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えみつん「東京ドームでライブをしたければ……」あんちゃん「野球で勝負!?」 ★2
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0003名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:07:56.30ID:QjHUmHj8
ひなひな『8回表、なおもμ'sの攻撃中。すでに打順は一巡し、打席には6番の飯田!』

ひなひな『ツーアウト一塁――アウトひとつが遠いAqours』

ひなひな『大差をつけられ、気力も萎えてしまったか――グラウンド内には、重苦しい空気が流れております』

 

りきゃこ(こんな状況になっちゃったら……もう、どうすればいいか……)

 

あんちゃん(ごめん……みんな。私のせいで……)

しゅか(駄目なのか……? ちくしょ……)

ふりりん(あたしたち……ドーム、行けなくなっちゃうんだ……)

きんぐ(あーあ……負けたわ、こりゃ)

 

きゃん(どうしようもないよ……もう……)

すわわ(ここまできたら……打つ手は……)

 

あいにゃ(………)

あいにゃ(みんな……)
0004名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:08:34.20ID:QjHUmHj8
バシィ!

\ボール! フォア!/

 

ありしゃ「……!」

ありしゃ(ええ……今の、入ってなかった……!?)

 

ひなひな『際どいコースでしたが、飯田、落ち着いて見て、フォアボール!』

あさみん『もはや、運にも見放されてきましたね……』

 

ザワザワ…

ライバー「あー……もう、駄目かもな……」

ライバー「こんな一方的な試合、見たくねえよ……」

ライバー「もうコールドで終わりでいいんじゃねえの……?」
0005名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:09:15.89ID:QjHUmHj8
ひなひな『ツーアウト一塁・二塁! μ'sの攻撃は終わらない!』

ひなひな『終わらせることが出来ない、Aqours!!』

あさみん『恐るべきは、μ's打線の、波に乗った時の爆発力ですね』

あさみん『交代した小宮選手も、頑張っていますが……普通の速球だけでは、今のμ's打線を抑えることは……』

 

ありしゃ「はぁ、はぁ……!」

ありしゃ(アウト……ひとつ、だけなのに……!)

 

ひなひな『Aqoursナインからも……スタンドからも。もはや、諦めにも似た空気が流れてしまっています』

あさみん『………』
0006名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:11:16.68ID:QjHUmHj8
あさみん『……確かに、ここからAqoursが勝つとなると、それこそ奇跡でも起きない限り、無理でしょう』

あさみん『そして――奇跡というものは、そう易々と、起こるものではありません』

ひなひな『では、やはり……もう……』

あさみん『――ですが』

あさみん『奇跡とは、“起きる”ものではありません。“起こす”ものです』

ひなひな『“起こす”――』

あさみん『月並みですが――最後まで諦めない、強い意思。それが、奇跡を呼び起こす』

ひなひな『だけど、今のこの空気の中じゃ……』

あさみん『……そう。今のAqoursでは、奇跡は起こせない』

あさみん『せめて――この空気を変える、誰か』

あさみん『いや、たったひとつのプレーでもいい。何かの、きっかけさえあれば……』

 

あいにゃ「………!」

ゴシゴシッ
0007名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:12:05.32ID:QjHUmHj8
ひなひな『さて、打席に立つのは7番のPile!』

ひなひな『この回、大量点を奪っているμ's、さらなる追加点となるのか?』

 

ありしゃ「ふぅ……はぁ……!」

 

あんちゃん(ありさちゃん……!)

 

ふりりん(ありさ……頑張ってるけど……)

きんぐ(無理だよ……もう……)

 

きゃん(いつまで続くの……この回……)

すわわ(みんなの気力も……もう……)

 

あいにゃ「………っ」
0008名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:13:13.76ID:QjHUmHj8
ぱいちゃん「そこ!」

カキィン!!

 

ひなひな『打ったぁぁ!! これも大きい!!』

ひなひな『打球は右中間、深い所に伸びていく〜〜!!』

 

りきゃこ「……!!」

 

きんぐ「あーあ……」

しゅか「また……追加点……」

ふりりん「これで……何点目……?」

 

あんちゃん「――!」ハッ

あんちゃん「いや……!?」

 

あいにゃ「はぁ、はぁっ!!」

ダダダダッ!

 

ひなひな『いっ……いや!? センター鈴木、懸命に追っている!!』

ワアアアアッ!?
0009名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:14:02.21ID:QjHUmHj8
りきゃこ「あいな!?」

 

ありしゃ「いや……でも、あれは……無理……」

 

あいにゃ「……っ!!」

ダダダダッ!!

あいにゃ(やだよ……やだよ! こんな所で、終わっちゃうなんて!!)

あいにゃ(もう少しで……私たちの、夢が……届くところまで、来たのに!!)

 

ひなひな『懸命に追いますが、これは頭を越えそうだ!!』

ひなひな『しかし鈴木、スピードを緩めない!!』

 

あいにゃ(確かに、もう負けちゃいそうだけど……無理かも、しれないけど……!)

あいにゃ(でも、まだ……あきらめたく、ない……!!)

あいにゃ(だって……!!)

バッ!!

 

ひなひな『飛び込んだぁぁぁっ!!!』
0010名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:15:00.83ID:QjHUmHj8
あいにゃ(だって――Aqoursに入って、わかったんだもの)

あいにゃ(夢は――)

あいにゃ(自分の手で、掴み取るんだ――って)

 

パシッ!

 

ズザザザッ!!

ゴロゴロゴロッ!!

 

オオオオオッ!?

ひなひな『飛びついた鈴木!! ボールは!?』

ひなひな『フェアか、アウトか!?』

 

 

\アウトォ!!/
0011名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:16:42.23ID:QjHUmHj8
ワアアアアッ!!

ひなひな『なんとっ……アウトォ!! センター鈴木、超、超、ファインプレー!!!』

ひなひな『長打間違いなしと思われた打球!! 決死の思いで飛び込んだ鈴木のグラブの中に、しっかりボールは収まっていました!!』

 

ぱいちゃん「うっそ、マジで!?」

 

しゅか「嘘ぉ!?」

ふりりん「す、すごい……あいな……!」

 

ありしゃ「あいな……!」

フゥハァ

 

あさみん『3回にも、同じような場面はありました……! だけど今回は、恐れずに飛びついた結果、アウトになった……!!』

あさみん『これは……あいなちゃんの、諦めない気持ちが呼び込んだ、ファインプレーです!!』

あさみん(これで……風向きが、変われば……!)

 

あんちゃん「………!!」

ドクン…!
0012名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:19:36.31ID:QjHUmHj8
ひなひな『――おや?』

ひなひな『鈴木選手、様子が……?』

 

あいにゃ「ぐ……」

あいにゃ「痛っ……くぅっ……!」

 

ひなひな『足を押さえ、横たわったまま、起き上がれません!』

あさみん『まさか、飛び込んだ時に、どこか……!?』

 

すわわ「あいな!!」

タタタッ!

きゃん「大丈夫!?」
0013名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:20:36.07ID:QjHUmHj8
あいにゃ「すわわ……あいきゃん、も……」

きゃん「どっか痛めたの!?」

すわわ「……!! あいな、まさか……」

すわわ「前に、痛めた……右足首を……!?」

あいにゃ「……えへへ……」

あいにゃ「今度は……ちゃんと、捕れたよ……?」

すわわ「そんなことよりも……!!」

あいにゃ「つっ!! へへ……こちとら、必死よ……」

あいにゃ「だって……みんなと、東京ドーム……立ちたいもの……」

すわわ「……!!」

きゃん「あいな……」

 

ひなひな『担架です!! 鈴木選手の、足の具合が心配ですが……』

ひなひな『しかし8回の表、センター鈴木のファインプレーで、μ'sの長い長い攻撃がようやく終わりました!!』

ワアアアアッ!

パチパチパチッ
0014名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:24:00.41ID:QjHUmHj8
〜Aqoursベンチ〜

 

あんちゃん「………」

ふりりん「……あいなと、付き添いのおすわ、なかなか救護室から戻ってこないね……」

りきゃこ「前に一度、痛めた所と同じ、右の足首だし……」

きゃん「心配だね……」

 

ガチャッ

 

あいにゃ「ごめーん! みんなー、お待たせー♪」

あんちゃん「あいな!」

りきゃこ「大丈夫なの!?」
0015名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:24:59.82ID:QjHUmHj8
すわわ「幸い、骨には異常は無かったみたい」

りきゃこ「そう……!」ホッ

あいにゃ「テーピングぐるぐる巻きにして、しっかりサポーターもしてもらったから大丈夫! 余裕よ、余裕!!」

すわわ「……だけど、前に痛めたのと同じ所を痛めちゃってるから……」

すわわ「極力、無理は……」

あいにゃ「平気だって!! ほら、こんなによゆー……!」

ズキッ

あいにゃ「あつっ……!」

あんちゃん「あいな!!」

すわわ「あんまり、動かないようにしなきゃ……!」

 

きんぐ「………」

きんぐ「もう……無理じゃない?」
0016名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:27:20.72ID:QjHUmHj8
シ…ン

 

あいにゃ「……え?」

あんちゃん「今、なんて……」 

きんぐ「いや……そんな、無理してまで……必死にやる意味も、もう、無いっていうか……」

きんぐ「だって……」

 

きんぐ「まさか、まだ勝てるとでも思ってるの?」

 

すわわ「――!!」

ガタッ!

しゅか「ちょ!?」

ふりりん「おすわ、抑えて!!」

きんぐ「だって――現実見なよ!! 9点差だよ、9点差!!」

きんぐ「攻撃できるのはあと2回しか残ってない!! しかも相手のピッチャーは新田さん!!」

きんぐ「どうしようもないじゃん!!」

すわわ「………っ」

グッ…
0017名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:28:38.93ID:QjHUmHj8
きんぐ「そりゃ、私だって……ドームで、ライブ出来なくなるのは、悔しいよ……」

きんぐ「だけど……それに、あいなが、怪我しちゃったんなら」

きんぐ「もう、無理することもないじゃん……」

あいにゃ「………っ」

ありしゃ「……そう、だね……」

ありしゃ「もう、勝てる見込みが無いなら……ここで試合を終わらせるのも、ありかもしれない……」

きゃん「そう、だよね……高校野球なら、コールド負けの点差だし……」

りきゃこ「無理して、これ以上、怪我人が出るくらいなら……」

あいにゃ「だっ……大丈夫だって!! これくらい、なんでもないから!!」

あいにゃ「余裕よ、よゆー!! がははははっ、は、は……」

あいにゃ「………」

 

シ…ン

 

しゅか「……あんじゅは」

しゅか「あんじゅは……どうしたいの……?」

あんちゃん「え……!?」
0018名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:30:30.14ID:QjHUmHj8
あんちゃん(確かに、これ以上、怪我人が増えるかもしれないことを考えたら……無理しない方が、いいのかもしれない……)

あんちゃん(だけど……ここで、やめちゃったら……大切な何かを、失っちゃうような……)

あんちゃん(もう二度と、戻れないような……そんな、気もする……)

グッ…

あんちゃん(こんな……こんな時に、優柔不断で、はっきり言えないなんて……)

あんちゃん(私……やっぱり、駄目駄目な、リーダーだ……)

 

あいにゃ「私は――」

あいにゃ「まだ、続けるよ!」

あんちゃん「!」

すわわ「!」

りきゃこ「あいな……」
0019名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:31:33.95ID:QjHUmHj8
あいにゃ「ごめんね……こんな、大事な時に、また怪我なんか……」

あんちゃん「そんなこと……!」

あいにゃ「だけど、前に怪我して、ファンミに出れなかった時も……みんなに、迷惑かけたし……」

あいにゃ「何より……来ていたお客さんを、がっかりさせちゃって……」

りきゃこ「……!」

あいにゃ「今も……まだ、応援してくれるお客さんは、いてくれると思うし」

あいにゃ「だから……今度は、最後まで……続けたい」

あいにゃ「続けさせてください……!」ポロッ

あんちゃん「あいな……」
0020名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:34:08.49ID:QjHUmHj8
しゅか「あいな、泣かないで……」

ありしゃ「あいなが……そこまで、言うなら」

りきゃこ「うん……」

りきゃこ「ただし、ポジションは変更しよう。あいなは、一番負担の少なそうな、ファーストに」

りきゃこ「あんちゃんは、センターに回って。大丈夫?」

あんちゃん「あ……うん……」

りきゃこ「はい、そうと決まったら、また攻撃だよ!」

りきゃこ「急いで、準備しよ!」

ガタ…ガタ…

きんぐ「………」

きゃん「……大丈夫かな……」

 

ひなひな『Aqoursベンチ、ようやく動き始めました。どうやら、続行はするようですが……』

ひなひな『未だ、重い空気は、払拭しきれていないようですね……』

あさみん『………』

あさみん(駄目……なの? あのプレーでも、流れは……みんなの気持ちは、変えられなかった……?)

あさみん(いや。わずかでもいい。小さな灯火が、誰かの心に、ともってさえいれば……!)
0021名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:36:16.03ID:QjHUmHj8
あんちゃん「………」

あんちゃん「あいな……」

あいにゃ「………」

あいにゃ「……私はさ。ここまで、全然、攻撃とかで役に立ててないから……」

あいにゃ「だから、ちょっとでも、役に立ちたい、って思ったんだけど……」

あいにゃ「怪我しちゃって……かえって、迷惑だったのかな……」

あんちゃん「そんなこと、ない……! あいなは……!」

あいにゃ「……それに、ね」

あいにゃ「やっぱり、まだ……私、あきらめたくない……」

ポロッ…

あいにゃ「だって、私たち……まだ、途中だもの……!」

あんちゃん「……!!」

あいにゃ「まだ、何もかも、途中だから……まだまだ、前に、進みたいから……!」

あいにゃ「だから……」

あんちゃん「………」 

あいにゃ「」ゴシゴシ

あいにゃ「……ごめんねっ! いっつも、泣いてばっかりで」

あいにゃ「さあ、あと2回!! 張り切っていくぜー!」

ガタッ…

 

あんちゃん「………」  
0022名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:37:11.38ID:QjHUmHj8
 

あんちゃん(私たちは、まだ……途中……)

あんちゃん(私たちは……前に、進む……)

グッ…

あんちゃん(……あきらめない……)

あんちゃん(私に、まだ……できること……!)

 

キッ!

 
0023名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:38:21.38ID:QjHUmHj8
【8回裏】

 

ひなひな『8回裏、大量援護を受けてマウンドに上がるのは、もちろん新田!!』

ひなひな『残り2回、Aqoursを完全に封じ込むか!?』

ワアアアアッ!

 

みもりん「やれやれ、やっと再開か……」

シュッ

 

えみつん「………」

パシッ

 

ひなひな『なんとか反撃したいAqours、この回の攻撃は、6番の逢田から!』
0024名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:39:04.40ID:QjHUmHj8
えみつん「」

シュバッ!

 

ズバンッ!!

 

りきゃこ「ぐ……!」

りきゃこ(そうは言っても……どうやって、攻略したら……!?)

 

ひなひな『この回も冴え渡る、新田の豪速球!!』

ひなひな『相変わらず、球速は130キロ台を計測!! もはや向かうところ敵なし!!』

あさみん『ええ……おや?』

 

あんちゃん「………」

グッ
0025名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:39:50.80ID:QjHUmHj8
えみつん「」

シュバッ!

 

あんちゃん「!」

ブンッ!

 

ズバンッ!!

\ストライク!/

 

あさみん『……?』

ひなひな『これは……? 伊波選手、ひとり、ファールグラウンドに出て……』

ひなひな『素振り……? を、していますね。まだ打順は、かなり先だと思いますが……』

あさみん『………』

 

ありしゃ「……?」

きゃん「あんちゃん……?」
0026名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:40:45.87ID:QjHUmHj8
えみつん「」

シュバッ!

 

あんちゃん「!」

ブンッ!

 

ズバンッ!!

\ストライク! バッターアウッ!/

 

ひなひな『結局、逢田のバットもボールにかすらせず!!』

ひなひな『三振で、余裕のワンナウト!!』

ワアアアアッ!

ひなひな『しかし、伊波選手は、一体……?』

 

くっすん「……何やってんの?」

ぱいちゃん「さあ……」

 

えみつん「………」

パシッ
0027名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:42:31.17ID:QjHUmHj8
あさみん『新田投手は、続く7番・諏訪も、ボールにかすらせることなく三振』

 

ズバンッ!!

\ストライク!/

 

すわわ「くっ……!!」

すわわ(必ず、何か、糸口はあるはず……!)

すわわ(それを、見つけられれば……だけど……)

 

あさみん『8番・小林は、ビビって完全に腰が引けているところで……』

あさみん『かえって、新田さんのコントロールが乱れ、運良くフォアボールとなるものの』

 

ズバッ!

\ボール! フォア!/

 

きゃん(あー、生きてて良かった……)

 

あさみん『続く、9番、鈴木は……』
0028名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:43:17.58ID:QjHUmHj8
あいにゃ(なんとかして、出なきゃ……!! なんとかして……!!)

ドキドキ

 

えみつん「」

グワッ…!

 

ひなひな『新田、またランナーがいるのに、振りかぶった!!』

 

シュバッ!!

 

あいにゃ「……!!」

ブンッ!

 

ズバンッ!!

 

ひなひな『は、速い!! 球速は……!?』

 

――140km/h
0029名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:44:18.75ID:QjHUmHj8
ひなひな『新田、フォアボールのランナーを出したものの、この回もAqoursの攻撃をシャットアウト!!』

ひなひな『ここまで奪った9つのアウトは、全て三振!!』

ひなひな『それどころか、全てストレートにもかかわらず、いまだバットに当てることすら許さず!!』

ひなひな『Aqoursに付け入る隙を与えないまま、いよいよ試合は9回、最終回を迎えます!!』

オオオオオッ!!

 

あんちゃん「………」

スタ…スタ…

 

ひなひな『おっと、ファールグラウンドに出ていた伊波選手も、一旦ベンチに下がりますが……』

ひなひな『ずっと素振りをしていた伊波選手。最終回に望みをつなごうという、気合の現れでしょうか』

あさみん『………』

あさみん(あんちゃん……まさか……?)
0030名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:45:16.91ID:QjHUmHj8
【9回表】

 

ひなひな『迎えた9回、この回の小宮も、苦しいピッチング!!』

ひなひな『先頭の8番・南條こそ、見逃し三振に仕留めますが――』

ひなひな『9番・楠田、1番・久保に連続安打!!』

ひなひな『さらには2番・徳井にも、フォアボールを与え、ワンナウト満塁!!』

 

ありしゃ「……!!」

ハァ…ハァ…!

 

りきゃこ(もう、単なる棒球になっちゃってる……!)

りきゃこ(これじゃ、もう……!)
0031名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:46:04.39ID:QjHUmHj8
ザワザワ…

ライバー「……もう、見てらんねえよ」

ライバー「こんな一方的な試合、見たい訳じゃないし……」

ライバー「メラド、帰りの電車混むし、もう行こーぜ」

 

ひなひな『スタンドからは、席を立つファンの姿も見えます』

ひなひな『すでにAqoursのファンの中にも、諦めの気持ちが広がってしまっているのか……』

 

ふりりん「……!」

あいにゃ「そんな……!」
0032名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:48:26.00ID:QjHUmHj8
ひなひな『しかし、運命はAqoursに容赦しません』

ひなひな『満塁のこの場面で、迎えるのは、ここまでAqoursを脅かし続けてきた、μ'sの強力クリンナップ!!』

ワアアアアッ!

 

ブンッ!

みもりん「……悪く思わないでよね」

えみつん「やるからには……最後まで、本気でね」

うっちー「後輩ちゃんたち……」

うっちー「ここまで、なのかな」

 

ありしゃ「……!!」

ゼェ…ハァ…!

 

しゅか「……マジで……?」

きんぐ「終わった……今度こそ、終わったわ」

ふりりん「なんで……こんな、ことに……」

あいにゃ(神様……!)

 

きゃん(また……たくさん、点、とられるのかな……)

すわわ「………」

 

りきゃこ(もう……)

りきゃこ(駄目……か……)
0033名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:50:15.60ID:QjHUmHj8
ひなひな『このピンチに――Aqours守備陣、声を上げる選手は誰もいません』

ひなひな『いっそ、このまま、終わってくれたら――』

ひなひな『そんな、悲壮感まで――感じさせます』

あさみん『………』

あさみん『――絶体絶命の、窮地に立たされ』

あさみん『夢も、希望も、完膚なきまでに打ち砕かれて』

ひなひな『………』

あさみん『だけど――それでも、まだ』

あさみん『小さな小さな、希望という輝きを信じて』

あさみん『立ち向かおうとする、気力のある人がいれば――!』

 

あんちゃん「………!」

ザッ…!
0034名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 00:51:14.09ID:QjHUmHj8
ひなひな『……? おや?』

ひなひな『センターに入っていた伊波が……ひとり、マウンドの方に向かって……?』

 

あんちゃん「………」

ザッ…ザッ…

 

ザワザワ…

 

しゅか「……?」

ふりりん「あんちゃん……?」

 

あんちゃん「………」 

ザッ

ありしゃ「………」

フゥ…ハァ…

ありしゃ「あんちゃん……何を……」

あんちゃん「――ありさちゃん」

あんちゃん「ボール、貸して」

キッ!

 

あんちゃん「私が――投げる」
0044名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/13(火) 23:40:06.46ID:QjHUmHj8
ひなひな『ひゃっ……140キロが出ました!!』

ひなひな『新田、前人未到の140キロ!! これぞ最強、μ'sの守護神!!』

ウオオオオッ!!

ワアアアアッ!!

 

\ストライク! バッターアウッ!!/

 

あいにゃ「……っ」

ズキ…ズキ…

あいにゃ(駄目、だ……手も足も、出なかった……)

あいにゃ(やっぱり……これで、終わりなの? 私たち……)ジワッ

 

ふりりん「ああ……」

きんぐ「やっぱり……無理だよ……」
0049名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:36:06.75ID:rZZS2aMi
ありしゃ「……!!」

ありしゃ「本気……?」

あんちゃん「………」

コクッ

 

りきゃこ「あんちゃん……!?」

 

あんちゃん「ごめん、ありさちゃん。私が不甲斐ないせいで、迷惑かけちゃって」

あんちゃん「でも……だからこそ」

あんちゃん「しっかり、私の手で……始末を、つけたいの」

ありしゃ「………」

ありしゃ「……ごめん。あんちゃん……」

スッ…

 

ひなひな『マウンド上の小宮、ボールを、伊波に手渡して……!?』

ひなひな『まさか……!?』

ザワザワ…!
0050名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:37:29.35ID:rZZS2aMi
『――Aqours、守備の変更をお知らせいたします』

『ピッチャーの小宮が、センター』

『センターの伊波が、ピッチャー』

 

えみつん「!」ピクッ!

みもりん「また、あの子が……!?」

 

『3番、ピッチャー、伊波』

『4番、センター、小宮』

『以上に変わります』

 

オオオオオッ!?

ひなひな『なっ……なんと!? 8回途中、ノックアウトされた先発・伊波がっ……!!』

ひなひな『この、9回満塁のピンチに、再びマウンドに上がります!!』

 

あんちゃん「………」

ザッ!
0051名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:39:23.98ID:rZZS2aMi
りっぴー「なんちゃんに、ノックアウトされた、あの子が……?」

ぱいちゃん「ま、大方、他にピッチャーがいないからなんだろうけど……」

ジョルノ「………」

 

きんぐ「………」

ふりりん「あんちゃん……」

しゅか「やれる、の……?」

あいにゃ「………」

あいにゃ「お願い……!」

 

ひなひな『先程の回で大量点を奪われ、疲労も溜まっているであろう伊波ですが……』

ひなひな『この場面で、μ'sのクリンナップを抑えきれる力は、残っているのでしょうか……?』

あさみん『……どうでしょうか。しかし、ボロボロの今のAqoursは、こうして少しでも気力のある選手に、すがるしかない……』

あさみん『そんな状況に、陥ってしまっているのも事実』

あさみん『ですが……』

 

うっちー「……えみつん。みもりん」

みもりん「うん」

えみつん「彩も……感じる?」

うっちー「そうだね。あの子……」

 

あんちゃん「………」

キッ…

 

うっちー「まだ――目は、死んでない」
0052名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:41:23.86ID:rZZS2aMi
あんちゃん「」

シュッ!

 

パシッ!

りきゃこ(あんちゃん……)

りきゃこ(大丈夫、なの……?)

 

ひなひな『投球練習を見る限り、特に変化は見られません、伊波』

あさみん『………?』

あさみん(今の、投げ方……何かが……?)

 

あんちゃん「………」

パシッ

 

『3番、キャッチャー、三森』

ワアアアアッ!

 

ひなひな『さあ試合が再開されます!!』

ひなひな『打席に入るのは、ここまで4打数2安打、3打点を挙げている三森!!』

ひなひな『果たして、Aqoursの息の根を止める打席になるのでしょうか!?』

 

みもりん「――悪いけど、手は抜かないよ」

みもりん「それが、礼儀だからね」
0053名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:42:52.78ID:rZZS2aMi
\プレイ!/

 

あんちゃん「………」

あんちゃん(あいなが――思い出させてくれた)

あんちゃん(そうだ。あきらめたら、全てが終わっちゃう)

あんちゃん(私たちが積み上げてきたものも。応援してきてくれた人たちの想いも。何もかも)

あんちゃん(千歌たちだって――)

あんちゃん(あきらめなかったから。奇跡を、起こせたんだ)

あんちゃん(私たちだって、信じなきゃ――)

キッ!

あんちゃん(千歌たちに――顔向け、出来ない)

 

みもりん(気合は――入ってる、みたいだね)

みもりん(いいね。まだ、折れない気持ち――好きだよ、そういうの)

 

りきゃこ(……あんちゃん)

りきゃこ(頑張って……!)
0054名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:43:57.67ID:rZZS2aMi
あんちゃん(私……ほんと、ダメダメなリーダーで)

あんちゃん(みんなに、いっつも、助けられてばかりだった)

あんちゃん(だから、今度は――私の番)

 

ザッ…!

 

あさみん『――!!』

あさみん(アンダースローだけど。前よりも――)

あさみん(後ろに、振り上げた腕が――高い!?)

 

あんちゃん(みんなが、困ってるなら――助けて、あげたい)

あんちゃん(ダメダメな――私、だけど)

あんちゃん(今だけは――みんなを、)

あんちゃん(引っ張っていってみせる!!)

 

シュバッ!!

 

りきゃこ「――!!」
0055名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:44:42.38ID:rZZS2aMi
ズバァン!!

 

みもりん「……!!」

 

シー…ン

 

\ス…ストライク!/

 

りっぴー「……え?」

くっすん「今の……」

 

しゅか「な……なんか……」

ふりりん「めっちゃ……速くなかった……?」

きんぐ「まるで、“オラつきモード”の時みたいに……」

 

りきゃこ(い……今の、球……!?)
0056名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:46:10.24ID:rZZS2aMi
ひなひな『はっ……速い!? 今の一球、アンダースローにも関わらず……!?』

ひなひな『球速は!?』

 

――122km/h

 

ひなひな『――122キロ!? この球速はっ……!!』

あさみん『オーバースローで投げていた時の球速と、同じ……!?』

オオオオオッ!!

 

あんちゃん「………」

パシッ

 

みもりん(どうゆうこと……?)

 

うっちー「さっきまでの球速は、100キロいくかいかないか、ぐらいだった……」

うっちー「アンダースローなのに……なんで、あんなに速い球が投げられるの……!?」

えみつん「………!」
0058名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:47:18.18ID:rZZS2aMi
りきゃこ(あんちゃん……一体……!?)

 

あんちゃん「」

ザッ…!

 

シュパッ!!

 

バシィッ!!

\ストライク!/

 

みもりん(また、速い球……しかも、外角低め、ギリギリのコースに……!)

みもりん(速いだけじゃない。繊細な、コントロールも……!)

 

ひなひな『低めギリギリ、決まってツーストライク!! これもやはり、122キロ!!』

ひなひな『三森、手が出ない!! 追い込まれました!!』

オオオオオッ!

あさみん『ただ単に、速いだけじゃない』

あさみん『オーバースローの時には無かった、外を丁寧に突くコントロールも、備わってる……!』
0059名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:48:52.35ID:rZZS2aMi
シュパッ!

 

みもりん「くっ!!」

キンッ!

 

ひなひな『ファール!! なんとか食らいつく、三森!!』

 

みもりん(今のは、僅かに変化した。シンカー……!)

みもりん(まさか、今は、オーバースローの時の球速と……)

みもりん(アンダースローの時の制球力・変化球を、併せ持ってる状態、ってこと……!?)

グッ…

みもりん「……ふふっ」

みもりん(いいじゃん。この期に及んで、まだ進化出来るっていうの? わくわくする!)

みもりん(覚えておくよ。Aqoursと、貴方の名前……!)

 

うっちー「みもりん……」クスッ

えみつん「うん……楽しんでる。すずらしい」
0060名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:50:45.44ID:rZZS2aMi
あんちゃん(いけっ……!!)

ザッ…!

 

ひなひな『伊波、大きく後ろに、腕を振り上げたぁ!!』

あさみん『――!!』ハッ

 

あんちゃん(――天高く!!)

シュバッ!

 

みもりん「!!」

ブンッ!

 

ズバァン!!

 

\ストライク! バッターアウッ!/

 

ワアアアアッ!!

ひなひな『三振〜〜〜っ!!!』

ひなひな『三森、内角高めのストレートを、振らされましたぁー!!!』

 

あんちゃん「よしっ……!!」

 

りきゃこ「や、やった……! あんちゃん……!」
0061名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:52:58.32ID:rZZS2aMi
みもりん「………っ!」

みもりん(今の、球……低い位置から、浮き上がってきた……!)

みもりん(あんな軌道の、速い球、見たことない……!)

フッ…

みもりん「……ばいやー」

みもりん「ふふっ。すごいじゃん」

 

ぱいちゃん「う、嘘……」

りっぴー「内角高めの直球なら、みもりん、第一打席でも楽々ヒットにしてるのに……」

ジョルノ「……軌道がね。違うんだよ」

ぱいちゃん「軌道?」

ジョルノ「アンダースロー特有の、低い位置でリリースされたボールが、まるで浮き上がるような下からの軌道で、高めに決まる」

ジョルノ「しかも、そのスピードはオーバースロー並ときた。いかに、みもでも……あの軌道の豪速球は、未知の球だよ」

りっぴー「未知の球……!」

ジョルノ(そして、あの速さの秘密は、)

ジョルノ(おそらく……)

 

あさみん『……フォームが……』

ひなひな『え?』

あさみん『フォームが……違う……!』
0062名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 01:59:20.87ID:rZZS2aMi
ひなひな『フォームが違う……!? 見た感じは、前と同じアンダースローですよ?』

あさみん『一見、同じアンダースローに見えますが、実は前の回までとは、全く違うフォームです……!!』

あさみん『映像で確認してみましょう。前の回までの、伊波投手のフォームは、上体を立て、腕は肩から下で振り、リリースしています』

あさみん『典型的な、アンダースローのフォームです』

ひなひな『は、はい……』

あさみん『ところが、今回の伊波投手のフォーム。腕を、後ろに大きく引き――』

あさみん『そこから、身体全体で体重移動しながら、腕を振り、リリースする――ここです!』

ひなひな『……!! 上半身の向きと、腕の位置が、違う……!?』

あさみん『その通りです。上体を横に倒し――腕の振りは、一見、下からの軌道に見えますが――』

あさみん『その実、腕は肩よりも下の位置に、下がってはいない』

あさみん『サイドスロー――いや、オーバースローを、そのまま横に倒したようなフォームになっているんです』

ひなひな『アンダースローなのに、投げ方はオーバースロー……!!』

ひなひな『だから、上手投げと同じスピードの速球を……!! こんな投げ方があるなんて……!!』
0063名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:11:14.36ID:rZZS2aMi
あさみん『――かつて、“史上最高のアンダースロー”と呼ばれた投手がいました』

あさみん『彼の名は――“杉浦忠”』

あさみん『今から半世紀も前。南海ホークスのエースとして活躍した、大投手です』

あさみん『1年目から27勝を挙げて新人王、2年目は38勝4敗、勝率.905という驚異的な成績を残し、日本シリーズ対巨人戦で4連投4連勝など、数々の伝説を残していますが――』

あさみん『特筆すべきは、彼はアンダースローのピッチャーにもかかわらず、ノビのある豪速球を武器にしていたことです』

ひなひな『豪速球を……?』

あさみん『当時の映像や写真等の資料が少ないものの……』

あさみん『彼もまた、オーバースローのフォームのまま、上体を横に倒した、サイドに近いフォームで投げていたようです』

ひなひな『では、伊波投手のフォームは、その伝説のアンダースロー投手の、再現……!?』
0064名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:14:03.45ID:rZZS2aMi
あさみん『勿論、伊波投手が、伝説の杉浦投手のフォームを知っていて真似た、という訳ではないでしょう』

あさみん『しかし――どん底から再び這い上がり、また前へ、さらなる高みへ、進もうとする強い想い――』

あさみん『そんな想いが、この“オーバースロー”と“アンダースロー”の融合という形で、現れたのではないでしょうか』

あさみん『この激闘の中で――彼女は、進化を遂げたんです』

ひなひな『進化を――』

あさみん『力強い速球で、相手をねじふせようとする、“オラつきモード”でもない』

あさみん『繊細なコントロールと変化球で、相手をかわす、“ぶりっこモード”でもない』

あさみん『いわば、今のあんちゃんは。その、両者を融合させ』

あさみん『リーダーとして、自分の弱さも強さも受け入れ、周りを引っ張る力を身につけた――』

あさみん『名付けるなら――“真・リーダーモード”!!』

 

あんちゃん「………」

パシッ!

 

ひなひな『……姉様、なんかダサい』ボソッ

あさみん『何ぃ!?』
0065名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:16:39.69ID:rZZS2aMi
えみつん「すず……」

みもりん「いやあ、やられちゃったあ。あはは」

みもりん「――気を付けて、えみつん」

みもりん「さっきまでとは――別人だよ」

えみつん「………」コクッ…

 

『4番、ピッチャー、新田』

 

ワアアアアッ!!

ひなひな『さあ、ツーアウト満塁と変わりまして、打席には四番の新田が入ります!!』

ひなひな『ここまでの伊波との対戦は、第1打席がホームラン、第2打席はヒットを放つものの好守備で得点はならず!!』

ひなひな『第3打席は三振、第4打席はフォアボールという内容!!』

ひなひな『μ'sの四番とAqoursのエースの対決、決着なるか!?』

 

えみつん「あんちゃん……」

 

あんちゃん「えみつんさん……」

あんちゃん「……勝負です!」
0066名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:19:22.97ID:rZZS2aMi
りきゃこ(……あんちゃん)

りきゃこ(いいよ。ここまできたら、あんちゃんの思う通りに――)

りきゃこ(来て。思いっきり――!)

 

あんちゃん(ありがとう。りこちゃん)

あんちゃん(私が、まだ頑張れるのは)

 

ザッ…!

 

あんちゃん(受け止めてくれる、りこちゃんと――)

あんちゃん(守ってくれる、みんなの、お蔭だよ!!)

 

シュパッ!!

 

えみつん「――!」

ブンッ!!

 

ズバンッ!!

\ストライク!!/

 

ひなひな『内角ストレート、ズバっと決まった!!』

ひなひな『対する新田も、初球からフルスイング!!』

ひなひな『正に真っ向勝負!! 両者とも、譲る気配は全くありません!!』

ワアアアアアッ!!
0067名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:21:00.79ID:rZZS2aMi
ひなひな『初球から内角に攻めてきました……!! バッテリー、強気ですね!!』

あさみん『それでも速球にノビがあるので、前ほど簡単には当てられません』

あさみん『この、球速とノビを生んでいるのは、フォームも勿論ですが、ひとえに伊波投手の関節の柔らかさも大きな一因ですね』

ひなひな『柔らかさが?』

あさみん『腕を大きく後ろに振り上げ、そこからリリースまでの体重移動に、無駄がありません』

あさみん『なおかつ、柔らかい手首のスナップと、オーバースローと同じ腕の振りによって、ボールに独特の回転とキレを与えている』

あさみん『かつての杉浦忠投手も、天性の体の柔らかさを持っていたそうです。それが無ければ、こんな無茶なフォームで速球を投げることは不可能でしょう』

あさみん『おそらく、伊波選手の、長年の空手の経験が活きているのでしょう』

あさみん『空手を代表とする打撃系格闘技は、ストレッチに多くの時間を割き、体の柔らかさには定評がありますからね』
0068名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:22:43.65ID:rZZS2aMi
えみつん(あんちゃん……!)

えみつん(嬉しいよ。逃げずに、真っ向から、向かってきてくれて……!)

 

ザッ…!

 

シュバッ!

 

えみつん「なんの!!」

ギィンッ!!

 

ひなひな『外の球、負けじと打ち返したぁ!! 大きい!!』

ワアアアアッ!!

 

りきゃこ「――!!」

 

ひなひな『っと……切れた、切れた!! ファール!!』

ひなひな『外の厳しい球でしたが、またもフルスイングで打ち返していきました!!』

ひなひな『μ'sの四番として!! そう簡単にはやられないという、気迫を感じます!!』

オオオオオッ!!

 

えみつん「ふふっ……!」

 

フゥ…ハァ

あんちゃん「えみつんさん……流石です……!」
0069名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:25:15.54ID:rZZS2aMi
シュパッ!!

 

ガギィッ!!

 

ひなひな『またもファール!! またもフルスイング、またも渾身のストレート!!』

ひなひな『両者、全く退きません!!』

オオオオオッ!!

 

あいにゃ「あんちゃん……!」

しゅか「頑張れ……!!」

 

うっちー「えみつん……」

みもりん「負けるな……!」

 

えみつん「………」

ニッ…

 

あんちゃん「………」

フゥ…ハァ…
0070名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:26:40.28ID:rZZS2aMi
あんちゃん(えみつんさん……)

あんちゃん(貴方と、μ'sは――ずっとずっと、憧れでした)

あんちゃん(ただのファンとして、ライブを見に行った時。あの時の感動は、忘れません)

 

ザッ…!

 

あんちゃん(あの時は――届かない星だった)

あんちゃん(だけど――少しでも、近づきたいから)

あんちゃん(だから――私は、あきらめない)

 

グワッ

 

あんちゃん(この、9人の仲間で)

あんちゃん(何度でも、何度でも――)

あんちゃん(天へ。空へ――!!)

 

シュバッ!!

 

えみつん「――!!」

 

ブンッ!!

 

ズバァンッ!!
0071名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:27:12.30ID:rZZS2aMi
うっちー「………っ」

みもりん「!!」

 

あいにゃ「――!!」

ありしゃ「………っ」

 

りきゃこ「………!!」

 

えみつん「………」

フッ…

 

\ストライーク!! バッターアウッ!!/
0072名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 02:28:08.32ID:rZZS2aMi
ひなひな『ストラァァイク!! 空振り三振!!!』

ひなひな『内角高め、天に伸びるかのような、渾身のストレート!!』

ひなひな『Aqoursのエースがっ……!!』

ひなひな『μ'sの四番を、抑え込みましたぁぁぁ!!!』

 

ワアアアアアッ!!

ウオオオオオッ!!

 

あさみん『………!!』

あさみん(“輝き”は……希望は……!)

あさみん(まだ……消えてない……!)

 

あんちゃん「………」

ハァ…ハァ…

あんちゃん(Aqoursは……負けない……!!)
0075名無しで叶える物語(庭)
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2018/11/15(木) 09:21:16.80ID:qtVZxdoH
めっちゃ熱い展開
その内しれっと、紅白でライブをしたければにスレタイ変わってそう
0077名無しで叶える物語(茸)
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2018/11/15(木) 13:26:32.49ID:kxjl5L1P
>>75
笑っちゃっただろ!
0083名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2018/11/15(木) 22:43:31.07ID:8c26MBS3
>>80
いやほんとね
速球使いのアンダーなら牧田か高橋礼かと思ったけど杉浦とはね笑
この>>1何者?笑
0086名無しで叶える物語(茸)
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2018/11/16(金) 03:28:00.64ID:7hD3Rn8B
でもやっぱキャストの依怙贔屓はすごいね
あいにゃちゃんはいい風に描かれてきんきゃんはひどいw
0087名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2018/11/16(金) 10:31:57.18ID:KaKBsJB2
>>86
わかんないよー?これから逆転劇で大活躍するかもよー?
ここまでうまいこと一人一人に見せ場作ってるし
0088名無しで叶える物語(茸)
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2018/11/16(金) 19:45:25.05ID:merRRmDH
あんじゅとあいにゃが活躍してる感じ、本当に精神的に支える2人って感じする
0089名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2018/11/16(金) 20:14:44.51ID:ooTAbXuB
あんじゅ リーダー
ありさ サブリーダー
あいにゃ 皆の心の支え
って感じがする
0093名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2018/11/18(日) 00:06:49.48ID:dClW1qd5
間に合わなかったか…
しかし最後まで追い続けるし、作者ももし今日のライブ見てたらモチベ失わずに頑張ってほしい
0095名無しで叶える物語(プーアル茶)
垢版 |
2018/11/18(日) 10:19:04.33ID:UtpFr+Ls
待つ
0096名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2018/11/18(日) 22:12:35.09ID:yzVV2rx+
東京ドーム公演良かったなぁ…
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