小林「異世界召喚?」
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小林「あれ、ここどこ?」
小林「森の中?なんで?」
小林「おっかしいなー、散歩してたはずなのに」
小林「東京にこんなとこあったっけ」
小林「スマホで位置確認しよっと」
小林「……でない」
小林「もしかして、迷子?」
小林「ヨハちゃんと同じで不幸な目にあってるんだ!」
小林「いやー、困っちゃうなー」 梨香子が領主の家を襲撃したことにより街を追われることになった一向は、すわわーるどへと向かうことにした。
到着すると、凄まじい歓声が上がっているのに気付く。
その声は黄色い声が多く、危険なことが起きているわけではないと簡単に推測ができ、小林達はその声の方へ向かうことにした。
小林「うわー、凄い人だね」
善子『そうね。スリには気をつけなさい、小林』
小林「はーい」
降幡「あいきゃん、財布盗られてんぞ」
小林「え!?嘘!?」
降幡「取り替えしたから落ち着け。気を付けろ」
小林「ありがとう、あいあい!」
善子『なにやってんのよ小林!』
小林「ごめんね、ヨハちゃん……」 キャスト基地外にしてdisるSS書くってどんな気分なの? 朱夏「なんの集まりなんだろうねー」
杏樹「みんなお城の方向いてるね」
降幡「……ん、あれは」
ふりりんが見つけたのは、観客の視線の先にいた一人の美少女だ。
顔の作りが可愛い系によっているためか、身長よりも若干小柄に見える体型。
眉毛を隠すぐらいで綺麗に切り揃えられた艶やかな黒髪は、端を綺麗に伸ばしてあり、彼女の密かな遊び心が伝わってくる。
今の彼女はAZALEAの衣装に身を包んでおり、一目見た者には、純白で、清楚なイメージを運ぶ。
また、幼さを残す表情がそれを際立たせており、見ているだけで心が安らいでいくだろう。
無論、彼女の魅力を語るのに顔だけで終わることはない。
腕に注目すれば、その細さからいかに彼女が華奢であるかが分かるだろう。
胸についても特に大きくは無く、どちらかといえば小さい方であるが、それがまたよい。
余談ではあるが、彼女が現実の世界で発売した『7ct』という写真集では全120種の内、谷間を作っているのはない。
それが彼女のあどけなさをより一層深めている。
庇護欲を刺激するあどけなさ、しかし、太腿に注目した時は例外だ。
雪のように真っ白で、むっちりとした程よい肉付きの太腿。
その触り心地は絹のように柔らかであることが容易に想像できるだろう。
それが体全体とのギャップを生み出し、一部の者が邪な思念に駆られることもある。 ワーワーキャーキャー!!!!
杏樹「やっぱりおすわだったねー」
朱夏「なんであんなところにいるんだろう」
梨香子「王様なんでしょw」
高槻「どうでもいいからさっさと宿行きてーな」
降幡「これじゃあ近付けないし、現状探った方がいいんじゃねーのか?」
小林「ヨハちゃんはどう思う?」
善子『そうね。このままだと話しかけられないし、あいあいの言うことに賛成よ』
善子『情報を集めてから考えましょう』
小林「うん!」
杏樹「それじゃあ自由行動で、夜にあそこの宿に集まろう」
小林「はーい!」 小林「ヨハちゃんとデートだー!」
善子『今はそんな場合じゃないでしょ』
小林「でも!二人きりなんだよ!」
小林「手を繋ぎたいな〜」
善子『……全く、仕方ないわね、小林は』
小林「えへへ〜」
善子『それで、何処向かってるの?』
小林「分かんない!」
小林「ヨハちゃんと一緒ならどこでもいいかなって」
善子『はぁ……馬鹿ね、小林は』
善子『だから、代わりに私が考えてあげるわ』
小林「ありがとう、ヨハちゃん!」
スッ
小林「ん?」 善子『どうしたの?』
小林「いや、なんか今誰かいたような……」
小林「誰なんだろ、こっちを見てた気がする」
善子『気を付けなさいよ、小林』
小林「うん!」
ソロソロ
小林「こっちの方だよねー」チラッ
小林「誰もいない……」
小林「うーん、気のせいだったのかなー」
善子『……!小林!うしーー』
小林「へ?……むぐっ!?」
小林「んっ……っ、ぐっ、っっ、」
小林「…………」パタン
「…………」 〜数時間後〜
小林「ん……あれ」
小林「ここ何処……?すっごい豪華な部屋みたいだけど……」
小林「……あ!夢か!」
善子『夢じゃないわよ』
小林「え?」
善子『誘拐されたのよ、小林は』
小林「ええっ!?」
小林「ど、どどどどどうしよう!」
小林「えっちなことされちゃう!」
善子『問題はそこじゃないわよ、小林』
善子『犯人の目的が何なのか、そこをきちんと見極めないと』
小林「うーん、なんなんだろう、お金かな」
ガチャ
小林「ん?誰?」
すわわ「うむ」 小林「おすわだー!」
小林「あれ、でもなんでここにいるの?」
小林「もしかして、ここのベッドに寝かせてくれたのはおすわなの?」
すわわ「うむ」
小林「ありがとう!」
善子『……小林、すぐにすわわから距離を取りなさい』
小林「え?なんで?」
善子『そいつが犯人よ』
善子『小林を誘拐した……ね』
小林「えーー!?」 小林「ね、ねぇ、おすわが私を誘拐したの?」
すわわ「うむ」
小林「理由がある……んだよね?」
すわわ「ん」
小林「それはどういう……な、なんで近づいてくるの?」
すわわ「ふんふん」
小林「あ、あの……」
小林「もしかして……」
小林「……えっちなこと、されちゃう?」
すわわ「うむ」 小林「ヨハちゃん!逃げるよ!」
咄嗟にベッドから飛び降り、窓へと走ろうとした小林の両足に激痛が走ったかと思うと、まるで感覚がなくなったかのように、足が機能を停止した。
小林「え?」
勢いのまま足が動かなくなった小林は当然のように地面を転がっていく。
起き上がろうと、足を必死に動かそうとするが、大地に縫いとめられたかのように動いてはくれないのだ。
小林「なんで……」
すわわは床に転んだままの小林を持ち上げ、お姫様抱っこでベッドへと運んでいく。
ベッドに仰向けにされた小林の上に、すわわは馬乗りとなり、少しずつ小林の服を剥ぎ取っていく。 小林「ま、待って!」
すわわ「ん」
小林「だ、だめ、私にはヨハちゃんっていう心に決めた人がいるのに」
すわわ「ふんふん」
小林「お願い、やめて」
すわわ「ん」
小林「いやー!!誰か助けてー!!犯されるーー!!」
すわわ「おい!うるさいよ!レイプしてんだよこっちは!」
小林「やっぱりレイプされんだーー!?」
小林「いやーー!!」 バリィィィィィィィィィン!!
小林「な、なに!?」
降幡「おい!大丈夫か!」
小林「あいあい!?なんでここに!?」
降幡「あいきゃんが捕まったって聞いたから助けに来たんだよ」
すわわ「ふむ」
高槻「私を巻き込まないでくれるかな?」
降幡「うるせぇ、他にいなかったんだから仕方ねーだろ」
小林「なんでここが分かったの?」
降幡「ゴロツキと仲良くなるのは得意なんだよ」
降幡「そこであいきゃんが捕まったって情報を聞いたんだ」
小林「あいあい……!」 降幡「気を付けろよ、どんな力を持ってるのかわかんねーからよ」
高槻「分かってるよ」
高槻「ユニットで散々偉そうにしてくれた恨みここで何百倍にもして返してやろうかな」
すわわ「ふんふん」
善子『小林、足の調子はどう?』
小林「まだ治らなくて動けない……」
善子『そう。じゃあ祈るしかないわね、あの二人が勝つのを』
降幡「随分余裕そうだな……二人を相手に勝てると思ってるのか?」
すわわ「うむ」 なんですわわの描写だけこんな濃密なんだよ(セリフを除く)w
いいぞもっとやれ 高槻「やってみろやぁぁぁぁぁぁっっっ!」
叫び声と共に高槻が巨斧を振り下ろす。
それを受けようとするすわわの手にはいつのまにか刀が握られていたが、このまま攻撃を受け止めれば刀ごと粉砕されてしまうだろう。
しかし、斧がその刀を破壊することにはならなかった。
振り下ろされた斧へと斜めにぶつけ、刃の上を走らせるように受け流し、斧の勢いをそのまま右側へと逸らす。
降幡「あめぇっ!」
高槻の攻撃を受け体勢を崩したすわわへと、ふりりんが追撃をかける。
右腕の剣を下から切り上げるが、それをすわわは後ろへと飛んで躱し、すぐさま地面を蹴り上げふりりんへと鋭い突きを繰り出す。
降幡「っ!」
ふりりんは胸元で剣を交差させ、その交点の上側で刀を受け止め、右斜めへと力を逸らした。 降幡「いまだっ!」
高槻「もらったぁ!」
刀を受け止められ、すわわの動きが止まったのを見逃さず、高槻が斧を横薙ぎし、すわわの体を捉えようとする。
避ける暇も無く、斧はすわわの体へと直撃ーーすることはなく、その前に高槻の手から斧が離れてしまった。
高槻「え?」
すっぽ抜けた斧は窓を突き破り、城の外へと落ちていく。
高槻は信じられずに己の手を見つめ、そして体の違和感に気付く。
降幡「おい!なにやってんだよ!」
高槻「っ、そいつから離れろ!」
降幡「何言って……っ!?」
ふりりんの両腕に激痛が走る。すわわに動いた様子はなく、自分の勘違いかと思ったが、すぐに体に異変が訪れた。
降幡「……くそっ」
ふりりんの意思とは真逆に、腕がだらんと下がり、持っていた剣を地面へと落としとしまう。
そこにあるはずの腕。目には見えているはずなのに、その感覚を体が検知していないのだ。 小林「あいあい!かなこ!」
首元へと刀を突きつけられたふりりんは抵抗することができず、また、高槻もその間合いに入っているため動くことができない。
降幡「……ここまでか」
高槻「最悪だ……」
すわわ「……」
小林「お、おすわ!二人を殺さないで!お願い!」
すわわ「うむ」
小林「おすわは体が目的なんでしょ!?」
すわわ「うむ」
小林「だったら、体を差し出せば許してくれるよね!?」
すわわ「うむ」
小林「良かった……二人とも助かったよ」
降幡「助かってねーよばかやろう!」
高槻「絶対ヤバいことされるに決まってんだろ!」
すわわ「えっへん」
降幡「褒めてねぇ!」 すわわ「……ん」
小林「どうし……」
善子『小林!伏せなさい!』
小林「なんっーー」
巨大な破砕音を立て壁の破片を飛び散らせながら、高速で突き出された槍をすわわが刀で弾き飛ばす。
???「へぇ、今の防げるんですね」
すわわ「うむ」
???「じゃあ、これはどうですか?」
謎の女性の影がぐにゃりと歪み、その中から数十本の槍が飛び出し、すわわへと襲いかかる。
すわわは一歩も動くことなく、その場で全ての槍を弾き落とした。
???「なるほど……結構やるんですね」
すわわ「ん」
小林「……誰?」
???「名乗るほどの者じゃありませんよ」
???「ただの……通りすがりの朱夏の恋人です」
小林「そうなの?」
善子『違うでしょ。妄想で話してるだけよ』
小林「あー、なんだヤバい人かー」
???「……ここで殺してあげようか?」 ???「と思ったけど、時間切れみたいだから退散しようかな」
???「あの女に見つかりたくないですし」
すわわ「ん」
???「良かったですね、命が助かって」
すわわ「ふんふん」
???「それではさようなら」
すわわ「うむ」
降幡「うむじゃないだろ!追いかけろよ!」
すわわ「ふむ」
高槻「通訳呼べよ!」
謎の女性が崩れた壁から出て行くとすぐに、朱夏と杏樹がやってきた。 朱夏「大丈夫……そうだね」
小林「しゅかー!助けに来てくれたの!?」
朱夏「うん。凄い音がしたからね」
朱夏「というかなんでベッドで寝てるの?」
小林「体がうごかないだよ。抱っこしてー」
杏樹「いいよ」
小林「い、いたたたたっ!アイアンクローはやめてぇー!」
朱夏「あんじゅそれ持ち方違うってー」
杏樹「えへへ、間違えちゃったよしゅか〜」
小林「ぅぅ……痛かった」
杏樹「……あんまり調子にのらないでね、あいきゃん」ボソッ
小林「ひっ!?」
小林「ぅぅぅヨハちゃぁん!」
善子『治るまでおとなしくしてなさい』
小林「うん……」 しばらくすると三人の手足は元通りに動くようになり、全員で話し合いをすることになった。
今の現状と、小林達の旅の目的。すわわはそれに相槌を打ちながら聞いていた。
朱夏「というわけで、今あいにゃを追って旅をしてるの」
朱夏「おすわも来てくれない?」
すわわ「ん」
降幡「多分無理だぞ」
降幡「こいつ、この国で女の子をつまみ食いしまくってたらしい」
降幡「わざわざ私たちと一緒に来るわけないだろ」
すわわ「うむ」
朱夏「そっかー、じゃあしょうがないねー」
善子『良くない流れよ、小林』
小林「うーん……あ、そうだ!」
小林「すわわはあいにゃのこともレイプしたいんだよね?」
すわわ「うむ」
小林「じゃああいにゃを捕まえに一緒に旅しようよ!」
すわわ「うむ」
小林「よし決定!」
降幡「まじかよ……」 バンッ!
梨香子「おいw」
小林「ん?りきゃこどうしたの?」
梨香子「なんか斧降ってきてあたったんだけどw」
高槻「それ私のじゃん」
梨香子「痛かったんだけどw」
高槻「だったらなんだってんだよ」
梨香子「ころすw」
高槻「は?」
降幡「仲間同士でやんなって!」
すわわ「うむ」
朱夏「次はどこ向かうの?」
杏樹「ここから北に行くんだよ」
杏樹「魔族と戦争してる砦があるから、そこに行こう」
朱夏「はーい」 〜とある村〜
「……ありがたやありがたや」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「神様が来てくださってから、本当にいいことばかりだねぇ」
「そうじゃそうじゃ」
「今日はご馳走じゃ」
「こちらお供え物です。いっぱい食べてください」
小宮「……zzz」 杏樹 朱夏 梨香子
小林 降幡 高槻
すわわ 小宮 愛奈 魔族との戦争の最善である北の砦を目指し、小林達は進んでいった。
北に進んで行くにつれて魔物は強くなるが、みんなにとっては脅威ではなかった。
道中、杏樹の魔法が小林に直撃しそうになったり、すわわが小林に夜這いをしかけたりしたが、他には特に問題もなく一行はとある村へと辿り着いた。
杏樹「こんにちはー」
「いらっしゃい。旅人さんかえ?」
杏樹「はい。この村には宿はありませんか?」
「宿はないのぉ」
杏樹「そうですか……」
「良ければ儂の家に泊まるといい。部屋だけはたくさんあるから、好きに使ってくれて構わんぞ」
杏樹「ありがとうございます!」 杏樹「しゅかー!向こうに温泉があるんだって!」
杏樹「行こう!」
朱夏「温泉ー!いいねー、私温泉大好きだよー」
杏樹「私とどっちが好きー?」
朱夏「んー……あんじゅー、かな?」
杏樹「しゅか〜!私も大好きー!」ギュー
朱夏「ちょ!恥ずかしいからやめて!」
降幡「時間ずらした方が良さそうだな」
小林「ん?あいあい何処行くの?」
降幡「散歩だよ。ちょっと歩いてくるわ」
小林「気をつけてねー」
降幡「……いや、やっぱあいきゃんも来いよ」
小林「えー」
降幡「いいから来い」
小林「はーい。行くよ、ヨハちゃん」
善子『ええ』
降幡(善子ちゃんは置いていってくれ) 「ありがたやありがたや」
降幡「何やってんだ?」
小林「ヨハちゃんを拝んでるリトルデーモンかな?」
降幡「それはない」
降幡「……ん?おい、みろあれ!」
小林「おお!大根持ってる!」
善子『今は大根なんてどうでもいいのよ、小林』
降幡「ちげーよ!その先だ!」
小林「……え!?あ、ありしゃ!?」
小宮「zzz」
小林「こんなところにいたんだー」
降幡「とりあえず全員連れてこい!」 村長の家へと戻った小林は全員に事情を話し、小宮のいる広場へと来てもらった。
そこには椅子にもたれ掛かり眠っているありしゃの姿があった。
朱夏「おおー、これで一応全員見つかったね」
すわわ「うむ」
杏樹「起きないけどどうしようね」
高槻「ほっときゃいいだろ」
降幡「……ん?」
小林「どうしたの?」
降幡「いや、りきゃこどうしたのかなって」
小林「え?何が?」
降幡「なんかやけにおとなしくねーか?」
小林「そう?」
梨香子「…………」 降幡「おい、どうしたんだよ」
梨香子「!」ビクッ
梨香子「な、なんでもないしw」
降幡「そうか?ならいいけどよ」
梨香子「てか早くこの村でよw」
降幡「今日一日泊まるんだよ」
梨香子「別にいいじゃんw」
降幡「よくねーよ」
梨香子「先戻るわw」
降幡「は?おい!」
降幡「なんだあいつは」
朱夏「どっちにしろ明日でいいでしょ」
降幡「まあそうだな」
こうして小林達は小宮を放置して、村長の家へと戻って行った。 小林「一人一部屋なんて、なんか贅沢だねー」
善子『部屋数だけはあるみたいね。私たちは二人だけど』
小林「えへへ、ヨハちゃんと一緒ならなんだっていいよ」
善子『私もよ、小林』
小林「両想いだね」
善子『当たり前よ。だって、小林は私のリトルデーモンなんだもの』
小林「……恋人、じゃないんだ」
善子『……恋人に、決まってるでしょ』
小林「ヨハちゃん……!」
小林「大好きー!」
善子『一緒に寝てあげるから、今日はぐっすり寝なさい』
小林「うん!」
降幡(なんであいきゃんの部屋の隣になってんだよ) 〜深夜〜
ユサユサ
「あいきゃん、起きて」
小林「……んー?」
小林「……誰?」
朱夏「……こんはんは、なのかな」
小林「しゅか?」
小林「もう朝?」
小林「にしては外暗いし……うーん?」
小林「まあいいや。どうしたの?」
朱夏「…………っ」
小林「しゅか?」
朱夏「……抱いて」
小林「え?」
朱夏「あいきゃんに、抱いて欲しい」 小林「え……え!?」
小林「しゅ、しゅか、何言って……」
朱夏「……私は、本気だよ」
小林に馬乗りになったまま、ゆっくりと小林へと体重をかけていく。
潤んだ瞳に吸い込まれそうになりながらも、小林は必死に説得を試みた。
小林「ま、待って!私にはヨハちゃんがいるの!」
朱夏「知ってる。でも、それでも、諦められないの」
朱夏「一夜だけの過ちでもいい。私の初めて……あいきゃんにあげたい」
小林「だ、だめ!隣あいあいだから!」
小林「起こしちゃうよ!」
朱夏「降幡さんは、起きても何も言わないから大丈夫」
朱夏「だから……さ?」 小林「お願い、落ち着いて!」
小林「だいたい、しゅかにはあんちゃんがいるでしょ!」
朱夏「あんちゃんとは、そんな関係じゃないよ」
朱夏「ただ、一方的に好かれてるだけ」
朱夏「私が本当に好きなのは……」
ギシリとベッドが軋む音と共に、目の前の朱夏の瞳が少しずつ大きくなる。
小林は金縛りにあったかのように動くことができない。
そして、その唇がそっとーー
善子『何やってるのよ小林!』
小林「!」
善子の声に小林は反射的に朱夏を押し飛ばしていた。
朱夏「な、何するの、あいきゃん」 小林「あ、ごめ……」
善子『こいつは朱夏じゃないわよ、小林』
小林「え?」
善子『見た目も匂いも本物そっくりだけど、いろいろ詰めが甘いわね』
小林「どういうこと?」
善子『こいつは朱夏の姿をした偽物』
善子『本物は今頃普通に寝てるんじゃないの』
小林「……確かに。しゅかはああ見えてあんちゃんのことそこそこ好きだし」
小林「偽物……なんだね?」
「…………」 小林「あ!逃げた!」
善子『追いなさい、小林!』
扉から逃げ出した偽物を追いかけ、小林はすぐに廊下へと出る。
降幡「おい、どうした!?」
騒ぎを聞きつけて、ふりりんが最初に扉から出てくる。
騒ぎのせいからか、両手には剣を携えており、周囲を見渡しながら小林の方へとやってくる。
小林「敵がいたの!私の部屋に!」
降幡「そいつは何処に行った?」
小林「わかんない。だよね、ヨハちゃん」
善子『ええ。出たときには、もう姿も気配もなかったわ』
朱夏「もー……みんなこんな時間に何騒いでんの」
杏樹「朱夏はもう少し寝てても大丈夫だよ」
朱夏「いや、てかなんであんじゅがわしのベッドで寝てたのさ」
杏樹「間違えちゃった、てへへ」 朱夏「それで、何があったの?」
小林「しゅかに『抱いて』って迫られたの!」
杏樹「灰になりたいならそう言ってくれればいいのに」
小林「ええっ!?なんでっ!?」
善子『説明が悪すぎるわよ、小林』
降幡「あれ、さっき敵って言ってたよな」
杏樹「しゅかは私とずっと一緒に寝てたよ」
朱夏「次からは鍵掛けるね」
小林「しゅかの姿をした敵だったの!」
降幡「……他の人間に化けれるってことか?」
小林「多分、そうだと思う」
小林「ね、ヨハちゃん!」
善子『ええ、そうね』 高槻「うるせーなー」
すわわ「うむ」
降幡「やっと起きてきたか」
降幡「まあ梨香子はどうせ寝てるだろ」
遅れて部屋から出てきた高槻とすわわに、敵が出たことについて報告をすると、あまり興味がなさそうな反応を示す。
高槻「別に敵の一人や二人いいだろ」
すわわ「うむ」
高槻「寝るわ。どうせもう出てこねーよ」
小林「そうだね。ヨハちゃん、私たちもーー」
小林?「あれ、みんな何騒いでるの?」
降幡「……ん?」 朱夏「あいきゃんが二人?」
小林「ええ!?」
小林?「な、なんで二人いるの!?」
小林「まさかドッペルゲンガー!?」
小林?「私死んじゃうの!?」
降幡「うるせぇ!」
善子『なるほど、そう来るのね』
小林「ヨハちゃん!どうなってるの!?」
小林?「敵が私に化けちゃったの!?なんで!?」
朱夏「全然見分け付かない」
杏樹「両方ともやっちゃえばいいんじゃないかな?」
朱夏「それだと本物のあいきゃんも死んじゃうじゃん!」
杏樹「そうだった〜」
すわわ「うむ」 降幡「しかし困ったな……どうすりゃいいんだ」
朱夏「あいきゃんしか知らないことを聞いてみるとか?」
降幡「好きな人は?」
小林「ヨハちゃん!」
小林?「ヨハちゃん!」
朱夏「分かんないねー」
小林「ヨハちゃん!ヨハちゃんは私が本物だって分かるよね!」
善子『当たり前よ』
小林「ほら!」
杏樹「こっちのあいきゃんはうるさいから向こうの方連れてこう」
朱夏「そういう問題じゃないでしょ」
高槻「もうじゃんけんでいいじゃん」
すわわ「うむ」 杏樹「はぁ。じゃあいいよこうしよう」
杏樹「今から善子ちゃんとえっちして。みんなで見るから」
小林「え……///」
小林?「!?」
小林「み、みんなの前でなんて……ヨハちゃんにそんな恥ずかしいこと……」
善子『……私はいいわよ』
小林「え?」
善子『小林の無実が証明されるなら、恥ずかしい姿を見られても平気』
善子『でも、責任はちゃんと取ってもらうからね』
小林「……うん。ありがとう、ヨハちゃん」
小林?「…………」 脱兎の如く逃げ出した小林?をふりりんが追いかけたが、逃げ足が速く追いつくことができずに見失ってしまった。
ふりりんが戻ってくる頃にはみんなが部屋に戻っており、寝ようとすると壁から嬌声が漏れ聞こえてくるため、眠れない夜を過ごした。
次の日、小林達は小宮の祀られている小屋へとやってきた。
朱夏「おんぶする?」
梨香子「もういいじゃんw置いてけばw」
杏樹「梨子ちゃんは一緒だと嫌なの?」
梨香子「嫌だしw」
降幡「怖いんだろ」
梨香子「は?怖くねーしw」
梨香子「こんなやつけちょんけちょんにできるわ」
小宮「……ふーん」
梨香子「!?」 梨香子「い、いつから起きて……」
小宮「さっきからですけど」
小宮「なんでも誰かさんが私をけちょんけちょんにするとか」
梨香子「っ」ビクッ
小宮「反抗するなんて、躾が足りませんでしたね」
小宮「ベッド、行きましょうか」
すわわ「うむ」
梨香子「い、いやっ!助け、!」
体を掴まれ抵抗も虚しく梨香子は昨日寝ていたベッドへと連れて行かれる。
ふりりんが必死に説得すること一時間、ようやく梨香子は解放され、全員で北の砦を目指すことになったのだ。 小宮「それだ、これから何処に向かうんです?」
小林「北のなんとかってところだよ」
善子『砦よ』
小林「それ!砦!」
小林「それで、魔界に行ってあいにゃを仲間にするんだよね!」
小宮「分かりました。頑張りましょう」グラッ
降幡「お、おい!大丈夫か!」
小宮「ありがとうございます……降幡さん……」
小宮「……zzz」
降幡「なんでこうなるんだよ」
小林「ありしゃも変な人だね、ヨハちゃん」
善子『ええ、気を付けなさいよ、小林』 〜魔王城〜
???「愛奈さん、彼女たちもうすぐ国境の砦に着きますよ」
???「いいんですか?」
愛奈「……この城まで来たら、倒すわ」
???「それなら別にいいですけど……国境が破られれば、一気に人間が入ってきますよ」
愛奈「……」
???「確か、愛奈さんがお世話になった村は、国境付近でしたよね?」
愛奈「何が言いたいの?」
???「ただ教えてあげただけですよ」
???「どうするかは愛奈さん次第です」 村を出た小林達は、魔族との戦争の最前線となる北の砦へと向かった。
道中、小林が酷い目にあいそうになるがいつものことであり、誰も気にすることはなかった。
小林「ここが北の砦?」
朱夏「多分。結構大きいんだね」
降幡「なあ、今更なんだが、ここって入れるのか?」
降幡「重要拠点なんだろ?」
杏樹「大丈夫。ギルドメンバーならある程度の信頼はされるはずだから」
朱夏「おー、なってて良かった」
小林「あそこの門番の人に言えばいいのかな?」
小林「こんにちはー!」
善子『これで冥界への扉が開かれるわね』 特段問題もなく、小林達は砦の中へと案内された。
重要拠点であるはずなのにこんなことでいいのかと思う一方で、楽であるならばそれに越したことはないという感情もあり、誰からも文句が出ることはなかった。
「こんにちは。こんなところまで来て、どうしました?」
小林「えーと、なんだっけ」
善子『あいにゃを追ってきたのよ、小林』
小林「そうだった!あの、あいにゃのこと知りませんか?」
小林「歌が上手くて〜」
杏樹「実は、私たちの友達が魔族に攫われてしまったんです」
小林「え?」
「そうだったんですか!?」
杏樹「はい。人間の目撃情報はありませんか?」
杏樹「女性なんですけど」
「いえ、ありませんね」
杏樹「そうですか……」 杏樹「今は静かですけど、いつもは戦いになってるんですか?」
「いや、そうでもない。魔族が攻めてこなければ、我々は手を出さないからな」
杏樹「そうなんですか?」
「ああ。昔、不可侵条約が結ばれていたことがあってな」
「その時から、先に手を出さないようにしているんだ」
杏樹「なるほど」
「……最近、魔王が復活したみたいなんだ」
杏樹「魔王が?」
「ああ。そいつのせいで、魔族が俺たちを攻めて来ているらしい」
小林「つまり、魔王が滅べばいいってことね!」
「まあ、そうなるな」
小林「ヨハちゃん!頑張るよ!」
善子『ええ、魔王を倒すのよ、小林』 小林達は情報をくれた兵士にお礼を述べると、戦場を超えて魔族の住む国、魔界へと足を進めた。
魔界では生息する魔物も強く、時には龍種と戦いながらも森の中を進んでいった。
降幡「もうすっかり野宿にも慣れたな」
朱夏「そうだねー。結構経ったもんね」
降幡「……なあ」
降幡「これは聞いていいか、よく分からないんだけどよ」
降幡「みんなは、元の世界に帰りたいか?」 高槻「別に戻る必要なんてないだろ」
高槻「こっちの世界なら好き勝手できるんだし」
高槻「ああでも料理はぜってーあっちのが美味しいか」
高槻「それじゃあ戻った方がいいかもな」
すわわ「うむ」
降幡「そうか。朱夏は、どうだ?」
朱夏「んー、私は帰りたいかな」
朱夏「ママやとらまるとも会いたいし」
杏樹「私はしゅかと会いたいよ」
朱夏「いや、そういうのいらないから」
杏樹「理由はそれくらい?」
朱夏「他は……」
朱夏「……ちゃんと、ママに紹介したい……かな」ボソッ
杏樹「ん?」
朱夏「なんでもないってば、はい、次あいきゃん」 小林「私はヨハちゃんがいればどこでもいいよ」
善子『小林……』
降幡「まあお前はそうだろうな」
降幡「りきゃこはどうだ?」
梨香子「は?wなんで言わなくちゃいけないの?w」
梨香子「てかあいあいはどうなのw」
降幡「私は帰りてーよ。人が直ぐに死ぬ世界なんて、嫌だ」
梨香子「ふーんw」
降幡「この世界にいたいって意見が出なかったのは良かったかもな」
小林「なんで?」
降幡「揉めるのが嫌だからだよ」 その後、他愛もない話を続け、順番に見張りをすることになった。
ペアはいつも通り小林と善子のペアであり、特に誰からも否定意見が出ることはなかった。
小林「あいにゃ、どこに行ったんだろうね」
善子『おそらく魔王城でしょうね』
小林「そこに魔王がいるの?」
善子『ええ、そうね』
小林「そっか。また力を貸してね、ヨハちゃん」
善子『ええ、当たり前よ』
朱夏「楽しそうだね、あいきゃん」
小林「え?しゅか、どうしたの?」
小林「交代には早いよ?」
朱夏「なんだか寝付けなくてさ」
朱夏「眠くなるまでここにいさせてよ」
小林「いいけど……ヨハちゃんも大丈夫?」
善子『ええ、もちろんよ』 朱夏「あいにゃ、どうしたんだろうね」
小林「うーん、前に何かいろいろ言ってたよね」
小林「覚えてる?」
朱夏「戦いから手を引けって言ってた気がする」
小林「うーん、難しいよね」
朱夏「なんでそんなこと言ったんだろう」
小林「寝ぼけてるんだよ。ほら、時差ボケみたいな」
小林「一発殴って目を覚ましてもらおう!」
善子『その通りよ、小林』
小林「やったー!ヨハちゃんに褒められた!」
朱夏「いやいや、褒める要素ないから」 朱夏「……ん?」
善子『…………』
小林「どうしたの、しゅか?」
朱夏「いや、誰かがゆっくり近付いてくるなって」
善子『そうね。私も感じるわよ』
朱夏「この気配は……もしかして」
小林「ん……?あ!あいにゃだ!」
愛奈「…………」
朱夏「一体どうしたの、こんな夜遅くに」
小林「何しに来たのー?」
愛奈「……二人に、見せたいものがあるの」
朱夏「見せたいものってなに?」
愛奈「付いてきてくれたら分かる」
小林「じゃあ付いてこう!」
朱夏「いやいやなんで即答してんの」
小林「いかないの?」
朱夏「行くけど……ま、いっか」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています