈夫……!!」
きゃん「そう、大丈夫……!」
えみつん「ふぅ……はぁ」
ザッ…
シュバッ!!
きゃん(大丈夫!! 絶対、あきらめないから)
きゃん(見てて――ヨハネ!!)
ガキィッ!! ウオオオオオッ!?
ひなひな『これも打ち上げたぁー!!』
ひなひな『しかし、打球はふらふらと上がる!!』
ふりりん「あああっ……!!」
ありしゃ「いや……待って!!」
みもりん(セカンド……!!)
みもりん(いや、センター……ライト……!?)
あさみん『これは面白い所に上がりましたよ!?』
ひなひな『セカンド後方に上がった打球!! 3人が追いかけます!!』
きゃん「……!!」
ダダダッ そらまる「くっ、ちょっと前に出すぎてた……!?」
ダダダッ
りっぴー「捕る、私が……!!」
ダダダッ
うっちー(えみつんを、助けなきゃ……!)
ダダダッ!
ジョルノ「……!!」
ジョルノ「声かけあって!! エラーあるぞ!!」
しゅか「ああー、捕るなぁー!!」
きんぐ「捕るな捕るな捕るなぁー!!」
ふりりん「落ちろぉー!!」
あんちゃん「……大丈夫……!!」
きゃん「……大丈夫!!」
ダダダダッ! うっちー「!!」
りっぴー「あっ……!?」
そらまる「げ、」
ポトンッ
ひなひな『ああー、落ちたぁー!! ポテンヒット!!!』
ワアアアアアアッ!!
キャアアアアアッ!!
すわわ「や……、」
りきゃこ「やった!!」
ダダッ!
あんちゃん「やったあああああっ!!!」
しゅか「きゃあああああんっ!!!」
ひなひな『その間、二塁ランナーの逢田がホームイン!! 諏訪は三塁へ!!』
ひなひな『また1点挙げた!! またつないだ、Aqours!!』
ひなひな『なおも、ツーアウト一・三塁!!!』
ウオオオオオオッ!!
きゃん「やっ……」
きゃん「たぁぁぁぁぁっ!!!」
【μ's 13―8 Aqours】 あさみん『上がった位置が、良かったですね。セカンド、センター、ライトの三者の真ん中、難しい位置でした』
あさみん『外野が定位置、セカンドがゴロを警戒してやや前に出ていたのも功を奏しました。三者も、一瞬判断に迷ってしまいましたね』
ひなひな『しかし小林選手、先程のファールフライ落球、そしてこのポテンヒットと、実に運が良かったといいますか……』
あさみん『勿論、運もあったでしょう』
あさみん『しかしこれも、観客の声援に呑まれず、“魔物”を味方につけたからこそ、とも言えるかもしれません』
あさみん『もう、初めてのステージで、歓声に呑まれて泣いていたAqoursはいない』
きゃん(ありがとう……ヨハちゃん……!!)
きゃん(また、救われちゃったけど……)
きゃん(私が、ちょっとでも、勇気が持てたのは……ヨハちゃんと、Aqoursと……)
きゃん(応援してくれる人たちの、お蔭だよ……!)
ジワ…
ワアアアアアッ!!
アイキャァァァンッ!!
あさみん『3年間の月日は、“魔物”を味方につけるほどに――』
あさみん『彼女たちを、成長させたんです』 くっすん「えみつん……ごめん」
くっすん「あのファールフライ、私がちゃんと捕ってたら……」
そらまる「それ言ったら、ウチらもだよ」
そらまる「りっぴー、内田さんと、ちゃんと声掛けあってれば……」
えみつん「いいんだって!! 誰のせいでもないよ!」
えみつん「それに、わがまま言って投げさせてもらってるのは、私の方なんだから……」
みもりん「………」
みもりん「だけど……認めなきゃね」
みもりん「点差があるとか、あとアウトひとつとか、言ってられない」
スッ…
みもりん「Aqours――強敵だよ」
えみつん「……!」 あんちゃん「りこちゃーん、やったねー!!」
りきゃこ「あーん、あんちゃーん!! みんなのお蔭だよ!!」
パンッ
しゅか「こ……これ……」
ふりりん「ほんとに……勝てる、かも……?」
きんぐ「何言ってんの!! 絶対、勝つんだよ!!」
あいにゃ「………」
ドキドキ…
あいにゃ(みんな、波に乗ってる……あんなにバラバラだったのに、また、ひとつになれた……!)
あいにゃ(嬉しい、嬉しいよ……だからこそ……)
ギュッ
あいにゃ(勝ちたい。終わらせたくない)
あいにゃ(だけど……)
ズキ…ズキ…
『9番、ファースト、鈴木』 ひなひな『さあ、いよいよラストバッターの鈴木まで回ってきました!!』
ひなひな『この回、4点を挙げ、点差はじわじわと縮まっています!!』
ひなひな『しかし鈴木は、ここまで4打数ノーヒット』
ひなひな『Aqoursの打者の中で、唯一、出塁がありません!!』
あさみん『その上、鈴木選手は、8回の守備で足首を痛めています』
あさみん『バッティングにも、その影響が出てしまうとなれば……』
あいにゃ(……でも、やるしかない)
あいにゃ(痛いとか、言ってられない……!)
ドキドキ…!
あいにゃ「よ、よーし……!」
あいにゃ「よっしゃ、行くぜ、ワレ!!」
あんちゃん「………」
あんちゃん「あいな!」 あんちゃん「……あいながいてくれたから、私たち、ここまで頑張れたんだと思う」
あんちゃん「あいなが、あきらめないでいてくれたから。あいなの、言葉があったから」
あんちゃん「私も、Aqoursも、あきらめないで、ここまで粘れた」
あいにゃ「え……?」
りきゃこ「そうだよ! あの、1stの時も……今回も! あいなに励ましてもらって、私もすっごい心強かった!」
きんぐ「そーそー。あいなちゃんが頑張ってると、なんかこっちも頑張らなきゃ、って気になるし」
ありしゃ「なんか、あいなってそういうパワーみたいなのあるよねー」
あいにゃ「そ、そんな……ワシ、照れるわ……///」
あんちゃん「……あいなは、周りに勇気を与えてくれる、すごいパワーを持ってるんだから」
あんちゃん「だから……大丈夫!!」
あいにゃ「あんちゃん……!」 ひなひな『さあ、出てきました!! 鈴木がバッターボックスに向かいます!!』
ひなひな『スタジアム内は、Aqoursの快進撃に、観客の熱気もますますヒートアップ!!』
ひなひな『ランナーは一・三塁!! ノーヒットの鈴木、ここで執念を見せられるか!!』
ワアアアアアッ!!
アイニャァァァァッ!!
ガンバレェェェッ!!
あいにゃ(もー、あんちゃんったら、ほんとイケメンなんだから……///)
あいにゃ(思わず、ほっぺにチューしたくなっちゃう///)
あいにゃ(それに、りかこも、他のみんなも……)
あいにゃ(……信じてくれてる。こんな、あたしを)
あいにゃ(……そして……)
チラッ
すわわ「………」
ニコ
あいにゃ(……すわわ……) あいにゃ(……みんな、ありがとう)
あいにゃ(私が、困ってる時、悩んでる時)
あいにゃ(いつだって、手を差し伸べてくれたのは――Aqoursのみんなだったよね)
あいにゃ(――大好きだよ。そんな、みんなのこと)
グッ…
あいにゃ(だから――)
えみつん「……ふぅー……」
ザッ!
シュバ!! あいにゃ「――!!」
グッ!
ズキィッ!!
あいにゃ「っ!!!」
ブンッ!!
ズバンッ!!
\ストライク!!/
あいにゃ「……っ……!!」
ズキズキ…!!
あいにゃ(痛みになんか……負けない……!)
あいにゃ(Aqoursは、絶対……終わらせないんだから……!!)
ギリ…!
あいにゃ(たとえ、私の体が、どうなっても……!!) >>353
確かに佐賀北や日本文理や金足農業は観客の声がえげつなくて相手チームは完全にアウェーだったな 東京ドームがNHKホールにかわっても微妙になってきたな
年をこすんだろうか…w あいきゃんの打席でマモノのネタ挟んできたのは
魔物→悪魔→リトルデーモン→ヨハネ
って感じのつながりか >>383
それだけになんと言われようと冷静に自分たちの野球を最後までやり遂げた桐蔭はやっぱりすごいよ くっすんのエラーのとこファールやからまだいいけど、実際にやらかして点取られたことあるだけに思い出して胸が締め付けられたわ笑 あいにゃ「ぐっ……!!」
フラッ…
ひなひな『第1球、新田の直球に対し、大きな空振りでワンストライク!!』
ひなひな『しかし鈴木、振ったのち、少しよろめいたような……?』
あいにゃ「はぁ、はぁ……」
ズキ…ズキ…
すわわ「あいな……!?」
りきゃこ「やっぱりあいな、足首が痛いんじゃ……!!」
しゅか「あいなー!!」
ありしゃ「痛いなら、無理しないで!!」
あいにゃ「はっ……がはははっ!!」
あいにゃ「ごめんごめん、勢い余ってちょっとよろけちゃっただけだから!!」
ズキ…ズキ…!
あいにゃ(ここで、無理しなきゃ……)
あいにゃ(全部、終わっちゃうもの……ドームの夢も、何もかも……!) えみつん「―――」
ザッ…
あいにゃ(それに――)
あいにゃ(憧れの、μ'sの、えみつんさんだって。腰の不調を抱えたまま、全力で頑張ってる)
あいにゃ(だったら、私が、弱音を吐いてる場合じゃ……!)
えみつん「」
バッ!!
グッ
ズキィッ!!
あいにゃ「っ!!」
ブンッ…
ズバン!!
\ストライクツー!!/ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています